JP2010201984A - 高速鉄道車両用スノープラウ - Google Patents

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Abstract

【課題】排雪抵抗を低く抑えるとともに上下力を低減させて高速鉄道車両の自力排雪走行を可能とするとともに、排除した雪が対向列車や地上設備に影響を与えることなく適切に処理することが可能な高速鉄道車両用スノープラウを提供する。
【解決手段】スノープラウ10において、軌道40間の中心線からそれぞれ軌道40幅方向外側後方へ向かう一対の側板12を有するV字プラウ11と、該V字プラウ11上縁からそれぞれ軌道40幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上に凸の返し曲面13aを有する押さえ翼13と、該押さえ翼13の後縁部13dから連続的に設けられ、外側後方に向かうに連れて下方に向かって傾斜するフィン15とを備えるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冬季に降雪地帯を走行する高速鉄道車両の前部に取り付けられ、軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウに関する。
従来より、鉄道車両の走行時に軌道上の積雪を排除する装置として、例えば特許文献1に示すような、先頭車両の前端下部に軌道と平行に配置されるV字型のスノープラウが知られている。
このスノープラウは、一対の直線状をなす側板の先端が鋭角状に突き合わされて一体化されることにより構成されており、各側板の高さ方向中間部から上端部にかけては上向きに凸の円弧状となるように湾曲した形状となっている。
このようなスノープラウを装着して高速鉄道車両が走行する際には、軌道上の積雪をV字に沿って軌道と平行に両側後方へ押し流すことによって、高速鉄道車両の自力排雪走行を可能とするとともに、側板の湾曲によって雪が飛散するのを防止している。
特開2006−327452号公報
ところで、スノープラウによって排除される雪の運動エネルギーは走行速度と雪の密度とに応じて大きくなるため、豪雪地帯を走行する高速鉄道車両によって排除される雪の運動エネルギーは非常に大きなものとなる。従って、従来のように軌道上の積雪をスノープラウのV字に沿って軌道と平行に両側後方へ押し流すのみでは、場合によっては飛雪が高く舞い上がることがあり、運動エネルギーの大きな飛雪が対向列車や地上機器に高速で衝突し障害を及ぼすおそれがあった。
この発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって排除した雪を対向列車や地上設備に影響を与えることなく適切に処理することが可能な高速鉄道車両用スノープラウを提供することを目的とする。
ここで、本発明者らがこのような高速鉄道車両用スノープラウについて誠意研究を重ねたところ、排雪抵抗を低く抑えるとともに上下力を低減させて排雪能力の高い自力排雪走行を可能とし、さらに、排除した雪を適切に処理することができる高速鉄道車両用スノープラウを実現する構成及び条件を見出すことができた。したがって、本発明はこの知見に基づいた技術であって、前記課題を解決するために以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウは、高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向の外側後方へ向かって延びる一対の側板を有し、前記一対の側板前縁の交差稜線が前記軌道に対して所定のすくい角で傾斜するV字プラウと、該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向の外側へ向かって連続的に設けられ、上向きに凸の曲面状をなして該曲面の頂部稜線が前記V字プラウ上縁に沿って延びる押さえ翼と、該押さえ翼後縁から連続的に設けられ、前記外側後方に向かうに連れて下方に向かって傾斜するフィンとを備えることを特徴としている。
