JP2010193716A - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】デッドアングルによる影響を排除し、かつ高精度の定電圧制御が可能なスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】第1の巻線L1及び第2の巻線L2を有し、第1〜第2の巻線L1〜L2に流れる電流によって導通状態が設定されるマグアンプ10と、第1の巻線L1から出力される電圧を整流平滑化する整流平滑回路20と、整流平滑回路20から第1の巻線L1に出力されるリカバリー電流Irによって第1の巻線L1に発生する磁束と大きさが同一で向きが逆の磁束を第2の巻線L2に発生させる磁束電流Imを、第2の巻線L2に出力する電流出力回路30と、整流平滑回路20の出力電圧に応じて第2の巻線L2に流れる電流を調整してマグアンプ10のインピーダンスを変化させる制御回路40とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、電源装置に係り、特にマグアンプを使用して定電圧制御を行うスイッチング電源装置に関する。
可飽和リアクトルの飽和状態と非飽和状態を利用した磁気的なスイッチとしてトランスの2次側にマグアンプを配置し、パルス幅変調(PWM)方式により出力電圧の定電圧制御を行うスイッチング電源装置が使用されている。「PWM方式」では、周期を一定にしたパルスの「1」と「0」の割合を可変にすることで出力電圧の平均値を制御し、定電圧を出力する。上記のスイッチング電源装置では、トランスの1次側の巻線の交流電圧によって誘起される2次側の巻線の交流電圧が、2次側でのPWM方式制御によって定電圧になるように制御される。つまり、2次側の出力電圧を1次側にフィードバックしないため、例えばスイッチング電源装置が複数種類の電圧を出力する場合等に、各出力電圧を個別に安定化させるのに適している。
マグアンプを使用したスイッチング電源装置では、出力電圧に応じてマグアンプに電流(以下において、「リセット電流」という。)を流してマグアンプのコアの磁化状態を変化させることにより、マグアンプが順方向に導通する時間を変更して出力電圧を制御する。しかし、マグアンプに直列接続された整流用のダイオードのリカバリー電流がマグアンプに流れ込み、出力電圧を精度よく制御できない場合がある。つまり、ダイオードのリカバリー電流が制御不能のリセット電流として作用し、リカバリー電流が無い場合に比べて出力電流の流れる時間が短くなり、出力電圧が低下する。このように実質的なリセット電流減少等により、マグアンプの磁束振幅をある値より小さくできないために出力電圧を十分に高くできず、出力電圧が所望の値より低くなる現象を、一般に制御不能角の意味から「デッドアングル」という。
整流用のダイオードのリカバリー電流がマグアンプに流れる等して発生するデッドアングルの影響を受けて出力電圧が低下することを回避するために、
(1)トランスの巻数比を上げて、出力電圧を高めに設定する、
(2)リカバリー電流の少ない部品(ダイオード)を使用する、
等の対策が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平4−295272号公報
しかしながら、上記の対策(1)の巻数比を上げる方法では、巻数比を上げた分だけ更に余分に出力電圧を制御する必要があり、マグアンプのサイズが大きくなる。これは、出力電圧が低い場合、つまり巻数が少ない場合に、巻数を1ターン増やしただけで制御する磁束が大きく変わるためである。また、巻数比を上げた分だけ誘起電圧が上がり、ダイオードのリカバリー電流が増大する場合がある。
一方、上記の対策(2)を採用する場合、高性能のダイオードを使用するため部品価格が上昇してスイッチング電源装置のコストが増大する。また、出力電圧が高い場合に耐圧が高いダイオードが必要になるが、耐圧が高いダイオードでリカバリー電流の少ないものは選択肢が少なく、充分な性能を得られない場合がある。そのため、出力電圧を精度よく制御できないという問題があった。
上記問題点を鑑み、本発明は、デッドアングルによる影響を排除し、かつ高精度の定電圧制御が可能なスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、(イ)第1及び第2の巻線を有し、第1及び第2の巻線に流れる電流によって導通状態が設定されるマグアンプと、(ロ)第1の巻線から出力される電圧を整流平滑化する整流平滑回路と、(ハ)整流平滑回路から第1の巻線に出力されるリカバリー電流によって第1の巻線に発生する磁束と大きさが同一で向きが逆の磁束を第2の巻線に発生させる磁束電流を、第2の巻線に出力する電流出力回路と、(ニ)整流平滑回路の出力電圧に応じて第2の巻線に流れる電流を調整してマグアンプのインピーダンスを変化させる制御回路とを備えるスイッチング電源装置が提供される。
