図1に示すように、スロットマシン2は、収納箱4と、この収納箱4の前面に設けられた前面扉5とからなる筐体3の内部に、後述する第1リール10、第2リール11、第3リール12、電源装置35やホッパー装置36(図2参照)等が配設された構成となっている。なお、以下では、遊技の際に行われる乱数の取得、及び乱数と確率テーブルとを用いて複数の当選役のいずれか、又はハズレであるかの決定を当選役抽選、取得された乱数と確率テーブルとから当選役が決定されたことを当選、当選した当選役に対応する図柄を揃えることを入賞として説明する。
前面扉5は、上部扉6と下部扉7との2枚の扉から構成される。上部扉6には、その中央に装飾パネル8が設けられ、この装飾パネル8の略中央に表示窓(図柄表示窓)9が設けられている。この表示窓9の奥には第1リール10、第2リール11,第3リール12が配設されている。周知のように、第1リール10、第2リール11、第3リール12の外周面には、例えば複数種類の図柄が複数個配列される。第1リール10、第2リール11、第3リール12が停止すると、第1リール10、第2リール11、第3リール12に配列された図柄が、1リール当たり3個、表示窓9を介して表示される。これにより、表示窓9を通して表示される図柄は計9個となり、第1リール10、第2リール11、第3リール12の図柄を1個ずつ組み合わせた直線状の入賞ラインが横3本斜め2本の計5本が設定されている。
表示窓9の下方には、表示装置15が設けられている。この表示装置15は、例えば通常モードの遊技よりも、入賞が得やすくなるBB(ビックボーナス)モードや、RB(レギュラーボーナス)モードにおける遊技数の表示を行う他に、設定変更モードにおける設定値の表示等を行う。
下部扉7の上部には、遊技の開始時に操作されているMAXベットボタン20、ペイアウトボタン21などの各種の操作ボタンが設けられている。MAXベットボタン20は、クレジットされたメダルのうち、使用枚数である3枚のメダルを投入する際に押圧操作される。なお、メダルを投入するとは、メダル投入口30から直接メダルを投入することの他に、クレジットされたメダルを利用することを含む。ペイアウトボタン21は、クレジットされたメダルを払い出す際に押圧操作されるボタンである。
これらボタンの近傍には、スタートレバー25や、第1ストップボタン26、第2ストップボタン27、第3ストップボタン28が設けられている。スタートレバー25は、遊技を実行する際に操作される他、変更した設定値を確定する際に操作される。
第1ストップボタン26は、回転する第1リール10を停止させる際に押圧操作されるボタンである。同様にして、第2ストップボタン27、第3ストップボタン28は、回転する第2リール11、第3リール12をそれぞれ停止させる際に押圧操作されるボタンである。
下部扉7には、遊技を行う際にメダルを投入するためのメダル投入口30が設けられている。メダル投入口30の奥にはセレクタ(図示せず)が組み込まれ、不適正なメダルはメダル払出口31を介してメダル受け皿32に排出される。また、セレクタは、例えば遊技の途中や各種の操作ボタンが押されたままの状態で投入された等の不適切なタイミングでメダルの投入が行われたときに、投入されたメダルをメダル受け皿32に排出する。なお、遊技の開始に先立って投入できるメダルの枚数は1〜3枚に限られているため、クレジット機能を用いていないときには、投入された1〜3枚目までのメダルは、自動的に投入され、4枚目以降に投入されたメダルはメダル受け皿32に排出される。
一方、クレジット機能がオン状態のときには4枚目以降に投入されたメダルは、セレクタに設けられたメダルセンサ85(図3参照)で検知された後、例えば50枚を限度にスロットマシン2の内部に貯留される。なお、メダルがクレジットされているときに、メダル投入口30からメダルを投入した場合には、投入された1〜3枚目までのメダルが自動的に投入され、4枚目以降に投入されたメダルがクレジットされる。なお、クレジットされたメダルがある場合には、前述したMAXベットボタン20の操作によりメダルの投入操作が行われ、その投入枚数がクレジット枚数から逐次に減算される。また、遊技の結果、入賞が得られたときには配当となるメダルもクレジットされ、ペイアウトボタン21を操作したときにクレジットされているメダルがメダル受け皿32に払い出される。
図2に示すように、筐体3を構成する収納箱4の内部には、スロットマシン2に電力を供給するための電源装置35、ホッパー装置36、第1リール10、第2リール11、第3リール12を備えたリールユニット37等が組み付けられる。なお、図2では、図の煩雑さを防止するために、第1リール10、第2リール11、第3リール12の外周に配置される複数の図柄を省略してある。
