JP4204207B2 - 現像液組成物および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外光線、可視光線、又は赤外光線に感応性を有する平版印刷版用原版に用いられる現像液組成物および画像形成方法に関し、詳しくは、コンピュータ等のデジタル信号からレーザを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能なネガ型画像形成材料に適用し得る現像液組成物および画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるレーザの発展は目覚しく、紫外線領域、可視光領域、及び、赤外線領域のいずれにおいても、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになった。これらのレーザは、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印刷版を製版する(Computer to Plate:以下、適宜、CTPと省略する)際の記録光源として非常に有用である。例えば、波長350nmから550nmの紫外線または可視光線を放射する固体レーザ及び半導体レーザは、他の波長領域に比べて安価であるために有用である。また波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザは、他の波長領域に比べて出力が高いために有用である。従って、このようなレーザに対し、感応性の高い画像形成材料、即ち、レーザ照射により現像液に対する溶解性が大きく変化する画像形成材料への要望が近年高まっている。
【0003】
このような画像形成材料として、ラジカル付加重合反応を利用した画像形成材料が提案されており、通常、画像様にレーザ露光した後にアルカリ水溶液で現像し、画像が形成される。そして、このような現像工程には、自動現像機が使用されるのが一般的である。例えば、特開平8−108621号公報には、光重合性組成物を用いたネガ型の画像形成材料が開示され、ここでは現像にケイ酸カリウムなどを含む、pHが12を超える強アルカリ性水溶液が用いられている。このような高いpHの現像液は、自動現像機中で空気中の炭酸ガスを吸収し、経時により現像液の活性度が低下するという問題点があった。
【0004】
また、特公平7−103171号公報には、特定の構造を有するシアニン色素、ヨードニム塩及びエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物より成る、画像形成材料が記載されているが、この画像形成材料は、炭酸塩をアルカリ剤として用いた弱アルカリ性の水溶液により現像されている。炭酸塩を用いた現像液は、空気中の炭酸ガスを吸収しにくくなるが、まだ十分ではなく、やはり経時により現像液の活性度が低下するという問題点があった。
【0005】
さらに、ケイ酸カリウムや炭酸塩をアルカリ剤として用いた現像液は、pHが高く、現像液中に溶解した画像記録層中の重合性化合物等を徐々に加水分解し、アルカリ分を消費してしまう。結果として、やはり経時により現像液の活性度が低下するという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、レーザを用いて記録することにより、コンピュータ等のデジタルデータから直接記録可能なネガ型画像形成材料に適用し得る、画像形成性に優れ、現像剤の特性に起因する経時的な現像性の低下を生じない現像液組成物および画像形成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ネガ型画像形成材料と現像剤との物性に着目し、鋭意検討の結果、アルカリ剤の特性を十分に活かすことで上記問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の現像液組成物は、炭酸水素塩のみをアルカリ剤として含有し、pHが7〜9.5の範囲にある弱アルカリ性水溶液であることを特徴とする。また、本発明の画像形成方法は、支持体上に、(A)ラジカル発生剤、及び、(B)ラジカル重合性化合物を含有する画像記録層を設けてなるネガ型画像形成材料を、レーザで画像露光した後、炭酸水素塩のみをアルカリ剤として含有し、pHが7〜9.5の範囲にある弱アルカリ性水溶液を用いて現像することを特徴とする。
【0008】
例えば、水酸化カリウムやケイ酸カリウム等をアルカリ剤とするアルカリ性水溶液は、経時により空気中の炭酸ガスを吸収し、炭酸カリウムへ変化する。炭酸カリウムは、さらに炭酸ガスを吸収し炭酸水素カリウムへ変化する。炭酸水素カリウムは、炭酸ガスを吸収しきった化合物であり、これ以上炭酸ガスを吸収することはない。従って、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩を現像液組成物中のアルカリ剤として用いれば、炭酸ガスによる現像液の活性度低下を阻止できる。
【0009】
さらに、画像形成材料中に含まれるラジカル重合性化合物等は、アルカリ水溶液中において容易に加水分解性を受ける。この加水分解性は、アルカリ水溶液中の水酸化物イオン濃度、つまりpHによって大きく異なる。pHが高ければ加水分解は速く、低ければ遅い。特に、pHが9.5以下であると、加水分解は極めて遅く、実質上起きないに等しい。従って、現像液組成物のpHを9.5以下とすることにより、加水分解による現像液の活性度低下を阻止できる。
【0010】
上記のように、本発明によれば、レーザ光を用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接記録可能なネガ型画像形成材料に適用し得る、画像形成性に優れ、現像剤の特性に起因する経時的な現像性の低下を生じない現像液組成物および画像形成方法を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の現像液組成物および画像形成方法を詳細に説明する。
本発明の現像液組成物は、炭酸水素塩のみをアルカリ剤として含有し、pHが7から9.5の範囲にある弱アルカリ性水溶液であることを特徴とする。特にpH7.5から9の範囲にあることが好ましい。なお、本発明におけるpHの値は25℃で測定したものを基準とする。
【0012】
本発明の現像液組成物は、炭酸水素塩のみをアルカリ剤として含有する。好適な炭酸水素塩は、アルカリ金属の炭酸水素塩である。特に好ましくは、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムである。これらの炭酸水素塩は、無水物を用いてもよいし、水和物を用いてもよい。また、2種以上の炭酸水素塩を混合して用いることができる。
これらの炭酸水素塩の添加量は、現像液組成物に対して0.1〜10重量%の範囲が好ましく、0.3〜7重量%の範囲がより好ましい。添加量が0.1重量%未満である場合には、画像形成後に印刷すると非画像部に汚れを生じやすくなり、また、10重量%を超えて添加すると印刷時に耐刷不良を生じる傾向があり、いずれも好ましくない。
【0013】
