JP2010198905A - 放電ランプ、光源装置およびプロジェクタ - Google Patents

放電ランプ、光源装置およびプロジェクタ Download PDF

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Abstract

【課題】連続利用に伴う発光管の経年変化を防止して、長期的な信頼性および発光輝度の向上を図ることのできる放電ランプ、光源装置およびプロジェクタを提供する。
【解決手段】本発明は、発光管11の内面111A1に、イットリウム酸化物からなる第1の保護膜16Aと、イットリウム酸化物よりも高融点の金属酸化物からなる第2の保護膜16Bとがこの順に形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、放電ランプ、光源装置およびプロジェクタに関するものである。
従来、プロジェクターは、映像投写装置として会議でのプレゼンテーション用や家庭におけるホームシアター用など各方面に利用されている。このようなプロジェクターに使用される光源装置としては、例えば、特許文献1に記載されているように、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、及び高圧水銀ランプなどの電極を有する放電式ランプが主に用いられている。
特開2006−210363号公報
しかしながら、このような放電式ランプは連続使用に伴う経年変化により、発光管に使われる石英ガラスが放電によるプラズマからの熱により白濁して失透するなどの現象が発生していた。これらの現象が、ランプの寿命、効率の低下を招いていた。
本願発明者は実験から、熱による石英ガラスの失透(結晶化)を抑制する方法として、発光管の内面にイットリア(Y)膜を成膜することで石英の結晶化が抑えられることを既に提案している。しかしながら、発光によりイットリア膜が常に高温にさらされるとイットリア膜が焼結する場合があり、さらなる改善の余地がある。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、連続使用に伴う発光管の経年変化を防止して、長期的な信頼性をより確実に得ることのできる放電ランプ、光源装置およびプロジェクタを提供することを目的としている。
本発明の放電ランプは、上記課題を解決するために、発光管の内面に、イットリウム酸化物からなる第1の保護膜と、イットリウム酸化物よりも高融点の金属酸化物からなる第2の保護膜と、がこの順に形成されていることを特徴とする。
本発明は、イットリウム酸化物からなる第1の保護膜と、イットリウム酸化物よりも高融点の金属酸化物からなる第2の保護膜と、がこの順で発光管の内面に形成されている。このような2層構造にすることで、光源装置の駆動によって発光管が高温に晒されたとしても、耐熱性の高い第2の保護膜によってイットリウム酸化物からなる第1の保護膜を保護することができ、発光管の失透を長期的且つ効果的に抑制することができる。したがって、連続使用に伴う発光管の経年変化が防止されて放電ランプの長寿命化が可能となり、信頼性の高い放電ランプが得られる。
また、前記第2の保護膜が、ハフニウム酸化物またはジルコニウム酸化物からなることが好ましい。
本発明によれば、イットリウム酸化物よりも高融点のハフニウム酸化物またはジルコニウム酸化物からなる第2の保護膜はランプ熱によって変質しにくいため、第1の保護膜を効果的に保護することができる。
また、前記発光管の内面に、イットリウム酸化物からなる第1の保護膜と、1800℃以上の融点を有する金属酸化物の結晶膜からなる第2の保護膜と、がこの順に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、すでに結晶質の第2の保護膜によって、イットリウム酸化物からなる第1の保護膜をランプ熱から長期的に保護することが可能となる。
また、前記第2の保護膜が、セリウム酸化物からなることが好ましい。
第2の保護膜を構成するセリウム酸化物は、結晶構造が安定しており、高温に晒されたとしてもその性質が変化することがないため、イットリウム酸化物からなる第1の保護膜をランプ熱から長期的に保護することが可能となる。
また、前記第1の保護膜の膜厚が、0.1μm以上3μm以下であり、前記第2の保護膜の膜厚が、0.2μm以上0.8μm以下であることが好ましい。
本発明によれば、良好な失透抑制効果が長期的に持続し、輝度低下が抑制される。
また、前記第1の保護膜の膜厚が、0.2μm以上1μm以下であることが好ましい。
