以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
〈第1実施形態〉
本実施形態に係るファイル1は、図1〜図3(図1はファイル1の全体斜視図であり、図2はファイル1の分解斜視図であり、図3は図1の要部拡大図である)等に示すように、ファイル本体2と、このファイル本体2に設けた綴じ具3とを具備し、綴じ具3に設けた手動操作部512に加えられる操作力を利用して綴じ具3が綴込状態から用紙類を挿脱可能な開放状態に移行し得るように構成されたものである。なお、本実施形態では、外側係止部材41と内側係止部材42とからなる綴じ具係止部4を介して綴じ具3をファイル本体2に着脱可能に取り付けている。
ファイル本体2は、背表紙21と、この背表紙21の両側縁に連続して設けた表表紙22及び裏表紙23とを備えるものであり、これら各部21、22、23を適度な剛性を有する1枚のボール紙により形成している。ここで、「適度な剛性」とは、背表紙21が綴じ具3の固定に耐え得る程度の剛性を有するとともに、各部21、22、23が容易に折れ曲がらない程度の剛性を意味する。背表紙21には、その厚み方向に貫通してなる取付孔21aを利用して外側係止部材41を取り付けている。
綴じ具3は、基部5と、この基部5の両側縁にそれぞれ対向した状態で着脱可能に取り付けられる一対の綴じ部6a、6bとを具備するものである。
基部5は、例えば金属素材からなり、主として綴じ部6a、6bを保持する機能を発揮する厚肉部51と、この厚肉部51の長手方向両端部に配され主としてファイル本体2への取付に利用される薄肉部52とを備えてなる。厚肉部51は、内方する弾性部材(図示省略)を利用して綴じ部6a、6bを着脱可能に係合保持する保持部511と、この保持部511と綴じ部6a、6bとの係合状態を解除する場合に手動で操作可能な手動操作部512とを備えるものである。本実施形態では、厚肉部51の各側縁部に、一の手動操作部512と、この手動操作部512を厚肉部51の長手方向に沿って挟んだ位置に一対の保持部511とを設けている。各手動操作部512に対して他方の手動操作部512に向かって押し込む操作力が付与された際にその操作力に応じて手動操作部512が他方の手動操作部512に向かって移動し得るように、厚肉部51の各側縁部に手動操作部512の移動を許容し得る切欠部51aを形成している。また、薄肉部52には、取付孔21a
と重合する位置に、前記取付孔21aと連通する連通孔52aを形成している。
綴じ部6a、6bは、一方の綴じ部6aがその対向面部61から突設した一対の綴じ杆62を備え、他方の綴じ部6bがその対向面部61から突設した綴じパイプ63を備えるものであって、綴じパイプ63に図示しない用紙類の綴じ孔を差し込み、この状態の綴じパイプ63にそれぞれ綴じ杆62を嵌入することによって、用紙類を一対の対向面部61間に綴じ込むものである。各綴じ部6a、6bに、前記保持部511を利用してこれら綴じ部6a、6bを基部5に係合保持させた状態において、基部5の厚肉部51に当接又は近接する当接部66を設けている。そして、前記係合保持させた状態において対向面部61と前記手動操作部512とが干渉し得ないように、対向面部61の長手方向中央部に、手動操作部512側(図示例では対向面部61の起立方向に沿った下端側)に開口してなる開口部64を形成している。この開口部64は、前記係合保持させた状態において基部5の厚肉部51に形成した切欠部51aと連通し得るように対向面部61から当接部66に亘る領域に形成されている。これら切欠部51a及び開口部64によって手動操作部512の移動を許容するスペースを形成している。また、各綴じ部6a、6bはメッキ加工が施されており、各対向面部61の長手方向両側端近傍部位に、メッキ加工時に綴じ部6a、6bを保持するための一対の保持孔65を形成している。本実施形態において、各保持孔65は、綴じ部6a、6bの対向面部61の厚み方向に貫通した丸孔である。
このような構成を有する綴じ具3は、基部5の前記保持部511を利用して綴じ部6a、6bを基部5に係合保持させた状態において、前記手動操作部512を対向面部61の外側面側から他方の手動操作部512に向かって押し込む操作力が付与されることにより、手動操作部512が基部5の切欠部51a及び綴じ部6a、6bの開口部64によって形成されたスペースを利用して他方の手動操作部512に向かって移動し、その結果、基部5の保持部511と綴じ部6a、6bとの係合状態が解除され、綴込状態から用紙類を挿脱可能な開放状態に移行し得るように構成されている。
綴じ具係止部4は、背表紙21の外側に取り付けられる外側係止部材41と、背表紙21の内側に取り付けられる内側係止部材42とから構成されており、外側係止部材41に設けた係止爪41aを、背表紙21の取付孔21a及び基部5の連通孔52aに挿入し、内側係止部材42に形成した係止爪用孔42a(具体的には係止爪用孔42a内に設けた係止爪41aに係合可能な係合爪)に係合させることにより、綴じ具3をファイル本体2に着脱可能に取り付けるものである。
しかして、綴じ具3に、手動操作部512の動作を制限する作動制限部材7を設けている。
作動制限部材7は、図4及び図5(図4は作動制限部材7を相互に異なる角度から示す全体斜視図であり、図5は図3におけるx−x線断面を模式的に示す作用説明図である)に示すように、綴じ具3の綴じ部6a、6bに装着されるベース71と、このベース71に設けられ綴じ具3に装着した状態において前記手動操作部512を動作を規制し得るストッパ部72とを具備してなり、本実施形態ではこれらベース71及びストッパ部72を例えば合成樹脂素材により一体に形成している。
ベース71は、綴じ部6a、6bに装着した状態において、綴じ部6a、6bの対向面部61の外側面側に位置する第1ベース部711と、対向面部61の内側面側に位置する第2ベース部712と、これら第1ベース部711と第2ベース部712とを接続する接続部713とを具備し、横断面視略下向きU字状をなすものである。各部(第1ベース部711、第2ベース部712、接続部713)の長手寸法を、綴じ部6a、6bの一対の綴じ杆62(一対の綴じパイプ63)の離間距離よりも大きく設定し、第2ベース部71
2に、一対の綴じ杆62又は一対の綴じパイプ63を収容する収容部712aを一対形成している。各収容部712aは、第2ベース部712の短寸方向に沿って延び、本実施形態では下方に開口した略下向きU字状をなす。また第2ベース部712の長手方向略中央部に、第2ベース部712の長手方向に所定距離離間させた一対のスリット712bを形成し、これらスリット712bに囲まれた部位が、その下端部を自由端とし、上端部を接続端として第2ベース部712に対してその厚み方向に変位し得る変位部712cとして機能する。本実施形態では、スリット712bの離間距離を、綴じ具3に形成した開口部64の開口巾寸法(対向面部61の長手方向に沿った開口部64の開口巾寸法)より若干小さく設定するとともに、変位部712cの内側面に、第1ベース部711側に突出し且つ開口部64の開口縁部に係合可能な係合部712dを設けている。一方、第1ベース部711には、前記係合部712dに対応する位置に、ドライバ等の工具又は専用の操作具が挿入可能であり、当該操作具を挿入して回転させる等の操作を行うことによってベース部同士の接合を解除するための挿入部711aを形成している。本実施形態では、この挿入部711aを、マイナスドライバの先端部が挿入可能な長孔形状とし、その長手方向に沿った開口巾寸法をスリット712bの離間距離に対応させている。
ストッパ部72は、第2ベース部712の長手方向略中央部の下端部から第1ベース部711に対して離間する方向に突出し、綴じ部6a、6bに装着した状態において、切欠部51a及び開口部64によって形成される手動操作部512の移動を許容するスペースに嵌り込み得るものである。本実施形態では、ストッパ部72が前記スペースに確実に嵌り込むように、ストッパ部72を第2ベース部712の下端部よりも若干下方に設けている。
次に、このような作動制限部材7を綴じ具3に装着する方法及び作用を説明する。
作動制限部材7を綴じ具3に装着するには、作動制限部材7を綴じ部6a、6bの対向面部61に、その起立方向に沿った上方から被せることにより行う。具体的には、第1ベース部711が綴じ部6a、6bの対向面部61の外側面側に、第2ベース部712が対向面部61の内側面側に位置し得るような姿勢で作動制限部材7を対向面部61の上方から下方へスライド移動させ、ストッパ部72を前記スペースに嵌め込む。この際、一対の収容部712aにそれぞれ対応する綴じ杆62又は綴じパイプ63を収容した状態で添接させながら作動制限部材7をスライド移動させることにより、ストッパ部72を前記スペースにスムーズに位置付けることが可能となる。このように、収容部712aが、作動制限部材7を綴じ具3に装着する際に作動制限部材7の綴じ具3に対する移動を案内するガイド部としての役割を果たす。また、作動制限部材7の下方へのスライド移動時に、第2ベース部712の変位部712cに設けた係合部712dが対向面部61に当接することによって変位部712cが第1ベース部711から離間する方向にその弾性により変位し、係合部712dが開口部64に到達して開口縁部に係合した時点で変位部712cが弾性復帰する。このように、係合部712dが、作動制限部材7の良好な装着状態を維持する装着状態維持手段として機能し、開口部64が、作動制限部材7を装着するための「装着部」として機能する。このような手順により作動制限部材7を綴じ具3に装着した状態において、ストッパ部72が前記スペースに嵌り込んでいるため、綴じ部6a、6bの対向面部61の外側面側に表出している手動操作部512に対して前記操作力、つまり手動操作部512を対向面部61の外側面側から他方の手動操作部512に向かって押し込む操作力を付与した場合であっても、手動操作部512がストッパ部72と干渉して他方の手動操作部512に向かって移動し得ない。その結果、綴込状態にある綴じ具3を開放状態に移行させることが不可能となり、用紙類の挿脱を行うことができない。
一方、この作動制限部材7を綴じ具3から取り外して、再度用紙類の挿脱を行えるようにするには、前記装着状態において、第1ベース部711に形成した挿入部711aに、
マイナスドライバ等の工具又は専用の操作具を挿入して、その先端部によって係合部712dと開口部64の開口縁部との係合状態を解除させる方向に係合部712dを移動させる操作力を付与することにより行う。その結果、係合部712dと開口部64の開口縁部との係合状態が解除され、作動制限部材7を、対向面部61の起立方向に沿って上方にスライド移動させることによって綴じ具3から取り外すことができる。このように、第1ベース部711に形成した挿入部711aが、装着状態維持手段(係合部712d)による作動制限部材7の装着状態を解除する装着状態解除手段として機能する。
このように、本実施形態に係るファイル1は、作動制限部材7を綴じ具3に装着することにより、手動操作部512を押圧する操作力が付与されても該操作力による手動操作部512の動作を規制するため、綴じ具3を綴込状態から開放状態へ移行させることができず、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者により用紙類が取り外されるという不具合を起こり難くできる。
また、綴じ具3に作動制限部材7を装着するための装着部たる開口部64を形成しているため、この開口部64を利用して作動制限部材7を綴じ具3に簡単且つ的確に装着することができる。
加えて、作動制限部材7がストッパ部72を備えたものであるため、このストッパ部72によって手動操作部512の動作を確実に規制することができるとともに、このストッパ部72をベース71と共に一体に形成しているため、作動制限部材7の構造簡素化及びコスト削減に資する。
しかも、作動制限部材7に装着状態維持手段として機能する係合部712dを設けているため、綴じ具3に対する作動制限部材7の良好な装着状態を維持することができるとともに、装着状態解除手段として機能する挿入部711aが、マイナスドライバ等の工具や専用の操作具のみが挿入可能なものであるため、このような工具又は専用の操作具を持ち合わせていない閲覧者により作動制限部材7が綴じ具から取り外されることがなく、閲覧に供するものとしてより適したものとなる。
なお、作動制限部材として、以下の変形例に係る作動制限部材A7を適用してもよい。なお、同変形例に係るファイル1及び綴じ具3は、前記実施形態に係るファイル1及び綴じ具3を適用しており、詳細な説明は省略する。また、特に断りがない限り前記実施形態におけるファイル1及び綴じ具3の各構成部材にそれぞれ対応する構成部材には同一の符号を付している。
〈変形例〉
ここで、本変形例に係る作動制限部材A7を説明する前に、前記綴じ具3について補足説明を行う。
前記綴じ具3の綴じ部6a、6bと基部5とを係合保持させた状態において、手動操作部512に前記操作力を付与した場合、手動操作部512が他方の手動操作部512側へ移動する動作に伴って、前記保持部511として機能し且つ一部が手動操作部512に保持される軸ピンが手動操作部512と共に他方の手動操作部512側に移動することにより、保持部511と綴じ部6a、6bとの係合状態が解除されるとともに、基部5の肉厚部51に設けた弾性部材(図示省略)により綴じ部6a、6bがその起立方向に沿って基部5から離れる方向に付勢されて移動し、その結果、綴じ部6a、6bの何れか一方又は両方を基部5から取り外すことが可能となり、用紙類の挿脱作業を行うことができる。すなわち、「綴じ部6a、6b」が手動操作部512に前記操作力が加えられることによって作動し得る本発明の「作動部品」に相当する。また、基部5は、その長手方向両側縁部
において基部5の短寸方向に対向し得る部位に筒状部53を有し、綴じ部6a、6bの対向面部61における長手方向両側縁部の下端部に、前記係合保持状態において少なくとも前記筒状部53の内側面側を被覆し得る被覆部67を設けている(図3参照)。
しかして、本変形例に係る作動制限部材A7は、図6〜図8(図6は、本変形例に係る作動制限部材A7を設けたファイル1の要部拡大図であり、図7は対をなす作動制限部材A7をそれぞれ異なる角度から示す全体斜視図であり、図8は図6におけるx−x線断面を模式的に示す作用説明図である)に示すように、綴じ部6a、6bと基台3とを前記保持部511を利用して係合保持させた状態において、綴じ部6a、6bの一部と基台5の一部とを連結し、手動操作部512に前記操作力が加えられることによって作動し得る綴じ部6a、6bの動作を制限するものである。
具体的に、本変形例に係る作動制限部材A7は、綴じ部6a、6bの各対向面部61の長手方向両端部に、取り付けられるものであり、一の対向面部61に、対称な形状を有する一対の作動制限部材A7を取付可能に設定している。各作動制限部材A7は、綴じ具3の綴じ部6a、6bに装着されるベースA71と、このベースA71に設けられ綴じ部6a、6bを動作不能にし得るストッパ部A72とを具備してなり、本実施形態ではこれらベースA71及びストッパ部A72を例えば合成樹脂素材により一体に形成している。
ベースA71は、綴じ具3に装着した状態において、綴じ部6a、6bの対向面部61の外側面側に位置する第1ベース部A711と、対向面部61の内側面側に位置する第2ベース部A712と、第1ベース部A711の一方の側縁部と第2ベース部A712の一方の側縁部とを接続する側方接続部A713と、第1ベース部A711の上縁部と第2ベース部A712の上縁部とを接続する上方接続部A714とを具備してなり、側方接続部A713と対向する方向に開放させたものである。そして、第2ベース部A712に、その内側面部から第1ベース部A711に向かって突出し、且つ前記装着状態において綴じ部6a、6bの対向面部61に形成した前記保持孔65に係合し得る係合突部A712aを設けている。一方、第1ベース部A711には、係合突部A712aに対応する位置に貫通孔A711aを形成している。本実施形態における貫通孔A711aは、針金等の先端部が棒状又は尖状をなす操作具のみが挿入可能な小径の丸孔である。