本発明によれば、デッドアングルによる影響を排除し、かつ高精度の定電圧制御が可能なスイッチング電源装置を提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係るマグアンプの構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を説明するための波形図であり、図3(a)はトランスの2次側電圧、図3(b)はマグアンプの出力電圧、図3(c)はマグアンプからの出力電流の波形を示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す模式図である。
次に、図面を参照して、本発明の第1乃至第3の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。又、以下に示す第1乃至第3の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品や回路の構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、図1に示すように、1次側電圧供給回路60によって発生されるトランス50の1次側巻線N1の交流電圧によって2次側巻線N2に誘起される交流電圧(以下において「2次側電圧」という。)VN2を入力電圧として、この入力電圧から直流安定化出力電源電圧を生成するスイッチング電源装置である。図1に示したスイッチング電源装置は、第1の巻線L1及び第2の巻線L2を有し、第1〜第2の巻線L1〜L2に流れる電流によって導通状態が設定されるマグアンプ10と、第1の巻線L1から出力される電圧を整流平滑化する整流平滑回路20と、整流平滑回路20から第1の巻線L1に出力されるリカバリー電流Irによって第1の巻線L1に発生する磁束と大きさが同一で向きが逆の磁束を第2の巻線L2に発生させる磁束電流Imを、第2の巻線L2に出力する電流出力回路30とを備える。
更に、図1に示すスイッチング電源装置は、整流平滑回路20の出力電圧に応じて第1の巻線L1に流れる電流を調整することによってマグアンプ10のインピーダンスを変化させる制御回路40を備える。制御回路40の動作の詳細は後述する。
スイッチング電源装置が出力する直流安定化出力電源電圧(以下において「出力電圧」という。)VOUTは、整流平滑回路20の出力として出力端子OVHと出力端子OVL間に出力される。つまり、マグアンプ10、整流平滑回路20及び制御回路40によって、マグアンプ制御方式のPWM方式回路が構成される。
マグアンプ10の第1の巻線L1の巻き始め(図1で巻線の巻き始めを黒丸で示す。以下において同様。)は、接続点aにおいて整流平滑回路20の入力及び制御回路40の出力に接続し、第1の巻線L1の巻き終わりは、トランス50の2次側巻線N2の巻き始めに接続する。ここで、2次側電圧VN2が正方向の電圧の時に、巻き始めから巻き終わりに電流が流れる。マグアンプ10の第2の巻線L2の巻き始めは、トランス50の2次側巻線N2の巻き終わりに接続し、第2の巻線L2の巻き終わりは、電流出力回路30の出力に接続する。
整流平滑回路20は、図1に示すように、整流ダイオードD21、フライホイールダイオードD22、平滑コイルL21、及び平滑コンデンサC21を備える。整流ダイオードD21のアノードにマグアンプ10の第1の巻線L1の巻き始めが接続し、カソードにフライホイールダイオードD22のカソード及び平滑コイルL21の一端が接続する。平滑コイルL21の他端に平滑コンデンサC21の一端が接続する。平滑コンデンサC21と平滑コイルL21の接続点は、出力端子OVHに接続する。また、平滑コンデンサC21の他端及びフライホイールダイオードD22のアノードは、それぞれ出力端子OVLに接続する。
図1は、電流出力回路30をダイオードD31及び抵抗R31を直列接続して構成した例を示している。ダイオードD31のカソードはマグアンプ10の第2の巻線L2の巻き終わりに接続する。抵抗R31の一端はダイオードD31のアノードに接続し、他端は出力端子OVHに接続する。ただし、図1に示した電流出力回路30の構成は1つの例であり、図1に示した構成に限定されるものではなく、後述するように予め設定される磁束電流Imを出力できる回路であれば、どのような構成であってもよい。
