JP2010195647A - セラミックス製の成形型 - Google Patents

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Hidenori Kita
英紀 北
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Abstract

【課題】成形体を収容した状態のまま焼成工程に使用することができ、焼成時のエネルギー損失を抑制することができ、繰り返し利用することが可能なセラミックス製の成形型を提供する。
【解決手段】アルミナおよびジルコニアを含み、ポロシティが20%〜50%であり、平均気孔径が10μm以下であり、1300℃で100時間保持した後の保持前に対する全長の寸法変化が3%以内である成形型。
【選択図】図2

Description

本発明は、セラミックス製の成形型に関する。
一般に用いられるセラミックス製品の製造方法の1つとして、以下の工程を経てセラミックス製品を製造する方法がある。
(A)石膏型のような成形型に、セラミックス製品の原料となる粉末を含むスラリー(「泥しょう」とも言う)が注入される。成形型は、多数のポアを有する多孔質体で構成されており、いわゆる「吸水性」を有する。従って、スラリー中の水分は、(主として毛細管現象により)成形型に吸い込まれ、これにより、成形型内でスラリーを固化させことができる(例えば、特許文献1)。
(B)次に、得られた成形体が成形型から取り外される。さらにこの成形体は、次工程のため、他のセラミックス板またはセラミックス容器のような耐熱部材(いわゆる棚板または焼成用さや)の上に置載され、または収容される。
(C)次に、成形体は、耐熱部材とともに電気炉のような加熱装置内に配置され、耐熱部材とともに所定の温度で焼成される。以上の工程により、所望のセラミックス製品が提供される。
このような従来の製造方法では、(B)の工程から明らかなように、成形体が形成された後、成形型からこの成形体を取り出して耐熱部材上に置載する(あるいは耐熱部材の中に収容する)というハンドリング操作が必要となる。このようなハンドリング操作は、成形体の破損および成形体のコンタミネーションにつながるおそれがある。また、ハンドリング操作が介在するため、製造工程が煩雑となり、製造工程全体の効率化を図ることが難しくなるという問題がある。
そこで、このような問題に対処するため、耐熱性を有する成形型を使用し、この成形型に成形体を収容した状態のまま、両者を一体焼成する技術が提案されている(特許文献2)。
特開平6−170821号公報 特開2007−223137号公報
しかしながら、前述の特許文献1に記載の方法では、成形型は、焼成後に簡単に崩壊してしまう。従って、この方法では、同じ成形型を何回も繰り返して使用することができず、効率的でないという問題がある。
また、従来の成形体の焼成方法、すなわち前述の(C)の工程は、いわゆる「外部加熱方式」で、成形体が焼成される。しかしながら、「外部加熱方式」では、投入した熱エネルギーの大部分は、成形体の加熱に使用されず、例えば焼成炉内に配置される断熱材等の部材の加熱に使用されたり、外部に逸散してしまう。このため、「外部加熱方式」は、エネルギー消費の点で、非効率的であるという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、本発明では、成形体を収容した状態のまま焼成工程に使用することができ、焼成時のエネルギー損失を抑制することができ、繰り返し利用することが可能なセラミックス製の成形型を提供することを目的とする。
本発明では、
アルミナおよびジルコニアを含み、
ポロシティが20%〜50%であり、平均気孔径が10μm以下であり、
1300℃で100時間保持した後の保持前に対する全長の寸法変化が3%以内である成形型が提供される。
ここで、当該成形型は、粒径100μm以上の粒子を20%以上含み、粒径30μm以下の粒子を10%以上含んでも良い。
また、本発明による成形型において、当該成形型全体に対するジルコニアの含有量は、1wt%〜30wt%の範囲であっても良い。
本発明では、成形体を収容した状態のまま焼成工程に使用することができ、焼成時のエネルギー損失を抑制することができ、繰り返し利用することが可能なセラミックス製の成形型を提供することが可能となる。