ストッパ部A72は、第2ベース部A712の下端部に設けられ対向面部61の前記被覆部67を被覆し得る形状をなし且つ前記装着状態において該被覆部67に当接又は近接する第1ストッパ部A721と、側方接続部A713の下端部から上方接続部A714と略平行をなして延び前記装着状態において基部5の筒状部53の下面に当接又は近接する第2ストッパ部A722とを用いて構成されている。なお、第2ストッパ部A722と、第1ベース部A711及び第1ストッパ部A721との間にはそれぞれ間隙が形成されている。
このような作動制限部材A7を綴じ具3に装着するには、綴じ部6a、6bの対向面部61の両側縁部に、対象形状をなす一対の作動制限部材A7を相寄る方向に移動させて被せることにより行う。具体的には、第1ベース部A711が対向面部61の外側面側に、第2ベース部A712が対向面部61の内側面側に位置し得るような姿勢で作動制限部材A7を対向面部61の長手方向に沿ってスライド移動させ、第1ストッパ部A721によって対向面部61の被覆部67の少なくとも一部を被覆し得る位置に位置付けるとともに、第2ストッパ部A722によって基部5の筒状部53の下面側を被覆し得る位置に位置付ける。また、作動制限部材A7のスライド移動時に、第2ベース部A712に設けた係合突部A712aが対向面部61に当接することによって第2ベース部A712が第1ベース部A711から離間する方向にその弾性により変位し、係合突部A712aが対向面部61に形成した保持孔65に到達して嵌り込んだ時点で第2ベース部A712が弾性復
帰する。このように、係合突部A712aが、作動制限部材A7の良好な装着状態を維持する装着状態維持手段として機能し、保持孔65が、作動制限部材A7を装着するための「装着部」として機能する。このような手順により作動制限部材A7を綴じ具3に装着した状態において、図8に示すように、第1ストッパ部A721が対向面部61の被覆部67に当接又は近接するとともに、作動制限部材A7の第2ストッパ部A722が基部5の筒状部53の下面側に当接又は近接しているため、綴じ部6a、6bの対向面部61の外側面側に表出している手動操作部512に対して前記操作力、つまり手動操作部512を対向面部61の外側面側から他方の手動操作部512に向かって押し込む操作力を付与した場合であっても、綴じ部6a、6bのその起立方向に沿って基部5から離れる方向への移動が規制され、綴じ部6a、6bを基部5から取り外すことが不可能となり、綴込状態にある綴じ具3を開放状態に移行させることができず、用紙類の挿脱を行うことができない。
一方、この作動制限部材A7を綴じ具3から取り外して、再度用紙類の挿脱を行えるようにするには、前記装着状態において、第1ベース部A711に形成した貫通孔A711aに、針金等の先端部が棒状又は尖状をなす操作具を挿入して、その先端部によって係合突部A712aを押圧する操作力を付与することにより行う。その結果、係合突部A712aと保持孔65との係合状態が解除され、作動制限部材A7を、対向面部61の長手方向に沿って外方にスライド移動させることによって綴じ具3から取り外すことができる。このように、第1ベース部A711に形成した挿入孔が、装着状態維持手段(係合突部A712a)による作動制限部材A7の装着状態を解除する装着状態解除手段として機能する。
このように、本変形例に係る作動制限部材A7は、手動操作部512に操作力が加えられることによって作動する綴じ部6a、6bの動作を規制するため、手動操作部512を押圧する操作力が付与されても綴じ具3を綴込状態から開放状態へ移行させることができず、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者により用紙類が取り外されるという不具合を起こり難くできる。
また、綴じ具3に作動制限部材A7を装着するための装着部たる保持孔65を形成しているため、この保持孔65を利用して作動制限部材A7を綴じ具3に簡単且つ的確に装着することができる。しかも、本実施形態では、綴じ部6a、6bのメッキ加工のために形成した保持孔65を装着部として機能させているため、専用の装着部を別途形成する態様と比較して、構造の簡素化及び工程数の削減を有効に図ることができる。
加えて、作動制限部材A7のストッパ部A72によって綴じ部6a、6bの動作を確実に規制することができるとともに、このストッパ部A72を構成する第1ストッパ部A721及び第2ストッパ部A722をベースA71と共に一体に形成しているため、作動制限部材A7の構造簡素化及びコスト削減に資する。
しかも、作動制限部材A7に装着状態維持手段として機能する係合突部A712aを設けているため、綴じ具3に対する作動制限部材A7の良好な装着状態を維持することができるとともに、装着状態解除手段として機能する挿入部711aが、針金等の先端部が棒状又は尖状をなす操作具のみが挿入可能なものであるため、このような操作具を持ち合わせていない閲覧者により作動制限部材A7が綴じ具3から取り外されることがなく、閲覧に供するものとしてより適したものとなる。
なお、上記変形例では、綴じ具(図示例では綴じ部)の両端部にそれぞれ装着可能な対称形状を有する一対の作動制限部材A7を例示したが、これに限らず、綴じ具の両端部の何れにも装着可能な作動制限部材であってもよい。このようなものであれば同一部品を共
用することができ、装着作業の簡素化に資する。
〈第2実施形態〉
第2実施形態に係るファイルB1は、図9〜図11(図9は綴じ具B3が綴込状態にあるファイルB1の全体概略図であり、図10は綴じ具B3が開放状態にあるファイルB1の全体概略図であり、図11は綴じ具B3の一端部を底面側から見た概略図である)等に示すように、ファイル本体B2と、このファイル本体B2に設けた綴じ具B3とを具備したものである。
ファイル本体B2は、背表紙B21と、この背表紙B21の両側縁に連続して設けた表表紙B22及び裏表紙B23とを備えるものであり、表表紙B22と背表紙B21との間、及び裏表紙B23と背表紙B21との間に形成したヒンジ部B24を利用して、表表紙B22及び裏表紙B23を相互に離接させて開閉可能としている。
綴じ具B3は、前記背表紙B21の内面部に設けられ、背表紙B21に取り付けられるカバー体B31と、このカバー体B31内に収納した一対の作動板B32と、及びこれら各作動板B32に基端部を固定して設けた綴じ部材B33と、このカバー体B31の長手方向両端部に設けられ操作力を受け付ける手動操作部B34とを具備してなり、手動操作部B34に加えられる操作力を利用して綴込状態から開放状態に移行し得るように構成している。
カバー体B31は、中央部を背表紙B21から離れる方向に湾曲させた長尺鞘状のもので、弾性に富んだ金属板により形成しているとともに、その長手方向に沿った両側縁に、内側へ屈曲し前記一対の作動板B32を支持する受リブB311を形成している。
作動板B32は、長尺な平板状のもので、比較的剛性の高い金属板により形成している。また、これら作動板B32の長手方向に沿った内側縁部同士を山折り及び谷折り可能に突き合わせているとともに、外側縁部を前記受リブB311に傾動可能に支持させた状態でカバー体B31内に収容している。
一対の綴じ部材B33は、それぞれ略半円弧状をなすもので、先端部同士を当接させることにより略Oリング状の閉ループ姿勢を取るものである。各綴じ部材B33の基端部は前記各作動板B32にそれぞれかしめ加工等により固着され、先端側はカバー体B31に設けたスロット孔B312を通してカバー体B31から表出させてある。なお、この実施例は30穴用のものであるため、30対の綴じ部材B33を作動板B32の長手方向に分散して設けている。
手動操作部B34は、前記作動板B32に当接した状態で操作力を受け付け前記作動板B32を押圧可能な操作部本体B341と、この操作部本体B341に設けた図示しない支持軸を枢支し且つ綴じ具B3のカバー体B31の長手方向両端部を外嵌し得る外嵌部B342とを有する。
前記操作部本体B341は、カバー体B31の長手方向に対して起立姿勢を取り得る板状の操作受け部B341aを有し、この操作受け部B341aから前記背表紙B21側に向かい延伸して設けられ前記作動板B32に上方から当接し得る第1当接部B341cと、この第1当接部B341cからさらに背表紙B21側に向かって延伸し前記作動板B32に下方から当接し得る第2当接部B431dとを一体に備えている(後述する図14参照)。
外嵌部B342は、弾性を有する金属素材により形成され、上面部に、前記操作部本体B341の支持軸を枢支する支持軸受けB342aを設け、下面部B342Aに、操作部
本体B341の第2当接部B431dが挿通可能な挿通部B342bと、カバー体B31の一部が係合可能な係合孔B342cとを形成している。この外嵌部B342をカバー体B31の長手方向両端部に外嵌してなる綴じ具B3を、リベット等を用いて背表紙B21に固着した状態において、外嵌部B342の下面部B342Aがカバー体B31の前記受リブB311の下縁部B311aよりも背表紙B21に近い位置に位置付けられ(後述する図14参照)、カバー体B31のうち、外嵌部B342に被覆されていない部位は、背表紙B21側に開放している。
このような構成を有する綴じ具B3は、背表紙B21に対して起立姿勢を取る手動操作部B34の操作受け部B341aをカバー体B31から離間させる方向に手動操作部B34を押圧する(傾倒させる)操作力を付与することにより、手動操作部B34の第2当接部B431dが作動板B32の下面側に当接し、各作動板B32を谷折り姿勢から山折り姿勢へ姿勢変更させる力に変換され、それに伴って各綴じ部材B33が自動的に回動して開放状態へと向かう。このような操作により綴込状態から用紙類を挿脱可能な開放状態に移行し得るように構成されている。なお、開放状態にある綴じ具B3を綴込状態とするには、背表紙B21に対して傾倒姿勢を取る手動操作部B34の操作受け部B341aをカバー体B31に近付ける方向に手動操作部B34を押圧する(起立させる)操作力を付与し、手動操作部B34の第1当接部B341cを作動板B32の上面側に当接させることによって各作動板B32を山折り姿勢から谷折り姿勢へ姿勢変更させるか、又は対をなす綴じ部材B33を指で摘んで綴じ部材B33同士を相寄る方向に引き寄せる操作力を加えることにより行う。
しかして、本実施形態に係る作動制限部材B7は、図12〜図14(図12は作動制限部部材B7を綴じ具B3に装着したファイルB1の要部拡大図であり、図13は綴じ具Bに装着前の作動制限部材B7及びファイルB1の要部拡大図であり、図14は図12におけるx方向から見たファイルB1を模式的に示す作用説明図である)に示すように、綴込状態にある綴じ具B3に装着可能なものであり、手動操作部B34の操作受け部B341aをカバー体B31から離間させる方向に手動操作部B34を押圧する操作力が付与された場合であっても手動操作部B34の傾倒動作を規制するものである。
この作動制限部材B7は、手動操作部B34を、その内方側以外の部位を被覆するようにカバー体B31の一部を利用して綴じ具B3に装着される側面視略L字状の一対のベースB71と、これらベースB71を接続する薄肉のヒンジ部B72とを具備してなり、本実施形態ではこれら各部B71、B72を合成樹脂素材により一体に形成している。一対のベースB71は、ヒンジ部B72を境に対称形状をなすものである。すなわち、一対のベースB71をヒンジ部B72を介して手動操作部B34の操作方向に対して直交する方向に接続すなわち接合、又は分離することによって綴じ具B3に装着又は脱離し得るように構成しているものである。そして、手動操作部の操作方向に直交する方向に一対のベースを装着又は脱離する構成を採用することにより、手動操作部B34の操作の如何に関わらず接合状態を保ち、手動操作部B34の操作によるベースB71の不意な脱離を有効に回避し得るものとしている。
各ベースB71は、綴じ具B3に装着した状態において、主として手動操作部B34の操作受け部B341aを外方側及び一方の側方側から収容し得る起立部B711と、この起立部B711の下端部から屈曲して延び綴じ具B3の外嵌部B342の下面部B342Aと背表紙B21との間に入り込み得る側方突出部B712とを有し、この側方突出部B712の先端部に、装着状態においてカバー体B31の受リブB311の下縁部B311aに係合可能な略上向き爪状の係合部B712aを設けている。装着状態において、起立部B711によって前記操作受け部B341a及び外嵌部B342を略隙間無く収容し得るように、起立部B711及び側方突出部B712の内面部における所定部位を適宜肉盗
みしてある。そして、作動制限部材B7を、平面視において各ベースB71の起立部B711が略直線状に位置し且つ各側方突出部B712が略平行をなす閉止姿勢(図12、図13参照)と、各ベースB71を相離反する方向に移動させた図示しない開放姿勢との間でヒンジ部B72を利用して姿勢変更可能に設定している。
このような作動制限部材B7を綴じ具B3に取り付けるには、先ず、開放姿勢にある作動制限部材B7を手動操作部B34に外方側から近付け、次いでヒンジ部B72を利用して作動制限部材B7を開放姿勢から閉止姿勢に姿勢変更させ、ベースB71の側方突出部B712を外嵌部B342の下面部B342Aと背表紙B21との間に挿入することにより行う。この側方突出部B712の挿入操作に伴って、側方突出部B712に設けた係合部B712aが受リブB311に当接しながら弾性変形し、この係合部B712aが受リブB311の下縁部B311aを通過した時点で外嵌部B342の下面部B342Aの縁部B342dから離れた位置において受リブB311の下縁部B311aに嵌り込み係合するとともに、側方突出部B712に設けた当接部B712bが外嵌部B342の下面部B342Aの縁部B342dに当接する(図14参照、なお同図において係合部B712a、当接部B712bをそれぞれ異なるパターンを付して示している)。これにより、作動制限部材B7の閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更を規制し、且つ作動制限部材B7の綴じ具B3に対する装着位置を位置決めし、作動制限部材B7が綴じ具B3から不意に外れることを防止している。このように、係合部B712aが、作動制限部材B7の良好な装着状態を維持する装着状態維持手段として機能し、受リブB311の下縁部B311aが、作動制限部材B7を装着するための「装着部」として機能する。このような手順により作動制限部材B7を綴じ具B3に装着した状態において、手動操作部B34の操作受け部B341a及び外嵌部B342が作動制限部材B7の起立部B711に被覆されるとともに、起立部B711と側方突出部B712の接続部位が背表紙B21に当接又は近接しているため、起立部B711に被覆されている手動操作部B34に対して前記操作力(つまり起立姿勢を取る手動操作部B34の操作受け部B341aをカバー体B31から離間させる方向に手動操作部B34を押圧する操作力)を付与した場合であっても、操作受け部B341aのカバー体B31から離間する方向への移動、つまり起立姿勢から傾倒姿勢への姿勢変更が規制される。その結果、綴込状態にある綴じ具B3を開放状態に移行させることが不可能となり、用紙類の挿脱を行うことができない。このように、起立部B711と側方突出部B712の接続部位が、前記手動操作部B34の動作を規制する本発明の「ストッパ部」として機能する。また、この装着状態において、各ベースB71の起立部B711の上端部間に、マイナスドライバ等の操作具が挿入可能な挿入部B73が形成される。
