JP2010197357A - 回転速度検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転速度検出装置において、瞬時回転速度の時間分解能を上げるとともに、高精度に瞬時回転速度を求めることができるようにする。
【解決手段】回転体の回転に応じて信号波を発生するセンサと、信号波を解析して回転体の瞬時回転数を算出する演算手段とを備えた回転速度検出装置において、信号波の3〜7の波数を含む短時間の時間窓によって信号波を切り出し(S3)、切り出した信号波を解析して瞬時位相を算出し、瞬時位相の時間変化から瞬時角速度を算出し(S4〜S7)、瞬時角速度を積分して改めて瞬時位相を算出し(S8)、さらに、信号波の山のピーク時刻を算出し(S2)、ピーク時刻に基づいて前記改めて算出した瞬時位相を補正して補正瞬時位相を算出し(S9)、補正瞬時位相の時間変化から瞬時回転数を算出する(S11)。
【選択図】図5

Description

本発明は、エンジンやモータ等の回転体の回転速度を検出する回転速度検出装置に関する。
機械システムには、モータやエンジンなどのように、回転体を有する機構を持つものが多い。回転体の回転速度(回転数)変動は振動や騒音の発生原因となるため、回転数を精度よく測定して、回転速度変動を低減する方策を見つけることが重要である。
回転体の回転速度を検出する回転速度検出装置10として、最も一般的なものは、図1に示すように、回転体に歯車11を取り付け、その近傍に電磁センサ12を固定して、電磁センサ12により歯車11の歯が電磁センサ12の感知領域を通過することにより変動する電圧波形を図示しないCPUで処理して、回転速度を検出するものである。図2は、エンジンの回転軸に取り付けられた電磁型回転速度検出装置から出力された電圧波形の例である。多少、波形に歪は見られるが、略正弦波のような信号波13をしている。信号波13上の各点は、サンプリングに対応するものである。
このような回転速度検出装置の出力から回転速度を求める方法は、信号波13の(m−1)番目の山のピーク時刻tm−1からm番目の山のピーク時刻tまでの時間(t−tm−1)により、この時間内における回転角度(2π/Nt)を割ることによって、回転角速度ωを次式(1)で求めることである。ここで、Ntは、歯車の歯数である。
ω=(2π/Nt)/(t−tm−1) (1)
しかしながら、この方法では歯車の歯に対応する波形のピーク時刻tごとの回転角速度ωしか求めることができない。別の表現をすれば、1回転にNt個の測定データしか求めることができない。具体的例をあげると、歯数が120の歯車を使用すれば、1回転に120個の測定データしか求めることができない。
また、図2の例からわかるように、サンプリング値の極大の点が信号波13の真のピークとはからなずしも一致していない。実測上で極大となる時間tを求める方法では、サンプリング時間間隔の最大半分の測定誤差を有するという問題がある。また、ノイズがあれば、それも誤差要因となる。
上述の問題を解決するためには、1回転あたり非常に多くのパルス(たとえば、数万パルス/1回転)を出力するエンコーダと呼ばれる回転角検出器が用いられることもある。しかしながら、このような高周波パルス信号をディジタル化して利用できるデータとするには、さらにその100倍程度の周波数でサンプリングする必要がある。例えば、50000(パルス/回転)のエンコーダの場合は、5MHz程度のサンプリング周波数が必要となる。このような場合のサンプリング周波数は、通常の信号のサンプリング周波数より極端に大きくなり、他の計測データと異なるサンプリング周波数となるため、データ計測システムの煩雑化につながるうえ、装置が高価になるという問題がある。
以上、回転速度検出装置のタイプとして電磁センサを用いるものについて述べたが、静電型センサや、多数の穴の開いた円板と光学的センサを用いるものも可能である。あるいは、回転体に白黒の帯のテープを貼りつけて、それに光を当てて、反射光の明暗を光学的にセンシングするタイプも同様に使用可能である。
図2に示すような信号波13の周波数を求める方法としては、後記特許文献1に開示されているように、サンプリングデータを得た後、そのデータを周波数解析する方法もある。
この周波数解析の方法を図3に基づいて説明する。電磁センサ12からは、正弦波の信号S(t)が得られる。この信号S(t)は、デジタル化されて、S(nΔT)のようなN個の信号になる。ただし、nは、0,1,2,・・・・,N−1の正の整数で、サンプリング番号と呼ばれる。ΔTはサンプリング周期である。また、Nは、フーリエ変換に使用するサンプリング数で、時間窓長(観測窓長)とも呼ばれる。この信号S(nΔT)は、フーリエ変換部321に導かれ、フーリエ変換されて、複素スペクトルG(k)=Gr(k)+jGi(k)となる。ただし、jは虚数単位であり、実部Gr(k)及び虚部Gi(k)は、図4に示した(2)式及び(3)式で表される。
