JP2010201886A - 平版印刷版原版包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合紙を挿入することなく積層されたネガ型平版印刷版原版の少なくとも最上部に、厚紙の片面又は両面にプラスチックが存在する厚紙のプラスチック面が前記平版印刷版原版の記録層と対向するように載置され、前記積層された平版印刷版原版及び前記厚紙の全体が遮光部材により包装されたことを特徴とする、平版印刷版原版包装体。
【選択図】図3
Description
(1)合紙を挿入することなく積層されたネガ型平版印刷版原版の少なくとも最上部に、厚紙の片面又は両面にプラスチックが存在する厚紙のプラスチック面が前記平版印刷版原版の記録層と対向するように載置され、前記積層された平版印刷版原版及び前記厚紙の全体が遮光部材により包装されたことを特徴とする、平版印刷版原版包装体、
(2)前記厚紙の両面にプラスチックが存在する、(1)に記載の平版印刷版原版包装体、
(3)前記積層された平版印刷版原版の最下部に厚紙のプラスチックが存在する面が前記平版印刷版原版の支持体に対向するように配置された、(1)又は(2)に記載の平版印刷版原版包装体、
(4)前記平版印刷版原版の記録層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する(1)〜(3)いずれか1項に記載の平版印刷版原版包装体。
また、上記(2)に記載の発明によれば、白抜けが防止されることに加えて、厚紙の両面にプラスチックが存在する保護材を使用するために、保護材は表裏の区別がなくなり、平版印刷版原版上に保護材を載置するとき、保護材の表裏どちらを記録層に対向させても良いため、保護材の表裏の確認をする必要がないので、作業性が良い。
上記(3)に記載の発明によれば、さらに、荷扱い時のPS版の変形が起き難くなるため、PS版の損傷が防止される。
上記(4)に記載の発明によれば、上記の効果が顕著である。
図1には、感光性平版印刷版原版の加工ライン100が示されている。
(1)感光層が赤外線吸収剤、熱によって酸を発生する化合物、及び酸によって架橋する化合物を含有する態様。
(2)感光層が赤外線吸収剤、及び熱によってアルカリ溶解性となる化合物を含有する態様。
(3)感光層が、レーザ光照射によってラジカルを発生する化合物、アルカリに可溶のバインダー、及び多官能性のモノマーあるいはプレポリマーを含有する層と、酸素遮断層との2層を含む態様。
(4)感光層が、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との2層からなる態様。
(5)感光層が、多官能性モノマー及び多官能性バインダーとを含有する重合層と、ハロゲン化銀と還元剤を含有する層と、酸素遮断層との3層を含む態様。
(6)感光層が、ノボラック樹脂及びナフトキノンジアジドを含有する層と、ハロゲン化銀を含有する層との2層を含む態様。
(7)感光層が、有機光導電体を含む態様。
(8)感光層が、レーザー光照射によって除去されるレーザー光吸収層と、親油性層及び/又は親水性層とからなる2〜3層を含む態様。
(9)感光層が、エネルギーを吸収して酸を発生する化合物、酸によってスルホン酸またはカルボン酸を発生する官能基を側鎖に有する高分子化合物、及び可視光を吸収することで酸発生剤にエネルギーを与える化合物を含有する態様。
(10)感光層が、キノンジアジド化合物と、ノボラック樹脂とを含有する態様。
(11)感光層が、光又は紫外線により分解して自己もしくは層内の他の分子との架橋構造を形成する化合物とアルカリに可溶のバインダーとを含有する態様。
本発明に用いることができる平版印刷版原版としては、ネガ型の記録層を有する限り特に制限はないが、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有するネガ型の記録層を有する平版印刷版原版であることが好ましい。
本発明に用いることができる平版印刷版原版における記録層は、増感色素を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる増感色素としては、特に制限はなく、公知の増感色素を用いることができる。
例えば、300〜450nmに極大吸収を有する増感色素や、500〜600nmに極大吸収を有する増感色素、750〜1,400nmに極大吸収を有する増感色素(赤外線吸収剤)を添加することで、各々、当業界で通常用いられている405nmのバイオレットレーザ、532nmのグリーンレーザ、830nmのIRレーザに対応した高感度な平版印刷版原版を提供することができる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記式(a)で表されるシアニン色素が挙げられる。
リール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。なお、Phはフェニル基を表す。
R8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭
化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za -は、対アニオンを表す。ただし、式(a)で表されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa -は必要ない。好ましいZa -は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及び、スルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及び、アリールスルホン酸イオンである。なお、対イオンとして、ハロゲン化物イオンを含有してないものが特に好ましい。
