JP2010204444A - 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と下記電荷輸送層を順次設けて電子写真感光体とし、これを用いて画像形成方法及び装置、プロセスカートリッジを構成する。
トリアリールアミン構造を含まないポリオール化合物(A)と、官能基数2以上のイソシアネート化合物(B)と、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)との反応により生成した硬化樹脂中に、前記イソシアネート化合物(B)と反応する官能基を持たず、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を含有する電荷輸送層とし、化合物(C)の含有量Dcと化合物(D)の含有量Ddが、関係式;Dc≦Ddを満たすように制御する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、前記有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送材料と不活性高分子を主成分として構成されているため、一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により摩耗が発生しやすいという欠点を有している。また、高画質化を達成するため、トナー粒子を小粒径化するのに伴って、クリーニング性を向上させる必要が生じている。その対策として、クリーニングブレードのゴム硬度を高めて当接圧力を上昇させることが避けられず、これによって感光体の摩耗が促進される要因となっている。このような感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性を劣化させて、画像濃度の低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。更に、摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。そして、現状では感光体の寿命はこの摩耗や傷が律速となり、交換に至っている。
前記電荷輸送層が、トリアリールアミン構造を含まないポリオール化合物(A)と、官能基数2以上のイソシアネート化合物(B)と、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)との反応により生成した硬化樹脂中に、前記イソシアネート化合物(B)と反応する官能基を持たず、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を含有してなるものであり、且つ、化合物(C)の含有量Dcと化合物(D)の含有量Ddが、関係式;Dc≦Ddを満たすことを特徴とする電子写真感光体により解決される。
すなわち、本発明の電子写真感光体は、長期的使用においても、耐クラック性、耐摩耗性、耐傷性などの機械的強度が確保され、画像濃度低下や地肌汚れなどがなく、高画質画像が安定して得られる(画像安定性に優れている)。
本発明の子写真感光体を用いれば、長期間の使用においても終始高濃度、高画質の画像が安定して得られる画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。ここで、プロセスカートリッジとすれば、保存、搬送等が容易であり、交換を短時間に行うことができるなど取扱性にも優れている。
前記電荷輸送層が、トリアリールアミン構造を含まないポリオール化合物(A)と、官能基数2以上のイソシアネート化合物(B)と、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)との反応により生成した硬化樹脂中に、前記イソシアネート化合物(B)と反応する官能基を持たず、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を含有してなるものであり、且つ、化合物(C)の含有量Dcと化合物(D)の含有量Ddが、関係式;Dc≦Ddを満たすことを特徴とするものである。
すなわち、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)を用いるので、イソシアネート化合物(B)との架橋反応に加えて、前記電荷輸送性化合物(D)との間の分子間吸引力(ベンゼン環同士に由来する吸引力)を持つことにより、熱硬化型ウレタン樹脂と電荷輸送性化合物(D)との相溶化剤の機能を果たして、相分離が生じない均一で安定した熱硬化型ウレタン樹脂(熱架橋型ウレタン樹脂)の電荷輸送層が形成できる。つまり、前記電荷輸送性化合物(D)はトリアリールアミン構造を含む化合物であり、イソシアネート化合物(B)との架橋反応は起こらず、相溶化剤の効果があるトリアリールアミン構造を含む化合物(C)を介して、硬化樹脂(熱架橋型ウレタン樹脂)中に均一に分散される。
本発明における前記トリアリールアミン構造を含まないポリオール化合物(A)と、官能基数2以上のイソシアネート化合物(B)と、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)との架橋反応により生成した熱硬化型ウレタン樹脂は、優れた機械的強度(耐摩耗性、耐傷性、耐クラック性など)を有する。このような熱架橋ウレタン樹脂は、従来用いられていたポリカーボネートのような熱可塑樹脂に比べて良好な機械的耐久性が優れている。
この熱硬化型ウレタン樹脂を積層型電子写真感光体(以降、「感光体」と略称することがある。)の電荷輸送層用バインダーとすれば、感光体の耐摩耗性、耐傷性、耐クラック性を向上することができる。つまり、積層型感光体の電荷輸送層の耐摩耗性が高くなれば、感光体の使用寿命の延長が可能となる。
上記のように、前記熱硬化型ウレタン樹脂中に、前記イソシアネート化合物(B)と反応する官能基を持たず、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を含有させることにより、良好な電荷輸送機能を発揮し、電荷輸送層として十分な機能することができるが、この際、電荷輸送性化合物(D)の含有量Ddを、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)の含有量Dcより大きくすることにより、電荷輸送機能を十分に発揮でき、優れた電気特性を持つ電荷輸送層が形成できる。
また、トリアリールアミン構造を含まないポリオール化合物(A)を用いることにより、生成する熱硬化型ウレタン樹脂の強度を確保することができる。そして、官能基数2以上のイソシアネート化合物(B)を用いるので、ポリオール化合物(A)との架橋反応によって強固な3次元の架橋樹脂が形成できる。
官能基数2以上のイソシアネート化合物(B)としては、次のようなイソシアネート材料が用いられる。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、HDIイソシアネート体、HDIビウレット体、XDIトリメチロールプロパンアダクト体、IPDIトリメチロールプロパンアダクト体、IPDIイソシアヌレート体等が挙げられる。
耐摩耗性及びトリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)との相溶性を考慮した場合、2官能以上の芳香族のイソシアネート化合物が好適である。つまり、イソシアネート化合物(B)が芳香族イソシアネート化合物であれば、架橋反応により生成する熱硬化型ウレタン樹脂(架橋型ウレタン樹脂)は、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)との相溶性が良好となり、化合物(D)の分散安定性に有利である。
