JP2010202167A - 車両のエネルギー回収出力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の制動時や減速時における運動エネルギーを回収し、その回収したエネルギーを効率良く動力源のエネルギーとして出力することができるとともに、装置のコストアップの抑制を可能とした機構を備える、車両のエネルギー回収出力装置を提供する。
【解決手段】車両が減速する際の運動エネルギーを発条201の巻付けに用いて弾性エネルギーに変換することでエネルギーを保存し、車両の加速時には発条201の巻付けを解放することで、弾性エネルギーを運動エネルギーに変換して、通常の動力に対するアシストを行なう。
【選択図】図3

Description

この発明は、車両に用いられるエネルギー回収出力装置に関する。
車両の制動時等の運動エネルギーを蓄積し、加速時に蓄積したエネルギーを放出するシステムを採用する一例として、ハイブリッド車両が挙げられる。ハイブリッド車両は、動力源として、ガソリンエンジンと電動機とを備え、車両の制動時や減速時における運動エネルギーを電気エネルギー変換しバッテリーに蓄電(回収)して、蓄電した電気エネルギーにより電動機を駆動させるという回生装置が採用されている。このような回生装置を開示する先行技術文献としては、下記の特許文献1から3が挙げられる。
特開2008−263739号公報 特開2000−324606号公報 特開平11−150911号公報
運動エネルギーを電気エネルギーに変換して蓄電するには必ず蓄電池が必要となるが、エネルギーの変換効率は蓄電池の性能に依存する。蓄電池によるエネルギー変換効率は低く、エネルギーロスの改善が望まれている。
また、上記した回生装置を車両に搭載した場合、蓄電池自身が高価であり、よりエネルギー変換効率の高い蓄電池を用いた場合、最新の技術の採用も必要となり、車両のコストアップが懸念される。
この発明の目的は、車両の制動時や減速時における運動エネルギーを回収し、その回収したエネルギーを効率良く動力源のエネルギーとして出力することができるとともに、装置のコストアップの抑制を可能とした機構を備える、車両のエネルギー回収出力装置を提供することにある。
この発明に基づいた車両のエネルギー回収出力装置においては、入力軸と、上記入力軸に連結される発条を有する発条装置と、上記発条装置に連結される遊星歯車機構と、上記遊星歯車機構に連結される出力軸とを備え、上記発条装置は、減速時の運動エネルギーにより上記発条を巻きつけて弾性エネルギーとして蓄積し、加速時には上記発条の巻きつけを開放し弾性エネルギーを運動エネルギーに変換して、上記遊星歯車機構を介し上記出力軸に動力を供給する。
この発明に基づいた車両のエネルギー回収出力装置によれば、車両が減速する際の運動エネルギーを発条(ぜんまい)の弾性エネルギーに変換することでエネルギーを保存し、車両の加速時には弾性エネルギーを運動エネルギーに変換することで、通常の動力に対するアシストを行なう。これにより、車両の制動時や減速時における運動エネルギーを回収し、その回収したエネルギーを効率良く動力源のエネルギーとして出力することが可能となるとともに、発条を用いることから、装置のコストアップの抑制を可能となる。
実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の外観構成を示す図である。 実施の形態における発条装置の構成を示す断面図である。 実施の形態における発条装置を用いた車両のエネルギー回収出力装置の構成を示す図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の各クラッチ・ブレーキの用途と前進時の動きを示す図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の前進時通常走行時の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の発条によるエネルギー出力時(前進)の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の発条によるエネルギー回収時(前進)の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の後進時通常走行時の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の発条によるエネルギー出力時(後進)の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の発条によるエネルギー回収時(後進)の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の前進時の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の減速前進時の第1共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の減速前進時の第2共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の停止時の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の発条の巻き過ぎを検知したときの共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の発条の巻き限度を超えたフェール時の共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の前進加速時の第1共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の前進加速時の第2共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の前進加速時の第3共線図である。 