前記感光層におけるこれらの赤外線吸収剤の含有量は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し、0.01〜50重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましく、0.5〜10重量%であることがさらに好ましい。
このような増感色素としては、例えば、メロシアニン色素類、ベンゾピラン類、クマリン類、芳香族ケトン類、アントラセン類、等を挙げることができる。
環を形成してもよい。)
しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の芳香族複素環残基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、又は、ハロゲン原子を表す。
本発明に用いることができる平版印刷版原版における記録層は、重合開始剤(以下、「開始剤化合物」ともいう。)を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる平版印刷版原版における記録層は、重合性化合物を含有することが好ましい。
本発明における感光層に用いることができる重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するエチレン性不飽和化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定することなく用いることができる。
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸とアルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸とアミン化合物とのアミド類が用いられる。具体的には、特開2001−343734号公報の〔0012〕、特開2003−107697号公報の〔0020〕〜〔0025〕、特開2003−186176号公報の〔0029〕〜〔0038〕、特開2006−259558号公報の〔0126〕〜〔0140〕、特開2007−47742号公報の〔0173〕〜〔0187〕、特開2007−86165号公報の〔0140〕〜〔0149〕に記載の化合物が使用される。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及び、単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類又はチオール類との付加反応物、さらにハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類又はチオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
前記記録層における重合性化合物の含有量は、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%であることが好ましく、25〜70重量%であることがより好ましく、30〜60重量%であることがさらに好ましい。
本発明に用いることができる平版印刷版原版における記録層は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。
本発明に用いることができるバインダーポリマーの化学構造は、特に限定されないが、アルカリ性処理液への溶解性、すなわち現像性の観点から酸基を有する有機高分子が好ましく、特にカルボン酸又はその塩を含有する有機高分子がより好ましい。
本発明に用いることができるバインダーポリマーとしては、カルボン酸含有のアルカリ水可溶又は膨潤性の有機高分子が例示できる。このような有機高分子としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が有用である。バインダーポリマーとして、カルボン酸(塩)基を含有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマー単位を含む共重合体が好ましい。
また、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなども有用である。さらに、特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号の各公報に記載のポリウレタン樹脂もアルカリ水可溶又は膨潤性バインダーとして有用である。本発明に使用できるバインダーポリマーとして、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、又は、ウレタン樹脂が好ましく用いられる。
(b)ラジカル架橋性を付与するモノマー単位としては、特に限定されないが、特開2007−248863号公報の〔0041〕〜〔0053〕に記載の構造が好ましく用いられる。
このようなモノマー単位としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミドに由来するモノマー単位が好ましい。特に、特開2007−272134号公報の〔0061〕〜〔0084〕に記載のアミド基(メタ)アクリル酸アミドに由来するモノマー単位が好ましく用いられる。このモノマーの含有量は、総モノマー単位数を100とした場合、そのうちの5から50単位であることが好ましく、5〜35単位であることがより好ましく、5〜25単位であることがさらに好ましい。
本発明に用いることができる平版印刷版原版における記録層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。