電源装置35は、スロットマシン2の給電を行うために設けられている。電源装置35の前面には、主電源のオン/オフの切り換えを行う電源スイッチ40の他に、初期設定入力部45が設けられている。初期設定入力部45は、キーシリンダ46、設定変更ボタン47、スライドスイッチ48から構成される。キーシリンダ46は、キースイッチ108(図3参照)を備えており、キーシリンダ46に差し込まれた設定キー50を回転させることで、キースイッチ108のオン・オフを行えるようになっている。例えばキースイッチ108をオフとなる状態で電源スイッチ40をオンすると遊技モードで立ち上がり、遊技の実行が可能となる。一方、キースイッチ108をオンとなる状態で電源スイッチ40をオンすると設定変更モードで立ち上がり、設定値の変更を行うことが可能となる。なお、設定変更モードに移行させる操作は一例であり、本実施形態に限定する必要はない。
設定変更ボタン47は、設定変更モードで設定値の変更を行う場合に操作されるボタンである。スロットマシン2における設定値は複数設けられている。なお、本実施形態では、設定値を「1」〜「6」とし、設定変更時に設定変更ボタン47が操作される毎に設定値が「1→2→・・・→5→6→1→・・・」の順で変更され、変更された設定値が表示装置15に表示される。その後、スタートレバー25を押下すると、表示装置15に表示される設定値が新たな設定値として確定される。スライドスイッチ48は、BBモードが終了したときに、遊技を終了させるか継続させるかを切り替えるために設けられている。なお、設定変更ボタン47を操作した場合に表示される設定値の変更順序は、上記記載に限定する必要はない。
ホッパー装置36は、収納箱4の下部に設けられている。ホッパー装置36は、このスロットマシン2で遊技を行って入賞を得た場合に作動し、入賞に対するメダルを連続してメダル受け皿30に払い出す。このホッパー装置36の上部には、払出し用のメダルを貯留する貯留タンク55が設けられている。この貯留タンク55には、メダル投入口30から投入されたメダルが貯留される。オーバーフロー用の貯留箱56は、ホッパー装置36の貯留タンク55に貯留されたメダルが所定量を超えたときに、貯留タンク55から排出されたメダルが貯留される。
図3は、スロットマシン2の電気的構成を示す機能ブロック図である。スロットマシン2は、遊技における基本的制御を行う遊技制御装置60を備えている。遊技制御装置60は、CPU61、ROM62及びRAM63を備えている。CPU61は、スロットマシン2を統括的に制御する。
ROM62には、モード判定プログラム70、設定変更プログラム71、遊技制御プログラム72等のプログラムの他に、第1確率テーブル群73、第2確率テーブル群74、第3確率テーブル群75、第4確率テーブル群76、第5確率テーブル群77、第6確率テーブル群78や、図柄テーブル79が記憶されている。
モード判定プログラム70は、スロットマシン2に給電が行われた場合に読み出される。このモード判定プログラム70が読み出されると、CPU61は、キースイッチ108からオン信号が出力されているか否かによって、遊技を行う遊技モードにあるか、設定変更モードにあるかを判定する。この判定結果に基づいて、ROM62から設定変更プログラム71、又は遊技制御プログラム72が読み出される。
設定変更プログラム71は、モード判定プログラム70を読み出すことで実行される上記判定において設定変更モードにあると判定された場合に、CPU61によって読み出されるプログラムである。この設定変更プログラム71を読み出すことによって、CPU61は設定変更モードに基づいた各処理を実行する。つまり、設定変更ボタン47が押圧操作された場合に、表示装置15に設定値の表示する処理、スタートレバー25が押下された時に、設定値を確定する処理を行う。また、この他に設定値が確定されたときに、RAM63に記憶された遊技データに基づいて、遊技が通常モード中であるか否かの判定が行われる。この判定の結果、通常モード中であると判定された場合には、RAM63に記憶された遊技におけるデータ(以下、遊技データ)を初期化した後、確定された設定値をRAM63に記憶させる。一方、通常モード中でないと判定された場合には、RAM63に記憶された遊技データの初期化を行わずに、確定された設定値を新たな設定値としてRAM63に記憶する。