従来の典型的なセラミックス製品の製造プロセスの一例を模式的に示した図である。 本発明による成形型を用いた、セラミックス製品の製造プロセスの一例を模式的に示した図である。 実施例1において使用したアルミナ混合粉末の粒度分布である。 実施例1に係る成形型の形状を模式的に示した図である。 本発明による成形型を用いて製作されたアルミナ部品の形状を模式的に示した図である。 実施例3において使用したアルミナ混合粉末の粒度分布である。 比較例1において使用したアルミナ混合粉末の粒度分布である。 比較例2において使用したアルミナ混合粉末の粒度分布である。
以下、図面により本発明について、より詳しく説明する。
図1には、従来の典型的な耐熱セラミックス製品の製造プロセスの一例を模式的に示す。この図に示すように、従来の製造プロセス1は、(A)成形体調製工程、(B)成形体の離型工程、および(C)成形体の焼成工程を含む。
(A)の工程では、石膏型のような多孔質成形型10に、セラミックス製品の原料となる粉末を含むスラリー20が注入される。成形型10は、多数のポアを有する多孔質体で構成されており、いわゆる「吸水性」を有する。従って、スラリー20中の水分は、(主として毛細管現象により)成形型10の方に吸い込まれ、これにより、成形型10中でスラリー20を脱水固化させことができる。これにより、成形体30が得られる。
(B)の工程では、得られた成形体30が成形型10から取り外される。さらにこの成形体30は、次の工程(C)のため、他のセラミックス板またはセラミックス容器のような耐熱部材40の上に置載され、または内部に収容される。
(C)の工程では、成形体30が耐熱部材40とともに電気炉のような加熱装置50内に配置され、耐熱部材40とともに所定の温度(例えば1300℃)で焼成され、これにより、所望の耐熱セラミックス製品60が提供される。
しかしながら、このような製造方法では、(B)の工程において、成形型10から成形体30を取り出して、この成形体30を耐熱部材40上に置載する(あるいは耐熱部材40の中に収容する)というハンドリング操作が必要となる。このようなハンドリング操作は、成形体30の変形、破損、および成形体30のコンタミネーションにつながるおそれがある。また、このようなハンドリング操作が含まれると、製造工程が煩雑となり、製造工程全体の効率化を図ることが難しくなるという問題がある。
また、この問題に対処するため、予め耐熱性を有する成形型10を使用し、この成形型10に成形体30を収容した状態のまま、両者を一体焼成することが提案されている。しかしながら、この提案されている方法では、焼成後に成形型10は、簡単に崩壊してしまう。従って、この方法では、同じ成形型10を何回も繰り返して使用することができず、効率的でないという問題がある。
また、(C)の工程では、成形体30の周囲に熱源を配置する、いわゆる「外部加熱方式」で、成形体30が焼成される。しかしながら、「外部加熱方式」では、投入した熱エネルギーの大部分は、成形体30の加熱に使用されず、例えば焼成炉内に配される断熱材等の部材の加熱に使用されたり、外部に逸散してしまう。このため、「外部加熱方式」は、エネルギー消費の点で、非効率的であるという問題がある。
このような背景の下、本願発明者らは、鋭意研究を重ね、成形型の材料を適正に選定し、成形型のポロシティおよび気孔径を制御することにより、前述のような問題に対処することができることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明では、アルミナおよびジルコニアを含み、ポロシティが20%〜50%であり、平均気孔径が10μm以下であり、1300℃で100時間保持した後の保持前に対する全長の寸法変化が3%以内である成形型が提供される。
図2には、本発明による成形型を使用して、セラミックス製品を製作する方法の一例を模式的に示す。
この方法100は、(A)本発明による成形型を準備する工程、(B)成形体を調製する工程、および(C)成形体を「内部加熱方式」により焼成する工程を含む。
まず、(A)の本発明による成形型を準備する工程では、前述のような特徴を有する成形型110が準備される。
次に、(B)の工程では、成形型110に、セラミックス製品の原料となる粉末を含むスラリー120が注入される。後述するように、本発明による成形型110は、適正な「吸水性」を有するため、スラリーに含まれる水分は、成形型に吸い込まれる。これにより、スラリーが脱水、固化され、成形型110内に、成形体130が得られる。
次の(C)の工程では、成形型110と成形体130とが、一体化状態で、加熱装置150に導入される。加熱装置150は、「内部加熱方式」の加熱装置であり、加熱装置150を用いた加熱により、成形体130が焼成される。