本発明によれば、良好な失透抑制効果が長期的に持続し、輝度低下がより一層抑制される。
本発明の光源装置は、先に記載の放電ランプを備えている。
本発明によれば、失透抑制効果が高く長寿命な放電ランプを備えることによって、高輝度発光が長期的に得られる高信頼性の光源装置が得られる。
本発明のプロジェクタは、先に記載の光源装置を備えている。
本発明によれば、高輝度発光が長期的に得られる光源装置を備えることによって、視認性が良好で高品位なプロジェクタとすることができる。
本発明に係る光源装置の概略構成を示す断面図。 本発明に係る放電ランプの概略構成を示す断面図。 膜が焼結した状態を示す図。 第2実施形態の放電ランプを示す断面図。 本発明に係るプロジェクタの概略構成図。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態である光源装置の全体構成を示す平面図、図2は、放電ランプの概略構成を示す断面図である。
本実施形態の光源装置1は、後述するプロジェクタに好適に採用されるもので、リフレクタ12と、リフレクタ12の内部に配置される放電ランプ3と、を有している。放電ランプ3は、石英ガラスから構成される発光管11と、発光管11内に配置された一対の電極112,112とを有し、発光管11内には発光物質が封入されている。
発光管11は、中央部が球状に膨出した膨出部111Aと、膨出部111Aの両側に延在する封止部111B、111Bと、からなり、膨出部111Aの内部に発光物質を充填した発光領域14(発光ガスを封入した封入空間)が形成されている。発光領域14の内径は例えば、略1mm〜2mm程度である。
封止部111B、111Bには、それぞれ棒状の電極112,112が互いの端部を離間させた状態で配置されている。電極112、112は導電性材料であって、特に、熱膨張係数が小さく耐熱性が高い材料、具体的にはタングステン合金が適している。
なお、電極112、112の先端が発光管11の発光領域14に侵入する場合は、内部に充填するガスの種類にもよるが、ガスとの反応により電極材料の金属が腐食することが考えられるので、その場合は保護膜などを備えることが望ましい。
封止部111B、111Bの内部には、一対の電極112,112と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔111B1が挿入され、ガラス材料等で封止されている。この金属箔111B1には、さらに電極引き出し線としてのリード線113が接続され、このリード線113は、放電ランプ3の外部まで延出している。
発光領域14内に充填される発光物質としては、水銀、希ガスおよびハロゲン化合物で構成される。ここで、水銀は、例えば0.15mg/mm〜0.32mg/mmの封入量であり、150bar〜190barの蒸気圧で封入されることが好ましい。
また、希ガスは、発光部における発光を補助するために用いられるものであり、特に限定されないが、常用されるアルゴンガス、キセノンガス等を用いることができる。
さらにハロゲン化化合物は、塩素、臭素、および沃素のうちのいずれかのハロゲンを用いることができ、特に臭素を用いることが好ましい。
図2に示すように、本実施形態の発光管11には、膨出部111Aの内面111A1に発光管11の失透を抑制するための失透抑制膜16が設けられている。
失透抑制膜16は、イットリウム酸化物(Y)からなる第1の保護膜16Aと、イットリウム酸化物よりも高融点の材料からなる第2の保護膜16Bとが内面111A1上にこの順で成膜されてなる2層膜であって、膨出部111Aの内面111A1全体を覆っている。
第1の保護膜16Aを構成しているYは、石英ガラスの失透を抑制するという効果を有している。第2の保護膜16Bの材料としては、イットリウム酸化物よりも高融点の透明材料が用いられ、例えば、ジルコニウム酸化物(ZrO)やハフニウム酸化物(HfO)等が挙げられる。これらの材料はランプ使用温度で結晶化しにくく島状(図3参照)になりにくいという効果を有している。
第1の保護膜16Aおよび第2の保護膜16Bからなる積層膜を失透抑制膜16として用いることで、第1の保護膜16Aがランプ熱による石英ガラスの結晶化を抑制しつつ、Yよりも融点が高く凝集しにくい第2の保護膜16Bによって第1の保護膜16Aをランプ熱から保護し、焼結してしまうのを防止することとなる。これにより、失透抑制膜16の膜状態を良好に維持することができ、発光管11の失透を長期的に抑制し得る。