本発明の現像液組成物は、好ましくは界面活性剤を含有する。界面活性剤は、現像性の促進、現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性向上に有用である。本発明に用いる界面活性剤には、特に制限はなく、ノニオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤のいずれも用いることができる。
【0014】
ノニオン性界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。
【0015】
アニオン性界面活性剤の好ましい例としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホこはく酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホこはく酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルりん酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類りん酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルりん酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などが挙げられる。
【0016】
カチオン性界面活性剤の好ましい例としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。
両性界面活性剤の好ましい例としては、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などが挙げられる。
なお、以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
【0017】
なかでも、浸透性、及び、現像後の感光層成分の現像液中での分散性が良好であるという観点から、アニオン性界面活性剤が好ましく、特に、スルホン酸塩またはモノスルフェートの塩を有するアニオン性活性剤が好ましい。
界面活性剤の添加量は、現像液組成物に対して0.2〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜20重量%の範囲である。添加量が0.2重量%未満では、非画像部に汚れを生じる虞があり、添加量が30重量%を越えると、耐刷性が低下する傾向があり、いずれも好ましくない。
【0018】
本発明の現像液組成物は、さらに、硬水軟化剤つまりキレート剤を含有することが好ましい。好ましいキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩を挙げることができる。キレート剤の添加量は、現像液組成物に対して0.001〜10重量%であることが好ましい。
また、本発明の現像液組成物には必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤を併用することができる。このような添加剤としては、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、有機カルボン酸、消泡剤等が挙げられる。
【0019】
本発明の現像液組成物は、露光されたネガ型画像形成材料の現像液および補充液として用いられ、自動現像機に適用することが好ましい。自動現像機を用いて現像する場合には、仕込み時の現像液より炭酸水素塩濃度の高い補充液を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の平版印刷版を処理できる。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
【0020】
本発明の画像形成方法は、支持体上に、(A)ラジカル発生剤、及び、(B)ラジカル重合性化合物を含有する画像記録層を設けてなるネガ型画像形成材料を、レーザで画像露光した後、炭酸水素塩のみをアルカリ剤として含有し、pHが7から9.5の範囲にある弱アルカリ性水溶液を用いて現像することを特徴とする。ここで、このネガ型画像形成材料について説明する。
【0021】
本発明のネガ型画像記録層としては、(A)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(B)ラジカル重合性化合物とを含有する。この画像記録層では、露光により、(A)ラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルを発生する。(B)ラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化して画像部が形成される。以下、他の画像記録層の構成成分について説明する。
【0022】
[(A)ラジカル発生剤]
本発明において好適に用いられるラジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、具体的には、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩である。これらのオニウム塩は酸発生剤としての機能も有するが、後述するラジカル重合性化合物と併用する際には、ラジカル重合の開始剤として機能する。特に、後述する赤外線吸収剤と組み合わせると、加熱或いは露光領域で、熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルを発生する。本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(1)〜(3)で表されるオニウム塩である。
【0023】
【化1】
【0024】
式(1)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、カルボン酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、およびスルホン酸イオン等の対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、カルボン酸イオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
【0025】
式(2)中、Ar21は、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21 -はZ11-と同義の対イオンを表す。
【0026】
式(3)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
【0027】
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】
本発明において用いられるオニウム塩は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、さらに360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
【0033】