制御回路40は、出力端子OVH及び出力端子OVLに接続され、出力端子OVH〜OVL間に出力される出力電圧VOUTに応じて、リセット電流Icをマグアンプ10に出力する。
図2に、マグアンプ10の構成例の概略図を示す。図2は、第1の巻線L1と第2の巻線L2がドーナツ形状のコアFにそれぞれ巻かれている例である。コアFは飽和が可能な可飽和コアであり、制御回路40は、第1の巻線L1にリセット電流を流してコアFの磁化状態の飽和と不飽和を調整し、マグアンプ10の第1の巻線L1から整流平滑回路20に出力される出力電流Ifを制御する。
具体的には、制御回路40は、出力電圧VOUTを監視し、出力電圧VOUTに応じてマグアンプ10の第1の巻線L1に流れる電流を調整し、マグアンプ10のインピーダンスを変化させる。例えば、出力電圧VOUTが所望の電圧より大きい場合は、制御回路40から第1の巻線L1に、出力電流Ifと逆方向のリセット電流Icが流れ、リセット電流Icの大きさに対応した磁束のリセットが行われる。磁束のリセットが行われると、コアFは飽和状態から非飽和状態になる。
コアFが非飽和状態になると第1の巻線L1のインダクタンスが大きくなる。そのため、次にトランス50の2次側巻線N2から第1の巻線L1に正方向の電圧Eが印加された時に、磁束のリセット量に対応した時間ΔTだけ遅れて、第1の巻線L1に電流が流れ始める。第1の巻線L1に正方向の電圧Eが印加された時刻から、磁束のリセット量に対応して第1の巻線L1に電流が流れ始める時刻との時間差を、以下において「遅延時間」という。「磁束(ΔΦ)=電圧時間積(時間ΔT×電圧E)」の関係より、ΔT=ΔΦ/Eとなる。一方、出力電圧VOUTが所望の電圧より小さい場合は、リセット電流Icが流れない。
以上のように、制御回路40は、マグアンプ10を流れる電流値を調整して磁束のリセット量ΔΦを制御することによって遅延時間を設定し、整流平滑回路20の整流ダイオードD21を流れるパルス電流のパルス幅を変化させる。つまり、出力電圧VOUTが所定の目標電圧になるようにデューティが調整されたパルス信号が、マグアンプ10から出力されることになる。マグアンプ10の出力電圧は、整流平滑回路20によって整流及び平滑されて、出力電圧VOUTとして出力端子OVH〜出力端子OVL間に出力される。即ち、制御回路40によってマグアンプ10の出力電圧がPWM制御され、出力電圧VOUTが安定化される。
次に、整流平滑回路20の整流ダイオードD21のリカバリー電流Irが、出力電圧VOUTに与える影響について説明する。トランス50の2次側電圧VN2が正の電位から負の電位になると、出力電流Ifがマグアンプ10から整流平滑回路20に出力されなくなる。そして、整流平滑回路20の整流ダイオードD21のリカバリー電流Irが、マグアンプ10と整流平滑回路20との接続点aを介して、マグアンプ10の第1の巻線L1に流れ込む。このリカバリー電流Irは、制御回路40から出力されるリセット電流Icと同一の方向にマグアンプ10の第1の巻線L1を流れる。リカバリー電流Irは、定電圧制御するために制御回路40によって制御される意図的なリセット電流Icとは別の、制御回路40によって制御できないリセット電流として作用する。そのため、リカバリー電流Irが第1の巻線L1に流れると、電流出力回路30が無い場合には、以下に説明するように、制御回路40により設定しようとする値よりも出力電圧VOUTが低くなる。
即ち、整流ダイオードD21のリカバリー電流Irがマグアンプ10に流れ込んで制御できないリセット電流として作用することによって、リセット電流Icのみがマグアンプ10に流れる場合よりも磁束のリセット量が大きくなる。そのため、磁束のリセット量に対応する遅延時間が大きくなり、マグアンプ10が順方向に導通する時間が短くなる。その結果、制御回路40がマグアンプ10の出力電圧を制御して設定しようとする所定の目標電圧よりも、出力電圧VOUTが低くなる。このように、電流出力回路30が無い場合は、マグアンプ10にリカバリー電流Irが流れることによって発生するデッドアングルにより、目標電圧よりも出力電圧VOUTが低くなる。
