JP2010201916A - 係止対象物固定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】書類等を綴じる綴じ具をファイル本体の一方側からの作業のみで着脱自在に固定することを可能とするファイルのための綴じ具固定装置、及び成形用金型を提供する。
【解決手段】綴じ具固定装置であって、ファイル本体の内側に配置される固定装置本体部と、固定装置基部と相対的に移動可能な可動部材と、固定用孔部及びファイル側孔部に対して順に挿入される挿入部が、固定装置基部と可動部材とにそれぞれ設けられることで対をなす一対の挿入部と、一対の挿入部の少なくとも何れかに設けられる係合部と、固定装置本体部と可動部材との相対的な移動を制限可能なロック部材と、を備え、ロック部材は、ユーザ操作により、可動部材と固定装置基部の相対的な移動を制限する。
【選択図】図1

Description

本発明は、係止対象物を被係止物上に固定するための係止対象物固定装置に関する。または、本発明は、書類等を綴じる綴じ具をファイル本体上に固定するための綴じ具固定装置に関する。
書類等を綴じるファイルは、企業や家庭等の様々な場面で広く使用されている。一般に、このファイルは、その表紙体(ファイル本体)の材質は紙や樹脂等であるが、一方で書類等を綴じる綴じ具には、金属や比較的強度の高い樹脂等が使用されることが多い。したがって、ファイルを使用していくことで生じる破損等に対応して、表紙体や綴じ具の部品交換の要求があり、またファイルを廃棄する場合に、環境保全の観点から材質の異なるファイル本体と綴じ具とを分別したいという要求もある。また、広く機械分野等においては、様々な物を特定の部位に脱着可能に固定したいというニーズがある。
これらの要求に応えるべく、書類等を綴じるファイルにおいて、綴じ具とファイル本体とを分離可能とする技術が公開されている(例えば、特許文献1を参照。)。この技術においては、ファイル本体の背表紙部に2箇所の係合孔を設け、この係合孔と係合する爪部分を有した取付手段によって、綴じ具をファイル本体に挟持した状態で、該爪部分とファイル本体の係合孔とを係合させることで、綴じ具の固定が行われる。また、綴じ具をファイル本体から外す場合は、この爪部分と係合孔との係合が解除される。
また、綴じ具のファイル本体への固定方法の別の態様として、例えば、特許文献2にも開示されている。この技術では、ファイル本体に、固定されるべき綴じ具を配置した状態で、ファイル本体の表側(外側)から固定用の固定装置が取り付けられる。この取り付け装置は、弾性力を作用させる連結部によって連結された一対の固定用の係合部を有しており、綴じ具を固定する場合には、ユーザが係合部間を弾性力に抗して広げた状態で、係合部をファイル本体及び綴じ具に当てる。そして、ユーザが手を離すことで、弾性力によって、係合部と綴じ具等の間に固定のための固定力が発生する。なお、綴じ具をファイル本体から外すときは、再び、ユーザが弾性力に抗して係合部間を広げればよい。
特開2000−153688号公報 特開2004−338261号公報
書類等を綴じる綴じ具をファイル本体に固定する場合、ユーザの利便性を考慮するとその着脱のための操作をファイル本体の内側か外側の何れか一方側での作業で綴じ具の固定が完結するのが好ましい。
また、ユーザのファイル本体の一方側からのアクセスによって綴じ具の着脱をしようとすると、該ファイル本体の他方側からの着脱作業に対するサポートがないため、従来技術においては綴じ具を固定するための固定装置の構成を簡潔なものとすることで、ユーザの作業性を担保せざるを得ない。その結果、固定装置による綴じ具の固定力が十分とは考えられない構成が、従来技術には散見される。すなわち、従来の構成は、書類等を綴じた状態で書庫等に立てかけられた場合に、書類等の重さにより固定装置がファイル本体から外れてしまったり固定装置が破損してしまったりし、また、書類等が綴じられた状態でテー
ブル等の高さから落下したときに綴じ具の固定部分に作用する衝撃力に十分に耐えられなかったりするため、実用化に至っていなかった。
本発明では、上記した問題に鑑み、書類等を綴じる綴じ具をファイル本体の一方側からの作業のみで着脱自在に固定することを可能とするファイルのための綴じ具固定装置、及び成形用金型を提供することを目的とする。
また広く機械分野において、様々な係止対象物を被係止物に着脱自在に固定する場合、ユーザの利便性を考慮するとその着脱のための操作を、被係止物を挟んだ両側のうち一方側から、例えば、被係止物に対して係止対象物が設置される側、すなわち、被係止物上から行えるのが好ましい。例えば、中空の壁面を構成する石膏ボード等にインターフォンや絵画フレーム等を着脱可能に取り付けたい場合、壁面の裏側からユーザにこれら係止対象物を固定のための作業を行わせるのは困難だからである。
しかし、従来提案されてきた、一方の側(上記例では壁の表側)からのみのアクセス(操作)で係止対象物を被係止物に着脱自在に固定するための機構は、十分な係合力が得られなかったり、厳密に正確な(設計通りの)状態で係止を行わないと途端に係合力が弱まり固定機構が脱落してしまったりすることが指摘されていた。この問題は、このような機構が一方の側のみ係止部材の挿入する構成となってしまうために、当該係止部材の被係止先が被係止物自体になってしまうために発生する。すなわち、事実上、係止部材のみによって係合状態を保つように設計する必要があるため、例えば裏当て部などの別パーツと係合して係止対象物と被係止物とを挟み込む機構と比べて圧倒的に係合力が弱くなる。また、このような機構において係合力が十分に得られるように設計しても、係止部材が想定通りの位置に配置されないと想定通りの係合力が得られず、係止部材に多大な負荷がかかり、係合状態が不用意に解除されてしまうこともあった。そのため、例えば上記したようなファイル分野における綴じ具をファイル本体に着脱自在に固定する機構としては、片側からのみのアクセスで係合が完結する機構がいくつか提案されてはきているが、それが実用化に至っていないのが実情である。
本発明では、上記した問題に鑑み、係止対象物を、被係止物を挟んだ両側のうち一方側からの作業のみで着脱自在に固定することを可能とする係止対象物固定装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記した課題を解決するために、綴じ具とファイル本体とを固定するために設けられたファイル本体側のファイル側孔部と綴じ具側の固定用孔部とに挿入される挿入部を設け、各挿入部の綴じ具等の固定に関する移動をロック部材で制限する。このような構成を採用することで、ユーザの操作性の確保と綴じ具等の堅強な固定が可能となる。
詳細には、本発明は、書類等を綴じる綴じ具に設けられた固定用孔部とファイル本体に設けられたファイル側孔部とを用いて、綴じ具とファイル本体とを固定する綴じ具固定装置であって、ファイル本体に配置される固定装置本体部と、固定装置本体部に設けられ、固定用孔部及びファイル側孔部が重なって形成された連通孔に挿入される挿入部と、連通孔に挿入部が挿入された際にファイル本体及び綴じ具のうち挿入部の挿入方向奥側の部材を被係合部材とし、挿入部の挿入状態で固定装置本体部が所定係合移動及び所定係合解除移動を行うことで被係合部材に対して係合及び係合の解除が可能である、挿入部に設けられた係合部と、固定装置本体部の所定係合解除移動を制限可能なロック部材と、を備える。そして、綴じ具固定装置では、係合部は、固定装置本体部の所定係合移動により係合位置に至ると被係合部材との係合状態を形成し、固定装置本体部の所定係合解除移動により係合解除位置に至ると被係合部材との係合状態を解除し、固定装置本体部の所定係合移動
により係合部が係合位置に至った状態において、ロック部材が所定の移動制限位置に至ることで、固定装置本体部の所定係合解除移動が制限される。
本発明に係る綴じ具固定装置では、ファイル本体に設けられたファイル側孔部と、綴じ具側に設けられた固定用孔部とが連通して形成された連通孔に、挿入部が挿入される。そして、挿入された状態において、挿入部に設けられた係合部が、ファイル本体と綴じ具のうち、挿入部の挿入方向において奥側に位置する一方(本発明に係る被係合部材)に対して、係合およびその解除が可能な状態に移動させられる。本発明においては、前者の係合部の移動を所定係合移動と称し、後者の係合部の移動を所定係合解除移動と称する。これらの移動に関する方向は、必ずしも一直線上を往復する方向である必要はないが、ユーザの係合部の操作に関する利便性を考慮すると、所定係合移動と所定係合解除移動とでは一直線上の互いに反対の方向であることが好ましい。
そして、この係合部が被係合部材に対して係合状態となると、その係合部分と綴じ具固定装置の固定装置本体部とによって綴じ具とファイル本体が固定された状態になり、該係合状態が解除された係合解除状態となると綴じ具とファイル本体との固定状態が解除されることになる。その結果、綴じ具のファイル本体への着脱が自在となる。なお、この連通孔の形成について、ファイル側孔部と固定用孔部とは形状が異なっていてもよく、要は、挿入部が被固定部材側の孔部を通り、係合部による被係合部材との係合が可能なように両孔部が連なればよい。
ここで、上記綴じ具固定装置での連通孔へのアクセスは、ファイル本体の内側と外側の何れからでも可能である。すなわち、ファイル本体の内側に配置された綴じ具のさらに内側に添設される場合には、挿入部が固定用孔部、ファイル側孔部の順に挿入され、挿入部に設けられた係合部が被係合部材としてのファイル本体と係合する。ファイル外側に添設される場合には、挿入部がファイル側孔部、固定用孔部の順に挿入され、挿入部に設けられた係合部が被係合部材としての綴じ具と係合する。そして、このような係合部と被係合部材との係合状態が形成された状態において、ロック部材の制限移動位置への移動によって係合部の所定係合解除移動が制限されることにより、綴じ具とファイル本体との固定状態がより確実に維持される。
このように、上記綴じ具固定装置では、挿入部の連通孔への挿入とロック部材の移動制限位置への移動がファイル本体の一方側で行われるので、ユーザの操作性は格段と向上するとともに、ロック部材による固定装置本体部の移動制限によりより堅強な綴じ具とファイル本体の固定が実現される。なお、より好ましくは、連通孔へのアクセス等は、綴じ具が設置される側、すなわちファイル本体の内側から行う形態を採用すべきであろう。これは、ファイル本体の背表紙部分には、見出し用のカバー(通常は、見出しユーザから可視状態となるように透明な樹脂カバー等)が設けられていることが多く、そのためファイル本体の外側からユーザに綴じ具着脱のための作業を行わせるのは困難である場合が多いからである。
なお、係合部は、被係合部材のいずれの部分に対しても係合を行うように設計してもよい。例えば綴じ具固定装置がファイル内側からのアクセスによって固定を行う機構である場合、ファイル側孔部が貫通孔である場合には、挿入部が綴じ具側の孔部、ファイル側孔部の順に挿入され、係合部がファイル本体の外側に至った状態で該ファイル本体と係合するように設計できる。また、挿入部がファイル側孔部に挿入されている状態において、該ファイル側孔部の途中部分において係合部がファイル本体と係合するようにしてもよい。要約すると、係合部の被係合部材への係合は、挿入部の挿入がファイル本体の一方の側から行われるのが肝要であり、被係合部材との係合箇所は綴じ具がファイル本体に固定される限り、何れの箇所であってもよい。したがって、被係合部材側の孔部は貫通孔でなくて
もよく、例えば、窪み部と当該窪みに連通して設けられる前記係合部との被係合空間とを備えたファイル側孔部を備えたファイル本体に適用することもできる。
ここで上記綴じ具固定装置において、固定装置本体部は、固定装置基部と、当該固定装置基部に相対的に移動可能な可動部材とを有するとともに、固定装置基部と該可動部材とが相対的に移動することで、所定係合移動と所定係合解除移動が行われるように構成されてもよい。このとき、係合部は、可動部材と固定装置基部の所定係合移動により係合位置に至ると被係合部材との係合状態を形成し、可動部材と固定装置基部の所定移動係合移動とは逆方向の所定係合解除移動により係合解除位置に至ると被係合部材との係合状態を解除する。そして、可動部材と固定装置基部の所定係合移動により係合部が係合位置に至った状態において、ロック部材が所定の移動制限位置に至ることで、可動部材と固定装置基部の所定係合解除移動が制限される。
すなわち、係合部と被係合部材との係合状態およびその解除を成立させるために、可動部材は、係合位置と係合解除位置との間を固定装置基部に対して相対的に移動され、この移動が上記所定係合移動および所定係合解除移動を形成する。本明細所においてはこの可動部材による移動を「相対的移動」とも言う。そして、綴じ具とファイル本体とを固定したいユーザは、ファイル本体の一方側から、綴じ具固定装置の挿入部をファイル側孔部と固定用孔部に挿入させ、更に上記相対的移動のうち所定係合移動を行えばよく、ユーザに課される作業は極めて簡潔となり、且つロック部材による移動制限の効果も相まって係合部による強固な綴じ具の固定が実現される。
ここで、挿入部の構成について、一つの連通孔に一対の挿入部が挿入されるような構成としてもよい。一対の挿入部のそれぞれに係合部が設けられることで、より堅強な綴じ具とファイル本体の固定が可能となる。このとき、一対の挿入部を構成する一の挿入部が固定装置基部に設けられ、他方の挿入部が該固定装置基部と相対的に移動可能な可動部材に設けられることで、ユーザは可動部材の移動操作を行い、それにより係合部の係合状態の形成およびその解除を行うことが可能である。また、一対の挿入部は、固定装置基部及び可動部材それぞれに付されていてもよく、一方にのみ付されていてもよい。また、固定装置基部に対して三つ以上の挿入部を設け、そのうちの任意の一組を一対の挿入部と規定してもよい。
このような一対の挿入部を有する綴じ具固定装置の態様の一例として、以下に示す綴じ具固定装置が挙げられる。それは、書類等を綴じる綴じ具に設けられた固定用孔部とファイル本体に設けられたファイル側孔部とを用いて、該綴じ具を該ファイル本体上に固定するための綴じ具固定装置であって、ファイル本体の内側に配置される、固定装置基部と、当該基部に相対的に移動可能な可動部材とを備えた固定装置本体部と、固定装置本体部に設けられた、ファイル本体の内側から、固定用孔部及びファイル側孔部に対して順に挿入される一対の挿入部と、一対の挿入部の少なくとも何れかに設けられ、ファイル本体に対する係合および該係合の解除が可能な係合部と、固定装置基部と可動部材との相対的な移動を制限可能なロック部材と、を備える。そして、一対の挿入部は、ユーザ操作により可動部材と固定装置基部とが相対的に移動されると各挿入部がファイル側孔部内に当接し、係合部は、ユーザ操作によって、可動部材と固定装置基部が相対的な移動により係合位置に至るとファイル本体への係合状態を形成し、該可動部材と該固定装置基部が該係合位置に至る移動とは逆方向の相対的な移動により係合解除位置に至ると該ファイル本体との係合状態を解除し、ロック部材は、可動部材と固定装置基部が、相対的な移動により係合位置に至った状態において、ユーザ操作により、ファイル本体の内側から所定の移動制限位置に至ることで、該可動部材と該固定装置基部の相対的な移動を制限する。
また、ロック部材の一例として、次の形態が挙げられる。例えば、ロック部材は、可動
部材と固定装置基部のうち少なくとも一方に接続され、且つその接続された可動部材又は固定装置基部に対して相対移動が可能であって、可動部材と固定装置基部の所定係合移動により係合部が係合位置に至ったとき、可動部材と固定装置本体部との間に所定の移動制限位置に相当する間隙が形成され、ロック部材が相対移動によりその間隙を塞ぐことで可動部材と固定装置基部の所定係合解除移動が制限されるようにしてもよい。またロック部材の可動部材又は固定装置基部に対する相対移動について、ロック部材を回転移動可能となるように接続してもよい。すなわち、ロック部材は、可動部材と固定装置基部のうち少なくとも一方にヒンジ接続部を介して接続され、且つ該接続された該可動部材又は該固定装置基部に対して該ヒンジ接続部による回転移動が可能であって、可動部材と固定装置基部の所定係合移動により係合部が係合位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体部との間に所定の移動制限位置に相当する間隙が形成され、ロック部材が回転移動により該間隙を塞ぐことで該可動部材と該固定装置基部の所定係合解除移動が制限されるようにしてもよい。更にそれ以外の形態として、直線的な相対的な移動等が可能な状態に可動部材に連結されているロック部材の形態も採用可能である。更には、ロック部材を、可動部材とは切り離し、独立した部材として構成してもよい。このような場合でも、独立したロック部材は、ファイル本体の一方側から上記間隙に至りそこを塞ぐように設定される。
このように係合状態において固定装置基部と可動部材との間に生じる間隙にロック部材がそこを塞ぐようにすれば、ロック部材を当該間隙に移動させるだけで両部材が相対移動、すなわち上記所定係合解除移動ができないようにでき、これにより係合状態を保持することが可能となる。すなわち、例えば固定装置基部と可動部材とをねじ止めしたり接着剤で止めたりするといった作業が必要なく、両部材を係合位置に相対移動させて上記間隙を形成させ、当該間隙にロック部材を嵌合させるという作業を行うだけでよいという、着脱作業の極めて良好な固定装置を提供することができる。
また、ロック部材を固定装置基部及び/又は可動部材と係合解除状態においても接続している構成にすれば、ロック部材が紛失してしまったり、当該固定装置用のロック部材を探す必要がない。本固定装置は、主として、ファイルにおけるファイル本体と綴じ具との着脱のために用いられるため、ユーザは、ファイルを購入してから長時間たった後に着脱を行うこととなる。また、一旦ファイル本体と綴じ具を分別した後、しばらくたってから(例えば交換用のファイル本体を入手してから)着脱作業を行うといったこともある。このような場合に、ロック部材が固定装置から分離可能であると、綴じ具を再度ファイル本体に取り付ける作業を行う際にロック部材が見つからず、取り付け作業が完了しないこともある。上記のように構成すればこのような問題がなくなり、いつでも確実に着脱作業を行うことが可能となる。
固定装置基部と可動部材との相対移動による係合状態において生じる間隙にロック部材を塞ぐように位置させて両者の相対位置を保持する機構であるため、両者の相対位置関係は極めて確実に保持される。例えばねじ止め等して両部材の相対的な移動を制限する場合、両者を強力にねじ止めしてもがたついてしまう場合もあり得る。当然、ねじが緩んでしまえばがたつきが非常に大きなものとなる。一方、本構成のように、書類等が綴じられる綴じ具側(ファイル内側)やファイル外側のうち一方側からのアクセスのみによってファイル本体と綴じ具とを固定する場合には、書類等の重さによって係合部にファイル本体との係合を解除しようとする力が働くため、係合部が壊れやすかったり、係合部がファイル側孔部等から抜けやすくなったりする場合がある。そして、そのため、従来の構成の実用化が阻まれ、特に以上のようながたつきがあるとこのような問題が極めて深刻なものとなってしまっていた。本構成によれば、ロック部材が係合部を係合状態から係合解除状態へ相対移動(所定係合解除移動)することを阻止するいわば邪魔部材となり、この相対移動の規制を極めて高精度に行うことができるため、ファイル内側やその外側のうち一方側からのアクセスのみによる綴じ具の着脱作業を行う固定機構の実用化に寄与している。
ここで、ロック部材は、相対移動によって間隙を塞がない場合に該間隙の外部に、固定装置基部及び可動部材を固定している際には外部に露出していない部分が露出した状態になるように構成され、これをもって可動部材と固定装置基部の所定係合解除移動が制限されていないことをユーザへ表示するようにしてもよい。これによれば、ロック部材が間隙の外部に露出していることがユーザに認識可能であるため、可動部材と固定装置本体部の相対的な移動である所定係合解除移動が制限されているか否かをユーザに容易に認識させることが可能である。そのため、ユーザは着脱作業において、ロック部材を上記間隙に確実に導くことが期待でき、着脱作業をユーザが行うにもかかわらず固定装置によるファイル本体と綴じ具との確実な挟み込みを実現できる。特に、本固定装置のようにファイルの一方の側からのみのアクセスによって着脱を行う機構においては、上記したように係合部がファイル側孔部等から抜けやすいという問題があるため、固定装置基部と可動部材とが確実に係合位置に配置されていないと固定装置によるファイル本体と綴じ具との保持力は期待できず、書類等が綴じられた綴じ具がファイル本体から脱落してしまい書類等がばらまかれてしまったり、その際に固定装置(特に係合部)が破損してしまい使用不能になってしまったりするという問題を引き起こしかねない。本構成を採用すれば、このような問題を確実に防止できる。
また、ロック部材は、ユーザが回転移動をするための操作板部であって、ヒンジ接続部の回転軸を中心に回動可能な操作板部を有しており、該ロック部材が回転移動によって間隙を塞がない場合に該操作板部が固定装置本体部上で起立することにより、可動部材と固定装置基部の所定係合解除移動が制限されていないことをユーザへ表示してもよい。これによれば、ユーザがロック部材を回転移動する際に操作する操作板部が、ロック部材が間隙を塞いでいない場合に固定装置本体部上で起立するため、ロック部材の状態を確認する場合よりも容易に可動部材と固定装置本体部との相対的な移動である所定係合解除移動が制限されているか否かをユーザに容易に認識させることが可能である。
また、可動部材は、ユーザが可動部材と固定装置基部の相対的な移動である所定係合移動と所定係合解除移動を行うための操作部を有し、ロック部材は、ユーザが回転移動をするための操作板部であって、ヒンジ接続部の回転軸を中心に回動可能な操作板部を有しており、操作板部は、ロック部材が回転移動によって間隙に至り、可動部材と固定装置基部の所定係合解除移動が制限されている場合に、操作部の少なくとも一部を覆うようにしてもよい。これによれば、ロック部材が間隙に入っていないことが操作時の条件となる可動部材と固定装置本体部の相対移動の操作を行う際、ロック部材が間隙に至っていると移動操作を行う際に触れる操作部が操作板部によって覆われた状態となるため、相対的移動操作を行う前にロック部材によるロックを解除する必要があることをユーザが容易に認識することが可能となる。
また、操作部は、ユーザが指を掛けて可動部材と固定装置本体部との相対的な移動を可能にする孔を有しており、操作板部は、ロック部材が回転移動によって間隙に至り、可動部材と固定装置基部の所定係合解除移動が制限されている場合に、ユーザが指を掛ける孔の少なくとも一部を覆うようにしても良い。ロック部材が間隙に至っているとユーザが指を掛ける孔が操作板部によって覆われた状態となるため、相対的移動を行う前にロック部材によるロックを解除する必要があることをユーザが容易に認識することが可能となる。
ここで、上述までの綴じ具固定装置においては、好ましくは係合部と被係合部材との係合が解除された状態では、挿入部は、固定用孔部及びファイル側孔部からなる連通孔に対して、ファイル本体の内側もしくは外側から挿入自在、及び該ファイル本体の内側もしくは外側に抜出自在である。係合部の係合解除状態と、挿入部の挿入及び抜出自在状態を連動させることで、本発明に係る綴じ具固定装置のユーザによる操作性が向上する。特に、
該綴じ具固定装置は、ファイル本体の内側もしくは外側の一方側のみからのアクセスによって綴じ具の固定作業が行われるため、作業性の向上はユーザ利益に大きく貢献する。
ここで、上述までの可動部材を有する綴じ具固定装置において、可動部材と固定装置基部とが係合位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を維持する第一維持部、及び/又は、可動部材と固定装置本体部とが係合解除位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持する第二維持部を更に備えるようにしてもよい。第一維持部を有することで、係合位置にある可動部材と固定装置基部との相対位置関係を維持することが可能となる。その結果、ユーザの固定作業時における綴じ具固定装置の姿勢等に影響されることなく、係合部の係合によるファイル本体の保持状態を円滑に形成することが可能となる。特に、上記ロック部材を用いて所定係合解除移動を制限しようとする場合に形成される上記間隙を維持するために、この第一維持部による相対位置関係の維持は有用である。
また、第二維持部を有することで、係合解除位置にある可動部材と固定装置本基部との相対位置関係を維持することが可能となる。その結果、ユーザの固定作業時における綴じ具固定装置の姿勢等に影響されることなく、係合部が設けられた挿入部の相対的な位置関係も維持されることになるため、ファイル側孔部や固定用孔部への該挿入部の挿入およびそこからの抜出を円滑に行うことが可能となる。これは、特に挿入部が上述のように一対の挿入部として形成される場合に有用である。なお、本発明に係る綴じ具固定装置においては、必ずしも上記第一維持部と第二維持部を同時に備える必要はなく、ユーザのニーズを考慮して必要な一方の維持部を備えるようにしてもよい。
そして、第一維持部と第二維持部の構成については、次に示す一例が挙げられる。例えば、可動部材と固定装置基部の何れか一方は、相対的な移動の方向に沿って形成された維持用溝部と、該維持用溝部を2つの維持用領域に区切る突起部と、を有し、可動部材と固定装置基部のうち維持用溝部と突起部とを有しない何れか他方は、相対的な移動の方向に沿って形成され、且つ突起部を乗り越えて2つの維持用領域の何れにも収まる突起部(収納突起部)を有し、第一維持部は、突起部が2つの維持用領域のうち一方に収容されることで、可動部材と固定装置基部とが係合位置に至ったときの該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を維持し、第二維持部は、突起部が2つの維持用領域のうち他方に収容されることで、可動部材と固定装置基部とが係合解除位置に至ったときの該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を維持するようにしてもよい。
すなわち、可動部材と固定装置基部の何れか一方側に設けられた維持用溝部と何れか他方側に設けられた突起部の相対移動関係にしたがって、該維持用溝部内の突起部を第一維持部による相対位置関係の維持と、第二維持部による相対位置関係の維持の切替の境界とすることで、可動部材と固定装置基部の相対的移動が行われる。これにより、突起部が2つに区切られた維持用領域の何れかに収まることで、第一維持部及び第二維持部による相対位置関係の維持が実現される。
また、上述までの可動部材を有する綴じ具固定装置において、係合部が係合解除位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を維持する解除時維持部と、係合部が係合解除位置を外れた位置にあるとき、該可動部材と該固定装置基部とが所定の移動範囲内で制限された相対移動が許容されるように、該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を形成する相対移動許容部とを更に備えるようにしてもよい。このように解除時維持部を有することで、上記第二維持部の場合と同様に、係合解除位置にある可動部材と固定装置基部との相対位置関係を維持することが可能となる。また、相対移動許容部を有することで、係合部が係合解除位置を外れた位置にあるときは、可動部材と固定装置基部との相対位置関係は維持されず、両者の相対的移動が許容される。そのため、可動部
材と固定装置基部とを有する綴じ具固定装置を使って綴じ具の固定を行おうとするユーザは、該綴じ具固定装置を触るとすぐに、可動部材と固定装置基部との相対位置関係が係合解除位置にあるか否かを容易に判断することができる。そして、必要があれば可動部材と固定装置基部とを係合解除位置に位置させるべく相対的移動を行うことで、円滑な綴じ具のファイル本体への固定を実現することができる。
そして、解除時維持部と相対移動許容部の構成については、次に示す一例が挙げられる。例えば、可動部材と固定装置基部の何れか一方は、相対的な移動の方向に沿って形成された溝部と、該溝部を2つの領域に区切る第一突起部と、を有し、可動部材と固定装置基部のうち維持用溝部と突起部とを有しない何れか他方は、相対的な移動の方向に沿って形成され、且つ第一突起部を乗り越えて2つの領域の何れにも収まる第二突起部を有し、解除時維持部は、第二突起部が2つの領域のうち一方に収容されることで、係合部が係合解除位置に至ったときの該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持し、相対移動許容部は、第二突起部を2つの領域のうち他方に収容し、且つ該第二突起部の該他方の領域内での移動を可能とすることで、可動部材と固定装置基部とが所定の移動範囲内での制限された状態での相対移動を実現するようにしてもよい。
すなわち、可動部材と固定装置基部の何れか一方側に設けられた溝部と可動部材と固定装置基部の何れか他方に設けられた第二突起部の相対移動関係にしたがって、該溝部内の第一突起部を解除時維持部による相対位置関係の維持と、相対移動許容部による相対移動許容の切替の境界とすることで、可動部材と固定装置基部との相対的移動が行われる。これにより、第二突起部が2つに区切られた領域の何れかに収まることで、可動部材と固定装置基部との相対位置関係の維持と、限られた所定の範囲内での相対移動が可能とされる。
また、上述までの可動部材を有する綴じ具固定装置において、綴じ具は、ファイル側の内側もしくは外側と接触し、且つ可動部材と固定装置本体部とが配置されるベース部材と、ベース部材上に設けられ、可動部材と固定装置基部とによる相対的な移動の方向に沿って延在する突状部と、を有し、可動部材と固定装置基部のうち少なくとも一方に設けられ、突状部に嵌り、相対的な移動時に該突状部上を移動する移動凹部を更に備えるようにしてもよい。
固定装置本体部の可動部材は、綴じ具のベース部材上に配置されて、上述した挿入部の固定用孔部およびファイル側孔部への挿入と、その後の相対的移動が行われる。ここで、可動部材と固定装置基部の何れか一方に設けられた突状部と、可動部材と固定装置基部の何れか他方に設けられた移動凹部は嵌りあっており、且つ相対的移動において、移動凹部が突状部上を移動することが可能となっている。すなわち、突状部が可動部材と固定装置基部との相対的移動のガイドとして役割を担うように構成されており、その結果、係合部の係合およびその解除をユーザは円滑に行うことが可能となる。また、可動部材と固定装置基部とを綴じ具上に配置させる際に、その配置場所を位置決めするためにも、移動凹部と突状部との嵌め合いは有用である。すなわち、可動部材と固定装置基部とを(係止部を)係合位置に確実に導くことが可能となり、さらに、上記ロック部材により係合位置に配置された可動部材と固定装置基部との相対位置関係を確実に規制するため、ユーザによる着脱作業であるにも関わらず、固定装置は最大の力を発揮することが可能となる。
また、上述までの可動部材を有する綴じ具固定装置において、可動部材は、固定装置本体部がファイル本体の内側に配置された状態においてユーザが該可動部材と固定装置基部の相対的な移動を行うために該可動部材を操作する操作部と、その操作部の近傍に設けられた被阻害部とを有し、固定装置基部は、相対的な移動において可動部材の操作部が、係合部が係合位置と係合解除位置の何れかの位置に至り該固定装置基部における端部の内近
傍に配置される端部に対する距離が近接状態となったとき、被阻害部に対して該被阻害部と重なる位置に至り、可動部材の上方への変位に対して該被阻害部を介して該変位を阻害し得る阻害部を有するように構成されてもよい。
上記綴じ具固定装置においては、相対的移動において可動部材の操作部が近接状態となったとき、被阻害部と阻害部とが、可動部材の上方への変位に対して互いに阻害する位置関係となることで、相対的移動のために操作部を操作するユーザに対して、可動部材と固定装置基部をその上方に強制的に操作することは被阻害部と阻害部の存在により制限されていることを明示的に知らしめることが可能となる。即ち、可動部材と固定装置基部が係合位置又は係合解除位置にある場合、ユーザがそれらを上方に強制的に相対移動させようとすると阻害部が被阻害部とが接触するため、その接触動作を介してその強制的な相対移動は適切ではないとユーザは知ることになる。その結果、ユーザを適切な相対的移動のための操作に導くことが可能となる。また、阻害部が被阻害部側の上記方向への移動を邪魔するだけでなく阻止するように構成してもよい。このように構成すれば、ユーザから正しくない方向へ印加された力が可動部材に悪影響及ぼすことを防止できる。
そして、上記の被阻害部と阻害部については、次に示す一例が挙げられる。例えば、可動部材の操作部は、該可動部材の端部のうち固定装置基部とは接触しない端部に設けられ、且つ可動部材は、該操作部に隣接して設けられ、阻害部は、固定装置基部の端部のうち可動部材に対向する端部に設けられるようにしてもよい。尚、各部分の具体的な構成はこの形態に限られず、好ましくは可動部材と固定装置基部の相対的移動に影響を及ぼすことなく、且つユーザに対してその存在を知らしめやすい場所に設けられる。
ここで、上述までの可動部材を有する綴じ具固定装置において、可動部材は、固定装置基部の上面に沿って所定係合移動および所定係合解除移動を行う部材であり、固定装置基部の一部は、可動部材の上面の一部を覆い、該可動部材の上方への変位を制限するようにしてもよい。すなわち、可動部材と固定装置基部とが、相対的移動の方向とは異なる綴じ具固定装置の上方において、互いに重なり合う構成とされることで、相対的移動のためのユーザの操作によって上側に位置する可動部材が反り上がってしまうのを防止するとともに、相対的移動がより円滑に行われることを促進させることが可能となる。すなわち、このような可動部材と固定装置基部との重なり合いは、ユーザの作業性向上に大いに資する。このように係合部により確実な係合がなされた状態において、以上のような効果を奏するロック部材によりこの状態が確実に保持されるため、ファイルの一方の側からのアクセスのみでファイル本体と綴じ具とを保持する固定装置の実用化を可能としている。
そして、上記可動部材と固定装置本基部との重なり合いについては、次に示す一例が挙げられる。例えば、上記綴じ具固定装置において、前記可動部材は、前記相対的な移動の方向に沿った側辺の一部に切り欠き部を有し、前記固定装置基部は、前記可動部材が該固定装置本体部の上面を移動するために該可動部材を収める移動用窪み部と、前記移動用窪み部に突出する突出片と、を有し、前記突出片は、前記可動部材が前記移動用窪み部に収められた状態において前記切り欠き部の内部に収められることで、該可動部材の上面の一部を覆い、且つ該切り欠き部の内部を前記相対的な移動にしたがって変位自在であってもよい。このような構成により、可動部材と固定装置基部との相対的移動と、綴じ具固定装置の上方における可動部材と固定装置基部との重なり合いを実現できる。
ここで、上述までの可動部材を有する綴じ具固定装置において、可動部材は、綴じ具と接する裏面上に第一位置決め突起部を有し、固定装置基部は、綴じ具と接する裏面上に第二位置決め突起部を有し、固定装置基部が綴じ具上に配置されたとき、該綴じ具に設けられた位置決め用孔部に、第一位置決め突起部と第二位置決め突起部とが収められ、相対的な移動によって、第一位置決め突起部と第二位置決め突起部が、位置決め用孔部の縁に接
触すると、可動部材と固定装置基部が係合解除位置に位置するように構成されてもよい。
すなわち、上記綴じ具固定装置では、相対的移動を行う可動部材と固定装置基部とにそれぞれ位置決め用の突起部(第一位置決め突起部と第二位置決め突起部)が設けられ、それらの突起部と綴じ具側の位置決め用孔部との接触関係によって、可動部材と固定装置基部との相対位置関係が決定される。特に、第一位置決め突起部と第二位置決め突起部とが位置決め用孔部と接触することで、相対的移動動作が規制され、その結果、可動部材と固定装置基部との位置が係合解除位置に半ば自動的に特定されることになる。この係合解除位置は、ユーザにとっては、挿入部を固定用孔部とファイル側孔部からなる連通孔に挿入、抜出を行いたい位置でもある。そこで、このように第一位置決め突起部と第二位置決め突起部によって、可動部材と固定装置基部との位置が自動的に特定されると、ユーザの上記挿入、抜出操作が比較的容易に行われ得る。
また、上述までの綴じ具固定装置において、固定装置本体部は、係合部が、ファイル本体に対する係合が解除された状態であるとき、綴じ具に対する固定装置本体部の相対位置を位置決めする位置決め部を有するようにしてもよい。すなわち、相対的移動以外の動作によって係合部による係合およびその解除を行う綴じ具固定装置においても、上述した理由と同様の理由で、各係合部による係合が解除される状態で、綴じ具に対する固定装置本体部の相対位置を位置決めする位置決め部は有用である。
また、固定装置本体部の所定係合移動の方向および所定係合解除移動の方向は、ファイル本体の表面に沿う方向であってもよい。相対移動の方向をファイル本体の表面に沿う方向にすることにより、係合部のファイル本体への係合が可能となる。