失透抑制膜16の膜厚は、発光管11内に封入される発光物質などによっても異なってくるが、例えば、第1の保護膜16Aの膜厚が0.1μm以上3μm以下であり、第2の保護膜16Bの膜厚が0.2μm以上0.8μm以下とされている。
第1の保護膜16Aの膜厚が0.1μm未満の場合には、ランプ使用温度によって焼結しやすいため失透抑制効果があまり期待できない。また、膜厚が3μmを超える場合には、透明性が低下してしまい輝度の低下を招くおそれがある。
また、第2の保護膜16Bの膜厚が0.2μm未満の場合には、第1の保護膜16Aをランプ熱から保護しきれず所望の失透抑制効果が得られない。また、第2の保護膜16Bの膜厚が0.8μmを越える場合には、目視で透明性の低下が確認される程であった。このため、第1の保護膜16Aを0.1μm以上3μm以下の膜厚で形成し、第2の保護膜16Bを0.2μm以上0.8μm以下の膜厚で形成するのがよい。
このような失透抑制膜16は、まず、Yの微粒子を分散媒溶液に分散させたものを発光管11の内面111A1に塗布し、自然乾燥後、所定の温度で熱処理を施すことによって第1の保護膜16A(Y膜)を成膜し、続けてZrOやHfO等の透明材料を分散媒溶液に分散させたものをY膜上に塗布し、自然乾燥後、所定の温度で熱処理を施すことによって第2の保護膜16B(透明材料膜)を成膜することによって形成する。
なお、適切な分散媒溶液を選択することによって均一な膜を得ることができる。また、微粒子を分散させた膜を構成する金属元素の媒体を溶解させた溶液を用いてもよい。
リフレクタ12は、放電ランプ3の封止部111Bが挿通される首状部121およびこの首状部121から拡がる曲面状の反射部122を備えたガラス製の一体成形品である。
首状部121には、中央に挿入孔123が形成されており、この挿入孔123の中心に封止部111Bが配置される。
反射部122は、曲面状のガラス内面に金属薄膜を蒸着形成して構成され、この反射部122の反射面は、可視光を反射して赤外線を透過するコールドミラーとされる。
放電ランプ3は、この反射部122の内部に配置され、膨出部111Aの内の電極112,112間の発光中心が反射部122の曲面の第1焦点位置L1となるように配置される。
そして、放電ランプ3を点灯すると、図1に示されるように、膨出部111Aから放射された光束は、反射部122の反射面で反射して、平行光となる。
このようなリフレクタ12に放電ランプ3を固定する際には、放電ランプ3の封止部111Bをリフレクタ12の挿入孔123に挿入し、膨出部111A内の電極112間の発光中心が反射部122の曲面の焦点位置L1となるように配置し、挿入孔123内部にシリカ、アルミナを主成分とする無機系接着剤を充填する。
副反射鏡13は、膨出部111Aの発光領域14の光束射出方向前側を覆う反射部材であり、その反射面は、発光領域14の球面(発光管11の内面111A1)に倣う凹曲面状に形成され、反射面はリフレクタ12と同様にコールドミラーとされている。
ここで、副反射鏡13は、膨出部111Aの発光領域14の光束射出方向前側略半分以上、1/3以下の範囲を覆うことが好ましい。
上述した放電ランプ3において、封止部111Bから外側に延出するリード線113に電圧を印加すると、電極112,112間で放電が生じて発光部15が発光する。そして、放電ランプ3の膨出部111Aから前方側に射出された光束の一部は、この副反射鏡13の反射面にて反射され、膨出部111Aに再度戻る。そして、この戻り光の一部が膨出部111Aの発光領域14に封入された封入物にエネルギーを吸収されるとともに、その他の戻り光がリフレクタ12側に向けて進み、リフレクタ12の反射部122から射出される。
本実施形態の光源装置1は、発光管11の内面111A1に設けられた失透抑制膜16によって発光管11の失透を長期的に抑制することが可能である。失透抑制膜16は、Yからなる第1の保護膜16Aと、その上に積層されYよりも高融点材料からなる第2の保護膜16Bとによる積層膜からなっているため、放電ランプ3の連続点灯によって発光管11が長時間高温に晒されたとしても、ランプ熱によって変質しない第2の保護膜16Bにより第1の保護膜16Aを保護することができるので、その膜状態を長期的に維持することが可能となる。