一方、図1に示したスイッチング電源装置では、電流出力回路30が、リカバリー電流Irに応じて第1の巻線L1に発生する磁束と大きさが同一で向きが逆の磁束を、第2の巻線L2に発生させる磁束電流Imを、第2の巻線L2に出力する。そのため、マグアンプ10内において、リカバリー電流Irによって発生する磁束が、磁束電流Imによって発生する磁束によって打ち消される。つまり、リセット電流Icの大きさに対応した磁束のリセットのみが有効になり、出力電圧VOUTが目標電圧になるようにデューティが調整されたパルス信号が、マグアンプ10から整流平滑回路20に出力される。その結果、出力電圧VOUTは所望の目標電圧に調整される。
図3(a)〜図3(c)に、制御回路40によるPWM制御が行われた場合の、トランス50の2次側電圧VN2、マグアンプ10の出力電圧V10、及び接続点aにおける出力電流Ifの波形をそれぞれ示す。ここで、2次側電圧VN2のパルス周期をTとする。また、リセット電流Icに応じた磁束のリセット量に対応する遅延時間を第1の遅延時間ΔTcとし、リカバリー電流Irに応じた磁束のリセット量に対応する遅延時間を第2の遅延時間ΔTrとする。
図3(a)〜図3(c)に示すように、時刻t1において、2次側電圧VN2が正の電位から負の電位になり、整流ダイオードD21のリカバリー電流Irが、マグアンプ10の第1の巻線L1に流れ込む。整流ダイオードD21のリカバリー電流Irは、整流ダイオードD21の特性や使用状態によって決まる一定のリカバリー時間が経過した後、時刻t2において流れなくなる。
2次側電圧VN2が負の電位である期間に、制御回路40によって設定されたリセット電流Icが第1の巻線L1に流れ、磁束がリセットされる。同時に、電流出力回路30から磁束電流Imが第2の巻線L2に流れ、リカバリー電流Irに応じた磁束のリセットが打ち消される。
時刻t3において、2次側電圧VN2が正の電位になる。その後、時刻t3から第1の遅延時間ΔTcだけ遅れた時刻t4において、出力電流Ifが流れ始める。仮に、電流出力回路30からマグアンプ10の第2の巻線L2に磁束電流Imが出力されない場合、時刻t2から第2の遅延時間ΔTrだけ遅れた時刻t5において出力電流Ifが流れ始める。磁束電流Imが2次側電圧VN2が正の電位である期間に流れる場合は、マグアンプ10のコアFが飽和状態のままであるため、スイッチング電源装置の動作に影響を及ぼさない。
なお、磁束電流Imの大きさは、リカバリー電流Ir、リカバリー時間等の整流ダイオードD21のリカバリー特性、第1〜第2の巻線L1〜L2の巻数、出力電圧VOUT値等によって決定される。そして、磁束電流Imが所望の大きさになるように電流出力回路30が磁束電流Imを設定する。つまり、電流出力回路30がダイオードD31及び抵抗R31で構成される例では、磁束電流Imが所望の大きさになるようにダイオードD31及び抵抗R31の特性が決定される。リカバリー電流Irのリカバリー特性は、測定等により知ることができる。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、リカバリー電流Irに応じた磁束のリセットを打ち消す磁束電流Imをマグアンプ10に流すことによって、リカバリー電流Irが制御できないリセット電流として作用することにより生じるデッドアングルが解消される。その結果、出力電圧VOUTが高い場合であっても、高精度の定電圧制御が可能なスイッチング電源装置を提供できる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、図4に示すように、マグアンプ10と制御回路40及び電流出力回路30との接続関係が図1と異なる。具体的には、制御回路40の出力がマグアンプ10の第2の巻線L2の巻き始めに接続する。電流出力回路30の入力は、制御回路40と第2の巻線L2との接続点に接続し、電流出力回路30の出力は、第1の巻線L1の巻き終わりとトランス50との接続点に接続する。その他の構成については、図1に示す第1の実施の形態と同様である。
制御回路40が出力するリセット電流Icは、巻き始め側から第2の巻線L2に流れ込む。つまり、制御回路40は、マグアンプ10の第2の巻線L2にリセット電流Icを流してコアFの磁化状態の飽和と不飽和を調整し、第1の巻線L1から整流平滑回路20に出力される出力電流Ifを制御する。
また、電流出力回路30が出力する磁束電流Imは、トランス50の2次側巻線N2の巻き始めから巻き終わりまで流れた後、巻き終わり側から第2の巻線L2に流れ込む。