そして、好ましくは、ファイル側孔部は、ファイル本体の背表紙部に設けられ、可動部材が固定装置基部と相対的に移動する方向は、背表紙部の天地方向に沿う方向である。ユーザが綴じ具に書類等を綴じて使用する場合において、綴じ具のファイル本体への固定部分に強大な外力が作用する可能性の1つとして、書類等が綴じられたファイルがその天地方向から床面等に落下した場合が考えられる。そのような落下形態を考慮したとき、落下によって作用する外力を係合部で確実に受けることで、綴じ具のファイル本体への固定状態を維持し、又綴じ具固定装置の破損を回避することが可能となる。
また、挿入部が一対の挿入部として形成される場合、一つのファイル側孔部に挿入され、それぞれに係合部が設けられ、各係合部による係合方向が互いに異なるものであってもよい。また、書類等を綴じる綴じ具に設けられた固定用孔部とファイル本体に設けられたファイル側孔部とを用いて、該綴じ具を該ファイル本体上に固定するための綴じ具固定装置であって、前記ファイル本体の内側もしくは外側に配置される固定装置本体部と、固定装置本体部に設けられ、且つファイル本体の内側もしくは外側から、固定用孔部及びファイル側孔部に対して順に挿入される一対の挿入部と、一対の挿入部のそれぞれに設けられ、被係合部材に対する係合および該係合の解除が可能な第一係合部および第二係合部と、を備え、第一係合部により係合された被係合部材の係合方向である第一係合方向は、第二係合部により係合された被係合部材の係合方向である第二係合方向と異なるように設定されるものであってもよい。
本発明に係る綴じ具固定装置では、ファイル本体に設けられたファイル側孔部と、綴じ具側に設けられた固定用孔部とに、一対の挿入部が挿入される場合がある。そして、挿入された状態において、各挿入部に設けられた第一係合部と第二係合部が、被係合部材となるファイル本体や綴じ具に対して係合およびその解除が可能な状態に配置される。これらの係合部が被係合部材に対して係合状態となると、その係合部分と綴じ具固定装置の固定装置本体部とによって綴じ具とファイル本体とが固定されることになり、該係合状態が解
除された係合解除状態となると綴じ具とファイル本体との固定が解除されることになる。その結果、綴じ具のファイル本体への着脱が自在となる。
ここで、ファイル側孔部と固定用孔部への綴じ具固定装置のアクセスは、ファイル本体の内側もしくは外側の一方側から可能とされる。すなわち、ユーザは、ファイル側孔部と固定用孔部にはファイル本体の内側もしくは外側から一対の挿入部を挿入させ、そして、第一係合部及び第二係合部のファイル本体への係合を行わせることができる。これにより、ユーザの操作性は格段と向上する。そして、これらの第一係合部と第二係合部の係合によるファイル本体の保持方向である第一保持方向と第二保持方向とは異なるように設定されることで、係合部による係合を解除させようとする外力に対して十分に抗し、綴じ具をファイル本体により確実に固定することが可能となる。特に、書類等を綴じるファイルにおいては、ユーザの使用状態によって、様々な方向から外力が作用する可能性があるため、本発明に係る綴じ具固定装置のように異なる複数の保持方向を有する固定装置と構成することで、実用品としてのファイルの固定強度を十分に担保することが可能となる。
ここで、上述までの綴じ具固定装置において、綴じ具固定装置は、更に、挿入部の固定用孔部及びファイル側孔部への挿入方向に沿って固定装置基部と係合部との間に設けられた位置決め平面部を、備え、位置決め平面部は、係合部と被係合部材との係合状態において、ファイル本体に設けられたファイル側位置決め孔部、及び、綴じ具に設けられた綴じ具側位置決め孔部に挿入されるように構成してもよい。
すなわち、上記綴じ具固定装置では、固定装置本体部と係合部との間に、挿入部に加えて位置決め平面部が備えられる。この位置決め平面部は、係合部の係合状態において、綴じ具側位置決め孔部とファイル側位置決め孔部とに挿入された状態となるので、係合部が係合状態に至る過程での、その係合部の位置決めを行う機能を果たす。特に、可動部材がスライド部材で構成される場合、相対的移動にしたがって上記位置決め平面部が綴じ具側位置決め孔部とファイル側位置決め孔部とに挿入されるように構成されると、その相対的移動における位置決め機能を果たすことになる。特に、相対的移動の方向に交差する方向への位置決めを行うべく、位置決め平面部の、綴じ具側位置決め孔部及びファイル側位置決め孔部に対する相対的位置関係を決定するのが好ましい。
また、上記綴じ具固定装置において、挿入部の固定用孔部およびファイル側孔部への挿入方向に沿って、固定装置本体部と係合部との間に設けられ、係合部が係合状態となると、固定用孔部と連通する綴じ具側被嵌合部と嵌合し、該綴じ具固定装置と綴じ具との相対位置を位置決めする挿入部側嵌合部が設けられてもよい。
また、上記綴じ具固定装置において、挿入部が一対の挿入部で形成され、一対の挿入部のそれぞれに、被係合部材に対する係合および該係合の解除が可能な第一係合部及び第二係合部が設けられる場合、挿入部の固定用孔部及びファイル側孔部への挿入方向に沿って、固定装置本体部と係合部との間に設けられ、係合部が係合状態となると、固定用孔部と連通する綴じ具側被嵌合部と嵌合し、該綴じ具固定装置と綴じ具との相対位置を位置決めする挿入部側嵌合部と、を備え、第一係合部により係合されたファイル本体の保持方向である第一保持方向は、第二係合部により係合されたファイル本体の保持方向である第二保持方向と異なるように設定されるものであってもよい。
また、上記綴じ具固定装置では、挿入部側嵌合部が、係合部の係合状態において、綴じ具側被嵌合部と嵌合する。換言すると、挿入部側嵌合部が、係合部の係合状態において、上記綴じ具側被嵌合部に挿入され、ファイル本体における係合部による保持方向とは異なる方向の相対位置が規定された状態となる。したがって、挿入部側嵌合部が、係合状態に至る過程での、その係合部の位置決めを行う機能を果たす。
綴じ具側被嵌合部は、挿入部側嵌合部が係合解除位置から係合位置へ相対移動する際のガイドとなる。そのため、係合状態において係合部を最適な位置に配置させることが可能となる。また、嵌合部が当該最適な位置(設計者が想定する位置;一般に固定装置による最適な(最高の)保持力が発揮される位置)以外に係合部が配置されように係合部を移動させようとしても、綴じ具側被嵌合部ではない部分が当該動きを阻害するため、ファイル本体における係合部の位置が上記以外となってしまい、ユーザが固定装置による係合力が想定値よりも弱くなってしまう状態で使用し続けてしまうという危険性を極めて低いものにできる。
挿入部側嵌合部の側面が、上記綴じ具側被嵌合部と接することで、綴じ具固定装置と綴じ具との接触面積が増す。これにより、綴じ具固定装置と綴じ具との接触部分の負荷が分散される。
なお、前記挿入部側嵌合部は、前記綴じ具側被嵌合部に加えて、前記ファイル側孔部と連通するファイル側被嵌合部とも接するようにしてもよい。これにより、綴じ具だけでなく、ファイル本体に対する位置の位置決めを行うことが可能となる。
なお、綴じ具固定装置の位置を正確に決めることができないと、綴じ具固定装置と綴じ具が接触することが懸念される。そして、接触の度合いが強い場合には、綴じ具固定装置が綴じ具の書類等を綴じる機能(例えば、書類等を綴じるパイプ部の保持機構の開閉機構など)と接触してしまい、当該機能が発揮できなくなってしまう虞もある。しかしながら、本発明に係る綴じ具固定装置によれば、挿入部側嵌合部によって、綴じ具固定装置の位置が決まるので、綴じ具固定装置による綴じ具への接触、綴じ具による書類等を綴じる機能への阻害を防止することができる。
また、挿入部側嵌合部は、上述した位置決め機能に加え、位置を規定する機能や位置を保持する機能も有する。位置を規定する機能とは、綴じ具若しくはファイル本体に対する位置を規定する機能であり、位置を保持する機能とは、綴じ具がファイル本体上に固定された状態を保持する機能である。
ここで、綴じ具固定装置によれば、挿入部が綴じ具側孔部及びファイル側孔部に挿入された状態において、対となる挿入部のそれぞれに設けられた第一係合部と第二係合部が、被係合部材に対して係合およびその解除が可能な状態に配置される。これらの係合部が被係合部材に対して係合状態となると、その係合部分と綴じ具固定装置の固定装置本体部とによって綴じ具がファイル本体に保持されることになり、該係合状態が解除された係合解除状態となると綴じ具のファイル本体への保持が解除されることになる。その結果、綴じ具のファイル本体への着脱が自在となる。また、挿入部側嵌合部が、第一係合部と第二係合部からなる係合部に設けられることで、位置決めをより正確に行うことが可能となる。
また、これらの第一係合部と第二係合部の係合によるファイル本体の保持方向である第一保持方向と第二保持方向とは異なるように設定されることで、係合部による被係合部材との係合を解除させようとする外力に対して十分に抗し、綴じ具とファイル本体とをより確実に固定することが可能となる。特に、書類等を綴じるファイルにおいては、ユーザの使用状態によって、様々な方向から外力が作用する可能性があるため、本発明に係る綴じ具固定装置のように異なる複数の保持方向を有する固定装置と構成することで、実用品としてのファイルの固定強度を十分に担保することが可能となる。
なお、一つのファイル側孔部に二以上の挿入部が挿入された構成を採用し、さらにこのように各係合部の係合方向が異なるようにすれば、一の係合部に対して係合を解除しよう
とする方向の力が働いた場合であっても、当該係合部とは異なる係合方向の係合部に対しては係合を強めようとする方向の力になるため、当該ファイル側孔部におけるファイル本体と固定装置(一対の挿入部)との係合力は、通常状態と同等のものとなる。そのため、従来提案されているファイル本体に対する一方の側からのみのアクセスで綴じ具とファイル本体との着脱を実現するための固定機構において、わずかな力が働くだけで(場合によっては綴じている書類等による重みによって)係合部(挿入部)がファイル側孔部から抜け落ちてしまうという、このような機構の実用化を阻んでいた問題を解決することができる。
また、前記一対の挿入部は、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して挿入される方向の先端部分の角が面取りされていてもよい。これによれば、一対の挿入部が固定用孔部及びファイル側孔部に対して挿入される際、これらに挿入部が接触してもファイル本体や綴じ具を傷めたり、あるいは挿入部を傷めたりする事が無くなる。
そして、上述までの綴じ具固定装置を含んで構成されるファイルも本発明の一態様となる。即ち、本発明に係るファイルは、上述までの綴じ具固定装置と、綴じ具と、ファイル本体とを含むファイルであって、ファイル本体及び綴じ具のうち固定装置本体部と被係合部材との間に挟持される部材が被固定部材として、綴じ具固定装置によって該被係合部材に対して固定される、ファイルである。このように当該ファイルは、綴じ具固定装置によって被係合部材と被固定部材とが固定されることで形成されるが、これらの構成以外の構成を含んでも構わない。
また、本発明を、綴じ具をファイル本体に固定するための固定方法の側面から捉えることも可能である。すなわち、本発明は、書類等を綴じる綴じ具に設けられた固定用孔部とファイル本体に設けられたファイル側孔部とが重なって形成された連通孔を用いて、該綴じ具と該ファイル本体とを固定するための固定方法であって、挿入部を、ファイル本体の内側もしくは外側から、連通孔に挿入する第一ステップと、固定装置本体部がファイル本体に配置された状態において、挿入部に設けられファイル本体または綴じ具の何れかの被係合部材に対する係合および該係合の解除が可能な係合部を移動させて該被係合部材に対して係合させる第二ステップと、係合部が係合位置に至った状態において、ロック部材を所定の移動制限位置に位置させることで係合が解除される係合部の移動を制限する第三ステップとを含む。
また、本発明は、綴じ具固定装置を製造するための成形用金型であってもよい。すなわち、可動部材と固定装置基部とが相対移動して一の状態となった際に、可動部材及び固定装置基部の少なくとも一方である被接続部材にヒンジ接続部を介して接続されたロック部材によって当該状態が保持され、かつ、可動部材並びに固定装置基部によってファイル本体との間に綴じ具を狭持する綴じ具固定装置におけるロック部材並びに被接続部材を一体成形する成形用金型であって、当該成形用金型は、樹脂が注入された際、前記ロック部材を前記被接続部材に対して略直角の状態で成形する金型であってもよい。また、ロック部材を有する上記何れかに記載の綴じ具固定装置の前記ロック部材を、前記可動部材と前記固定装置本体部のうち少なくとも一方である非接続部材と前記ヒンジ接続部を介して接続されるように一体成形する成形用金型であって、前記回転移動により前記間隙に至らない状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面のうち、前記ファイル本体側の面を成形する第一の金型と、前記回転移動により前記間隙に至らない状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面のうち、前記ファイル本体側と反対側の面を成形する第二の金型と、を備え、前記第一の金型と前記第二の金型とが連結されることにより形成される型枠に樹脂が注入されることで、前記ヒンジ接続部により接続された状態の前記非接続部材と前記ロック部材とを一体成形する成形用金型であってもよい。なお、非接続部材とは、ロック部材と上記ヒンジ接続部を
介して接続されるあらゆる部材であり、例えば、上記可動部材や上記固定装置本体部を例示できる。
可動部材または固定装置本体部とヒンジ接続部を介して接続されるロック部材を、ヒンジ接続部、及び可動部材または固定装置本体部と共に一の金型で一体成形する場合、ロック部材を可動部材または固定装置本体部の何れかと当接する状態で一体成形するとロック部材が可動部材または固定装置本体部と癒着してしまう。ここで、ロック部材が可動部材または固定装置本体部と当接しない状態、換言すると、ロック部材が前記回転移動により前記間隙に至らない状態で成形されるように金型の成形面を構成することにより、このような癒着を防ぐことが可能になる。この場合において、前記第一の金型および前記第二の金型が、前記ロック部材が前記間隙に至る状態から略90度回転移動された状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面を成形するようにすれば、これら第一の金型および第二の金型の分離を容易にすることができる。なお、「略90度」とは、少なくとも「略0度」、すなわち、成形品において上記両端部の間に隙間が生じてしまったり、成形後にカッタなどを用いてヒンジ接続部を設ける必要が生じてしまい少なくともカッタの刃分の隙間が生じてしまったりしてしまう角度での成形を含まないという意味であり、上記間隙にロック部材が嵌合された状態を0度としロック部材の回動方向に、一般には45度以上、好適には70度以上、上限としては180度以下、一般には135度以下、好適には110度以下とされ、望ましくは90度の極近傍の角度で成形される。90度の極近傍の角度で成形すれば、型が2つでよくなったり、型を抜くのが容易になる等の利点がある。
略0度の状態で樹脂流し込み成形すると、ロック部材のヒンジ部側端部と被接続部材のヒンジ側端部との間に金型分の隙間が生じてしまう。ヒンジ部を設けずに樹脂流し込み成形した後にカッターなどでヒンジ接続部を作製してロック部材と被接続部材と分離しても、この行程において削られた分の隙間が生じてしまう。すると、ロック部材が確実に/正確に機能し得なくなってしまう。すなわち、このように成形された固定装置では、略0度の状態において両端部間に隙間ができてしまうため、固定装置基部と可動部材とを係合位置に確実に保持する(常時係合位置を保つ)ことができなくなり(がたついてしまい)、係合部が係合位置から係合解除位置方向へずる場合が生じるため、係合部がファイル側孔部等から抜けやすくなってしまう場合が生じる。したがって、ファイルの一方の側からアクセスのみでファイル本体と綴じ具を狭持する機構を実用化/実現化することができない。
これに対し、このように略90度回転移動させた状態のものを作成すると、ヒンジ接続部を介してロック部材を被接続部材側に回転移動させた場合(上記間隙に嵌合させるように回転移動させた場合)、ロック部材のヒンジ接続部側端部と被接続部材のヒンジ接続部側端部との隙間をなくすことが可能となる。したがって、固定装置基部と可動部材とを係合位置において確実に保持し続けることができ(係合部が係合位置からずれることなく/両者ががたついてしまうことがなく)、本固定装置の狭持力を確実に発揮させ、このようなファイル固定機構を実現化させることができる。
また、本発明は、上記成形用金型を用いた綴じ具固定装置の製造方法であってもよい。すなわち、上記の成形用金型を用いて、前記ヒンジ接続部を介して接続される前記ロック部材と前記非接続部材とを製造する綴じ具固定装置の製造方法であって、前記第一の金型と前記第二の金型とが連結されることにより形成される前記型枠に前記樹脂を注入するステップと、前記第一の金型と前記第二の金型とを分離することにより、前記型枠内に成形された前記非接続部材によって連結される前記ロック部材と前記非接続部材とを取り出すステップと、を有するものであってもよい。
これによれば、第一の金型と第二の金型とが連結されることにより形成される型枠に樹脂を注入し、その後これら金型を分離することにより、ヒンジ接続部を介して接続されるロック部材と非接続部材とを一体成形することが可能である。なお、本製造方法は、例えば、熱溶解した樹脂を型枠に注入し、該樹脂が冷却によって硬化した後に金型を分離して成形物を取り出しても良い。
また、本発明に係る綴じ具固定装置は、固定装置本体部は、連通孔が形成されるように重ねられたファイル本体および綴じ具に対して接近、離間することで所定係合移動および所定係合解除移動がそれぞれ行われる固定装置であって、係合部は、固定装置本体部がファイル本体および綴じ具に接近し所定係合移動を行うことで係合位置に至ると被係合部材との係合状態を形成し、該固定装置本体部が該ファイル本体および該綴じ具から離間し所定係合解除移動を行うことで係合解除位置に至ると該被係合部材との係合状態を解除し、また固定装置本体部の所定係合移動により係合部が係合位置に至った状態において、ロック部材が所定の移動制限位置に至ることで、該固定装置本体部の所定係合解除移動が制限されるように構成されても良い。
これによれば、固定装置本体部をファイル本体部および綴じ具に対して相対的に移動するだけで係合部による被係合部材への係合が実現される。そして、ロック部材を動かすことで固定装置本体部の所定係合解除移動が制限され、綴じ具とファイル本体とが固定される。よって、綴じ具固定装置の構成を簡易にしつつ、ユーザに課す作業も極めて簡潔化することが可能である。
また、ロック部材は、固定装置本体部にヒンジ接続部を介して接続され、且つ該接続された該可動部材又は該固定装置基部に対して該ヒンジ接続部による回転移動が可能であって、固定装置本体部の所定係合移動により係合部が係合位置に至ったとき、該固定装置本体部とファイル本体および綴じ具との間に所定の移動制限位置に相当する間隙が形成され、ロック部材が回転移動により該間隙を塞ぐことで該固定装置本体部の所定係合解除移動が制限されるようにしてもよい。
これによれば、ロック部材によるロックを、回動という容易な操作で実現することが可能であるため、ユーザに課す作業を極めて簡潔化することが可能である。なお、固定装置本体部の所定係合移動により係合部が係合位置に至ったとき、固定装置本体部とファイル本体および綴じ具との間に形成される、前記所定の移動制限位置に相当する間隙は、例えば、ファイル側孔部内に設けられる間隙であって、ファイル側孔部の内壁と挿入部との間に形成される間隙である。
また、本発明に係る係止対象物固定装置及び成型用金型は以下の構成を備えているため、係止対象物と被係止物との係合を、係止対象物を挟んだ両側のうち一方の側からのみのアクセス(操作)のみによって完了させる実質的に可能としている。特に、ユーザによって着脱される場合であっても係止対象物の固定時には確実な係合力が得られる実用に耐えうる構成である。
詳細には、本発明に係る第一の係止対象物固定装置は、係止対象物に設けられた固定用孔部と被係止物に設けられた被係止物側孔部とを用いて、該係止対象物と該被係止物とを固定する係止対象物固定装置であって、被係止物に配置される固定装置本体部と、固定装置本体部に設けられ、固定用孔部及び被係止物側孔部が重なって形成された連通孔に挿入される挿入部と、連通孔に挿入部が挿入された際に被係止物及び係止対象物のうち該挿入部の挿入方向奥側の部材を被係合部材とし、該挿入部の挿入状態で固定装置本体部が所定係合移動及び所定係合解除移動を行うことで該被係合部材に対して係合及び該係合の解除が可能である、挿入部に設けられた係合部と、を備える。そして、固定装置本体部は、該
固定装置本体部が被係止物上に配置された状態において、ユーザによる該固定装置本体部の所定係合移動及び所定係合解除移動を行うための操作部が設けられ、挿入部は、ユーザが操作部を操作して所定係合移動が行われると、固定用孔部と被係止物側孔部のうち被係合部材上に存する側の孔部内に当接し、係合部は、ユーザが操作部を操作して所定係合移動が行われると、被係合部材に対し係合する。
本発明に係る係止対象物固定装置では、被係止物側に設けられた被係止物側孔部と、係止対象物側に設けられた固定用孔部とが重なって連通孔が形成され、その連通孔に挿入部が挿入され、もしくは連通孔から挿入部が引き抜かれる。そして、挿入部が挿入された状態において、そこに設けられた係合部が、被係止物と係止対象物のうち、挿入部の挿入方向において奥側に位置する一方(本発明に係る被係合部材)に対して、係合およびその解除が可能な状態に移動させられる。本発明においては、前者の係合部の移動を所定係合移動と称し、後者の係合部の移動を所定係合解除移動と称する。これらの移動に関する方向は、必ずしも一直線上を往復する方向である必要はないが、ユーザの係合部の操作に関する利便性を考慮すると、所定係合移動と所定係合解除移動とでは一直線上の互いに反対の方向であることが好ましい。そして、この係合部が被係合部材に対して係合状態となると、その係合部分と係止対象物固定装置の固定装置本体部とによって、被係止物もしくは係止対象物のうち両者の間に挟まれる方が被固定部材として挟持され、係止対象物と被係止物との固定が行われることになる。また、この係合状態が解除された係合解除状態となると、係止対象物と被係止物との固定状態が解除されることになる。その結果、係止対象物の被係止物への着脱が自在となる。なお、この連通孔の形成について、ファイル側孔部と固定用孔部とは形状が異なっていてもよく、要は、挿入部が被固定部材側の孔部を通り、係合部による被係合部材との係合が可能なように両孔部が連なればよい。
上記係止対象物固定装置での連通孔へのアクセスは、被係止物を挟んだ両側のうち何れの一方側からでも可能である。すなわち、被係止物の一方側に配置された係止対象物のさらに内側に添設される場合には、挿入部が固定用孔部、被係止物側孔部の順に挿入され、挿入部に設けられた係合部が被係合部材としての被係止物と係合する。また被係止物の他方側に添設される場合には、挿入部が被係止物側孔部、固定用孔部の順に挿入され、挿入部に設けられた係合部が被係合部材としての係止対象物と係合する。これにより、ユーザの操作性は格段と向上する。
なお、係合部は、被係合部材のいずれの部分に対しても係合を行うように設計してもよい。例えば係止対象物固定装置が被係止物の一方側からのアクセスによって固定を行う機構である場合、被係止物側孔部が貫通孔である場合には、挿入部が係止対象物側の孔部、被係止物側孔部の順に挿入され、係合部が被係止物の他方側に至った状態で該被係止物と係合するように設計できる。また、挿入部が非係止物側孔部に挿入されている状態において、該被係止物側孔部の途中部分において係合部が被係止物と係合するようにしてもよい。要約すると、係合部の被係合部材への係合は、挿入部の挿入が被係止物の一方の側から行われるのが肝要であり、被係合部材との係合箇所は係止対象物が被係止物に固定される限り、何れの箇所であってもよい。したがって、被係合部材側の孔部は貫通孔でなくてもよく、例えば、窪み部と当該窪みに連通して設けられる前記係合部との被係合空間とを備えた被係止物側孔部を備えた被係止物に適用することもできる。
ここで、上記係止対象物固定装置において、固定装置本体部は、固定装置基部と、該固定装置基部に相対的に移動可能な可動部材とを有するとともに、該固定装置基部と該可動部材とが相対的に移動することで、所定係合移動と所定係合解除移動が行われるように構成されてもよい。このとき、係合部は、可動部材と固定装置基部の所定係合移動により係合位置に至ると被係合部材との係合状態を形成し、該可動部材と該固定装置基部の所定係合移動とは逆方向の所定係合解除移動により係合解除位置に至ると該被係合部材との係合
状態を解除する。
すなわち、係合部と被係合部材との係合状態およびその解除を成立させるために、可動部材は、係合位置と係合解除位置との間を固定装置基部に対して相対的に移動され、この移動が上記所定係合移動および所定係合解除移動を形成する。本明細所においてはこの可動部材による移動を「相対的移動」とも言う。そして、係止対象物と被係止物とを固定したいユーザは、被係止物の一方側から、係止対象物固定装置の挿入部を被係止物側孔部と固定用孔部に挿入させ、更に上記相対的移動のうち所定係合移動を行えばよく、ユーザに課される作業は極めて簡潔となる。
上記の係止対象物固定装置において、被係止物及び係止対象物のうち固定装置本体部と被係合部材との間に挟持される部材を被固定部材とし、挿入部の連通孔への挿入方向に沿って固定装置本体部と係合部との間に設けられ、係合部が被係合部材に対して係合状態となると、固定用孔部と被係止物側孔部のうち被固定部材上に存する側の孔部に連通する第一被嵌合部と嵌合し、該係止対象物固定装置と該被固定部材との相対位置を位置決めする挿入部側嵌合部を、更に備えるようにしてもよい。
また、挿入部の連通孔への挿入方向に沿って固定装置本体部と係合部との間に設けられる平板部を、更に備えるようにしてもよい。このとき、被係止物及び係止対象物のうち固定装置本体部と被係合部材との間に挟持される部材を被固定部材とするとき、固定用孔部と被係止物側孔部のうち被固定部材上に存する側の孔部には、これと連通し、平板部が収納される第一収納部が設けられ、固定用孔部と被係止物側孔部のうち被係合部材上に存する側の孔部には、これと連通し、平板部が収納される第二収納部が設けられ、そして、係合部が被係合部材に対して係合状態となると、少なくとも平板部に対する鉛直方向の衝撃力が係合部に加わった際、平板部が第一収納部及び第二収納部の少なくとも一方に接触するように構成される。
上記構成において、挿入部側嵌合部が、係合部の係合状態において、上記第一被嵌合部と嵌合する。この嵌合については、挿入部側嵌合部と第一被嵌合部とが固く嵌り合う構成だけでなく、ゆるく嵌り合う構成も許容される。ここで、この第一被嵌合部は、固定用孔部と被係止物側孔部のうち被固定部材に相当する係止対象物もしくは被係止物の上に存する側の孔部に連通するものであり、換言すると係合部による係合が行われるとき、固定装置本体部寄りに位置する(場合によっては、固定装置本体部が接触する位置に配置される)被固定部材に設けられるものである。したがって、係合部の係合時に、挿入部側嵌合部が上記第一被嵌合部に挿入されると、被係合部材における係合部による係合方向とは独立して、係止対象物固定装置と被固定部材との相対位置が規定された状態となる。すなわち、挿入部側嵌合部は係合部による係合方向(挿入部を基準とした係合部の延在方向)と異なる方向(好ましくは略直交方向)における被固定部材に対する相対位置を位置決めする。
このような位置決めにおいて、挿入部側嵌合部が、係合状態に至る過程での、その係合部の位置決めを行う機能を果たし、一方で、第一被嵌合部は、挿入部側嵌合部が係合解除位置から係合位置へ相対移動する際のガイドとなる。そのため、被固定部材における係止対象物固定装置の位置は常に一定の相対位置に保たれ、それと同時に係合状態において係合部を最適な位置に配置させることが可能となる。また、嵌合部が当該最適な位置(設計者が想定する位置;一般に固定装置による最適な(最高の)係合力が発揮される位置)以外に係合部が配置されように係合部を移動させようとしても、第一被嵌合部ではない部分が当該動きを阻害するため、即ち、第一嵌合部が強制的に挿入部側嵌合部を導くため、被係止物における係合部の位置が上記最適な位置以外となり、ユーザが固定装置による係合力が想定値よりも弱くなってしまう状態で使用し続ける危険性を極めて低いものにできる
また、挿入部側嵌合部の側面が上記第一被嵌合部と接することで、係止対象物固定装置と係止対象物との接触面積が増す。これにより、係止対象物固定装置と係止対象物との接触部分の負荷が分散される。なお、前記挿入部側嵌合部は、前記第一被嵌合部に加えて、前記固定用孔部と前記被係止物側孔部のうち該被係合部材上に存する側の孔部に連通する第二被嵌合部とも接するようにしてもよい。これにより、係止対象物だけでなく、被係止物に対する位置の位置決めを行うことが可能となる。
なお、係止対象物固定装置の位置を正確に決めることができないと、係止対象物固定装置と係止対象物や被係止物が無用に接触することが懸念される。そして、接触の度合いが強い場合には、係止対象物固定装置が係止対象物の機能構成部分と接触してしまい、当該機能が発揮できなくなってしまう虞もある。しかしながら、本発明に係る係止対象物固定装置によれば、挿入部側嵌合部によって、係止対象物固定装置の位置が係止対象物や被係止物に対して決まるので、係止対象物固定装置による係止対象物や被係止物への無用の接触、係止対象物による書類等を綴じる機能への阻害を防止することができる。
また、挿入部側嵌合部は、上述した位置決め機能に加え、位置を規定する機能や位置を保持する機能も有するとも言える。位置を規定する機能とは、係止対象物もしくは被係止物に対する位置を規定する機能であり、位置を保持する機能とは、係止対象物と被係止物との固定状態を保持する機能である。
本発明に係る第二の係止対象物固定装置は、係止対象物に設けられた固定用孔部と被係止物に設けられた被係止物側孔部とを用いて、係止対象物を被係止物上に固定するための係止対象物固定装置であり、さらに、被係止物上に配置される、固定装置基部及びこれに相対的に移動可能な可動部材とを有する固定装置本体部と、固定装置基部及び可動部材それぞれに設けられ、被係止物上から、固定用孔部及び被係止物側孔部に対して順に挿入される一対の挿入部と、挿入部に設けられ、被係止物に対する係合および係合の解除が可能な係合部と、を備え、一対の挿入部に設けられた二つの係合部による係合方向は互いに異なり、可動部材は、固定装置本体部が被係止物上に配置された状態において、ユーザによる固定装置本体部との相対的な移動を行うための操作部が設けられ、一対の挿入部は、ユーザが操作部を操作して可動部材と固定装置基部とが相対的に移動されると各挿入部が被係止物側孔部内に当接し、係合部は、ユーザが操作部を操作して可動部材と固定装置基部とが相対的に移動されると被係止物に対し係合する、構成をとる。
換言すると、本発明に係る係止対象物固定装置は、上述の挿入部が、固定装置基部及び可動部材のそれぞれに設けられた一対の挿入部として形成され、係合部は、一対の挿入部のそれぞれに設けられ各係合部が被係合部材に対して係合及び該係合の解除が可能であり、且つ各係合部による係合方向は互いに異なる。さらに、可動部材は、操作部が設けられ、一対の挿入部は、ユーザが操作部を操作して可動部材と固定装置基部とが所定係合移動されると、固定用孔部と被係止物側孔部のうち被係合部材上に存する側の孔部内にそれぞれ当接し、各係合部は、ユーザが操作部を操作して可動部材と固定装置基部とが所定係合移動されると被係合部材に対し係合する。
この構成をとることにより、一つの連通孔に挿入される一対の係合部は、互いに異なる係合方向を向くこととなるため、一方の係合部に対して係合力を弱める方向(係合部が被係合部材から外れる方向)に力が働いた場合であっても、その力は他方の係合部に対しては係合力を強める方向(係合部が被係合部材とより強く係合する方向)に働くこととなる。したがって、従来の片面側からのみのアクセスによって着脱を可能としようとする機構が実用化に至らなかった問題点である、少しの力(場合によっては固定装置自身の重さや
係止対象物の重さなど)によって係合部が簡単に被係合部材から離れてしまうことを防止している。すなわち、一つの被係止物側孔部における係止対象物固定装置と被係止物との間の係合は、常時、極めて強いものとなり、実質的に片面側からのみのアクセスによる係止対象物と被係止物との固定を実現している。
また、可動部材が固定装置基部による所定係合移動と所定係合解除移動の方向は、被係合部材の表面に沿う方向であってもよい。上記二つの相対的な移動の方向を被係合部材の表面に沿う方向にすることにより、係合部の被係合部材との係合が可能となる。
ここで、上述までの係止対象物固定装置においては、好ましくは係合部の被係合部材との係合が解除された状態において、挿入部は、連通穴に対して、被係止物上から挿入自在、及び該被係止物上に抜出自在とされる。係合部の係合解除状態において、係合部が固定用孔部や被係止物側孔部に邪魔されず(引っかからずに)挿入部が挿入・抜き出し自在になっているため、ユーザは、固定装置本体部を係合解除状態にすれば、これを被係止物等側から何ら意識せずに抜き出すことが可能となり、ユーザによる操作性が向上する。特に、該係止対象物固定装置は、被係止物の一方側のみからのアクセスによって係止対象物の固定作業を行うため、作業性の向上はユーザ利益に大きく貢献する。
ここで、上述までの係止対象物固定装置において、可動部材は、固定装置基部と相対的にスライドする部材であり、可動部材と固定装置基部が相対的なスライドにより所定係合移動を介して係合位置に至ると、係合部による被係合部材への係合状態が形成され、可動部材と固定装置基部が、所定係合解除移動を介して係合位置に至るスライドとは逆方向の相対的なスライドにより係合解除位置に至ると、係合部による被係合部材との係合状態が解除されるようにしてもよい。
このように可動部材を、スライド部材によって構成することで、ユーザはスライド部材のスライド操作を行い、それにより係合部の係合状態の形成およびその解除が行われることになる。ここで、該係合状態およびその解除を成立させるために、スライド部材は、係合位置と係合解除位置との間を固定装置基部に対して相対的にスライドされ、スライド部材による当該スライドを本明細書においては単に「相対的スライド」とも言う。そして、上記所定係合移動および所定係合解除移動が、この相対的スライドに含まれる。したがって、係止対象物と被係止物とを固定したいユーザは、係止対象物固定装置の一対の挿入部を連通孔に挿入させ、更に上記相対的スライドを行えばよく、ユーザに課される作業は極めて簡潔となり且つ係合部による強固な係止対象物の固定が実現される。すなわち、ユーザが着脱作業を行う係止対象物固定装置においては、ユーザによる操作性を高くし(操作を分かりやすくし)ないと、固定装置本体部を係合状態に確実に導くことができず、実用に耐え得ない。本構成を採用すれば、ユーザは、被係止物と係止対象物を重ねて連通孔を形成した状態で、係合解除状態にスライド移動させた固定装置本体部の挿入部を連通孔に差し込み、固定用装置本体部を係合状態にスライド移動(所定係合移動)させるだけで固定が完了する、極めて分かりやすい、どのようなユーザであっても確実に固定可能となる。係止対象物を外す際も、以上と逆の、簡単な操作を行うだけで(スライド移動に関しては、上記のスライド移動の方向とは向きが逆となるスライド移動(所定係合解除移動)を行うだけで)、係止対象物固定装置のパーツが被係止物や係止対象物に残ることのない、完全な分別が可能となる。
ここで、上記スライド部材を有する係止対象物固定装置において、可動部材と固定装置基部が、相対的なスライドにより所定係合移動を介して係合位置に至ったとき、相対的なスライドが行われる側から所定のスライド制限位置に至ることで、可動部材と固定装置基部の相対的なスライドを制限し、該可動部材をロックするロック部材を備えるようにしてもよい。
上述のようにスライドは、相対的スライドを行うことで係合部の係合による被係止物と係止対象物の固定が行われる。ここで、係合部の係合をより確実に維持するために上記ロック部材が備えられ、且つこのロック部材の操作は、挿入部の挿入および相対的スライドの場合と同様に、ユーザの作業容易性を考慮して、スライド部材のスライド操作を行う被係止物の一方側からのユーザのアクセスにより行われる。具体的には、ロック部材が、相対的スライドを制限する所定のスライド制限位置に至るようにすることで、該スライド部材の相対的スライドが制限され、以て係合部の係合による保持が確実に維持されることになる。
ロック機構としては、可動部材と固定装置基部とが係合位置に配置された際に、両者によって所定の間隙が形成されるようにし、当該間隙にロック部材が嵌りこんでそこを塞ぎ、可動部材と固定装置基部とが所定係合解除移動を行って係合解除位置へ移動できないようにする機構が好適に採用される。この機構によれば、可動部材及び固定装置基部が係合状態から係合解除状態へ遷移することをロック部材により完全に阻止できるため、係合状態を極めて確実に保つことができる。例えば、ゆるみが生じてしまう可能性のあるようなネジ止めなどでは、係合状態を保てなくなってしまう場合がある。そうすると、前記したように、少しでも想定外の位置に係合部が配置されると係合部が連通孔から極めて抜けやすくなってしまい、係合状態が解除されてしまうだけでなく、場合によっては係合部等が破損してしまうこともあり得る。本構成ではこのような問題を極めて効果的に防止できる。