添加剤としては、現像性の促進及び塗布面状を向上させるための界面活性剤、現像性の向上やマイクロカプセルの分散安定性向上などのための親水性ポリマー、画像部と非画像部を視認するための着色剤や焼き出し剤、記録層の製造中又は保存中のラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するための重合禁止剤、酸素による重合阻害を防止するための高級脂肪誘導体、画像部の硬化被膜強度向上のための無機微粒子、現像性向上のための親水性低分子化合物、感度向上のための共増感剤や連鎖移動剤、可塑性向上のための可塑剤等を添加することができる。これらの化合物はいずれも公知のものを使用でき、例えば、特開2007−171406号、特開2007−206216号、特開2007−206217号、特開2007−225701号、特開2007−225702号、特開2007−316582号、特開2007−328243号の各公報に記載の化合物を使用することができる。
ネガタイプの記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存在下で架橋剤と反応し得るアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。具体的には、例えば、特開平7−306528号、特開平8−276558号、特開平10−123701号、特開平10−203037号の各公報に記載の記録層が好ましく用いられる。
本発明に用いることができる平版印刷版原版における記録層は、必要な上記各成分を溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布して形成することができる。ここで使用する溶剤としては、特開2007−249037号公報の〔0159〕に記載の化合物が好ましく用いられ、これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。
塗布液の固形分濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。
また、塗布、乾燥後に得られる支持体上の記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、0.3〜3.0g/m2が好ましい。上記範囲であると、良好な感度と記録層の良好な被膜特性が得られる。
本発明に用いることができる平版印刷版原版は、記録層における傷等の発生防止、酸素遮断、高照度レーザー露光時のアブレーション防止のため、必要に応じて、記録層の上に保護層を設けることが好ましい。
本発明においては、通常、露光を大気中で行うが、保護層は、記録層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物の画像記録層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する。したがって、保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いられる光の透過性が良好で、記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像処理工程で容易に除去することができるものであるのが好ましい。このような特性を有する保護層については、以前より種々検討がなされており、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に詳細に記載されている。
また、保護層としては、特開2008−15503号公報、特開2008−89916号公報、特開2008−139813号公報の〔0211〕〜〔0261〕に記載されている保護層を好適に用いることができる。
保護層に主成分として用いられる材料としては、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが挙げられる。その他の有用な水溶性高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ゼラチン及びアラビアゴム等が挙げられる。
これらは単独又は併用して用いてもよい。また、複数の保護層が設けられる場合には、いずれの保護層にも適用される。
保護層に使用し得るポリビニルアルコールは、必要とされる酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
本発明における保護層には、前記水溶性高分子化合物に加え、フィラーを含有することが好ましい。フィラーを含有することによって、感光性記録層(重合性ネガ型感光層)の表面の耐キズ性の向上が図れ、更には、平版印刷版原版を、合紙を介することなく積層した場合に生じる隣接する平版印刷版原版との接着が抑制され、平版印刷版原版同士の剥離性を優れたものとすることができる。これにより、ハンドリング性が向上するという利点をも有することになる。
かかるフィラーとしては、有機フィラー、無機フィラー、無機−有機複合フィラー等のいずれでもよく、またこれらのうち、2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは無機フィラーと有機フィラーとの併用である。
フィラーの粒子サイズ分布は、単分散でも多分散でもよいが、単分散が好ましい。フィラーの大きさは、平均粒子径が1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは、平均粒子径が2〜15μm、更に好ましくは、平均粒子径が3〜10μmである。これらの範囲内とすることにより、上記本発明の効果がより有効に発現される。
有機フィラーの含有量は、保護層の全固形分量に対し、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは、2〜10質量%である。