このような特徴の高速鉄道車両用スノープラウによれば、高速鉄道車両の走行時に所定のすくい角を有するV字プラウが軌道中心から雪をすくい剥がすようにして軌道上から積雪を排除する。そして、すくい上げられた雪は、V字プラウの両側の斜め上方に押し上げられ、押さえ翼の曲面の湾曲に沿って返されるようにして高速鉄道車両の両側下方に向かって排雪される。また、V字プラウの外側後方へ押し流れされた雪は、押さえ翼の後縁に設けられたフィンによって案内されて下方に向かって排雪される。したがって、排除した雪が飛散して対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。
また、本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウは、前記フィンが前記押さえ翼に連続する上向きに凸の曲面状をなし、該フィンの曲面の頂部稜線が、平面視にて前記押さえ翼の頂部稜線から直線状に延びていることを特徴としている。
ここで、高速鉄道車両用スノープラウにおいては、排雪時に押さえ翼を上に持ち上げようとする力、即ち上下力が発生し、この上下力が大きい場合、車両自体を上下に揺さぶるピッチングモーションが生じるいう問題がある。また、このピッチングモーションは自力排雪走行時の排雪抵抗が大きいほど顕著となる。したがって、排雪抵抗及び上下力を低減できることが高速鉄道車両用スノープラウの特性上好ましい。この点、本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウにおいては、フィンが押さえ翼と同形状にて頂部稜線が連続して延びるように設けられているため、押さえ翼に到達して外側後方に向かう排雪は押さえ翼からフィンに滑らかに流れるようにして最小限の抵抗で案内される。これにより、自力排雪走行時の排雪抵抗を低く抑えるとともに上下力を低減させることが可能となる。
さらに、本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウにおいては、前記押さえ翼の頂部稜線に対する前記フィンの頂部稜線の傾斜角度が、30°〜45°の範囲に設定されていることが好ましい。
上記フィンの頂部稜線の傾斜角度が30°未満の場合、排雪抵抗及び上下力を低減することができるものの、排除した雪が後方に飛散してしまう。一方、フィンの頂部稜線の傾斜角度が45°を超える場合、排除した雪の後方への飛散を防止することができるものの、排雪の流れる向きを急激に下方に変えるため排雪抵抗及び上下力が高くなってしまう。この点、本発明の高速鉄道車両用スノープラウにおいては、フィンの頂部稜線の傾斜角度が30°〜45°の範囲に設定されているため、排雪抵抗及び上下力を低く抑えながら、後方への排雪の飛散を確実に防止することができる。
また、本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウにおいては、前記V字プラウの両側にそれぞれ設けられ、前縁から後方へ向かう上向きのすくい面を有し、積雪を前記押さえ翼の後縁に案内する一対のすくいプレートが設けられているものであってもよい。
このような特徴の高速鉄道車両用スノープラウによれば、V字プラウ自体に加えて、該V字プラウの両側に設けられた一対のすくいプレートによっても軌道上の積雪をすくい剥がすことができる。したがって、多量の雪を軌道上から排除することが可能となる。また、V字プラウと一対のすくいプレートの双方でもって積雪をすくい上げることによって、排雪を分散させることができ、スノープラウ全体として受ける上下力を効果的に低減させることができる。
本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウによれば、押さえ翼の後縁に斜め下方に向かって傾斜するフィンを設けたことにより、排除した雪を対向列車や地上設備に影響を与えることなく適切に処理することが可能となる。