ここで、本発明による成形型110は、後述するように、耐熱性およびマイクロ波加熱性を有する。従って、(B)の工程で得られた成形体130は、離型されることなく、成形型110に収容された状態のまま、焼成処理が行われる。また、加熱装置150により、成形型110がマイクロ加熱方式で所望の温度に加熱され、これと同時に、成形体130が加熱される。焼成温度は、例えば、1300℃〜1600℃の範囲である。
所定の焼成条件による焼成処理が完了後、成形型110からセラミックス製品160が取り外される。その後、成形型110は、別のセラミックス製品の製作に、再度利用される。
次に、このようなプロセスに使用することが可能な、本発明による成形型110の構成およびその効果について詳しく説明する。
(繰り返し利用性について)
本発明による成形型110は、前述のような成形体のハンドリング操作(成形型から成形体を取り出して、この成形体を耐熱部材上に置載する操作)を不要とするため、予め耐熱性を有するセラミックス(アルミナ系)で構成される。これにより、成形型を成形体とともに一体焼成することが可能となる。
また、本発明による成形型110は、繰り返し使用を可能にするため、1300℃で100時間保持した後の保持前に対する全長の寸法変化が3%以内となるように構成される。これにより、当該成形型110の繰り返し使用が可能になる。また、本成形型110に成形体130を収容した状態で、両者を一体焼成した際に、セラミックス製品160が許容不可能な寸法に焼成されることが抑制される。また、本成形型110を用いてセラミックス製品160を成形、焼成した際に、得られる製品の寸法精度を維持することができる。
なお、このような特性の付与は、当該成形型110を構成するアルミナ粒子の粒径を適正に制御することにより可能となる。
例えば、粒径の大きな(粗大な)アルミナ粒子と、粒径の小さな(微細な)アルミナ粒子とを組み合わせて成形型を構成する場合を考える。この場合、粗大なアルミナ粒子は、当該成形型の基本骨格を構成する。また、粗大なアルミナ粒子は、微細なアルミナ粒子に比べて、焼結速度が遅く、高温保持の間も、その変化は顕著ではない。
一方、微細なアルミナ粒子は、粗大なアルミナ粒子同士の隙間に配置され、当該成形型のポロシティおよび気孔径、さらには、「吸水性」に影響する。例えば、成形型を粗大なアルミナ粒子だけで構成した場合、成形型にセラミックス製品用のスラリー等を注ぎ入れた際に、スラリー中の粒子は、成形型の方に、容易に移動してしまう。このような現象が生じた場合、成形型が目詰まりを起こし、成形型の再利用ができなくなる。従って、適正な吸水性を発現させるためは、相当量微細なアルミナ粒子を加えることが重要となる。ただし、微細なアルミナ粒子は、粗大なアルミナ粒子に比べて反応性が高いため、多量に添加すると、成形型の高温保持の際、微細なアルミナ粒子の焼結により、成形型の寸法が大きく変化する。
従って、粗大なアルミナ粒子と、微細なアルミナ粒子とを、それぞれの利点が適正に発揮されるように組み合わせて、前述のような問題を軽減することにより、1300℃で100時間保持した後の保持前に対する全長の寸法変化が3%以内となる成形型、さらには、1回の使用後に目詰まり等の不具合の生じない成形型を形成することができる。
例えば、本発明による成形型110は、前述の石膏型のような、一般的な成形型としての「吸収性」を確保するため、20%〜50%の範囲のポロシティと、10μm以下の平均気孔径を有する。
ここで、成形型の寸法変化(成形型の収縮)は、高温における焼結現象によって生じる。この焼結の速度は、粒子径の3乗に反比例するため、収縮を生じ難くするためには、粒子径が100μ以上の大きい粒子(粗大な粒子)をある程度含む必要がある。また、粗大な粒子は、含有率が20%(体積率)を超えると、粒子同士が相互に接触し合い、これにより焼結の進行を妨げるようになる。これらの効果により、寸法変化を抑制することができる。
これに対して、成形型の吸水は、毛細管現象によって生じる。この毛細管現象による吸引力は、気孔径に反比例することから、気孔径は小さいことが望ましい。成形型を、粒径30μm以下の微細な粒子が10%以上含まれるように構成することによって、粗大な粒子間の隙間が埋まり、平均気孔径を10μm以下まで小さくすることが可能となる。また、これにより、成形型に、良好な吸水性能が付与される。
例えば、以降に示すように、当該成形型110を、粒径100μm以上のアルミナ粒子を20%(面積率または体積率)以上含み、粒径30μm以下のアルミナ粒子を10%(面積率または体積率)以上含むように構成した場合、1300℃で100時間保持した後の保持前に対する全長の寸法変化が3%以内、例えば1%以内に抑制される。