この複素スペクトルG(k)は、片側スペクトル演算部322に導かれて、負周波数領域のスペクトルを零にされ、さらに逆フーリエ変換部323で逆フーリエ変換され、これから実部Sr、虚部SiのベクトルV=Sr+jSiが得られる。
このベクトルVが実軸となす角をθとする。このベクトルVは、角度演算部33に導かれて、θ=tan−1(Si/Sr)の演算により、θが得られる。このθが角速度演算部34で微分されて、角速度ω=dθ/dtが得られる。
なお、このような方法は、下記非特許文献1及び2にも開示されている。
特開平5−288758号
Hideo Suzuki, Furong Ma, HideakiIzumi, Osamu Yamazaki, Shigeki Okawa and Ken’itiKido, Instantaneous frequencies of signals obtained by the analytic signalmethod, Acoustical Science and Technology, Vol.27(2006), No.3, pp.163-170. 大原康司,北川副郎,加藤直也,清水光一,ヒルベルト変換を用いたギア対の加速時回転角差−加速時ギア騒音への適用−,デンソウテクニカルレビュー,Vol.13(2008), No.1, pp.94−100.
前記特許文献1に開示された回転速度検出装置のように、サンプリングデータをフーリエ変換する方法では、通常、時間窓長を長くとる必要がある。時間窓長が短いと、誤差が発生し易くなるからである。しかし、時間窓長を長くとると、信号の取り込みに時間を要し、リアルタイム処理が困難になるという問題がある。また、歯車の歯の欠陥などにより回転速度変動が狭い範囲で起こるような場合には対応できず、時間分解能が低くなるという問題も生じる。そこで、時間分解能を向上させるためには、時間窓長を短くすることが望まれるが、前述したように誤差が発生し易くなるという問題を生じる。また、この方法では、角速度または回転数の推定に一定量のバイアス誤差が発生して、精度が悪いという問題もある。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、回転速度検出装置において、瞬時回転速度の時間分解能を上げるとともに、高精度に瞬時回転速度を求めることができるようにすることを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、回転体の回転に応じて信号波を発生するセンサと、前記信号波を解析して前記回転体の瞬時回転速度を算出する演算手段とを備えた回転速度検出装置において、所定時間の時間窓によって前記信号波を切り出す信号切り出し手段と、切り出した信号波を解析して瞬時位相を算出し、該瞬時位相の時間変化から瞬時角速度を算出する角速度算出手段と、前記瞬時角速度を積分して改めて瞬時位相を算出する位相算出手段と、前記信号波の山又は谷のピーク時刻を算出するピーク時刻算出手段と、前記ピーク時刻に基づいて前記改めて算出した瞬時位相を補正して補正瞬時位相を算出する位相補正手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明において、前記補正瞬時位相の時間変化から補正瞬時回転速度を算出する補正回転速度算出手段を備えたことを特徴とする。
請求項3に係る発明では、請求項1に係る発明において、前記補正瞬時位相の時間変化から回転むらを算出する回転むら算出手段を備えたことを特徴とすることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、所定時間の時間窓によって信号波を切り出す信号切り出し手段、切り出した信号波を解析して瞬時位相を算出し、該瞬時位相の時間変化から瞬時角速度を算出する角速度算出手段とを備えたから、時間窓を適切に選択することによって、時間分解能を上げながら、高精度の瞬時角速度(瞬時回転速度)を得ることができる。そして、前記瞬時角速度を積分して改めて瞬時位相を算出する位相算出手段と、前記信号波の山又は谷のピーク時刻を算出するピーク時刻算出手段と、前記ピーク時刻に基づいて前記改めて算出した瞬時位相を補正して補正瞬時位相を算出する位相補正手段とを備えたから、高精度の位相を同時に得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、さらに前記補正瞬時位相の時間変化から補正瞬時回転速度を算出する補正回転速度算出手段を備えたから、いっそう高精度に瞬時回転速度を求めることができる。