スノープラウを装着した高速鉄道車両の側面図 第1実施形態に係るスノープラウの斜視図である。 第1実施形態に係るスノープラウの平面図である。 第1実施形態に係るスノープラウの正面図である。 第1実施形態に係るスノープラウの側面図である。 第2実施形態に係るスノープラウの側面図である。 走行試験装置を説明する図である。 走行試験装置における受雪箱の配置箇所を説明する図である。 (a)は実施例1〜4のスノープラウの側面図、(b)は比較例のスノープラウの側面図ある。 (a)は上下力の試験結果を示すグラフ、(b)は排雪抵抗の試験結果を示すグラフである。 飛雪分布の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の第1実施形態の高速鉄道車両用スノープラウの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態のスノープラウを装着した高速鉄道車両の側面図、図2は実施形態に係るスノープラウの斜視図、図3は実施形態に係るスノープラウの平面図、第1の実施形態に係るスノープラウの正面図、図5は実施形態に係るスノープラウの側面図である。
図1に示すように、第1実施形態のスノープラウ10は、高速鉄道車両30のボディー31の下方に延びるスカート部32の進行方向最前面に車輪33を背にするように装着され、高速鉄道車両30の走行とともにレール41及び道床42からなる軌道40上の積雪を排除することで高速鉄道車両30の自力排雪走行を可能とするものである。
このスノープラウ10は、高速走行にも耐え得る強度を備えた例えばステンレス等の鋼材からなり、図2から図5に示すように、V字プラウ11と、押さえ翼13と、一対のすくいプレート14と、フィン15とから構成されている。また、スノープラウ10は、図2及び図3に示すように、平面視にて軌道40の幅方向の中心線kを堺に線対称に形成されている。
V字プラウ11は、一対の側板12からなり、該一対の側板12のそれぞれの前縁同士を車両進方向前方に向けて凸状をなすように突き合わせて一体化することによって構成されている。
この側板12は、それぞれ中心線kから軌道幅方向の外方かつ後方、即ち、軌道幅方向外側後方へ向かって斜めに延びる略矩形平板状をなしており、その延在方向に沿って軌道40と平行に延びる底辺12aと、該底辺12aの前端から一定の傾斜角でもって上方かつ後方側に延びる傾斜前辺(前縁)12bと、該傾斜前辺12bの上端から後方側に向かって底辺12aと平行に延びる上辺(上縁)12cと、底辺12aの後端から鉛直方向に延びる後辺12dとを備えている。
そして、このような一対の側板12の傾斜前辺12b同士が軌道40幅方向の中心線k上にて突き合わされることによって、該側板12の傾斜前辺12bの交差稜線が軌道40に対して所定のすくい角で傾斜したV字プラウ11が構成されている。なお、本実施形態においては、このすくい角は45°に設定されている。
押さえ翼13,13は、上記V字プラウ11の上辺(上縁)12cにそれぞれ一体に設けられており、より詳細には、各側板12の上辺12cから連続的に、それぞれ軌道40幅方向外方へ向けて湾曲して設けられている。そして、押さえ翼13における下方を向く面が、側板13の軌道40幅方向外方を向く面と滑らかに連なるとともに上方に凸状に湾曲する返し曲面13aとされている。
この押さえ翼13は、その返し曲面13aの頂部稜線13bが上記側板12の上辺(上縁)12cと平行に延びている。これによって返し曲面13aは、中心線k側から軌道40幅方向外方かつ後方に向かって延在するそれぞれ円筒面状をなしている。
また、この返し曲面13aの軌道40幅方向外方側に位置する外側縁部13cは、側板12の上辺12c及び返し曲面13aの頂部稜線13bと平行に中心線k側から軌道40幅方向外側後方に向かって延在している。さらに、押さえ翼13の頂部稜線13bに直交する断面視における外側縁部13cの接線が斜め下方を向くように、返し曲面13aの湾曲が形成されている。
なお、この押さえ翼13の軌道幅方向40外側後方に位置する後縁部(後縁)13dは、図3に示すように平面視にて、側板12の上辺12cから垂直に延び始めて湾曲しながら外側縁部13cに滑らかに連なる曲線状をなしている。
一対のすくいプレート14,14は V字プラウ11の両脇に配置されており、より詳細には、V字プラウ11の一対の側板12,12に沿って、かつ、これら側板12,12に一体化するように取り付けられている。このすくいプレート14,14は、後退するに従って漸次上方に向かって傾斜するすくい面14aと、すくい面14a後方に連なり、後方に向かって緩やかに下り勾配で傾斜する頂面14bとを備えている。