ここで、本発明による成形型110を構成する各セラミックス粒子の粒径およびその存在率は、成形型のSEM写真(例えば倍率30〜5000倍)を用いた画像解析処理、または成形型から採取したサンプルの粒度分布測定等により容易に把握することができる。各セラミックス粒子の存在率は、前者の場合、画像解析結果により求めた体積率となり、後者の場合、直接測定を行った体積率となる。
(効率的な加熱性について)
前述の「外部加熱方式」に伴うエネルギー損失の問題に対処するためには、加熱方式を、例えばマイクロ波加熱のような、「内部加熱方式」とすることが有効であると考えられる。マイクロ波加熱方式とは、マイクロ波を使用して、これを物質の内部まで浸透させ、このマイクロ波のエネルギーを熱に変換することにより、前記物質およびその近傍の部材を加熱する方式である。ただし、このマイクロ波加熱方式は、全てのセラミックスに対して適用することができる訳ではなく、その適用は、誘電損率の大きな材料に限られる。
本発明の成形型110は、アルミナと、誘電損率の大きな材料の一つであるジルコニアとを含む。従って、本発明では、当該成形型内でスラリーから成形体を形成した後、この成形型を使用して、成形体130をマイクロ波加熱方式で加熱することができる。このため、従来に比べて、焼成工程におけるエネルギー損失を有意に抑制することが可能となり、効率的な処理が可能となる。
なお、このようなマイクロ波加熱方式を可能にするため、本発明による成形型110は、成形型110全体に対して、1wt%〜30wt%の範囲のジルコニアを含むことが好ましく、5wt%〜20wt%の範囲のジルコニアを含むことがより好ましい。ジルコニアの含有量が1wt%未満になると、マイクロ波加熱方式の適用が難しくなる。また、ジルコニアの含有量が30wt%を超えると、アルミナの含有量が相対的に低下するため、成形型110の耐熱性が低下する。なお、耐熱性の観点から、当該成形型全体に対するアルミナとジルコニアの総量は、95wt%以上であることが好ましく、98wt%以上であることがより好ましい。
以上のように、本発明による成形型110を使用してセラミックス製品を製作する場合、成形体130を正解型110に収容した状態のまま、焼成処理を行うことができる。また、焼成時のエネルギー損失を抑制することができ、繰り返し使用が可能となる。特に、成形体130を離型する必要がなくなるため、ハンドリングの難しい、薄肉セラミックス製品および大型セラミックス製品についても、容易に製作することが可能になる。
また、本発明により製造された薄肉セラミックス製品は、熱応力負荷を受けにくいため、焼成時の昇温速度および降温速度を高めることができる。また、製品の薄肉化が可能となり、1度に加熱装置に投入する製品量を高めることができるため、生産性が向上する。
(本発明による成形型の製造方法)
次に、本発明による成形型を製造する方法の一例について、簡単に説明する。
(原料)
まず、成形型を構成するための原料が調製される。
本発明による成形型は、複数の平均粒径を有するアルミナ粉末と、少なくとも1種類の平均粒径を有するジルコニア粉末を含む。アルミナは、高温における劣化が少なく、本発明の成形型110の主成分として用いることができる。また、ジルコニアは、誘電損率が大きく、マイクロ波加熱の吸収体となる。アルミナとジルコニアは、高温においても、ほとんど反応・溶融しないため、両者の組み合わせは、高温での使用に耐え得る。
成形型の原料となるアルミナは、結晶相としてα相を有するアルミナであり、電融アルミナ、粉砕アルミナ、合成アルミナ等が使用できる。より好適には、粗大アルミナ粒子としては、解砕した電融アルミナ、砥粒グレードの電融アルミナ、微細アルミナ粒子としては、粉砕アルミナ、合成アルミナが挙げられる。用いるアルミナの純度は、98%以上のものが好適である。これは、アルミナ中に不純物、特にガラス成分が含まれる場合、焼結が促進され、成形型の寸法変化をもたらす場合があるためである。
成形型のもう一つの原料となるジルコニアには、電融ジルコニアが使用できる。結晶相は単斜晶、正方晶、立方晶のいずれも使用でき、正方晶または立方晶である場合、イットリウム、カルシウム、セリウム、マグネシウム等、一般に用いられる安定化剤として添加される成分を含んでいても差し支えない。一方、不純物として特にガラス成分が含まれるものは、焼結が促進されるため、好ましくない。ジルコニア粒子の粒径は、粗大なものから微細なものまで使用可能であるが、好適にはジルコニア同士の焼結が生じにくい、100μm以上のものが望ましい。