一方、この作動制限部材B7を綴じ具B3から取り外して、再度用紙類の挿脱を行えるようにするには、前記装着状態において、ベースB71の起立部B711の上端部間に形成された挿入部B73に、マイナスドライバ等の工具や専用の操作具を挿入して、その先端部によって一対のベースB71を相互に離反させる方向に操作力を付与することにより行う。その結果、係合部B712aが受リブB311の下縁部B311aを乗り越え、係合部B712aと受リブB311の下縁部B311aとの係合状態が解除され、作動制限部材B7を、閉止姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させて綴じ具B3から取り外すことができる。このように、ベースB71に形成した挿入部B73が、装着状態維持手段(係合部B712a)による作動制限部材B7の装着状態を解除する装着状態解除手段として機能する。
このように、本実施形態に係るファイルB1は、作動制限部材B7を綴じ具B3に装着することにより、手動操作部B34を押圧する操作力が付与されても該操作力による手動操作部B34の動作を規制するため、綴じ具B3を綴込状態から開放状態へ移行させることができず、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、綴じ具に綴じられた用紙類が閲覧
者によって不用意に抜き取られるという不具合を防止することができる。
加えて、作動制限部材B7における「起立部B711と側方突出部B712との接続部位」がストッパ部として機能するため、手動操作部B34の動作を確実に規制することができるとともに、作動制限部材に専用のストッパ部を別途設ける態様と比較して構造簡素化及びコスト削減に資する。
しかも、作動制限部材B7に装着状態維持手段として機能する係合部B712aを設けているため、綴じ具B3に対する作動制限部材B7の良好な装着状態を維持することができるとともに、装着状態解除手段として機能する挿入部B73が、マイナスドライバ等の工具や専用の操作具のみが挿入可能なものであるため、このような工具又は専用の操作具を持ち合わせていない閲覧者により作動制限部材B7が綴じ具B3から取り外されることがなく、閲覧に供するものとしてより適したものとなる。なお、第2実施形態に係る綴じ具B3に設けられる作動制限部材として、以下の変形例に係る作動制限部材C7を適用してもよい。
〈変形例〉
本変形例に係る作動制限部材C7は、図15に示すように、ヒンジ部を有さず相互に着脱可能な一対のベースたる作動制限部材要素C7aからなるものである。なお、同図(a)は作動制限部材要素C7aが分離状態にある作動制限部材C7の全体斜視図であり、同図(b)は作動制限部材要素C7aが組付状態にある作動制限部材C7の全体斜視図である。
各作動制限部材要素C7aは、前記実施形態における各ベースB71に相当するものであり、具体的には、綴じ具B3に装着した状態において、手動操作部B34の操作受け部B341aを外方側及び一方の側方側から被覆し得る起立部C711と、この起立部C711の下端部から屈曲して延び綴じ具B3の外嵌部B342の下面部B342Aと背表紙B21との間に入り込み得る側方突出部C712とを有し、この側方突出部C712の先端部に、装着状態においてカバー体B31の受リブB311の下縁部B311aに係合可能な略上向き爪状の係合部C712a、及び外嵌部B342の下面部B342Aの縁部B342dに当接する当接部C712bを設けている。しかして、一方の作動制限部材要素C7aに設けた突起たる嵌合突部C713と、他方の作動制限部材要素C7aに設けられ且つ前記嵌合突部C713と嵌合可能すなわち前記嵌合突起部C713挿入可能な挿入穴たる嵌合凹部C714とを嵌合することにより一体的に組付可能に構成している。すなわち複数のベースたる一対の作動制限部材要素C7a、C7aが、嵌合凹部C714と当該嵌合凹部C714に挿入し得る嵌合突部C713とをそれぞれ有し、当該嵌合凹部C714と嵌合突部C713とによって接合又は分離し得るものとしている。また、一対の作動制限部材要素C7aを組み付けた状態において相互に当接し得る部位に、マイナスドライバ等の工具や専用の操作具が挿入可能な挿入部C73が形成されるように設定し、この挿入部C73に、マイナスドライバ等の工具や専用の操作具を挿入して、その先端部によって一対の作動制限部材C7aを相互に離反させる方向に操作力を付与することにより、嵌合突部C713と嵌合凹部C714との嵌合状態を解除するとともに、係合部C712aと受リブB311の下縁部B311aとの係合状態を解除して、各作動制限部材要素C7aを、綴じ具B3から取り外すことができるようにすれば上述と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した作動制限部材B7、C7は、起立部B711、C711と側方突出部B712、C712との接続部位を「ストッパ部」として機能させたものであるが、これに限らず、例えば、起立部B711、C711と側方突出部B712、B712との接続部位に、他の部位より背表紙B21に接地し得る優先接地部を設け、この優先接地部をスト
ッパ部として機能させても構わない。優先接地部の具体例としては、側方突出部B712、C712の基端部に他の部位(側方突出部B712、C712)よりも下方に突出させたものが挙げられる。さらに、この優先接地部が、装着状態においてファイル本体B2の背表紙B21に圧接し得るものであれば、より確実に手動操作部の動作を規制することが可能である。
〈変形例〉
続いて、同実施形態に係る変形例に係る、図16〜図18に示す作動制限部材BA7、図19(a)及び図19(b)に示す作動制限部材CA7、図20に示す作動制限部材CB7、図21に示す作動制限部材CC7、図22に示す作動制限部材CD7について図面を参照して説明する。
まず、作動制限部材BA7について、図16〜図18を参照して説明する。図16は作動制限部部材BA7を綴じ具B3に装着したファイルB1の要部拡大図であり、図17は綴じ具Bに装着前の作動制限部材B7及びファイルB1の要部拡大図であり、図18は図16におけるX方向から見たファイルB1を模式的に示す作用説明図である。
ここで本変形例における作動制限部材BA7を構成する各構成要素について、上述の作動制限部材B7と同様の作用を奏するものについては符号の頭文字を「B」から「BA」に変更した符号を用いてその詳細な説明を省略するものとする。
作動制限部材BA7は、図16に示すように、一対のベースBA71を具備してなるものである。上述のベースB71同様に、各ベースBA71は、綴じ具B3に装着した状態において、主として手動操作部B34の操作受け部B341aを外方側及び一方の側方側から収容し得る起立部BA711と、この起立部BA711の下端部から屈曲して延び綴じ具B3の外嵌部B342の下面部B342Aと背表紙B21との間に入り込み得る側方突出部BA712とを有している。
しかして本変形例に係る作動制限部材BA7は、起立部BA711並びに側方突出部BA712における以下の構成において、上述の作動制限部材B7とは異なる構成を有するものである。
すなわち、図16及び図17に示すように、側方突出部BA712には上述の側方突出部B712のような係合部B712aを設けず、側方突出部BA712はその突出寸法が短く設定されている。そして綴じ具B3に装着した状態において、側方突出部BA712の上面BA712cが綴じ具B3の受リブB311に対して略接した状態となる。
起立部BA711は、図18に示すように、当該起立部BA711によって操作受け部B341aを略隙間無く収容し得るように、起立部B711における所定部位を肉盗みすることによって、それぞれ操作受け部B341aに当接する本発明の「当接面」たる第1
当接面BA711a並びに第2当接面BA711bを形成している。
しかして作動制限部材BA7は、起立部BA711と側方突出部BA712とを、前記手動操作部B34の動作を規制する本発明の「ストッパ部」として機能させたものである。
以下、当接面たる起立部BA711及び側方突出部BA712、並びに、手動操作部B34に操作力が加えられることによっても作動しない静止部材(受けリブB311)に当接し得る移動禁止面たる上向面BA712cによって構成されるストッパ部の作用について、図18を参照して具体的に説明する。
図18に示すように、綴じ具B3に作動制限部材BA7を装着した状態において、操作受け部B341aは、操作方向にそって第1当接面BA711a並びに第2当接面BA7
11bに挟まれた状態となっている。この状態において操作受け部B341aを操作すべく傾倒させると、第1当接面BA711a及び第2当接面BA711bにそれぞれ当接し、その際にベースBA71自体が同様に傾倒する方向に付勢される。しかし、側方突出部BA712の上向面BA712cが本発明の「静止部材」に相当する受けリブB311に強く当接することにより、操作受け部B341aの傾倒が阻害される。すなわち、作動制限部材BA7によって手動操作部B34の操作が制限されることとなる。
このように作動制限部材BA7を構成することにより、手動操作部B34の動作を有効に制限して綴じ具B3に綴じられた用紙類が閲覧者によって不用意に抜き取られるという不具合を防止することができる。
次に作動制限部材CA7について図19(a)及び図19(b)を参照して説明する。この作動制限部材CA7の基本的な構成については上述の作動制限部材BA7と略同様の構成を有しているため同一の作用を奏する構成要素に対する具体的な説明は省略する。
そして作動制限部材CA7は、上述の作動制限部材C7と略同様に、一対のベースたる作動制限部材要素CA71を、挿入突起たる嵌合突部CA713と、挿入穴たる嵌合凹部CA714とによって一体的に組み付けることにより構成しているものである。
しかして本変形例に係る作動制限部材CA7は、嵌合突部CA713における上下方向中央部にスリットCA713aを設けるとともに、当該嵌合突部CA713の上下寸法を嵌合凹部CA714よりも例えば0.1mmといった若干寸法大きく設定している。このように構成することにより、嵌合突部CA713を嵌合凹部CA714に挿入する際には嵌合突部CA713は上下方向、すなわちスリットCA713aの上下寸法が狭くなりながら嵌合凹部CA714に圧入されることにより、より確実な接合状態を実現し得るものとなっている。
さらに作動制限部材CB7について、図20を参照して説明する。ここで、この作動制限部材CB7における基本的な構成は上記作動制限部材CA7と略同様であるために、各構成要素の符号を、先頭を「CA」から「CB」へと変更する以外には同様としている。
しかしてこの作動制限部材CB7は、一対の作動制限部材要素CB71を備え、一方の作動制限部材要素CB71に係合爪CB715を設けるとともに、他方の作動制限部材要素CB71に前記係合爪CB715を設け、これら作動制限部材要素CB71同士を接合させる際に係合爪CB715と係り部CB716とを相互に係合させるようにしている。
このような構成とすることにより、綴じ具B3に装着する際に、係合爪CB715が弾性変形した状態を経て係合爪CB715と係り部CB716とが係合することによる係合爪CB715の弾性反発力によって発生する操作感(クリック感)を、使用者は明確に感じ取ることことができる。そして使用者はこの操作感を感じ取ることにより、確実に綴じ具B3に装着し得たことを好適に認識することができる。
続いて、作動制限部材CC7並びに作動制限部材CD7について図21及び22を用いて説明する。ここで、この作動制限部材CB7における基本的な構成は上記作動制限部材CA7と略同様であるために、各構成要素の符号を、先頭を「CA」から「CC」或いは「CD」へと変更する以外には同様としている。
これら作動制限部材CC7、作動制限部材CD7は、上記変形例に係る作動制限部材C7、作動制限部材CA7、作動制限部材CB7の如く、一対の作動制限部材要素CC7a、CD7aを接合させた状態において、ドライバ等の操作具を挿入することにより、一旦接合させたベースたる一対の作動制限部材要素CC7a、CD7a同士の接合を好適に解除するための挿入部CC73及びCD73が形成される点において同様である。しかし、挿入部CC73及びCD73に残跡部CC74、CD74を更に設けているという点で異なる。
詳述すると作動制限部材CC7に設けた残跡部CC74は、図21(a)に示すように、作動制限部材要素CC7aにそれぞれ設けた挿入部CC73の内面側から突出片CC741をそれぞれ突出させることにより形成したものである。
斯かる突出片CC741を形成することにより、図21(b)に示すように一対の作動制限部材要素CC71aを組み付けた際に、一対の突出片CC741が互いに当接することによって挿入部CC73を略覆う状態となる。換言すれば、本変形例では、一対の突出片CC741が、挿入部CC73を覆う薄膜を構成している。
このような残跡部CC74を設けることにより、作動制限部材要素CC7a同士の接合を解除するために操作具を用いた場合には突出片CC741を破壊しなければならず、換言すれば薄膜が破られた状態としなければならず、その痕跡が残されてしまうこととなる。そのため、操作具の操作後に容易に挿入跡を視認することができる。或いは、挿入跡が残ってしまうことが事前に明確に認識できるため、作動制限部材要素CC7a同士の接合を解除するといった行為を未然に防ぐという効果に資するものとなる。
次に作動制限部材CD7に設けた残跡部CD74は、図22(a)に示すように、挿入部CD73の内側の起立面に波状の凹凸面CD742をそれぞれ形成することによって残跡部CD74を構成している。言い換えれば、図22(b)に示したような作動制限部材要素CD7a同士を接合させた状態において操作具を使用する際に当該操作具が作用する作用面を凹凸面CD742とすることによって残跡部CD74を構成しているものである。
斯かる残跡部CD74を設けることにより、作動制限部材要素CD7aの接合を解除すべく操作具を挿入して、操作具をひねる等の解除動作を行う際には、凹凸面CD742が部分的に破損するか、凹凸面CD742に傷が残ることによって、確実に挿入跡として残すことができる。なお、残跡部CC74、CD74に係る構成は、上記図12に示したような薄肉のヒンジ部B72を具備する作動制限部材B7の上方に設けた挿入部B73にも好適に適用することができる。
〈変形例〉
本変形例に係る綴じ具BB3は、図23及び図24に示すように、前述した綴じ具B3と比較して、綴込状態から開放状態への移行時における手動操作部BB34の傾倒角度が大きく、その傾倒動作を確保するために、綴じ具BB3を構成するカバー体BB31の下縁部BB31aとファイル本体BB2との離間寸法を比較的大きく設定している(図24参照、なお同図に綴じ具BB3を開放状態にした場合の手動操作部BB34の傾倒姿勢を想像線で示す)。そして、この綴じ具BB3は、長手方向に沿った所定箇所、例えば略中央部及び両端部近傍部位にリベットBB32を取り付けることによりファイル本体BB2の背表紙BB21に固定されている。
しかして、本変形例に係る作動制限部材BB7は、カバー体BB31の下縁部BB31aとファイル本体BB2の背表紙BB21との間に入り込み得る単一のベースBB71か
らなる。このベースBB71の先端部に、カバー体BB31の下縁部BB31aとファイル本体BB2の背表紙BB21との間にベースBB71を入り込ませた状態で、前記リベットBB32に係合する係合部BB71aを設けている。本実施形態では、係合部BB71aとして、平面視略部分円弧状の丸孔を採用している。
