JP2010203468A - 湿式多板クラッチ装置 - Google Patents

湿式多板クラッチ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010203468A
JP2010203468A JP2009047185A JP2009047185A JP2010203468A JP 2010203468 A JP2010203468 A JP 2010203468A JP 2009047185 A JP2009047185 A JP 2009047185A JP 2009047185 A JP2009047185 A JP 2009047185A JP 2010203468 A JP2010203468 A JP 2010203468A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
clutch
oil
mating
mating plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2009047185A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Okamoto
拓 岡本
Hiroshi Shimizu
弘 清水
Yasuhiko Tsuru
靖彦 水流
Osamu Hasegawa
修 長谷川
Masataka Kawaguchi
正隆 川口
Atsushi Sugiura
篤 杉浦
Yoichiro Iritani
陽一郎 入谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2009047185A priority Critical patent/JP2010203468A/ja
Publication of JP2010203468A publication Critical patent/JP2010203468A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

【課題】クラッチ板及び相手板の冷却効率を高める。クラッチ板及び相手板の熱応力の発生を抑止して、クラッチ構造の信頼性を向上する。
【解決手段】ピストン部の押圧力によりクラッチ板と相手板とが圧着され、クラッチ軸とクラッチギヤとが接続される湿式多板クラッチ装置において、前記クラッチ板及び前記相手板のうち少なくとも一方の板面には、複数の摩擦材が設けられて、これら摩擦材の間に前記冷却オイルが流れるオイル流路溝が形成されており、前記オイル流路溝は、径方向内方側のオイル流入部と径方向外方側のオイル流出部との間に、回転方向に対して後退する方向に伸び、回転時の遠心力により前記冷却オイルを回転方向から後退する方向に導く湾曲流路を有することを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、湿式多板クラッチ装置に関する。
周知のように、例えば、フォークリフト等の産業車両の動力伝達装置として、湿式多板クラッチ装置が用いられている(例えば、下記特許文献1)。この湿式多板クラッチ装置は、クラッチ軸と、クラッチ軸を囲繞すると共に、このクラッチ軸と相対回転可能に設けられたクラッチギヤと、クラッチ軸に固定され、クラッチギヤの外周壁の少なくとも一部を間隙を介して囲繞するクラッチドラムと、クラッチドラムの内周壁に設けられ、クラッチドラムに対して周方向に拘束されると共に軸方向に移動可能とされた相手板と、クラッチギヤの外周壁に設けられ、このクラッチギヤに対して周方向に拘束されると共に軸方向に移動可能とされたクラッチ板と、相手板とクラッチ板とを軸方向に押圧可能なピストン部と、クラッチ板及び相手板に対してクラッチ軸側から冷却オイルを供給するオイル供給部とを備えている。すなわち、ピストン部の押圧力によりクラッチ板と相手板とが圧着され、クラッチ軸とクラッチギヤとが接続されるようになっている。
このような湿式多板クラッチ装置においては、クラッチ板及び相手板のうち少なくとも一方の板面に複数の摩擦材が設けられて、これら複数の摩擦材の間に冷却オイルを流すオイル流路溝を形成するのが通常である。すなわち、回転時の遠心力を利用して、オイル流路溝に径方向内方から冷却オイルを導入すると共に、径方向外方に向けて排出して、摩擦熱を外部に排熱するものである。
特開平2000−257706号公報