このようなロック部材の一例として、次の形態が挙げられる。例えば、前記ロック部材は、前記可動部材と前記固定装置本体のうち少なくとも一方にヒンジ接続部を介して接続されるとともに、前記被係止物上の領域において該接続された該可動部材又は該固定装置本体に対して該ヒンジ接続部による回転移動が可能であって、前記可動部材と前記固定装置本体が相対的なスライドにより前記係合位置に至ったとき、上記間隙を塞ぐことで、該可動部材と該固定装置本体との相対的なスライドを制限するようにしてもよい。また、可動部材及び固定装置基部が係合位置に至った際に両者間に所定の間隙を形成するように構成した上で、ロック部材が、この間隙を塞いで可動部材と固定装置基部とが係合解除位置へ移動できないようにする部材として構成してもよい。このようにロック部材をスライド部材に対して回転移動可能となるように接続する形態に以外にも、直線的な相対的な移動等が可能な状態にスライド部材に連結されているロック部材の形態も採用可能である。このようにロック部材を固定装置本体と常時接続した構成にすれば、ユーザがロック部材を紛失してしまう危険性をなくすことができ、また、ユーザが着脱操作時に最適なロック部材を選択するという作業を行わないですむようにすることができる。特に、着脱作業が頻繁に行われない係止対象物固定装置においては、これらの問題が発生してしまう可能性が極めて高くなるところ、本構成ではこれらの問題を解決しているため、実使用に耐えうる係止対象物固定装置となる。以上とは別の形態として、ロック部材を、スライド部材とは切り離し、独立した部材として構成しても構わない。
ここで、ロック部材は、間隙を塞いでいない場合には、該間隙の外部に自身が露出することで、可動部材と固定装置基部との相対的なスライドを制限していないことをユーザへ表示するようにしてもよい。これによれば、ロック部材が間隙の外部に露出していることがユーザに認識可能であるため、可動部材と固定装置基部との相対的なスライドが制限されているか否かをユーザに容易に認識させることが可能である。以上のような係止対象物固定装置においては、完全な係合状態を保たないとしたように係止部が外れてしまったりするため、ユーザにロック部材を確実に間隙へ至らせる必要がある。これに対して本構成によれば、ロック部材が間隙に至っているか否かをユーザは直感的に極めて容易に理解することができるため、確実な係合状態を保つことが可能となる。
また、ロック部材は、ヒンジ接続部の回転軸を中心に回動可能な操作板部を有しており、該ロック部材が間隙を塞いでいない状態においては、該操作板部が固定装置本体部上で起立することにより、可動部材と固定装置基部との相対的なスライドを制限していないことをユーザへ表示してもよい。これによれば、ユーザがロック部材を回転移動する際に操作する操作板部が、ロック部材が間隙を塞いでいない場合には固定装置本体上で起立するため、容易に可動部材と固定装置基部との相対的なスライドが制限されているか否かをユーザに容易に認識させることが可能である。
また、ロック部材は、ユーザが回転移動をするための操作板部であって、ヒンジ接続部の回転軸を中心に回動可能な操作板部を有しており、操作板部は、ロック部材が回転移動によって間隙に至りそこを塞ぐことで、可動部材と固定装置基部との相対的なスライドを制限している場合に、固定装置本体部側の操作部の少なくとも一部を覆うようにしてもよい。これによれば、ロック部材が間隙に入っていないことが操作時の条件となる可動部材と固定装置基部との相対移動の操作を行う際、ロック部材が間隙に至っているとスライド操作を行う際にユーザが触れるべき操作部が、ロック部材側の操作板部によって覆われた状態となるため、相対的スライド操作を行う前にロック部材によるロックを解除する必要があることをユーザが容易に認識することが可能となる。
より具体的には、操作部は、ユーザが指を掛けて可動部材と固定装置本体との相対的なスライドを可能にする孔を有しており、操作板部は、ロック部材が回転移動によって間隙に至りそこを塞ぐことで、可動部材と固定装置本体との相対的なスライドを制限している場合に、ユーザが指を掛ける孔の少なくとも一部を覆っても良い。ロック部材が間隙に至っているとユーザが指を掛ける孔が操作板部によって覆われた状態となるため、相対的スライド移動を行う前にロック部材によるロックを解除する必要があることをユーザが容易に認識することが可能となる。
ここで、上述までのスライド部材を有する係止対象物固定装置において、可動部材と固定装置基部とが所定係合移動を介して係合位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を維持する第一維持部、及び/又は、可動部材と固定装置本体とが所定係合解除移動を介して係合解除位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体との相対位置関係を維持する第二維持部を更に備えるようにしてもよい。
第一維持部を有することで、係合位置にある可動部材と固定装置基部との相対位置関係を維持することが可能となる。その結果、ユーザの固定作業時における係止対象物固定装置の姿勢等に影響されることなく、係合部の係合による被係止物の保持状態を円滑に形成することが可能となる。特に、両部材を係止位置に配置させた後ロック部材によるロックが完了するまでの間、第一維持部は、上記間隙を維持する際に効果的に機能する。
また、第二維持部を有することで、係合解除位置にある可動部材と固定装置基部との相対位置関係を維持することが可能となる。その結果、ユーザの固定作業時における係止対象物固定装置の姿勢等に影響されることなく、係合部が設けられた挿入部の固定装置本体部に対する相対的な位置関係も維持されることになり、以て連通孔への該挿入部の挿入およびそこからの抜出を円滑に行うことが可能となる。特に、係合解除状態において、係止部/挿入部が係止対象物や被係止物に設けられた孔部等に邪魔されることなく抜き差し可能に構成した場合、さらに上記したように構成によって係合解除状態を維持できるようにすれば、係止対象物固定装置の連通孔からの抜き差しが極めて容易になる。
そして、第一維持部と第二維持部の構成については、次に示す一例が挙げられる。例えば、可動部材と固定装置基部の何れか一方は、相対的なスライドのスライド方向に沿って
形成された維持用溝部と、該維持用溝部を2つの維持用領域に区切る突起部と、を有し、可動部材と固定装置基部のうち維持用溝部と突起部とを有しない何れか他方は、相対的なスライドのスライド方向に沿って形成され、且つ突起部を乗り越えて2つの維持用領域の何れにも収まる収納突起部を有し、第一維持部は、収納突起部が2つの維持用領域のうち一方に収容されることで、可動部材と固定装置基部とが係合位置に至ったときの該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を維持し、第二維持部は、収納突起部が2つの維持用領域のうち他方に収容されることで、可動部材と固定装置基部とが係合解除位置に至ったときの該可動部材と該固定装置本体との相対位置関係を維持するようにしてもよい。
すなわち、可動部材と固定装置基部の何れか一方側に設けられた維持用溝部と何れか他方側に設けられた収納突起部の相対移動関係にしたがって、該維持用溝部内の突起部を第一維持部による相対位置関係の維持と、第二維持部による相対位置関係の維持の切替の境界とすることで、可動部材と固定装置基部の相対的スライド(所定係合移動と所定係合解除移動)が行われる。これにより、収納突起部が2つに区切られた維持用領域の何れかに収まることで、第一維持部及び第二維持部による相対位置関係の維持が実現される。
また、上述までのスライド部材を有する係止対象物固定装置において、可動部材と固定装置基部とが係合解除位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を維持する解除時維持部と、可動部材と固定装置基部とが係合解除位置を外れた位置にあるとき、該可動部材と該固定装置基部とが所定の移動範囲内で制限された相対移動が許容されるように、該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を形成する相対移動許容部と、を更に備えるようにしてもよい。このように解除時維持部を有することで、上記第二維持部の場合と同様に、係合解除位置にある第一スライド部材と第二スライド部材との相対位置関係を維持することが可能となる。また、相対移動許容部を有することで、可動部材と固定装置基部とが係合解除位置を外れた位置にあるときは、可動部材と固定装置基部との相対位置関係は維持されず、両者の相対的スライドが許容される。そのため、可動部材と固定装置基部とを有する係止対象物固定装置を使って係止対象物の固定を行おうとするユーザは、該係止対象物固定装置を触るとすぐに、可動部材と固定装置基部との相対位置関係が係合解除位置にあるか否かを容易に判断することができる。そして、必要があれば可動部材と固定装置基部とを係合解除位置に位置させるべく相対的スライド(所定係合移動)を行うことで、円滑な係止対象物の被係止物への固定を実現することができる。
そして、解除時維持部と相対移動許容部の構成については、次に示す一例が挙げられる。例えば、可動部材と固定装置基部の何れか一方は、相対的なスライドのスライド方向(所定係合移動と所定係合解除移動の方向)に沿って形成された溝部と、該溝部を2つの領域に区切る第一突起部と、を有し、可動部材と固定装置基部のうち維持用溝部と突起部とを有しない何れか他方は、相対的なスライドのスライド方向(所定係合移動と所定係合解除移動の方向)に沿って形成され、且つ第一突起部を乗り越えて2つの領域の何れにも収まる第二突起部を有し、解除時維持部は、第二突起部が2つの領域のうち一方に収容されることで、可動部材と固定装置基部とが係合解除位置に至ったときの該可動部材と該固定装置基部との相対位置関係を維持し、相対移動許容部は、第二突起部を2つの領域のうち他方に収容し、且つ該第二突起部の該他方の領域内での移動を可能とすることで、可動部材と固定装置基部とが所定の移動範囲内での制限された状態での相対移動を実現するようにしてもよい。
すなわち、可動部材と固定装置基部の何れか一方側に設けられた溝部と可動部材と固定装置基部の何れか他方に設けられた第二突起部の相対移動関係にしたがって、該溝部内の第一突起部を解除時維持部による相対位置関係の維持と、相対移動許容部による相対移動許容の切替の境界とすることで、可動部材と固定装置基部との相対的スライド(所定係合移動と所定係合解除移動)が行われる。これにより、第二突起部が2つに区切られた領域
の何れかに収まることで、可動部材と固定装置基部との相対位置関係の維持と、限られた所定の範囲内での相対移動が可能とされる。
また、上述までのスライド部材を有する係止対象物固定装置において、係止対象物における固定装置本体部と接する面に、可動部材と固定装置基部との相対移動を補助するガイド部が設けられており、固定装置本体部は、さらに、ガイド部と嵌合した状態で、可動部材と固定装置基部による係止位置と係止解除位置との間の所定係合移動及び所定係合解除移動をガイドするための被ガイド部を備えるようにしてもよい。
このような構成にすれば、ユーザは、固定装置本体部を係合解除位置と係合位置のいずれにも極めて容易にかつ確実に移動させることができる。したがって、ユーザが着脱作業を行うにもかかわらず、確実な固定が行えるとともに、作業性を極めて良好なものにすることができる。
より具体的な構成例としては、例えば、係止対象物は、被係止物側の一方側と接触し、且つ可動部材と固定装置基部とが配置されるベース部材と、ベース部材上に設けられ、可動部材と固定装置基部とによる相対的なスライドのスライド方向に沿って延在する突状部(例えば細長突状部)と、を有し、可動部材と固定装置基部のうち少なくとも一方に設けられ、突状部に嵌り、相対的なスライド時に該突状部上をスライドするスライド凹部を、更に備えるようにしてもよい。
固定装置本体部のスライド部材は、係止対象物のベース部材上に配置されて、上述した挿入部の連通孔への挿入と、その後の相対的スライドが行われる。ここで、可動部材と固定装置基部の何れか一方に設けられた細長突状部と、可動部材と固定装置基部の何れか他方に設けられたスライド凹部は嵌りあっており、且つ相対的スライドにおいて、スライド凹部が細長突状部上をスライドすることが可能となっている。すなわち、細長突状部が可動部材と固定装置基部との相対的スライドのガイドとして役割を担うように構成されており、その結果、係合部の係合およびその解除をユーザは円滑に行うことが可能となる。また、可動部材と固定装置基部とを係止対象物上に配置させる際に、その配置場所を位置決めするためにも、スライド凹部と細長突状部との嵌め合いは有用である。
上述までのスライド部材を有する係止対象物固定装置において、可動部材は、該可動部材が有する操作部の近傍に被阻害部を有し、固定装置基部は、相対的なスライドにおいて可動部材と該固定装置基部が最も近接している、係合位置と係合解除位置の何れかの位置に該可動部材と該固定装置基部とが至ったとき、被阻害部の上方において該被阻害部と重なる位置に至り、第一スライド部材の上方への変位に対して該被阻害部を介して阻害(抑制/阻止)し得る阻害部を有してもよい。また、可動部材を、固定装置基部上をスライドする部材とし、固定装置本体部に、さらに、可動部材が固定装置基部よりも上方へ変位することを邪魔する邪魔部材が設けられてもよい。
可動部材と固定装置基部とをスライド移動させる構成においては、ユーザは、可動部材(ここでは固定装置基部よりも上側をスライド移動する部材)に設けられた操作部を用いて、本来はスライド移動させなければならないところ、ユーザが誤って上方へ移動させようとしてしまうことがある。このような操作によっては着脱操作を行えないばかりでなく、固定装置本体部等を壊してしまう場合もあり得る。そこで、この操作を邪魔(阻止)するよう邪魔部材を設けることが望まれる。なお、この操作を邪魔(阻害)し、当該操作が間違いであることをユーザが意識できるようにしてもよい。すなわち、上記係止対象物固定装置においては、相対的スライドにおいて可動部材と固定装置基部とが互いに最も近接した状態で、被阻害部と阻害部とが係止対象物固定装置の上方において接触し合えるように設けられることで、相対的スライドのために操作部を操作するユーザに対して、可動部
材と固定装置基部とをその上方に強制的に操作することは両者の接触(邪魔/阻害)により制限されていることを明示的に知らしめることが可能となる。すなわち、可動部材と固定装置基部とが最接近している状態において、ユーザがそれを上方に強制的に相対移動させようとすると被阻害部と阻害部とが接触するため、その接触動作を介してその強制的な上方への相対移動は適切ではないとユーザは知ることになる。その結果、ユーザを適切な相対的スライドのための操作に導くことが可能となる。この構成であっても被阻害部及び阻害部がユーザによる上記動作を「邪魔/阻止」するようにしてもよいことは当然である。
そして、上記の被阻害部と阻害部については、次に示す一例が挙げられる。例えば、前記可動部材の操作部は、該可動部材の端部のうち前記固定装置基部から離れた方の端部(スライド移動によって固定装置本体部の表面積が最も大きくなった場合における、固定装置本体部の端部でもある可動部分の端部)に設けられ、且つ前記被阻害部は、該操作部に隣接して設けられ、前記阻害部は、前記固定装置基部の端部のうち前記可動部材に対向する端部に設けられるようにしてもよい。なお、被阻害部、阻害部の具体的な構成はこの形態に限られず、好ましくは両スライド部材の相対的スライドに影響を及ぼすことなく、且つユーザに対してその存在を知らしめやすい場所に設けられる。
ここで、上述までのスライド部材を有する係止対象物固定装置において、可動部材は、固定装置基部の上面に沿って相対的なスライドを行い、固定装置基部の一部は、可動部材の上面の一部を覆い、該可動部材の上方への変位を制限するようにしてもよい。すなわち、可動部材と固定装置基部とが、相対的スライドのスライド方向とは異なる係止対象物固定装置の上方において、互いに重なり合う構成とされることで、相対的スライドのためのユーザの操作によって上側に位置するスライド部材が反り上がってしまうのを防止するとともに、相対的スライドがより円滑に行われることを促進させることが可能となる。すなわち、このような可動部材と固定装置基部との重なり合いは、ユーザの作業性向上に大いに資する。また、このように可動部材が反ってしまうと、当該部材に接続している挿入部の係止爪が被係止物ときちんと係合しなくなってしまう場合があるが、本構成によりこのことを防止し得る。
そして、上記可動部材と固定装置本体との重なり合いについては、次に示す一例が挙げられる。例えば、上記係止対象物固定装置において、可動部材は、相対的なスライドのスライド方向に沿った側辺の一部に切り欠き部を有し、固定装置基部は、可動部材が該固定装置基部の上面をスライドするために該可動部材を収めるスライド用窪み部と、スライド用窪み部に突出する突出片と、を有し、突出片は、可動部材がスライド用窪み部に収められた状態において切り欠き部の内部に収められることで、該可動部材の上面の一部を覆い、且つ該切り欠き部の内部を相対的なスライドにしたがって、変位自在であってもよい。このような構成により、可動部材と固定装置基部との相対的スライドと、係止対象物固定装置の上方における可動部材と固定装置基部との重なり合いを実現できる。
ここで、上述までのスライド部材を有する係止対象物固定装置において、可動部材は、係止対象物と接する裏面上に第一位置決め突起部を有し、固定装置基部は、係止対象物と接する裏面上に第二位置決め突起部を有し、可動部材と固定装置基部が係止対象物上に配置されたとき、該係止対象物に設けられた位置決め用孔部に、第一位置決め突起部と第二位置決め突起部とが収められ、相対的なスライドによって、第一位置決め突起部と第二位置決め突起部が、位置決め用孔部の縁に接触すると、可動部材と固定装置基部が係合解除位置に位置するように構成されてもよい。
すなわち、上記係止対象物固定装置では、相対的スライドを行う可動部材と固定装置基部とにそれぞれ位置決め用の突起部(第一位置決め突起部と第二位置決め突起部)が設け
られ、それらの突起部と被係止物側の位置決め用孔部との接触関係によって、可動部材と固定装置基部との相対位置関係が決定される。特に、第一位置決め突起部と第二位置決め突起部とが位置決め用孔部と接触することで、相対的スライド動作(所定係合移動および/または所定係合解除移動)が規制され、その結果、可動部材と固定装置基部との位置が係合解除位置に半ば自動的に特定されることになる。この係合解除位置は、ユーザにとっては、一対の挿入部を連通孔から抜出を行いたい位置でもある。そこで、このように第一位置決め突起部と第二位置決め突起部によって、係止対象物/被係止物に対する係合解除状態における可動部材と固定装置基部の位置が自動的に特定/決定することで、係止部が被係合物側孔部と引っかかることなどを防止できるため、ユーザの上記抜出操作が比較的容易に行われ得る。この際、係止対象物と被係止物との位置決めを、例えば一方に位置決め用孔部、他方に位置決め用凸部を設けるなどして行っておけば、固定用孔部と被係止物側孔部とが連通し連通孔の形成を保てるため、係止部/挿入部の抜き出しをより容易なものとできる。
なお、上記した突起部と孔部は互いに逆の関係、すなわち固定装置本体部側に孔部を設け、係止対象物側に凸部を設けても上記同様の作用が得られる。また、二つある突起部の内、一方を固定装置本体部側に設け、他方を係止対象物側に設け、それぞれに対向する側に孔部を設けてもよい。さらに、一つの孔部に両突起部が配設されるようにしても上記同等の作用が得られる。すなわち、可動部材の係止対象物と接する面上、及び固定装置基部の係止対象物と接する面上のそれぞれと、係止対象物における固定装置本体部と接する面上とのうち、一方に位置決め用孔部が設けられ、他方に位置決め用突起部が設けられ、位置決め用突起部は、それぞれ対応する位置決め用孔部に納められるように構成され、そして、可動部材と固定用装置基部との所定係合解除移動において、各位置決め用突起部が位置決め用孔部の縁に接触した際、該可動部材と該固定用装置基部とは係止解除位置に規定されるように構成されてもよい。この結果、位置決め用突起部は、固定装置が配置された際に位置決め用孔部内に配置され、係合部と被係合部材とが係合した状態から所定係合解除移動が行われることで位置決め用突起部が位置決め用孔部の縁に接触した際に、挿入部が連通孔に対して抜き出し自在となるように、連通孔が位置する係止対象物や被係止物に対する挿入部の相対位置が規定される。
また、上述までの係止対象物固定装置において、固定装置本体部は、係合部が被係合部材に対して係合が解除された状態であるとき、挿入部が連通孔に対して抜き出し自在となるように、係止対象物及び被係止物の少なくとも一方に対する挿入部の相対位置を位置決めする位置決め部を有するようにしてもよい。すなわち、相対的スライド以外の動作によって係合部との係合およびその解除を行う係止対象物固定装置においても、上述した理由と同様の理由で、係合部による係合が解除される状態で、係止対象物に対する固定装置本体部の相対位置を位置決めする位置決め部は有用である。
ここで、上述までの係止対象物固定装置において、挿入部の連通孔への挿入方向に沿って、固定装置本体部と係合部との間に延在する平面部であって、該平面部の面部分は相対的なスライドのスライド方向に沿って形成される位置決め平面部を、更に備えるようにし、そして、係合部が、相対的なスライドにより被係止物に対して係合する状態となると、位置決め平面部は、固定用貫通部と連通する被係止物側位置決め孔部と、被係止物側孔部と連通する被係止物側位置決め孔部に挿入された状態となるように構成してもよい。
すなわち、上記係止対象物固定装置では、固定装置本体部と係合部との間に、挿入部に加えて位置決め平面部が備えられる。この位置決め平面部は、係合部の係合状態において、上記被係止物側位置決め孔部と被係止物側位置決め孔部とに挿入された状態となるので、係合部が係合状態に至る過程での、その係合部の位置決めを行う機能を果たす。特に、可動部材がスライド部材で構成される場合、相対的スライドにしたがって、上記位置決め
平面部が被係止物側位置決め孔部と被係止物側位置決め孔部とに挿入されるように構成されると、その相対的スライドにおける位置決め機能を果たすことになる。特に、相対的スライドのスライド方向に交差する方向への位置決めを行うべく、位置決め平面部の、被係止物側位置決め孔部及び被係止物側位置決め孔部に対する相対的位置関係を決定するのが好ましい。
係止対象物固定装置は、さらに、挿入部の連通孔への挿入方向に沿って、固定装置本体部と係合部との間に延在する、少なくとも二つの対向する面部分が相対的なスライドのスライド方向に沿って形成される平面部を、備え、そして、平面部は、少なくとも係止位置において、固定用孔部及び被係止物側孔部のそれぞれに設けられた、これらと連通する当該平面部を収納する固定用収納部及び被係止物側収納部に収納される位置に配置されるようにしてもよい。
このように構成すれば、上記したように係止部/挿入部の、挿入方向以外の方向における係止対象物上での相対位置を確実な位置に導くことができ、係合状態においてこの方向における位置決めを行うことができるだけでなく、さらに、当該方向成分を含む衝撃力が加えられた際、その力が挿入部と係止対象物並びに被係止物との間のみで伝達されるのを分散して伝達することができる。すなわち、このような衝撃力(通常想定される、被係止物の落下等に起因する衝撃力など)が発生した場合に、平面部が連通孔の全部またはその一部と当接可能なように構成することで、衝撃力を分散して伝達することが可能となる。したがって、係止物固定装置/被係止物/係止対象物の破損等を防止することができ、また、係止物固定装置による係合状態を維持することも可能となる。
次に、本発明に係る第三の係止対象物固定装置は、係止対象物に設けられた固定用孔部と被係止物に設けられた被係止物側孔部とを用いて、該係止対象物と該被係止物とを固定する係止対象物固定装置であって、係止対象物固定装置は、固定用孔部及び被係止物側孔部が重なって形成された連通孔に挿入され、係止対象物と係合し、係止対象物と被係止物とを固定する係止部が設けられた挿入部を有する固定装置本体部を備え、係止部は、係止対象物と被係止物とを係合する状態において、固定用孔部及び被係止物側孔部のそれぞれに連通して設けられている固定用収納部及び被係止物側収納部に収納され、衝撃が発生した際に固定用収納部及び被係止物側収納部の少なくとも一方に当接可能に構成された平面部を備えている。この構成によっても上記したような作用・効果を奏し、係止対象物の一方の側からのアクセスのみで係止対象物と被係止物とを着脱可能に固定するという、従来技術では係止部や挿入部に極めて多大な負荷がかかっていた構成において、当該構成を維持し、かつ、固定状態を良好に維持し得る。
また、係止対象物に設けられた固定用孔部と被係止物に設けられた被係止物側孔部とを用いて、該係止対象物と該被係止物とを固定する係止対象物固定装置であって、係止対象物固定装置は、固定用孔部及び被係止物側孔部が重なって形成された連通孔に挿入され、係止対象物と係合し、係止対象物と被係止物とを固定する係止部が設けられた挿入部を有する固定装置本体部を備え、係止部は、係止対象物と被係止物とを係合する状態において、固定用孔部に連通して設けられている固定用収納部に収納され、衝撃が発生した際に固定用収納部に当接可能に構成された平面部を備えていてもよい。この構成によっても、上記同等の作用効果を奏する。
また、上述までの挿入部は、前記固定用孔部及び前記被係止物側孔部に対して挿入される方向の先端部分の角が面取りされていてもよい。これによれば、挿入部が固定用孔部及び被係止物側孔部に対して挿入される際、これらに挿入部が接触しても被係止物や係止対象物を傷めたり、あるいは挿入部を傷めたりする事が無くなる。
また、本発明を、係止対象物を被係止物に固定するための固定方法の側面から捉えることも可能である。すなわち、本発明は、係止対象物に設けられた固定用孔部と被係止物に設けられた被係止物側孔部とを用いて、該係止対象物と該被係止物とを固定するための固定方法であって、固定装置本体部に設けられる可動部材であって該固定装置本体部と相対移動可能な可動部材に設けられた挿入部を、被係止物の一方側から、固定用孔部及び被係止物側孔部が重なって形成された連通孔に対して順に挿入する第一ステップと、固定装置本体部が被係止物の一方側に配置された状態においてユーザが該固定装置本体部と相対的な移動を行うために可動部材に設けられる操作部を操作し、挿入部に設けられ、上記被係合部材に対する係合および該係合の解除が可能な係合部を該被係合部材に対して係合させる第二ステップと、を含む。
また、本発明は、係止対象物固定装置を製造するための成型用金型であってもよい。すなわち、ロック部材を有する上記何れかに記載の係止対象物固定装置の前記ロック部材を、前記可動部材と前記固定装置本体のうち少なくとも一方である非接続部材と前記ヒンジ接続部を介して接続されるように一体成型する成型用金型であって、前記回転移動により前記間隙に至らない状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面のうち、前記被係止物側の面を成型する第一の金型と、前記回転移動により前記間隙に至らない状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面のうち、前記被係止物側と反対側の面を成型する第二の金型と、を備え、前記第一の金型と前記第二の金型とが連結されることにより形成される型枠に樹脂が注入されることで、前記ヒンジ接続部により接続された状態の前記非接続部材と前記ロック部材とを一体成型するようにしてもよい。なお、非接続部材とは、ロック部材と上記ヒンジ接続部を介して接続されるあらゆる部材であり、例えば、上記可動部材や上記固定装置本体を例示できる。
可動部材または固定装置本体とヒンジ接続部を介して接続されるロック部材を、ヒンジ接続部、及び可動部材または固定装置本体と共に一の金型で一体成型する場合、ロック部材を可動部材または固定装置本体の何れかと当接する状態で一体成型するとロック部材が可動部材または固定装置本体と癒着してしまう。ここで、ロック部材が可動部材または固定装置本体と当接しない状態、換言すると、ロック部材が前記回転移動により前記間隙に至らない状態で成型されるように金型の成型面を構成することにより、このような癒着を防ぐことが可能になる。この場合において、前記第一の金型および前記第二の金型が、前記ロック部材が前記間隙に至る状態から略90度回転移動された状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面を成型するようにすれば、これら第一の金型および第二の金型の分離を容易にすることができる。
ロック部材が設けられた可動部材及び固定装置基部の少なくとも一方である被接続部材を作成するための成型用金型であって、成型用金型は、被接続部材とロック部材とを、ヒンジ接続部を介して略90度の位置関係で接続した状態で樹脂が注入されて一体整形する金型によって作成された被接続部材は、被接続部材のヒンジ接続部側端部とロック部材のヒンジ接続部側端部とをロックさせた際(略0度の位置関係にした際/上記間隙にヒンジ接続部を至らせた際)、両端部間に隙間が生じない。したがって、ロック部材が係合状態を維持する際にがたつきが生じる可能性を極めて小さなものにできる。上記したような脱着機構において係合状態ががたついてしまうと、係止爪の相対位置がずれてしまうこととなり、係止爪が被係止物側孔部等から外れやすくなってしまうといった問題が生じるが、以上の金型で作成された固定装置によれば、そのようながたつきが生じる可能性をなくす/極めて低くすることができるため、上記したような被係止物の一方の側からのみのアクセスによって着脱を行う固定装置の実現性に大いに寄与する。なお、「略90度」とは、少なくとも「略0度」、すなわち、成型品において上記両端部の間に隙間が生じてしまったり、成型後にカッタなどを用いてヒンジ接続部を設ける必要性が出てしまい少なくとも
カッタの幅分隙間が生じてしまったりしてしまう角度での成型を含まないという意味であり、上記間隙にロック部材が嵌合された状態を0度としロック部材の回動方向に、一般には45度以上、好適には70度以上、上限としては180度以下、一般には135度以下、好適には110度以下とされ、望ましくは90度の極近傍の角度で成型される。90度の極近傍の角度で成型すれば、型が2つでよくなったり、型を抜くのが容易になったりする等の利点がある。
また、本発明は、上記成型用金型を用いた係止対象物固定装置の製造方法であってもよい。すなわち、上記の成型用金型を用いて、前記ヒンジ接続部を介して接続される前記ロック部材と前記非接続部材とを製造する係止対象物固定装置の製造方法であって、前記第一の金型と前記第二の金型とが連結されることにより形成される前記型枠に前記樹脂を注入するステップと、前記第一の金型と前記第二の金型とを分離することにより、前記型枠内に成型された前記非接続部材によって連結される前記ロック部材と前記非接続部材とを取り出すステップと、を有するものであってもよい。
これによれば、第一の金型と第二の金型とが連結されることにより形成される型枠に樹脂を注入し、その後これら金型を分離することにより、ヒンジ接続部を介して接続されるロック部材と非接続部材とを一体成型することが可能である。なお、本製造方法は、例えば、熱溶解した樹脂を型枠に注入し、該樹脂が冷却によって硬化した後に金型を分離して成型物を取り出しても良い。
書類等を綴じる綴じ具をファイル本体の一方側からの作業のみで着脱自在に固定することを可能とするファイルのための綴じ具固定装置、綴じ具固定装置、及び成形用金型を提供することができる。
また、係止対象物を、被係止物を挟んだ両側のうち一方側からの作業のみで着脱自在に固定することを可能とする係止対象物固定装置を提供することができる。
本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置による該綴じ具の概略を示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置を形成する第一スライド部材の構成を示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置を形成する第二スライド部材の構成を示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置の全体構成を示す第一の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置の全体構成を示す第二の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の上面図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の断面図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合解除状態にある時の上面図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合解除状態にある時の断面図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置によって固定される綴じ具の構成を示す第一の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置によって固定される綴じ具の構成を示す第二の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置によって固定される綴じ具の構成を示す第三の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置によって綴じ具が固定されるファイル本体の構成を示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置によって、綴じ具が固定される手順を示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置が綴じ具およびファイル本体に挿入されて、係合解除状態にあるときの断面図である。 図8Bの状態にある固定装置を、ファイル本体の外側から見たときの図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置が綴じ具およびファイル本体に挿入されて、係合状態に至ったときの図である。 図8Dの状態にある固定装置の断面図である。 図8Dの状態にある固定装置を、ファイル本体の外側から見たときの図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態に至り、挿入空間にロック部材が嵌めこまれた状態を示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置の係合爪によるファイル本体の係合の状態を拡大して示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置において、ロック部材近傍の拡大図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置におけるロック部材の挿入空間への嵌り込みを示す第一の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置におけるロック部材の挿入空間への嵌り込みを示す第二の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置の係合爪の形状を示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置における位置決め突起部と位置決め孔部との相関関係を示す第一の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置における位置決め突起部と位置決め孔部との相関関係を示す第二の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置における位置決め突起部と位置決め孔部との相関関係を示す第三の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置におけるスライド突起部とスライド溝部との相関関係を示す第一の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置におけるスライド突起部とスライド溝部との相関関係を示す第二の図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置における突状部とスライド凹部との相関関係を示す図である。 