請求項3に係る発明によれば、さらに前記補正瞬時位相の時間変化から回転むらを算出する回転むら算出手段を備えたから、回転体の回転速度変動を検出することが容易となって、回転体の回転速度変動を低減する方策を見つけ易くなる。
一般の回転速度検出装置の構成を説明する図である。 前記回転速度検出装置のセンサから出力された信号波を示す図である。 従来の回転速度算出方法の一例を説明する図である。 従来の回転速度算出に用いる複素スペクトルを示す式である。 本発明の回転速度算出方法の一実施例を説明するフローチャートである。 前記センサから出力された信号波の山のピーク付近を示す図である。 前記信号波の山のピーク位置を算出するときに使用する式である。 前記信号波をハニング窓によって切り出した波形である。 ハニング窓によって切り出された信号波を離散フーリエ変換して得られたスペクトルである。 前記スペクトルから抽出した正の一次周波数成分を逆離散フーリエ変換して得られた複素時間軸信号の複素平面表示である。 信号波の山のピーク位置に基づいて瞬時位相を補正した補正瞬時位相を算出する方法を説明する図である。 回転速度検出装置モデルによる出力波形の例を示す図である。 瞬時位相を補正しない場合の本実施例の効果を説明する図である。 時間窓長を変えた場合の本実施例の効果を説明する図である。 瞬時位相を補正した場合の本実施例の効果を説明する図である。 1回転中の回転角度と瞬時回転数の関係を示す図である。 200回転の平均後の回転角度と瞬時回転数との関係を示す図である。
以下、図面に基づいて、本発明の一実施例について説明する。本実施例の回転速度検出装置も、図1に示した従来のものと同じく、回転体に歯車11を取り付け、その近傍に電磁センサ12を固定して、歯車11の歯が電磁センサ12の感知領域を通過することにより変動する電圧波形を所定のサンプリング周期で検出する。しかし、本実施例の回転速度検出装置10の図示しないCPU(演算手段)が内蔵している回転数算出プログラムは、以下に述べるように従来のものと大きく相違する。
それでは、図5に基づいて、この回転数算出プログラムが行う瞬時回転数算出の手順を説明する。
回転数算出プログラムがスタートすると、まず、ステップS1に進んで、電磁センサ12から出力された信号波13をサンプリングする。電磁センサ12からの信号波13は、図2に示すような略正弦波の連続波である。信号波13の1つの山は、歯車10の歯1つに対応し、信号波13の基本周波数は回転数と歯車11の歯数の積になる。
次に、ステップS2に進んで、信号波13の山がピークとなる時刻を正確に求める。すなわち、図6に示すように、ピーク値を与えると推定される点の前後数点のデータを使用して、それらのデータに対して多項式を適用して最小二乗法を用いることにより、信号波13の山がピークとなる時刻を高精度に求める。従来方法のピークの時刻決定では最大でサンプリング周期の1/2の誤差を有するが、それを大幅に低減することができる。その結果は、図5に点線の矢印で示すように後述する位相補正に極めて重要な働きをする。また、これにより、大幅な実効的サンプリング回数の減少を実現することもできる。
ここで、多項式に対する最小二乗法の例を示す。ここでは、波形がピーク時刻Tpに対して略対称な形をしていることから、実測データのピーク値に近いと推定される点の前後にそれぞれ3点を取った2次式近似の例について述べる。
近似式を次式のように仮定する。
y=a+ax+a (4)
そして、nをデータ番号として、実測データの組み合わせを(x,y)、n=−3,−2,−1,0,1,2,3とすると、近似式(4)は、図7の(5)〜(7)式を解いて求めることができる。(4)式は、図7の(8)式のように変形できるので、これから、yが最大となるxの値は、x=−a/(2a)と求まる。
こうして、図6において、信号波13の山のピーク時刻Tpを正確に求めることができる。この例では、近似式として2次式を用いたが、必要に応じてさらに高次の多項式や類似の適宜曲線を用いることも可能である。また、この例では、信号波13の山のピーク時刻Tpを求めているが、信号波13の谷のピーク時刻を求めるようにしてもよい。
次にステップS3に進んで、時間窓による短時間の信号波13の切り出しを行う。これには、信号波13の数波(3〜7波)程度の時間長の信号を各サンプリング時刻ごとに取り出す。これは、時間分解能を上げるためであり、信号解析で良く用いられるハニング窓を信号波13に乗算して、分析したい時刻を中心として信号を切り出す。ハニング窓とは、sin(nπ/N)、n=0,1,2,・・・・,N−1の特性を有する関数である。図8にハニング窓により切り出した信号波の一例を示す。この例では、64点のデータを用いており、データには1〜64の番号が付されており、5つ程の波を含んでいる。