アルミナ粒子およびジルコニア粒子は、粒子の充填密度を上げるため、粒径の異なる原料を種々組み合わせて配合を行い、粗大な粒子から微細な粒子まで、分布が連続的に変化するようにすることが望ましい。
(元型準備)
次に、本発明の成形型110を作製するため、元型が準備される。元型は、本発明の成形型110を用いて製作されるセラミックス製品の寸法形状に適合するように、構成される。
(成形体の調製)
次に、本発明による成形型110の原料となるスラリーが調製される。スラリーは、原料粉末(すなわち、アルミナとジルコニアの混合粉末)と、分散剤と、結合剤とを、水に添加することにより調製される。分散剤としては、例えばポリアクリル酸アンモニウム塩、結合剤としては、化学反応型硬化型のアクリル硬化剤を用いることができる。ただし、他の一般的な分散剤および結合剤の使用も可能である。
このスラリーを前述の元型に流し込むことにより、成形型110用の成形体が形成される。
(焼成)
次に、得られた成形体を元型から取り外し、乾燥させた後、焼成を行う。これにより、所定の寸法形状の成形型110が提供される。焼成は、成型型が実際に使用される温度と同等またはそれ以上の温度で行われる。例えば、焼成は、1600℃で2時間、大気炉中で実施される。
以上の工程により、本発明による成形型110が得られる。
次に、実施例について説明する。
(実施例1)
以下の方法により、本発明による成形型を製作した。
まず、成形型用のスラリーを調製した。
原料として、6種類の粒度のアルミナ粒子を含むアルミナ混合粉末と、1種類の粒度(JIS−R6001に規定されている粒度F16)のイットリア安定化ジルコニア粉末とを準備した。アルミナの混合粉末は、JIS−R6001に規定されている、F90、F180、F240、#800、#3000、および#8000の粉末を、表1に示す配合比で混合することにより、調製した。
Figure 2010195647
図3には、実施例1において使用した、アルミナ混合粉末の粒度分布を示す。この図から、本アルミナ粉末中には、粒径100μm以上の粒子が24%含まれ、粒径30μm以下の粒子が18%含まれていることがわかった。
このアルミナの混合粉末と、イットリア安定化ジルコニア粉末とを、100:15の重量比で混合した。次に、この混合粉末100に対して、分散剤としてのポリアクリル酸アンモニウム塩を1、結合剤としてのアクリル硬化剤を2、および水を11を添加し、スラリーを得た(全て重量比)。
次に、以下の方法で、成形型作製用の元型を準備し、この元型に前述のスラリーを注入し、さらに焼成することにより、成形型を作製した。
プラスチック製のボート状部材(全長約160mm、幅100約mm、高さ約15mm)を準備し、この角皿部材を開口面が下向きになるように配置した状態で、角皿部材の周囲に外枠を取り付け、元型を形成した。
この元型を使用して、元型の開口部分に前記スラリーを流し込んだ。この状態にしばらく保持することにより、スラリーが硬化し、成形体が得られた。次に、元型からこの成形体を取り外し、成形体を乾燥させた後、この成形体を電気炉に入れ、1600℃で2時間焼成した。
これにより、図4に示すような直方体形状の成形型310が得られた。成形型の全長L1、幅W1、および高さD1は、それぞれ、200mm、140mm、および35mmである。また、成形型310の成形部分(窪み部分)312において、開口部の全長L2および幅W2は、それぞれ、160mmおよび100mmであり、成形部分312の底面の全長L3および幅W3は、それぞれ、130mmおよび70mmであり、成形部分312の深さD2は、15mmであった。
成形型のポロシティは、アルキメデス法による測定の結果、36%であった。また、成形型の平均気孔径は、水銀圧入法により測定した結果、2.2μmであった。
また、SEM写真による画像解析をもとに、成形型に含まれる、粗大なアルミナ粒子(粒径が100μm以上のアルミナ粒子)と微細なアルミナ粒子(粒径が30μm以下のアルミナ粒子)の体積率を測定した。(アルミナとジルコニアは、SEM写真上では、コントラストが大きく異なるため、両者は、比較的容易に識別することができる。)その結果、粒径が100μm以上のアルミナ粒子割合、および粒径が30μm以下のアルミナ粒子の割合は、いずれも、図3に示したアルミナ混合粉末の粒度分布から算出される値とほぼ一致した。