本発明の第一の実施例に係る綴じ具の固定装置における平面突出部の機能説明をするための図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置による該綴じ具の概略を示す図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置を形成する第一スライド部材の構成を示す図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置を形成する第二スライド部材の構成を示す図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置の全体構成を示す第一の図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置の全体構成を示す第二の図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の上面図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の断面図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合解除状態にある時の上面図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合解除状態にある時の断面図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置によって固定される綴じ具の構成を示す図である。 本発明の第二の実施例に係る綴じ具の固定装置によって綴じ具が固定されるファイル本体の構成を示す図である。 本発明の第二の実施例に係る固定装置によって綴じ具がファイル本体に固定された状態を示す図である。 図23に示す状態をファイル本体の外側から見たときの図である。 本発明の第三の実施例に係る綴じ具の固定装置による該綴じ具の概略を示す図である。 本発明の第三の実施例に係る綴じ具の固定装置によって固定される綴じ具の構成を示す図である。 本発明の第三の実施例に係る綴じ具の固定装置によって綴じ具が固定されるファイル本体の構成を示す図である。 本発明の第三の実施例に係る固定装置によって綴じ具がファイル本体に固定された状態を示す図である。 図28に示す状態をファイル本体の外側から見たときの図である。 本発明の第四の実施例に係る綴じ具の固定装置を形成する第一スライド部材の構成を示す図である。 本発明の第四の実施例に係る綴じ具の固定装置を形成する第二スライド部材の構成を示す図である。 本発明の第四の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の上面図である。 本発明の第四の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の背面図である。 本発明の第四の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合解除状態にある時の上面図である。 本発明の第四の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合解除状態にある時の背面図である。 本発明の第五の実施例に係る綴じ具の固定装置を形成するスライド部材の構成を示す図である。 本発明の第五の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の上面図である。 本発明の第五の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の背面図である。 本発明の第五の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合解除状態にある時の上面図である。 本発明の第五の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合解除状態にある時の背面図である。 本発明の第六の実施例に係る綴じ具の固定装置の全体構成を示す第一の図である。 本発明の第六の実施例に係る綴じ具の固定装置の全体構成を示す第二の図である。 本発明の第六の実施例に係る綴じ具の固定装置によって、綴じ具がファイル本体に固定された状態を示す第一の図である。 本発明の第六の実施例に係る綴じ具の固定装置によって、綴じ具がファイル本体に固定された状態を示す第二の図である。 本発明の第六の実施例に係る綴じ具の固定装置によって、綴じ具がファイル本体に固定された状態を示す第三の図である。 本発明の第七の実施例に係る綴じ具の固定装置の概略構成を示す第一の図である。 図40に示す固定装置によって固定される綴じ具のベースプレート上に設けられた孔部を示す図である。 本発明の第七の実施例に係る綴じ具の固定装置の概略構成を示す第二の図である。 図42に示す固定装置に設けられた係合爪の拡大図である。 本発明に係る固定装置が適用されるファイル本体に付属させることが可能な、該ファイル本体の背表紙部のカバーの構成を示す図である。 図44に示す背表紙部のカバーの、ファイル本体への装着手順を示す図である。 第二スライド部材の断面図である。 金型の断面図である。 第二スライド部材の部分拡大図である。 離型時の図である。 離型時の部分拡大図である。 変形例に係る固定装置の適用例を示す図。 変形例に係る固定装置を示す図。 変形例に係る固定装置の使用方法を示す図。 変形例に係る固定装置の使用方法を示す図。 本発明の第十一の実施例に係る綴じ具の固定装置による該綴じ具の概略を示す図である。 綴じ具がファイル本体に固定された状態を、ファイル本体の外側から示す図である。 図55に示す状態のB−B断面を示す図である。 本発明の第十二の実施例に係る綴じ具の固定装置の概略構成を示す図である。 本発明の第十二の実施例に係る綴じ具の固定装置の概略構成を示す図である。 本発明の第十二の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の状態図である。 本発明の第十二の実施例に係る綴じ具の固定装置が係合状態にある時の状態図である。 本発明の第十二の実施例に係る綴じ具の固定装置をテーブルに適用した場合の図である。 本発明の第十二の実施例に係る綴じ具の固定装置をテーブルに適用した場合の図である。 本発明の第十二の実施例に係る綴じ具の固定装置をテーブルに適用した場合の説明図である。
ここで、本発明に係る綴じ具の固定装置(以下、単に「固定装置」という。)の実施の形態について図面に基づいて説明する。なお、本発明に係る固定装置は、書類等を綴じるための綴じ具を備えるファイルに適用されるものであり、本発明が有する技術的思想が同一の範囲である限り、特定の綴じ具や特定のファイリング装置に限定適用されるものではない。すなわち、本実施例は、あらゆる機械要素に適用することが可能であり、例えば、自動車の内装部品といった自動車部品やその他の機械部品の組み付け、或いはテーブルの脚部やキャビネット同士の連結部分等に対しても適用可能である。また、このような機械部品の他、例えば、室内装飾として壁面に固定する絵画等の据付や、壁面に据付可能な薄型のテレビジョン装置、エアコン等の取り付け台座等に対しても適用可能である。なお、係止対象物および被係止物は板状である場合に本実施例は好適に適用できるが、固定装置が当接する部位さえ板状であれば、係止対象物および被係止物全体が板状である必要はない。なお、本明細書においては、固定装置の使用時において、ユーザ側に面する側を表側、その反対を裏側と表現するとともに、相対的に裏側から表側に向かう方向を上向きの方向と設定し、その逆の向きを下向きの方向と設定する。
図1は、本実施例に係る固定装置1と、それによってファイル本体80に固定される綴じ具60が示されている。なお、図1に示す綴じ具60の状態は、実際に固定装置1によって綴じ具60が固定されるときの状態ではなく、該綴じ具60の概略構成が把握しやすいように例示的に示される状態である。ここで、係止対象物固定装置としての固定装置1、係止対象物としての綴じ具60、被係止物としてのファイル本体80の概略的な構成を示すと、固定装置1は固定装置本体部を構成する一方が固定装置基部で他方が可動部材としての第一スライド部材10と第二スライド部材30を有しており、ファイル本体80は、ファイルとして使用されるときの背表紙に相当する背表紙部80aと、表表紙に相当する表表紙部80bと、裏表紙に相当する裏表紙部80cを有し、各表紙部間は、折り曲げ形成される。また、綴じ具60は、ベース部材61、第一綴じ部材70、第二綴じ部材75を有しており、第一綴じ部材70と第二綴じ部材75が組み合わされた状態でベース部材61に取り付けられることで、書類等の綴じ込みが行われることになる。なお、これらの部品の詳細は、順次説明していく。
先ず、固定装置1を構成する第一スライド部材10と第二スライド部材30の構成について、図2A−図5Bに基づいて説明する。第一スライド部材10と第二スライド部材30は、後述する図3A、3B等に示すように組み合わせられことで、互いが相対的にスライドすることが可能となり、当該スライドが可能な状態において本発明に係る固定装置1としての機能を発揮する。なお、この両スライド部材による相対的なスライドを、以下「相対的スライド」と言う。
ここで、図2Aは、第一スライド部材10の構成を示す図であり、図中左側が第一スライド部材10の上面図、図中右側がその背面図となっている。図2Bは、第二スライド部材30の構成を示す図であり、図中左側が第二スライド部材30の上面図、図中右側がその背面図となっている。また、図3Aは、第一スライド部材10と第二スライド部材30を組み合わせて固定装置1を形成したときの、該固定装置1の上方斜視図であり、図3Bは、その固定装置1の下方斜視図である。次に、図4Aは、固定装置1が綴じ具60を固定するために採る、後述する「係合状態」を固定装置1の上方から示す図であり、図4Bは、図4Aに示す係合状態の断面図である。また、図5Aは、固定装置1が綴じ具60の固定を解除するために採る、後述する「係合解除状態」を固定装置1の上方から示す図であり、図5Bは、図5Aに示す係合状態の断面図である。
先ず、第一スライド部材10について、図2Aに基づいて説明する。第一スライド部材10の表側の構成については、該第一スライド部材10は、長手方向に延びる二本の平行
な縦フレーム11を、三本の平行な横フレーム14a、14b、14cで連結するとともに、縦フレーム11の一方の端部に操作部16が設けられた形状を有している。なお、横フレーム14cは、操作部16が設けられた縦フレーム11の端部とは逆の端部に位置する。ここで、縦フレーム11上には、同じように長手方向に延びる二本の平行な上側縦フレーム12が設けられている。したがって、縦フレーム11及び横フレーム14a〜14cの上面と、上側縦フレーム12の上面とは同一面には位置せず、段差形状を形成することになる。また、上側縦フレーム12の端部12aは被阻害部としての端部であって、横フレーム14cの外側の辺よりも第一スライド部材10の外側に若干量飛び出して形成されている。
ここで、二本の縦フレーム11と操作部16及び横フレーム14aとで囲まれることで、第一スライド部材10の表側と裏側を貫通する貫通領域15aが形成され、同様に二本の縦フレーム11と横フレーム14a及び横フレーム14bとで囲まれることで、第一スライド部材10の表側と裏側を貫通する貫通領域15bが形成され、同様に二本の縦フレーム11と横フレーム14b及び横フレーム14cとで囲まれることで、第一スライド部材10の表側と裏側を貫通する貫通領域15cが形成されている。そして、上側縦フレーム12の一部が貫通領域15c上に突出するように形成されるスライド突起部13が、その上面が各上側縦フレーム12の上面と面一となるように設けられている。したがって、横フレーム14a〜14cの上面と、スライド突起部13の上面とは面一にはならない。なお、このスライド突起部13は上記収容突起部に相当し、後述するスライド溝部32とともに、係合解除位置維持部や相対移動許容部として機能し得る。
また、操作部16は、ユーザが第一スライド部材10をスライド操作するときにその指をかけて当該操作をし易いように、その中央に貫通孔を有している。更に、この貫通孔の左右両側に窪み部17が設けられることで、更にユーザの指が操作部16に掛かり易く工夫されている。更に、操作部16において、その貫通孔と貫通領域15aとを連通するように窪み部18が設けられている。
次に、第一スライド部材10の裏側の構成について説明する。縦フレーム11の下面は、円柱形状の位置決め突起部21を除いて、面一の平面となっている。この位置決め突起部21は、スライド突起部13の近傍に設けられ、後述する綴じ具60側の位置決め孔部64に対応する。そして、貫通領域15aのうち各縦フレーム11に沿う辺に、段差部20がそれぞれ設けられている。この段差部20の下面は縦フレーム11の下面より固定装置1の表側に下がって形成される。同様に、縦フレーム11の下面より固定装置1の表側に下がって形成される段差部19が、貫通領域15cのうち各縦フレーム11の横フレーム14c側の端部にそれぞれ設けられている。なお、段差部19および段差部20の長さは、概ね同一である。
また、横フレーム14a及び横フレーム14cの各々には、綴じ具60をファイル本体80に対して固定するための該ファイル本体80への係合を行う係合爪22、23が、裏側に突出するように設けられている。各係合爪の詳細な構造については、後述する。また、横フレーム14bには、その下面が弧状に窪んだスライド凹部24が、第一スライド部材10の長手方向に沿って形成され、その結果、貫通領域15bと15cは、スライド凹部24によって連通された状態となる。なお、係合爪22、23の第一スライド部材10の長手方向に沿った中心軸及びスライド凹部24の延在方向に沿った中心軸は一致するように、各構成がそれぞれに対応する横フレーム上に配置される。
次に、第二スライド部材30について、図2Bに基づいて説明する。該第二スライド部材30は、長手方向に延びるベース部31を有している。そして、ベース部31の一方の端部には、ベース部31の本体側から延びる二本の連結部31aを介して操作部38が設
けられており、上記操作部16と同様に、操作部38は、ユーザが第二スライド部材30をスライド操作するときにその指をかけて当該操作をし易いように、その中央に貫通孔を有している。更に、この貫通孔の左右両側に窪み部39が設けられることで、更にユーザの指が操作部38に掛かり易く工夫されている。また、操作部38と連結部31aとの接続部位の近傍に、第二スライド部材30の外側に飛び出した平面状の突出部であって阻害部としての平面突出部(干渉部)40が設けられている。この平面突出部(干渉部)40の上面は、ベース部31の上面より固定装置1の裏側に下がって形成され、また該平面突出部(干渉部)40の下面は、ベース部31の下面と面一に形成される。
更に、連結部31aとベース部31との接続部位の近傍に、第二スライド部材30の外側に飛び出したスライド突起部44が、ベース部31の長手方向に沿って設けられている。このスライド突起部44の上面は、ベース部31の上面より固定装置1の裏側に下がって形成され、また該スライド突起部44の下面は、ベース部31の下面と面一に形成される。
ここで、二本の連結部31aと、ベース部31及び操作部38によって囲まれることで、第二スライド部材30の表側と裏側とを貫通する貫通領域34が形成される。そして、この貫通領域34のうちベース部31側の辺に対してヒンジ結合され、該ヒンジ結合部を軸としてベース部31に対して相対的に回転し貫通領域34内に出入り自在のロック部材36が設けられている。このロック部材36の詳細な構成については、後述する。
また、ベース部31の長手方向の端部のうち、上記操作部38が設けられた端部とは反対側の端部に、連結部31aと同様に、ベース部31の本体側から延びる二本の連結部31bを介してスライド突起部45が設けられている。このスライド突起部45は、二本の連結部31bの端部のうち、ベース部31と連結される端部とは反対側の端部を横フレームとして連結するとともに、第二スライド部材30の外側に飛び出して形成される。そして、このスライド突起部45の上面は、ベース部31の上面より固定装置1の裏側に下がって形成され、また該スライド突起部45の下面は、上記スライド突起部44の下面と同一平面上に位置するように形成される。
ここで、二本の連結部31bと、ベース部31及びスライド突起部45によって囲まれることで、第二スライド部材30の表側と裏側とを貫通する貫通領域35が形成される。そして、この貫通領域35のうちベース部31側の辺に対してヒンジ結合され、該ヒンジ結合部を軸としてベース部31に対して相対的に回転し貫通領域35内に出入り自在のロック部材37が設けられている。なお、このロック部材37の構成は上記ロック部材36と同一であり、その詳細な構成については後述する。
更に、ベース部31の上面において、長手方向に延びる二本の側辺を、それぞれ、該長手方向に沿って切り欠くことでスライド溝部32が形成されている。このスライド溝部32の深さは、ベース部31の裏面まで到達しない深さである。そして、スライド溝部32の中央部分には、このスライド溝部32内の領域を二つの分割領域32a、32bに分割するように突起部33が設けられている。
次に、第二スライド部材30の裏側の構成について説明する。ベース部31には、裏側において環状のフレーム部31cが、表側において上述したスライド溝部32が設けられた場所を含むように、ベース部31の裏側に設けられている。フレーム部31cが配置されたベース部31においてはその厚さが厚くなるため、スライド溝部32を形成するために切り欠いた分だけベース部31の強度が低下するのを、フレーム部31cで強度を補うことができる。そして、このフレーム部31cを形成する辺のうち第二スライド部材30の長手方向の辺の下面には、固定装置1の裏側に突出する円柱形状の位置決め突起部41
が設けられており、これは、上記位置決め突起部21と同様に、後述する綴じ具60側の位置決め孔部64に対応する。
また、フレーム部31cを形成する辺のうち第二スライド部材30の幅方向(長手方向に垂直な方向)の辺には、その下面が弧状に窪んだスライド凹部46が、第二スライド部材30の長手方向に沿って形成され、その結果、フレーム部31cで囲まれた内側の領域とその外側の領域とが、スライド凹部46によって連通された状態となる。更に、第二スライド部材30の裏側において、スライド突起部44と45の近傍に、それぞれ、綴じ具60をファイル本体80に対して固定するための該ファイル本体80への係合を行う係合爪42、43が、裏側に突出するように設けられている。これらの係合爪の構成は上記の係合爪22、23と同じであり、その詳細な構造については後述する。また、係合爪42、43の第二スライド部材30の長手方向に沿った中心軸及びスライド凹部46の延在方向に沿った中心軸は一致するように、各構成が設けられている。
このように構成される第一スライド部材10と第二スライド部材30は、樹脂製である。そこで、樹脂の弾性変形等を利用して、第一スライド部材10と第二スライド部材30とを組み合わせることで本発明に係る固定装置1が形成され、その固定装置1の構成を図3A及び図3Bに示す。そこで、第一スライド部材10と第二スライド部材30との組み合わせ手順について説明する。
先ず、第一スライド部材10の縦フレーム11を、貫通領域15cの近傍で外側に引っ張り、該縦フレーム11をやや拡幅させる。その状態で、第二スライド部材30の係合爪42を貫通領域15c内に通すとともに、該係合爪42近傍のスライド突起部44が、第一スライド部材10の段差部19に接触するように、両スライド部材を組み合わせる。このとき、第一スライド部材10のスライド突起部13は、第二スライド部材30のスライド溝部32内の領域に収められる。その後、第一スライド部材10の貫通領域15aに対して、第二スライド部材30の係合爪43を挿入するとともに、該係合爪43近傍のスライド突起部45が、第一スライド部材10の段差部20に接触するように、両スライド部材を更に組み合わせる。
このように第一スライド部材10と第二スライド部材30とが組み合わされた固定装置1では、第二スライド部材30が、第一スライド部材10の横フレーム14a〜14c上に位置するとともに(図3Bを参照)、該横フレーム14a〜14cと上側縦フレーム12とで概ね形成される、第一スライド部材10の長手方向に延在するスライド空間内を、該第一スライド部材10に対して相対的にスライド(上記相対的スライド)を行うことが可能となる(図3Aを参照)。このとき、図3A、3Bに示すように、第二スライド部材30は、第一スライド部材10の横フレーム14a〜14cとスライド突起部13とによって上下方向で挟まれた状態となるため、上記スライド空間内における相対的スライドを円滑に行うことができる。また、図3Bに示すように、第二スライド部材30は、そのスライド突起部44、45が第一スライド部材10の段差部19、20によってスライド方向にガイドされることになるため、第二スライド部材30と第一スライド部材10の分離を抑制しながら、円滑な相対的スライドを担保することができる。
ここで、第一スライド部材10に設けられる係合爪22、23と、第二スライド部材30に設けられる係合爪42、43は、各々の形状は同一である。そこで、係合爪22を代表として、各係合爪の具体的な構成を説明する。図3Bに示すように、係合爪22は、(1)第一スライド部材10の横フレーム14aから、固定装置1の裏側に延出する板状の挿入片であって、挿入部としての挿入片22bと、(2)該挿入片22bの先端部分において該挿入片22bに対して直交し第一スライド部材10の長手方向に平行な係合片であって、係合部としての係合片22aと、(3)係合片22aから垂直に立設し横フレーム
14aにまで至る板状の部材であって、第一スライド部材10の長手方向に沿って該板状の平面部が延在し且つ挿入片22bに対しても直交する位置決め片であって、位置決め平板部としての位置決め片22cとを有する。また、上述のように係合爪22以外の係合爪についても、該係合爪22と同一の構成を有しており、図面には参照番号は記載していないが、係合爪23、42、43の各々において、係合片、挿入片、位置決め片を指し示す場合には、それぞれ各係合爪の参照番号の後に、a、b、cを添える。係合爪22、23、42、43にそれぞれある挿入片や係合片の先端部分はテーパー状に面取りがなされており、これらの部材が後述するファイル側係合孔部86やファイル側係合時位置決め孔部87に挿通される際、これらの孔部や係合爪同士が接触して損傷したり変形したりするのを抑制する。
このように構成される係合爪22では、係合爪22が重ねられた綴じ具60とファイル本体80の方向に相対的に近づくと、該係合片22aと第一スライド部材10(特に、横フレーム14a)との間に綴じ具60やファイル本体80とが収められ、その結果、係合爪22が該綴じ具60及びファイル本体80を係合することで、該綴じ具60の固定を行うことになる。ここで、係合爪22において係合片22aと第一スライド部材10との間の開口部分(挿入片22bに対向する部分)を、係合爪22の「開口部」と称し、該開口部から挿入片22bの方に向かって綴じ具60等を収め、該綴じ具60等を係合するときの係止爪22による係合方向(挿入片22bから開口部に向かう方向)を本発明に係る「保持方向・係合方向」と定義する。また、係合爪22によって綴じ具60等の係合が行われるとき、位置決め片22cは、係合爪22が係合を行うべき所定の位置に該係合爪22を導く。このような固定装置1による綴じ具60の固定については、後述にて詳細に説明する。
また、第一スライド部材10の係合爪22、23の係合方向は同一であり、第二スライド部材30の係合爪42、43の係合方向は同一であるが、係合爪22、23の係合方向は、係合爪42、43の係合方向と逆向きとなっている。そして、固定装置1では、図3Bに示すように、係合爪23と係合爪42が互いの係合方向が逆となった状態で一対の係合爪を形成し、同様に、係合爪22と係合爪43が互いの係合方向が逆となった状態で一対の係合爪を形成している。
ここで、各一対の係合爪においては、一方の係合爪と他方の係合爪との距離(正確には、両係合爪が有する挿入片間の間隔。以下、「爪間距離」という。)は、第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドに伴って変動する(なお、図3A、3Bに示す状態は、爪間距離が最も広がった状態を示し、後述する「係合状態」に相当する。)。そして、係合爪の爪間距離が最も広がった状態で、第二スライド部材30側に設けられたロック部材36、37を回転変位させることで、その係合爪の間に形成された空間(以下、「挿入空間」と言う。)にロック部材36、37の一部又は全部が入り込み、その結果、第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドが制限され、上記「係合状態」が維持されることになる。また、再び、相対的スライドを行いたい場合は、このロック部材36、37を先とは逆方向に回転変位させることで、係合爪の間に形成された空間から該ロック部材を取り除けばよい。
ここで、ロック部材36、37の詳細な構成について、図3Aに基づいて説明する。なお、ロック部材36及び37は同一の構成であるため、代表としてロック部材36についてのみ説明する。ロック部材36は、第二スライド部材30のベース部31に対してヒンジ結合される板状の操作板部36dと、該操作板部36dに対して垂直に立設し板状の部材であって、その板状の平面がベース部31の幅方向に延びる第一板部36aと、該操作板部36dに対して垂直に立設し板状の部材であって、第一板部36aに対しても直交する第二板部36bと、第一板部36aの板状の平面上であって該第二板部36bとの結合
箇所とは反対側の平面上に、操作板部36dに対して垂直となるように半円柱状の接触部36cとを有している。また、上述のようにロック部材37についても、ロック部材36と同一の構成を有しており、図面には参照番号は記載していないが、ロック部材37において、第一板部、第二板部、接触部、操作板部を指し示す場合には、それぞれの参照番号は37a、37b、37c、37dとする。これらロック部材36、37の機能については、後述にて詳細に説明する。
また、図3Bに示すように、第一スライド部材10と第二スライド部材30が組み合わされた固定装置1においては、各スライド部材の裏側に設けられた位置決め突起部21、41は隣接して配置されることになる。なお、第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドに伴って、位置決め突起部21と位置決め突起部41の相対位置関係は変化することになる。そして、これらの突起部は、上述のように、綴じ具60側の位置決め孔部64内で変位することで、両スライド部材の位置決めを行う機能を有するが、この点については後述する。
また、図3Bに示すように、固定装置1の裏側において、第一スライド部材10のスライド凹部24と第二スライド部材のスライド凹部46は、それぞれの中心軸が一致し、一列に並ぶ関係となる。なお、これらのスライド凹部については、第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドに伴って、スライド凹部24とスライド凹部46の相対位置関係は変化することになる。
ここで、固定装置1においては、第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドによって、両スライド部材が採る位置によって、上述した一対の係合爪の状態が変化し、その結果、各係合爪を介した綴じ具60等の係合状態が変化することで、綴じ具60の固定またはその取り外しが行われることになる。そこで、本発明に係る固定装置1及びそれを用いたファイルの構成の理解を助けるために、先ずは、固定装置1における係合状態について図4A及び4Bに基づいて、係合解除状態については図5A及び5Bに基づいて説明する。
固定装置1の係合状態では、図4Aに示すように、相対的スライドによって第一スライド部材10の操作部16と第二スライド部材30の操作部38とが互いに最も近接した相対位置関係、換言すると、第二スライド部材30が第一スライド部材上に形成される上記スライド空間内で最も奥までスライドした状態となる。この係合状態にある固定装置1において各スライド部材が採る位置を「係合位置」と称する。固定装置1が係合状態にあるときの特徴は、図4Bに示すように、対をなす第一スライド部材10側の係合爪22、23と、第二スライド部材30側の係合爪43、42とがそれぞれ最も離間した状態(爪間距離が最大)となる。その結果、各係合爪が図4Bには図示されていない綴じ具60等に対して係合することで、綴じ具60のファイル本体80への固定が行われることになる。また、第一スライド部材10のスライド突起部13は、第二スライド部材30の分割領域32aに収まっている。
一方で、固定装置1の係合解除状態では、図5Aに示すように、相対的スライドによって第一スライド部材10の操作部16と第二スライド部材30の操作部38とが互いに最も離間した相対位置関係、換言すると、第二スライド部材30が第一スライド部材上に形成される上記スライド空間から最も多く飛び出した状態となる。この係合解除状態にある固定装置1において各スライド部材が採る位置を「係合解除位置」と称する。固定装置1が係合解除状態にあるときの特徴は、図5Bに示すように、対をなす第一スライド部材10側の係合爪22、23と、第二スライド部材30側の係合爪43、42とがそれぞれ最も近接した状態(爪間距離が最小)となる。その結果、各係合爪が図4Bには図示されていない綴じ具60等に対して係合しないため(係合位置から係合解除位置へ各係合爪が移
動するためファイル本体80と係合しなくなるため)、綴じ具60のファイル本体80への固定が解除されることになる。また、第一スライド部材10のスライド突起部13は、第二スライド部材30の分割領域32bに収まっている。
次に、綴じ具60の構成について、図6A〜6Cに基づいて説明する。綴じ具60は、上述したようにベース部材61、第一綴じ部材70、第二綴じ部材75を有しており、第一綴じ部材70と第二綴じ部材75が組み合わされた状態でベース部材61に取り付けられることで、書類等の綴じ込みが行われる。なお、綴じ具60は、書類等を綴じるという機能の観点からは、従来の綴じ具と本質的に同質であるので、当該観点に基づく構成の説明は割愛する。一方で、本発明に係る固定装置1は綴じ具60をファイル本体80に固定するためのものであるから、当該固定に関する構成の説明を重点的に行う。
ここで、図6Aは、第一綴じ部材70と第二綴じ部材75が組み合わされ、それをベース部材61に取り付けられたときの状態の上面図である。図6Bは、図6Aに示す状態を裏側から見たときの図である。図6Cは、第一綴じ部材70および第二綴じ部材75の構成を示す図である。
先ず、ベース部材61は、二つの側壁部61b(図1参照)と、該側壁部61bのそれぞれに設けられた綴込爪部61aと、ファイル本体80と接触することになるベース部材としてのベースプレート61cを有する。また、図6Cに示すように、第一綴じ部材70は、側壁部71と、該側壁部71の中央部分に設けられた窪み部72と、該側壁部71から延出する二本のパイプ管73を有し、第二綴じ部材75は、側壁部76と、該側壁部76の中央部分に設けられた窪み部77と、該側壁部76から延出する足管78を有している。足管78がパイプ管73に挿入されることで、第一綴じ部材70と第二綴じ部材75が組み合わされ、そしてその組み合わされた状態で、ベース部材61のそれぞれの側壁部61bに第一綴じ部材70の側壁部71と第二綴じ部材75の側壁部76が設置されることで、ベース部材61のそれぞれの綴込爪部61aが、第一綴じ部材70の窪み部72と第二綴じ部材75の窪み部77に引っ掛かり、図6Aに示す状態に至る。なお、この第一綴じ部材70、第二綴じ部材75、ベース部材61の組合せによる綴じ具の形成は、従来からの技術による。
ここで、ベース部材61のベースプレート61c上には、複数種類の孔部等が設けられている。先ず、ベースプレート61cの中央部分に、該ベースプレート61cの長手方向に延びる突状部65が設けられている。この突状部65は、ベースプレート61cを裏面側から表面側に向かって盛り上げて形成される。そして、この突状部65を挟んで、左右それぞれに2個ずつ且つ該突状部65に沿って爪付位置決め孔部62が設けられる。この爪付位置決め孔部62は概ね矩形形状をしているが、図6Aに示すその上下の辺においては、ベースプレート61cの一部を裏側に折り曲げることで形成される位置決め爪63が設けられている。この結果、図6Bに示すように、位置決め爪63は、ベースプレート61cの裏面から垂直に立設された状態となる。
次に、図6Aにおいて、突状部65の右側に位置する二つの爪付位置決め孔部62の間に、位置決め孔部64が設けられている。この位置決め孔部64は、ベースプレート61cを貫通する略矩形状の孔部であり、上述した固定装置1における第一スライド部材10の位置決め突起部21と第二スライド部材30の位置決め突起部41とに対応する。
更に、ベースプレート61cには、突状部65の延長上に、且つ該突状部65を挟んで両側に、該ベースプレート61cの貫通孔として形成される係合孔部66と係合時位置決め孔部67が設けられている。係合孔部66は略矩形状の貫通孔であり、この係合孔部66を挟んでベースプレート61cの長手方向に二つの係合時位置決め孔部67が、該係合
孔部66と連通するように設けられている。これらの係合孔部66と係合時位置決め孔部67は、上記係合爪22、23、42、43の位置決め片に対応する。
次に、ファイル本体80の構成について、図7に基づいて説明する。ファイル本体80の背表紙部80aにおいて、綴じ具60が固定されるべき位置にそれを位置決めするために、被係止物側収納部としても機能し得るファイル側位置決め孔部82が四つ設けられている。このファイル側位置決め孔部82は、矩形状の貫通孔であり、その一つに対して、綴じ具60側の一つの爪付位置決め孔部62が有する二つの位置決め爪63が嵌り込むように配置されることで、綴じ具60の背表紙部80a上への位置決めが行われる。
そして、その綴じ具60の位置決めが行われた状態で、綴じ具60側の係合孔部66と係合時位置決め孔部67に対応する背表紙部80aの位置に、貫通孔であるファイル側係合孔部86とファイル側係合時位置決め孔部87が設けられている。したがって、ファイル側係合孔部86は略矩形状の貫通孔であり、このファイル側係合孔部86を挟んで背表紙部80aの長手方向に二つのファイル側係合時位置決め孔部87が、該ファイル側係合孔部86と連通するように設けられている。
このように構成される固定装置1を用いて、綴じ具60をファイル本体80に固定するための流れについて、図8A〜図8Gに基づいて説明する。図8Aは、ファイル本体80に対して上述のように綴じ具60を位置決め配置した状態を示している。なお、本発明に係る固定装置1は、ファイル本体80の内側(綴じられる書類等が位置する側)に綴じ具60を固定するものであり、ユーザによる該固定装置1による綴じ具60の固定作業も、ファイル本体80の内側からのみ行われる。なお、図8Aに示す状態は、ファイル本体80、綴じ具60、固定装置1の相対関係を把握しやすいように、ファイル本体80の外側から俯瞰し、且つ該ファイル本体80を透明な状態で記載している。
図8Aに示す状態では、ファイル本体80のファイル側位置決め孔部82に、綴じ具60の位置決め爪63が嵌りこんでいる。なお、図においては当業者の理解のために位置決め爪63を強調して記載しているが、この位置決め爪63はファイル側位置決め孔部82に嵌りこんでいる状態では、その孔部から背表紙部80aの表側には飛び出してはいない。そして、図からも分かるように、綴じ具60側の係合孔部66と係合時位置決め孔部67が、ファイル本体80側のファイル側係合孔部86とファイル側係合時位置決め孔部87に対応して重なった状態となっている。また、図8Aにおいて、綴じ具60の位置決め孔部64が記載されているが、綴じ具60がファイル本体80に対して位置決めされた状態では、ファイル本体80の外側からこの状態を俯瞰するとこの位置決め孔部64は背表紙部80aによって覆われた状態になる。
なお、図8Aに示された固定装置1は、上述した係合解除状態に置かれた上で、隣接している一対の係合爪23、42と、同様に隣接している一対の係合爪22、43が、ファイル本体80の内側から、上述のように重ねられた状態にある係合孔部66とファイル側係合孔部86に挿入されるべく一点鎖線で示すように位置合わせされている。したがって、固定装置1は、裏返された状態となっている。
そして、重ねられた状態にある係合孔部66とファイル側係合孔部86に、係合解除状態にある固定装置1の各係合爪22、23、42、43が挿入された状態が、換言すると各係合爪を構成する挿入片22b、23b、42b、43bがファイル本体80の内側から両孔部に挿入されるようにユーザによって固定装置1が操作された状態が、図8Bに断面図として示されている。なお、この状態では、ロック部材36、37は一対の係合爪の間に広がる所定の挿入空間が形成されていないため、図に示すように、各スライド部材10、30に対して立設した状態となっている。また、図8Bに示す状態をファイル本体8
0の外側から見た図が、図8Cに示されている。図8Cに示すように、ファイル側位置決め孔部82には綴じ具60の位置決め爪63が嵌り合っており、また二つあるファイル側係合孔部86に対しては、対をなす係合爪22、43および23、42のそれぞれがただ挿入された状態となっており、各係合爪とファイル本体80との係合は行われていない。したがって、このときは、ファイル側位置決め孔部87にも、各係合爪の位置決め片が嵌り合っていないため、図8Cに示すようにファイル本体80の外側からファイル側位置決め孔部87を視認することができる。