図4に示したスイッチング電源装置では、2次側電圧VN2が正の電位から負の電位になった時に、整流ダイオードD21のリカバリー電流Irが、マグアンプ10の第1の巻線L1に流れ込む。そのため、第1の実施の形態の説明で述べたように、リカバリー電流Irが制御不能のリセット電流として作用するが、電流出力回路30から磁束電流Imが第2の巻線L2に流れ、リカバリー電流Irに応じた磁束のリセットが打ち消される。
そして、2次側電圧VN2が負の電位である間に、出力電圧VOUTに応じて制御回路40によって設定されたリセット電流Icが第1の巻線L1に流れ、磁束がリセットされる。そのため、次に2次側電圧VN2が正の電位になった時刻から、リセット電流Icに応じた磁束のリセット量に対応する第1の遅延時間ΔTcだけ遅れた時刻に出力電流Ifが流れ始める。つまり、リセット電流Icの大きさに対応した磁束のリセットのみが有効になり、出力電圧VOUTが所定の目標電圧になるようにデューティが調整されたパルス信号が、マグアンプ10から整流平滑回路20に出力される。その結果、出力電圧VOUTは所望の値に設定される。
磁束電流Imの大きさは、整流ダイオードD21のリカバリー特性、第1〜第2の巻線L1〜L2の巻数、出力電圧VOUT値等によって決定され、磁束電流Imが所望の大きさになるように電流出力回路30が磁束電流Imを設定される。更に、電流出力回路30に制御回路40の出力が接続されるため、出力電圧VOUTに応じて、制御回路40によって磁束電流Imの大きさを調整することができる。
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、リカバリー電流Irに応じた磁束のリセットを打ち消す磁束電流Imをマグアンプ10に流すことによって、リカバリー電流Irが制御できないリセット電流として作用することにより生じるデッドアングルが解消される。その結果、出力電圧VOUTが高い場合であっても、高耐圧且つリカバリー電流の小さいダイオードを用いることなく、高精度の定電圧制御が可能なスイッチング電源装置を提供できる。
また、出力電圧VOUTが高い場合に、出力電流Ifが流れる第1の巻線L1に制御回路40を接続すると、制御回路40に高耐圧の部品を使用する必要がある。しかし、図4に示したスイッチング電源装置では、制御回路40を第2の巻線L2に接続することにより、制御回路40が制御する電圧を下げることができる。したがって、特に出力電圧VOUTが高電圧の場合に、図1に示したスイッチング電源装置に比べて、制御回路40に使用する素子の耐圧特性を下げることができ、制御回路40に使用する素子の選択肢が増大する。他は、第1の実施の形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、図5に示すように、トランス50の2次側巻線N2に第1〜第2の中間タップTP1〜TP2を設け、この中間タップTP1〜TP2に電流出力回路30及びマグアンプ10の第2の巻線L2を接続することが図4と異なる点である。
具体的には、2次側巻線N2の巻き始めに近い側に配置された第1の中間タップTP1に電流出力回路30の出力を接続し、2次側巻線N2の巻き終わりに近い側に配置された第2の中間タップTP2にマグアンプ10の第2の巻線L2の巻き終わりを接続する。つまり、電流出力回路30から出力された磁束電流Imは、第1の中間タップTP1に入力され、第1の中間タップTP1と第2の中間タップTP2間の2次側巻線N2の一部を流れ、第2の中間タップTP2から第2の巻線L2の巻き終わりに流れ込む。その他の構成、動作については、図4に示す第2の実施の形態と同様である。
出力電圧VOUTを可変にしてスイッチング電源装置を使用する場合、例えば、出力電圧VOUTは0V〜200V程度まで広い範囲に設定される。図5に示したスイッチング電源装置によれば、電流出力回路30の出力を第1の中間タップTP1に接続することにより、出力電圧VOUTが高電圧に設定された場合にも制御回路40に使用する素子の耐圧を低く抑えることができる。そのため、制御回路40に使用する素子の選択肢が増大する。
また、図4に示したスイッチング電源装置では、リセット電流Icが流れ込む第2の巻線L2の巻き終わりが出力端子OVLに接続されているため、出力電圧VOUTが0Vの場合に制御回路40がリセット電流Icを第2の巻線L2に流せない。しかし、図5に示したスイッチング電源装置では、第2の巻線L2の巻き終わりを第2の中間タップTP2に接続することにより、出力電圧VOUTが0V程度の場合にも、制御回路40によるPWM制御が可能である。