保護層中に無機質の層状化合物を用いることにより、酸素遮断性は更に高まり、また、保護層の膜強度が一層向上して耐キズ性が向上する他、保護層にマット性を付与することができる。その結果、保護層は、酸素等の遮断性に加え、変形などによる劣化やキズの発生を抑制することが可能となる。更に、保護層にマット性を付与することによって、平版印刷版原版を積層した場合には、平版印刷版原版の保護層表面と隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着を抑制することが可能となる。
無機質の層状化合物以外の無機フィラーの保護層に含有される量も同様に、保護層の全固形分量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲が特に好ましい。
無機−有機複合フィラーの保護層への含有量としては、保護層の全固形分量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲がより好ましい。
フィラーの表面の少なくとも一部にシリカが存在することで、フィラーとバインダー(ポリビニルアルコールなど)との親和性向上が達成され、保護層に対して外部応力を受けた場合でもフィラーの脱落が抑制され、優れた耐傷性、耐接着性を維持することができる。本発明における「シリカ被覆」とは、このようにフィラーの表面の少なくとも一部にシリカが存在する状態を包含するものとする。
中でも、保護層の好ましいバインダーであるポリビニルアルコールとの親和性の観点から、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びメラミン樹脂などが好ましい。
シリカ被覆微粒子の構成としては、フィラー表面にシリカ微粒子が固体成分として付着しているものであっても、アルコキシシロキサン系化合物を縮合反応させてフィラー表面にシロキサン系化合物層を形成したものであってもよい。
シリカの表面被覆状態は、走査型電子顕微鏡(TEM)等による形態観察により確認することができ、また、シリカの被覆量は、蛍光X線分析などの元素分析によりSi原子を検知し、そこに存在するシリカの量を算出することで確認することができる。
ここで、本発明における保護層が重層構造を有し、その上部保護層にシリカ被覆微粒子を添加させた場合には、シリカ被覆微粒子の硬度は、下部保護層の硬度と同じか、小さいことが好ましい。
シリカ被覆微粒子の好ましい平均粒子径は1〜30μmφであり、更に好ましくは、1.5〜20μmφであり、最も好ましくは、2〜15μmφである。この範囲において十分なスペーサー機能、マット性能を発現することができ、保護層表面への固定化が容易で、外部からの接触応力に対しても優れた保持機能を有する。
特に、シリカ被覆微粒子の真比重は、0.90から1.30の範囲にあり、且つ、平均粒子径が2.0〜15μmであることが好ましく、真比重が、0.90から1.20の範囲にあり、3.0〜12μmであることがより好ましい。
より具体的には、シリカ被覆微粒子の保護層固形分中の含有量は、表面マット効果の発現、感度、及び保護層表面からの粒子が離脱することなどの観点から、1.0質量%〜20質量%が好ましく、2.0質量%〜10質量%がより好ましい。
このような積層構造の保護層を設けることによって、最上層の保護層において、フィラーに起因する耐傷性、耐接着性の利点を十分に生かしながら、下部保護層の優れた酸素遮断性と相俟って、傷の発生及び所望されない酸素透過のいずれに起因する画像欠損も効果的に防止することができる。
平版印刷版原版を、合紙なしで使用するためには、下部保護層が雲母及びポリビニルアルコールを含み、上部保護層が有機フィラー及び雲母を含む組み合わせとすることが好ましい。
平版印刷版原版に用いることができる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状な支持体であればよいが、表面が親水性である親水性支持体であることが好ましく、アルミニウム板がより好ましい。
例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、前記金属がラミネートされ若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム支持体と処理方法とは、具体的には、特開2005−88300号公報に記載されているアルミニウム支持体及び処理方法が好ましく例示できる。
平版印刷版原版においては、支持体上に重合性基を含有する化合物の下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層が用いられるときは、記録層は下塗り層の上に設けられる。下塗り層は、露光部においては支持体と記録層との密着性を強化し、また、未露光部においては、記録層の支持体からの剥離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。
支持体に表面処理を施した後、又は、下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。
バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが、原料が安価で入手しやすい点で
好ましい。
本発明の平版印刷版の処理方法(製版方法)は、本発明の平版印刷版用版面処理剤を使用した方法であれば、特に制限はないが、平版印刷版原版を画像露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)、処理液により現像処理する工程(以下、「現像工程」ともいう。)、及び、本発明の平版印刷版用版面処理剤を用いて版面処理する工程(以下、「版面処理工程」ともいう。)を含む方法であることが好ましい。
水溶性高分子を含む処理液を使用して、現像処理と版面処理とを1液でかつ1浴で行うこともできる。