そして、固定装置1を図8A〜8Cに示す係合解除状態から図8D及び8Eに示す係合状態に移行させることで、該固定装置1による綴じ具60のファイル本体80への固定が行われることになる。図8Dは、図8Aと同様に、ファイル本体80の外側から、固定装置1が係合状態となることで綴じ具60がファイル本体80に固定された状態を示す。図8Dに示す状態では、固定装置1を構成する第一スライド部材10と第二スライド部材30が相対的スライドを行うことで、対をなす係合爪の爪間距離が最大とされる。これにより、各係合爪の係合片22a、23a、42a、43aと各スライド部材10、30との間に重なり合った綴じ具60とファイル本体80が挟まった状態となり、以て各係合片によるファイル本体への係合が行われる。そして、このように固定装置1が係合状態に至ったとき、対をなす係合爪間には、図8Dに示すように各ロック部材のための挿入空間が形成される。
また、固定装置1が係合状態に至るとき、各係合爪の位置決め片22c、23c、42c、43cは、重ねられた状態にある係合孔部66とファイル側係合孔部86の領域から、同様に重ねられた状態にある係合時位置決め孔部67とファイル側係合時位置決め孔部87に挿入されることになる。なお、代表として係合爪22について、その位置決め片22cがファイル側係合時位置決め孔部87に挿入された状態を図9に示しているので、参照されたい。このように係合爪22に設けられた位置決め片22cが、ファイル側係合時位置決め孔部87に挿入されることで、固定装置1が係合解除状態から係合状態に至るときに、重なり合った状態にある綴じ具60及びファイル本体80に対して、固定装置1を常に決められた所定の位置に導き、その所定の位置でファイル本体80と各係合爪との係合を行わせることができる。そのため、固定装置1による綴じ具60の固定が、安定的に且つ確実に行われる。また、この構成により、ファイル背表紙上における係合方向とは異なる方向における固定装置1の相対位置を一定にすることもできる。さらに、固定装置1に対して当該係合方向とは異なる方向の力が加わった場合などでも、係止爪22から綴じ具60やファイル本体80と当該方向における接触面積が大きいため、ファイル本体80等への衝撃を分散させることができる。特にファイル本体80は、一般に紙等で作成されることが多いため、このような力が加わった場合に係止爪22によって破損してしまうことがあり、また係止爪22の強度等によっては係止爪22が破損してしまうことがあるが、それを好適に防止できる。
そして、図8Dに示す固定装置1、綴じ具60、ファイル本体80の固定状態の断面図を図8Eに示し、更に図8Cと同様にファイル本体80の外側から該固定状態を見たときの状態を図8Fに示す。これらに示す状態では、対をなす係合爪22と43の間に、また係合爪23と42の間にそれぞれ対応するロック部材37、36が挿入されるべき挿入空間が形成されている。そこで、図8Gに示すように、各ロック部材37、36をヒンジ結合部分を軸として回転移動させて該挿入空間に対して挿入することで、固定装置1における第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドを制限させる。これにより、各係合爪がファイル本体80と係合する状態が維持されることになる。
ここで、図10A〜図10Cに基づいて、代表としてロック部材36による上記相対的スライドの制限の様子について説明する。図10Aは、係合状態にある固定装置1におけ
る、第二スライド部材30側の操作部38近傍の拡大図を示す。第一フレーム部材10の横フレーム14cに沿って、貫通領域15c側に傾斜する傾斜部14dが設けられている。また、第二スライド部材30にヒンジ結合されたロック部材36には、第一板部36aの縁に沿って、該第一板部36aを面取りされるように形成される傾斜部36eが設けられる。なお、ロック部材36の操作板部36dがヒンジ結合部分を軸に回動するため、図10Aにおいて示すように、ロック部材36が非ロック状態において操作板部36dが固定装置1に対して起立し、非ロック状態であることをユーザが容易に視認可能となる。
そこで、係合状態にある固定装置1において、ロック部材36を所定の挿入空間に挿入させるべく、該ロック部材36を回転移動させる。すると図10Aに示す状態の断面図である図10Bで示されるように、第一スライド部材10側の傾斜部14dとロック部材36側の傾斜部36eが接触する。両傾斜部の傾斜面は、ロック部材36が挿入空間に導かれやすくなるように形成されているため、当該接触後、ユーザが若干の力をロック部材36に加えることで、両傾斜部に促されながら、第一スライド部材10と第二スライド部材30との間で弾性変形が生じ、その結果ロック部材36は円滑に挿入空間の中に収められる(図10Cに示す状態)。なお、図10Cに示す状態では、ロック部材36の接触部36cが、第一スライド部材10側の係合爪23の挿入片23bに接触した状態となり、且つ該ロック部材36の第二板部36bの先端部分(第一板部36aと繋がっていない部分であって該第一板部36aの反対側端部)が、第二スライド部材30側の係合爪42の挿入片42bに接触した状態となっている。すなわち、係合爪23と係合爪42との間にロック部材36が嵌まり込むことで、両係合爪の相対的な動き、すなわち第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドを制限することになる。また、ロック部材37についても、ロック部材36の場合と同様に、係合爪22と係合爪43の相対的な動きを制限することができる。なお、ロック部材36の操作板部36dがヒンジ結合部分を軸に回動するため、図10Cにおいて示すように、ロック部材36がロック状態において操作板部36dが操作部38の孔を一部覆い、操作部38をスライド操作する際にはロック部材36を回動して非ロック状態にする必要があることをユーザが容易に認識可能となる。
ここで、図11に基づいて、固定装置1における各係合爪の形状について説明する。なお、図11においては、代表的に係合爪23及び係合爪42を記載しているが、同様の技術的思想が係合爪22、43にも適用される。各係合爪が図8D〜8Fで示すように綴じ具60及びファイル本体80に係合する際に、各係合片がファイル本体80等に接触し各係合片と各スライド部材との間にファイル本体80等が円滑に挟まれるように、対をなす係合爪23、42の係合片23a、42aの先端部分には、傾斜部23a1、42a1が設けられている。これにより、図8B、Cに示す状態から図8D〜8Fに移行させるべく、第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドが容易となる。
そして、このように構成される固定装置1では、重なり合った綴じ具60の係合孔部66およびファイル本体80のファイル側係合孔部86に対して挿入される、対をなす係合爪23、42は、それぞれの係合方向が互いに逆方向となっている。本実施例の場合は、ファイル本体80を基準とすると、ファイル本体80の天地方向において、係合爪23、42の係合方向は互いに逆向きとなる。この点については、対をなす係合爪22、43についても同様である。
このように、重なり合った一つの係合孔部66およびファイル側係合孔部86に対して挿入された係合爪の係合方向が互いに異なり、好ましくは互いに逆方向となることで、ファイルの落下等によって綴じ具60の固定部分に外力が作用したとき、その外力の向きにかかわらず、固定装置1による綴じ具60の係合状態を良好に維持することが可能となる。ファイル本体80に対して片側からの操作のみで着脱可能な固定装置では、わずかな衝
撃や綴じている書類等の重さによって固定装置が変形するなどして係合爪がファイル側係合孔部から抜け落ちてしまう(係合が勝手に解除されてしまう)可能性が極めて高いのに対し、本構成を採用すれば、一つのファイル側係合孔部に挿入された一方の係合爪に対して上記作用が働いても、他方の係合爪にはそれと反対の作用(締め付ける作用/係合力を強める作用)が働くため、「一つのファイル側係合孔部に対する固定装置の係合力」はどのような場合であっても良好に働くからである。したがって、係合爪の係合方向は、好ましくは、一方に係合解除方向の力が加わったとしても他方に係合強化方向の力が加わるように、互いに逆方向とされる。本実施例のようにファイル本体80の天地方向において互いに逆向きとすることで、実用的なファイルの使用時における落下や、特に書庫等に立て掛けられて収納される場合など、一方の係合爪に対して係合解除方向の力が加わりやすく、従来提案されてきた「片側からのみのアクセスで綴じ具のファイル本体に対するアクセスを可能にする技術」では固定装置が抜け落ちてしまい実用化に至らない原因となっていた問題を解決した上で、係合爪の大きさや形状の設計自由度をより高めることができるため、綴じ具60のファイル本体80への固定をより確実なものとすることができる。
次に、本発明に係る固定装置1での位置決め突起部21と41の機能について、図12A〜12Cに基づいて説明する。図12Aは、係合解除状態にある固定装置1と綴じ具60との相対関係をファイル本体80の外側から見たときの状態を示している。また、図12Cは、係合状態にある固定装置1と綴じ具60との相対関係をファイル本体80の外側から見たときの状態を示しており、更に図12Bは、図12Aと図12Cに示す状態の中間状態、すなわち固定装置1において第一スライド部材10と第二スライド部材30の位置が、係合位置と係合解除位置との中間の位置となっている状態を示している。なお、図12A〜12Cにおいては、ファイル本体80は二点鎖線で透明状態に記載されている。
ここで、固定装置1が係合解除状態にあるとき、図12Aに示すように、綴じ具60の位置決め孔部64の中に収められる位置決め突起部21、41について、該位置決め突起部21が位置決め孔部64の上側の辺64aに接触し、位置決め突起部41が位置決め孔部64の下側の辺64bに接触していることで、係合解除状態を形成する第一スライド部材10と第二スライド部材30の綴じ具60に対する相対位置が一義的に決定される。そして、このとき対をなす係合爪22、43、及び係合爪23、42は、それぞれに対応する係合孔部66等に対して接触していない状態である。
以上より、固定装置1側の位置決め突起部21、41と綴じ具60側の位置決め孔部64との相関関係によって、固定装置1が係合解除状態とされるときには、各係合爪が、対応する係合孔部66に対して非接触状態となるように、固定装置1と綴じ具60との相対位置関係が一義的に決定されることになる。その結果、ユーザは、第一スライド部材10と第二スライド部材30を操作して固定装置1を係合解除状態とすると、必然的に各係合爪が係合孔部66等に対して非接触状態とされるため、固定装置1を綴じ具60から容易に抜き出すことが可能となる。これは、綴じ具60をファイル本体80から取り外すときの、ユーザの作業性向上に大いに資するものである。
また、係合解除状態にある固定装置1を係合状態に移行させたときは、図12Bに示すように位置決め突起部21、41が、位置決め孔部64の何れの辺64a、64bにも接触しない状態を経て、図12Cに示す状態に至る。このときは、位置決め突起部21が位置決め孔部64の下側の辺64bに接触し、位置決め突起部41が位置決め孔部64の上側の辺64aに接触している。これによって、係合解除状態の場合と同様に、係合状態においても、固定装置1と綴じ具60との相対位置関係が一義的に決定されることになる。
次に、本発明に係る固定装置1でのスライド突起部13とスライド溝部32の機能について、図13A及び13Bに基づいて説明する。図13Aは、係合状態にある固定装置1
において、各係合爪の状態と、スライド突起部13及びスライド溝部32との関係を示し、図13Bは、係合解除状態にある固定装置1において、各係合爪の状態と、スライド突起部13及びスライド溝部32との関係を示す。なお、図13A、13Bのうち左側は固定装置1の上面図であり、右側はその断面図である。
上述したように、固定装置1において係合位置と係合解除位置との間でユーザの操作により相対的スライドが行われると、第一スライド部材10に設けられたスライド突起部13は、突起部33を乗り越えながらスライド溝部32内の分割領域32aと32bの間を行き来する。ここで、図13Aに示すように分割領域32aは、スライド突起部13をほぼ隙間無く収容する形状を有している。これにより、固定装置1が係合状態にあるときは、ロック部材36、37によって上記相対的スライドが制限されていない場合であっても、スライド突起部13が突起部33によってスライド溝部32内での移動が制限されるため、該スライド突起部13が突起部33を乗り越える外力が作用しない限り、第一スライド部材10と第二スライド部材との相対位置関係は維持されることになる。したがって、仮にロック部材36、37の挿入空間への挿入が不十分であっても、綴じ具60のファイル本体80への固定はある程度維持されることになる。
一方で、図13Bに示すように分割領域32bの形状は、スライド突起部13を収容したとき該スライド突起部13がまだある程度スライド可能な程度に余分な隙間を有する形状である。すなわち、分割領域32bは分割領域32aよりも広く、その分割領域32b内という限られた範囲で、スライド突起部13はある程度スライドできる。この結果、今から綴じ具60をファイル本体80に固定しようとする状態(例えば、図8Aに示す状態)では、固定装置1を操作しようとするユーザは、第一スライド部材10と第二スライド部材30とが上記限られた範囲でのスライドを行うことができることを触感によって感じることで、固定装置1が係合解除状態にあることを認識することができ、以てユーザのその後の作業を円滑に行うことができる。換言すると、今から綴じ具60をファイル本体80に固定しようとするときに、ユーザが触感にて第一スライド部材10と第二スライド部材30との上記限られた範囲でのスライドを感じることができない場合には、固定装置1が係合解除状態ではなく係合状態になっているため、直ちに係合解除状態に変更した後、綴じ具60の固定作業へと円滑に移行することができる。
また、上記実施例とは異なり、分割領域32bの形状を、分割領域32aと同様に、スライド突起部13をほぼ隙間無く収容する形状としてもよい。この場合は、固定装置1が係合解除状態にあるときでも、スライド突起部13が突起部33によってスライド溝部32内での移動が制限されるため、該スライド突起部13が突起部33を乗り越える外力が作用しない限り、第一スライド部材10と第二スライド部材との相対位置関係は維持されることになる。したがって、固定装置1を重ねられた係合孔部66等に挿入/抜き出ししようとするとき各係合爪が動かないため、各係合爪が係合位置等にずれて配置されてしまうなどして綴じ具に引っかかってしまい着脱作業が阻害されてしまうといったことを防止することもできるため、ユーザの作業性が向上するとも言える。
次に、突状部65の機能について図14に基づいて説明する。図14は、係合状態にある固定装置1と綴じ具60を、ファイル本体80に取り付けられた状態での該ファイル本体80の外側から見た状態を、突状部65を中心として記載した図であり、その際固定装置1の裏側の様子が把握しやすいように、該突状部65周辺のベースプレート61cを切断した状態で表している。
ここで注視すべきは、綴じ具60の突状部65に対する、第一スライド部材10に設けられたスライド凹部24と第二スライド部材30に設けられたスライド凹部46(例えば、図3Bを参照。)の相関関係である。具体的には、固定装置1による綴じ具60の固定
が行われる場合には、両スライド凹部が、それぞれの窪み形状が突状部65を覆いかぶさるように、固定装置1と綴じ具60の相対位置関係が決定されている。すなわち、上述したように位置決め突起部21、41が位置決め孔部64に挿入された係合解除状態においても、又図14に示すように固定装置1が係合状態に置かれるときでも、両スライド凹部の窪み形状は突状部65を覆いかぶさっている。
したがって、第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドが行われるときは、各スライド部材のスライド凹部が、綴じ具60の突状部65の上を、該突状部65の延在方向に滑っていくことになる。換言すると、ユーザが第一スライド部材10と第二スライド部材30を操作して相対的スライドを行わせるとき、突状部65は該相対的スライドのガイドとして機能する。そのため、ユーザが、両スライド部材を係合位置又は係合解除位置に至らしめることが、より円滑に行われることになり、以てユーザの作業性が向上する。
ここで、第二スライド部材30は、図3Aに示すように、実質的に第一スライド部材30の上側に配置された状態で、上記相対的スライドを行うものである。しかし、第二スライド部材30が上側に位置することにより、使用するユーザによっては操作部16と18を把持して各スライド部材を持ち上げようとする動作を行う可能性がある。勿論、この持ち上げ動作によっては両スライド部材は相対的スライドを行うことができないが、ユーザの力が大き過ぎるとこの持ち上げ動作によって固定装置1が破損してしまう可能性がある。固定装置1が係合解除状態にあるときは、各係合爪はファイル本体80等と係合はしてはいないため、仮にユーザが持ち上げ動作を行ったとしても、固定装置1が係合孔部66等から引き出されるだけで、固定装置1の破損へと至る可能性は低い。
しかし、固定装置1が係合状態にあるときは、各係合爪はファイル本体80と係合しているため、ユーザが持ち上げ動作を行ってしまうと第一スライド部材10と第二スライド部材30との組合せが外れ、固定装置1が破損してしまう可能性が高い。そこで、本発明に係る固定装置1では、それが係合状態にあるときに、ユーザの操作が行われる操作部38の隣接した部位に、仮に第一スライド部材10と第二スライド部材30とに対して持ち上げ動作が行われたときに両者が互いにその持ち上げ動作を阻害し合う構成が、第二スライド部材30の平面突出部40と、第一スライド部材10の上側縦フレーム12の端部12aによって提供されており、その状態の詳細を、図15に示す。
図15からも明確に分かるように、係合状態にある固定装置1においては、第二スライド部材30は第一スライド部材10の上側に位置しているが、該第二スライド部材30側の操作部38に隣接して設けられている平面突出部40は、第一スライド部材10側の上側縦フレーム12の端部12aの下に潜り込んだ状態となっている。したがって、図15に示す状態で、ユーザが固定装置1に対して操作部38を介して持ち上げ動作を誤って行ってしまっても、直ちに平面突出部40が端部12aと引っ掛かり、ユーザに対して違和感を与えることができる。その結果、ユーザの誤操作によって操作部38が不用意に上側に持ち上げられてしまうのを回避することが可能となる。
<変形例>
本発明に係る固定装置の実施例の開示は、上述した実施例に限られない。すなわち、一つの係合孔部66等に挿入される係合爪の係合によるファイル本体の係合方向が、少なくとも異なる二つの方向に設定される固定装置である限り、本発明に係る固定装置の実施例である。したがって、例えば、一つの係合孔部66等に挿入される係合爪の数は三つ以上でも構わない。また、一方の係合孔部66等に挿入される係合爪の数が二つ以上であれば、もう一方の係合孔部等に挿入される係合爪は、一つであってもよい。更には、一つの係合孔部66等に挿入される係合爪の数が一つであり、もう一方の係合孔部66等に挿入さ
れる係合爪の数が一つであっても、それぞれの係合爪によるファイル本体80の保持方向が異なる限り、本実施例の固定装置の範疇に含まれる。すなわち、2つの係合孔部66等の対を以て、一つの係合孔部等と考えればよい。
なお、上述においては綴じ具60やファイル本体80に設けられる係合孔部66等の数は二つであることを前提としているが、当然にその数は二つに限られるものではなく、一つの場合や三つ以上の場合でも、本発明に係る固定装置1の範疇に含まれる。
また、ロック部材36、37のように相対的スライドを行う二つのスライド部材の動きを制限する構成は、必ずしも本発明に係る固定装置として必要な構成ではない。少なくともスライド部材が係合位置に至ったときに、ファイル本体80との係合状態が維持され綴じ具60がファイル本体80に固定されればよい。当然に、ロック部材を設ける場合でも、その数は二つに限定されるものではなく、相対的スライドを行うスライド部材の動きを制限できる適切な数であれば、一つでもよく、また三つ以上でもよい。
更には、位置決め突起部21、41及び位置決め孔部64による固定装置1の位置決めに関する技術的思想、スライド突起部13及びスライド溝部32によるスライド部材10、30の係合状態等の維持に関する技術的思想、スライド凹部24、46及び突状部65による相対的スライドのガイドに関する技術的思想、平面突出部(干渉部)40と上側縦フレーム12の端部12との引っ掛かりに関する技術的思想については、出願人は上記実施例において一堂に開示しているが、これらは適宜組み合わせてもよく、それらの任意の組合せも出願人の開示の範囲に含まれる。また、上記した各技術要素や以下に記す各技術要素は、それぞれ発明であって、それぞれ単独でも十分に作用効果を奏するものであり、また、組み合わせれば単なる作用効果の積み重ねではない優れた作用効果を奏するものであることは言うまでもない。
次に、本発明に係る固定装置の第二の実施例について、図16〜図24に基づいて説明する。本実施例における固定装置100は、実施例1に示す固定装置1と比べて書類等の綴じる量が大きい綴じ具160をファイル本体180に綴じるためのものである。
図16は、図1と同じように、本実施例に係る固定装置100と、それによってファイル本体180に固定される綴じ具160が示されている。ここで、固定装置100、綴じ具160、ファイル本体180の概略的な構成を示すと、固定装置100は第一スライド部材110と第二スライド部材130を有しており、ファイル本体180は、ファイルとして使用されるときの背表紙に相当する背表紙部180aと、表表紙に相当する表表紙部180bと、裏表紙に相当する裏表紙部180cを有し、各表紙部間は、折り曲げ形成される。また、綴じ具160は、ベース部材161、第一綴じ部材170、第二綴じ部材175を有しており、第一綴じ部材170と第二綴じ部材175が組み合わされた状態でベース部材161に取り付けられることで、書類等の綴じ込みが行われることになる。なお、上記理由により、背表紙部180aの厚さ(横幅/背表紙部180aに沿った方向における天地方向と直交する方向の幅)は、実施例1における背表紙部80aの厚さより厚いものであり、対応するように綴じ具160の幅も、実施例1における綴じ具60の幅より大きい。
先ず、固定装置100を構成する第一スライド部材110と第二スライド部材130の構成について、図17A−図20Bに基づいて説明する。第一スライド部材110と第二スライド部材130は、後述する図18A、18B等に示すように組み合わせられことで、互いが相対的にスライドすることが可能となり、当該スライドが可能な状態において本発明に係る固定装置100としての機能を発揮する。なお、この両スライド部材による相
対的なスライドも実施例1の場合と同様に「相対的スライド」と言う。
ここで、図17Aは、第一スライド部材110の構成を示す図であり、図中左側が第一スライド部材110の上面図、図中右側がその背面図となっている。図17Bは、第二スライド部材130の構成を示す図であり、図中左側が第二スライド部材130の上面図、図中右側がその背面図となっている。また、図18Aは、第一スライド部材110と第二スライド部材130を組み合わせて固定装置100を形成したときの、該固定装置100の上方斜視図であり、図18Bは、その固定装置100の下方斜視図である。次に、図19Aは、固定装置100が綴じ具160を固定するために採る、後述する「係合状態」を固定装置100の上方から示す図であり、図19Bは、図19Aに示す係合状態の断面図である。また、図20Aは、固定装置100が綴じ具160の固定を解除するために採る、後述する「係合解除状態」を固定装置100の上方から示す図であり、図20Bは、図20Aに示す係合状態の断面図である。
先ず、第一スライド部材110について、図17Aに基づいて説明する。第一スライド部材110の表側の構成については、該第一スライド部材110は、長手方向に延びる二本の平行な縦フレーム111を、三本の平行な横フレーム114a、114b、114cで連結するとともに、縦フレーム111の一方の端部に操作部116が設けられた形状を有している。なお、横フレーム114cは、操作部116が設けられた縦フレーム111の端部とは逆の端部に位置する。ここで、縦フレーム111上には、同じように長手方向に延びる二本の平行な上側縦フレーム112が設けられている。したがって、縦フレーム111及び横フレーム114a〜114cの上面と、上側縦フレーム112の上面とは同一面には位置せず、段差形状を形成することになる。また、上側縦フレーム112の端部112aは、横フレーム114cの外側の辺よりも第一スライド部材の外側に若干量飛び出して形成されている。
ここで、二本の縦フレーム111と操作部116及び横フレーム114aとで囲まれることで、第一スライド部材110の表側と裏側を貫通する貫通領域115aが形成され、同様に二本の縦フレーム111と横フレーム114a及び横フレーム114bとで囲まれることで、第一スライド部材110の表側と裏側を貫通する貫通領域115bが形成され、同様に二本の縦フレーム111と横フレーム114b及び横フレーム114cとで囲まれることで、第一スライド部材110の表側と裏側を貫通する貫通領域115cが形成されている。そして、上側縦フレーム112の一部が貫通領域115c上に突出するように形成されるスライド突起部113が、その上面が各上側縦フレーム112の上面と面一となるように設けられている。したがって、横フレーム114a〜114cの上面と、スライド突起部113の上面とは面一にはならない。
また、操作部116は、実施例1における操作部16と同様である。更に、操作部116において、その中央に設けられた貫通孔と貫通領域115aとを連通するように窪み部118が設けられている。
次に、第一スライド部材110の裏側の構成について説明する。縦フレーム111の下面は、円柱形状の位置決め突起部121を除いて、面一の平面となっている。この位置決め突起部121は、機能的には実施例1における位置決め突起部21と同じであり、スライド突起部113の各々近傍に一つずつ設けられ、後述する綴じ具160側の位置決め孔部164に対応する。そして、貫通領域115aのうち各縦フレーム111に沿う辺に、段差部120がそれぞれ設けられている。この段差部120の下面は縦フレーム111の下面より固定装置100の表側に下がって形成される。同様に、縦フレーム111の下面より固定装置100の表側に下がって形成される段差部119が、貫通領域115cのうち各縦フレーム111の横フレーム114c側の端部にそれぞれ設けられている。なお、
段差部119および段差部120の長さは、概ね同一である。
また、横フレーム114a及び横フレーム114cの各々には、綴じ具160をファイル本体180に対して固定するための該ファイル本体180への係合を行う係合爪122、123が、裏側に突出するように設けられている。係合爪122、123は、実施例1における係合爪22、23と機能的に同一である。第一スライド部材110においては、横フレーム114aに二つの係合爪122が設けられ、横フレーム114cに二つの係合爪123が設けられる。
また、横フレーム114bには、実施例1におけるスライド凹部24と機能的に同一の、下面が弧状に窪んだスライド凹部124が、第一スライド部材110の長手方向に沿って形成されている。なお、一の係合爪122と一の係合爪123の第一スライド部材110の長手方向に沿った中心軸及び一のスライド凹部124の延在方向に沿った中心軸は一致し、もう一方の係合爪122、係合爪123、スライド凹部124においても同様に各中心軸が一致するように、各構成がそれぞれに対応する横フレーム上に配置される。
次に、第二スライド部材130について、図17Bに基づいて説明する。該第二スライド部材130は、長手方向に延びるベース部131を有している。そして、ベース部131の一方の端部には、ベース部131の本体側から延びる二本の連結部131aを介して操作部138が設けられており、上記操作部116と同様に、操作部38は、ユーザが第二スライド部材130をスライド操作するときにその指をかけて当該操作をし易いように、その中央に貫通孔を有している。更に、この貫通孔の左右両側に窪み部139が設けられることで、更にユーザの指が操作部138に掛かり易く工夫されている。
更に、連結部131aとベース部131との接続部位の近傍に、第二スライド部材130の外側に飛び出したスライド突起部144が、ベース部131の長手方向に沿って設けられている。このスライド突起部144の上面は、ベース部131の上面より固定装置100の裏側に下がって形成され、また該スライド突起部144の下面は、ベース部131の下面と面一に形成される。
ここで、二本の連結部131aと、ベース部131及び操作部138によって囲まれることで、第二スライド部材130の表側と裏側とを貫通する貫通領域134が形成される。そして、この貫通領域134のうちベース部131側の辺に対してヒンジ結合され、該ヒンジ結合部を軸としてベース部131に対して相対的に回転し貫通領域134内に出入り自在のロック部材136が設けられている。このロック部材136の詳細な構成については、後述する。
また、ベース部131の長手方向の端部のうち、上記操作部138が設けられた端部とは反対側の端部に、連結部131aと同様に、ベース部131の本体側から延びる二本の連結部131bを介してスライド突起部145が設けられている。このスライド突起部145は、二本の連結部131bの端部のうち、ベース部131と連結される端部とは反対側の端部を横フレームとして連結するとともに、第二スライド部材130の外側に飛び出して形成される。そして、このスライド突起部145の上面は、ベース1部31の上面より固定装置100の裏側に下がって形成され、また該スライド突起部145の下面は、上記スライド突起部144の下面と同一平面上に位置するように形成される。
ここで、二本の連結部131bと、ベース部131及びスライド突起部145によって囲まれることで、第二スライド部材130の表側と裏側とを貫通する貫通領域135が形成される。そして、この貫通領域135のうちベース部131側の辺に対してヒンジ結合され、該ヒンジ結合部を軸としてベース部131に対して相対的に回転し貫通領域135
内に出入り自在のロック部材137が設けられている。なお、このロック部材137の構成は上記ロック部材136と同一であり、その詳細な構成については後述する。
更に、ベース部131の上面において、長手方向に延びる二本の側辺を、それぞれ、該長手方向に沿って切り欠くことでスライド溝部132が形成されている。このスライド溝部132は、実施例1におけるスライド溝部32と機能的に同一である。そして、スライド溝部132の中央部分には、このスライド溝部132内の領域を二つの分割領域132a、132bに分割するように突起部133が設けられている。
次に、第二スライド部材130の裏側の構成について説明する。ベース部131には、裏側において環状のフレーム部131cが、表側において上述したスライド溝部132が設けられた場所を含むように、ベース部131の裏側に設けられている。フレーム部131cが配置されたベース部131においてはその厚さが厚くなるため、スライド溝部132を形成するために切り欠いた分だけベース部131の強度が低下するのを、フレーム部131cで強度を補うことができる。そして、このフレーム部131cを形成する辺のうち第二スライド部材130の長手方向の辺の下面には、固定装置100の裏側に突出する円柱形状の位置決め突起部141が設けられており、これは、実施例1における位置決め突起部41と機能的に同一である。
また、フレーム部131cを形成する辺のうち第二スライド部材130の幅方向(長手方向に垂直な方向)の辺には、実施例1におけるスライド凹部46と機能的に同一の、下面が弧状に窪んだスライド凹部146が、第二スライド部材130の長手方向に沿って二つ形成されている。更に、第二スライド部材130の裏側において、スライド突起部144と145の近傍に、それぞれ、実施例1における係合爪42、43と機能的に同一の係合爪142、143が、裏側に突出するようにそれぞれ二つずつ設けられている。また、一の係合爪142と一の係合爪143の第二スライド部材130の長手方向に沿った中心軸及び一のスライド凹部146の延在方向に沿った中心軸は一致し、もう一方の係合爪142、係合爪143、スライド凹部146においても同様に各中心軸が一致するように、各構成がそれぞれに対応する横フレーム上に配置される。
このように構成される第一スライド部材110と第二スライド部材130は、実施例1の第一スライド部材10と第二スライド部材の場合と同様に樹脂製であり、その樹脂の弾性変形等を利用して、第一スライド部材110と第二スライド部材130とを組み合わせることで本発明に係る固定装置100が形成される。
このように第一スライド部材110と第二スライド部材130とが組み合わされた固定装置100では、第二スライド部材130が、第一スライド部材110の横フレーム114a〜114c上に位置するとともに(図18Bを参照)、該横フレーム114a〜114cと上側縦フレーム112とで概ね形成される、第一スライド部材110の長手方向に延在するスライド空間内を、該第一スライド部材110に対して相対的にスライド(上記相対的スライド)を行うことが可能となる(図18Aを参照)。このとき、図18A、18Bに示すように、第二スライド部材130は、第一スライド部材110の横フレーム114a〜114cとスライド突起部113とによって上下方向で挟まれた状態となるため、上記スライド空間内における相対的スライドを円滑に行うことができる。また、図18Bに示すように、第二スライド部材130は、そのスライド突起部144、145が第一スライド部材110の段差部119、120によってスライド方向にガイドされることになるため、第二スライド部材130と第一スライド部材110の分離を抑制しながら、円滑な相対的スライドを担保することができる。
ここで、第一スライド部材110に設けられる係合爪122、123と、第二スライド
部材130に設けられる係合爪142、143は、各々の形状は同一であり、また実施例1における係合爪22等とも同一である。したがって、各係合爪の詳細な構成の説明は割愛する。また、第一スライド部材110の係合爪122、123の係合方向は同一であり、第二スライド部材130の係合爪142、143の係合方向は同一であるが、係合爪122、123の係合方向は、係合爪142、143の係合方向と逆向きとなっている。そして、固定装置100では、図18Bに示すように、係合爪123と係合爪142が互いの係合方向が逆となった状態で一対の係合爪を形成し、同様に、係合爪122と係合爪143が互いの係合方向が逆となった状態で一対の係合爪を形成している。
ここで、各一対の係合爪においては、一方の係合爪と他方の係合爪との爪間距離は、第一スライド部材110と第二スライド部材130の相対的スライドに伴って変動する。そして、係合爪の爪間距離が最も広がった状態では、第二スライド部材130側に設けられたロック部材136、137が回転変位することで、その係合爪の間に形成された挿入空間に入り込み、その結果、第一スライド部材110と第二スライド部材130の相対的スライドが制限され、固定装置100の係合状態が維持されることになる。また、再び、相対的スライドを行いたい場合は、このロック部材136、137を先とは逆方向に回転変位させることで、係合爪の間に形成された空間から該ロック部材を取り除けばよい。
ここで、ロック部材136、137の詳細な構成について、図17B、18Aに基づいて説明する。なお、ロック部材136及び137は同一の構成であるため、代表としてロック部材136についてのみ説明する。ロック部材136は、第二スライド部材130のベース部131に対してヒンジ結合される板状の操作板部136dと、該操作板部136dに対して垂直に立設する板状の部材であって、その板状の平面がベース部31の幅方向に延びる第一板部136aと、該操作板部136dに対して垂直に立設する板状の部材であって、第一板部136aに対しても直交する平行な二つの第二板部136bと、第一板部136aの板状の平面上であって該第二板部136bとの結合箇所とは反対側の平面上に、操作板部136dに対して垂直となるように設けられた半円柱状の、二つの接触部136cとを有している。
ここで、固定装置100においては、実施例1に示す固定装置1と同様に、第一スライド部材110と第二スライド部材130の相対的スライドによって、両スライド部材が採る位置によって、上述した一対の係合爪の状態が変化し、その結果、各係合爪を介した綴じ具160等の係合状態が変化することで、綴じ具160の固定またはその取り外しが行われることになる。そこで、本発明に係る固定装置100及びそれを用いたファイルの構成の理解を助けるために、先ずは、固定装置100における係合状態について図19A及び19Bに基づいて、係合解除状態については図20A及び20Bに基づいて説明する。
固定装置100の係合状態では、図19Aに示すように、相対的スライドによって第一スライド部材110の操作部116と第二スライド部材130の操作部138とが互いに最も近接した相対位置関係となる。このとき、図19Bに示すように、対を構成する第一スライド部材110側の係合爪122、123と、第二スライド部材130側の係合爪143、142とがそれぞれ最も離間した状態(爪間距離が最大)となる。その結果、各係合爪が図19Bには図示されていない綴じ具160等に対して係合することで、綴じ具160のファイル本体180への固定が行われることになる。また、第一スライド部材110のスライド突起部113は、第二スライド部材130の分割領域132aに収まっている。