次にステップS4に進んで、周波数軸への変換、すなわち、ハニング窓により取り出した信号波に離散フーリエ変換(以下、DFTと略記する。)を施して周波数スペクトルを求める。図9に周波数スペクトルの例を示す。なお、図9では、横軸は離散周波数の番号を表しており、N/2+1(=33)からN−1までは負の周波数成分を表す。
次に、ステップ5に進んで、正の一次の周波数成分(図9の縦線で囲んだ範囲14)の抽出を行う。そして、これ以外の範囲の成分を零とする。ただし、抽出する帯域幅が精度に影響するので、最適な幅を選択する必要がある。
次に、ステップ6に進んで、時間軸への変換、すなわち、正の一次の周波数成分に逆離散フーリエ変換(以下、IDFTと略記する。)を施して複素時間軸信号に変換する。図10に複素時間軸信号を複素平面上に表示した例を示す。図10において、データ番号を付された各点と原点を結ぶ直線が実軸となす角は、瞬時位相を表している。
次にステップS7に進んで、瞬時角速度の計算を行う。複素時間軸信号の(N/2−1)番目の瞬時位相をφ(N/2−1)、(N/2+1)番目の瞬時位相をφ(N/2+1)とし、この間のサンプリング周期ΔTあたりの位相変化Δφは、次式で表される。
Δφ={φ(N/2+1)−φ(N/2−1)}/2 (9)
したがって、切り出した信号の中央の時刻における瞬時角周波数ω’は、ω’=Δφ/ΔTから算出される。歯車の波数をNtとすると、回転体の瞬時角速度ωは、ω=ω’/Nt=Δφ/(NtΔT)から算出される。回転体の瞬時回転数fは、f=ω/2π=Δφ/(2πNtΔT)から算出される。この方法によれば、各サンプリング時間ごとに瞬時角速度ω又は瞬時回転数fのような回転速度を求めることができるので、従来方法のように電磁センサ12からの信号波13の山が到来した時刻ごとにしか回転速度を求められないという問題が解決される。しかも他のデータと同じ時間に回転速度情報が得られるので信号処理上有利である。
上述したステップS3〜S7までの処理は、繰り返して行われる。その際、時間窓による信号波13の切り出しは、サンプリングデータを1つずつずらして、または、サンプリングデータを数点ずつずらして行われる。
以上、ステップS3からステップS7までは、図2に示す信号波13を一括してDFTを行い、必要な周波数帯域を取り出して、一括してIDFTを行うことも可能である。しかしながら、後で述べるように、短時間のDFTを採用することにより、回転速度変動の時間分解能を上げることが可能となる。一方、バイアス誤差を発生し、また、計測には必ず誤差を伴うので、それらの誤差をまとめて補正することも必要となる。
そこで、ステップS8に進んで、図11に示したような時間対位相曲線16を作成する。図11の横軸は時間軸であり、図11の縦軸は位相軸である。図11の横軸に付された太く短い線は、サンプリング時刻である。回転体の1回転ごとに1つのパルスが到来する検出機能を備えた場合のパルス検出の時刻をt,t,t,・・・・とする。特にそのような機能が無く、1回転ごとに決められた数(例えば、図1の回転速度検出装置10の場合は歯車11の歯数)の波又はパルスを発生する場合には、ある特定の歯を決めてそれが到来する時刻をt,t,t,・・・・とする。回転体の回転に関する瞬時位相pは、瞬時角速度ωを積分し、具体的にはp=∫ωdt≒ΔTΣωを計算する。こうして、時刻t,t,t,・・・・に対して、改めて瞬時位相p(t),p(t),p(t),・・・・を算出して、時間対位相曲線16を作成する。
次に、ステップS9に進んで、瞬時位相の補正計算を行う。位相p(t)は一回転ごとの時刻に対応する位相なので、p(t)−p(tn−1)は必ず2πとなるはずである。しかし、計測誤差等のために実際にはそうならない。そこで、p(t),p(t),p(t),・・・・が、それぞれ0,2π,4π,・・・・となるように直線的に補正を行う。
(t,p(t))と(t,p(t))とを通る直線18は、次式のようになる。
p(t)={[p(t)−p(t)]/(t−t)}(t−t)+p(t) (10)
(t,0)と(t,2π)とを通る直線は、次式のようになる。
p’(t)={2π/(t−t)}(t−t) (11)
そして、{p(t)−p’(t)}を各サンプリング時刻において時間対位相曲線16から減算すれば、時刻tからtの間の補正瞬時位相が得られ、補正された時間対位相曲線20が得られる。同様にして、時刻t以降についても補正された時間対位相曲線20が得られる。