しかしながら、従来の技術においては、オイル流路溝が格子状に設けられて流動抵抗が比較的に大きくなるために、冷却オイルの供給効率が悪くなって冷却効率が不十分であるという問題があった。
また、上記の摩擦熱によって相手板及びクラッチ板が熱膨張して、相手板及びクラッチ板に熱応力が生じるために塑性変形や熱損傷が発生してしまうという問題があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、以下のことを目的とする。
(1)クラッチ板及び相手板の冷却効率を高める。
(2)クラッチ板及び相手板の熱応力の発生を抑止して、クラッチ構造の信頼性を向上する。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る湿式多板クラッチ装置は、クラッチ軸と、前記クラッチ軸を囲繞すると共に該クラッチ軸と相対回転可能に設けられたクラッチギヤと、前記クラッチ軸に固定され、前記クラッチギヤの外周壁の少なくとも一部を、間隙を介して囲繞するクラッチドラムと、前記クラッチドラムの内周壁に設けられ、前記クラッチドラムに対して周方向に拘束されると共に軸方向に移動可能とされた相手板と、前記クラッチギヤの外周壁に設けられ、該クラッチギヤに対して前記周方向に拘束されると共に前記軸方向に移動可能とされたクラッチ板と、前記相手板と前記クラッチ板とを前記軸方向に押圧可能なピストン部と、前記クラッチ板及び前記相手板に対して前記クラッチ軸側から冷却オイルを供給するオイル供給部とを備え、前記ピストン部の押圧力により前記クラッチ板と前記相手板とが圧着され、前記クラッチ軸と前記クラッチギヤとが接続される湿式多板クラッチ装置において、前記クラッチ板及び前記相手板のうち少なくとも一方の板面には、複数の摩擦材が設けられて、これら摩擦材の間に前記冷却オイルが流れるオイル流路溝が形成されており、前記オイル流路溝は、径方向内方側のオイル流入部と径方向外方側のオイル流出部との間に、回転方向に対して後退する方向に伸び、回転時の遠心力により前記冷却オイルを回転方向から後退する方向に導く湾曲流路を有することを特徴とする。
この構成によれば、径方向内方側のオイル流入部と径方向外方側のオイル流出部との間に、回転時の遠心力により冷却オイルを回転方向から後退する方向に導く湾曲流路を有するので、冷却オイルの流動抵抗を低減させ、冷却オイルの供給効率を向上させることができる。これにより、順次供給される冷却オイルが摩擦熱を連続的に外部に排出するので、クラッチ板及び相手板の温度上昇を抑制する。従って、クラッチ板及び相手板の冷却効率を向上させることができると共に、熱応力の発生を抑止してクラッチ構造の信頼性を向上させることができる。
また、前記オイル流路溝は、放射状となった複数の放射流路と、前記放射流路と交差すると共に回転中心軸を中心とした仮想円に沿った複数の前記湾曲流路からなる環状流路とを備え、前記環状流路が、複数同心円状に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、複数の放射流路を備え、放射流路と交差すると共に複数の湾曲流路からなる環状流路が複数同心円状に設けられているので、板面を全体的に冷却することができる。
また、前記複数の環状流路は、径方向内方側の前記環状流路の溝幅が、該環状流路よりも径方向外方側における前記環状流路の溝幅と比較して大きくされていることを特徴とする。
この構成によれば、径方向内方側の環状流路の溝幅が、該環状流路よりも径方向外方側における環状流路の溝幅と比較して大きくされているので、径方向内方側の環状流路における冷却オイルの流量を多くすることができる。これにより、径方向外方側よりも温度が上昇し易い径方向内方側のオイル供給効率を向上させることができる。従って、径方向における温度分布の偏りを抑制することができ、熱応力の発生を抑止してクラッチ構造の信頼性を向上させることができる。
また、前記湾曲流路は、前記オイル流入部から前記オイル流出部まで連続して形成され、前記オイル流路溝は、前記オイル流入部から前記オイル流出部まで連続して形成されると共に、回転方向に対して前進する方向に伸び、前記湾曲流路と交差する逆湾曲流路を有することを特徴とする。
この構成によれば、湾曲流路と逆湾曲流路とを有するので、両方向の回転に対して、オイルの供給効率と冷却効率とを向上させることができる。