一方で、固定装置100の係合解除状態では、図20Aに示すように、相対的スライドによって第一スライド部材110の操作部116と第二スライド部材130の操作部138とが互いに最も離間した相対位置関係となる。このとき、図20Bに示すように、対を
構成する第一スライド部材110側の係合爪123、122と、第二スライド部材130側の係合爪142、143とがそれぞれ最も近接した状態(爪間距離が最小)となる。その結果、各係合爪が図19Bには図示されていない綴じ具160等に対して係合しないため、綴じ具160のファイル本体180への固定が解除されることになる。また、第一スライド部材110のスライド突起部113は、第二スライド部材130の分割領域132bに収まっている。
次に、綴じ具160の構成について、図21に基づいて説明する。綴じ具160は、上述したようにベース部材161、第一綴じ部材170、第二綴じ部材175を有しており、第一綴じ部材170と第二綴じ部材175が組み合わされた状態でベース部材161に取り付けられることで、書類等の綴じ込みが行われる。なお、綴じ具160は、書類等を綴じるという機能の観点からは、従来の綴じ具と本質的に同質であるので、当該観点に基づく構成の説明は割愛する。一方で、本発明に係る固定装置100は綴じ具160をファイル本体180に固定するためのものであるから、当該固定に関する構成の説明を重点的に行う。更に、第一綴じ部材170と第二綴じ部材175は、実施例1における第一綴じ部材70と第二綴じ部材75と同質のものであるから、その説明は割愛する。
ここで、図21は、ベース部材161の構成を示す図である。ベース部材161は、二つの側壁部161bと、該側壁部161bのそれぞれに設けられた綴込爪部161aと、ファイル本体180と接触することになるベースプレート161cを有する。ここで、ベース部材161のベースプレート161c上には、複数種類の孔部等が設けられている。先ず、ベースプレート161cの中央部分には、該ベースプレートの長手方向に沿って、実施例1における爪付位置決め孔部62に機能的に同一の二つの爪付位置決め孔部162が、一の爪付位置決め孔部162につき二つの位置決め爪163とともに設けられている。そして、その爪付位置決め孔部162の左右のそれぞれに、実施例1における突状部65に相当する突状部165と、それを長手方向において挟んだ位置に、実施例1における係合孔部66及び係合時位置決め孔部67に相当する係合孔部166と係合時位置決め孔部167が設けられている。更に、二つの突状部165のそれぞれの横には、実施例1における位置決め孔部64に相当する位置決め孔部164が設けられている。
次に、ファイル本体180の構成について、図22に基づいて説明する。ファイル本体180の背表紙部180aにおいて、綴じ具160が固定されるべき位置にそれを位置決めするために、ファイル側位置決め孔部182が二つ設けられている。このファイル側位置決め孔部182は、矩形状の貫通孔であり、その一つに対して、綴じ具160側の一つの爪付位置決め孔部162が有する二つの位置決め爪163が嵌り込むように配置されることで、綴じ具160の背表紙部180a上への位置決めが行われる。
そして、その綴じ具160の位置決めが行われた状態で、綴じ具160側の係合孔部166と係合時位置決め孔部167に対応する背表紙部180aの位置に、貫通孔であるファイル側係合孔部186とファイル側係合時位置決め孔部187が設けられている。したがって、ファイル側係合孔部186は略矩形状の貫通孔であり、このファイル側係合孔部186を挟んで背表紙部180aの長手方向に二つのファイル側係合時位置決め孔部187が、該ファイル側係合孔部186と連通するように設けられている。
このように構成される固定装置100を用いて、綴じ具160をファイル本体180に固定するための流れは、実施例1に示す固定装置1の場合と本質的に同一である。すなわち、重ねられた状態にある綴じ具160の係合孔部166とファイル本体180のファイル側係合孔部187に、ファイル本体180の内側から固定装置100の各係合爪を挿入し、更に同内側におけるユーザの操作により、第一スライド部材110と第二スライド部材130を係合位置になるように相対的スライドさせることで、綴じ具160をファイル
本体180に固定することができる。また、相対的スライドにより第一スライド部材110と第二スライド部材130を係合解除位置にすることで、綴じ具160をファイル本体180から取り外すことができる。
なお、図23に、固定装置100によって綴じ具160がファイル本体180の背表紙部180aに固定された状態を示す。また、その固定状態を、ファイル本体180の外側から見た状態を、図24に示す。図24に示す状態においては、ロック部材136、137が、それぞれに対応する対をなす係合爪の間に嵌まり込んでおり、その結果、第一スライド部材110と第二スライド部材130の相対的スライドが制限されている状態となっている。
また、実施例1において開示された技術的思想は、本実施例における固定装置100にも適用することが可能である。
次に、本発明に係る固定装置の第三の実施例について、図25〜図29に基づいて説明する。本実施例における固定装置は、実施例2に示す固定装置100と比べて、更に書類等の綴じる量が大きい綴じ具260をファイル本体280に綴じるためのものであり、その固定のために、実施例1に示す固定装置1が同時に二つ利用される。したがって、本実施例においては、固定装置1そのものの説明は割愛する。
図25は、図1、図16と同じように、本実施例に係る二つの固定装置1と、それによってファイル本体280に固定される綴じ具260が示されている。ここで、綴じ具260、ファイル本体280の概略的な構成を示すと、ファイル本体280は、ファイルとして使用されるときの背表紙に相当する背表紙部280aと、表表紙に相当する表表紙部280bと、裏表紙に相当する裏表紙部280cを有し、各表紙部間は、折り曲げ形成される。また、綴じ具260は、ベース部材261、第一綴じ部材270、第二綴じ部材275を有しており、第一綴じ部材270と第二綴じ部材275が組み合わされた状態でベース部材261に取り付けられることで、書類等の綴じ込みが行われることになる。なお、上記理由により、背表紙部280aの厚さは、実施例2における背表紙部180aの厚さより厚いものであり、対応するように綴じ具260の幅も、実施例2における綴じ具160の幅より大きい。
ここで、綴じ具260の構成について、図26に基づいて説明する。綴じ具260は、上述したようにベース部材261、第一綴じ部材270、第二綴じ部材275を有しており、第一綴じ部材270と第二綴じ部材275が組み合わされた状態でベース部材261に取り付けられることで、書類等の綴じ込みが行われる。なお、綴じ具260は、書類等を綴じるという機能の観点からは、従来の綴じ具と本質的に同質であるので、当該観点に基づく構成の説明は割愛する。一方で、本発明に係る固定装置1は綴じ具260をファイル本体280に固定するためのものであるから、当該固定に関する構成の説明を重点的に行う。更に、第一綴じ部材270と第二綴じ部材275は、実施例1、2における第一綴じ部材と第二綴じ部材と同質のものであるから、その説明は割愛する。
ここで、図26は、ベース部材261の構成を示す図である。ベース部材261は、二つの側壁部261bと、該側壁部261bのそれぞれに設けられた綴込爪部261aと、ファイル本体280と接触することになるベースプレート261cを有する。ここで、ベース部材261のベースプレート261c上には、複数種類の孔部等が設けられている。先ず、ベースプレート261cの中央部分には、実施例1における爪付位置決め孔部62に機能的に同一の四つの爪付位置決め孔部262が、一の爪付位置決め孔部262につき二つの位置決め爪263とともに設けられている。そして、その爪付位置決め孔部262
の左右のそれぞれに、実施例1における突状部65に相当する突状部265と、それを長手方向において挟んだ位置に、実施例1における係合孔部66及び係合時位置決め孔部67に相当する係合孔部266と係合時位置決め孔部267が設けられている。更に、二つの突状部165のそれぞれの図中の右横には、実施例1における位置決め孔部64に相当する位置決め孔部264が設けられている。
次に、ファイル本体280の構成について、図27に基づいて説明する。ファイル本体280の背表紙部280aにおいて、綴じ具260が固定されるべき位置にそれを位置決めするために、ファイル側位置決め孔部282が二つ設けられている。このファイル側位置決め孔部282は、矩形状の貫通孔であり、その一つに対して、綴じ具260側の一つの爪付位置決め孔部262が有する二つの位置決め爪263が嵌り込むように配置されることで、綴じ具260の背表紙部280a上への位置決めが行われる。
そして、その綴じ具260の位置決めが行われた状態で、綴じ具260側の係合孔部266と係合時位置決め孔部267に対応する背表紙部280aの位置に、貫通孔であるファイル側係合孔部286とファイル側係合時位置決め孔部287が設けられている。したがって、ファイル側係合孔部286は略矩形状の貫通孔であり、このファイル側係合孔部286を挟んで背表紙部280aの長手方向に二つのファイル側係合時位置決め孔部287が、該ファイル側係合孔部286と連通するように設けられている。
以上より、二つの固定装置1を用いて綴じ具260をファイル本体280に固定するための流れは、実施例1に示す一つの固定装置1を用いる場合と本質的に同一である。すなわち、重ねられた状態にある綴じ具260の係合孔部266とファイル本体280のファイル側係合孔部287に、ファイル本体280の内側からそれぞれの固定装置1の各係合爪を挿入し、更に同内側におけるユーザの操作により、第一スライド部材10と第二スライド部材30を係合位置になるように相対的スライドさせることで、綴じ具260をファイル本体280に固定することができる。また、相対的スライドにより第一スライド部材10と第二スライド部材30を係合解除位置にすることで、綴じ具260をファイル本体280から取り外すことができる。
なお、図28に、二つの固定装置1によって綴じ具260がファイル本体280の背表紙部280aに固定された状態を示す。また、その固定状態を、ファイル本体280の外側から見た状態を、図29に示す。図29に示す状態においては、ロック部材36、37が、それぞれに対応する対をなす係合爪の間に嵌まり込んでおり、その結果、第一スライド部材10と第二スライド部材30の相対的スライドが制限されている状態となっている。
また、上述までの実施例において開示された技術的思想は、本実施例における固定装置にも適用することが可能である。
次に、本発明に係る固定装置の第四の実施例について、図30A〜図32Bに基づいて説明する。本実施例における固定装置300は、上述までの固定装置と同様に、二つのスライド部材310、330が相対的スライドを行うことで、綴じ具のファイル本体への固定を行う。なお、本実施例においては、固定の対象である綴じ具及び該綴じ具が固定されるファイル本体として、実施例1に示す綴じ具60およびファイル本体80に基づいて説明を行うが、これは本実施例に係る固定装置300が当該綴じ具60の固定に限定されることを意味するのではなく、あくまでも例示的に示されるものである。
先ず、第一スライド部材310は、長手方向に延在するベース部311と、その一端に
固定作業を行うユーザの指を掛けるための操作部316とを有する。操作部316は、概ね矩形状を有しており、その内側には貫通部317が設けられている。また、該操作部316はベース部311との連結部位においてはヒンジ結合され、該ベース部311に対して回転移動が可能となっている。また、ベース部311と操作部316の連結部位の近傍に、実施例1におけるスライド突起部44に相当するスライド突起部312が設けられている。
また、スライド突起部312の近傍には、実施例1における係合爪22に相当する係合爪328が設けられている。さらに、ベース部材311の長手方向における中心軸上に、実施例1におけるスライド凹部24に相当するスライド凹部324が、係合爪328の近傍とベース部311の概ね中央部分に、二箇所設けられている。したがって、このスライド凹部324は、綴じ具60の固定時においては、綴じ具60の突状部65上に嵌り合い、その上で相対的スライドが行われることになる。また、一のスライド凹部324の近傍には、実施例1における位置決め突起部21に相当する位置決め突起部321が設けられ、後述する第二スライド部材330の位置決め突起部341とともに、綴じ具60の位置決め孔部64内に収められることになる。
また、図30Aに示すように、ベース部311の表側の一部においては、他部よりも盛り上がって形成されたバネ収納部313が設けられ、その裏側においては後述するバネが収納される収納溝325が、ベース部311の長手方向に沿って設けられている。そして、この収納溝の端部に第一スライド部材310の表側と裏側とを貫通する貫通孔315が設けられ、その貫通孔315の部位に、上記バネの一端を固定するための固定部314が設置されている。
更に、収納溝325の左右両側に、上記スライド突起部312と機能的に同一のスライド突起部326が、ベース部311の外側に飛び出すように設けられている。そして、実施例1における係合爪23に相当する係合爪323が、ベース部311の端部であって、上記操作部316が設けられている端部とは反対の端部に設けられ、その左右両側に実施例1におけるスライド突起部45に相当するスライド突起部327が設けられている。
次に、図30Bに示すように、第二スライド部材330は、矩形環状のフレーム部331を有しており、その端部は、引っ掛け用突起部334が設けられている。この引っ掛け用突起部334は、後述するように、操作部316の貫通部317が引っ掛けられる構成となっており、したがって、その形状は貫通部317の形状に対応する。また、環状のフレーム331には、その内部の貫通領域を三つの貫通領域333、337、339に分割するべく、横フレーム335、338が設けられている。そして、貫通領域333を構成するフレーム部331の左右両側には、実施例1におけるスライド突起部13に相当するスライド突起部332が設けられ、貫通領域337を構成する横フレーム335には、上記バネのもう一端を固定するための固定部336が設けられている。
更に、貫通領域333を構成するフレーム部331の裏側には、実施例1における段差部20に相当し、上記スライド突起部312が相対的スライド時に接触することになる段差部340が設けられ、貫通領域339を構成するフレーム部331の裏側には、実施例1における段差部19に相当し、上記スライド突起部327が相対的スライド時に接触することになる段差部346が設けられる。また、貫通領域333を構成するフレーム部331の裏側にも、上記スライド突起部326が相対的スライド時に接触することになる段差部344が設けられている。
そして、第二スライド部材330においては、引っ掛け用突起部334の裏側に、実施例1における係合爪42に相当する係合爪342が設けられ、横フレーム338の裏側に
は実施例1における係合爪43に相当する係合爪343が設けられる。更に、横フレーム335の裏側には、実施例1におけるスライド凹部46に相当するスライド凹部345が設けられ、このスライド凹部345は、上記スライド凹部324とともに綴じ具60の固定時においては、綴じ具60の突状部65上に嵌り合い、その上で相対的スライドが行われることになる。
このように構成される第一スライド部材310と第二スライド部材330は、第一スライド部材310側の、スライド突起部312、326、327が、それぞれ第二スライド部材330側の段差部340、344、339に対応するように組み合わされるとともに、固定部315、336を介して両スライド部材間にバネ346が接続されることで、固定装置300が形成される。そこで、固定装置300においては、両スライド部材が実施例1と同様の相対的スライドを行い、両スライド部材が係合位置もしくは係合解除位置に至ることで、固定装置300による係合状態又は係合解除状態が形成されることになる。
そして、固定装置300の係合状態を表面および裏面から見た図を、それぞれ図31A、図31Bに示し、その係合解除状態を表面および裏面から見た図を、それぞれ図32A、図32Bに示す。なお、固定装置300においては、第一スライド部材310が第二スライド部材330上をスライドすることになり、そして第一スライド部材310と第二スライド部材330が相対的スライドを行う時には、バネ346による付勢力が両スライド部材に作用することになる。
固定装置300の係合状態においては、バネ346の付勢力により第一スライド部材310と第二スライド部材330の距離が最も接近した状態(固定装置300の長手方向における端部同士の距離が最も接近した状態)であり、その結果、対をなす係合爪323と343及び係合爪328と342の爪間距離が最大となる。ここで、この係合状態においては、バネ346は、図31Bに示すように、押縮められた状態から自然長に戻った状態となっているので、該バネ346からの付勢力で、第一スライド部材310と第二スライド部材330の相対的位置関係はある程度維持されることになる。したがって、この状態でも比較的安定的に綴じ具60を固定することが可能ではあるが、本実施例においては該相対的位置関係の維持をより確実にするために、第一スライド部材310側の操作部316の貫通孔317が、第二スライド部材330側の引っ掛け用突起部334に引っ掛けられた状態となる(図31Aを参照。)。
また、固定装置300を係合状態から係合解除状態に至らしめるには、先ず、貫通孔317と引っ掛け用突起部334の引っ掛け状態を解除すべく、操作部316をヒンジ連結部位を中心として回転させる。そして、この操作部316を利用して、バネ346を縮める方向に第一スライド部材310をスライドさせる。図32Aには、この操作部316が第一スライド部材310のベース部311に対してほぼ垂直となるまで回転させた後、該第一スライド部材310が、第二スライド部材330の引っ掛け用突起部334の近傍まで引っ張られた状態が示されている。
そして、この係合解除状態では、図32Bに示すように対をなす係合爪323、343及び係合爪328、342の爪間距離は最小となり、綴じ具60の係合孔部66等からこれらの係合爪を抜き出すことが可能となる。なお、固定装置300を係合解除状態から係合状態に至らしめるには、操作部316に加えている引張り力を取り除けば、バネ346の付勢力によって固定装置300は係合状態に至ることになる。
本実施例に係る固定装置300は、係合爪323、343及び係合爪328、342は対をなしているが、係合爪342については単独で綴じ具60の係合孔部66等に挿入され、係合を行う。上述したように、固定装置300が、このように対をなさずに一の係合
孔部66等に挿入される係合爪を有していても、本発明に係る固定装置の範疇に属する。なお、固定装置300において、係合爪342に対応する係合爪を、例えば第一スライド部材310側に設けるようにしてもよい。
また、上述までの実施例において開示された技術的思想は、本実施例における固定装置にも適用することが可能である。
次に、本発明に係る固定装置の第五の実施例について、図33〜図35Bに基づいて説明する。本実施例における固定装置400は、上述までの固定装置と同様に、二つのスライド部材が相対的スライドを行うことで、綴じ具のファイル本体への固定を行うものであるが、使用されるスライド部材は同一種類のみである。なお、本実施例においては、固定の対象である綴じ具及び該綴じ具が固定されるファイル本体として、実施例1に示す綴じ具60およびファイル本体80に基づいて説明を行うが、これは本実施例に係る固定装置400が当該綴じ具60の固定に限定されることを意味するのではなく、あくまでも例示的に示されるものである。
ここで、本実施例に係る固定装置400を構成するスライド部材410について、図33に基づいて説明する。図33の左側には、スライド部材410の表側の構成が記載され、その右側には、スライド部材410の裏側の構成が記載されている。スライド部材410は、長手方向に延びる縦フレーム411と、該縦フレーム411の一の先端から該縦フレーム411に対して垂直に延びる横フレーム412と、該縦フレーム411の他の先端から該縦フレーム411に対して垂直に延びる横フレーム415と、該縦フレーム411の途中部であって該横フレーム411寄りの途中部から該縦フレーム411に対して垂直に伸びるL字形状の横フレーム414とを有する。更に、横フレーム412には、その先端から横フレーム414の方に向かって延び、且つ該横フレーム414には至らない長さを有する縦フレーム413が設けられ、また該横フレーム412の中央部分近傍において、該横フレーム412から縦フレーム413とは反対方向に延在する操作部417が設けられている。
更には、横フレーム415には、その先端から横フレーム414の方に向かって延び、且つ該横フレーム414には至らない長さを有する板状の縦フレーム416が設けられ、また横フレーム414には、横フレーム412に向かって後述するバネ430を取り付けることが可能な取付部418が設けられている。
次に、スライド部材410の裏側の構成について説明する。横フレーム412の裏側に、実施例1における係合爪22等に相当する係合爪421が二つ並べられており、また横フレーム415の裏側には、同様に係合爪22等に相当する係合爪420が二つ並べられている。これらの係合爪420、421は、全て同一の形状を有し、且つ該係合爪によるファイル本体の保持方向も、同一の方向(横フレーム412から横フレーム415への方向)である。
そして、横フレーム414のL字形状の一辺(縦フレーム411に平行な辺)には、縦フレーム411の延在方向に延びる溝部419が設けられ、該溝部419は、横フレーム415に対向するように開口し且つ該横フレーム414の他の一辺の近傍まで延びている。この溝部419には、後述するようにスライド部材410を二つ組み合わせて固定装置400を形成するとき、一方のスライド部材410の縦フレーム413が挿入されることになる。
このように構成されるスライド部材410を二つ利用し、互いの横フレーム418(4
18’)が対向し、且つ固定装置400が転対象となるように組み合わされることで、本実施例に係る固定装置400が形成される。固定装置400の具体的な構成については、図34A等に示すが、その説明にあたり、一方のスライド部材410に関する構成を説明する場合には、その参照番号にダッシュを添付せず、もう一方のスライド部材410’に関する構成を説明する場合には、その参照番号にはダッシュを添付する。固定装置400は一方のスライド部材410の縦フレーム416が他方のスライド部材410’の横フレーム412’に乗り上げ、操作部417が横フレーム415’に乗り上げた状態となる。同様に、縦フレーム416’が横フレーム412に乗り上げ、操作部417’が横フレーム415に乗り上げた状態となる。
更に、一方のスライド部材410の縦フレーム413が他方のスライド部材410’の溝部419’に挿入され、同様に、他方のスライド部材410’の縦フレーム413’が一方のスライド部材410の溝部419に挿入された状態となる。そして、対向する横フレーム418と418’のそれぞれに設けられた取付部418、418’を介して、二つのスライド部材410、410’の間に付勢力を作用させるバネ430が取り付けられる。このように形成される固定装置400においては、両スライド部材が実施例1と同様の相対的スライドを行い、両スライド部材が係合位置もしくは係合解除位置に至ることで、固定装置400による係合状態又は係合解除状態が形成されることになる。
ここで、固定装置400の係合状態を表面および裏面から見た図を、それぞれ図34A、図34Bに示し、その係合解除状態を表面および裏面から見た図を、それぞれ図35A、図35Bに示す。なお、固定装置400においては、第一スライド部材410と第二スライド部材410’が相対的スライドを行う時には、バネ430により固定装置400が係合状態にあろうとする付勢力が作用している。
先ず、固定装置400の係合状態においては、バネ430の付勢力によりスライド部材410とスライド部材410’の距離が引き離された状態(固定装置400のバネ430による付勢方向の長さが最も長い状態)であり、その結果、対をなす係合爪420と421’の爪間距離等が最大となる。このとき、バネ430は、図34Bに示すように、押縮められた状態から自然長に戻った状態となっており且つ各スライド部材の縦フレーム413(413’)が対応する溝部419’(419)の奥に突き当たった状態となっている。そのため、バネ430からの付勢力で、両スライド部材の相対的位置関係はある程度維持されることになる。
また、固定装置400を係合状態から係合解除状態に至らしめるには、バネ430を縮める方向に両スライド部材をスライドさせる。具体的には、ユーザが、その指で横フレーム414と414’を摘むように操作を行えばよい。そのようにすることで、固定装置400は係合解除状態に至り、図35Bに示すように対をなす係合爪420、421’等の爪間距離は最小となり、綴じ具60の係合孔部66等からこれらの係合爪を抜き出すことが可能となる。なお、固定装置300を係合解除状態から係合状態に至らしめるには、バネ430を縮めている力を取り除けば、バネ430の付勢力によって固定装置400は係合状態に至ることになる。
また、上述までの実施例において開示された技術的思想は、本実施例における固定装置にも適用することが可能である。
次に、本発明に係る固定装置の第六の実施例について、図36A〜図39に基づいて説明する。本実施例における固定装置500は、実施例2で示された綴じ具160をファイル本体180に固定するために使用される固定装置であって、上述までの固定装置とは異
なり、二つのスライド部材の相対的スライドによる綴じ具160の固定は行うものではなく、図36A及び図36Bに示す一体の固定装置によって綴じ具160の固定を行う。
固定装置500は、板状の装置本体501と、該装置本体501から垂直に延び、実施例1における挿入片22bに相当する二つの挿入片503とを有する。二つの挿入片503との間には、矩形上に切り欠かれた切り欠き部506が設けられることで、二つの挿入片503の間の連結は比較的に弾性的な連結となっている。また、各挿入片503には、実施例1における係合片22aと位置決め片22cに相当する係合片504と位置決め片505が設けられており、これら挿入片503、係合片504、位置決め片505によって、実施例1における係合爪22に相当する係合爪を形成している。
また、装置本体501は、挿入片503との連結部位から係合片504が延在する方向に、更に長く延在し、その先端に、ユーザが当該固定装置500を使用する際に指を掛けるための操作部502が、突起状に形成されている。そして、図36Bに示すように、装置本体501の裏面側であって、切り欠き部506に対向する位置に該装置本体501の裏面から突起した係止突起部507が設けられている。
このように構成される固定装置500を、図37に示すように、その挿入片503から綴じ具160のベースプレート161c上の係合孔部166とそれに重ねられたファイル本体180のファイル側係合孔部186に挿入させ、その後固定装置500を、該係合孔部166に連通する係合時位置決め孔部167側に引くことで、該固定装置500の係合片503によるファイル本体180との係合が行われる。また、本実施例におけるベースプレート161cには、その一部が切り起こされて形成された係止部561が設けられている。そこで、上記のように固定装置500によるファイル本体180への係合が行われるべく該固定装置500が引かれると、固定装置500側の係止突起部507が、該係止部561を乗り越えることで、ファイル本体180と係合をした固定装置500が動き出し、その係合が不用意に解除されてしまうことを防止することができる。なお、固定装置500によるファイル本体180との係合を解除するためには、係止突起部507が係止部561を乗り越える外力を、該固定装置500に作用させればよい。
また、上述したように、一の係合孔部166(ファイル側係合孔部186)には、該係合孔部を挟んで二つの係合時位置決め孔部167(ファイル側係合時位置決め孔部187)が設けられている。そこで、固定装置500を用いて綴じ具160をファイル本体180に固定する場合は、図38に示すように、固定装置500が有する係合爪(挿入片503で形成される係合爪)の向きを逆にして、重ねられた一つの係合孔部166とファイル側係合孔部186には、二つの固定装置が使用される。このようにすることで、固定装置500を用いて、綴じ具160及びファイル本体180を異なる保持方向で保持することが可能となる。
ここで、固定装置500を使用して綴じ具160をファイル本体180に固定した状態を図39に示す。本実施例に係る綴じ具160には係合孔部166が二つ備えられているので、綴じ具160をファイル本体180に固定する場合には、全体で四つの固定装置500が使用されることになる。
次に、本発明に係る固定装置の第七の実施例について、図40〜図43に基づいて説明する。本実施例における固定装置は、上述の実施例で示したように、相対的スライドを行う二つのスライド部材によって綴じ具の固定を行うのではなく、ファイル本体の内側において相対的な回転運動を行う二つの回動部材によって綴じ具の固定を行う。
図40は、本実施例に係る固定装置600を側面から見たときの構成を示す図である。図40及び41に示される固定装置600は、二つの板状の回動部材601、602で構成される。この回動部材601と602は回転軸603を中心として、回動自在である。そして、両回動部材601、602の先端には、実施例1における係合爪22に相当する係合爪622が、それらの幅方向に二つずつ並べられている。
また、図41に示すように、固定の対象である綴じ具のベースプレート661cには、上述までの実施例と同様に、上記係合爪622が挿入され、ファイル本体との係合を行うための係合孔部666が四つ設けられ、更に各係合孔部666に対して、上記係合時位置決め孔部67に相当する、一つの係合時位置決め孔部667が、該係合孔部666に連通するように設けられている。なお、説明の簡略化のため、図41にはファイル本体の構成を省略しているが、上述までの実施例の場合と同様に、綴じ具側に設けられた係合孔部666と係合時位置決め孔部667に対応する孔部が、ファイル本体に設けられている。
このように構成される固定装置600では、綴じ具をファイル本体に固定しようとするときは、その姿勢は図40に示すように、回転軸603を中心として、「く」の字形状をしている。この状態で、各回動部材の先端に設けられた係合爪622を係合孔部666等に挿入し、その後、各回動部材を回転軸603を中心として回転させて、回動部材601と602を概ね一直線状とする。これにより、各係合爪の図示しない位置決め片が係合時位置決め孔部667等に嵌りこみ、予め決められた所定の位置で、各係合爪によるファイル本体との係合が行われることになる。一方で、固定装置600による綴じ具の固定を解除する場合には、一直線状になっている回動部材601、602を図40に示す「く」の字形状になるように持ち上げればよい。
また、図42、43には、同様に二つの回動部材から構成される固定装置であるが、上記固定装置600とは回動部材の回転方向が異なっている固定装置700の実施例を示す。図42は、固定装置700を上方から見たときの構成を示す図である。すなわち、この固定装置700では、回動部材701と702が水平面内で回転軸703を中心として回転することで(図42内の矢印方向の回転)、各回動部材の先端に設けられた、実施例1における係合爪22に相当する係合爪722によるファイル本体との係合が行われる。
このように水平面内で回動部材を回転させる場合、回動部材701、702に取り付けられ、係合爪722を形成する挿入片722b、係合片722a、位置決め片722cが、円弧状の軌跡を辿ることになる。特に、位置決め片722cは、回動部材の回転方向に沿って延在する面を有するため、その軌跡は明確な円弧状となる。そこで、固定装置700においては、位置決め片722cの形状を図43に示すように円弧状に形成し、更に綴じ具およびファイル本体に設けられる係合時位置決め孔部およびファイル側係合時位置決め孔部の形状を、この位置決め片722cに沿った形状とする。これにより、水平面内で回転する回動部材を有する固定装置700を使用しても、綴じ具をファイル本体に適切に固定することができる。
上述した実施例に開示された固定装置は、ファイル本体の内側においてユーザに操作されることで、係合爪がファイル本体の内側から外側に向かって挿入され、そして背表紙部の外側表面と接触することで、該ファイル本体と係合爪との係合が実現される。したがって、係合爪と背表紙部との接触を繰り返すと、一般的に強度の弱い背表紙部が破損してくる可能性がある。そこで、図44に示す背表紙部の外側表面を覆う樹脂製の背表紙カバーであって、固定装置の係合爪によって綴じ具とファイル本体の背表紙部とともに係合される背表紙カバー800が、該背表紙部の保護に有用であり、これを第8の実施例として以下に説明する。
ここでその説明にあたり実施例1に示す綴じ具60をファイル本体80に固定する場合における、背表紙カバー800の具体的な構成を図44、45に示す。背表紙カバー800は、板状の本体部801と、該本体部801の一端に設けられた見出し部802と、該本体部801をファイル本体80の背表紙部80aの上辺に引っ掛けるための引っ掛け部803を有している。そして、引っ掛け部803を介して背表紙カバー800をファイル本体80に引っ掛けたとき、ファイル本体80に設けられたファイル側係合孔部86やファイル側係合時位置決め孔部87に対応する本体部801上に、同様の形状を有するカバー側係合孔部806、カバー側係合時位置決め孔部807が設けられている。
したがって、背表紙カバー800を引っ掛け部803を介してファイル本体80に取り付けた状態で、ファイル本体80の内側から上述した固定装置1の各係合爪を挿入し、そして背表紙カバー800を含めてファイル本体80と係合させることで、ファイル本体の外表面を破損させることなく、綴じ具60を固定することができる。
なお、ファイル本体80には、一般的にその背表紙部80aの外表面には、見出し用のビニール製のカバー等が装着されていることが多い(図45を参照。)。このようなファイル本体80に対しても、図45に示すように背表紙カバー800をビニールカバーの上方の開口部から滑り込ませることで、上述のようにファイル本体80の背表紙部の保護を行わせることが可能となる。
<成形用金型および綴じ具の固定装置の製造方法>
上記実施形態の第二スライド部材30の製造方法について、第9の実施例として以下に説明する。図46において、上述した第二スライド部材30の断面図を示す。下記に示す成形用金型および製造方法は、第二スライド部材30を図46に示すように、ロック部材36,37が非ロック状態における形状になるように第二スライド部材30を一体成形する。すなわち、ロック部材36,37がロック状態よりもヒンジの回転軸を中心に略90度回転している状態である。
図47は、成形用金型900の断面図である。図47に示すように、成形用金型900は、第一の金型901と第二の金型902とを備える。第一の金型901は、第二スライド部材30の表面のうちファイル本体80が配置される側の表面を成形するための第一の成形面903を有する。第二の金型902は、第二スライド部材30の表面のうちファイル本体80が配置される側と反対側の表面を成形するための第二の成形面904を有する。第一の成形面903は、係合爪42、43を成形する他、ロック部材36、37の第二板部36b、37bを成形する。また、第二の成形面904は、ロック部材36,37の主要な外形等を成形する。この第二板部36b、37bは、ロック部材36,37がロック状態の場合に係合爪42,43と当接する部分であるため、この成形用金型900では、ロック部材36,37を第二スライド部材とヒンジ部を介して回動可能なように一体成形するにあたり、第二板部36b、37bが係合爪42,43と当接しない状態、換言すると、ロック部材36,37が非ロック状態における形状になるように第二スライド部材30を一体成形する。図47の符号Aが示す部位の金型が成形する第二スライド部材30の対応部分の拡大図を図48に示す。図48に示すように、第二スライド部材30のロック部材36と、係合爪42等が配置される第二スライド部材30の本体部分とは、一体成形されたヒンジ部で連結されている。
第二スライド部材30を成形する際は、第一の金型901と第二の金型902とを連結することで成形用金型900の内部に形成される型枠に、図示しない孔から熱溶解した樹脂を注入する。そして、冷却によって樹脂が硬化したのち第一の金型901と第二の金型
902とを分離することで、第二スライド部材30が製造される。図49は、金型を分離する際の図である。図49において示すように、ロック部材36,37が第二スライド部材30に対して直角に起立した状態で成形されることにより、両金型を容易に分離することが可能であり、且つ、ロック部材36の第二板部36bが係合爪42に癒着した状態で成形すること等が無くなる。図50は、符号Aが示す部位の離型時の状態を示す図である。図50から明らかなように、ロック部材36が第二スライド部材30に対して起立していることにより、第二スライド部材30を成形用金型900から容易に離型することが可能である。