このような作動制限部材BB7を、その係合部BB71aをリベットBB32に係合させる位置までカバー体BB31の下縁部BB31aとファイル本体BB2の背表紙BB21との間に圧入して取り付けることにより、手動操作部BB34を傾倒させる操作力を付与した場合に、手動操作部BB34がベースBB71に当接し、手動操作部BB34の傾倒動作が規制され、その結果、綴じ具BB3の綴込状態から開放状態への移行が禁止される。このように、ベースBB71が本発明の「ストッパ部」としても機能する。また、ファイル本体BB2の背表紙BB21は本発明の「静止部材」に相当するものであり、作動制限部材BB7が、本発明の「嵌入部」としても機能する。
一方、所定の操作具、例えばマイナスドライバの先端部等を利用してベースBB71をカバー体BB31の下縁部BB31aとファイル本体BB2の背表紙BB21との間から取り外すことにより綴じ具B3の綴込状態から開放状態へ移行させることができる。
このような態様のものであっても、操作具を有していない不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
また、上記綴じ具BB3に対して図25に示すような作動制限部材BC7を装着してもよい。
〈変形例〉
本変形例に係る作動制限部材BC7は、手動操作部BB34を、その内方側以外の部位を被覆するようにカバー体BB31の一部を利用して綴じ具BB3に装着されるベースBC71と、ベースBC71に着脱可能に取り付けられる取付体BC72とを備えたものである。
ベースBC71は、綴じ具BB3に装着した状態において、主として手動操作部BB34を外方側及び両側方側から収容し得る起立部BC711と、この起立部BC711の下端部から突出し、カバー体BB31の下縁部BB31aと背表紙BB21との間に入り込み得る側方突出部BC712とを一体に備えたものであり、各側方突出部BC712の先端部に、前記取付体BC72を取り付けるための取付孔BC712aを形成している。
取付体BC72は、側方突出部BC712の取付孔BC712aに連続して挿入可能な取付体本体BC721と、取付体本体BC721の一端部に設けられ一方の側方突出部BC71の外面部に当接し得る当接部BC722とを一体に備えたものである。
しかして、手動操作部BB34を被覆するようにベースBC71を取り付け、側方突出部BC712をカバー体BB31の下縁部BB31aと背表紙BB21との間に入り込ませ、次いで、取付体BC72を各側方突出部BC712の取付孔BC712aに順に挿入して取り付けた状態において、取付体BC72とベースBC71の起立部BC711との間であって且つ取付体BC72と当接又は近接し得る位置に前記リベットBB32が位置付けられる。その結果、手動操作部BB34を傾倒させる操作力を付与した場合に、手動操作部BB34がベースBC71の起立部BC711に当接するとともに、取付体BC72がリベットBB32に当接し、手動操作部BB34の傾倒動作を禁止する。これにより、綴じ具BB3の綴込状態から開放状態への移行が禁止される。このように、ベースBC71の起立部BC711及び取付体BC72が本発明の「ストッパ部」として機能する。
一方、所定の操作具、例えばマイナスドライバの先端部を利用して取付体BC72をベースBC71から取り外し、次いでベースBC71を手動操作部BB34から取り外すことにより綴じ具BB3の綴込状態から開放状態へ移行させることができる。
このような態様のものであっても、操作具を有していない不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
〈第3実施形態〉
本実施形態に係るファイルD1は、図26〜図28(図26は本実施形態に係るファイルD1の要部拡大斜視図であり、図27は綴じ具D3及び作動制限部材D7の全体斜視図であり、図28は図23におけるx−x線断面を模式的に示す作用説明図である)に示すように、背表紙D21を介して連なる表表紙D22及び裏表紙D23を備えたファイル本体D2と、裏表紙D23の内面に装着された綴じ具D3とから構成したものである。
この綴じ具D3は、背表紙D21の長手方向に延びるとともに前記裏表紙D23の内面にリベットDLを介して取り付けられる基部D31と、この基部D31の背表紙D21寄りの端部にそれぞれ支持された一対の第1綴じ部材D32と、基部D31の背表紙D21と逆側の端部にそれぞれ支持され且つ前記第1綴じ部材D32と係合し得る一対の第2綴じ部材D33とで構成されている。なお、本実施形態では綴じ具D3を裏表紙D23に取り付けた態様を示しているが、斯かる綴じ具D3は背表紙D21や表表紙D22に取り付けて使用することができるのはいうまでもない。
基部D31は、カバー体D311と作動板D312とを具備するものである。
カバー体D311は、例えば薄肉のステンレス材からなり、下方(裏表紙D23側)へ開口した状態で裏表紙D23に取り付けられるものである。このカバー体D311の上壁D311aは、中央部が最大高さとなる湾曲形状をした細長い形状とし、長手方向両端部に、裏表紙D23に当接して取り付けられる取付面部D311bを形成している。この取付面部D311bの略中央部には、リベット穴を各々形成している。また、前記カバー体D311の上壁D311aの両側端部には、長手方向に亘って内側方に折り曲げられる一対の受リブD311cを形成している。さらに、前記カバー体D311の上壁D311aの一側端部には、第1綴じ部材D32を通過させるための一対の第1スロット孔D311eを所定距離離間させて形成し、また、一方の側端部には、前記第1スロット孔D311eに対応付けて第2綴じ部材D33を通過させるための一対の第2スロット孔D311fを形成している。前記第1スロット孔D311eは、前記カバー体D311の上壁D311aの中央部近傍から側端部に亘って細い長孔状に形成したものであり、一方の第2スロット孔D311fは、前記カバー体D311の上壁D311aの中央部近傍から受リブD311cを通過して形成したものであって、この第2スロット孔D311fの側端部は開放している。これにより、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33の回転角度を大きく確保し得るようになっている。
作動板D312は、図28に示すように、第1綴じ部材D32を支持する第1作動板D312aと、第2綴じ部材D33を支持する第2作動板D312bとによって構成されている。これら、第1作動板D312a及び第2作動板D312bは、ともに矩形状の細長い形状とし、前記カバー体D311よりも厚みのある金属板にて形成されている。
第1綴じ部材D32は、正面視略半円弧状をなし、先端部に外向き鈎状部D32aを設けたものであり、第2綴じ部材D33は、正面視略コ字状をなし、先端部に外向き鈎状部D32aに係合可能な内向き鈎状部D33aを設けたものである。第1綴じ部材D32及
び第2綴じ部材D33は、外向き鈎状部D32aと内向き鈎状部D33aとを相互に係合させることで閉ループ姿勢となり(図28(a)参照)、外向き鈎状部D32aと内向き鈎状部D33aとの係合を解除することで閉ループ姿勢から用紙類を挿脱可能な開放姿勢(図28(b)参照)へ姿勢変更する。
このような構成を有する綴じ具D3は、前記第1作動板D312aの内側縁に形成された小突片D312cが前記第2作動板D312bの内側縁の上面側に当接し得る状態で、第1作動板D312a及び第2作動板D312bの各内側縁同士を相互に突き合わせ可能に設定している。
そして、前記カバー体D311に形成されて内側方に折り曲げられた受リブD311cに保持されている第1作動板D312a及び第2作動板D312bは、この受リブD311cとカバー体D311の上壁311aとで挟み込まれることで、カバー体D311と一体的に基部D31を構成する。この際、カバー体D311と第1作動板D312a及び第2作動板D312bとの間に内部空間D3sが形成され、この内部空間D3sにおいて、第1作動板D312a及び第2作動板D312bは、その取り得る姿勢が規制されている。すなわち、第1綴じ部材D32及び内向き鈎状部D33aが外向き鈎状部D32aと第2綴じ部材D33と係合させた閉ループ姿勢にある場合、第1作動板D312a及び第2作動板D312bは、図28(a)に示すように、これら両作動板D312a、D312bの境界部分を境に若干下方に下がるように屈曲した谷形の姿勢(以下、「谷折り姿勢」と称す)となり、一方、第1綴じ部材D32及び内向き鈎状部D33aが外向き鈎状部D32aと内向き鈎状部D33aとの係合を解除した開放姿勢にある場合、第1作動板D312a及び第2作動板D312bは、図28(b)に示すように、これら両作動板D312a、D312bの境界部分を境に上方に屈曲して山形の姿勢(以下、「山折り姿勢」と称す)となる。このような第1作動板D312a及び第2作動板D312bの姿勢変更は、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33に対する外的な開放操作に伴って惹起されるが、この第1作動板D312a及び第2作動板D312bが直接カバー体D311に固定されているので、操作力がカバー体D311に直接的に伝達されることになる。そのため、カバー体D311の湾曲形状を形成している上壁D311aは、第1作動板D312a及び第2作動板D312bの姿勢変更時に押し広げられて僅かに外側方へ弾性変形することになり、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33が常時開放姿勢となる方向に作用力を蓄積して板バネとして機能することになる。
このような構成を有する綴じ具D3を、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33が基部D31と共に閉成さてなる閉ループ姿勢にある綴込状態から、この閉ループ姿勢を解除して第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33が開放姿勢にある開放状態とするには、第1綴じ部材D32の各外向き鈎状部D32aに、例えば親指と人差し指を跨ぐように掛け、両指を相互に接近させる方向に操作力を付与し、第1綴じ部材D32同士を相寄る内向き方向へ撓ませて、第1綴じ部材D32の外向き鈎状部D32aと第2綴じ部材D33の内向き鈎状部D33aとの係合状態を解除して行うようにしている。このようにすることで、カバー体D311に蓄積された作用力が第1作動板D312aと第2作動板D312bを谷折り姿勢から山折り姿勢へ姿勢変更させる力に変換され、それに伴って第1綴じ部材D32と第2綴じ部材D33とが自動的に回動して閉ループ姿勢から開放姿勢へと向かう。この際、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33は、各基端部D32b、D33bが第1スロット孔D311e又は第2スロット孔421eに近接する方向に移動しながら回動して開放姿勢へと向かう(図28参照)。
一方、綴じ具D3を開放状態から綴込状態に戻す場合は、前記カバー体D311に蓄積された作用力に抗して対応する位置にある第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33を相互に接近させる方向に指で摘むなどして回動させればよい。これにより、第1綴じ部材
D32及び第2綴じ部材D33が外向き鈎状部D32aと内向き鈎状部D33aとを相互に滑りながら係合させて閉ループ姿勢となり、綴じ具D3は綴込状態となる。また、外向き鈎状部D32aと内向き鈎状部D33aとの係合力が、カバー体D311の上壁D311aが板バネとして蓄積しているバネ力以上となるため、第1綴じ部材D32に対して閉ループ姿勢から開放姿勢へ姿勢変更するための前記操作力を付与しない限り、第1綴じ部材D32の外向き鈎状部D32aと第2綴じ部材D33の内向き鈎状部D33aとが係り合って形成する閉ループ姿勢が維持されて、不用意に閉ループ姿勢から開放姿勢へ姿勢変更しないようにしている。
このような構成を有する綴じ具D3において、前記第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33が本発明における「手動操作部」に相当し、前記作動板D312を構成する前記第1作動板D312a及び第2作動板D312bが、手動操作部たる前記第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33が操作を受けた際に作動するものであり、本発明における「作動部品」に相当する。
しかして本実施形態では、作動部品たる第1作動板D312a及び第2作動板D312bの動作、具体的には第1作動板D312a及び第2作動板D312bの谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更を制限する作動制限部材D7を綴じ具D3に装着可能としている。
作動制限部材D7は、雄ネジ部材を用いて形成され、綴じ具D3の構成部品であるカバー体D311に装着される本発明のベースとして機能する雄ネジ部D71と、この雄ネジ部D71に設けられ第1作動板D312a及び第2作動板D312bの動作を規制するストッパ部として機能する先端部D72とを具備する。なお、綴じ具D3のカバー体D311に、作動制限部材D7を装着するための雌ねじ孔D3xを形成している。また、作動制限部材D7は、プラスネジ等の工具又は専用の操作具が嵌入可能なネジ頭部D73Dを具備する。
このような作動制限部材D7を、綴じ具D3に装着するには、カバー体D311の雌ねじ孔D3xに雄ネジ部D71を螺合させながらカバー体D311内部に挿入することにより行う。そして、作動制限部材D7の先端部D72を前記第1作動板D312a及び第2作動板D312bに当接させることによって、これら第1作動板D312a及び第2作動板D312bの谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更が規制される。すなわち、この作動制限部材D7の先端部D72を前記第1作動板D312a及び第2作動板D312bに当接させた状態では、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33を閉ループ姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる前記操作力を加えた場合であっても、前記第1作動板D312a及び第2作動板D312bが作動制限部材D7の先端部D72に当接し、谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更が規制されているため、綴じ具D3が綴込状態から用紙類を挿脱可能な開放状態に移行し得ない。
一方、この作動制限部材D7を綴じ具D3から取り外して、再度用紙類の挿脱を行えるようにするには、前記装着状態において、操作具たるプラスドライバ等の工具又は専用の操作具を作動制限部材D7のネジ頭部D73に嵌入して作動制限部材D7を緩めることにより行う。このように、作動制限部材D7のネジ頭部D73が、作動作動制限部材D7の装着状態を解除する装着状態解除手段として機能する。なお、本実施形態に係る作動制限部材D7は、その先端部D72を、第1作動板D312a及び第2作動板D312bの谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更中に前記第1作動板D312a及び第2作動板D312bと干渉し得ない位置にさえ移動させれば、第1作動板D312a及び第2作動板D312bの谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更が可能となり、綴じ具D3を綴込状態から開放状態に移行させることができる。