これらのオニウム塩は、画像記録層塗布液の全固形分に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%の割合で画像記録層塗布液中に添加することができる。添加量が0.1重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。これらのオニウム塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、これらのオニウム塩は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
【0034】
[(B)ラジカル重合性化合物]
本発明に係る画像記録層に使用されるラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0035】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0036】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0037】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0038】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
【0039】
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0040】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0041】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
【0042】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(4)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0043】
一般式(4)
CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH
(ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示す。)
【0044】
これらのラジカル重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、画像記録層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうることがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。画像記録層中のラジカル重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、画像記録層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。
これらの観点から、ラジカル重合性化合物の好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80重量%、好ましくは20〜75重量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、ラジカル重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
【0045】
[(C)光吸収剤]
本発明は、紫外光線、可視光線、又は赤外光線に感応して画像形成を行うことから、画像記録層中に光吸収剤を含有することが好ましい。本発明において用いられる光吸収剤は紫外線、可視光、又は赤外線を吸収する化合物であり、ラジカル発生剤と組み合わせることによりラジカルを発生する。
このような組合せとしては、例えば、紫外域に感度を示す開始剤としてはアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサンソン系などが挙げられる。
【0046】
また、可視光域に感度を示す開始剤としては、有機過酸化物とクロロフィルとの組合せ、有機過酸化物とエオシンGとの組合せ、有機過酸化物とリボフラビンとの組合せ、有機過酸化物とメチレンブルーとの組合せ、有機過酸化物と(チオ)ピリリウム塩との組合せ、有機過酸化物とメロシアニンとの組合せ、有機過酸化物とキノリンとの組合せ、有機過酸化物とスチリルキノンとの組合せ、有機過酸化物と(チオ)キサンテン系色素との組合せ、有機過酸化物とリボフラビンテトラブチレートとの組合せ、有機過酸化物と(ケト)クマリン系色素との組合せ、有機過酸化物とN−フェニルグリシンとチオキサンテン系色素との組合せ、ジフェニルヨードニウム塩とメロシアニン色素との組合せ、ジフェニルヨードニウム塩とローダニン誘導体ポリマーとの組合せ、ジフェニルヨードニウム塩とケトクマリン系色素との組合せ、ジフェニルヨードニウム塩とテトラフェニルポルフィリン系色素との組合せ、ジフェニルヨードニウム塩とテトラベンゾポルフィリンとの組合せ、ジフェニルヨードニウム塩とスピロピランとの組合せ、
【0047】
ジフェニルヨードニウム塩とN−フェニルグリシンとチオキサンテン系色素との組合せ、ジフェニルヨードニウム塩とN−フェニルグリシンとメロシアニン系色素との組合せ、シアニン系色素、シアニン系色素のアルキルほう酸塩、ローダミン系色素のアルキルほう酸塩、メチレンブルー系色素のアルキルほう酸塩、鉄アレーン錯体、鉄アレーン錯体とケトクマリン系色素との組合せ、鉄アレーン錯体とチオキサンテン系色素との組合せ、チタノセン、チタノセンとメロシアニン系色素との組合せ、ビスイミダゾールとアリーリリデンアリールケトンとの組合せ、ビスイミダゾールとケトクマリン系色素との組合せ、N−フェニルグリシンとケトクマリン系色素との組合せ、N−フェニルグリシンと(チオ)キサンテン系色素との組合せ、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体とメロシアニン系色素との組合せ、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体とケトクマリン系色素との組合せ、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体とチオピリリウム塩との組合せ、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体とチオキサンテン系色素との組合せ、アミノ安息香酸エステルとリボフラビンテトラブチレートとの組合せ、2−メルカプトベンゾイミダゾールとチオピリリウム塩との組合せ等が挙げられる。
さらに、近赤外光に感度を有する開始剤は例えば、近赤外域吸収性カチオン染料の塩、近赤外域吸収カチオン性染料とアンモニウム塩の組合せ、近赤外域吸収性カチオン染料とトリアジン化合物とアンモニウム塩の組合せ等が挙げられる。
【0048】
本発明に係る画像記録材料の画像記録層を、赤外線を発するレーザで記録する場合には、露光に使用された赤外光を熱に変換する機能を有する光吸収剤を添加することが感度向上の観点から好ましい。このような光吸収剤としては、特に波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料が好ましい。以下に、赤外域に吸収を有する光吸収剤(赤外線吸収剤)について詳述する。