これにより、失透抑制膜16による失透抑制効果が長期的に持続し、発光管11の失透に伴う輝度低下が抑制されて高輝度発光の放電ランプ3が得られるとともに、放電ランプ3の長寿命化が可能になって信頼性の高い光源装置1となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態である光源装置について説明する。図4は、第2実施形態の放電ランプを示す断面図である。以下の説明では、先の実施形態と異なる構造について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1及び図2と共通の構成要素には同じ符号を付すものとする。
本実施形態における放電ランプ3は、発光管11の内面111A1にイットリウム酸化物からなる第1の保護膜16Aと、結晶膜からなる第2の保護膜16Cがこの順に積層されてなる失透抑制膜17を有している。第2の保護膜16Cの材料としては、セリウム酸化物(CeO)が挙げられる。CeOは、融点は低めだが結晶構造が安定しており、高温に晒されたとしてもその性質が変化することはない。このため、第1の保護膜16A上に結晶性の高いCeO膜を成膜することによって、高温下での第1の保護膜16Aの凝集が防止されて、第1の保護膜16Aの表面の耐熱性を向上させることが可能となる。したがって、本実施形態の失透抑制膜17により、発光管11の失透をより一層長期的に抑制することができて放電ランプ3としての信頼性が高められる。
[試験例]
次に、本発明の効果を明らかにするために放電ランプの点灯試験を行った。先の実施形態で述べた構成の放電ランプを複数用意し、種類の異なる失透抑制膜を備えた実施例1〜9と比較例1,2とにより、各放電ランプの信頼性を比較した。
実施例1,4〜9はY膜上にHfO膜が積層された失透抑制膜を備え、実施例2はY膜上にZrO膜が積層された失透抑制膜を備え、実施例3はY膜上にCeO膜が積層された失透抑制膜を備えている。
また、比較例1はYのみからなる失透抑制膜(単層膜)を備え、比較例2はHfO膜上にY膜が積層されていて本発明とは積層膜順が逆になった失透抑制膜を備えている。
試験には、超放電ランプ(170W)を用い、各発光管の内側に複数の材料膜をディッピングによってそれぞれ成膜(積層)することで失透抑制膜を形成した。
発光管を構成する石英ガラスは、他のガラスと同様に、高温に晒されるとSiOの結晶層の一つ、すなわち構造的により安定な高温型のクリストバライト(β−クリストバライト)に転移して結晶化する傾向がある。結晶化は不均一な核の形成で始まり、石英ガラス全体へと成長していく。温度が高いほど結晶成長の速度は速くなるが、その速度は周囲の雰囲気中の不純物によって影響を受け、不純物が多い場合には10倍ないし100倍に変化することがある。このため、発光管内面の石英ガラスがむき出しの場合には早期に失透してしまう。そこで、各材料からなる失透抑制膜(単層膜、積層膜)を備えた複数のランプを用いて、失透抑制効果の高い構成の失透抑制膜を明らかにする。
表1に、各実施例1〜9と各比較例1,2における試験結果を示す。表1では、第1の保護膜および第2の保護膜の種類、膜厚(μm)、試験前の平均透過率(%)、失透確認時間(H)、試験後の平均透過率(%)の各項目についての評価結果を示す。
まず、比較例1,2の試験結果について述べる。
比較例1のように、膜厚0.5μmのYからなる単層膜を備えたランプは、試験前では平均透過率が83%あったが、連続点灯時間が3000時間を経過した時点で失透が確認され、試験後の平均透過率は15%程度にまで大幅に低下した。これは、本例におけるY膜の膜厚が0.5μmと非常に薄く、ランプの使用熱によってY膜が焼結してしまったことによる。焼結してしまうと膜状態を維持することができず、図3に示すような島状になってしまう。このため、比較例1の構成では失透抑制効果はほとんど期待できない。
比較例2では、膜厚0.2μmのHfO膜上に膜厚0.5μmのY膜が積層されており、本発明に係る失透抑制膜の膜構造と成膜順が逆になっている。このランプは、試験前の平均透過率が85%程度あったが、連続点灯時間が2000時間を経過した時点ではやくも失透が確認され、比較例1と同様、試験後の平均透過率は15%程度にまで大幅に低下した。本例においては、最表面にY膜が存在することから、ランプ点灯中においてY膜が常に高温に晒されることとなる。上述したように、薄い膜厚のY膜は焼結しやすい。HfO膜は結晶化しにくく島状になりにくいものの、失透抑制効果はあまり期待できない。そればかりか、失透確認時間が大幅に短縮されてしまい失透がかえって加速されてしまっている。
次に、実験例1〜9の試験結果について述べる。