このように、本実施形態に係るファイルD1では、作動制限部材D7の先端部D72を前記第1作動板D312a及び第2作動板D312bに当接させることによって作動部品たる第1作動板D312a及び第2作動板D312bの谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更を規制するため、綴じ具D3を綴込状態から開放状態へ移行させることができず、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
また、綴じ具3に作動制限部材D7を装着するための装着部たる雌ねじ孔D3xを形成しているため、この雌ねじ孔D3xを利用して作動制限部材D7を綴じ具3に簡単且つ的確に装着することができる。
加えて、作動制限部材D7として機能する作動制限部材D7を汎用の雄ネジ部材を用いて構成することもでき、専用の作動制限部材D7を用いる態様と比較して、構造の簡素化及びコストの削減を図ることができる。
また、装着状態解除手段として機能するネジ頭部D73が、プラスドライバ等の工具や専用の操作具のみによってのみが挿入可能なものであるため、このような工具や操作具を持ち合わせていない閲覧者により作動制限部材D7が綴じ具から取り外されることがなく、閲覧に供するものとしてより適したものとなる。
なお、作動制限部材として、以下の変形例に係る作動制限部材E7を適用してもよい。なお、同変形例に係る綴じ具D3は、前記実施形態に係る綴じ具D3を適用しており、詳細な説明は省略する。また、特に断りがない限り前記実施形態における綴じ具D3の各構成部材にそれぞれ対応する構成部材には同一の符号を付している。
このような構成を有する綴じ具D3において、前記第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33が本発明における「手動操作部」に相当する。また、前記作動板D312を構成する前記第1作動板D312a及び第2作動板D312bが、手動操作部たる前記第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33が操作を受けた際に作動するものであり、本発明における「作動部品」に相当し、前記カバー体D311に形成した第1スロット孔D311e及び第2スロット孔D311fが、手動操作部たる第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33に前記操作力が加えられることによっても作動しないものであり、本発明における「静止部材」に相当する。
〈変形例〉
本変形例に係る作動制限部材E7は、図29〜図31(図29は作動制限部材E7を装着した綴じ具D3の全体斜視図であり、図30は綴じ具D3及び作動制限部材E7の全体斜視図であり、図31は図29におけるx−x線断面を模式的に示す作用説明図である)に示すように、第2実施形態に係る作動制限部材D7と比較して、作動部品たる第1作動板D312a及び第2作動板D312bの谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更を規制する点では同様であるが、第1作動板D312a及び第2作動板D312bの姿勢変更を間接的に規制している点で異なり、具体的な形状も異なる。
本実施形態に係る作動制限部材E7は、閉ループ姿勢にある第1綴じ部材D32と第1スロット孔D311eの開口縁部のうち第2スロット孔D311f側の開口縁部D311xとの間隙に嵌り込み得る嵌入部E71と、閉ループ姿勢にある第2綴じ部材D33と第2スロット孔D311fの開口縁部のうち第1スロット孔D311e側の開口縁部D311yとの間隙に圧入され作動制限部材E7を綴じ具D3に固定し得るロック部E72と、嵌入部E71とロック部E72とを接続する接続部E73とを具備してなり、本実施形態
ではこれら各部E71、E72、E73を合成樹脂素材により一体に形成している。
接続部E73は、嵌入部E71及びロック部E72の基端部同士を接続するものであり、装着状態において下面部E731がカバー体D311の上壁D311aに添接し得るようにしている。この下面部E731のうち、ロック部E72側の部位に他の部位より上方に窪ませてなる窪み部E74を形成している。この窪み部E74は、例えばマイナスドライバ等の工具又は専用の操作具が挿入可能な形状をなしている。
嵌入部E71は、接続部E73の一端部から斜め下方に向かって延び、第1綴じ部材D32の内面形状に添い得る形状をなしている。
ロック部E72は、接続部E73の他端部から嵌入部E71に向かって斜め下方に延び、先端部を弾性変形させることにより第2綴じ部材D33と第2スロット孔D311fの開口縁部のうち第1スロット孔D311e側の開口縁部D311yとの間隙に圧入し得るように設定している。挿入部E71及びロック部E72は各先端部が相寄る方向に延びている。
このような作動制限部材E7を綴込状態にある綴じ具D3に装着するには、カバー体D311の上方から嵌入部E71を第1スロット孔D311eに挿入して引っ掛けた後に、ロック部E72を第2スロット孔D311fに挿入することにより行う。具体的には、先ず、嵌入部E71の先端部を、閉ループ姿勢にある第1綴じ部材D32の内面側に添わせながら該第1綴じ部材D32と第1スロット孔D311eの開口縁部のうち第2スロット孔D311f側の開口縁部D311xとの間隙に挿入する。次いで嵌入部E71と該開口縁部D311xとの当接部位を中心に接続部E73の下面部E731がカバー体D311の上壁D311aに添接し得る方向に作動制限部材E7全体を回動して、最後にロック部E72を閉ループ姿勢にある第2綴じ部材D33と第2スロット孔D311fの開口縁部のうち第1スロット孔D311e側の開口縁部D311yとの間隙に弾性変形させながら圧入して嵌め込む。これにより、作動制限部材E7が綴じ具D3から不意に外れることを防止することができる。この装着状態において、嵌入部E71が、第1綴じ部材D32と第1スロット孔D311eの開口縁部のうち第2スロット孔D311f側の開口縁部D311xとの間隙に嵌り込んでいるため、綴じ具D3を綴込状態から開放状態にする操作力、すなわち、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33を閉ループ姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる前記操作力を付与した場合であっても、作動制限部材E7の嵌入部E71によって、第1作動板D312a及び第2作動板D312bの前記谷折り姿勢から前記山折り姿勢への姿勢変更に伴う第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33の回動動作、具体的には、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33の各基端部D32b、D33bが第1スロット孔D311e又は第2スロット孔D311fに近接する方向に移動する動作が規制され、その結果、第1作動板D312a及び第2作動板D312bの前記谷折り姿勢から前記山折り姿勢への姿勢変更が規制される。すなわち、作動制限部材E7を綴じ具D3に装着した状態において、この作動制限部材E7によって第1作動板D312a及び第2作動板D312bの前記谷折り姿勢から前記山折り姿勢への姿勢変更を間接的に規制している。しかも、本実施形態では、ロック部E72も、第2綴じ部材D33と第2スロット孔D311fの開口縁部のうち第1スロット孔D311e側の開口縁部D311yとの間隙に嵌り込んでいるため、第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33の各基端部D32b、D33bが第1スロット孔D311e又は第2スロット孔D311fに近接する方向に移動する動作をより確実に規制し、第1作動板D312a及び第2作動板D312bの前記谷折り姿勢から前記山折り姿勢への姿勢変更をより確実に規制することができる。このように、作動制限部材E7を綴じ具D3に装着した状態では、綴込状態にある綴じ具D3の開放状態への移行が規制され、用紙類の挿脱を行うことができない。
一方、この作動制限部材E7を綴じ具D3から取り外して、再度用紙類の挿脱を行えるようにするには、前記装着状態において、作動制限部材E7の接続部E73に形成した窪み部E74に、マイナスドライバ等の工具又は専用の操作具を挿入し、ロック部E72を第2スロット孔D311fから抜き出す方向に操作力を付与することにより行う。その結果、ロック部E72の第2スロット孔D311fに対する圧入状態が解除され、ロック部E72が第2スロット孔D311fから外れ、次いで接続部E73をカバー体D311から離れる方向に持ち上げるとともに、嵌入部E71を第1スロット孔D311eから取り出すことによって作動制限部材E7を綴じ具D3から取り外すことができる。このように、接続部E73に形成した窪み部E74が、作動制限部材E7の装着状態を解除する装着状態解除手段として機能する。
このように、本実施形態に係るファイルD1は、作動制限部材E7を綴じ具D3に装着することにより、手動操作部たる第1綴じ部材D32及び第2綴じ部材D33が操作を受けた際に作動する第1作動板D312a及び第2作動板D312bの動作(谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更)を間接的に規制するため、綴じ具D3を綴込状態から開放状態へ移行させることができず、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者により用紙類が取り外されるという不具合を起こり難くできる。
また、カバー体D311に形成した第1スロット孔D311e及び第2スロット孔D311fが、作動制限部材E7を装着するための「装着部」として機能するため、これら第1スロット孔D311e及び第2スロット孔D311fを利用して作動制限部材E7を綴じ具D33に的確に装着することができる。
加えて、作動制限部材E7が、第1綴じ部材D32と第1スロット孔D311eの開口縁部のうち第2スロット孔D311f側の開口縁部D311xとの間隙に嵌入可能な嵌入部E71を備えたものであるため、この嵌入部E71によって第1作動板D312a及び第2作動板D312bの動作(谷折り姿勢から山折り姿勢への姿勢変更)を確実に止めることができるとともに、ロック部E72も第1作動板D312a及び第2作動板D312bの動作規制に寄与しているため、より良好な綴込状態維持を図ることができる。また、これら嵌入部E71、ロック部E72を接続部E73を介して一体に形成しているため、作動制限部材E7の構造簡素化及びコスト削減に資する。
しかも、装着状態解除手段(挿入部)として機能する窪み部E74が、マイナスドライバ等の工具又は専用の操作具のみが挿入可能なものであるため、このような工具又は操作具を持ち合わせていない閲覧者により作動制限部材E7が綴じ具D3から取り外されることがなく、閲覧に供するものとしてより適したものとなる。
なお、本変形例に係る作動制限部材E7の替わりに、閉ループ姿勢を取る第1綴じ部材と第1スロット孔との間に嵌入可能な嵌入部のみからなる作動制限部材を適用してもよい。このような作動制限部材であっても嵌入部を第1綴じ部材と第1スロット孔との間に嵌入することにより作動部品たる各作動板の動作(谷折姿勢から山折り姿勢への姿勢変更)を規制することができる。また、この嵌入部が、閉ループ姿勢を取る第2綴じ部材と第2スロット孔との間にも嵌入可能なものであれば、この嵌入部を第2綴じ部材と第2スロット孔との間にも嵌入させりることにより、作動板の動作をより確実に規制することができる。また、上述した作動制限部材E7の複数を適宜の連結部材を介して連結してなる作動制限部材とし、当該作動制限部材の各嵌入部を、綴じ具に形成された第1スロットの全て又は任意の複数に嵌入することにより、作動板の動作を規制するようにしても構わない。
〈第4実施形態〉
本実施形態に係るファイルF1は、図32に示すように、ファイル本体F2と、このフ
ァイル本体F2に設けた綴じ具F3とを備えたものである。
ファイル本体F2は、表表紙F21と、表表紙F21の一端を折り込んで設けた細長い板状をなす押さえ板部F22と、この押さえ板部F22からさらに表表紙F21と反対側に折り込んで設けた背表紙F23と、表表紙F21とは分離した裏表紙F24と、裏表紙F24の一端を折り込んで設けた細長い板状をなす基板部F25と、基端部を基板部F25に係止可能な綴じ足F26とを備えたものである。
綴じ具F3は、図33及び図34(図33は綴じ具F3の斜視図であり、図34は綴じ具F3の平面図である)等に示すように、押さえ板部F22に取り付けられるベースF31と、このベースF31に設けた1対のスライダF32とを具備し、綴じ足F26を係止し得るように構成した周知のものである。各スライダF32は、一端部に設けた開放つまみF321と、他端部に設けた閉止つまみF322と、これら開放つまみF321と閉止つまみF322とを連結する連結板F323とを一体に有するものである。開放つまみF321の下端部の両端には爪(図示略)を設けてあり、この爪をベースF31と抱き合わせるように係り合わせている。また、前記閉止つまみF322は相手方の連結板F323を片側から抱くような形状を有し、その外側の縁部に爪(図示略)を用いて係り合わせるようにしている。そして、各スライダF32を、その連結板F323の内縁同士が密接に擦れ合うように隣接させて、各つまみF321、F322を対応するベースF31に係り合わせ、ベースF31の長手方向に沿って相対移動可能かつ分離し得ないように組みつけている。そして、ベースF31に、前記押さえ板部F22に形成した図示しない綴じ足挿通孔に連通し得る綴じ足挿通孔F31aを設け、綴じ足挿通孔F31aに挿通した後に折り曲げた綴じ足F26を溝F31bに収納し得るようにしてある。
そして、この綴じ具F3は、各開放つまみF321を相互に相寄る方向に引き寄せることによって綴じ足F26を開放し得る開放状態(図34(a)参照)をとることができるとともに、各閉止つまみF322を相互に相寄る方向に引き寄せることによって綴じ足挿通孔F31aに挿通した綴じ足F26を各スライダF32により折り曲げた状態で固定し得る綴込状態(同図(b)参照)をとることができる。すなわち、この綴じ具F3は、開放状態と綴込状態とを選択的にとり得る。本実施形態では、各開放つまみF321が本発明の「手動操作部」として機能する。なお、前記図34において、綴じ足F26は想像線で示している。
しかして、本実施形態では、図33、及び図35に示すように、綴込状態にある前記綴じ具F3の一方のスライダF32の開放つまみF321と、他方のスライダF32の閉止つまみF322との間に、作動制限部材F7を取り付け、各スライダF32の相対移動を規制できるようにしている。なお、図35は綴じ具F3に作動制限部材F7を取り付けた状態を示す斜視図である。
作動制限部材F7は、図33、図35及び図36(同図(a)、(b)、(c)、及び(d)は、それぞれ作動制限部材F7の平面図、正面図、底面図、及び側面図であり、同図(e)は(a)におけるx−x断面図である)等に示すように、例えば合成樹脂素材からなり、綴じ具F3に取り付けた状態において綴じ具F3のベースF31の上面部側に位置付けられるベースF71と、このベースF71の長手方向に沿った各側縁部から垂下した一対の垂下片F72に設けられ且つ綴じ具F3のベースF31の下面に係合可能な係合突起部F73とを具備したものである。ベースF71は、綴込状態にある綴じ具F3の一方のスライダF32の開放つまみF321と他方のスライダF32の閉止つまみF322との離間寸法と略同一又は若干小さい長手寸法を有し、その短手寸法(長手方向に直交する方向)を綴じ具F3の短手寸法より若干大きく設定した概略矩形薄板状のものである。各係合突起部F73は、各垂下片F72の内面部から相互に相寄る方向に突出し、垂下片