【0049】
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、例えば、特開平10−39509号公報の段落番号[0050]〜[0051]に記載のものを挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、シアニン色素が好ましく、特に下記一般式(5)で示されるシアニン色素が最も好ましい。
【0050】
【化6】
【0051】
一般式(5)中、X1は、ハロゲン原子、X2−L1またはNL2L3を示す。ここで、X2は酸素原子または、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、L2及びL3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を示す。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Z1-は、対アニオンを示す。ただし、R1〜R8のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、Z1-は必要ない。好ましいZ1-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、トリフルオロメチルスルホン酸イオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
【0052】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(5)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0057】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。これらの顔料の詳細は、特開平10−39509号公報の段落番号[0052]〜[0054]に詳細に記載されており、これらを本発明にも適用することができる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0058】
画像記録層中における、上述の染料又は顔料の含有量としては、画像記録層の全固形分重量に対し、0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、さらに染料の場合には、0.5〜10重量%が最も好ましく、顔料の場合には、1.0〜10重量%が最も好ましい。
前記含有量が、0.01重量%未満であると、感度が低くなることがあり、50重量%を超えると、平版印刷用原版とした場合の非画像部に汚れが発生することがある。
【0059】
[(D)バインダーポリマー]
本発明においては、画像記録層にさらにバインダーポリマーを添加することが膜性向上の観点から好ましい。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、画像記録層を形成するための皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0060】
特にこれらの中で、ベンジル基またはアリル基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0061】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
【0062】
さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0063】
本発明で使用されるポリマーの重量平均分子量については好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。
【0064】
これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0065】
本発明で使用されるバインダーポリマーは単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマーは、画像記録層塗布液の全固形分に対し20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%の割合で画像記録層中に添加される。添加量が20重量%未満の場合は、画像形成した際、画像部の強度が不足する。また添加量が95重量%を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機ポリマーは、重量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
【0066】
[その他の成分]
本発明では、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録層塗布液全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
【0067】
また、本発明においては、画像記録層は光重合層である場合、塗布液の調製中あるいは保存中においてラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重量%が好ましい。また必要に応じて、画像記録層の摩擦係数を下げ、キズを防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体や1−ドコサノールのようなアルコール等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。
【0068】
また、本発明における画像記録層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0069】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0070】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0071】
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像記録層塗布液中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0072】
さらに、本発明に係る画像記録層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0073】
本発明の画像記録材料を製造するには、通常、画像記録層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布すればよい。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−3−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