そして、フィン15は、押さえ翼13の後縁部13dから、それぞれ軌道40幅方向外側後方に向かって連続的に延びており、該軌道40幅方向外側後方に向かうに従って漸次下方に向かうように傾斜している。
また、このフィン15は、押さえ翼13の返し曲面13aと同様に上向きに凸の曲面状をなしており、該フィン15の曲面の頂部稜線15aは、図3に示す平面視にて押さえ翼13の返し曲面13aの頂部稜線13bから直線状に軌道幅40幅方向外側後方に延びている。
さらに、このフィン15の頂部稜線15aは、図5に示す側面視にて、軌道40と平行に延びる押さえ翼13の頂部稜線13bに対して下方に向かって傾斜しており、これによって、上述のようにフィン15全体が押さえ翼13の後縁部13dから斜め下方に向かって傾斜している。
なお、本実施形態においては、押さえ翼13の頂部稜線13bに対するフィン15の頂部稜線15aの傾斜角度θは、30°〜45°の範囲に設定されており、より好ましくは45°に設定されている。
次に第1実施形態に係るスノープラウ10を装着した高速鉄道車両30が走行する際の当該スノープラウ10の作用について説明する。
豪雪地帯の積雪中をスノープラウ10を装着した高速鉄道車両30が走行する際には、スノープラウ10の進行方向前端において、V字プラウ11が軌道40中心から雪をすくい上げるようにしての積雪を取り除く。さらに、このV字プラウ11に加えて一対のすくいプレート14によっても軌道40上が積雪がすくい上げられる。そして、このよういにすくい上げられた積雪の一部は、V字プラウ11の側板12に沿って両側の斜め上方に押し上げられて、側板12の上方において押さえ翼13の返し曲面13aの湾曲に沿って返されるようにして、高速鉄道車両30の両側下方に向かって排雪される。
一方、押さえ翼13によって下方に向かって返されることなく軌道40幅方向外側後方に押し流された雪は、押さえ翼13の後縁部13dに一体に設けられたフィン15によって案内されるようにして下方に向かって排雪される。これにより、排除した雪が高速鉄道車両30の後方に飛散することはなく、排雪が対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。
ここで、スノープラウ10を搭載しての走行中には、排雪時に押さえ翼13を上に持ち上げようとする力、即ち上下力が発生し、この上下力が大きい場合、高速鉄道車両30自体を上下に揺さぶるピッチングモーションが生じてしまう。また、このピッチングモーションは排雪走行時の排雪抵抗が大きいほど顕著となる。
この点、実施形態のスノープラウ10においては、フィン15が押さえ翼13に連続する上向きに凸の曲面状をなし、該フィン15の頂部稜線15aが押さえ翼13の頂部稜線13bから平面視にて直線状に延びているため、押さえ翼13に到達して外側後方に流れる雪はフィン15に向かって滑らかに流れるようにして最小限の抵抗で案内される。これにより、排雪走行時にフィン15に及ぶ抵抗を低減させてスノープラウ10全体として受ける排雪抵抗を低く抑え、上下力を低減させることが可能となる。
また、押さえ翼13の頂部稜線13bに対するフィン15の頂部稜線15aの傾斜角度が30°未満の場合、フィン15に及び排雪抵抗を小さくして上下力を低減することができるものの排除した雪が後方に飛散してしまう。一方、フィン15の頂部稜線15bの上記傾斜角度が45°を超える場合、雪の飛散を防止することができるものの、排雪の流れる向きが急激に下方に変わるためフィン15が受ける排雪抵抗及び上下力が大きくなってしまう。
この点、実施形態のスノープラウ10においては、フィン15の頂部稜線15bの上記傾斜角度θが30°〜45°の範囲に設定されているため、排雪抵抗及び上下力を低く抑えながら、後方への排雪の飛散を確実に防止することが可能となる。
さらに、V字プラウ11と一対のすくいプレート14,14の双方でもって積雪をすくい上げることによって、排雪を分散させることができるため、スノープラウ10全体として受ける上下力を効果的に低減させることが可能となる。