これらのイソシアネート化合物は、単独もしくは混合して使用することができる。
このようなポリオール化合物(A)の例として、例えば、FR4941、FR4942、FR4943、FR4944、FR−4946(三菱レイヨン社製)、アクリディックA−801、A−807(DIC社製)、LZR−170(藤倉化成社製)が挙げられる。
ジオールとしては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
3価以上のポリオールとしては、多価脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
これらのポリオール材料は、単独もしくは混合して使用することができる。
例えば、イソシアネートと反応する官能基を持たない次の誘導体;オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。
本発明の電荷輸送層に用いられる電荷輸送性化合物(D)の具体例としては、限定されるものではないが下記構造式(D−1)〜(D−23)に示す例示化合物が挙げられる。なお、これらの電荷輸送性化合物(D)は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
図1は、本発明に係る電子写真感光体の構成例を示す概略断面図であり、導電性支持体上(201)に、電荷発生機能を有する電荷発生層(202)と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層(203)とが順次積層された積層構造の感光体である。ここで、前記電荷輸送層が、ポリオール化合物(A)と、イソシアネート化合物(B)と、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)との架橋反応により生成した熱硬化型ウレタン樹脂中に、イソシアネート化合物(B)と反応する官能基を持たず、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を含有するものであり、且つ、化合物(C)の含有量Dcと化合物(D)の含有量Ddが、関係式;Dc≦Ddを満たすものである。
なお、図1は一例であり、本発明における電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層が順次設けられた積層型の構成であればよく、必要により下引き層や中間層を設けても構わない。
導電性支持体(1)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
電荷発生層(2)は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層(3)は電荷輸送機能を有する層であり、本発明における電荷輸送層はポリオール化合物(A)とイソシアネート化合物(B)と水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)との架橋反応により生成した熱硬化型ウレタン樹脂中に、イソシアネート化合物(B)と反応する官能基を持たず、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を含有してなる。
例えば、電荷発生層上に、化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)及び化合物(D)を含有する塗工液を塗布し、必要に応じて乾燥後、加熱により硬化反応(熱架橋反応)させて硬化樹脂(熱硬化型ウレタン樹脂)とすることにより、電荷輸送層が形成される。このとき、電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。5μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、40μmより厚いと硬化時の体積収縮により下層との剥離が生じやすくなる。
電荷輸送性化合物(D)の量Ddは、結着樹脂[ポリオール化合物(A)とイソシアネート化合物(B)の合計)]100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは30〜150重量部が適当である。なお、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)の含有量Dcは、関係式;Dc≦Ddを満たすことが必要である。
本発明における画像形成方法は、前記本発明の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とするものである。また、本発明における画像形成は、前記本発明の電子写真感光体を備えたことを特徴とするものである。
以下に、図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真感光体(前記構成からなり、平滑な電荷輸送性架橋表面層を有する)を用い、例えば、少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニング等のプロセスを実施して画像形成するものであり、画像形成装置は、これらのプロセスを実施可能な手段を備えてなるものである。場合により、静電潜像を直接転写体に転写して現像する画像形成方法等では、感光体に配した前記プロセスを必ずしも有するものではない。
感光体(1)を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ(3)が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
ここで、感光体(1)は、前記本発明の電子写真感光体構成、すなわち、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層〔ポリオール化合物(A)と、イソシアネート化合物(B)と、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)との架橋反応により生成した熱硬化型ウレタン樹脂中に、イソシアネート化合物(B)と反応する官能基を持たず、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を含有する。〕が順次設けられた積層型の感光体である。
本発明は、このような画像形成手段に本発明に係る電子写真感光体を用いる画像形成方法および画像形成装置である。なお、図2中、符号4はイレーサ、符号8はレジストローラを示す。
すなわち、本発明における画像形成装置用プロセスカートリッジは、前記本発明の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とするものである。
本発明に係る画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を図3の概略図に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
下記のようにして、下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を調製し、各塗工液を導電性支持体(Al製支持体)上に順次塗布し、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成して積層型の電子写真感光体(「感光体」と略称する。)を作成した。