実施例1〜3における各ランプは、失透抑制膜を構成する第1の保護膜としてそれぞれ膜厚0.2μmのY膜を有しており共通しているが、第2の保護膜の種類が異なっている。第2の保護膜として、実施例1はHfO膜、実施例2はZrO膜、実施例3はCeO膜を有し、それぞれの膜厚が0.5μmとなっている。これら実施例1〜3の各ランプは、試験前の平均透過率が85%であり、連続点灯時間が6000時間を超えてもまだ失透は確認されなかった。試験後の平均透過率は試験前ほとんど変わらず、平均83%以上と高い透過率が得られた。これは、Y膜上に積層されたHfO膜、ZrO膜、CeO膜によるY膜の保護効果が発揮されたことによるものであって、失透抑制膜の膜状態が長期的に維持されたことで発光管の失透が長期的に抑制されたと考えられる。
実施例4のランプは、膜厚が0.1μm未満のY膜上に膜厚0.5μmのHfO膜が積層された失透抑制膜を有する。本例では、他の実施例と比べてY膜の膜厚が薄い分、試験前の平均透過率は87%と最も高かったが、連続点灯時間が3000時間に達したときに失透が確認された。これにより、Y膜の膜厚が薄すぎると失透抑制効果は得られないことが明確になった。
実施例5及び実施例6のランプは、Y膜の膜厚が0.5μmあるいは1μmとされており、その上に膜厚0.5μmのHfO膜が積層されている。これらは、試験前の平均透過率が80%以上あり、連続点灯時間が6000時間を経過しても失透は確認されず、試験後における平均透過率は75%以上あった。
実施例7のランプは、失透抑制膜におけるY膜の膜厚が3μm、実施例8のランプではY膜の膜厚が5μmとなっている。各実施例7,8における試験前の平均透過率を比べると、実施例7では80%と透明性が確保されているのに対して、実施例8では75%であり、膜厚が増加したことによる透明性の低下が確認された。各実施例ともに、連続点灯時間が6000時間を経過しても失透は確認されなかったが、試験後における平均透過率は、実施例7が60%であったのに対して、実施例8では45%にまで大幅に低下しており、Y膜の膜厚が厚すぎると失透がかえって加速されてしまうことが判明した。
実施例9のランプは、Y膜の膜厚が0.5μm、HfO膜の膜厚が0.1μmとされており、Y膜上にこれよりも薄いHfO膜が積層されている。このランプは、試験を開始してから3500時間のときに失透が確認された。また、試験前には82%あった平均透過率も試験後には45%にまで大幅に低下してしまっている。Y膜の膜厚に対してHfO膜の膜厚が薄すぎたことでY膜の保護効果が低下してしまったことが考えられる。
以上の結果から、Y膜のみの場合より、Y膜上にHfO膜、ZrO膜あるいはCeO膜のいずれかを積層した2層構造の方が失透抑制効果が高いことが確認された。第2の保護膜としてのHfO膜、ZrO膜およびCeO膜が、第1の保護膜として発光管の内面に成膜されたY膜を保護することとなるため、Y膜の膜厚が0.2μmと比較的薄くても問題はなく、成膜による透過率の減少が抑えられる。しかしながら、Y膜の膜厚が0.1以下の場合は失透抑制効果はほとんど得られず、逆に5μmと厚い場合にもその効果はあまり期待できないことがわかった。
上記試験結果より、Y膜からなる第1の保護膜の膜厚を0.1μm以上3μm以下、HfO膜、ZrO膜、CeO膜のうちのいずれかからなる第2の保護膜の膜厚を0.2μm以上0.8μm以下の範囲内で設定し、より高い失透抑制効果を得るには第1の保護膜の膜厚を0.2μm以上1μm以下とするのがよい。
この点灯試験において、2層構造の失透抑制膜により長期的な失透抑制効果が得られることを確認することができた。失透抑制膜を構成する各保護膜の膜条件は、ランプの出力や発光物質の種類によっても異なってくるが、特に材料と膜厚を好適に選択することによって熱による発光管の結晶化をより一層抑制することができ、失透に伴う輝度低下を防ぐことができる。したがって、上記条件を満たした本発明に係る失透抑制膜を有する放電ランプを備えた光源装置は、その信頼性が格段に向上し、後述するプロジェクタの光源系として好適なものとなる。
(プロジェクタ)
次に、上記実施形態の光源装置を用いたプロジェクタについて説明する。
図5は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、上記した本発明の光源装置1を備えたランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル(光変調部)1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114(投射部)を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