次に、本発明の高速鉄道車両用スノープラウの第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図6は第2の実施形態に係るスノープラウの側面図である。
図6に示す第2実施形態のスノープラウ20は、第1の実施形態のスノープラウ10と同様、高速鉄道車両30に装着されて該高速鉄道車両30の自力排雪走行を可能とするものである。
第2実施形態のスノープラウ20は、高速走行にも耐え得る強度を備えた例えばステンレス等の鋼材からなり、V字プラウ21と、押さえ翼23と、フィン25から概略構成されている。また、このスノープラウ20は軌道40の幅方向中央を境界として対象形状をなしている。
V字プラウ21は、一対の側板22からなり、該一対の側板22のそれぞれの前縁同士を車両進方向前方に向けて凸状をなすように突き合わせて一体化することによって構成されている。
この側板22は、それぞれ軌道40幅方向中央から軌道幅方向の外方かつ後方、即ち、軌道幅方向外側後方へ向かって斜めに延びる略三角形平板状をなしており、その延在方向に沿って軌道40と平行に延びる底辺22aと、該底辺22aの前端から一定の傾斜角でもって上方かつ後方側に延びる傾斜前辺(前縁)22bと、該傾斜前辺22bの上端から後方側に向かって緩やかな傾斜角度でもって延びて底辺22aの後端に接続される上辺(上縁)22cとを備えている。
そして、このような一対の側板22の傾斜前辺22b同士が軌道40幅方向の中央にて突き合わされることによって、該側板22の傾斜前辺22bの交差稜線が軌道40に対して所定のすくい角で傾斜したV字プラウ21が構成されている。なお、本実施形態においては、このすくい角は45°に設定されている。
押さえ翼23は、上記V字プラウ21の上辺(上縁)22cにそれぞれ一体に設けられており、より詳細には、一対の側板22の上辺22cから連続的に、それぞれ軌道40幅方向外方へ向けて湾曲して設けられている。そして、押さえ翼23における下方を向く面が、側板23の軌道40幅方向外方を向く面と滑らかに連なるとともに上方に凸状に湾曲する返し曲面23aとされている。
この押さえ翼23は、その返し曲面23aの頂部稜線23bが上記側板22の上辺(上縁)22cよりも緩やかな傾斜角度でもって、前方から後方に向かうに連れて漸次下方に向けて傾斜するように延びている。
また、この返し曲面23aの軌道40幅方向外方側に位置する外側縁部23cは、軌道40幅方向中央から軌道40幅方向外側後方に向かって延在している。さらに、押さえ翼23の頂部稜線23bに直交する断面視における外側縁部23cの接線が斜め下方を向くように、返し曲面23aの湾曲が形成されている。
なお、この押さえ翼23の軌道幅方向40外側後方に位置する後縁部(後縁)23dは、側板22の上辺22cの後端から延びて外側縁部23cに滑らかに連なる曲線状をなしている。
そして、フィン25は、押さえ翼23の後縁部23dから、それぞれ軌道40幅方向外側後方に向かって連続的に延びており、該軌道40幅方向外側後方に向かうに従って漸次下方に向かうように傾斜している。
また、このフィン25は、押さえ翼23の返し曲面23aと同様に上向きに凸の曲面状をなしており、該フィン25の曲面の頂部稜線25aは、図3に示す平面視にて押さえ翼23の返し曲面23aの頂部稜線23bから直線状に軌道幅40幅方向外側後方に延びている。
さらに、このフィン25の頂部稜線25aは、軌道40と平行に延びる押さえ翼23の頂部稜線23bに対して下方に向かって傾斜しており、これによって、上述のようにフィン15全体が押さえ翼23の後縁部23dから斜め下方に向かって傾斜している。
なお、本実施形態においては、押さえ翼23の頂部稜線23bに対するフィン25の頂部稜線15aの傾斜角度θは、30°〜45°の範囲に設定されており、より好ましくは45°に設定されている。