なお、磁束電流Imの大きさは、整流ダイオードD21のリカバリー特性、第1〜第2の巻線L1〜L2の巻数、出力電圧VOUT値、第1〜第2の中間タップTP1〜TP2の位置等によって決定される。更に、電流出力回路30に制御回路40の出力が接続されるため、出力電圧VOUTに応じて、制御回路40によって磁束電流Imの大きさを調整することができる。
例えば、第1の巻線L1の巻数n1、第2の巻線L2の巻数n2として、磁束電流Imが以下の式(1)及び式(2)を満足するように設定された場合に、リカバリー電流Irが打ち消される:

Im=Ir×n1/n2 ・・・(1)
31=VTP1/Im ・・・(2)

ここで、VTP1は中間タップTP1の電圧である。
以上に説明したように、本発明の第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、トランス50の2次側巻線N2に第1〜第2の中間タップTP1〜TP2を設けることにより、出力電圧VOUTを可変にした場合にもPWM制御が可能である。更に、出力電圧VOUTが高い場合に対応させた耐圧の高い素子や回路構成を使用していないため、出力電圧VOUTを可変にしてスイッチング電源装置を使用して出力電圧VOUTを低い値に設定する場合に、制御ロスを減らすことができる。他は、第2の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した記載を省略する。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1乃至第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
既に述べた第1乃至第3の実施の形態の説明においては、整流ダイオードD21のリカバリー電流Irに応じた磁束を、磁束電流Imに応じた磁束によって打ち消すことにより、リカバリー電流Irによるデッドアングルの影響を排除して高精度の定電圧制御を実現する例を説明したが、リカバリー電流Ir以外のデッドアングルの発生原因を打ち消すように磁束電流Imを設定することができる。例えば、コアFの磁化特性(BH特性)の角形比に起因するデッドアングルの影響を打ち消すように磁束電流Imを設定することによって、高精度の定電圧制御を実現できる。
また、第1乃至第3の実施の形態の説明においては、フォワードコンバータ方式のスイッチング電源装置の場合について説明したが、マグアンプに整流ダイオードのリカバリー電流が流れ込む可能性のある回路構成を有する他の方式のスイッチング電源装置においても本発明は適用可能である。例えば、フルブリッジ方式、ハーフブリッジ方式、プッシュプル等でセンタータップ方式の2次巻線を有するスイッチング電源装置等についても、整流ダイオードからマグアンプに流れ込むリカバリー電流を打ち消して、高精度の定電圧制御を実現することができる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
10…マグアンプ
L1…第1の巻線
L2…第2の巻線
20…整流平滑回路
21…整流ダイオード
30…電流出力回路
40…制御回路
50…トランス
60…1次側電圧供給回路

Claims (3)

  1. 第1及び第2の巻線を有し、前記第1及び第2の巻線に流れる電流によって導通状態が設定されるマグアンプと、
    前記第1の巻線から出力される電圧を整流平滑化する整流平滑回路と、
    前記整流平滑回路から前記第1の巻線に出力されるリカバリー電流によって前記第1の巻線に発生する磁束と大きさが同一で向きが逆の磁束を前記第2の巻線に発生させる磁束電流を、前記第2の巻線に出力する電流出力回路と、
    前記整流平滑回路の出力電圧に応じて前記第2の巻線に流れる電流を調整して前記マグアンプのインピーダンスを変化させる制御回路と
    を備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. 前記マグアンプに直列接続する2次側巻線を有するトランスを更に備え、前記電流出力回路が、前記2次側巻線の少なくとも一部を介して前記磁束電流を前記第2の巻線に出力することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
  3. 前記リカバリー電流が、前記整流平滑回路が有する整流ダイオードのアノードから出力されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング電源装置。
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