この成形型310を、単独で1300℃に100時間保持した。保持前後の成形型310の成形部分312の全長L3(図4参照)の寸法変化から、成形型の寸法変化量を求めたところ、変化量は、0.3%であった。
表2には、実施例1に係る成形型のポロシティ、平均気孔径、粒径が100μm以上のアルミナ粒子の量、および粒径が30μm以下のアルミナ粒子の量をまとめて示した。
Figure 2010195647
(実施例2)
次に、実施例1に係る成形型310を用いて、実際にアルミナ部品の製作を行った。
まず、成形型310中に、アルミナ粒子を主成分とする泥しょうを流し入れた。この状態で、5分間保持させて、成形型に水分を吸い込ませ、成形型310の内面に、セラミックスの成形体を形成させた。その後、余分な泥しょうを排出した。これにより、成形型310の内面に沿った形状の成形体が得られた。
次に、このようにして形成された成形体を含む成形型310を、マイクロ波加熱装置(MW−Heater、美濃窯業株式会社製)に入れ、1400℃で2時間焼成した。その後、成形型310からアルミナ製品を取り外した。
図5には、得られたアルミナ製品の形状を示す。得られたアルミナ製品460は、全長L4が128mm、幅W4が80mm、高さD4が12mmのボート状の形状であった。アルミナ製品460の窪み部分462の底面の寸法は、全長L5が104mmであり、幅W5が56mmであった。得られたアルミナ製品460は、外観上均一かつ健全であり、クラック等の不具合は、認められなかった。
また、アルミナ製品の製作に使用する前後における成形型310の寸法変化量(図4のL3の長さの変化)を求めたところ、変化量は、0.5%であった。
なお、従来の方法では、アルミナ製品の肉厚は、通常4mm程度となるが、本発明の成形型を使用することにより、アルミナ製品460は、2mmの厚さまで薄肉化された。
前述の表2には、1300℃、100時間処理による寸法変化量と、アルミナ製品成形後の成形型の状態を示した。
(実施例3)
実施例3では、成形型の耐熱性をより一層高めるため、原料粉末に含まれる粗大なアルミナ粒子の割合を増加させて、成形型を製作した。
原料として、9種類の粒度のアルミナの混合粉末と、1種類の粒度(JIS−R6001に規定されている粒度F16)のイットリア安定化ジルコニア粉末とを準備した。
表3には、アルミナの混合粉末に使用された粉末の粒度と配合比を示す。
Figure 2010195647
この表に示すように、実施例3に使用されたアルミナの混合粉末において、粒度がF16、F24、F46の粒子が合計で50%添加されており、表1との比較から、粗大なアルミナ粒子の割合が増加していることがわかる。
図6には、実施例3において使用した、アルミナ混合粉末の粒度分布を示す。この図から、本アルミナ粉末中には、粒径100μm以上の粒子が54%含まれ、粒径30μm以下の粒子が13%含まれていることがわかった。
アルミナ混合粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末の混合割合は、重量比で100:15とした。
以降の工程は、実施例1の場合と同様である。
成形型のポロシティは、アルキメデス法による測定の結果、29%であった。また、成形型の平均気孔径は、水銀圧入法により測定した結果、3.4μmであった。
また、SEM写真による画像解析をもとに、成形型に含まれる、粗大なアルミナ粒子(粒径が100μm以上のアルミナ粒子)と微細なアルミナ粒子(粒径が30μm以下のアルミナ粒子)の体積率を測定した。その結果、粒径が100μm以上のアルミナ粒子割合、および粒径が30μm以下のアルミナ粒子の割合は、いずれも、図6に示したアルミナ混合粉末の粒度分布から算出される値とほぼ一致した。
この成形型を、単独で1300℃に100時間保持した。保持前後の成形型の寸法変化量(図4のL3の長さの変化)から、成形型の寸法変化量を求めたところ、変化量は、0.1%であった。
前述の表2には、実施例3に係る成形型のポロシティ、平均気孔径、粒径が100μm以上のアルミナ粒子の量、粒径が30μm以下のアルミナ粒子の量、および1300℃に100時間保持した後の成形型の寸法変化量をまとめて示した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、アルミナとジルコニアを含む混合粉末から、成形型を製作した。ただし、この比較例1では、粗大なアルミナ粒子を含まない混合粉末を用いて、成形型を製作した。
表4には、アルミナ混合粉末に含まれる5種類の粒度の粉末の配合比を示す。
Figure 2010195647