本発明に使用する平版印刷版原版の処理方法は、本発明の平版印刷版用版面処理剤を使用した方法であれば、特に制限はないが、平版印刷版原版を画像露光する工程、及び、現像液により現像処理する工程を含むことが好ましい。
ここで、現像処理とは、現像液により、記録層の非露光部を除去して、露光部に対応する画像を形成することをいう。
現像処理の際に、保護層の除去を現像処理に先立って又はこれと同時に行うことができる。
本発明に用いることができる平版印刷版原版は、可視光レーザー、赤外線レーザーなどのレーザーで記録できる平版印刷版原版であることが好ましい。また、紫外線ランプやサーマルヘッドによる熱的な記録も可能である。
本発明に用いることができる露光光源は、平版印刷版原版の記録層の態様に応じて適宜選択し得るが、350nm以上450nm以下の可視光レーザー、波長760nm以上1,200nm以下の赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーであることが好ましく、これらにより平版印刷版原版が画像露光されることが好ましい。
例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いることができる。
これらのアルカリ剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
現像液又は補充液のpHとしては、14以下であることが好ましく、pH8.5〜13.2であることがより好ましい。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。
好ましい有機溶剤としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール若しくはその誘導体、又は、ポリプロピレングリコール若しくはその誘導体等の添加も好ましい。また、アラビット、ソルビット、マンニット等の非還元糖を添加することもできる。
本発明の平版印刷版の処理方法は、版面処理する工程を含んでもよい。
本発明の版面処理剤は、特に制限なく、公知のものが使用される。
本発明の版面処理剤の使用態様は、特に制限されるものではないが、自動ガム塗布機などを使用すると、均一に塗布することができ、好ましい。
本発明の版面処理剤による処理は、現像工程の後、無水洗で直ちに行うこともできるし、現像処理後(水洗工程、流水循環水洗あるいは少量の塗りつけ水洗を含む。)あるいは界面活性剤を含有するリンス液で処理した後に行うこともできる。
保護層の除去、現像処理及びガム引きを1浴で行うこともできる。
本発明に使用する版面処理剤による版面処理は、自動現像機を用いて行うことも適している。このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
特に、近年では、レーザー光で露光する高感度記録タイプの記録層を塗布した平版印刷版が使用されることもある(例えば前記の(1)〜(3)の態様等)。
(a)波長域350〜450nmのレーザー(具体例としては、波長405±5nmのレーザーダイオード)。
(b)波長域480〜540nmのレーザー(具体例としては、波長488nmのアルゴンレーザー、波長532nmの(FD)YAGレーザー、波長532nmの固体レーザー、波長532nmの(グリーン)He−Neレーザー)。
(c)波長域630〜680nmのレーザー(具体例としては、波長630〜670nmのHe−Neレーザー、波長630〜670nmの赤色半導体レーザー)。
(d)波長域800〜830nmのレーザー(具体例としては、波長830nmの赤外線(半導体)レーザー)。
(e)波長1,064〜1,080nmのレーザー(具体例としては、波長1,064nmのYAGレーザー)。
なお、本発明において、「ラミネート」は、広義と狭義の意味を有し、広義のラミネートとは、厚紙の片面又は両面にプラスチックを存在せしめることを意味し、狭義のラミネートとは、薄いプラスチックを厚紙に重ね合わすことをいう。
(支持体の作製)
厚さ0.30mm、幅1,030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量(乾燥後の被覆量)は10mg/m2であった。
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:3万) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
下記記録層用塗布液(A)を調製し、上記のように形成された中間層上にワイヤーバーを用いて塗布し、実施例1〜9及び15〜22、並びに、比較例1、2及び5〜7で使用する平版印刷版原版を作製した。乾燥は、温風式乾燥装置にて125℃で34秒間行った。乾燥後の被覆量は1.4g/m2であった。
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.038重量部
・重合開始剤A(S−1) 0.061重量部
・重合開始剤B(I−1) 0.094重量部
・メルカプト化合物(E−1) 0.015重量部
・エチレン性不飽和化合物(M−1) 0.425重量部
(商品名:A−BPE−4、新中村化学工業(株))
・バインダーポリマーA(B−1)(重量平均分子量:11万) 0.311重量部
・バインダーポリマーB(B−2)(重量平均分子量:10万) 0.250重量部
・バインダーポリマーC(B−3)(重量平均分子量:12万) 0.062重量部
・添加剤(T−1) 0.079重量部
・重合禁止剤(Q−1) 0.0012重量部
・エチルバイオレット(EV−1) 0.021重量部
・フッ素系界面活性剤 0.0081重量部
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、メチルイソブチルケトン(MIBK)30重量%溶液)