遊技制御プログラム72は、モード判定プログラム70を読み出すことで実行される上記判定において遊技状態にあると判定された場合に、CPU61によって読み出されるプログラムである。この遊技制御プログラム72を読み出すことによって、CPU61は、遊技における各処理を実行する。なお、遊技における各処理とは、例えばリールの回転処理及び停止処理、当選役抽選(乱数の取得、取得された乱数と確率テーブルとから遊技における複数の当選役、或いはハズレの決定)処理、入賞時の払出処理、遊技状態の移行処理等である。
第1確率テーブル群73は、設定値が「1」に設定されたときの遊技における当選役の抽選処理で使用される確率テーブル群である。この第1確率テーブル群73は、例えば通常の遊技が行われる通常モードで使用される確率テーブルの他、該通常モードの遊技よりも遊技者に有利になるRBモードや、BBモード中のRB導入遊技でシフトRB移行役を入賞させることで移行するシフト(SRB)モードで使用される確率テーブル、BBモード中のRB導入遊技で使用される確率テーブル、通常モードよりもリプレイ役の当選確率が高くなるリプレイタイム(RT)モードで使用される確率テーブル等、遊技状態に応じた遊技で使用される複数の確率テーブルから構成されている。
第2確率テーブル群74は、設定値が「2」設定されたときの遊技における当選役の抽選処理で使用される確率テーブル群である。第3確率テーブル75は、設定値が「3」となる場合に用いられる確率テーブル群である。第4確率テーブル76は、設定値が「4」となる場合に用いられる確率テーブル群である。第5確率テーブル77は、設定値が「5」となる場合に用いられる確率テーブル群である。第6確率テーブル78は、設定値が「6」となる場合に用いられる確率テーブル群である。なお、これら確率テーブル群を構成する確率テーブルは第1確率テーブル群73と同一であるので、ここでは詳細を省略するが、各テーブル群の確率テーブルにおける当選役の当選確率は、それぞれ異なるように設定されている。
図柄テーブル79は、各リールに配列される図柄と、基準位置からのステップ数とが対応付けられたテーブルである。
RAM63は、CPU61によって読み出された各プログラムが展開されるとともに、遊技データが記憶される他に、上述した設定値等が記憶される。
メダルセンサ85は、セレクタの内部に設けられ、セレクタによって真贋判定によって正規のメダルと判定されたメダルを検知する。CPU61には、図示しないメダルカウンタが設けられており、例えばクレジット機能が有効となる場合には、4枚目以降のメダルの検知信号をメダルカウンタによって計数していく。
ベットスイッチセンサ86は、MAXベットボタン20の内部に配設されている。MAXベットボタン20が押圧操作されると、ベットスイッチセンサ86がオンとなり、そのオン信号(以下、投入信号)がCPU61に向けて出力される。この投入信号を受けて、CPU61は、RAM63を参照した後に投入処理を行う。
スタートスイッチセンサ87は、スタートレバー25が押下されることによってオンとなり、そのオン信号がCPU61に出力される。CPU61は、入力されたオン信号を受けて、当選役の抽選処理などの処理を、RAM63に一時記憶されたデータを参照しながら実行する。
第1リール10、第2リール11、第3リール12の各リールの基準位置には、インデックス10a,11a,12aがそれぞれ設けられ、その一回転ごとにフォトセンサ90,91,92によって、それぞれのインデックス10a,11a,12aの通過が光電検出される。フォトセンサ90,91,92による検知信号は、リールごとのリセット信号としてCPU61に出力される。なお、第1リール10、第2リール11、第3リール12には、ステッピングモータ95,96,97の駆動軸がそれぞれ圧入されており、ステッピングモータ95,96,97の作動によって、これら第1リール10、第2リール11、第3リール12が回転する。図3では、便宜上、第1リール10とステッピングモータ95、第2リール11とステッピングモータ96、第3リール12とステッピングモータ97とをそれぞれ実線で囲って示してある。なお、符号100,101,102は、ステッピングモータ95,96,97をそれぞれ駆動させるドライバである。
なお、CPU61には、ステッピングモータごとにパルスカウンタ(図示せず)が設けられ、各々のステッピングモータに供給された駆動パルスの個数を計数する。これにより、フォトセンサ90,91,92からのリセット信号が入力されるたびにクリアされ、再びアップカウントされる。CPU61は、リールごとにパルスカウンタのカウント値を監視することによって、例えば横中央の入賞ライン上にどの図柄が移動してきているのかを識別することができ、また、どの程度リールを回転させれば目的の図柄が有効となる入賞ライン上に移動してくるのかを予測することができる。