F72と共に弾性変形し得るものである。本実施形態ではこれらベースF71、垂下片F72及び係合突起部F73を一体に形成している。さらに本実施形態では、一方の垂下片F72に、この作動制限部材F7を綴じ具F3に装着した状態において前記ベースF71下方の空間に連通する挿入部F72aを形成している。この挿入部F72aは、少なくとも先端部が棒状又は尖状をなす操作具が挿入可能な形状をなすものである。
次に、このような作動制限部材F7を綴じ具F3に装着する方法及び作用を説明する。
作動制限部材F7を綴じ具F3に装着するには、まず、図33に示すように、前記綴じ具F3の上方に作動制限部材F76を位置付け、それから綴じ具F3の下面に前記係合突起部F73を係合させることにより行う。具体的には、綴じ具F3の短手方向を係合突起部F73間の離間寸法よりも大きく設定していて、作動制限部材F7を上方から押圧することにより係合突起部F73を垂下片F72と共に弾性変形させつつ下方に移動させ、係合突起部F73の全体が綴じ具F3の下面より下方に達した時点で係合突起部F73が弾性復帰して綴じ具F3の下面に係合する。なお、本実施形態では、図36(d)、(e)に示すように、一方の垂下片F72に設けた係合突起部F73が断面視略四角状をなし、他方の垂下片F72に設けた係合突起部F73が断面視略部分円弧状をなしており、綴じ具F3に装着する際に、先ず断面視略四角状の係合突起部F73を綴じ具F3の下面に係合させ、この係合箇所を支点として作動制限部材F7を回動させることにより、断面視略部分円弧状の係合突起部F73を弾性変形させながら綴じ具F3の下面に係合させようにしている。以上の手順により、作動制限部材F7を綴じ具F3の一方のスライダF32の開放つまみF321と他方のスライダF32の閉止つまみF322との間に抜落不能に装着し、この装着状態において、作動制限部材F7の長手方向両端部が一方のスライダF32の開放つまみF321及び他方のスライダF32の閉止つまみF322にそれぞれ当接又は近接し、綴じ具F3の両開放つまみF321、F321の相寄る方向への移動を規制するようにしている。このように、作動制限部材F7の長手方向両端部が、本発明の「ストッパ部」として機能する。なお、作動制限部材F7を綴じ具F3の一方のスライダF32の閉止つまみF322と他方のスライダF32の開放つまみF321との間に抜落不能に装着してもよく、或いは、一対の作動制限部材F7を用いて、一方の作動制限部材F7を一方のスライダF32の開放つまみF321と他方のスライダF32の閉止つまみF322との間に抜落不能に装着するとともに、他方の作動制限部材F7を一方のスライダF32の閉止つまみF322と他方のスライダF32の開放つまみF321との間に抜落不能に装着するようにしてもよい。
そして、このような作動制限部材F7を綴じ具F3に装着した状態において、ベースF71下方の空間に連通する挿入部F72aに、マイナスドライバ等の操作具の先端部を挿入して上方に引き上げると、前記作動制限部材F7が綴じ具F3から離間する方向、すなわち上方に引き上げられ、係合突起部F73bが弾性変形して綴じ具F3の下面との係合状態が解除される。このように、操作具を介して作動制限部材F7を取り外すことができ、その結果、綴込状態にある綴じ具F3を開放状態に移行することが可能となり、用紙類の挿脱を行うことができる。
このように、本実施形態に係るファイルF1では、綴じ具F3に上述したような挿入部F72aを有する作動制限部材F7を取り付けるようにしているので、この作動制限部材F7を取り付けた状態では、前記挿入部F72aに先端部が棒状又は尖状をなす操作具、具体的には針金等を挿入部F72aに挿通させてはじめて作動制限部材F7を取り外して両開放つまみF321、F321の相寄る方向へ移動させる操作を行うことができる。従って、このようにファイルF1に作動制限部材F7を取り付けることによって、手動操作部たる各開放つまみF321を相寄る方向にスライド移動させる操作により綴じ具F3を綴込状態から開放状態に移行可能な一般的な構成と比較して、上述したような操作具を持
ち合わせていない不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
〈変形例〉
さらに、図37に示すように、ベースFA31と、このベースFA31に取り付けた手動操作部たる一対の操作つまみFA32とを具備し、各操作つまみFA32を相寄る方向へ移動させて図示しない綴じ足を開放し得る開放状態と、各操作つまみFA32を互いに離間する方向に移動させてベースFA31に設けた図示しない綴じ足挿通孔に挿通した綴じ足を各操作つまみFA32により折り曲げた状態で固定し得る綴込状態との間で移行し得る綴じ具FA3に、上述した作動制限部材F7と略同様の構成を有する作動制限部材FA7を取り付けるようにしてもよい。この作動制限部材FA7は、綴じ具FA3のベースFA31の上面部側に位置付けられるベースFA71と、このベースFA71の長手方向に沿った各側縁部から垂下した一対の垂下片FA72に設けられ且つ綴じ具FA3のベースFA31の下面に係合可能な図示しない係合突起部とを具備したものである。
しかして、綴込状態にある綴じ具FA3の各操作つまみFA32間に作動制限部材FA7を取り付ければ、この取付状態において、作動制限部材FA7の長手方向両端部が各操作つまみFA32にそれぞれ当接又は近接し、各操作つまみFA32の相寄る方向への移動を規制され、綴じ具FA3の綴込状態から開放状態への移行が禁止される。このように、作動制限部材FA7の長手方向両端部が、本発明の「ストッパ部」として機能する。また、この作動制限部材FA7の取り外しを、挿入部FA72aに操作具の先端を挿入してこの作動制限部材FA7と綴じ具FA3のベースFA31との間の空間に導入し、作動制限部材FA7を押し上げて作動制限部材FA7を取り外すことにより、操作つまみ各X201を相寄る方向に移動させて綴じ具FA3を綴込状態から開放状態へ移行させることができる。
このようなものであっても、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
加えて、作動制限部材F7、FA7の挿入部F72a、FA72aに、操作具が挿入された痕跡を残し得る残跡部を設けてもよい。具体的には、操作具挿入部XF72a、FA72aに開口を被覆する薄膜部を形成した態様等や、前記第3実施形態及びその変形例にて例示した痕跡部の態様を採用すればよい。
〈第5実施形態〉
本実施形態に係るファイルは、図38及び図39に斜視図を示すような綴じ具G3に、作動制限部材G7を取り付け可能に構成したものである。なお、綴じ具G3は図示しないファイル本体に設けたものである。前記図38は前記綴じ具G3に対する作動制限部材G7の取付態様を示す分解斜視図であり、図39は綴じ具G3に作動制限部材G7を取り付けた状態を示す図である。
本実施態様における綴じ具G3は、図38等に示すように、板状をなすベースG31と、用紙類を綴じ込む環状体を構成するものでありこのベースG31から起立する第1及び第2のリング片G32、G33と、これら両リング片G32、G33の先端部の間を開閉可能とする開閉機構G34とを具備し、両リング片G32、G33の先端部間を閉止させた綴込状態と、両リング片G32、G33の先端部間を離間させた開放状態との間で移行するものである。前記第1のリング片G32の基端部間は、本実施形態では接続部G35を介して接続している。なお、以下において、「上方」とはベースG31から板面に垂直かつ前記リング片G32、G33が設けられている側の方向を指す。
前記開閉機構G34は、前記接続部G35の基端部を回動可能に支持する支持部G34
1と、接続部G35の長手方向中央部に配した弾性受部G342と、この弾性受部G342に弾性力を作用させる弾性片G343と、ベースG31の巾方向中央部から切り起こして設けた起立板G311に枢着している手動操作部たる操作レバー部G344とを備えている。
前記支持部G341及び前記弾性片G343は、本実施形態ではベースG31から切り起こして設けている。また、前記ベースG31のうち、前記弾性片G343の先端及び側縁に対向する部位には溝G31aを設けている。そして、このベースG31とこのベースG31を取り付ける対象である図示しないファイル本体との間に空間G31sを形成可能にしている。
前記操作レバー部G344は、前記起立板G311に枢着している基端部G3441と、この基端部G3441から前記弾性片G343に向けて垂下して設けられる垂下部G3442と、この垂下部G3442から側方に突出して設けられ前記弾性片G343をこの綴じ具G3を設けるファイル本体側に向けて押圧可能な押圧部G3443と、前記垂下部G3442の先端から延伸して設けた棒状部G3444と、この棒状部G3444の先端に設けられ操作力を直接受け付けるつまみ部G3445とを有する。また、前記起立板G311には、この操作レバー部G344に当接しそれ以上の上動を規制する規制突起部G3111を設けている。
そして、前記支持部G341を中心に前記接続部G35及び前記第1のリング片G32、G32が一体的に回動し、前記弾性受部G342が前記弾性片G343より離間すると両リング片G32、G33の先端部G32a、G33aの間が開かれた開放状態となるようにしているとともに、前記接続部G35及び前記第1のリング片G32、G32を逆に回転させることにより、両リング片G32、G33の先端部G32a、G33aの間が閉じられる綴込状態となるように構成している。また、前記弾性片G343により、前記第1のリング片G32、G32と前記第2のリング片G33、G33とが離間する方向にプリロードを加えてあるとともに、手動操作部たる操作レバー部G344を押し下げることにより、この操作レバー部G344の押圧部G3443と前記弾性片G343との間で前記弾性受部G342を挟持し、両リング片G32、G33の先端部G32a、G33aの間が閉じられた綴込状態に保持できるようにしている。
一方、前記作動制限部材G7は、前記図38に示すように、前記ベースG31から起立させて取り付ける作動制限部材本体たる第1要素G71と、この第1要素G71の上方に配され且つベースG31に対する第1要素G71の抜け止めを行うキャップ体たる第2要素G72とを有する。
第1要素G71は、前記図38〜図40(図40(a)は第1要素G71の平面図であり、(b)は同正面図であり、(c)は同側面図であり、(d)は同背面図である)に示すように、前記起立板G311に対向する対向面G711aを有するベースG711と、ベースG711から上方に突出して設けられ前記第2要素G72に設けた後述する係合孔G72xに係合可能な係合爪たる抜け止め爪G712と、ベースG711から下方に突出して設けられ前記綴じ具G3に取り付けられた状態で前記ベースG31下方の前記空間G31sに配する舌部G713とを少なくとも有する。前記ベースG711の対向面G711aには、前記操作レバー部G344の押圧部G3443と凹凸係合可能な移動規制部G711xと、前記対向面G711aに設けられ前記規制突起部G3111を収納可能な収納係合部G711yと、前記操作レバー部G344の垂下部G3442を収納可能な垂下部収納溝G711zとを設けている。一方、前記ベースG711の前記起立板G311に背向する面には、第2要素G72の後述する係合凹部たる切り欠き部G72zと係合可能な係合凸部G711bを設けている。そして、前記ベースG711の外部形状は、前記第2要素G72の内面に略密接可能に構成している。
第2要素G72は、前記図38、図39及び図41(図41(a)は第2要素G72の平面図であり、(b)は同正面図であり、(c)は同側面図であり、(d)は同背面図である)に示すように、内部に前記第1要素G71を収納可能な空間G72sを有するとともに、前記第1要素G71の抜け止め爪G712に係合する係合孔G72x、操作具を挿入可能な挿入部G72y、前記第1要素の係合凸部G711bと係合可能な切り欠き部G72z、及び前記操作レバー部G344が挿通可能なレバー挿通孔G72aを設けている。また、前記挿入部G72yは、本実施形態では薄肉部として形成していて、操作具を受け付けると操作具を受け付けた部位に孔が形成され、過去に操作具を受け付けたことが示されるようにしている。すなわち、前記挿入部G72yの全体を、操作具が挿入された痕跡を残し得る「残跡部」として機能するようにしている。
そして、この作動制限部材G7の前記綴じ具G3への取り付けは次のような手順で行う。すなわち、綴込状態にした前記綴じ具G3の起立板G311に、まず第1要素G71の対向面G711aを対向させ、前記舌部G713を前記ベースG31と前記弾性片G343との間に挿入し、前記押圧部G3443と前記移動規制部G711xとを凹凸係合させる。その際、前記規制突起部G3111が収納係合部G711yに収納される。次いで、この第1要素G71のベースG711を第2要素G72により被覆し、前記抜け止め爪G712と前記係合孔G72xとを弾性係合させる。
すなわち、作動制限部材G7を綴じ具G3に取り付けると、図42(同図は図40のy−y断面に相当する部位を示す図である)に示すように、前記操作レバー部G344の押圧部G3443と前記移動規制部G711xとが凹凸係合しているとともに、前記操作レバー部G344の垂下部G3442は、垂下部収納溝G711zに収納されている。さらに、綴じ具G3のベースG31は、前記第1要素G71のベースG711と舌部G713とにより挟持されている。そして、図42には示していないが、前記規制突起部G3111は前記収納係合部G711yに収納された状態で凹凸係合している。なお、図42において、前記第1要素の舌部G713、及び綴じ具G3を想像線により示している。
この状態で前記操作レバー部G344に操作を加えると、その縁部が垂下部収納溝G711zの縁部に当接するので、この操作レバー部G344の移動が規制される。また、押圧部G3443と前記移動規制部G711xとが凹凸係合しているとともに、前記規制突起部G3111が前記収納係合部G711yに収納された状態で凹凸係合し、さらに、ベースG31が第1要素G71のベースG711と舌部G713とにより挟持されていているので、前記操作レバー部G344からの作用を受けることによるこの作動制限部材G7の上動も規制され、すなわちこれ以上の操作レバー部G344の操作も規制される。その結果、綴じ具G3の綴込状態から開放状態への移行が禁止される。このように、主として、移動規制部G711x、前記収納係合部G711y、垂下部収納溝G711zが本発明の「ストッパ部」として機能する。
一方、前記挿入部G72yを操作具の先端部により破断し、操作具の先端部を抜け止め爪G712に当接させてこの抜け止め爪G712と前記係合孔G72xとの係合状態を解除し、前記第2要素G72を第1要素G71から取り外し、続いて第1要素G71を綴じ具3から取り外すことにより操作レバー部G344による操作が可能となる。
従って、このような態様においても、このような態様においても、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
また、前記作動制限部材G7に代えて、以下に示すような作動制限部材GA7を前記綴じ具G3に取り付ける態様も考えられる。この態様について、図43及び図44を参照しながら説明する。また、特に断りがない限り前記実施形態における綴じ具G3の各構成部材にそれぞれ対応する構成部材には同一の符号を付している。
〈変形例〉
変形例に係る作動制限部材GA7は、図43及び図44に示すように、前記綴じ具G3の起立板G311に装着させてなる作動制限部材本体GA71と、この作動制限部材本体GA71の一部を被覆した状態でこの作動制限部材本体GA71に取り付けられこの作動制限部材本体GA71の抜け止めを行うキャップ体GA72とを有する。