また、前記クラッチドラムの内周壁には、前記軸方向に延びる内周嵌合溝が形成され、前記相手板の外周には、前記内周嵌合溝に隙間を介して嵌合する嵌合外歯部が形成されており、前記クラッチドラムと前記嵌合外歯部との隙間は、前記周方向の隙間が前記径方向の隙間よりも大きくされていることを特徴とする。
この構成によれば、クラッチドラムと嵌合外歯部との周方向の隙間が、径方向の隙間よりも大きくされているので、径方向の熱膨張量と周方向の熱膨張量とに合わせて適切に熱膨張を吸収する。これにより、熱応力の発生を抑止するので、塑性変形の発生を抑止することができ、クラッチ構造の信頼性を向上することができる。
また、複数の前記の相手板と複数の前記クラッチ板とが、相互に隣接する二の相手板に一の前記クラッチ板が挟まれるように交互に設けられ、前記クラッチドラムの端部に固定され、この端部側に設けられた一の相手板が押圧されるプレッシャープレートと、該プレッシャープレートと前記一の相手板との間に設けられた皿バネとを有し、前記一の相手板は、他の相手板よりも板厚が厚く構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、プレッシャープレートと一の相手板との間に設けられた皿バネを有し、一の相手板が他の相手板よりも板厚が厚く構成されているので、皿バネを設けた場合において、高回転時の半クラッチ運転や回転方向の急変更等をしたときに、一の相手板に生じる熱応力の発生を抑止することができる。すなわち、板厚が大きくされているので、熱容量が他の相手板よりも大きくなり、温度の上昇が抑制されて、熱応力の発生を抑止することができる。
また、板厚を大きくしているので、曲げ剛性が大きくなっており、大きな熱応力を許容することができ、塑性変形を抑止することができる。
本発明によれば、クラッチ板及び相手板の冷却効率を高めることができる。
また、本発明によれば、クラッチ板及び相手板の熱応力の発生を抑止して、クラッチ構造の信頼性を向上することができる。
本発明の実施形態に係る湿式多板クラッチ装置1の全体構成を示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係る湿式多板クラッチ装置1の拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る湿式多板クラッチ装置1の要部断面図であって、図2におけるI−I線断面図である。 本発明の実施形態に係る相手板40(40A)の上面図である。 本発明の実施形態に係る湿式多板クラッチ装置1の変形例において、相手板110の上面図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る湿式多板クラッチ装置1の全体構成を示す縦断面図であり、図2は、湿式多板クラッチ装置1の拡大断面図である。
図1に示すように、湿式多板クラッチ装置1は、クラッチ軸10と、クラッチギヤ20と、クラッチドラム30と、相手板40と、クラッチ板50と、プレッシャープレート60と、皿ばね70と、ピストン80と、冷却オイル供給部90とを備えている。
クラッチ軸10は、図1に示すように、クラッチケース101に回転可能に支持されている。このクラッチ軸10は、原動機や電動機等の駆動源に接続されており、回転中心軸Pを基準にして回転駆動されるようになっている。
クラッチギヤ20は、図1に示すように、その中心軸を回転中心軸Pに重ねた状態でクラッチ軸10を囲繞している。より具体的には、クラッチ軸10が挿通された軸受102を介してクラッチ軸10と相対回転可能な状態でクラッチ軸10に支持されている。
このクラッチギヤ20の外周壁21には、出力歯車103と噛合する歯車部22と、この歯車部22よりも小径に形成された小径部23において、それぞれ軸方向に延在する複数の外周嵌合溝24を有している。
クラッチドラム30は、図1に示すように、軸方向における一方の端部に端壁31が形成されると共に、他方の端部がスナップリング32とされている。このクラッチドラム30は、複数のリベット104によって端壁31がクラッチ軸10に固定されており、クラッチ軸10と共に回転するようになっている。
このクラッチドラム30は、端壁31側の内方にピストン80を嵌合収容すると共に、スナップリング32側の内方に小径部23を間隙を介して収容している。クラッチドラム30の内周壁33のうち、小径部23と対向する大径部33aには軸方向に延在する複数の内周嵌合溝34が形成されている。
図3は、図2におけるI−I線断面図であり、図4は、相手板40の上面図である。