実施の形態における車両のエネルギー回収出力装置の前進加速時の第4共線図である。 他の実施の形態における発条装置を用いた車両のエネルギー回収出力装置の構成を示す図である。
本発明に基づいた実施の形態に係る車両のエネルギー回収出力装置について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
図1を参照して、本実施の形態に係る車両のエネルギー回収出力装置1について説明する。このエネルギー回収出力装置1は、発条(ぜんまい)を用いた車両のエネルギー回収出力装置1に関するものであり、減速時の運動エネルギーを発条の弾性エネルギーに変換するものである。
エネルギー回収出力装置1は、トランスミッション100のアウトプット軸101に連結される発条装置200と、この発条装置200に連結される遊星歯車機構300とを有している。遊星歯車機構300には、車輪側のドライブシャフト400が連結されている。なお、発条装置200からみてアウトプット軸101は入力軸となり、ドライブシャフト400は出力軸となる。
図2を参照して、発条装置200は、渦状に巻回された発条210を有し、発条210の外周端は、アウトプット軸101とともに回転するケース202に発条固定ピン212により固定されている。発条210の内周端は、回転軸203に対して過負荷トルクスリップ機構211を介して固定されている。過負荷トルクスリップ機構211を設けることで、一定のトルクが発条装置200に入力された場合には、発条201の破損を防止することができる。
回転軸203は、シャフト220に固定されている。また、回転軸203とケース202との間には、クラッチZ1が設けられている。このクラッチZ1は、回収・出力時の発条201の回転を固定するためのものであり、クラッチZ1を開放して回収・出力の回転差があるときに発条201を巻くことを可能としている。
図3を参照して、遊星歯車機構300は、サンギヤS、リングギヤR、および、プラネタリギヤPを有している。サンギヤSは、発条装置200のシャフト220に連結されている。プラネタリギヤPは、フォワードクラッチC1を介在させて発条装置200のシャフト220に連結されている。リングギヤRには反転用ブレーキB1が設けられている。プラネタリギヤPのキャリヤCには、車輪側のシャフト401が連結されている。車輪側には、電子制御ブレーキシステムが採用され、ブレーキディスク410とブレーキBとが設けられている。
ここで、発条を用いた場合、入力エネルギーの方向に対して逆方向のエネルギーを発生する。車両に用いる場合には、回転方向を変換する必要があり、遊星歯車機構300を用いることで、出力時の回転方向の制御を可能としている。
発条装置200のクラッチZ1、フォワードクラッチC1、および、反転用ブレーキB1はいずれも、乾式タイプ、湿式タイプのいずれでもかまわない。また、発条201や、システム自身の故障時よりも退避処理(リンプホーム処理)が可能なように、クラッチZ1と発条装置200との間のフォワードクラッチC1は、変速機用のクラッチと同じ通常時動力伝達状態(Normally Connected)とし、反転用ブレーキB1のみ通常時動力非伝達状態(Normally Unconnected)としておくことが好ましい。
図21に示すように、発条装置200は、トランスミッション100内に組み込むことで、トランスミッション内のクラッチ・ブレーキと同じ油圧回路を用いて発条装置200の制御を行なうことが可能となる。
(エネルギー回収出力装置1によるエネルギー回収出力制御)
上記構成からなるエネルギー回収出力装置1においては、電子制御ブレーキシステムと連動させ、遊星歯車機構300を用いて、フォワードクラッチC1と反転用ブレーキB1を電子的に制御することで、適切なタイミングで発条201を巻き、減速時の運動エネルギーを発条201の弾性エネルギーに変換する。
次に、図4に、エネルギー回収出力装置1の各クラッチ・ブレーキの用途と前進時の動きを示す図である。反転用ブレーキB1とフォワードクラッチC1とは、ON/OFFが対になっており、制御しないときは、反転用ブレーキB1がOFF状態、フォワードクラッチC1がON状態である(クラッチZ1は、ON状態)。
次に、図5から図20を参照して、各種走行モードにおける共線図を示す。図中において、「T/M」はトランスミッション100、「Zen」は発条装置200、「C1」はフォワードクラッチC1、「O」はアウトプット軸101、「S」はサンギヤS、「R」はリングギヤR、「C」はキャリヤC、「B1」は反転用ブレーキB1、「B」ブレーキB、「Z1」はクラッチZ1を示す。