なお、上記成形用金型900や製造方法は、上記実施例1に係る第二スライド部材30のみならず、その他の実施例のスライド部材、例えば実施例2に係る第二スライド部材130や実施例3に係る第二スライド部材30にも適用可能である。
本発明の第10の実施例を、以下に示す図51から図53Bに基づいて例示的に説明する。なお、綴じ具60およびファイル本体80の構成については上述の実施形態と同様なため、その説明を省略する。図51において示すように、本実施例に係る固定装置1500は、ファイル本体80および綴じ具60に設けられた2つの孔に対応するように構成される。図52において、本実施例の固定装置1500を示す。本実施例に係る固定装置1500は、上記各実施例のように二つのスライド部材で構成されておらず、一つの部材で構成されている。図52に示すように、固定装置1500は、操作部1538が設けられており、ユーザがスライド操作することで係合爪1542がファイル本体80や綴じ具60に係止する。操作部1538は、指をかけて当該操作をし易いように、その中央に貫通孔を有している。また、固定装置1500は、係止対象物を被係止物に対して固定するために、被係止物への係合を行う係合爪1542が、裏側に突出するように設けられている。また、固定装置1500には、ロック部材1536が設けられている。なお、本ロック部材1536は、基本的に上記各実施例のロック部材とその構成が同一であるが、ロック部材が当接する部位が異なる。係る事項については後述する。
図53A、53Bは、本固定装置1500の使用方法の説明図である。図53Aに示すように、係合爪1542がファイル本体80および綴じ具60に設けられた孔に挿通された状態でロック部材1536を固定装置1500に対して相対的に回転変位することで、係合爪1542とファイル本体80および綴じ具60との間に設けられた空間(間隙)に該ロック部材1536が入り込む。この結果、ファイル本体80および綴じ具60と固定装置1500との相対的スライドが制限され、固定装置1500の係合状態が維持されることになる。また、係合状態を解除したい場合は、このロック部材1536を先とは逆方向に回転変位させることで、間隙から該ロック部材1536を取り除けばよい。
本発明に係る固定装置の更なる実施例を、第十一の実施例として、図54〜図56に基づいて説明する。図54は、本実施例に係る固定装置2000の構成を示すとともに、それにより固定される綴じ具2060とファイル本体との関係を示す図である。また、図55は、固定装置2000によって固定された綴じ具2060とファイル本体2080をファイル本体2080の外側から俯瞰した図であり、図56はその固定状態に断面を示す図である。なお、固定装置2000は、上記実施例に示す固定装置1等と比べて書類等の綴じる量が比較的少ない綴じ具2060をファイル本体2080に綴じるために特に好適に用いられるが、本実施例で示される技術的思想は、綴じられる書類等の量に依存するものではない。
図54に示すように、固定装置2000によって、ファイル本体2080に綴じ具20
60が固定される。ここで、固定装置2000、綴じ具2060、ファイル本体2080の概略的な構成を示すと、固定装置2000は樹脂材料を一体成型することで形成され、ファイル本体2080は、ファイルとして使用されるときの背表紙に相当する背表紙部2080aと、表表紙に相当する表表紙部2080bと、裏表紙に相当する裏表紙部2080cを有し、各表紙部間は、折り曲げ形成される。また、綴じ具2060は、ベース部材2061、第一綴じ部材2070、第二綴じ部材2075を有しており、第一綴じ部材2070と第二綴じ部材2075が組み合わされた状態でベース部材2061に取り付けられることで、書類等の綴じ込みが行われることになる。
図54に示すように本実施例においては綴じ具2060をファイル本体2080に固定するためには当該固定装置2000が二台使用される。具体的には、後述するように綴じ具2060のベースプレート2061cの天地方向における両端部近傍に設置され、したがって該ベースプレート2061cの中央部分は二台の固定装置2000によって占有されない構成となっている。
ここで、固定装置2000は、平板状の本体板部2001と、その先端部分に設けられた係合爪2023と、該本体板部2001の後方に設けられた係合爪2022と、本体板部2001の後端部分において該本体板部2001に対して上方に折れ曲がった形状となるように設けられた平板状の操作部2002と、を有している。更に、本体板部2001と操作部2002との接続部位近傍の、該本体板部2001の下面側に、該本体板部2001の横方向に延びる突起状のロック用突状部2003が設けられている。
ここで、係合爪2022、2023は、上記実施例1等に示す係合爪22等と機能的に同一となる構成を有する。すなわち、係合爪2022及び係合爪2023は、それぞれ上記係合片22aに相当する係合片2022a、2023aを有し、上記挿入片22bに相当する挿入片2022b、2023bを有し、上記位置決め片22cに相当する位置決め片2022c、2023cを有する。なお、係合爪2023には、更に、挿入片2023bと位置決め片2023cとを上方から覆うように接続され、本体板部2001と面一となる板状の上板部2023dが設けられている。また、一つの固定装置2000においては、係合爪2022と係合爪2023の係合方向は同一方向であるが、二台の固定装置2000を使用して、綴じ具206とファイル本体2080の固定を行うと、図に示すように一方の固定装置2000による係合方向と、他方の固定装置2000による係合方向とが異なり(本実施例の場合は互いに反対方向となる)、その結果、全体として、より強固な綴じ具2060等の固定が実現され得る。
次に、綴じ具2060の構成について説明する。綴じ具2060は、第一綴じ部材2070と第二綴じ部材2075が組み合わされ、それをベース部材2061に取り付けられることで形成される。ベース部材2061は、二つの側壁部2061bと、該側壁部2061bのそれぞれに設けられた綴込爪部2061aと、ファイル本体2080と接触することになるベース部材としてのベースプレート2061cを有する。なお、また、第一綴じ部材2070と第二綴じ部材2075については、機能的には上述までの第一綴じ部材70と第二綴じ部材75等と同じであるから、それに関する詳細な説明は割愛する。
ここで、ベース部材2061のベースプレート2061c上には、複数種類の孔部等が設けられている。ベースプレート2061cの中央部分を挟んで上下方向(ファイル本体の天地方向に対応する方向)に、且つ該ベースプレートの中央部分を避けるように、係合孔部2066と係合時位置決め孔部2067によって形成される該ベースプレート2061cの貫通孔が、該中央部分を挟んで鏡像関係となるように2個設けられている。この係合孔部2066は略矩形状の貫通孔であり、係合時位置決め孔部2067は、係合孔部2066の上下方向の辺のうちベースプレート2061cの中央部分側の辺に、該係合孔部
2066と連通する貫通孔である。この係合時位置決め孔部2067は、上記係合爪2023の位置決め片2023cに対応するものである。
また、二つの係合孔部2066の間には、ベースプレート2061cの一部がその側に折り曲げられることで形成される二つの貫通孔2062が設けられる。このとき、折り曲げ片が、綴じ具2060をファイル本体上に配置するとき、その位置決め機構として機能するべく、位置決め爪2063となる。この位置決め爪2063は、ベースプレート2061cの裏面から垂直に立設された状態となる。したがって、これら貫通孔2062、位置決め爪2063は、上記の爪付位置決め孔部62、位置決め爪63に相当する。
また、ベースプレート2061cの上下方向の二辺に、それぞれ、切り欠いて形成され上記係合時位置決め孔部2067と同じ方向に延在する位置決め切り欠き部2068が設けられている。この位置決め切り欠き部2068は、上記係合爪2022の位置決め片2022cに対応するものである。
次に、ファイル本体2080の構成について説明する。ファイル本体2080の背表紙部2080aには、固定装置2000の係合爪2022、2023が挿入されるファイル側係合孔部2086a、2086bが設けられている。ファイル側係合孔部2086a、2086bは、背表紙部2080aの中央部分に対して、その天地方向に沿って鏡像関係に配置されている。したがって、以下では片側のファイル側係合孔部2086a、2086bについて説明する。
背表紙部2080aの中央部分寄りに配置されるファイル側係合孔部2086aは略矩形状の貫通孔である。更に、その天地方向の辺のうち該中央部分側の辺には、綴じ具2060側の係合時位置決め孔部2067に対応し、それと同様に天地方向に延在する貫通孔であるファイル側係合時位置決め孔部2087aが設けられている。同様に、上記ファイル側係合孔部2086aよりも外側に配置されるファイル側係合孔部2086bも略矩形状の貫通孔である。更に、その天地方向の辺のうち該中央部分側の辺には、綴じ具2060のベースプレート2061cの端部に位置する位置決め切り欠き部2068に対応し、それと同様に天地方向に延在する貫通孔であるファイル側係合時位置決め孔部2087bが設けられている。ここで、ファイル側係合孔部2086a、2086bの形状は概ね同じであり、またファイル側係合時位置決め孔部2087a、2087bについては、固定装置2000の各係合爪の位置決め片2022c、2023cの長さ(係合方向における奥行き)に対応し、両孔部の天地方向の長さは概ね同じである。
また、背表紙部2080aの中央部分には、上述した位置決め爪2063に対応するファイル側位置決め孔部2082が二つ設けられている。このファイル側位置決め孔部2082は矩形状の貫通孔であり、その天地側の両辺に各貫通孔2062に設けられた二つの位置決め爪2063が接触することでファイル本体2080に対する綴じ具2060の配置位置を位置決めする。
そこで、ファイル本体2080上に位置決めされた綴じ具2060の、固定装置2000による固定方法について以下に説明する。図55には、位置決め爪2063とファイル側位置決め孔部2082とによって、ファイル本体2080上に綴じ具2060が位置決めされ、その状態で固定装置2000による固定が行われた状態が示されている。また、図56は、図55に示す状態の断面図(B−B断面図)である。
位置決め爪2063とファイル側位置決め孔部2082とによって、ファイル本体2080と綴じ具2060が重ねられた状態となることで、ファイル側係合孔部2086aと係合孔部2066とが重なって、ファイル本体2080の外側と内側との間を連通し、固
定装置2000の係合爪2023が挿入可能な連通孔が形成される。このとき、ファイル側位置決め孔部2087aも係合時位置決め孔部2067と重なって連通した状態を形成する。更に、ファイル側位置決め孔部2087bもまた、位置決め切り欠き部2068と重なって同様に連通した状態を形成するが、ファイル側係合孔部2086bについては、その上に綴じ具2060が重なる状態には至らない。したがって、固定装置2000の係合爪2022は、このファイル側係合孔部2086bにのみ挿入される。
そして、綴じ具2000の各係合爪2022、2023を、それぞれに対応するファイル側係合孔部2086aと係合孔部2066による連通孔と、ファイル側係合孔部2086bとに、ファイル本体2080の内側から挿入し、各係合爪によるファイル本体2080との係合を実現させる。具体的には、ユーザが操作部2002を把持しながら、係合爪2023をファイル側係合孔部2086aと係合孔部2066による連通孔に挿入すると同時に、係合爪2022をファイル側係合孔部2086bに挿入する。この状態で、操作部2002を介して固定装置2000を背表紙部2080aの中央部分に向かってスライド力を付与すると、挿入片2022cとファイル側位置決め孔部2087a及び係合時位置決め孔部2067との位置決めのための嵌合関係に従いながら、且つ挿入片2023cとファイル側位置決め孔部2087b及び位置決め切り欠き部2068との位置決めのための嵌合関係に従いながら、固定装置2000がスライドする。そして、最終的に各係合爪の挿入片2023b、2022bが各孔部の縁やベースプレート2061cの縁に当接することで、固定装置2000のスライドが終了する。その結果、固定装置2000の各係合爪の係合片2023a、2022aがファイル本体2080の背表紙部2080aの外側と係合した状態となり、以て綴じ具2060は、固定装置2000とファイル本体2080に挟持され、該ファイル本体2080への固定が行われる。
ここで、固定装置2000のスライドが終了する際に、操作部2002を背表紙部2080a側に移動させると、ロック用突状部2003が滑り込むようにファイル側係合孔部2086bに挿入され、孔部2086bの天地方向の辺のうち外側に位置する辺に接触した状態となる(図55、図56を参照)。この結果、固定装置2000は、ファイル本体2080の天地方向において、各係合爪とロック用突状部2003によってスライドが規制された状態が形成されることになり、以て綴じ具2060をファイル本体2080上に確実に固定することが可能となる。そして、上述したが、このように固定装置2000の係合爪による係合方向が、固定装置2000間で異なるため、綴じ具2060の固定がより磐石となる。
なお、ファイル本体2080上に固定された綴じ具2060を取り外すためには、ファイル側係合孔部2086bに嵌りこんでいるロック用突状部2003を、操作部2002を利用して引き抜けばよい。操作部2002は、固定装置上方に折れ曲がっているため、ユーザによる引き抜き作業は困難ではない。ロック用突状部2003が引き抜かれた後は、固定装置2000を固定時とは反対の方向にスライドさせることで、各係合爪による係合状態を解除し、各係合爪を挿入されている連通孔等から引き抜けばよい。
また、図54からも分かるように、本実施例においては、綴じ具2060をファイル本体2080に固定する固定手段として、二つの固定装置2000が利用され、すなわち必要十分の大きさを有する固定装置が必要数だけ利用され、各固定装置によって効率的な固定が行われている。そのため、綴じ具2060に対して固定装置2000が占める空間の大きさをより小さくすることができ、以て綴じ具設計の視点から”デッドスペース”となってしまう空間が減り、綴じ具設計のために活用できる空間を広くすることが可能となる。言い換えると綴じ具固定のために広い空間を確保する必要がなくなるため、綴じ具の大きさが比較的小さくなっても固定装置2000は採用することが可能である。例えば、綴じ具2060の紙葉を綴じるパイプ部分の長さが短い綴じ具(したがって、対応するファ
イルの背表紙部の幅も狭くなる)にも、この固定装置2000は適用が可能である。
次に、本実施例に係る固定装置の第十二の実施例について、図57〜図60に基づいて説明する。本実施例における固定装置は、2つのスライド部材が相対的にスライド移動することで綴じ具等のような係止対象物をファイル本体等の被係止物に固定する固定装置であるが、上記各実施形態と異なり、一対の係合爪のみで固定する。すなわち、本実施例は、例えば上記実施例1に示すように各スライド部材が2つの係合爪をそれぞれ有しているのではなく、各スライド部材が1つの係合爪を有している。
図57及び図58に示すように、本実施例に係る固定装置1000は、第一スライド部材1010と第二スライド部材1030を有している。固定装置1000を構成する第一スライド部材1010と第二スライド部材1030は、図57及び図58に示すように組み合わせられことで、互いが相対的にスライドすることが可能となり、当該スライドが可能な状態において本実施例に係る固定装置100としての機能を発揮する。なお、この両スライド部材による相対的なスライドを上述した各実施例の場合と同様に「相対的スライド」と言う。なお、固定装置1000を構成する各構成要素について、上述した各実施例と同様の名称を用いているものに関しては上記各実施例に記載の構成要素と同様の機能を奏するものであるため、上記各実施例に係る固定装置との相違点を中心に説明する。
先ず、第一スライド部材1010についてであるが、第一スライド部材1010は、上述の各実施例と同様、長手方向に延びる二本の平行な縦フレーム1011を有している。また、第一スライド部材1010の長手方向端部には操作部1016が設けられており、更に、操作部116から貫通孔に至る窪み部1018を有している。また、第一スライド部材1010は、綴じ具のような係止対象物をファイル本体等の被係止物に対して固定するために、被係止物への係合を行う係合爪1022が、裏側に突出するように設けられている。
次に、第二スライド部材1030についてであるが、第二スライド部材1030は、長手方向に延びるベース部1031を有している。そして、ベース部1031の一方の端部には操作部1038が設けられており、ユーザが第二スライド部材1030をスライド操作するときにその指をかけて当該操作をし易いように、その中央に貫通孔を有している。また、第二スライド部材1030は、上記係合爪1022と同様、係止対象物を被係止物に対して固定するために、被係止物への係合を行う係合爪1043が、裏側に突出するように設けられている。なお、係合爪1022と係合爪1043の保持方向は互いに逆向きとなっており、係合爪1022と係合爪1043の保持方向が互いに逆となった状態で一対の係合爪を形成する。また、第二スライド部材1030には、上述した各実施例と同様のロック部材1037が設けられている。
ここで、一対の係合爪を構成する係合爪1022と係合爪1043は、爪間距離が第一スライド部材1010と第二スライド部材1030の相対的スライドに伴って変動する。そして、係合爪の爪間距離が最も広がった状態では、第二スライド部材1030側に設けられたロック部材1037が回転変位することで、その係合爪の間に形成された挿入空間に入り込み、その結果、第一スライド部材1010と第二スライド部材1030の相対的スライドが制限され、固定装置1000の係合状態が維持されることになる。また、再び、相対的スライドを行いたい場合は、このロック部材1037を先とは逆方向に回転変位させることで、係合爪の間に形成された空間から該ロック部材を取り除けばよい。
以下、固定装置1000の使用方法について詳述する。図59および図60は、固定装置1000の使用方法を図示したものである。固定装置1000を用いて係止対象物を被
係止物に固定するためには、図59に示すように重ねられた状態にある係止対象物の係合孔と被係止物の係合孔に、固定装置1000の各係合爪を挿入し(図59)、更に第一スライド部材1010と第二スライド部材1030を係合位置になるように相対的スライドさせることで、係止対象物を被係止物に固定することができる(図60)。そして、ロック部材1037を、それぞれに対応する対をなす係合爪1022と係合爪1043の間に嵌めこむことにより、第一スライド部材1010と第二スライド部材1030の相対的スライドが制限される状態になる。なお、係止対象物を被係止物から外したい場合は、係合爪1022と係合爪1043の間に嵌められているロック部材1037を回転操作により外し、また、相対的スライドにより第一スライド部材1010と第二スライド部材1030を係合解除位置にすることで、係止対象物を被係止物から取り外すことができる。
以上、本実施例に係る固定装置の実施形態について、ファイル本体に綴じ具を固定する場合等を例に説明してきたが、上述したように本実施例はこのような適用例に限定されるものではない。すなわち、本実施例に係る固定装置は下記に示すような係止対象物、及び被係止物を固定する場合にも適用可能である。図61及び図62において、ファイル以外に上記固定装置を適用する場合の適用例を示す。図61において示すように、本実施例に係る固定装置はテーブル1100等にも適用することが可能である。以下、本適用例について詳述する。
図61に示すように、テーブル1100は、天板1110と脚1150とにより構成されている。天板1110は、図62において示すように、下面に金属製の基板1111を有している。基板1111は、本実施例でいう被係止物に相当する部材であり、被係止物側孔部1112を、天板1110の中心部から四方に分かれる方向に計4つ有している。基板1111は、縁が天板1110側に歪曲していることにより、基板1111の中心付近と天板1110との間に中空部分が形成されるように天板1110に取り付けられている。次に、脚1150について説明する。脚1150は、図61及び図62において示すように、床と設置される側に円盤状の部材である下板部1151と、下板部1151から天板1110が設けられる側に伸びる棒状の支柱1152とを備える。そして、支柱1152の上端側にはL字状の鉄板であるクランプ部材1153が四方に分かれる方向に4つ設けられている。4つのクランプ部材1153にはそれぞれ上記被係止物側孔部1112と略同一の形状および大きさを有する孔である固定用孔部1154が設けられている。
天板1110と脚1150とにより構成されるテーブル1100は、上記各実施例において例示したような固定装置によって着脱自在に固定される。例えば、上記で挙げた固定装置1000で脚1150を天板1110に固定する場合であれば、被係止物側孔部1112と固定用孔部1154とに、固定装置1000の各係合爪を挿入し、更に第一スライド部材1010と第二スライド部材1030を係合位置になるように相対的スライドさせることで、脚1150のクランプ部材1153を天板1110の基板1111に固定することができる(図63参照)。そして、ロック部材1037を、それぞれに対応する対をなす係合爪1022と係合爪1043の間に嵌めこむことにより、第一スライド部材1010と第二スライド部材1030の相対的スライドが制限される状態になる。4つの固定装置1000をこのようにそれぞれ4つの孔に嵌めて固定することにより、脚1150が天板1110に固定される。なお、脚1150を天板1110に固定から外したい場合は、係合爪1022と係合爪1043の間に嵌められているロック部材1037を回転操作により外し、また、相対的スライドにより第一スライド部材1010と第二スライド部材1030を係合解除位置にすることで、脚1150を天板1110から取り外すことができる。
ここで、上記した複数の実施例は、下記の付記的事項に係る技術的思想にも含まれるものである。
本付記に係る発明は、上記した課題を解決するために、綴じ具をファイル本体に固定するために設けられたファイル本体側の孔部と綴じ具側の貫通部とに挿入される一対の挿入部のうち一の挿入部が設けられる可動部材に対して、ファイル本体の内側からの操作を可能にする操作部を設け、係合部のファイル本体への係合及び該係合の解除をファイル本体の内側からの操作により可能とする構成を採用した。このような構成を採用することで、ユーザの操作性の確保が可能となる。
詳細には、本付記に係る発明は、書類等を綴じる綴じ具に設けられた固定用孔部とファイル本体に設けられたファイル側孔部とを用いて、該綴じ具を該ファイル本体上に固定するための綴じ具固定装置であって、前記ファイル本体の内側に配置される固定装置本体部であって、該固定装置基部と相対的に移動可能な可動部材を有する固定装置本体部と、前記固定装置本体部に設けられ、且つ前記ファイル本体の内側から、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して順に挿入される一対の挿入部であって、該一対の挿入部のうち一の挿入部が前記可動部材に設けられる一対の挿入部と、前記一対の挿入部の少なくとも何れかに設けられ、前記ファイル本体に対する係合および該係合の解除が可能な係合部と、を備え、前記可動部材は、前記固定装置本体部が前記ファイル本体の内側に配置された状態においてユーザが該可動部材と該固定装置基部の相対的な移動を行うために該可動部材を操作する操作部を有し、前記一対の挿入部は、前記ユーザが前記操作部を操作して前記可動部材と前記固定装置基部とが前記相対的に移動されると各挿入部が前記ファイル側孔部内に当接し、前記係合部は、前記ユーザが前記操作部を操作して前記可動部材と前記固定装置基部とが前記相対的に移動されると前記ファイル本体に対し係合する。
本付記に係る発明に係る綴じ具固定装置では、ファイル本体に設けられたファイル側孔部と、綴じ具側に設けられた固定用孔部とに、一対の挿入部が挿入される。そして、挿入された状態において、何れかの挿入部に設けられた係合部が、ファイル本体に対して係合およびその解除が可能な状態に配置される。この係合部がファイル本体に対して係合状態となると、その係合部分と綴じ具固定装置の固定装置本体部とによって綴じ具がファイル本体に保持されることになり、該係合状態が解除された係合解除状態となると綴じ具のファイル本体への保持が解除されることになる。その結果、綴じ具のファイル本体への着脱が自在となる。
ここで、ファイル側孔部と固定用孔部への綴じ具固定装置のアクセスは、ファイル本体の内側から可能とされる。すなわち、ユーザは、ファイル側孔部と固定用孔部にはファイル本体の内側から一対の挿入部を挿入させ、そして、ファイル本体の内側から操作部を操作することにより係合部のファイル本体への係合を行わせることができる。これにより、ユーザの操作性は格段と向上する。
なお、係合部によるファイル本体への係合については、ファイル本体のいずれの部分に対しても係合を行うことが可能である。すなわち、ファイル側孔部が貫通孔である場合には、挿入部がそこに挿入され各係合部がファイル本体の外側に至った状態で該ファイル本体と係合してもよく、また挿入部がファイル側孔部に挿入されている状態において、該ファイル側孔部の途中部分において各係合部がファイル本体と契合するようにしてもよい。要約すると、係合部のファイル本体への係合は、一対の挿入部の挿入がファイル本体の内側から行われるのが肝要であり、ファイル本体との係合箇所は綴じ具がファイル本体に固定される限り、何れの箇所であってもよい。
また、前記可動部材が前記固定装置基部と前記相対的に移動する方向は、前記ファイル本体の表面に沿う方向であってもよい。相対移動の方向をファイル本体の表面に沿う方向にすることにより、係合部のファイル本体への係合が可能となる。
そして、好ましくは、前記ファイル側孔部は、前記ファイル本体の背表紙部に設けられ、前記可動部材が前記固定装置基部と前記相対的に移動する方向は、前記背表紙部の天地方向に沿う方向であってもよい。ユーザが綴じ具に書類等を綴じて使用する場合において、綴じ具のファイル本体への固定部分に強大な外力が作用する可能性の1つとして、書類等が綴じられたファイルがその天地方向から床面等に落下した場合が考えられる。そのような落下形態を考慮したとき、落下によって作用する外力を係合部で確実に受けることで、綴じ具のファイル本体への固定状態を維持し、又綴じ具固定装置の破損を回避することが可能となる。
ここで、上述までの綴じ具固定装置においては、好ましくは前記係合部の前記ファイル本体との係合が解除された状態では、前記挿入部は、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して、前記ファイル本体の内側から挿入自在、及び該ファイル本体の内側に抜出自在である。係合部の係合解除状態と、一対の挿入部の挿入及び抜出自在状態を連動させることで、本付記に係る発明に係る綴じ具固定装置のユーザによる操作性が向上する。特に、該綴じ具固定装置は、ファイル本体の内側のみからのアクセスによって綴じ具の固定作業が行われるため、作業性の向上はユーザ利益に大きく貢献する。
ここで、上述までの綴じ具固定装置において、前記可動部材は、前記固定装置本体部と相対的にスライドする部材であり、前記可動部材と前記固定装置本体部が相対的なスライドにより係合位置に至ると、前記係合部による前記ファイル本体への係合状態が形成され、前記可動部材と前記固定装置本体部が、前記係合位置に至るスライドとは逆方向の相対的なスライドにより係合解除位置に至ると、前記係合部による前記ファイル本体との係合状態が解除されるようにしてもよい。
このように可動部材を、スライド部材によって構成することで、ユーザはスライド部材のスライド操作を行い、それにより係合部の係合状態の形成およびその解除が行われることになる。ここで、該係合状態およびその解除を成立させるために、スライド部材は、係合位置と係合解除位置との間を固定装置本体部に対して相対的にスライドされ、スライド部材による当該スライドを以降、単に「相対的スライド」とも言う。したがって、綴じ具をファイル本体に固定したいユーザは、ファイル本体の内側から、綴じ具固定装置の一対の挿入部をファイル側孔部と固定用孔部に挿入させ、更に上記相対的スライドを行えばよく、ユーザに課される作業は極めて簡潔となり且つ係合部による強固な綴じ具の固定が実現される。
ここで、上記スライド部材を有する綴じ具固定装置において、前記可動部材と前記固定装置本体部が、相対的なスライドにより前記係合位置に至ったとき、前記ファイル本体の内側から所定のスライド制限位置に至ることで、前記可動部材と前記固定装置本体部の相対的なスライドを制限し、該可動部材をロックするロック部材を、更に備えるようにしてもよい。
上述のようにスライドは、相対的スライドを行うことで係合部の係合によるファイル本体の保持が行われる。ここで、係合部の係合による保持をより確実に維持するために上記ロック部材が備えられ、且つこのロック部材の操作は、挿入部の挿入および相対的スライドの場合と同様に、ユーザの作業容易性を考慮してファイル本体の内側からのユーザのアクセスにより行われる。具体的には、ロック部材が、相対的スライドを制限する所定のスライド制限位置に至るようにすることで、該スライド部材の相対的スライドが制限され、以て係合部の係合による保持が確実に維持されることになる。
ロック部材の一例として、次の形態が挙げられる。例えば、前記ロック部材は、前記可
動部材と前記固定装置本体部のうち少なくとも一方にヒンジ接続部を介して接続されるとともに、前記ファイル本体の内側の領域において該接続された該可動部材又は該固定装置本体部に対して該ヒンジ接続部による回転移動が可能であって、前記可動部材と前記前記固定装置本体部が相対的なスライドにより前記係合位置に至ったとき、前記可動部材と前記固定装置本体部との間に前記所定のスライド制限位置に相当する間隙が形成され、前記ロック部材が前記回転移動により該間隙に至ることで該可動部材と該固定装置本体部との相対的なスライドを制限するようにしてもよい。このようにロック部材をスライド部材に対して回転移動可能となるように接続する形態に以外にも、直線的な相対的な移動等が可能な状態にスライド部材に連結されているロック部材の形態も採用可能である。更には、ロック部材を、スライド部材とは切り離し、独立した部材として構成してもよい。このような場合でも、独立したロック部材は、ファイル本体の内側から上記間隙に至るように設定される。
ここで、前記ロック部材は、前記回転移動によって前記間隙に至らない場合に該間隙の外部に自身が露出することで、前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを制限していないことをユーザへ表示するようにしてもよい。これによれば、ロック部材が間隙の外部に露出していることがユーザに認識可能であるため、可動部材と固定装置本体部との相対的なスライドが制限されているか否かをユーザに容易に認識させることが可能である。
また、前記ロック部材は、ユーザが前記回転移動をするための操作板部であって、前記ヒンジ接続部の回転軸を中心に回動可能な操作板部を有しており、該ロック部材が前記回転移動によって前記間隙に至らない場合に該操作板部が前記固定装置本体部上で起立することにより、前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを制限していないことをユーザへ表示してもよい。これによれば、ユーザが前記ロック部材を回転移動する際に操作する操作板部が、ロック部材が間隙に至っていない場合に固定装置本体部上で起立するため、ロック部材の状態を確認する場合よりも容易に可動部材と固定装置本体部との相対的なスライドが制限されているか否かをユーザに容易に認識させることが可能である。
また、前記ロック部材は、ユーザが前記回転移動をするための操作板部であって、前記ヒンジ接続部の回転軸を中心に回動可能な操作板部を有しており、前記操作板部は、前記ロック部材が前記回転移動によって前記間隙に至り、前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを制限している場合に、前記操作部の少なくとも一部を覆うようにしてもよい。これによれば、ロック部材が間隙に入っていないことが操作時の条件となる可動部材と固定装置本体部との相対移動の操作を行う際、ロック部材が間隙に至っているとスライド操作を行う際に触れる操作部が操作板部によって覆われた状態となるため、相対的スライド操作を行う前にロック部材によるロックを解除する必要があることをユーザが容易に認識することが可能となる。
また、前記操作部は、ユーザが指を掛けて前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを可能にする孔を有しており、前記操作板部は、前記ロック部材が前記回転移動によって前記間隙に至り、前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを制限している場合に、ユーザが指を掛ける前記孔の少なくとも一部を覆っても良い。ロック部材が間隙に至っているとユーザが指を掛ける孔が操作板部によって覆われた状態となるため、相対的スライド移動を行う前にロック部材によるロックを解除する必要があることをユーザが容易に認識することが可能となる。
ここで、上述までのスライド部材を有する綴じ具固定装置において、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体部との相
対位置関係を維持する第一維持部と、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持する第二維持部とを更に備えるようにしてもよい。第一維持部を有することで、係合位置にある可動部材と固定装置本体部との相対位置関係を維持することが可能となる。その結果、ユーザの固定作業時における綴じ具固定装置の姿勢等に影響されることなく、係合部の係合によるファイル本体の保持状態を円滑に形成することが可能となる。特に、上記ロック部材を用いて相対的スライドを制限しようとする場合に形成される上記間隙を維持するために、この第一維持部による相対位置関係の維持は有用である。
また、第二維持部を有することで、係合解除位置にある可動部材と固定装置本体部との相対位置関係を維持することが可能となる。その結果、ユーザの固定作業時における綴じ具固定装置の姿勢等に影響されることなく、第一係合部と第二係合部とが設けられた一対の挿入部の相対的な位置関係も維持されることになるため、ファイル側孔部や固定用孔部への該一対の挿入部の挿入およびそこからの抜出を円滑に行うことが可能となる。なお、本付記に係る発明に係る綴じ具固定装置においては、必ずしも上記第一維持部と第二維持部を同時に備える必要はなく、ユーザのニーズを考慮して必要な一方の維持部を備えるようにしてもよい。
そして、第一維持部と第二維持部の構成については、次に示す一例が挙げられる。例えば、前記可動部材と前記固定装置本体部の何れか一方は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成された維持用溝部と、該維持用溝部を2つの維持用領域に区切る突起部と、を有し、前記可動部材と前記固定装置本体部のうち前記維持用溝部と前記突起部とを有しない何れか他方は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成され、且つ前記突起部を乗り越えて前記2つの維持用領域の何れにも収まる細長突起部を有し、前記第一維持部は、前記細長突起部が前記2つの維持用領域のうち一方に収容されることで、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合位置に至ったときの該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持し、前記第二維持部は、前記細長突起部が前記2つの維持用領域のうち他方に収容されることで、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置に至ったときの該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持するようにしてもよい。
すなわち、可動部材と固定装置本体部の何れか一方側に設けられた維持用溝部と何れか他方側に設けられた細長突起部の相対移動関係にしたがって、該維持用溝部内の突起部を第一維持部による相対位置関係の維持と、第二維持部による相対位置関係の維持の切替の境界とすることで、可動部材と固定装置本体部の相対的スライドが行われる。これにより、細長突起部が2つに区切られた維持用領域の何れかに収まることで、第一維持部及び第二維持部による相対位置関係の維持が実現される。