作動制限部材本体GA71は、図43及び図45(図45(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は、それぞれキャップ体GA72の平面図、側面図、正面図、背面図、(d)のx−x線断面図である)に示すように、綴じ具G3の起立板G311に対向する対向面GA711aを有する起立板部GA711と、起立板部GA711から下方に突出して設けられ前記綴じ具G3に取り付けられた状態で前記ベースG31下方の前記空間G31sに位置付けられる舌部GA713とを少なくとも有する例えば合成樹脂製の一体成型品である。起立板部GA711の対向面GA711aには、前記操作レバー部G344の押圧部G3443を収容し且つこの押圧部G3443と係合し得るストッパ部たる移動規制部GA711xと、綴じ具G3の起立板G311に突出端が当接可能なリブGA711yと、キャップ体GA72に設けた後述する係合爪GA721と係合可能な係合孔GA711zとを設けている。また、この起立板部GA711に、キャップ体GA72に設けた後述する係合凹部たる切り欠き部GA72zと係合し位置決め部として機能する係合凸部たる位置決め凸部GA711bを設けている。本実施形態では、位置決め部凸部GA711bを複数の段部から構成している。そして、起立板部GA711のうち位置決め凸部GA711bを除く部分の外部形状は、キャップ体GA72の内面に略密接可能に構成している。
キャップ体GA72は、図43及び図46(図46(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は、それぞれキャップ体GA72の平面図、側面図、正面図、背面図、(d)のx−x線断面図である)に示すように、下方に開口し作動制限部材本体GA71を収納し得る内部空間GA72sを有する略直方体状の部材であり、作動制限部材本体GA71の位置決め凸部GA711bに係合可能な切り欠き部GA72zを有する前枠GA72aと、この前枠GA72aと反対側の面を形成する背枠G72bと、これら前枠GA72a及び背枠G72bの両側縁を接続する側枠GA72cと、これら前枠GA72a、背枠G72b、及び側枠GA72cの上端を接続する上枠GA72dとを具備する例えば合成樹脂製の一体成型品である。前枠GA72aには、作動制限部材本体GA71の係合凹部GA711zに弾性係合する係合爪GA721を設けている。また、対をなす側枠GA72cのうち一方の側枠GA72cには、綴じ具H3の操作レバー部G344が挿通可能なレバー挿通孔GA72xを設けている。そして、切り欠き部GA72zと位置決め凸部GA711bとを凹凸係合させた状態で、位置決め凸部GA711bの外面とこのキャップ体GA72の前枠GA72aの外面とが略面一となるようにしている。また、このキャップ体GA72を作動制限部材本体GA71に取り付けた状態において、作動制限部材GA7が綴じ具G3の起立板G311を被覆するようにしている。
さらに本実施形態では、作動制限部材本体GA71に、綴じ具G3に対する作動制限部材GA7の装着状態を解除するための操作具が挿入可能な挿入部GA711cを設けている。具体的には、作動制限部材本体GA71に形成した係合孔GA711zに挿入部GA711cを設けている。この挿入部GA711cは、薄肉の残跡部GA711dと、正面視略十字状のスリットGA711sとを備えている。残跡部GA711dは、操作具が挿入された際に操作具が挿入された痕跡を残し得るものであり、スリットGA711sは残跡部GA711dの変形又は破断を促すためのものである。本実施形態では、スリットの横断寸法は、マイナスドライバの先端部の厚み寸法、或いは針金を細長い渦巻き上に曲げたクリップ等の厚み寸法よりも小さく(例えば0.5mm)設定している。また、残跡部GA711dを切り板部GA711の他の部位の前面よりも奥方に位置付けることにより、挿入部GA711c全体を起立板部GA711の他の部分よりも窪ませている。そして、キャップ体GA72を作動制限部材本体GA71に取り付けた状態において、キャップ体GA72の係合爪GA721が残跡部GA711dの奥方に位置付けられる。その結果、挿入部GA711cにより係合爪GA721と係合孔GA711zとの係合部位を外部から視認不能な状態となる。
このような作動制限部材GA7の綴じ具G3への取り付けは次のような手順で行う。先ず、綴込状態にした綴じ具G3の起立板G311に、作動制限部材本体GA71の対向面GA711aを対向させ、前記舌部GA713を綴じ具G3のベースG31と前記弾性片G343との間に挿入し、操作レバー部G344の押圧部G3443を前記移動規制部GA711x内に収容する。この時点では、押圧部G3443が移動規制部GA711xに当接又は近接しているため、作動制限部材本体GA71が綴じ具G3のベースG31の長手方向に沿った方向(側方)及び上方へ移動することが規制される一方、綴じ具G3のベースG31の短手方向に沿った一方向(図43における左斜め下方向)への移動は規制されていない。そこで、引き続き、キャップ体GA72を作動制限部材本体GA71の上方から、作動制限部材本体GA71の位置決め凸部GA711bと切り欠き部GA72zとを凹凸係合させるように取り付けると、この取付作業に伴ってキャップ体GA72の係合爪GA721が係合孔GA711zに弾性係合するとともに、キャップ体GA72と作動制限部材本体GA71とで綴じ具G3の起立板311を挟み込んだ状態となり、その結果、作動制限部材本体GA71が綴じ具G3のベースG31の短手方向に沿った一方向(図43における左斜め下方向)へ移動することも規制される。
以上の手順により、作動制限部材GA7を綴じ具G3に取り付けた状態において、図46(c)のx−x線断面に相当する部位を示す図である図47(なお、図47では、作動制限部材本体GA71の舌部GA713及び綴じ具G3を想像線で示している)に示すように、前記操作レバー部G344の押圧部G3443と前記移動規制部GA711xとが凹凸係合している。そのため、この取付状態で操作レバー部G344に操作を加えた場合、操作レバー部G344の押圧部G3443が移動規制部GA711xの開口縁に当接するため、この操作レバー部G344の移動が規制される。また、綴じ具G3のベースG31が作動制限部材本体GA71の起立板部GA711と舌部GA713とにより挟持されていているので、操作レバー部G344からの作用を受けることによるこの作動制限部材GA7の上動も規制される。このように操作レバー部G344の操作が規制され、その結果、綴じ具G3の綴込状態から開放状態への移行が禁止される。
そして、本変形例においても、操作具を用いて作動制限部材GA7を外さない限り、操作レバー部G344に対して操作を行って綴じ具G3を開放状態とすることができない。具体的には、前記挿入部GA711cの残跡部GA711dを操作具の先端部で押圧することにより、残跡部GA711dが変形又は破断し、さらに操作具を挿入部GA711c内に挿入すると、当該操作具の先端部が係合爪GA721に当接し、この係合爪GA721を押圧することにより係合爪GA721と係合凹部GA711zとの係合状態が解除され、キャップ体GA72を上方に引き抜いて作動制限部材本体GA71から取り外し、引き続き、作動制限部材本体GA71を綴じ具G3から取り外すことにより操作レバー部G344による操作が可能となる。
従って、このような態様においても、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者により用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
このように、操作レバー部G344に操作力が加えられることによって作動し得る押圧部G3443の動作を規制する移動規制部GA711xを有し、綴じ具G3に取付可能な作動制限部材本体GA71と、作動制限部材本体GA71に取付可能なキャップ体GA72とを備え、キャップ体GA72を作動制限部材本体GA71に取り付けることによって綴じ具G3に対する作動制限部材本体GA71の取付状態が解除されることを防止するようにしているため、綴じ具G3の綴込状態から開放状態への移行を規制することができ、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができるのみならず、キャップ体GA72を作動制限部材本体GA71に取り付けることにより、綴じ具G3に対する作動制限部材本体GA71の良好な取付状態を維持することができ、実用性に優れたものとなる。
特に、作動制限部材本体GA71に係合爪GA721を設けるとともに、キャップ体GA72に係合爪GA721に係合可能な係合孔GA711zを設け、これら係合爪GA721と係合孔GA711zとを相互に係合させることにより作動制限部材本体GA71とキャップ体GA72とを取り付けるようにしているため、作動制限部材本体GA71とキャップ体GA72とを簡単な構造で取り付けることができる。また、係合爪GA721と係合孔GA711zとを弾性係合させる態様であるため、ワンタッチでキャップ体GA72を作動制限部材本体GA71に取り付けることができる。
また、キャップ体GA72を作動制限部材本体GA71に取り付けた状態において係合爪GA721と係合孔GA711zとの係合部位を外部から視認不能にしているため、閲覧者が係合部位を視認できず、この閲覧者による係合爪GA721と係合孔GA711zとの係合状態の解除操作を有効に防止することができる。
作動制限部材本体GA71に位置決め凸部GA711bを設けるとともに、キャップ体GA72に位置決め凸部GA711bに係合可能な切り欠き部GA72zを設け、これら位置決め凸部GA711bと切り欠き部GA72zとを相互に係合させることにより作動制限部材本体GA71に対するキャップ体GA72の取付位置を位置決めしているため、簡単な構造でありながら作動制限部材本体GA71に対するキャップ体GA72の位置決めを的確に行うことができる。
しかも、キャップ体GA72が、綴じ具G3に対する作動制限部材GA7の装着状態を解除するための操作具が挿入可能な挿入部GA711cを備えたものであり、この挿入部GA711cに操作具が挿入された痕跡を残し得る薄膜の残跡部GA711dを設けているため、操作具を挿入部GA711cに挿入した当該行為の形跡が残ることとなり、閲覧者による着脱の有無を容易に確認することができる。
さらに、挿入部GA711cが、残跡部GA711dと、残跡部GA711dの変形又は破断を促すスリットGA711sとを備えたものであるため、綴じ具G3に対する作動制限部材GA7の装着状態解除操作が許容されているファイルの管理者等にとっては、操作具による挿入作業が容易になり、実用性に優れたものとなる。ここで、スリットGA711sの形状としては、実施形態で例示した略十字状のものの他、例えば、所定方向に延伸する一又は複数の直線状のものが挙げられる。
また、係合孔GA711zに挿入部GA711cを設けているため、部材の共通化を図ることでできるとともに、挿入部GA711cに挿入した操作具が引き続き係合爪GA721を押圧することとなり、係合爪GA721と係合孔GA711zとの係合状態をスムーズに解除することができる。
本変形例に係る作動制限部材GA7は、前記作動制限部材G7と比較して、作動制限部材本体GA71とキャップ体GA72とを相互に取り付けた状態における全体厚み寸法を小さく設定している。これにより、綴じ具G3に綴じた用紙類の綴じ元が作動制限部材本体GA71及びキャップ体GA72に干渉しないようにし、用紙類の綴じ元が損傷する事態を回避できる。
なお、第5実施形態及び当該変形例において、作動制限部材本体に係合爪を設け、キャップ体に当該係合爪に係合可能な係合孔を設けてもよい。また、作動制限部材本体に係合凹部を設け、キャップ体に当該係合凹部に係合可能な係合凸部を設け、これら係合凹部と係合凸部とを相互に係合させることにより作動制限部材に対するキャップ体の取付位置を位置決めするようにしてもよい。なお、係合爪、係合孔、係合凸部及び係合凹部の形状は適宜変更してもよいことはいうまでもない。
また、キャップ体は、作動制限部材本体の少なくとも一部を被覆するものであればよく、作動制限部材本体の略全部位を被覆するものであっても構わない。
さらに、作動制限部材本体に対するキャップ体の着脱作業の容易化を図るべく、キャップ体の一部(例えば側枠)に、窪み又はリブを設けるようにしてもよい。
〈第6実施形態〉
本実施形態に係るファイルH1は、ファイル本体H2及び綴じ具H3を備え、綴じ具H
3に作動制限部材H7を取付可能に構成したものである。
前記綴じ具H3は、例えば特願2002−287724に示すような周知のものである。すなわち、この綴じ具H3は、図48に示すように、表表紙H21、裏表紙H22及び背表紙H23を有する前記ファイル本体H2の背表紙H23の内面側に止着片H24を用いて着脱可能に止着されるものである。
また、この綴じ具H3は、図49〜図51(図49はこの綴じ具H3の全体斜視図であり、図50はこの綴じ具H3の分解斜視図であり、図51(a)、(b)はそれぞれ綴込状態、開放状態にある綴じ具H3を模式的に示す図である)に示すように、基部H31と、基部H31の左右端部に回動可能に取り付けられた一対の綴じ部H32とを主たる構成要素とする。
綴じ部H32は、前記基部H31の側縁に基端部を軸HAを介して枢着した1対の起立板H321と、前記起立板H321と同心に回動可能であり前記起立板H321に対して着脱可能な一対の綴じ板H322とを重合させ、さらに、一方の綴じ板H322から突設した一対の綴じ杆H323と、他方の綴じ板H322から突設した綴じパイプH324とを備えるものであって、綴じパイプH324に図示しない用紙類の綴じ孔を差し込み、この状態の綴じパイプH324にそれぞれ綴じ杆H323を嵌入することによって、用紙類を綴じ板H322間に綴じ込むものである。
そして、用紙類をこの綴じ具H3に綴じ込んだ状態である綴込状態では、前記起立板H321の先端部H321aと前記綴じ板H322の先端部H322aとを互いに係合させるようにしている。また、前記綴じ板H322の長手方向中央部の先端には、切り欠きH322bを形成し、前記起立板H321のうち、前記切り欠きH322bに対応する部位が手動操作部H325として機能し、この手動操作部H325に対して指で外側に押し広げる操作力を加えることにより綴じ具H3を綴込状態から用紙類の着脱が可能な開放状態へ移行させることができるようにしている。さらに、前記綴じ板H322にはストッパ突起部H322cを外方に突出させて設けているとともに、前記起立板H321には、このストッパ突起部H322cに係合可能なストッパ受孔H321cを設け、用紙類をこの綴じ具H3に綴じ込んだ状態でこれらストッパ突起部H322cとストッパ受孔H321cとを係合させて綴じ板H322の上動を規制している。なお、本実施形態では、前記起立板H321を付勢手段たるねじりコイルバネH326を介して綴込状態側に付勢しているが、このような付勢手段は必ずしも設けなくてもよい。
次に、このような綴じ具H3を開閉する際の動作について説明する。
使用者が用紙類等の抜き差しをするためにこの綴じ具H3を綴込状態から開放状態へ移行させる場合、先ず左右いずれか一方の手動操作部H325を指で外側に押し広げる操作力を付与すると、綴じ板H322と起立板H321とが相対的に離間する方向に移動し、綴じ板H322の先端部H322aと起立板H321の先端部H321aとの係合状態も解除されるとともに、綴じ板H322のストッパ突起部H322cと起立板H321のストッパ受孔H321cとの係合状態が解除され、綴じ板H322を起立板H321よりも上方に移動させることが可能である(図51(b)参照)。そして、起立板H321との係合が解除された綴じ板H322を持ち上げ、綴じ杆H323を綴じパイプH324から抜き出せば、用紙類の抜き差しが可能な開放状態となる。