先ず、Al製支持体(外径30mmφ)に、乾燥後の膜厚が3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、
大日本インキ化学工業製): 6部
メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、
大日本インキ化学工業製): 4部
酸化チタン(CR−EL:石原産業): 40部
メチルエチルケトン: 50部
下記構造式(I)で示されるビスアゾ顔料: 2.5部
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製): 0.5部
シクロヘキサノン: 200部
メチルエチルケトン: 80部
下記構造式(II)で示されるポリオール化合物(FR4944、
三菱レイヨン社製): 6.1部
トリレンジイソシアネート(東京化成社製): 1.7部
テトラヒドロフラン: 36.4部
例示化合物D3−7: 2.0部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 3.0部
実施例1において電荷輸送性化合物を例示化合物D−15に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
実施例1において電荷輸送性化合物を例示化合物D−16に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
実施例1において電荷輸送性化合物を下記構造式(III)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記の処方に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
前記構造式(II)で示されるポリオール化合物
(FR4944、三菱レイヨン社製): 6.1部
トリレンジイソシアネート(東京化成社製): 1.3部
テトラヒドロフラン: 37.2部
例示化合物D3−7: 1.0部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 4.0部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記の処方に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
下記構造式(IV)で示される化合物ポリオール化合物
[粘度1500〜2000mpa・s(30℃);
(BA−P8、日本乳化剤社製)]: 2.9部
トリレンジイソシアネートのアダクト体(コロネートL、
日本ポリウレタン社製): 5.7部
テトラヒドロフラン: 43.8部
例示化合物D3−7: 2.4部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 3.6部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記の処方に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
前記構造式(II)で示されるポリオール化合物
(FR4944、三菱レイヨン社製): 5.1部
ジフェニルメタンジイソシアネート(東京化成社製): 2.1部
テトラヒドロフラン: 36.6部
例示化合物D3−7: 2.0部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 3.0部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記の処方に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
前記構造式(II)で示されるポリオール化合物
(FR4944、三菱レイヨン社製): 5.3部
トリレンジイソシアネート(東京化成社製): 1.9部
テトラヒドロフラン: 36.6部
例示化合物D2−7: 2.0部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 3.0部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記の処方に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
前記構造式(II)で示されるポリオール化合物
(FR4944、三菱レイヨン社製): 4.4部
下記構造式(V)で示されるイソシアネート化合物
[デュラネート(24A−100、旭化成ケミカル社製)]: 2.7部
テトラヒドロフラン: 36.3部
例示化合物D3−7: 2.0部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 3.0部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記の処方に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
前記構造式(II)で示されるポリオール化合物
(FR4944、三菱レイヨン社製): 6.1部
トリレンジイソシアネート(東京化成社製): 1.8部
テトラヒドロフラン: 39.9部
例示化合物D3−7: 2.7部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 2.7部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記のものに変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート: 10部
下記構造式(III)で示される低分子電荷輸送物質 7部
テトラヒドロフラン: 80部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記のものに変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
前記構造式(II)で示されるポリオール化合物
(FR4944、三菱レイヨン社製): 6.1部
トリレンジイソシアネート(東京化成社製): 2.5部
テトラヒドロフラン: 43.8部
例示化合物D3−7: 6.0部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記のものに変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
前記構造式(II)で示されるポリオール化合物
(FR4944、三菱レイヨン社製): 6.1部
トリレンジイソシアネート(東京化成社製): 1.0部
テトラヒドロフラン: 36.3部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 5.0部
実施例1において電荷輸送層用塗工液を下記の処方に変えた以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
前記構造式(II)で示されるポリオール化合物
(FR4944、三菱レイヨン社製): 5.3部
トリレンジイソシアネート(東京化成社製): 1.8部