相手板40は、円環板状部材であり、外周がクラッチドラム30の大径部33aに嵌合している。すなわち、図3及び図4に示すように、各相手板40の外周には、軸方向に直交する断面輪郭が台形状に形成されると共に各内周嵌合溝34とそれぞれ嵌合した嵌合外歯部41が複数形成されている。
図3に示すように、この嵌合外歯部41とクラッチドラム30との間に形成される隙間Sは、周方向の隙間寸法をt1、径方向の隙間寸法t2とすると、t1>t2となるように形成されている。
このような構成により、相手板40がクラッチドラム30に対して周方向に拘束されると共に軸方向に移動可能となっている。
このような構成の相手板40は、図2に示すように、相互に隣接する相手板40がクラッチ板50を挟むようにして、軸方向に連続して6枚設けられている。これら6枚の相手板40のうち、スナップリング32側に位置する端部相手板40Aは、他の相手板40よりも板厚が厚く構成されている。
この相手板40の二つの板面のうち、クラッチ板50と対向する板面40aには、それぞれ複数の摩擦材42が設けられている。
図4に示すように、複数の摩擦材42は、相互に隣接する摩擦材42の間にオイルOが流れるオイル流路溝43を形成している。
摩擦材42は、適度な摩擦力が得られるように材質が選定され、本実施形態では、紙材ベースのものが用いられている。
オイル流路溝43は、図4に示すように、放射状となった複数の放射流路44と、放射流路44と交差すると共に回転中心軸Pを中心とした仮想円に沿って、同心円状に形成された四つの環状流路45A〜45Dとを有している。
複数の放射流路44は、それぞれ径方向内方がオイル流路溝43のオイル流入部43aとされ、径方向外方がオイル流路溝43のオイル流出部43bとされている。
環状流路45A〜45Dは、図4に示すように、それぞれが放射流路44と交差することによって周方向に区切られている。換言すれば、環状流路45A〜45Dは、それぞれ回転方向に対して後退する方向に伸びると共に、径方向外方に膨出した湾曲流路46が、周方向に多数連設して構成されている。
これら環状流路45A〜45Dは、径方向内方側のものほど溝幅が大きく形成されており、環状流路45A,45B,45C,45Dの順に溝幅が大きくなっている。
図2に示すように、クラッチ板50は、相手板40と略同大に形成された円環板状部材であり、内周がクラッチギヤ20の小径部23に嵌合している。すなわち、各クラッチ板50の外周には、各外周嵌合溝24にそれぞれ嵌合した嵌合内歯部51が複数形成されており、クラッチ板50がクラッチギヤ20に対して周方向に拘束されると共に軸方向に移動可能となっている。
プレッシャープレート60は、円環板状部材であり、内周嵌合溝34の開放端であるスナップリング32側の端部に固体されている。
皿ばね70は、クラッチ板50及び相手板40と略同径に形成されており、プレッシャープレート60と端部相手板40Aとの間に介装されている、この皿バネ70は、大径側をプレッシャープレート60の板面における外周側に、小径側を端部相手板40Aの板面40aにおける内周縁に当接させている。
ピストン80は、図1に示すように、外周部をクラッチドラム30の内周壁33に、内周部をクラッチ軸10の内周にそれぞれ流体密に嵌合されており、クラッチドラム30との間に油圧室105を形成している。このピストン80は、油圧室105に供給されるオイルOの油圧により、軸方向に移動可能となっている。
なお、このピストン80は、戻しばね106により常時クラッチドラム30に付勢されている。
冷却オイル供給部90は、相手板40及びクラッチ板50と、油圧室105に対してオイルOを供給するものであり、クラッチ軸10に設けられたオイル通路107,108を介して、図示しないコントロール弁からオイルOを供給するようになっている。
次に、上記構成からなる湿式多板クラッチ装置1の作用を説明する。
まず、図1に示すように、ピストン80が端壁31側に位置した状態において、クラッチ軸10が不図示の駆動源によって回転駆動され、クラッチ軸10とクラッチドラム30と相手板40とが回転中心軸Pを基準に回転する。
次に、図2に示すように、油圧室105にオイルOが供給され、ピストン80がスナップリング32側に移動して端壁31側の相手板40に接触して、この相手板40を押圧する。ピストン80からの押圧を受け、相手板40とクラッチ板50とが、それぞれ内周嵌合溝34と外周嵌合溝24とに沿ってスナップリング32側に移動する。