しかして、前記起立板H321及び綴じ板H322には、挿通孔H321x、H322xを互いに重合する位置に設けているとともに、これら挿通孔H321x、H322に前記作動制限部材H7を挿通可能に構成している。
前記作動制限部材H7は、樹脂ファスナないしプッシュリベットとして周知のものであって、雄部材H71と雌部材H72とを具備する。前記雄部材H71は、円柱状の部材である。一方、前記雌部材H72は、頭部H721と、前記挿通孔H321x、H322xに挿通可能な軸部H722と、通常状態で前記挿通孔H321x、H322xより大径であり、且つ弾性変形して挿通孔H321x、H322xを通過可能であるとともに前記雄部材H71を挿通した際には挿通孔H321x、H322xより大径である状態を維持し頭部H721との間で前記起立板H321及び綴じ板H322を挟持する抜け止め部Y623と、頭部H721から抜け止め部Y623を貫通し前記雄部材H71が挿通可能な受孔H72xとを備えたものである。
この作動制限部材H7は、綴込状態にある前記綴じ具H3に以下のようにして装着する。すなわち、前記挿通孔H321x、H322xに前記雌部材H72の抜け止め部H723及び軸部H722を挿通し、この雌部材H72の受孔H72xに雄部材H71を挿通し、前記抜け止め部H723が前記挿通孔H321x、H322xより大径である状態を維持して頭部H721との間で前記起立板H321及び綴じ板H322を挟持することにより、この作動制限部材H7を綴込状態にある前記綴じ具H3に装着することができる。この場合、綴じ具H32(より具体的には起立板H321及び綴じ板H322)が本発明の「作動部品」に相当し、挿通孔H321x、H322xに装着される雌部材H72が本発明の「ベース」として機能し、雄部材H71の頭部H721及び抜け止め部H723が本発明の「ストッパ部」として機能する。なお、この作動制限部材H7は、前記図49では想像線により示している。
このようにして、綴込状態にある綴じ具H3に作動制限部材H7を装着することにより、綴じ部32を構成する起立板H321と綴じ板H322との相対移動が規制され、綴じ具H3の綴込状態から開放状態への移行が禁止される。その結果、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
一方、この綴じ具H3を開放状態とするために工具を用いた以下の手順によりはじめてこの綴じ具H3を開放状態とすることができるようにしている。すなわち、尖状の先端部を有する操作具を介して前記雄部材H71にアクセスし、雄部材H71を雌部材H72の受孔H72xから抜き取る操作を行う。しかる後に雌部材H72を前記挿通孔H321x、H322xから抜き取ることにより前記操作部Y231に対する操作により綴じ具H3を開放状態とすることができるようにしている。ここで、前記雄部材H71の端部が、装着状態解除部として機能する。
なお、前記雄部材H71に、前記雌部材H72の頭部H721に対応する形状の頭部を一端部に設けるようにしてもよい。この場合、雄部材H71の頭部を前記雌部材H72の頭部H721に略密着する位置まで移動させることによりこれら雄部材H71及び雌部材H72からなる作動制限部材H7を綴じ具H3に装着することになる。また、この場合、作動制限部材H7の取り外しは、前記雄部材H71の頭部と前記雌部材H72の頭部H721とをマイナスドライバ等を用いて離間させる操作により行う。
〈変形例〉
また、上述した綴じ具H3に、作動制限部材H7に替えて、以下に述べるような作動制限部材HA7を用いてもよい。
この作動制限部材HA7は、前記図49及び図51(a)にて想像線により示しているように、全体が略矩形板状をなすとともに、対角線上にある2つの隅部に面取り部を形成した部材であるベースHA71と、このベースHA71を綴じ具H3の基部H31に枢着する軸部材HA72とを具備する。この作動制限部材HA7は、前記軸部材HA72に対
する操作力に対応して、ベースHA71の対角線上にある2つの角部HA711が前記綴じ部H32(具体的には綴じ板H322)に圧接又は当接し、綴じ具H3を綴込状態から開放状態へ移行させる際の綴じ部H32の動作(具体的には起立板H321と綴じ板H323との相対移動)を禁止する動作制限位置と、角部HA711が前記綴じ部H32から離間して綴じ具H3を綴込状態から開放状態へ移行させる際の綴じ部H32の動作(具体的には起立板H321と綴じ板H323との相対移動)を許可する動作許可位置との間で移動可能なものである。すなわち、ベースHA71の対角線上にある2つの角部HA711が本発明の「ストッパ部」として機能する。したがって、作動制限部材HA7を動作制限位置に位置付けることにより、綴じ具H3の綴込状態から開放状態への移行を禁止することができる。
このような態様においても、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
一方、前記軸部材HA72に対して、マイナスドライバ等の操作具を用いて所定の操作力を付与することにより作動制限部材HA7を動作許容位置へ移動させることができるようにしている。具体的には、前記軸部材HA72の基端部に、マイナスドライバの先端部に対応した形状の装着解除手段たるドライバ穴HA72xを設けていて、このドライバ穴HA72xにマイナスドライバの先端部を挿入して前記図49における矢印x方向へ回転させる操作力を付与することにより作動制限部材HA7を動作制限位置から動作許可位置へ移動させることができるようにしている。なお、前記ドライバ穴HA72xに替えて、プラスドライバの先端部に対応した形状のドライバ穴や、所定寸法の六角レンチの断面形状に対応した形状のレンチ穴を設けるようにしてももちろんよい。
なお、上記変形例では、単一の作動制限部材HA72を用いて一対の綴じ部H32の動作を規制する態様を示したが、これに限らず、一対の作動制限部材を用いて、各作動制限部材がそれぞれ各綴じ部H32に対して動作制限位置と動作許容位置との間で移動し得る態様を採用しても構わない。また、作動制限部材は、動作制限位置に位置付けられた際に、その一部が綴じ部H32に圧接又は当接するものであればよく、形状等を適宜変更してもよいことはいうまでもない。
〈変形例〉
また、次のような変形例に係る作動制限部材HB7を綴じ具H3に取り付けるようにしてもよい。
この変形例に係る作動制限部材HB7は、図52及び図53に示すように、綴じ具H3を綴込状態から開放状態へ移行させる際に、綴じ具H3の綴じ部H32を構成し相対的に接離し得る起立板H321と綴じ板H322との相対変位を規制するものである。すなわち、これら起立板H321と綴じ板H322が本発明の「作動部品」に相当する。
具体的に本変形例に係る作動制限部材HB7は、綴込状態にある綴じ具H3の起立板H321のうち、その外面部を略全部位に亘って被覆し得るベースHB71と、ベースHB71の上縁部から内方に向かって略L字状に屈曲しベースHB71との間で起立板H321及び綴じ板H322を挟持し且つこれら起立板H321と綴じ板H322との相対移動を規制するストッパ部HB72と、ベースHB71の下縁部から内方に突出し且つファイル本体H2に当接し得る当接部HB73とを一体に備えたものである。
そして、このような作動制限部材HB7を、前記ストッパ部HB72を綴じ板H322の内面部側に引っ掛けるようにして綴じ具H3に装着すると、この装着状態において、手動操作部H325へのアクセスが禁止されるとともに、ストッパ部HB72により起立板H321と綴じ板H322との相対移動が規制され、その結果、綴じ具H3の綴込状態か
ら開放状態への移行が禁止される。
このような態様のものであっても、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者により用紙類を取り外される不具合を生じ難くすることができる。
〈変形例〉
また、前記作動制限部材HB7に替えて、図54に示すような作動制限部材HC7を綴じ具H3に装着してもよい。
この作動制限部材HC7は、前記作動制限部材HB7と比較して、ベースHC71が起立板H321のうち、その外面部の所定領域のみを被覆し得るものであり、ストッパ部HC72及び当接部HC73の各巾寸法(起立板H321の長手方向に沿った寸法)をベースHC71の巾寸法に対応させて、全体的にコンパクトなものにしている点で異なる。また、本変形例に係る作動制限部材HC7のストッパ部HC72に綴じパイプH324に係合し得る係合部HC72aを設けている。
しかして、この係合部HC72aを綴じパイプH324に係合させるようにしてストッパ部HC72を綴じ板H322の内面部側に引っ掛けるようにして綴じ具H3に装着すると、この装着状態において、手動操作部H325へのアクセスが許容されるものの、手動操作部H325に対して起立板H321を綴じ板H322から離間させる操作力を付与した場合に、ストッパ部HC72により起立板H321と綴じ板H322との相対移動が規制され、その結果、綴じ具H3の綴込状態から開放状態への移行が禁止される。
このような態様のものであっても、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者により用紙類を取り外される不具合を生じ難くすることができる。
なお、図54では単一の作動制限部材HC7のみを表示しているが、複数の作動制限部材HC7を綴じ具H3に装着するようにしても勿論構わない。
〈第7実施形態〉
さらに次のような実施形態に係る作動制限部材HD7を第6実施形態で示した綴じ具H3に取り付けるようにしてもよい。
この実施形態に係る作動制限部材HD7は、図55に示すように、綴じ部H32に生じ且つ綴じ具H3の綴込状態から開放状態への移行に伴って間隔が変動する隙間H32xに詰め込まれて綴じ部H32を構成する起立板H321と綴じ板H322との相対移動を制限することにより、綴じ具H3の綴込状態から開放状態への移行を禁止するものである。
具体的には、本実施形態に係る綴じ具H3が、上述したように、綴じ部H32を構成する前記綴じ板H322にストッパ突起部H322cを外方に突出させて設けているとともに、同じく綴じ部H32を構成する起立板H321に、ストッパ突起部H322cに係合可能なストッパ受孔H321cを設け、綴込状態においてストッパ突起部H322cとストッパ受孔H321cとが係合し、起立板H321に対する綴じ板H322の上動を規制しているものである。また、ストッパ突起部H322cの径をストッパ受孔H321cの開口径よりも小さく設定し、ストッパ突起部H322cとストッパ受孔H321cとの間に隙間H32xが生じる。この隙間H32xの存在により、綴じ具H3を綴込状態から開放状態へ移行させる際、手動操作部H325に対して指で外側に押し広げる操作力を加えることによって起立板H321が綴じ板H322に対して外側へ相対的に傾倒する動作が的確に行えるようにしている。そして、起立板H321が綴じ板H322に対して外側へ相対的に傾倒する際に、隙間H32xの寸法(ストッパ突起部H322cの縁部とストッパ受孔H321cの縁部との離間寸法)が変動する。本実施形態では、起立板H321及び綴じ板H322が本発明の「重合した複数の板部材」にそれぞれ相当する。
そこで、本変形例に係る作動制限部材HD7は、綴込状態にある綴じ具H3のストッパ突起部H322cとストッパ受孔H321cとの間に形成される隙間H32xに詰込可能なものであり、前記隙間H32xに略あそびが生じない程度に詰め込み可能な詰込部HD71と、綴じ具H3に装着した状態において起立板H321に当接し得る鍔部HD72とを備えたものである。詰込部HD71は、略円筒状をなし、一部にスリットを形成しストッパ突起部H322cとストッパ受孔H321cとの隙間H32xに嵌入し得るよう弾性変形し得るようにしている。鍔部HD72は、略円盤状をなし、この鍔部HD72の略中央部から詰込部HD71を設けている。
このような作動制限部材HD7を、綴込状態にある綴じ具H3のストッパ突起部H322cとストッパ受孔H321cとの隙間H32xに詰込部HD71を嵌入して装着することにより、手動操作部H325に対して綴じ具H3を開放状態へ移行させる前記操作力を加えた場合であっても、ストッパ突起部H322cとストッパ受孔H321cとの隙間H32xが作動制限部材HD7によって略密封された状態であるため、起立板H321が綴じ板H322に対して外側へ傾倒する動作が規制され、綴じ具H3の綴込状態から開放状態への移行が規制され、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
一方、作動制限部材HD7を綴じ具H3に装着した状態で、作動制限部材HD7の鍔部HD72と起立板Y24との間に、操作具、例えばマイナスドライバの先端部を突っ込み、作動制限部材HD7を起立板Y24から離間させる所定の操作力を付与して作動制限部材HD7を綴じ具H3から取り外すことにより、綴じ具H3の綴込状態から開放状態への移行が許容される。したがって、このような態様においても、不特定多数の外部者の閲覧に供する際に、閲覧者によって用紙類が簡単に抜き取られるという事態を防止することができる。
なお、作動制限部材HD7の変形例として、例えば、綴じ具H32を綴込状態にした場合に、起立板H321の縁部と綴じ板H322の縁部(例えば、起立板H321の先端部H321aと綴じ板H322の先端部H322a)との間に生じる隙間に詰込可能な詰込部を備えたものを適用してもよい。
また、上述した第6実施形態及び第7実施形態では、左右の綴じ板H322の何れをも基部H31に対して着脱可能にしているが、一方の綴じ板H322のみを基部H31に対して着脱可能にしている綴じ具に以上に述べたような作動制限部材H7、HA7、HB7、HC7、HD7を単一又は複数取り付けるようにしてももちろんよい。
なお、本発明は、以上に詳述した各実施形態及び各変形例に限られるものではない。
例えば、作動制限部材を、綴じ具に設けるのではなく、ファイル本体に設け、この作動制限部材により、手動操作部の動作又は手動操作部に前記操作力が加えられることによって作動し得る作動部品の動作を制限するようにしてもよい。この場合、ファイル本体に作動制限部材を装着するための装着部を設ければ、この装着部を利用することにより作動制限部材の取付作業を簡単に行うことができる。
また、第1実施形態の変形例及び第3実施形態、第6実施形態において、「作動部品」として、手動操作部に操作力が加えられることによって手動操作部の動作に連動して作動する部品(綴じ部6a、6b、各作動板D312a、D312b、綴じ部H32(起立板H321、綴じ板H322))を例示したが、これに限らず、「作動部品」として、手動操作部に操作力が加えられた結果、その操作力とは別の操作力を付与することによって作
動可能な部品を適用してもよい。
また、綴じ具が、作動制限部材を装着するための装着部として機能する専用の係合孔又は引っ掛け部等を具備してなるものであっても構わない。或いは、綴じ具に、例えばフェライト磁石やネオジウム磁石等の磁性体(好ましくは強磁性材料)や吸盤を設け、この吸盤を装着部として用いてもよく、その場合、作動制限部材にも磁性体又は吸盤を設ければよい。
一方、綴じ具が装着部を具備したものではなく、接着剤等により作動制限部材を綴じ具に装着するようにしても構わない。
さらに、前記実施形態及び各変形例に係る綴じ具は、作動制限部材を後付けできるものであったが、製造時や出荷時に予め作動制限部材を一体又は一体的に具備してなる綴じ具であってもよい。
また、作動制限部材が金属素材から形成されたものであれば、この作動制限部材を金属製の綴じ具に装着するようにすることにより、廃棄時に、作動制限部材を綴じ具に装着したまま廃棄することができ、作動制限部材が合成樹脂素材から形成されたものである場合と比較して、分別廃棄の便に資する。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。