【0074】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす画像記録層の皮膜特性は低下する。
【0075】
[支持体]
本発明の画像記録材料において前記画像記録層及びバックコート層を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
【0076】
本発明の画像記録材料に使用する支持体としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れたアルミニウム板を使用することが好ましい。この目的に供されるアルミニウム材質としては、JIS 1050材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al−Mg系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al−Zr系合金。Al−Mg−Si系合金などが挙げられる。
【0077】
アルミニウム板は表面に粗面化処理等の表面処理を行い、画像記録層を塗布して平版印刷版原版とすることが出来る。粗面化処理には、機械的粗面化、化学的粗面化、電気化学的粗面化が単独又は組み合わせて行われる。また、表面のキズ付き難さを確保するための陽極酸化処理を行ったり、親水性を増すための処理を行うことも好ましい。
【0078】
以下に支持体の表面処理について説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、必要に応じ、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われてもよい。アルカリの場合、次いで酸性溶液で中和、スマット除去などの処理を行ってもよい。
【0079】
次いで支持体と画像記録層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理がなされている。この砂目立て処理法の具体的手段としては、サンドブラスト等の機械的砂目立て方法があり、またアルカリまたは酸あるいはそれらの混合物からなるエッチング剤で表面を粗面化処理する化学的砂目立て方法がある。また、電気化学的砂目立て方法、支持体材料に、粒状体を接着剤またはその効果を有する方法で接着させて表面を粗面化する方法や、微細な凹凸を有する連続帯やロールを支持体材料に圧着させて凹凸を転写する粗面化方法等公知の方法を適用できる。
【0080】
これらのような粗面化方法は複数を組み合わせて行ってもよく、その順序、繰り返し数などは任意に選択することができる。前述のような粗面化処理すなわち砂目立て処理して得られた支持体の表面には、スマットが生成しているので、このスマットを除去するために適宜水洗あるいはアルカリエッチング等の処理を行うことが一般的に好ましい。
【0081】
本発明に用いられるアルミニウム支持体の場合には、前述のような前処理を施した後、通常、耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させる。
【0082】
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならばいかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはこれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0083】
前記陽極酸化処理を施された後、前記アルミニウムの表面は、必要に応じてシリケート処理等の親水化処理が施される。
このようなアルミニウム支持体は陽極酸化処理後に有機酸またはその塩による処理または、画像記録層塗布の下塗り層を適用して用いることができる。
【0084】
なお支持体と画像記録層との密着性を高めるための中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の厚さは任意であり、露光した時に、上層の画像記録層と均一な結合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中におけるジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100%、好ましくは60〜100%である。
支持体表面に以上のような処理或いは、下塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
【0085】
平版印刷版用支持体として好ましい特性としては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmである。0.10μmより低いと画像記録層と密着性が低下し、著しい耐刷の低下を生じてしまう。1.2μmより大きい場合、印刷時の汚れ性が悪化してしまう。さらに支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であり、0.15より白い場合、画像露光時のハレーションが強すぎ画像形成に支障をきたしてしまい、0.65より黒い場合、現像後の検版作業において画像が見難くく、著しく検版性が悪いものとなってしまう。
【0086】
以上のようにして、本発明に用いるの画像形成材料を作成することができる。この画像形成材料は、赤外線レーザで記録できる。本発明においては、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。形成材料に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
また、本発明においては、波長350nmから550nmの紫外線および可視光線を放射するガスレーザ、固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されることも好ましい。レーザの出力は1mW以上が好ましく、形成材料に照射されるエネルギーは0.05〜10mJ/cm2であることが好ましい。
【0087】
画像形成材料はレーザにより露光した後、先に詳細に述べた本発明の現像液組成物にて現像される。 現像処理された画像形成材料は、所望により水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理されたのち、平版印刷版として使用される。
【0088】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、電気伝導度やpHをセンサーにて感知し、自動的に補充することもできる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
本発明の方法によれば、経時的な炭酸ガスおよび加水分解による現像性の低下の懸念がないため、これらの自動現像機のいずれにも本発明の方法を好適に適用することができる。
【0089】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、塗布した後でスキージ又はスキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥重量)が適当である。
【0090】