次に、ピストン80がスナップリング32側に移動すると、各相手板40と、相手板40とに隣接するクラッチ板50とが圧着され、クラッチ板50とクラッチギヤ20とが、クラッチ軸10とクラッチドラム30と相手板40と共に回転し、クラッチ軸10からクラッチギヤ20に動力が伝達される。
以上が湿式多板クラッチ装置1の基本的な動作であるが、例えば、産業車両においては、作業内容に応じて、高回転時の半クラッチ運転や回転方向の急変更等をする場合がある。このような場合であっても、湿式多板クラッチ装置1は、クラッチ構造に変形を生じさせることなく、良好に作動し続ける。
すなわち、図2に示すように、ピストン80に押圧される前には、端部相手板40Aの板面40aにおける内周縁と、皿バネ70の小径部とが当接している。このため、端部相手板40aがピストン80に押圧されると、内周縁付近に皿ばね70の反力を受けるために、板面40aにおける面圧分布が径方向内方側で大きくなる。そして、この面圧分布の偏りによって、径方向外方側よりも径方向内方側に摩擦熱が多く発生する。
この際、端部相手板40Aのクラッチ板50に対向する板面40aには、オイル通路108を介してオイルOが供給されている。すなわち、図4に示すように、摩擦材42の間に形成されたオイル流路溝43にオイルOが流れて、端部相手板40Aを冷却する。
具体的には、図4に示すように、まず、板面40aにおいて各オイル流入部43a近傍に位置するオイルOに、相手板40の回転による遠心力が作用する。この遠心力により、オイルOが各オイル流入部43aから放射流路44に流入する。
その後、オイルOは、径方向外方側に向かって流れ、環状流路45Aに流出する。環状流路45Aに流出したオイルOは、相手板40が回転することにより、相手板40に対して相対的に、回転方向に対して後退する方向に導かれる。その後、放射流路44への流入及び環状流路45(45B〜45C)の流入を繰り返し、径方向外方の43Dから外部に流出する。
この過程において、端部相手板40AとオイルOとの間で熱交換がなされ、この熱がオイルOと共に外部に排出することにより、端部相手板40Aを冷却する。
この際、環状流路45A〜45Dを流れるオイルOは、少ない流路抵抗で速やかに流れる。すなわち、オイル流路溝43の流路抵抗が全体として低減されているために、オイル流路溝43全体の流量が比較的に多量となる。
また、これら環状流路45A〜45Dの順に、溝幅が大きくされているために、上記の順にオイルOの流量が少なくなっている。つまり、径方向内方の吸熱量が多くなって、径方向外方の吸熱量が少なくなる。
さらに、端部相手板40Aの板厚を、他の相手板の板厚よりも大きくして熱容量を大きくしているために、端部相手板40Aの昇温を抑制すると共に、板面40aの温度分布の偏りが緩やかなものとなる。つまり、温度分布の偏りによって端部相手板40Aに生じる熱応力が小さなものとなる。
このようにして、端部相手板40aが冷却されるが、端部相手板40Aに残存した熱により端部相手板40Aが昇温するために、端部相手板40Aが径方向と周方向とに熱膨張することとなる。この際、径方向の熱膨張量と比較して周方向の熱膨張量が大きくなる。
一方、クラッチドラム30は、相手板40よりも低温となるために、熱膨張量が端部相手板40Aよりも小さくなる。これら端部相手板40Aとクラッチドラム30との熱膨張量の差によって、端部相手板40Aがクラッチドラム30に拘束されて、端部相手板40Aに熱応力が作用するが、嵌合外歯部41とクラッチドラム30との隙間を周方向の隙間寸法t1>径方向の隙間寸法t2としているために、周方向の熱応力が小さいものとなる。
また、端部相手板40Aの板厚を、他の相手板40の板厚よりも大きくして熱容量を大きくしているために、温度の上昇が抑制されて、熱応力の発生を抑止する。
また、板厚を大きくしているので、曲げ剛性が大きくなって大きな熱応力を許容することができ、塑性変形を抑止することができる。
上記作用により、端部相手板40Aの塑性変形の発生が抑制される。
また、端部相手板40Aと同様にして、他の相手板40に発生する摩擦熱もオイル流路溝43によって除去され、温度分布の偏りによって熱応力が作用することなく、塑性変形の発生が抑制される。
このような作用によって、湿式多板クラッチ装置1は、高回転時の半クラッチ運転や回転方向の急変更等をした場合においても、良好に作動し続ける。