テトラヒドロフラン: 36.3部
例示化合物D3−7: 3.0部
例示化合物D−21の電荷輸送性化合物: 2.0部
なお、耐クラック評価は、実機通紙試験を終えた感光体を30℃、85%RHの環境下で2週間保管し、感光体表面におけるクラック発生の有無を目視で判断した。また、感光体の最表層膜状態の評価は目視で行い、感光体表面を視察して透明均一に成膜できているかを評価した。これらの結果をそれぞれ下記表7及び下記表8に示す。表7における耐クラック性、スジ画像、画像濃度の評価基準は下記による。
耐クラック性:○→発生なし、△→1〜4箇所以内、×→4箇所以上
スジ画像:○→良好、△→局部的に発生、×→画像全面に発生
画像濃度:○→良好、△→わずかに画像濃度低下、×→画像濃度低下
本発明の実施例1〜10の場合には、耐クラック性、画像濃度、スジ画像、最表層の膜状態、摩耗量において一部△の評価のあるものもあるが実用上問題のないレベルであり、いずれも良好な結果が得られた。
一方、比較例1の場合には、感光体の電荷輸送層の樹脂成分として、ビスフェーノルZ型ポリカーボネートを用い、ウレタン樹脂としなかったので、膜の機械強度が低く、摩耗量が大きく、耐クラック性も悪かった。
また、比較例2の場合には、官能基を持たないトリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を感光体の電荷輸送層に含有しないので、電荷輸送機能が十分に発揮できず、また、感光体は摩耗量が少なかったが、スジ画像が発生した他、明部電位の異常上昇も激しかった。
また、比較例3の場合には、感光体の電荷輸送層に電荷輸送性化合物を含有するが、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)を含有しないので、生成するウレタン樹脂と、電荷輸送性化合物(D−21)との相溶性が悪く、架橋反応を阻害して強固な電荷輸送層が形成できなかった。感光体の摩耗量も大きく、電荷輸送性化合物の析出による画像濃度低下も発生した。
また、比較例4の場合には、感光体の電荷輸送層にトリアリールアミン構造を含まないポリオール化合物、官能基数2以上のイソシアネート化合物、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(例示化合物D3−7)及び、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(イソシアネート化合物と反応する官能基を持たない)(例示化合物D−21)を含有するが、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(例示化合物D3−7)の含有量がトリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(例示化合物D−21)より多いため、電荷輸送機能が不十分となり、また、感光体の摩耗量は少なかったが、スジ画像も発生し、明部電位の異常上昇も発生した。
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明の構成とされた電子写真感光体によれば、耐クラック性、耐傷性、耐摩耗性に優れ、従来の電子写真感光体の高耐久化を阻害する要因となっていた機械的耐久のレベルを、大幅に改善することができる。また、この電子写真感光体を用いることにより、長期間の使用においても終始高濃度、高画質の画像が安定して得られる画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード
201 導電性支持体上
202 電荷発生層
203 電荷輸送層
Claims (9)
- 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層が順次設けられた積層型の電子写真感光体であって、
前記電荷輸送層が、トリアリールアミン構造を含まないポリオール化合物(A)と、官能基数2以上のイソシアネート化合物(B)と、水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)との反応により生成した硬化樹脂中に、前記イソシアネート化合物(B)と反応する官能基を持たず、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)を含有してなるものであり、且つ、化合物(C)の含有量Dcと化合物(D)の含有量Ddが、関係式;Dc≦Ddを満たすことを特徴とする電子写真感光体。 - 前記電荷輸送性化合物(D)において持たない前記イソシアネート化合物(B)と反応する官能基が、活性水素を有する基であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記ポリオール化合物(A)が、分子構造単位として少なくともスチレン構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記イソシアネート化合物(B)が、芳香族イソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記水酸基とトリアリールアミン構造を含む化合物(C)が、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
[式(1)中、R1は水素原子、水酸基、水酸基を1つ以上含有するアルキル基、水酸基以外の置換基があってもよいアルキル基を表し、R2、R3は、水酸基、水酸基を1つ以上含有するアルキル基、水酸基を1つ以上含有するアルコキシ基、水酸基を1つ以上含有するポリアルキレンオキシ基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar1 、Ar2、Ar3 は置換もしくは無置換の芳香族2価基を表す。]
[式(2)中、R4、R5は水素原子、水酸基、水酸基を1つ以上含有するアルキル基、水酸基以外の置換基があってもよいアルキル基を表し、R6、R7は、水素原子、水酸基を1つ以上含有するアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、Ar8は置換もしくは無置換の芳香族2価基を表す。] - 前記トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性化合物(D)が、下記一般式(3)で示される電荷輸送性化合物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
[式(3)中、R8 、R9 は、水酸基以外の置換基があってもよい芳香族炭化水素基、水酸基以外の置換基があってもよいアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R8 、R9は互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。Ar9は置換もしくは無置換の芳香族2価基を表し 、Ar10は置換もしくは無置換の芳香族2価基または芳香族1価基を表す。ただし、式中の2個のAr10が同時に1価であることはない。l′、m′はそれぞれ0〜3の整数を表す。ただし、l′、m′が同時に0となることはない。n′は1〜3の整数を表す。] - 請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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