図5は、前進時の通常走行状態を示している。トランスミッション100からの出力が全て、タイヤに伝達されている。
図6は、前進時の発条のエネルギー出力状態を示している。発条装置200の発条201に蓄えられた弾性エネルギーにより動力のアシストが行なわれている。
図7は、前進時の発条でエネルギーが回収されている状態を示している。発条装置200の発条201が巻き取られ、減速時の運動エネルギーが発条201の弾性エネルギーとして回収されている。
図8は、後進時の通常走行状態を示している。トランスミッション100からの出力が全て、タイヤに伝達されている。
図9は、後進時の発条のエネルギー出力状態を示している。発条装置200の発条201に蓄えられた弾性エネルギーにより動力のアシストが行なわれている。
図10は、後進時の発条でエネルギーが回収されている状態を示している。発条装置200の発条201が巻き取られ、減速時の運動エネルギーが発条201の弾性エネルギーとして回収されている。
次に、図11から図14を参照して、減速時(前進走行から停止)の一連の流れついて説明する。図11は、通常走行の前進時の状態を示している。トランスミッション100からの出力が全て、タイヤに伝達されている。
次に、図12および図13を参照して、ブレーキBがON状態、アクセルOFF状態、フォワードクラッチC1がON状態、反転用ブレーキB1がON状態、クラッチZ1がOFF状態である。これにより、発条装置200の発条201が巻き取られ、減速時の運動エネルギーが発条201の弾性エネルギーとして回収される。図14は車両が停止した状態を示している。
次に、図15および図16を参照して、減速時の発条201の巻きすぎに対するフェール対応について説明する。図15を参照して、発条201の巻きすぎを検出した場合には、クラッチZ1をON状態にすることでこれ以上発条201を巻かないようにし、反転用ブレーキB1を緩めてブレーキBのみで減速を行なう。
また、図16を参照して、反転用ブレーキB1を緩めることができない場合や、間に合わない場合等、発条201の巻き限度を超えた場合には、ある一定の巻きトルクが過負荷トルクスリップ機構211に加わることで、発条201は機械的にスリップし、発条201の破損を防止する。
次に、図17から図20を参照して、加速時(停止から前進走行)に、発条装置200の発条201に蓄えられた弾性エネルギーにより動力のアシストが行なわれた場合の一連の流れついて説明する。
図17を参照して、ブレーキBがOFF状態、アクセルOFF状態、フォワードクラッチC1がON状態、反転用ブレーキB1がOFF状態、クラッチZ1がOFF状態である。これにより、発条装置200の発条201が巻き解かれ、発条201に蓄えられた弾性エネルギーにより動力のアシストが開始する。
図18から図19を参照して、アクセルON状態にして、トランスミッション100からの動力を取り入れ、発条201からの動力のアシストの割合を低下させ、トランスミッション100からの動力の割合を増加させる。図20を参照して、クラッチZ1をON状態にして、発条201からの動力のアシストを停止し、前進加速時の運転を行なう。
以上、本実施の形態おける車両のエネルギー回収出力装置によれば、車両が減速する際の運動エネルギーを発条201の弾性エネルギーに変換することでエネルギーを保存し、車両の加速時には弾性エネルギーを運動エネルギーに変換することで、通常の動力に対するアシストを行なうことが可能となる。
これにより、車両の制動時や減速時における運動エネルギーを回収し、その回収したエネルギーを効率良く動力源のエネルギーとして出力することが可能となるとともに、発条を用いることから、装置のコストアップの抑制を可能となる。
また、蓄電池を用いずに減速時の運動エネルギーを加速時に利用できることから、コスト上昇を招くこととがない。また、蓄電池を用いないことから車両の安全性の向上を図ることが可能となる。また、発条に回収した弾性エネルギーを、効率良く運動エネルギーに変換できることから、エネルギーの変換効率に優れる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 エネルギー回収出力装置、100 トランスミッション、101 アウトプット軸、200 発条装置、202 ケース、203 回転軸、210 発条(ぜんまい)、211 過負荷トルクスリップ機構、212 発条固定ピン、220 シャフト、300 遊星歯車機構、400 ドライブシャフト、401 シャフト、410 ブレーキディスク、B ブレーキ、B1 反転用ブレーキ、C キャリヤ、C1 フォワードクラッチ、P プラネタリギヤ、R リングギヤ、S サンギヤ、Z1 クラッチ。

Claims (1)

  1. 入力軸と、
    前記入力軸に連結される発条を有する発条装置と、
    前記発条装置に連結される遊星歯車機構と、
    前記遊星歯車機構に連結される出力軸とを備え、
    前記発条装置は、減速時の運動エネルギーにより前記発条を巻きつけて弾性エネルギーとして蓄積し、加速時には前記発条の巻きつけを開放し弾性エネルギーを運動エネルギーに変換して、前記遊星歯車機構を介し前記出力軸に動力を供給する、車両のエネルギー回収出力装置。
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