以上説明したように、湿式多板クラッチ装置1によれば、回転時の遠心力によりオイルOを回転方向から後退する方向に導く湾曲流路28を有するので、冷却オイルOの流動抵抗を低減させ、オイルOの供給効率を向上させることができる。これにより、順次供給されるオイルOが摩擦熱を連続的に外部に排出するので、クラッチ板50及び相手板40の温度上昇を抑制する。従って、クラッチ板50及び相手板40の冷却効率を向上させることができると共に、熱応力の発生を抑止してクラッチ構造の信頼性を向上させることができる。
また、複数の放射流路44を備え、放射流路44と交差すると共に複数の湾曲流路28からなる環状流路45A〜45Dが同心円状に設けられているので、板面40aを全体的に冷却することができる。
また、環状流路45A〜45Dの溝幅が、径方向内方側のものほど大きくされているので、径方向内方側のものほどオイルOの流量を多くすることができる。これにより、径方向外方側よりも温度が上昇し易い径方向内方側のオイル供給効率を向上させることができる。従って、径方向における温度分布の偏りを抑制することができ、熱応力の発生を抑止してクラッチ構造の信頼性を向上させることができる。
また、クラッチドラム30と嵌合外歯部41との周方向の隙間が径方向の隙間よりも大きくされているので、径方向の熱膨張量と周方向の熱膨張量とに合わせて適切に熱膨張を吸収する。これにより、熱応力の発生が効果的に抑止されるので、塑性変形の発生を抑止することができ、クラッチ構造の信頼性を向上することができる。
また、プレッシャープレート60と端部相手板40Aとの間に設けられた皿バネ70を有し、端部相手板40Aが他の相手板40よりも板厚が厚く構成されているので、皿バネ70を設けた場合において、高回転時の半クラッチ運転や回転方向の急変更等をしたときに、端部相手板40Aに生じる熱応力の発生を抑止することができる。すなわち、板厚が大きくされているので、熱容量が他の相手板40よりも大きくなり、温度の上昇が抑制される。これにより、熱応力の発生を抑止することができる。
また、板厚を大きくしているので、曲げ剛性が大きくなり、大きな熱応力を許容し、塑性変形を抑止することができる。
図5は、湿式多板クラッチ装置1の変形例を示した図である。この変形例は、相手板40の板面40aに設けられた摩擦材の配置を変更し、流路溝を異なる構成にしたものである。なお、図5において、図1〜図4と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
この変形例におけるオイル流路溝111は、オイル流入部43aからオイル流出部43bまで連続して形成され、正回転方向に対して後退する方向に伸びると共に、径方向外方に膨出するように円弧状に形成された複数の湾曲流路112と、オイル流入部43aからオイル流出部43bまで連続して形成され、回転方向に対して前進する方向に伸びると共に、径方向外方に膨出するように円弧状に形成された複数の逆湾曲流路113とから構成されている。
このオイル流路溝111を形成する摩擦材114は、内周側及び外周側に形成されたものが三角形状とされると共に、その他のものが菱形状とされており、それぞれの各辺が円弧状に形成されている。
この構成によれば、相手板40が正回転した場合には、正回転時の遠心力により湾曲流路112内においてオイルOが回転方向から後退する方向に導かれると共に、逆回転した場合には、逆回転時の遠心力により逆湾曲流路113内においてオイルOが回転方向から前身する方向に導かれる。
これにより、正回転時及び逆回転時の双方の場合において、オイルOの供給効率を向上させることができると共に冷却効率を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1…湿式多板クラッチ装置
10…クラッチ軸
20…クラッチギヤ
21…外周壁
24…外周嵌合溝
30…クラッチドラム
32…スナップリング
33…内周壁
34…内周嵌合溝
40…相手板
40A…端部相手板
40a…板面
41…嵌合外歯部
42…摩擦材
43,111…オイル流路溝
43a…オイル流入部
43b…オイル流出部
44…放射流路
45(45A〜45D)…環状流路
46,112…湾曲流路
50…クラッチ板
60…プレッシャープレート(リテーナー)
70…皿バネ
80…ピストン
90…冷却オイル供給部
113…逆湾曲流路
O…オイル(冷却オイル)
S…隙間

Claims (6)

  1. クラッチ軸と、
    前記クラッチ軸を囲繞すると共に該クラッチ軸と相対回転可能に設けられたクラッチギヤと、