この表から、比較例1では、粒度F90以下の粗大なアルミナ粒子が含まれていないことがわかる。
図7には、比較例1において使用した、アルミナ混合粉末の粒度分布を示す。この図から、本アルミナ粉末中には、粒径100μm以上の粒子が8%含まれ、粒径30μm以下の粒子が25%含まれていることがわかった。
アルミナ混合粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末の混合割合は、重量比で100:15とした。
以降の工程は、実施例1の場合と同様である。
以上の工程によって得られた成形型のポロシティと平均気孔径を測定した。成形型のポロシティは、アルキメデス法による測定の結果、22%であった。また、成形型の平均気孔径は、水銀圧入法により測定した結果、1.7μmであった。
この成形型を、単独で1300℃に100時間保持した。保持前後の成形型の寸法変化量(図4のL3の長さの変化)から、成形型の寸法変化量を求めたところ、変化量は、3.6%であった。
このように、粗大なアルミナ粒子を含まない混合粉末を使用することによって、成形型の寸法収縮が大きくなることがわかった。
前述の表2には、比較例1に係る成形型のポロシティ、平均気孔径、粒径が100μm以上のアルミナ粒子の量、粒径が30μm以下のアルミナ粒子の量、および1300℃に100時間保持した後の成形型の寸法変化量をまとめて示した。
(比較例2)
実施例1と同様の方法により、アルミナとジルコニアを含む混合粉末から、成形型を製作した。ただし、この比較例2では、微細なアルミナ粒子を含まない混合粉末を用いて、成形型を製作した。
表5には、アルミナ混合粉末に含まれる5種類の粒度の粉末の配合比を示す。
Figure 2010195647
この表から、比較例2では、粒度#3000以上の微細なアルミナ粒子が含まれていないことがわかる。
図8には、比較例2において使用した、アルミナ混合粉末の粒度分布を示す。この図から、本アルミナ粉末中には、粒径100μm以上の粒子が27%含まれ、粒径30μm以下の粒子が7%含まれていることがわかった。
アルミナ混合粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末の混合割合は、重量比で100:15とした。
以降の工程は、実施例1の場合と同様である。
以上の工程によって得られた成形型のポロシティと平均気孔径を測定した。成形型のポロシティは、アルキメデス法による測定の結果、44%であった。また、成形型の平均気孔径は、水銀圧入法により測定した結果、14μmであった。
得られた成形型を用いて、実際にアルミナ製品の成形を実施した。この際、成形型に泥しょうを注ぎ入れてから、形成される成形体の厚みが4mmに達するまでの時間を測定した。
その結果、成形体の厚みが4mmに達するまでに必要な時間は、7分であった。
なお、実施例1に係る成形型を用いて、同様の測定を実施したところ、必要時間は、4分であった。このことから、混合粉末中の微細なアルミナ粒子が少なくなることにより、成形型の吸水性が低下し、これにより成形体の形成に必要な時間が長くなることがわかった。
使用後の成形型を外観観察したところ、この成形型は、目詰まりを起こしており、再利用することが不可能であることがわかった。
本発明は、例えば、高温耐熱用のセラミックス製品の製造に利用することができる。
1 従来のプロセス
10 成形型
20 スラリー
30 成形体
40 耐熱部材
50 加熱装置
60 セラミックス製品
100 本発明によるプロセス
110 成形型
120 スラリー
130 成形体
150 マイクロ波加熱炉
160 セラミックス製品
310 成形型
312 成形部分
460 アルミナ製品。

Claims (3)

  1. アルミナおよびジルコニアを含み、
    ポロシティが20%〜50%であり、平均気孔径が10μm以下であり、
    1300℃で100時間保持した後の保持前に対する全長の寸法変化が3%以内である成形型。
  2. 当該成形型は、
    粒径100μm以上の粒子を20%(面積率または体積率)以上含み、粒径30μm以下の粒子を10%(面積率または体積率)以上含むことを特徴とする請求項1に記載の成形型。
  3. 当該成形型全体に対するジルコニアの含有量は、1wt%〜30wt%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形型。
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