JP2010201984A - 高速鉄道車両用スノープラウ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スノープラウ10において、軌道40間の中心線からそれぞれ軌道40幅方向外側後方へ向かう一対の側板12を有するV字プラウ11と、該V字プラウ11上縁からそれぞれ軌道40幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上に凸の返し曲面13aを有する押さえ翼13と、該押さえ翼13の後縁部13dから連続的に設けられ、外側後方に向かうに連れて下方に向かって傾斜するフィン15とを備えるように構成する。
【選択図】図1
Description
このようなスノープラウを装着して高速鉄道車両が走行する際には、軌道上の積雪をV字に沿って軌道と平行に両側後方へ押し流すことによって、高速鉄道車両の自力排雪走行を可能とするとともに、側板の湾曲によって雪が飛散するのを防止している。
図1は、実施形態のスノープラウを装着した高速鉄道車両の側面図、図2は実施形態に係るスノープラウの斜視図、図3は実施形態に係るスノープラウの平面図、第1の実施形態に係るスノープラウの正面図、図5は実施形態に係るスノープラウの側面図である。
また、この返し曲面13aの軌道40幅方向外方側に位置する外側縁部13cは、側板12の上辺12c及び返し曲面13aの頂部稜線13bと平行に中心線k側から軌道40幅方向外側後方に向かって延在している。さらに、押さえ翼13の頂部稜線13bに直交する断面視における外側縁部13cの接線が斜め下方を向くように、返し曲面13aの湾曲が形成されている。
なお、この押さえ翼13の軌道幅方向40外側後方に位置する後縁部(後縁)13dは、図3に示すように平面視にて、側板12の上辺12cから垂直に延び始めて湾曲しながら外側縁部13cに滑らかに連なる曲線状をなしている。
また、このフィン15は、押さえ翼13の返し曲面13aと同様に上向きに凸の曲面状をなしており、該フィン15の曲面の頂部稜線15aは、図3に示す平面視にて押さえ翼13の返し曲面13aの頂部稜線13bから直線状に軌道幅40幅方向外側後方に延びている。
なお、本実施形態においては、押さえ翼13の頂部稜線13bに対するフィン15の頂部稜線15aの傾斜角度θは、30°〜45°の範囲に設定されており、より好ましくは45°に設定されている。
豪雪地帯の積雪中をスノープラウ10を装着した高速鉄道車両30が走行する際には、スノープラウ10の進行方向前端において、V字プラウ11が軌道40中心から雪をすくい上げるようにしての積雪を取り除く。さらに、このV字プラウ11に加えて一対のすくいプレート14によっても軌道40上が積雪がすくい上げられる。そして、このよういにすくい上げられた積雪の一部は、V字プラウ11の側板12に沿って両側の斜め上方に押し上げられて、側板12の上方において押さえ翼13の返し曲面13aの湾曲に沿って返されるようにして、高速鉄道車両30の両側下方に向かって排雪される。
この点、実施形態のスノープラウ10においては、フィン15の頂部稜線15bの上記傾斜角度θが30°〜45°の範囲に設定されているため、排雪抵抗及び上下力を低く抑えながら、後方への排雪の飛散を確実に防止することが可能となる。
また、この返し曲面23aの軌道40幅方向外方側に位置する外側縁部23cは、軌道40幅方向中央から軌道40幅方向外側後方に向かって延在している。さらに、押さえ翼23の頂部稜線23bに直交する断面視における外側縁部23cの接線が斜め下方を向くように、返し曲面23aの湾曲が形成されている。
なお、この押さえ翼23の軌道幅方向40外側後方に位置する後縁部(後縁)23dは、側板22の上辺22cの後端から延びて外側縁部23cに滑らかに連なる曲線状をなしている。
また、このフィン25は、押さえ翼23の返し曲面23aと同様に上向きに凸の曲面状をなしており、該フィン25の曲面の頂部稜線25aは、図3に示す平面視にて押さえ翼23の返し曲面23aの頂部稜線23bから直線状に軌道幅40幅方向外側後方に延びている。
なお、本実施形態においては、押さえ翼23の頂部稜線23bに対するフィン25の頂部稜線15aの傾斜角度θは、30°〜45°の範囲に設定されており、より好ましくは45°に設定されている。
なお、実施形態においてはフィン15,25が押さえ翼13,25と一体に設けられているが、フィン15,25が押さえ翼13,25に対して取り外し可能な構成であってもよい。
また、実施形態においてはすくい角が45°又は60°としたが、これに限定されることはなく、任意の角度に設定可能である。
図7及び図8に走行試験装置を示す。この走行試験装置は、図7に示すように、水平方向に延びるトラス式ガイドレールを備えており、該トラス式ガイドレール上を走行台車が巻き取りドラムへ接続されたワイヤーロープによって牽引されることで走行するものである。この巻き取りドラムは油圧ユニットにより駆動される。 走行台車の下部にはロードセルを介して前方側を臨むようにスノープラウ(寸法5分の1モデル)が取り付けられており、走行台車が走行する際にスノープラウがスノーベッド(縮尺5分の1)上の雪を排雪するように構成されている。
さらに、該走行試験装置の側方には、図8に示すように、L字を描くようにして水平方向に5つ、鉛直方向に5つの計10個の受雪箱が設置されている。水平方向に並設された受雪箱は、軌道側方の貯雪溝及び保守用通路に相当する位置に90mmの間隔でスラブから順次離間するように設置されている。また、鉛直方向に並設された受雪箱は、軌道側方の側壁に相当する位置に、上方に120mm間隔で積み上げられている。