    前記クラッチ軸に固定され、前記クラッチギヤの外周壁の少なくとも一部を、間隙を介して囲繞するクラッチドラムと、
    前記クラッチドラムの内周壁に設けられ、前記クラッチドラムに対して周方向に拘束されると共に軸方向に移動可能とされた相手板と、
    前記クラッチギヤの外周壁に設けられ、該クラッチギヤに対して前記周方向に拘束されると共に前記軸方向に移動可能とされたクラッチ板と、
    前記相手板と前記クラッチ板とを前記軸方向に押圧可能なピストン部と、
    前記クラッチ板及び前記相手板に対して前記クラッチ軸側から冷却オイルを供給するオイル供給部とを備え、
    前記ピストン部の押圧力により前記クラッチ板と前記相手板とが圧着され、前記クラッチ軸と前記クラッチギヤとが接続される湿式多板クラッチ装置において、
    前記クラッチ板及び前記相手板のうち少なくとも一方の板面には、複数の摩擦材が設けられて、これら摩擦材の間に前記冷却オイルが流れるオイル流路溝が形成されており、
    前記オイル流路溝は、径方向内方側のオイル流入部と径方向外方側のオイル流出部との間に、回転方向に対して後退する方向に伸び、回転時の遠心力により前記冷却オイルを回転方向から後退する方向に導く湾曲流路を有することを特徴とする湿式多板クラッチ装置。
  2. 前記オイル流路溝は、放射状となった複数の放射流路と、
    前記放射流路と交差すると共に回転中心軸を中心とした仮想円に沿った複数の前記湾曲流路からなる環状流路とを備え、
    前記環状流路が、複数同心円状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の湿式多板クラッチ装置。
  3. 前記複数の環状流路は、径方向内方側の前記環状流路の溝幅が、該環状流路よりも径方向外方側における前記環状流路の溝幅と比較して大きくされていることを特徴とする請求項2に記載の湿式多板クラッチ装置。
  4. 前記湾曲流路は、前記オイル流入部から前記オイル流出部まで連続して形成され、
    前記オイル流路溝は、前記オイル流入部から前記オイル流出部まで連続して形成されると共に、回転方向に対して前進する方向に伸び、前記湾曲流路と交差する逆湾曲流路を有することを特徴とする請求項1に記載の湿式多板クラッチ装置。
  5. 前記クラッチドラムの内周壁には、前記軸方向に延びる内周嵌合溝が形成され、
    前記相手板の外周には、前記内周嵌合溝に隙間を介して嵌合する嵌合外歯部が形成されており、
    前記クラッチドラムと前記嵌合外歯部との隙間は、前記周方向の隙間が前記径方向の隙間よりも大きくされていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の湿式多板クラッチ装置。
  6. 複数の前記の相手板と複数の前記クラッチ板とが、相互に隣接する二の相手板に一の前記クラッチ板が挟まれるように交互に設けられ、
    前記クラッチドラムの端部に固定され、この端部側に設けられた一の相手板が押圧されるプレッシャープレートと、
    該プレッシャープレートと前記一の相手板との間に設けられた皿バネとを有し、
    前記一の相手板は、他の相手板よりも板厚が厚く構成されていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の湿式多板クラッチ装置。
JP2009047185A 2009-02-27 2009-02-27 湿式多板クラッチ装置 Withdrawn JP2010203468A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009047185A JP2010203468A (ja) 2009-02-27 2009-02-27 湿式多板クラッチ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009047185A JP2010203468A (ja) 2009-02-27 2009-02-27 湿式多板クラッチ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010203468A true JP2010203468A (ja) 2010-09-16

Family

ID=42965165