第1ストップスイッチセンサ105は、第1ストップボタン26の内部に設けられており、第1ストップボタン26が押圧操作されるとオンとなり、オン信号をCPU61に向けて出力する。これを受けて、CPU61は、ROM62に記憶された図柄テーブル79を参照して、第1リール10に配設された図柄のうち、目的の図柄が有効となる入賞ライン上に停止されるように、ドライバ100におけるステッピングモータ95への駆動パルスの供給を制御する。
第2ストップスイッチセンサ106は、第2ストップボタン27の内部に設けられ、第2ストップボタン27が押圧操作されるとオンとなり、オン信号をCPU61に向けて出力する。これを受けて、CPU61は、ROM62に記憶された図柄テーブル79を参照して、第2リール11に配設された図柄のうち、目的の図柄が有効となる入賞ライン上に停止されるように、ドライバ101におけるステッピングモータ96への駆動パルスの供給を制御する。
第3ストップスイッチセンサ107は第3ストップボタン28の内部に設けられ、第3ストップボタン28が押圧操作されるとオンとなり、オン信号をCPU61に向けて出力する。これを受けて、CPU61は、ROM62に記憶された図柄テーブル79を参照して、第3リール12に配設された図柄のうち、目的の図柄が有効となる入賞ライン上に停止されるように、ドライバ102におけるステッピングモータ97への駆動パルスの供給を制御する。
キースイッチ108は、キーシリンダ46の内部に設けられ、キーシリンダ46に差し込まれた設定キー50を回転操作することによって、オン・オフされる。このキースイッチ108はCPU61と接続されており、そのキースイッチ108がオンとなると、そのオン信号をCPU61に出力する。
設定変更スイッチセンサ109は、設定変更ボタン47の内部に設けられている。この設定変更スイッチセンサ109は設定変更ボタン47が押圧操作されるとオンとなり、そのオン信号をCPU61に向けて出力する。例えば設定変更モードで設定変更スイッチセンサ109からオン信号が出力されると、CPU61は、表示装置15における設定値の表示を変更する。
次に、本実施形態のスロットマシン2における遊技の流れについて、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。例えば、スロットマシン2に給電が行われると、CPU61によってモード判定プログラム70が読み出された後、遊技モードにあるか、設定変更モードにあるかが判定される。この状態では、キースイッチ108はオフであることから、遊技モードにあると判定された後、CPU61によって遊技制御プログラム72が読み出される。遊技者がスロットマシン2における遊技を開始すると、通常の遊技が行われる通常モードの遊技が実行される。まず、遊技者は、メダルを直接投入する、又はMAXベットボタン20を押圧操作して、クレジットされたメダルを用いたメダルの投入を行う。その後、スタートレバー25を押下すると、当選役抽選が行われ、第1リール10、第2リール11、第3リール12が回転する。遊技者は、第1ストップボタン26、第2ストップボタン27、第3ストップボタン28が有効になった後、これらストップボタンを押圧操作して、対応するリールを停止させる。そして回転するリールが全て停止したときに、当選役を構成する図柄が有効となる入賞ライン(入賞有効ライン)のうち、同一の入賞有効ライン上に停止した場合に入賞となる。
例えば、ベル役やチェリー役などの小役を入賞させた場合には、入賞に対するメダルの払い出しが行われる。また、リプレイ役を入賞させた場合には、メダルの払い出しは行われないが、メダルを投入せずに次の遊技を行う権利を得ることができる。なお、当選役抽選でハズレとなる場合や、当選役抽選で複数の当選役のいずれかとなるが、同一の入賞有効ライン上にその当選役を構成する図柄を停止させることができない場合には、入賞有効ライン上には、当選役を構成する図柄が揃うことがない。
また、当選役抽選でRB移行役が当選し、該RB移行役を入賞させることができなかった場合には、該RB移行役を入賞させるまで、RB移行役が持ち越される、つまりRB移行役が内部当選した状態が継続される。そして、RB移行役を入賞させると、遊技状態が通常モードからRBモードに移行する。このRBモードの遊技は、ジャック役が当選しやすい状態である。これにより、遊技者が、RBモードの遊技を行うと、ジャック役が連続して入賞することになり、数多くのメダルを獲得することができる。なお、このRBモードは、予め設定された遊技回数を消化した場合、又は予め設定された入賞回数を得た場合のいずれか一方の条件を満足した場合に終了する。