以上のような第2実施形態のスノープラウ20においても、第1実施形態と同様に、押さえ翼23によって下方に向かって返されることなく軌道40幅方向外側後方に押し流された雪が、押さえ翼23の後縁部23dに一体に設けられたフィン25によって案内されるようにして下方に向かって排雪される。これにより、排除した雪が高速鉄道車両30の後方に飛散することはなく、排雪が対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。
以上、本発明による高速鉄道車両用のスノープラウ10,20の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、第1実施形態のスノープラウにおいては、V字プラウ11の両側にすくいプレート14,14が設けられているが、必ずしも設けられていなくともよい。この場合であっても、V字プラウ11によって軌道40上の積雪を排除しつつ、フィン15によって積雪が後方に飛散するのを防止することができる。
なお、実施形態においてはフィン15,25が押さえ翼13,25と一体に設けられているが、フィン15,25が押さえ翼13,25に対して取り外し可能な構成であってもよい。
また、実施形態においてはすくい角が45°又は60°としたが、これに限定されることはなく、任意の角度に設定可能である。
本発明の一例によるスノープラウの寸法5分の1モデルを実施例(第2実施形態に記載のフィンを備えたスノープラウに対応)とするとともに、フィンを備えていないスノープラウの寸法5分の1モデルを比較例(実施形態に記載のスノープラウからフィンを取り除いたものに対応)として、上下力、排雪抵抗力、飛雪分布の測定試験を行った。
(走行試験装置)
図7及び図8に走行試験装置を示す。この走行試験装置は、図7に示すように、水平方向に延びるトラス式ガイドレールを備えており、該トラス式ガイドレール上を走行台車が巻き取りドラムへ接続されたワイヤーロープによって牽引されることで走行するものである。この巻き取りドラムは油圧ユニットにより駆動される。 走行台車の下部にはロードセルを介して前方側を臨むようにスノープラウ(寸法5分の1モデル)が取り付けられており、走行台車が走行する際にスノープラウがスノーベッド(縮尺5分の1)上の雪を排雪するように構成されている。
さらに、該走行試験装置の側方には、図8に示すように、L字を描くようにして水平方向に5つ、鉛直方向に5つの計10個の受雪箱が設置されている。水平方向に並設された受雪箱は、軌道側方の貯雪溝及び保守用通路に相当する位置に90mmの間隔でスラブから順次離間するように設置されている。また、鉛直方向に並設された受雪箱は、軌道側方の側壁に相当する位置に、上方に120mm間隔で積み上げられている。
(実施例1〜4スノープラウ)
実施例のスノープラウとして、上記第2実施形態に対応する寸法5分の1モデルのフィン付きのスノープラウを作製した。図9(a)に示すように、この実施例のスノープラウにおけるフィンは、押さえ翼の後縁部から突き出し長さLだけ延びており、フィンの後縁部と押さえ翼の後縁部とが平行になるように形成した。また、押さえ翼の頂部稜線に対してフィンの頂部稜線が折れ曲がり角度θだけ傾斜するように構成した。
そして、上記突き出し長さLと角度θをパラメータとして、計4つの実施例のスノープラウを作成した。具体的には、実施例1(θ=45°、L=30mm、)、実施例2(θ=25°、L=30mm)、実施例3(θ=45°、L=15mm、)、実施例2(θ=45°、L=15mm)の4つのスノープラウを作成した。
(比較例のスノープラウ)
比較例例2のスノープラウとして、寸法5分の1モデルのフィン無しのスノープラウを作製した。この実施例のスノープラウは、図9(b)に示すように、実施例のスノープラウからフィンを取り除いたものであり、フィンの有無を除いては実施例のスノープラウと同様の構成のものと採用した。
(上下力及び排雪抵抗力の測定及び結果)
実施例1〜4のスノープラウについて、走行速度20m/sで走行させた際のスノーベッド上の雪を排雪する際に生じる排雪抵抗(スノープラウの進行方向の逆側に生じる力)及び上下力(スノープラウを上方に持ち上げようとする力)をロードセルによって測定した。また、比較例のスノープラウについて、様々な速度で走行させた際の排雪抵抗及び上下力を実施例と同様の方法で測定した。その結果を図10に示した。