整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:BP−1300)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
【0091】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
【0092】
本発明の画像形成方法によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0093】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
[支持体の作製]
厚さ0.30mmのアルミニウムウエッブ(材質1050)を、トリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用い、その表面を砂目立てし、よく水で洗浄した。
このアルミニウムウエッブを25%水酸化ナトリウム水溶液(45℃)中に9秒間浸漬し、エッチングを行い水洗した後、さらに2%HNO3水溶液中に20秒間浸漬して水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は、約3g/m2であった。
次いで、電解質溶液に7%硫酸を用い、電流密度15A/dm2により、前記アルミニウムウエッブ上に3g/m2の直流陽極酸化被膜を設けた。この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5%水溶液を70℃に保ちアルミウエッブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。
【0094】
[下塗り]
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被服量は20mg/m2であった。
【0095】
<下塗り液>
・4−ジアゾ−3メトキシジフェニルアミンとホルムアルデヒド
の縮合物のジブチルナフタレンスルホン酸塩 0.3g
・2−アミノエチルホスホン酸のマグネシウム塩 0.1g
・アルミニウムエトキシド 0.2g
・メタノール 20g
・イオン交換水 80g
【0096】
[画像記録層の形成]
下記画像記録層塗布液を前記下塗り層を形成した支持体上に、ワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で45秒間乾燥して画像記録層を形成し、実施例1の平版印刷版原版[P−1]を得た。乾燥後の塗布量は2.0g/m2であった。
なお、画像記録層用塗布液の調製に用いた赤外線吸収剤などの構造は以下に示す通りである。
また、ポリマー(PB−1)は、メタクリル酸、N−アクリロイルモルホリンおよびベンジルメタクリレートの共重合体を合成した後、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと、塩基およびヨウ化カリウム存在下で反応させることにより合成した。組成モル比は、15:30:10:45であり、重量平均分子量は10万であった。
【0097】
<画像記録層用塗布液[P−1]>
・オニウム塩(KO−1) 0.25g
・重合性化合物(RM−1) 0.60g
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.06g
・ポリマー(PB−1) 1.40g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g
・N−アリルステアリン酸アミド 0.01g
・重合禁止剤 0.005g
(イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・フッ素系界面活性剤 0.03g
(メガファックKF309、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 10g
・γ−ブチロラクトン 5g
・メタノール 7g
・1−メトキシ−3−プロパノール 5g
【0098】
なお、上記実施例に用いた各化合物の構造式を以下に示す。
【0099】
【化10】
【0100】
[現像液組成物の評価]
版材供給装置(SA−L8000)、露光装置(Luxel T−9000CTP)、コンベア(T−9000 Conveyor)、自動現像機(LP−1310H)、ストッカー(ST−1160)より成る冨士写真フイルム(株)CTP出力システムを用いた。自動現像機の現像処理槽に、下記組成の現像液組成物(V−1)を仕込み、30℃に保温した。自動現像機の第二浴目には、水道水を仕込み、第三浴目には、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):水=1:1希釈したフィニッシングガム液を仕込んだ。なお、現像液のpHは、8.0であった。
【0101】
<現像液組成物[V−1]>
・炭酸水素カリウム 20g
・ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 30g
・エチレングリコールモノナフチルエーテル 20g
・亜硫酸ナトリウム 3g
・ヒドロキシエタンジホスホン酸カリウム 2g
・シリコーンSA730 0.1g
(東芝シリコーン(株)製界面活性剤)
・水 924.9g
【0102】
次に、平版印刷版用原版[P−1]サイズ1030×800mmの30枚を、版材供給装置に装填し、全自動で連続して、露光、現像処理し、ストッカーへ排出した。処理後、自動現像液を3日間そのまま放置した。放置した後、平版印刷版用原版[P−1]1枚を、版材供給装置に装填し、全自動で連続して、露光、現像処理し、ストッカーへ排出した。得られた平版印刷版[P−1]を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷した。この際、印刷開始後、充分にインキがのった印刷物をどれだけの枚数得られるかを目視にて評価した。また、そのときの非画像部の汚れの状態を目視で観察した。
その結果、自現機を放置する前に処理した印刷版も、放置した後に処理した印刷版も、6万枚の良好な印刷物が得られた。また、得られた印刷物の非画像部に汚れの発生は認められなかった。
【0103】
〔比較例1〕
上記現像液組成物[V−1]に代えて下記処方の現像液[W−1](pH11.0)を用いた以外は実施例1と同様にしてネガ型平版印刷版[Q−1]を得て比較例1とした。
【0104】
<現像液組成物[W−1]>
・炭酸カリウム 10g
・ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 10g
・エチレングリコールモノナフチルエーテル 20g
・亜硫酸ナトリウム 3g
・ヒドロキシエタンジホスホン酸カリウム 2g
・シリコーンSA730 0.1g
(東芝シリコーン(株)製界面活性剤)
・水 954.9g
【0105】
次に、平版印刷版[Q−1]を、実施例1と同様にして印刷した。この際得られた印刷物を目視にて評価したところ、自現機を放置する前に処理した印刷版は、印刷物の非画像部に汚れの発生は認められなかった。しかし、自現機を放置した後に処理した印刷版印刷物の非画像部には、現像不良の残膜に起因する汚れが発生しているのが観察された。