また、当選役抽選でBB移行役が当選し、該BB移行役を入賞させることができなかった場合には、該BB移行役を入賞させるまで、BB移行役が持ち越される、つまりBB移行役が内部当選した状態が継続される。そして、BB移行役を入賞させると、遊技状態が通常モードからBBモードに移行する。
遊技状態がBBモードに移行すると、まずRB導入遊技が行われる。このRB導入遊技で、ベル役やチェリー役などの小役を入賞させた場合には、入賞に対するメダルの払い出しが行われる。この際、BBモード中の純増メダル枚数がカウントされる。なお、小役を入賞させた場合には、引き続きRB導入遊技が行われる。そして、RB導入遊技でRBシフト役を入賞させると、SRBモードの遊技が実行される。このSRBモードは、RBモードと同様にして、ジャック役が入賞し易くなる。このSRBモードの遊技を12回行う、或いは、ジャック役を10回入賞させることで、SRBモードの遊技が終了する。このSRBモードの遊技においても、純増メダル枚数のカウントが行われている。そして、この純増メダル枚数が上限数に到達していない場合には、再度RB導入遊技が開始される。そして、RB導入遊技が行われている場合や、SRBモードの遊技を行っている間に、純増メダル枚数が上限数に到達した場合は、BBモードの遊技が終了する。RT無しのBBモードを入賞させた場合には、BBモードの遊技が終了すると、通常モードの遊技へと移行する。
一方、RT有りのBBモードを入賞させた場合には、BBモードが終了した後、RTモードに移行する。このRTモードは、リプレイ役の当選確率が通常状態よりも高く設定されていることから、リプレイ役が入賞し易くなっている。これにより、このRTモードを行うことで、遊技者はメダルの消費を抑えて遊技を行うことができる。なお、このRTモードの遊技は、遊技数が上限数に到達した場合や、RB移行役やBB移行役を入賞させた場合に終了する。
図5は、このようなスロットマシン2において設定値の変更を行う際の流れを示すフローチャートである。スロットマシン2において設定値の変更を行う場合には、まず、下部扉7を開いた後、電源スイッチ40をオフにする。その後、キーシリンダ46に設定キー50を挿入し、設定キー50を回転させる。これにより、キーシリンダ46の内部に設けられたキースイッチ108がオンになる。この状態で電源スイッチ40をオンにすると、CPU61によって設定変更プログラム71が読み出されることから、スロットマシン2が設定変更モードで立ち上がる。
この設定変更モードの状態でスロットマシン2が立ち上がると、上部扉6に設けられた表示装置15に現在の設定値が表示される。遊技場の管理者が設定変更ボタン47を押圧操作すると、この表示装置15に表示された設定値が変更されるので、遊技場の管理者は意図する設定値が表示されるまで、設定変更ボタン47を押圧操作する。その後、意図する設定値が表示されたときに、スタートレバー25を押下すると、スタートスイッチセンサ87からのオン信号がCPU61に入力される。このオン信号を受けて、CPU61は、RAM63に記憶された遊技モードを参照して、通常モード中に設定値の変更が行われたか否かを判定する。例えば通常モード中に設定値の変更が行われた場合には、RAM63の遊技データを初期化するとともに、オン信号が入力された時の設定値を新たな設定値としてRAM63に記憶する。
一方、通常モード以外の遊技中に設定変更された場合には、オン信号が入力された時点の設定値が、変更前の設定値と同一であるか否かの判定が行われる。この判定で、同一の設定値である場合には、RAM63に記憶された遊技データを初期化した後、オン信号が入力された時点の設定値をRAM63に記憶する。一方、異なる設定値となる場合には、RAM63に記憶された遊技データを初期化せずに、オン信号が入力された時点の設定値を新たな設定値としてRAM63に記憶する。そして、設定キー50を回転させ、キースイッチ108をオフにすると、設定変更モードが終了し、遊技モードへと移行する。
以下では、特定役をリプレイ役とし、特別状態を、設定値「1」の場合にのみ移行する第1RTモード(図6中RT1)と、設定値「6」の場合にのみ移行する第2RTモード(図6中RT2)とからなる複数のRTモードとし、RTモードのいずれかで遊技が行われているときに、設定値の変更を行う場合について説明する。