図10からフィンが設けられた実施例1〜4においては、上下力及び排雪抵抗の値がフィンが設けられていない比較例と同等かもしくは低い値を示していることがわかる。即ち、フィンを設けたことによって上下力及び排雪抵抗を低く抑えることができることがわかった。また、特に、θ=45°、L=30mmとした実施例1においては、比較例に比べて上下力が大きく低下した。
(飛雪分布の測定及び結果)
実施例1〜4及び比較例のスノープラウについて、走行台車を20m/sで走行させた際の飛雪分布を測定した。具体的には、走行台車を走行させた際に各位置の受雪箱が収容した飛雪量を測定し、該飛雪量からそれぞれの受雪箱の飛雪の補足率を算出し、その結果を図11に示した。図11(a)は水平方向の飛雪分布についてのグラフ、図11(b)は鉛直方向の飛雪分布についてのグラフである。
図11(a)(b)を見ると、フィンを設けた実施例においては特に鉛直方向の低い位置に飛雪が集中している。一方、フィンを設けていない比較例においては、鉛直方向の高い位置まで飛雪が達しており飛雪が散逸している。したがって、フィンを設けたことにより、飛雪の散逸を効果的に抑制できることがわかった。さらに、θ=45°、L=30mmとした実施例1においては、スラブからの距離が0mm〜90mmの位置の受雪箱に飛雪が集中している。この受雪箱の位置は軌道側方に設けられた貯雪溝の位置に対応しているため、実施例1の寸法のスノープラウを採用すれば、積極的に排雪を貯雪溝に導入できることがわかった。
以上の試験から、実施例のように押さえ翼の後縁にフィンを設けることで、排雪抵抗力を低く抑えながらも上下力を低減させ、さらに飛雪の散逸を防止することができることが判明した。
10 スノープラウ
11 V字プラウ
12 側板
12a 底辺
12b 傾斜前辺
12c 上辺(上縁)
12d 後辺
13 押さえ翼
13a 返し曲面
13b 頂部稜線
13c 外側縁部
13d 後縁部(後縁)
14 すくいプレート
14a すくい面
14b 頂面
15 フィン
15a 頂部稜線
20 スノープラウ
21 V字プラウ
22 側板
22a 底辺
22b 傾斜前辺
22c 上辺(上縁)
23 押さえ翼
23a 返し曲面
23b 頂部稜線
23c 外側縁部
23d 後縁部(後縁)
25 フィン
25a 頂部稜線

Claims (4)

  1. 高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、
    前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向の外側後方へ向かって延びる一対の側板を有し、前記一対の側板前縁の交差稜線が前記軌道に対して所定のすくい角で傾斜するV字プラウと、
    該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向の外側へ向かって連続的に設けられ、
    上向きに凸の曲面状をなして該曲面の頂部稜線が前記V字プラウ上縁に沿って延びる押さえ翼と、
    該押さえ翼後縁から連続的に設けられ、前記外側後方に向かうに連れて下方に向かって傾斜するフィンとを備えることを特徴とする高速鉄道車両用スノープラウ。
  2. 前記フィンが前記押さえ翼に連続する上向きに凸の曲面状をなし、
    該フィンの曲面の頂部稜線が、平面視にて前記押さえ翼の頂部稜線から直線状に延びていることを特徴とする請求項1に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。
  3. 前記押さえ翼の頂部稜線に対する前記フィンの頂部稜線の傾斜角度が、30°〜45°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。
  4. 前記V字プラウの両側にそれぞれ設けられ、前縁から後方へ向かう上向きのすくい面を有し、積雪を前記押さえ翼の後縁に案内する一対のすくいプレートが設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。
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