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009047185A Withdrawn JP2010203468A (ja) 2009-02-27 2009-02-27 湿式多板クラッチ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010203468A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2428703A2 (en) 2010-09-10 2012-03-14 Jatco Ltd Hydraulic control device, control method of thereof and automatic transmission
CN103089844A (zh) * 2013-02-17 2013-05-08 广西柳工机械股份有限公司 电控超越离合器
CN105041911A (zh) * 2015-06-30 2015-11-11 江苏大学 一种防变形的液粘调速离合器对偶片
CN111058932A (zh) * 2019-11-29 2020-04-24 温州奕龙汽车零部件有限公司 一种电控硅油风扇离合器双向回油机构

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2428703A2 (en) 2010-09-10 2012-03-14 Jatco Ltd Hydraulic control device, control method of thereof and automatic transmission
CN103089844A (zh) * 2013-02-17 2013-05-08 广西柳工机械股份有限公司 电控超越离合器
CN103089844B (zh) * 2013-02-17 2015-09-02 广西柳工机械股份有限公司 电控超越离合器
CN105041911A (zh) * 2015-06-30 2015-11-11 江苏大学 一种防变形的液粘调速离合器对偶片
CN111058932A (zh) * 2019-11-29 2020-04-24 温州奕龙汽车零部件有限公司 一种电控硅油风扇离合器双向回油机构
CN111058932B (zh) * 2019-11-29 2024-05-17 温州奕龙汽车零部件有限公司 一种电控硅油风扇离合器双向回油机构

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8657088B2 (en) Lock-up clutch
JP5072770B2 (ja) トルクコンバータ
JP4684321B2 (ja) トルクコンバータ
US10396628B2 (en) Drive device
EP2872790B1 (en) Multi-chambered, liquid-cooled disc brake
EP2791526B1 (en) Segmented friction material for clutches
US10302150B2 (en) Clutch
KR20090030249A (ko) 제어식 냉각유 공급장치를 구비한 자동변속기 내의 다판 브레이크 및 그 작동 방법
WO2013112510A1 (en) Wet brake assembly
JP2010203468A (ja) 湿式多板クラッチ装置
US20120255825A1 (en) Lock-up clutch mechanism
JP2008281200A5 (ja)
JP2011089577A (ja) トルクコンバータ
JP2008164171A5 (ja)
JP2008025753A (ja) 自動変速機
JP2009150550A (ja) カバーに羽根を有するトルクコンバータ
WO2007122751A1 (ja) 多板クラッチ用クラッチアウタ
JP2013053706A (ja) 湿式多板クラッチ
JP6725314B2 (ja) トルクコンバータのロックアップ装置
KR101490749B1 (ko) 토크컨버터
CN105370746B (zh) 携动单元和离合器装置
JP4684364B2 (ja) トルクコンバータ
JP6560633B2 (ja) 作業機械の走行装置
JP2006300092A (ja) クラッチ
US10794444B2 (en) Wet brake

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20120501