ここで、直線18と直線19の差で補正する点が重要である。これを曲線で補正すると、もともと含まれている回転速度変動分を変更してしまう可能性があるからである。ただし、直線で補正できる場合は、定常回転か回転速度上昇または回転速度下降する場合でも1回転での回転速度変化が十分小さい場合である。通常の回転上昇又は下降の運転では、1回転ごとの回転数の上昇率又は下降率はせいぜい数%程度であり、位相変化を直線近似しても充分精度が保たれる。このように1回転ごとに位相補正を行う方法は、1回転分の信号に前後の若干のデータが入力されれば処理を開始することができるので、略リアルタイムでの処理が可能になる。一方、まとめて一括してDFTとIDFTを行う方法では、少なくとも1秒程度の信号が必要となる。
なお、本実施例では、位相誤差を除去するため、時間対位相曲線16に対して1回転(位相2π)毎に補正を行ったが、2回転(位相4π)毎又はn回転(2nπ)毎に補正を行ってもよい。
補正された正しい時間対位相曲線20が得られた後、目的によって、回転むら(時間対回転変動角)を求めたり、時間対位相曲線20を微分して時間対回転速度曲線を求めたりすることが可能になる。
例えば、回転むらを求める場合には、ステップS10に進んで、図11の時間対位相曲線20と点(t,0)と点(t,2π)、点(t,2π)と(t,4π)、・・・・・を結ぶ折れ線19との差を求める。これにより、回転速度の変動を回転むらとして求めることができる。
一方、時間対回転速度曲線を求める場合には、ステップS11に進んで、回転体の瞬時回転数を算出する。補正された時間対位相曲線20を微分(実際には差分)して2πで割ることにより、瞬時回転数が得られる。これから図示しない時間対回転数曲線(時間を横軸にし、瞬時回転数を縦軸にしたもの)が求まる。ここでは、回転速度として回転数を用いたが、もちろん回転速度として角速度を用いてもよい。
なお、ステップS3は、請求項1に記載の信号切り出し手段に相当する。また、ステップS4〜S7は同じく角速度算出手段に、ステップS2は同じくピーク時刻算出手段に、ステップS8は同じく位相算出手段に、ステップS9は同じく位相補正手段に相当する。さらに、ステップS11は請求項2に記載の補正回転速度算出手段に、ステップS10は請求項3に記載の回転むら算出手段に相当する。
本実施例では、ステップS3〜S7において、短時間のDFT及びIDFTを用いて各時刻の瞬時位相を求めたが、従来の方法では一回のDFT及びIDFTで一括して求めている。次に、本実施例の改善効果について述べる。
そこで、30rps(回/秒)で回転する軸に120の歯数をもつ歯車を取り付け、電磁センサで検出することを仮定して作ったモデルについて検討する。このモデルからの信号波の波形を図12に示す。サンプリング周波数は48000Hzである。太線で示す正常な波形は回転速度変動が全く無い場合であり、有限のサンプリングの影響を除けば、同じ間隔で波が到来する。一方、細線で示す異常回転を含む波形は、120の波のうち1つだけが1回転に1回の割合で若干早く到来するとする。
図13は、前記モデルに関して、2.73秒(131072点のデータ長)のデータに対して、本実施例のステップS2とステップS8〜S11を省略して、64点のデータに対して短時間のDFT及びIDFTを繰り返し行って求めた結果(細線)と、全データを一括でDFT及びIFDTにより求めた結果(太線)を示している。実際は2.73秒の結果が得られるが、そのうちの1回転に相当する1600サンプル分のうち、異常な信号波が到来する時刻を中心として前後300点の範囲を示す。この場合、30rpsの一定回転数からのズレが1つの歯の幅に相当する程度(略13=1600/120)のデータ点数に対応)で収まっているが、一括変換では変動幅が広がり、異常な回転速度変動が発生する時間(角度)分解能が低下している。また、一括変換の場合には、回転数の30rpsからの変動の大きさも小さく、回転異常が生じる時間(角度)とその大きさを検出するには、短時間の分析を繰り返す方がはるかに有利であることが分かる。