実施例のスノープラウとして、上記第2実施形態に対応する寸法5分の1モデルのフィン付きのスノープラウを作製した。図9(a)に示すように、この実施例のスノープラウにおけるフィンは、押さえ翼の後縁部から突き出し長さLだけ延びており、フィンの後縁部と押さえ翼の後縁部とが平行になるように形成した。また、押さえ翼の頂部稜線に対してフィンの頂部稜線が折れ曲がり角度θだけ傾斜するように構成した。
そして、上記突き出し長さLと角度θをパラメータとして、計4つの実施例のスノープラウを作成した。具体的には、実施例1(θ=45°、L=30mm、)、実施例2(θ=25°、L=30mm)、実施例3(θ=45°、L=15mm、)、実施例2(θ=45°、L=15mm)の4つのスノープラウを作成した。
比較例例2のスノープラウとして、寸法5分の1モデルのフィン無しのスノープラウを作製した。この実施例のスノープラウは、図9(b)に示すように、実施例のスノープラウからフィンを取り除いたものであり、フィンの有無を除いては実施例のスノープラウと同様の構成のものと採用した。
実施例1〜4のスノープラウについて、走行速度20m/sで走行させた際のスノーベッド上の雪を排雪する際に生じる排雪抵抗(スノープラウの進行方向の逆側に生じる力)及び上下力(スノープラウを上方に持ち上げようとする力)をロードセルによって測定した。また、比較例のスノープラウについて、様々な速度で走行させた際の排雪抵抗及び上下力を実施例と同様の方法で測定した。その結果を図10に示した。
図10からフィンが設けられた実施例1〜4においては、上下力及び排雪抵抗の値がフィンが設けられていない比較例と同等かもしくは低い値を示していることがわかる。即ち、フィンを設けたことによって上下力及び排雪抵抗を低く抑えることができることがわかった。また、特に、θ=45°、L=30mmとした実施例1においては、比較例に比べて上下力が大きく低下した。
実施例1〜4及び比較例のスノープラウについて、走行台車を20m/sで走行させた際の飛雪分布を測定した。具体的には、走行台車を走行させた際に各位置の受雪箱が収容した飛雪量を測定し、該飛雪量からそれぞれの受雪箱の飛雪の補足率を算出し、その結果を図11に示した。図11(a)は水平方向の飛雪分布についてのグラフ、図11(b)は鉛直方向の飛雪分布についてのグラフである。
図11(a)(b)を見ると、フィンを設けた実施例においては特に鉛直方向の低い位置に飛雪が集中している。一方、フィンを設けていない比較例においては、鉛直方向の高い位置まで飛雪が達しており飛雪が散逸している。したがって、フィンを設けたことにより、飛雪の散逸を効果的に抑制できることがわかった。さらに、θ=45°、L=30mmとした実施例1においては、スラブからの距離が0mm〜90mmの位置の受雪箱に飛雪が集中している。この受雪箱の位置は軌道側方に設けられた貯雪溝の位置に対応しているため、実施例1の寸法のスノープラウを採用すれば、積極的に排雪を貯雪溝に導入できることがわかった。
11 V字プラウ
12 側板
12a 底辺
12b 傾斜前辺
12c 上辺(上縁)
12d 後辺
13 押さえ翼
13a 返し曲面
13b 頂部稜線
13c 外側縁部
13d 後縁部(後縁)
14 すくいプレート
14a すくい面
14b 頂面
15 フィン
15a 頂部稜線
20 スノープラウ
21 V字プラウ
22 側板
22a 底辺
22b 傾斜前辺
22c 上辺(上縁)
23 押さえ翼
23a 返し曲面
23b 頂部稜線
23c 外側縁部
23d 後縁部(後縁)
25 フィン
25a 頂部稜線
Claims (4)
- 高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、
前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向の外側後方へ向かって延びる一対の側板を有し、前記一対の側板前縁の交差稜線が前記軌道に対して所定のすくい角で傾斜するV字プラウと、
該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向の外側へ向かって連続的に設けられ、
上向きに凸の曲面状をなして該曲面の頂部稜線が前記V字プラウ上縁に沿って延びる押さえ翼と、
該押さえ翼後縁から連続的に設けられ、前記外側後方に向かうに連れて下方に向かって傾斜するフィンとを備えることを特徴とする高速鉄道車両用スノープラウ。 - 前記フィンが前記押さえ翼に連続する上向きに凸の曲面状をなし、
該フィンの曲面の頂部稜線が、平面視にて前記押さえ翼の頂部稜線から直線状に延びていることを特徴とする請求項1に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。 - 前記押さえ翼の頂部稜線に対する前記フィンの頂部稜線の傾斜角度が、30°〜45°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。
- 前記V字プラウの両側にそれぞれ設けられ、前縁から後方へ向かう上向きのすくい面を有し、積雪を前記押さえ翼の後縁に案内する一対のすくいプレートが設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。
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