例えば第1RTモードの遊技で、設定値を「1」から「6」に変更した場合には、通常モード以外の遊技中に設定値の変更を行っていることから、RAM63に記憶された遊技データは初期化されず、設定値のみが更新される。その後、設定変更モードから遊技モードに移行させると、RAM63には設定値の変更前の遊技データが記憶されていることから、設定値の変更後の遊技が、設定値の変更前の遊技状態である第1RTモードで行われる。この場合、図6に示すように、設定値を「1」から「6」に変更すると、第1RTモード中の遊技でのリプレイ役の当選確率が1/7.3から1/1.4へと高確率となる。
同様にして、第2RTモードの遊技中に設定値「6」から「1」に変更された場合も、設定値の変更後には、第2RTモードが継続され、またリプレイ役の当選確率が1/7.3から1/1.4へと高確率になる。これによれば、設定値の変更を行うことで、設定変更を行わないときには移行しない遊技状態を作り出すことができる。また、その遊技状態での遊技では特定の当選役が高確率で当選することから、設定値の変更を行うことで同一の遊技状態であっても、異なる遊技状態で行わせることができ、遊技に幅を持たせることができる。なお、特定役としてリプレイ役を例に取り上げているが、これに限定する必要はなく、他の小役(ベル役、チェリー役など)であってもよい。
また、設定値を変更することによって、例えばリプレイ役などの特定役の当選確率を変更する他に、設定値の変更を行うことで当選しないはずの当選役を当選させるようにすることも可能である。以下では、例えばリプレイ役の当選確率の異なるRTモードが複数(第1RTモード、第2RTモード)設定されており、これらRTモードの遊技で当選するリプレイ役として第1〜第3リプレイ役が設定されている場合について説明する。例えば第1〜第3リプレイ役は、互いに当選確率が異なるように設定され、また、これらリプレイ役のうち、第3リプレイ役(特殊リプレイ役)は、第1RTモード及び第2RTモードよりも例えばリプレイ役の当選確率が高く設定される第3RTモードへ移行する契機となる当選役として設定されている。
図7に示すように、第3リプレイ役は、設定値「1」の場合、第1RTモードの遊技では当選せず、設定値「6」の場合に当選確率が1/7.3で当選するように設定されている。また、この第3リプレイ役は、設定値「6」の場合、第2RTモードの遊技では当選せず、設定値「1」の場合に当選確率が1/7.3で当選するように設定されている。つまり、この第3リプレイ役は、設定値の変更を行うことで入賞させることが可能となる当選役である。例えば第1RTモードの遊技を行っているときに、設定値を「1」から「6」に変更すると、設定値「1」では当選しない第3リプレイ役が設定値「6」に変更することで当選する。一方、設定値「6」から「1」に変更した場合には、当選するはずの第3リプレイ役が当選しなくなる。
また、第2RTモードの場合も同様であり、設定値を「1」から「6」に変更した場合には、第3リプレイ役が当選しなくなり、設定値を「6」から「1」に変更した場合には、当選することになる。これによれば、ある設定値においては当選しない当選役を、設定値の変更を行うことにより当選させることができるようになる。つまり、同一の遊技状態であっても設定値の変更によって異なる遊技内容とすることができる。
本実施形態では、特別状態としてRTモードを例に取り上げ、ある設定値において遊技を実行した場合には移行することはないRTモード中の遊技で設定値の変更を行った場合、該RTモードを設定値の変更後も継続して行えるようにしているが、RTモードに限定されるものではなく、例えばBBモード中の遊技で設定値の変更が行われた場合も同様である。また、この他に、通常モードの遊技でBB移行役が当選した状態、つまりBB移行役の内部状態となる場合であっても、本発明を用いることができる。
例えば特別状態として、設定値「6」の場合にのみ移行させることができる第1BBモード(図8中BB1)と、設定値「1」の場合にのみ移行させることができる第2BBモード(図8中BB2)との複数のBBモードから構成された場合について説明する。例えば、設定値「1」の場合で、第2BBモードに移行するBB移行役(以下、第2BB移行役)が内部当選している遊技で設定値を「1」から「6」に変更した場合、遊技データが継続して使用されることから第2BB移行役が内部当選している遊技が継続して行われることになる。これによれば、設定値「6」では入賞させることができない第2BB移行役を設定値「6」に変更した後に入賞させることができる。