【0106】
〔実施例2〕
実施例1で作成したアルミニウム支持体に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被服量は20mg/m2であった。
【0107】
<下塗り液>
・メタクリロイルオキシエチルホスホン酸 0.2g
・メチルアクリレートとスチレンスルホン酸ナトリウム塩の
モル比75:15の共重合体 0.2g
・硝酸カルシウム 0.2g
・メタノール 20g
・イオン交換水 80g
【0108】
[画像記録層の形成]
下記画像記録層塗布液[P−2]を前記下塗り層を形成した支持体上に、ワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で45秒間乾燥して記録層を形成し、さらに、下記オーバーコート層塗布液をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して実施例2の平版印刷版用原版[P−2]を得た。尚、画像記録層の塗布量は2.0g/m2であり、オーバーコート層の塗布量は2.3g/m2であった。
なお、画像記録層用塗布液の調製に用いた赤外線吸収剤などの構造は以下に示す通りである。
また、ポリマー(PB−2)は、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミドおよびエチルメタクリレートの共重合体を合成した後、1,2−エポキシ−3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキサンと反応させることにより合成した。組成モル比は、15:30:20:35であり、重量平均分子量は12万であった。
【0109】
<画像記録層用塗布液[P−2]>
・チタノセン型ラジカル発生剤 0.1g
(CGI−784 、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・重合性化合物(RM−2) 0.60g
・重合性化合物(RM−3) 0.20g
・可視光吸収剤(VR−1) 0.10g
・ポリマー(PB−2) 1.20g
・銅フタロシアニン顔料 0.04g
・重合禁止剤 0.005g
(クペロンAl、和光純薬(株)製)
・フッ素系界面活性剤 0.03g
(メガファックKF309、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 10g
・γ−ブチロラクトン 5g
・メタノール 7g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5g
【0110】
なお、上記実施例に用いた各化合物の構造式を以下に示す。
【0111】
【化11】
【0112】
<オーバーコート層用塗布液>
・ポリビニルアルコール 3.0g
(ケン化度98.5モル%、重合度500)
・非イオン性界面活性剤 0.05g
(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製)
・イオン交換水 96.95g
【0113】
[現像液組成物の評価]
冨士写真フイルム(株)製自動現像機(LP−850P2)の現像処理槽に、下記組成の現像液組成物(V−2)を仕込み、30℃に保温した。自動現像機の第二浴目には、水道水を仕込み、第三浴目には、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):水=1:1希釈したフィニッシングガム液を仕込んだ。なお、現像液のpHは、8.1であった。
【0114】
<現像液組成物[V−2]>
・炭酸水素ナトリウム 26g
・エチレングリコールモノナフチルエーテル
モノスルフェートのナトリウム塩 30g
・エチレングリコールモノドデシルエーテル 20g
・亜硫酸ナトリウム 3g
・エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム 1g
・水 920g
【0115】
次に、平版印刷版原版[P−2]サイズ1030×800mmの20枚を405nmの紫光を発する30mW半導体レーザを用い、レーザビーム径12μm、版面エネルギー50μJ/cm2の露光条件で走査露光し、上記の自現機を用いて現像処理した。処理後、自動現像液を3日間そのまま放置した。放置した後、平版印刷版用原版[P−2]1枚を、同様にレーザ露光、引き続き現像処理した。得られた平版印刷版[P−2]を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷した。この際、印刷開始後、充分にインキがのった印刷物をどれだけの枚数得られるかを目視にて評価した。また、そのときの非画像部の汚れの状態を目視で観察した。その結果、自現機を放置する前に処理した印刷版も、放置した後に処理した印刷版も、7万枚の良好な印刷物が得られた。また、得られた印刷物の非画像部に汚れの発生は認められなかった。
【0116】
〔比較例2〕
上記現像液組成物[V−2]に代えて下記処方の現像液[W−2](pH11.4)を用いた以外は実施例2と同様にしてネガ型平版印刷版[Q−2]を得て比較例1とした。
【0117】
<現像液組成物[W−2]>
・炭酸ナトリウムの1水和物 13g
・エチレングリコールモノナフチルエーテル
モノスルフェートのナトリウム塩 10g
・エチレングリコールモノドデシルエーテル 20g
・亜硫酸ナトリウム 3g
・エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム 1g
・水 953g
【0118】
次に、平版印刷版[Q−2]を、実施例2と同様にして印刷した。この際得られた印刷物を目視にて評価したところ、自現機を放置する前に処理した印刷版は、印刷物の非画像部に汚れの発生は認められなかった。しかし、自現機を放置した後に処理した印刷版印刷物の非画像部には、現像不良の残膜に起因する汚れが発生しているのが観察された。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レーザ光を用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接記録可能なネガ型画像形成材料に適用し得る、画像形成性に優れ、現像剤の特性に起因する経時的な現像性の低下を生じない現像液組成物および画像形成方法を提供することができる。
Claims (2)
- 炭酸水素塩のみをアルカリ剤として含有し、pHが7〜9.5の範囲にある弱アルカリ性水溶液であることを特徴とするネガ型画像形成材料用現像液組成物。
- 支持体上に、(A)ラジカル発生剤、及び、(B)ラジカル重合性化合物を含有する画像記録層を設けてなるネガ型画像形成材料を、レーザで画像露光した後、炭酸水素塩のみをアルカリ剤として含有し、pHが7〜9.5の範囲にある弱アルカリ性水溶液を用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
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