また、上述までのスライド部材を有する綴じ具固定装置において、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持する解除時維持部と、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置を外れた位置にあるとき、該可動部材と該固定装置本体部とが所定の移動範囲内で制限された相対移動が許容されるように、該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を形成する相対移動許容部と、を更に備えるようにしてもよい。このように解除時維持部を有することで、上記第二維持部の場合と同様に、係合解除位置にある第一スライド部材と第二スライド部材との相対位置関係を維持することが可能となる。また、相対移動許容部を有することで、可動部材と固定装置本体部とが係合解除位置を外れた位置にあるときは、可動部材と固定装置本体部との相対位置関係は維持されず、両者の相対的スライドが許容される。そのため、可動部材と固定装置本体部とを有する綴じ具固定装置を使って綴じ具の固定を行おうとするユーザは、該綴じ具固定装置を触るとすぐに、可動部材
と固定装置本体部との相対位置関係が係合解除位置にあるか否かを容易に判断することができる。そして、必要があれば可動部材と固定装置本体部とを係合解除位置に位置させるべく相対的スライドを行うことで、円滑な綴じ具のファイル本体への固定を実現することができる。
そして、解除時維持部と相対移動許容部の構成については、次に示す一例が挙げられる。例えば、前記可動部材と前記固定装置本体部の何れか一方は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成された溝部と、該溝部を2つの領域に区切る第一突起部と、を有し、前記可動部材と前記固定装置本体部のうち前記維持用溝部と前記突起部とを有しない何れか他方は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成され、且つ前記第一突起部を乗り越えて前記2つの領域の何れにも収まる第二突起部を有し、前記解除時維持部は、前記第二突起部が前記2つの領域のうち一方に収容されることで、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置に至ったときの該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持し、前記相対移動許容部は、前記第二突起部を前記2つの領域のうち他方に収容し、且つ該第二突起部の該他方の領域内での移動を可能とすることで、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記所定の移動範囲内での制限された状態での相対移動を実現するようにしてもよい。
すなわち、可動部材と固定装置本体部の何れか一方側に設けられた溝部と可動部材と固定装置本体部の何れか他方に設けられた第二突起部の相対移動関係にしたがって、該溝部内の第一突起部を解除時維持部による相対位置関係の維持と、相対移動許容部による相対移動許容の切替の境界とすることで、可動部材と固定装置本体部との相対的スライドが行われる。これにより、第二突起部が2つに区切られた領域の何れかに収まることで、可動部材と固定装置本体部との相対位置関係の維持と、限られた所定の範囲内での相対移動が可能とされる。
また、上述までのスライド部材を有する綴じ具固定装置において、前記綴じ具は、前記ファイル側の内側と接触し、且つ前記可動部材と前記固定装置本体部とが配置されるベース部材と、前記ベース部材上に設けられ、前記可動部材と前記固定装置本体部とによる前記相対的なスライドのスライド方向に沿って延在する細長突状部と、を有し、前記可動部材と前記固定装置本体部のうち少なくとも一方に設けられ、前記細長突状部に嵌り、前記相対的なスライド時に該細長突状部上をスライドするスライド凹部を、更に備えるようにしてもよい。
固定装置本体部のスライド部材は、綴じ具のベース部材上に配置されて、上述した挿入部の固定用孔部およびファイル側孔部への挿入と、その後の相対的スライドが行われる。ここで、可動部材と固定装置本体部の何れか一方に設けられた細長突状部と、可動部材と固定装置本体部の何れか他方に設けられたスライド凹部は嵌りあっており、且つ相対的スライドにおいて、スライド凹部が細長突状部状をスライドすることが可能となっている。すなわち、細長突状部が可動部材と固定装置本体部との相対的スライドのガイドとして役割を担うように構成されており、その結果、係合部の係合およびその解除をユーザは円滑に行うことが可能となる。また、可動部材と固定装置本体部とを綴じ具上に配置させる際に、その配置場所を位置決めするためにも、スライド凹部と細長突状部との嵌め合いは有用である。
また、上述までのスライド部材を有する綴じ具固定装置において、前記可動部材は、該可動部材が有する前記操作部の近傍に第一干渉部を有し、前記固定装置本体部は、前記相対的なスライドにおいて前記可動部材と該固定装置本体部が最も近接している、前記係合位置と前記係合解除位置の何れかの位置に該可動部材と該固定装置本体部とが至ったとき、前記第一干渉部の上方において該第一干渉部と重なる位置に至り、前記第一スライド部
材の上方への変位に対して該第一干渉部を介して干渉し得る第二干渉部を有してもよい。
上記綴じ具固定装置においては、相対的スライドにおいて可動部材と固定装置本体部とが互いに最も近接した状態で、第一干渉部と第二干渉部とが綴じ具固定装置の上方において干渉し合えるように設けられることで、相対的スライドのために操作部を操作するユーザに対して、可動部材と固定装置本体部とをその上方に強制的に操作することは干渉部の存在により制限されていることを明示的に知らしめることが可能となる。すなわち、可動部材と固定装置本体部とが再接近している状態において、ユーザがそれを上方に強制的に相対移動させようとすると第一干渉部と第二干渉部とが干渉するため、その干渉動作を介してその強制的な相対移動は適切ではないとユーザは知ることになる。その結果、ユーザを適切な相対的スライドのための操作に導くことが可能となる。
そして、上記の第一干渉部と第二干渉部については、次に示す一例が挙げられる。例えば、前記可動部材の操作部は、該可動部材の端部のうち前記固定装置本体部から離れた方の端部に設けられ、且つ前記第一干渉部は、該操作部に隣接して設けられ、前記第二干渉部は、前記固定装置本体部の端部のうち前記可動部材に対向する端部に設けられるようにしてもよい。なお、各干渉部の具体的な構成はこの形態に限られず、好ましくは両スライド部材の相対的スライドに影響を及ぼすことなく、且つユーザに対してその存在を知らしめやすい場所に設けられる。
ここで、上述までのスライド部材を有する綴じ具固定装置において、前記可動部材は、前記固定装置本体部の上面に沿って前記相対的なスライドを行い、前記固定装置本体部の一部は、前記可動部材の上面の一部を覆い、該可動部材の上方への変位を制限するようにしてもよい。すなわち、可動部材と固定装置本体部とが、相対的スライドのスライド方向とは異なる綴じ具固定装置の上方において、互いに重なり合う構成とされることで、相対的スライドのためのユーザの操作によって上側に位置するスライド部材が反り上がってしまうのを防止するとともに、相対的スライドがより円滑に行われることを促進させることが可能となる。すなわち、このような可動部材と固定装置本体部との重なり合いは、ユーザの作業性向上に大いに資する。
そして、上記可動部材と固定装置本体部との重なり合いについては、次に示す一例が挙げられる。例えば、上記綴じ具固定装置において、前記可動部材は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿った側辺の一部に切り欠き部を有し、前記固定装置本体部は、前記可動部材が該固定装置本体部の上面をスライドするために該可動部材を収めるスライド用窪み部と、前記スライド用窪み部に突出する突出片と、を有し、前記突出片は、前記可動部材が前記スライド用窪み部に収められた状態において前記切り欠き部の内部に収められることで、該可動部材の上面の一部を覆い、且つ該切り欠き部の内部を前記相対的なスライドにしたがって変位自在であってもよい。このような構成により、可動部材と固定装置本体部との相対的スライドと、綴じ具固定装置の上方における可動部材と固定装置本体部との重なり合いを実現できる。
ここで、上述までのスライド部材を有する綴じ具固定装置において、前記可動部材は、前記綴じ具と接する裏面上に第一位置決め突起部を有し、前記固定装置本体部は、前記綴じ具と接する裏面上に第二位置決め突起部を有し、前記可動部材と前記固定装置本体部が前記綴じ具上に配置されたとき、該綴じ具に設けられた位置決め用孔部に、前記第一位置決め突起部と前記第二位置決め突起部とが収められ、前記相対的なスライドによって、前記第一位置決め突起部と前記第二位置決め突起部が、前記位置決め用孔部の縁に接触すると、前記可動部材と前記固定装置本体部が係合解除位置に位置するように構成されてもよい。
すなわち、上記綴じ具固定装置では、相対的スライドを行う可動部材と固定装置本体部とにそれぞれ位置決め用の突起部(第一位置決め突起部と第二位置決め突起部)が設けられ、それらの突起部と綴じ具側の位置決め用孔部との接触関係によって、可動部材と固定装置本体部との相対位置関係が決定される。特に、第一位置決め突起部と第二位置決め突起部とが位置決め用孔部と接触することで、相対的スライド動作が規制され、その結果、可動部材と固定装置本体部との位置が係合解除位置に半ば自動的に特定されることになる。この係合解除位置は、ユーザにとっては、一対の挿入部を固定用孔部とファイル側孔部に挿入、抜出を行いたい位置でもある。そこで、このように第一位置決め突起部と第二位置決め突起部によって、可動部材と固定装置本体部との位置が自動的に特定されると、ユーザの上記挿入、抜出操作が比較的容易に行われ得る。
また、上述までの綴じ具固定装置において、前記固定装置本体部は、前記係合部が、前記ファイル本体に対する係合が解除された状態であるとき、前記綴じ具に対する前記固定装置本体部の相対位置を位置決めする位置決め部を有するようにしてもよい。すなわち、相対的スライド以外の動作によって第一係合部と第二係合部との係合およびその解除を行う綴じ具固定装置においても、上述した理由と同様の理由で、各係合部による係合が解除される状態で、綴じ具に対する前記固定装置本体部の相対位置を位置決めする位置決め部は有用である。
ここで、上述までの綴じ具固定装置において、前記挿入部の前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部への挿入方向に沿って、前記固定装置本体部と前記係合部との間に延在する平面部であって、該平面部の面部分は前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成される位置決め平面部を、更に備えるようにし、そして、前記係合部が、前記相対的なスライドにより前記ファイル本体に対して係合する状態となると、前記位置決め平面部は、前記固定用孔部と連通する綴じ具側位置決め孔部と、前記ファイル側孔部と連通するファイル側位置決め孔部に挿入された状態となるように構成してもよい。
すなわち、上記綴じ具固定装置では、固定装置本体部と係合部との間に、挿入部に加えて位置決め平面部が備えられる。この位置決め平面部は、係合部の係合状態において、上記綴じ具側位置決め孔部とファイル側位置決め孔部とに挿入された状態となるので、係合部が係合状態に至る過程での、その係合部の位置決めを行う機能を果たす。特に、可動部材がスライド部材で構成される場合、相対的スライドにしたがって上記位置決め平面部が綴じ具側位置決め孔部とファイル側位置決め孔部とに挿入されるように構成されると、その相対的スライドにおける位置決め機能を果たすことになる。特に、相対的スライドのスライド方向に交差する方向への位置決めを行うべく、位置決め平面部の、綴じ具側位置決め孔部及びファイル側位置決め孔部に対する相対的位置関係を決定するのが好ましい。
また、前記一対の挿入部は、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して挿入される方向の先端部分の角が面取りされていてもよい。これによれば、一対の挿入部が固定用孔部及びファイル側孔部に対して挿入される際、これらに挿入部が接触してもファイル本体や綴じ具を傷めたり、あるいは挿入部を傷めたりする事が無くなる。
また、本付記に係る発明を、綴じ具をファイル本体に固定するための固定方法の側面から捉えることも可能である。すなわち、本付記に係る発明は、書類等を綴じる綴じ具に設けられた固定用孔部とファイル本体に設けられたファイル側孔部とを用いて、該綴じ具を該ファイル本体上に固定するための固定方法であって、固定装置本体部に設けられる可動部材であって該固定装置本体部と相対移動可能な可動部材に設けられた挿入部を、前記ファイル本体の内側から、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して順に挿入する第一ステップと、前記固定装置本体部が前記ファイル本体の内側に配置された状態においてユーザが該固定装置本体部と前記相対的な移動を行うために前記可動部材に設けられる操
作部を操作し、前記挿入部に設けられ、前記ファイル本体に対する係合および該係合の解除が可能な係合部を該ファイル本体に対して係合させる第二ステップと、を含む。
また、本付記に係る発明は、綴じ具固定装置を製造するための成形用金型であってもよい。すなわち、ロック部材を有する上記何れかに記載の綴じ具固定装置の前記ロック部材を、前記可動部材と前記固定装置本体部のうち少なくとも一方である非接続部材と前記ヒンジ接続部を介して接続されるように一体成形する成形用金型であって、前記回転移動により前記間隙に至らない状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面のうち、前記ファイル本体側の面を成形する第一の金型と、前記回転移動により前記間隙に至らない状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面のうち、前記ファイル本体側と反対側の面を成形する第二の金型と、を備え、前記第一の金型と前記第二の金型とが連結されることにより形成される型枠に樹脂が注入されることで、前記ヒンジ接続部により接続された状態の前記非接続部材と前記ロック部材とを一体成形するようにしてもよい。なお、非接続部材とは、ロック部材と上記ヒンジ接続部を介して接続されるあらゆる部材であり、例えば、上記可動部材や上記固定装置本体部を例示できる。
可動部材または固定装置本体部とヒンジ接続部を介して接続されるロック部材を、ヒンジ接続部、及び可動部材または固定装置本体部と共に一の金型で一体成形する場合、ロック部材を可動部材または固定装置本体部の何れかと当接する状態で一体成形するとロック部材が可動部材または固定装置本体部と癒着してしまう。ここで、ロック部材が可動部材または固定装置本体部と当接しない状態、換言すると、ロック部材が前記回転移動により前記間隙に至らない状態で成形されるように金型の成形面を構成することにより、このような癒着を防ぐことが可能になる。この場合において、前記第一の金型および前記第二の金型が、前記ロック部材が前記間隙に至る状態から略90度回転移動された状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面を成形するようにすれば、これら第一の金型および第二の金型の分離を容易にすることができる。
また、本付記に係る発明は、上記成形用金型を用いた綴じ具固定装置の製造方法であってもよい。すなわち、上記の成形用金型を用いて、前記ヒンジ接続部を介して接続される前記ロック部材と前記非接続部材とを製造する綴じ具固定装置の製造方法であって、前記第一の金型と前記第二の金型とが連結されることにより形成される前記型枠に前記樹脂を注入するステップと、前記第一の金型と前記第二の金型とを分離することにより、前記型枠内に成形された前記非接続部材によって連結される前記ロック部材と前記非接続部材とを取り出すステップと、を有するものであってもよい。
これによれば、第一の金型と第二の金型とが連結されることにより形成される型枠に樹脂を注入し、その後これら金型を分離することにより、ヒンジ接続部を介して接続されるロック部材と非接続部材とを一体成形することが可能である。なお、本製造方法は、例えば、熱溶解した樹脂を型枠に注入し、該樹脂が冷却によって硬化した後に金型を分離して成形物を取り出しても良い。
(付記1)
書類等を綴じる綴じ具に設けられた固定用孔部とファイル本体に設けられたファイル側孔部とを用いて、該綴じ具を該ファイル本体上に固定するための綴じ具固定装置であって、
前記ファイル本体の内側に配置される固定装置本体部であって、該固定装置本体部と相対的に移動可能な可動部材を有する固定装置本体部と、
前記固定装置本体部に設けられ、且つ前記ファイル本体の内側から、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して順に挿入される一対の挿入部であって、該一対の挿入部のうち一の挿入部が前記可動部材に設けられる一対の挿入部と、
前記一対の挿入部の少なくとも何れかに設けられ、前記ファイル本体に対する係合および該係合の解除が可能な係合部と、を備え、
前記可動部材は、前記固定装置本体部が前記ファイル本体の内側に配置された状態においてユーザが該可動部材と該固定装置本体部の相対的な移動を行うために該可動部材を操作する操作部を有し、
前記一対の挿入部は、前記ユーザが前記操作部を操作して前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記相対的に移動されると各挿入部が前記ファイル側孔部内に当接し、
前記係合部は、前記ユーザが前記操作部を操作して前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記相対的に移動されると前記ファイル本体に対し係合する、
綴じ具固定装置。
(付記2)
前記可動部材が前記固定装置本体部と前記相対的に移動する方向は、前記ファイル本体の表面に沿う方向である、
付記1に記載の綴じ具固定装置。
(付記3)
前記係合部の前記ファイル本体との係合が解除された状態では、前記挿入部は、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して、前記ファイル本体の内側から挿入自在、及び該ファイル本体の内側に抜出自在である、
付記1又は付記2に記載の綴じ具固定装置。
(付記4)
前記ファイル側孔部は、前記ファイル本体の背表紙部に設けられ、
前記可動部材が前記固定装置本体部と前記相対的に移動する方向は、前記背表紙部の天地方向に沿う方向である、
付記1から付記3の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記5)
前記可動部材は、前記固定装置本体部と相対的にスライドする部材であり、
前記可動部材と前記固定装置本体部が相対的なスライドにより係合位置に至ると、前記係合部による前記ファイル本体への係合状態が形成され、
前記可動部材と前記固定装置本体部が、前記係合位置に至るスライドとは逆方向の相対的なスライドにより係合解除位置に至ると、前記係合部による前記ファイル本体との係合状態が解除される、
付記1から付記4の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記6)
前記可動部材と前記固定装置本体部が、相対的なスライドにより前記係合位置に至ったとき、前記ファイル本体の内側から所定のスライド制限位置に至ることで、前記可動部材と前記固定装置本体部の相対的なスライドを制限し、該可動部材をロックするロック部材を、
更に備える付記5に記載の綴じ具固定装置。
(付記7)
前記ロック部材は、前記可動部材と前記固定装置本体部のうち少なくとも一方にヒンジ接続部を介して接続されるとともに、前記ファイル本体の内側の領域において該接続された該可動部材又は該固定装置本体部に対して該ヒンジ接続部による回転移動が可能であって、
前記可動部材と前記固定装置本体部が相対的なスライドにより前記係合位置に至ったとき、前記可動部材と前記固定装置本体部との間に前記所定のスライド制限位置に相当する間隙が形成され、前記ロック部材が前記回転移動により該間隙に至ることで該可動部材と該固定装置本体部との相対的なスライドを制限する、
付記6に記載の綴じ具固定装置。
(付記8)
前記ロック部材は、前記回転移動によって前記間隙に至らない場合に該間隙の外部に自
身が露出することで、前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを制限していないことをユーザへ表示する、
付記7に記載の綴じ具固定装置。
(付記9)
前記ロック部材は、ユーザが前記回転移動をするための操作板部であって、前記ヒンジ接続部の回転軸を中心に回動可能な操作板部を有しており、該ロック部材が前記回転移動によって前記間隙に至らない場合に該操作板部が前記固定装置本体部上で起立することにより、前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを制限していないことをユーザへ表示する、
付記8に記載の綴じ具固定装置。
(付記10)
前記ロック部材は、ユーザが前記回転移動をするための操作板部であって、前記ヒンジ接続部の回転軸を中心に回動可能な操作板部を有しており、
前記操作板部は、前記ロック部材が前記回転移動によって前記間隙に至り、前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを制限している場合に、前記操作部の少なくとも一部を覆う、
付記7から付記9の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記11)
前記操作部は、ユーザが指を掛けて前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを可能にする孔を有しており、
前記操作板部は、前記ロック部材が前記回転移動によって前記間隙に至り、前記可動部材と前記固定装置本体部との相対的なスライドを制限している場合に、ユーザが指を掛ける前記孔の少なくとも一部を覆う、
付記10に記載の綴じ具固定装置。
(付記12)
前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持する第一維持部と、
前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持する第二維持部と、
を更に備える付記5から付記11の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記13)
前記可動部材と前記固定装置本体部の何れか一方は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成された維持用溝部と、該維持用溝部を2つの維持用領域に区切る突起部と、を有し、
前記可動部材と前記固定装置本体部のうち前記維持用溝部と前記突起部とを有しない何れか他方は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成され、且つ前記突起部を乗り越えて前記2つの維持用領域の何れにも収まる細長突起部を有し、
前記第一維持部は、前記細長突起部が前記2つの維持用領域のうち一方に収容されることで、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合位置に至ったときの該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持し、
前記第二維持部は、前記細長突起部が前記2つの維持用領域のうち他方に収容されることで、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置に至ったときの該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持する、
付記12に記載の綴じ具固定装置。
(付記14)
前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置に至ったとき、該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持する解除時維持部と、
前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置を外れた位置にあるとき、該可動部材と該固定装置本体部とが所定の移動範囲内で制限された相対移動が許容されるように、該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を形成する相対移動許容部と、
を更に備える付記5から付記11の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記15)
前記可動部材と前記固定装置本体部の何れか一方は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成された溝部と、該溝部を2つの領域に区切る第一突起部と、を有し、
前記可動部材と前記固定装置本体部のうち前記維持用溝部と前記突起部とを有しない何れか他方は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成され、且つ前記第一突起部を乗り越えて前記2つの領域の何れにも収まる第二突起部を有し、
前記解除時維持部は、前記第二突起部が前記2つの領域のうち一方に収容されることで、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記係合解除位置に至ったときの該可動部材と該固定装置本体部との相対位置関係を維持し、
前記相対移動許容部は、前記第二突起部を前記2つの領域のうち他方に収容し、且つ該第二突起部の該他方の領域内での移動を可能とすることで、前記可動部材と前記固定装置本体部とが前記所定の移動範囲内での制限された状態での相対移動を実現する、
付記14に記載の綴じ具固定装置。
(付記16)
前記綴じ具は、
前記ファイル側の内側と接触し、且つ前記可動部材と前記固定装置本体部とが配置されるベース部材と、
前記ベース部材上に設けられ、前記可動部材と前記固定装置本体部とによる前記相対的なスライドのスライド方向に沿って延在する細長突状部と、を有し、
前記可動部材と前記固定装置本体部のうち少なくとも一方に設けられ、前記細長突状部に嵌り、前記相対的なスライド時に該細長突状部上をスライドするスライド凹部を、
更に備える付記5から付記11の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記17)
前記可動部材は、該可動部材が有する前記操作部の近傍に第一干渉部を有し、
前記固定装置本体部は、前記相対的なスライドにおいて前記可動部材と該固定装置本体部が最も近接している、前記係合位置と前記係合解除位置の何れかの位置に該可動部材と該固定装置本体部とが至ったとき、前記第一干渉部の上方において該第一干渉部と重なる位置に至り、前記第一スライド部材の上方への変位に対して該第一干渉部を介して干渉し得る第二干渉部を有する、
付記5から付記11の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記18)
前記可動部材の操作部は、該可動部材の端部のうち前記固定装置本体部から離れた方の端部に設けられ、且つ前記第一干渉部は、該操作部に隣接して設けられ、
前記第二干渉部は、前記固定装置本体部の端部のうち前記可動部材に対向する端部に設けられる、
付記17に記載の綴じ具固定装置。
(付記19)
前記可動部材は、前記固定装置本体部の上面に沿って前記相対的なスライドを行い、
前記固定装置本体部の一部は、前記可動部材の上面の一部を覆い、該可動部材の上方への変位を制限する、
付記5から付記11の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記20)
前記可動部材は、前記相対的なスライドのスライド方向に沿った側辺の一部に切り欠き部を有し、
前記固定装置本体部は、前記可動部材が該固定装置本体部の上面をスライドするために該可動部材を収めるスライド用窪み部と、前記スライド用窪み部に突出する突出片と、を有し、
前記突出片は、前記可動部材が前記スライド用窪み部に収められた状態において前記切り欠き部の内部に収められることで、該可動部材の上面の一部を覆い、且つ該切り欠き部
の内部を前記相対的なスライドにしたがって変位自在である、
付記19に記載の綴じ具固定装置。
(付記21)
前記可動部材は、前記綴じ具と接する裏面上に第一位置決め突起部を有し、
前記固定装置本体部は、前記綴じ具と接する裏面上に第二位置決め突起部を有し、
前記可動部材と前記固定装置本体部が前記綴じ具上に配置されたとき、該綴じ具に設けられた位置決め用孔部に、前記第一位置決め突起部と前記第二位置決め突起部とが収められ、
前記相対的なスライドによって、前記第一位置決め突起部と前記第二位置決め突起部が、前記位置決め用孔部の縁に接触すると、前記可動部材と前記固定装置本体部が係合解除位置に位置する、
付記5から付記11の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記22)
前記固定装置本体部は、前記係合部が、前記ファイル本体に対する係合が解除された状態であるとき、前記綴じ具に対する前記固定装置本体部の相対位置を位置決めする位置決め部を有する、
付記1から付記4の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記23)
前記挿入部の前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部への挿入方向に沿って、前記固定装置本体部と前記係合部との間に延在する平面部であって、該平面部の面部分は前記相対的なスライドのスライド方向に沿って形成される位置決め平面部を、更に備え、
前記係合部が、前記相対的なスライドにより前記ファイル本体に対して係合する状態となると、前記位置決め平面部は、前記固定用孔部と連通する綴じ具側位置決め孔部と、
前記ファイル側孔部と連通するファイル側位置決め孔部に挿入された状態となる、
付記5から付記22の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記24)
前記一対の挿入部は、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して挿入される方向の先端部分の角が面取りされている、
付記1から付記23の何れかに記載の綴じ具固定装置。
(付記25)
書類等を綴じる綴じ具に設けられた固定用孔部とファイル本体に設けられたファイル側孔部とを用いて、該綴じ具を該ファイル本体上に固定するための固定方法であって、
固定装置本体部に設けられる可動部材であって該固定装置本体部と相対移動可能な可動部材に設けられた挿入部を、前記ファイル本体の内側から、前記固定用孔部及び前記ファイル側孔部に対して順に挿入する第一ステップと、
前記固定装置本体部が前記ファイル本体の内側に配置された状態においてユーザが該固定装置本体部と前記相対的な移動を行うために前記可動部材に設けられる操作部を操作し、前記挿入部に設けられ、前記ファイル本体に対する係合および該係合の解除が可能な係合部を該ファイル本体に対して係合させる第二ステップと、
を含む、綴じ具の固定方法。
(付記26)
前記可動部材が前記固定装置本体部と前記相対的に移動する方向は、前記ファイル本体の表面に沿う方向である、
付記25に記載の綴じ具の固定方法。
(付記27)
付記7から付記11の何れかに記載の綴じ具固定装置の前記ロック部材を、前記可動部材と前記固定装置本体部のうち少なくとも一方である非接続部材と前記ヒンジ接続部を介して接続されるように一体成形する成形用金型であって、
前記回転移動により前記間隙に至らない状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面のうち、前記ファイル本体側の面を成形する第一の金型
と、
前記回転移動により前記間隙に至らない状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面のうち、前記ファイル本体側と反対側の面を成形する第二の金型と、を備え、
前記第一の金型と前記第二の金型とが連結されることにより形成される型枠に樹脂が注入されることで、前記ヒンジ接続部により接続された状態の前記非接続部材と前記ロック部材とを一体成形する、
成形用金型。
(付記28)
前記第一の金型および前記第二の金型は、前記ロック部材が前記間隙に至る状態から略90度回転移動された状態における前記ロック部材、前記非接続部材、及び前記ヒンジ接続部の各表面を成形する、
付記27に記載の成形用金型。
(付記29)
付記27または付記28に記載の成形用金型を用いて、前記ヒンジ接続部を介して接続される前記ロック部材と前記非接続部材とを製造する綴じ具固定装置の製造方法であって、
前記第一の金型と前記第二の金型とが連結されることにより形成される前記型枠に前記樹脂を注入するステップと、
前記第一の金型と前記第二の金型とを分離することにより、前記型枠内に成形された前記非接続部材によって連結される前記ロック部材と前記非接続部材とを取り出すステップと、を有する、
綴じ具固定装置の製造方法。

Claims (6)

  1. 係止対象物に設けられた固定用孔部と被係止物に設けられた被係止物側孔部とを用いて、該係止対象物と該被係止物とを固定する係止対象物固定装置であって、
    前記係止対象物固定装置は、
    前記被係止物に配置される固定装置本体部と、
    前記固定装置本体部に設けられ、前記固定用孔部及び前記被係止物側孔部が重なって形成された連通孔に挿入される挿入部と、
    前記連通孔に前記挿入部が挿入された際に前記被係止物及び前記係止対象物のうち該挿入部の挿入方向奥側の部材を被係合部材とし、該挿入部の挿入状態で前記固定装置本体部が所定係合移動及び所定係合解除移動を行うことで該被係合部材に対して係合及び該係合の解除が可能である、前記挿入部に設けられた係合部と、を備え、
    前記固定装置本体部は、該固定装置本体部が前記被係止物上に配置された状態において、ユーザによる該固定装置本体部の所定係合移動及び所定係合解除移動を行うための操作部が設けられ、
    前記挿入部は、前記ユーザが前記操作部を操作して前記所定係合移動が行われると、前記固定用孔部と前記被係止物側孔部のうち前記被係合部材上に存する側の孔部内に当接し、
    前記係合部は、前記ユーザが前記操作部を操作して前記所定係合移動が行われると、前記被係合部材に対し係合する、
    係止対象物固定装置。
  2. 前記被係止物及び前記係止対象物のうち前記固定装置本体部と前記被係合部材との間に挟持される部材を被固定部材とし、前記挿入部の前記連通孔への挿入方向に沿って前記固定装置本体部と前記係合部との間に設けられ、前記係合部が前記被係合部材に対して係合状態となると、前記固定用孔部と前記被係止物側孔部のうち前記被固定部材上に存する側の孔部に連通する第一被嵌合部と嵌合し、該係止対象物固定装置と該被固定部材との相対位置を位置決めする挿入部側嵌合部を、更に備える、
    請求項1に記載の係止対象物固定装置。
  3. 前記挿入部の前記連通孔への挿入方向に沿って前記固定装置本体部と前記係合部との間に設けられる平板部を、更に備え、
    前記被係止物及び前記係止対象物のうち前記固定装置本体部と前記被係合部材との間に挟持される部材を被固定部材とするとき、前記固定用孔部と前記被係止物側孔部のうち前記被固定部材上に存する側の孔部には、これと連通し、前記平板部が収納される第一収納部が設けられ、
    前記固定用孔部と前記被係止物側孔部のうち前記被係合部材上に存する側の孔部には、これと連通し、前記平板部が収納される第二収納部が設けられ、
    前記係合部が前記被係合部材に対して係合状態となると、少なくとも前記平板部に対する鉛直方向の衝撃力が係合部に加わった際、前記平板部が前記第一収納部及び前記第二収納部の少なくとも一方に接触するように構成された、
    請求項2に記載の係止対象物固定装置。
  4. 前記挿入部は、前記連通孔に挿入される一対の挿入部として形成され、
    前記係合部は、前記被係合部材に対して係合及び該係合の解除が可能である、前記一対の挿入部のそれぞれに設けられた第一係合部および第二係合部を含み、
    前記第一係合部により係合された前記被係合部材の係合方向である第一係合方向は、前記第二係合部により係合された前記被係合部材の係合方向である第二係合方向と異なるように設定される、
    請求項1に記載の係止対象物固定装置。
  5. 前記固定装置本体部の前記所定係合解除移動を制限可能なロック部材を、更に備え、
    前記係合部は、前記固定装置本体部の前記所定係合移動により係合位置に至ると前記被係合部材との係合状態を形成し、該固定装置本体部の前記所定係合解除移動により係合解除位置に至ると該被係合部材との係合状態を解除し、
    前記固定装置本体部の前記所定係合移動により前記係合部が前記係合位置に至った状態において、前記ロック部材が所定の移動制限位置に至ることで、該固定装置本体部の前記所定係合解除移動が制限される、
    請求項1に記載の係止対象物固定装置。
  6. 前記係合部の前記被係合部材に対する係合が解除された状態であるとき、前記挿入部が前記連通孔に対して抜き出し自在となるように、前記被係止物及び前記係止対象物の少なくとも一方に対する前記挿入部の相対位置を位置決めする位置決め部を、更に備える、
    請求項1に記載の係止対象物固定装置。
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