プロジェクタ1100は、上述した実施形態の光源装置1を備えている。光源装置1は失透が長期的に抑制されるものであるため高輝度な照明光を長期に亘って照射することが可能である。このため、プロジェクタ1100は、長寿命化され、表示品位が高く信頼性の高い投写像を得ることができる。また、小型な光源装置1を備えたことにより、全体が小型化されかつ軽量なプロジェクタを得ることができる。
また、上記実施形態でのプロジェクタ1100は、光変調部として液晶パネルを用いている。しかし、これに限らず、一般に、入射光を画像情報に応じて変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置などを使用しても良い。なお、マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(Digital Micro mirror Device)(登録商標)を用いることができる。なお、マイクロミラー型光変調装置を用いた場合には、入射偏光板や射出偏光板などは不要とすることができ、偏光変換素子も不要とすることができる。
上記実施形態での光源装置1は、透過型液晶方式のプロジェクタ1100に用いられている。しかし、これに限らず、反射型液晶方式であるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式などを採用したプロジェクタに用いられても同様の効果を奏することが可能である。
先の実施形態での光変調部は、液晶パネルを3枚使用する3板方式であっても、液晶パネルを1枚使用する単板方式を用いても良い。なお、単板方式を用いた場合には、照明光学系の色分離光学系や色合成光学系などは不要とすることができる。
また、光源装置1は、外部に設置される投射面に光学像の投射を行うフロントタイプのプロジェクタに適用している。しかし、これに限らず、プロジェクタの内部にスクリーンを有して、そのスクリーンに光学像を投射するリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、先の実施形態における光源装置1では、マイクロ波電源やAC電源を採用することが可能である。
また、先の実施形態での光源装置1は、プロジェクタの光源として適用している。しかし、これに限らず、小型軽量の光源装置は、他の光学機器に適用しても良い。また、航空、船舶、車輌などの照明機器や、屋内照明機器などへも好適に適用することができる。
1…光源装置、3…放電ランプ、11…発光管、112…電極、111A1…内面、16…失透抑制膜、16A…第1の保護膜、16B…第2の保護膜、1100…プロジェクタ、1110G、1110R…液晶パネル(光変調部)、1114…投射レンズ(投射部)

Claims (8)

  1. 発光管の内面に、イットリウム酸化物からなる第1の保護膜と、
    イットリウム酸化物よりも高融点の金属酸化物からなる第2の保護膜と、がこの順に形成されている
    ことを特徴とする放電ランプ。
  2. 前記第2の保護膜が、ハフニウム酸化物またはジルコニウム酸化物からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
  3. 前記発光管の内面に、イットリウム酸化物からなる第1の保護膜と、
    1800℃以上の融点を有する金属酸化物の結晶膜からなる第2の保護膜と、がこの順に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
  4. 前記第2の保護膜が、セリウム酸化物からなる
    ことを特徴とする請求項3記載の放電ランプ。
  5. 前記第1の保護膜の膜厚が、0.1μm以上3μm以下であり、
    前記第2の保護膜の膜厚が、0.2μm以上0.8μm以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の放電ランプ。
  6. 前記第1の保護膜の膜厚が、0.2μm以上1μm以下である
    ことを特徴とする請求項5記載の放電ランプ。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の放電ランプを備えたことを特徴とする光源装置。
  8. 請求項7に記載の光源装置を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
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