・メチルエチルケトン 5.886重量部
・メタノール 2.733重量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886重量部
形成された記録層上に、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50、ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)、界面活性剤A(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710)、及び、界面活性剤B(アデカプルロニックP−84:(株)ADEKA製)の混合水溶液(下部保護層形成用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(下部保護層形成用塗布液)中の合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/界面活性剤A/界面活性剤Bの含有量割合は、7.5/89/2/1.5(重量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は、0.5g/m2であった。
下部保護層上に、有機フィラー(アートパールJ−7P、根上工業(株)製)、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(L−3266:ケン化度87モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)、増粘剤(セロゲンFS−B、第一工業製薬(株)製)、及び、界面活性剤(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710)の混合水溶液(上部保護層形成用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(上部保護層形成用塗布液)中の有機フィラー/合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/増粘剤/界面活性剤の含有量割合は、3.2/2.0/80.5/11.5/2.8(重量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は、1.76g/m2であった。
平版印刷版原版Aの記録層及び保護層を設けた側と反対の面に、特開平6−35174号公報の実施例1と同様のバックコート層を設けた。
前記ネガ型平版印刷原版を縦2頁版(幅400mm×縦1,100mm)に裁断して、サンプルを作製した。
得られたネガ型平版印刷原版を、振動試験機に50枚積載、最上部にラミネート有り当てボールを乗せバンドで固定後、振動加速度±1G,振動数範囲5〜100Hzを5分間行った。比較として当てボールをラミネート無し当てボールに変更し、前記と同様な試験を行った。
当てボールと接触していた積層体の最上部の平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2,400dpi、外面ドラム回転数200rpm、出力5Wでベタ露光した。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)製自動現像機LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液は富士フイルム(株)製現像液HN−Dの1:4水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部に発生した白ヌケの有無を目視評価した。
なお、nは、上記サンプル作製、振動試験及び画像ヌケ評価の一連の実施回を示しており、n=1とn=2では、全く同じ作業を行っている。
62 当てボール(保護材)
72 厚紙(保護材)
74 低密度ポリエチレン(プラスチック)
80 遮光部材
Claims (4)
- 合紙を挿入することなく積層されたネガ型平版印刷版原版の少なくとも最上部に、厚紙の片面又は両面にプラスチックが存在する厚紙のプラスチック面が前記平版印刷版原版の記録層と対向するように載置され、前記積層された平版印刷版原版及び前記厚紙の全体が遮光部材により包装されたことを特徴とする、平版印刷版原版包装体。
- 前記厚紙の両面にプラスチックが存在する、請求項1に記載の平版印刷版原版包装体。
- 前記積層された平版印刷版原版の最下部に厚紙のプラスチックが存在する面が前記平版印刷版原版の支持体に対向するように配置された、請求項1又は2に記載の平版印刷版原版包装体。
- 前記平版印刷版原版の記録層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の平版印刷版原版包装体。
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JP2006256249A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Fuji Photo Film Co Ltd | 保護材 |
JP2008080499A (ja) * | 2006-09-25 | 2008-04-10 | Fujifilm Corp | 平版印刷版用の保護・包装材及び平版印刷版の包装方法 |
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2009
- 2009-03-06 JP JP2009052783A patent/JP2010201886A/ja not_active Abandoned
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