この場合、図8に示すように、第2BBモードの遊技における純増メダル枚数の上限数が400枚となり、設定値「1」では、第2BBモードの遊技における純増メダル枚数の上限数が200枚となることから、通常では得られない純増メダル枚数のBBモードを得ることができる。これによれば、BB移行役が内部当選しているときに設定値を変更した場合には、同一のBBモードであっても、BBモードの内容が変化することになる。なお、第1BBモードについても同様である。
本実施形態では、設定値を変更する遊技モードとしてRTモードの例を取り上げているが、これに限定する必要はなく、例えばBB移行役が内部当選している遊技状態で設定値を変更することで、BB移行役が内部当選している遊技状態を維持し、またBBモードの終了後に移行するRTモードのリプレイ役の当選確率を変更することも可能である。
図9に示すように、例えば、第1BBモードは、設定値「6」の場合にのみ当選し、第2BBモードは、設定値「1」の場合にのみ当選されるように設定され、第1BBモード、第2BBモードが終了した場合にはRTモードに移行する。この場合、RTモードは、BBモードが終了した場合に必ず移行する必要はない。
例えば設定値「6」の場合に、第1BBモードに移行する第1BB移行役が内部当選している遊技で設定値を「6」から「1」に変更すると、第1BB移行役が内部当選している状態が保持される。この状態で第1BB移行役を入賞させると、第1BBモードに移行し、第1BBモードが終了した後、RTモードに移行する。このRTモードでは、リプレイ役の当選確率が、1/1.4と、設定値「6」のまま遊技を行った場合にBBモードの終了後に移行するRTモードでのリプレイ役の当選確率1/7.3よりも高確率となる。これによれば、設定値「1」の時には入賞させることができない第1BB移行役を設定値「1」に変更することで入賞させることができるとともに、第1BB移行役を入賞させた後に行われるRTモードをリプレイ役が高確率となる状態で行うことができるようになるから、設定値が同一となる場合には行えない遊技内容を設定変更後の遊技で行うことが可能となる。
また、この他に、BB移行役が内部入賞している遊技で設定値の変更を行うことで、BBモード終了後に行われるRTモードで当選されるリプレイ役を当選させることができるようにしてもよい。この場合、図10に示すように、BB移行役は、設定値「1」では当選せず、設定値「6」の場合に1/250の確率で当選する第1BB移行役と、設定値「1」の場合に、1/300の確率で当選し、設定値「6」の場合では当選しない第2BB移行役とから構成され、BBモードが終了した後に移行するRTモードの遊技で当選するリプレイ役として、当選確率がそれぞれ異なる第1〜第3リプレイ役がある場合について説明する。
図10に示すように、第3リプレイ役は、第1BBモードが終了した後に行われるRTモードの遊技では、設定値「6」の場合には当選せず(当選確率が0となる)、設定値「1」の場合に1/7.3の確率で当選するように設定されている。また、この第3リプレイ役は、第2BBモードが終了した後のRTモードの遊技では、設定値「1」の場合には当選せず(当選確率が0となる)、設定値「6」の場合に1/7.3の確率で当選するように設定されている。例えば、設定値「6」に設定された遊技において、第1BB移行役が当選した後に(第1BB移行役が内部当選しているときに)、設定値を「6」から「1」に変更した場合には、第1BB移行役が当選した状態が維持されていることから、設定値「1」においては入賞しない第1BB移行役を入賞させることができる。そして、第1BB移行役を入賞させることで移行する第1BBモードを終了した後のRTモードにおいては、第3リプレイ役を入賞させることができるようになる。
同様にして、設定値「1」に設定された遊技において、第2BB移行役が当選した後に(第2BB移行役が内部当選しているときに)、設定値を「1」から「6」に変更した場合には、第2BB移行役が当選した状態が維持されていることから、設定値「6」においては入賞しない第2BB移行役を入賞させることができる。そして、第2BB移行役を入賞させることで移行する第2BBモードを終了した後のRTモードにおいては、第3リプレイ役を入賞させることができるようになる。これによれば、ある設定値においては当選しない当選役を、設定値の変更を行うことにより当選させることができるようになる。つまり、同一の遊技状態であっても設定値の変更によって異なる遊技内容とすることができる。
本実施形態では、設定値「1」と設定値「6」の場合について説明しているが、これに限定される必要はなく、他の設定値における変更を行ってもよいことは言うまでもない。