では、どの程度まで短時間の時間窓とすることが最も有利かということが問題となる。図14は、DFTを行うデータ点数(N)を変えたときの瞬時回転数の推定結果である。回転数30rps、サンプリング周波数48000Hzで、歯数120の歯車を用いて信号を検出する場合、1つの波のサンプリング点数は13.333となる。N=32,64,128,256の場合の時間窓内に含まれる波の数はそれぞれ2.4,4.8,9.6,19.2となる。図14の結果が示すように、N=64 の場合が最もよい結果となっている。ここで、「良い」という意味は、異常の発生箇所(30rpsからずれる時間帯)が時間的に限定されること、観測される異常の大きさ(この場合は最大値と最小値の差)が大きいことである。N=64の場合は、N=32の場合と比較して多少時間的広がりが見られるが、観測される異常の大きさが最も大きく異常が検出し易いことを示している。N=32の場合は、瞬時回転数の真値からのズレが大きすぎることと、正常範囲でも誤差が発生してしまう点で問題である。N=128になると、観測される異常の大きさが低下し、時間的にも広がってくるが、正常な時間帯での回転数の精度はN=64の場合よりも改善される。N=64の場合の正常な時間帯での回転数は30.022から30.082の範囲にある。平均値の誤差は0.16%である。これでも十分な精度を持つと言えるが、常にプラスの値のバイアス誤差がある。これでは、角速度の積分値である位相は、誤差が蓄積されることになる。そこで、誤差補正を行うことが望ましい。
図15は、本実施例と同じく図11に基づく位相補正を行った後に瞬時回転数を求めた結果である。時間対位相曲線20を用いているため、正常な時間帯での回転数は、最大値30.03178、最小値29.96963、平均値29.99779となっており、誤差は0.0074%となり、補正前の0.16%に対して1/20まで低下している。なお、本実施手例では1回転1パルスを発生する機能は使わず、120個の歯車の1つに注目して、それが到来する時刻列を用いて補正を行っている。以上のように、位相補正の効果は極めて大きく、従来の回転速度検出装置に対して大幅な改善をもたらすことが可能となる。
ところで、回転体には種々の要因により回転速度変動を伴う。例えば、トランスミッションであれば、歯が噛み合うごとに歯打ちによる回転速度変動や噛み合い誤差による変動があり、エンジンであれば不均一な燃焼によりランダムな回転速度変動が伴う。ランダムな回転速度変動を含めて分析するには、図5のステップS10が重要である。
また、所定回転角ごとに発生する現象を解析するには、図5のステップS11が重要となる。ステップS11では、横軸に時間を、縦軸に瞬時回転数を取った時間対回転数曲線が得られたが、この時間対回転数曲線と、図11の時間対位相曲線20とを用いることによって、位相対回転数曲線を作成することができる。
図16は、図12に示した120の歯の1つに異常がある場合に発生する波形にランダムな回転速度変動が加わった場合に、N=64として、横軸を回転角度、縦軸を瞬時回転数とした位相対回転数曲線として表示したものである。ここでは、注目したパルスの到来時刻を起点として0度から360度までの1回転分を横軸としている。図16の波形から予測する限り、回転数の平均値は30rps であるが、±2.5rpsの範囲でランダムに変動しており、図15に対応する波形の存在を見ることができない。
一方、図17は、200回転分を平均した位相対回転数曲線を示している。平均によりランダムな回転速度変動成分はキャンセルし合い、常に同じ角度で発生する回転速度変動成分のみが現れてくる。このように正しい時間対位相曲線20が得られることで、注目する異常回転速度変動を精度良く検出できるようになる。
10 回転速度検出装置
11 歯車
12 電磁センサ(センサ)
13 信号波
16、20 時間対位相曲線
Tp 信号波の山のピーク時刻

Claims (3)

  1. 回転体の回転に応じて信号波を発生するセンサと、前記信号波を解析して前記回転体の瞬時回転速度を算出する演算手段とを備えた回転速度検出装置において、
    所定時間の時間窓によって前記信号波を切り出す信号切り出し手段と、切り出した信号波を解析して瞬時位相を算出し、該瞬時位相の時間変化から瞬時角速度を算出する角速度算出手段と、前記瞬時角速度を積分して改めて瞬時位相を算出する位相算出手段と、前記信号波の山又は谷のピーク時刻を算出するピーク時刻算出手段と、前記ピーク時刻に基づいて前記改めて算出した瞬時位相を補正して補正瞬時位相を算出する位相補正手段とを備えたことを特徴とする回転速度検出装置。
  2. 前記補正瞬時位相の時間変化から補正瞬時回転速度を算出する補正回転速度算出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転速度検出装置。
  3. 前記補正瞬時位相の時間変化から回転むらを算出する回転むら算出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転速度検出装置。
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