JP2010192169A - 燃料電池構成部材およびその製造方法 - Google Patents

燃料電池構成部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】過酸化水素による材料の劣化と水によるガス流路の閉塞が共に抑制された、耐久性と電圧安定性の高い固体高分子電解質型燃料電池を提供する。
【解決手段】過酸化水素分解性を有する金属化合物の粒子を、セパレータ15や多孔体などのガス流路形成部材の表面に液体ホーニング、ショットピーニング、電解インプロセスドレッシングなどの投射法を適用して、ガス流路17表面を粗面化(親水化)して電圧安定性を向上させるとともに、過酸化水素分解促進剤である金属化合物の粒子をガス流路表面に残存させることにより電池部材の劣化を抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面が親水性であり、なおかつ過酸化水素分解促進成分が付与された、燃料電池に用いるための部材およびその製造方法に関する。本発明の部材は燃料電池のセパレータまたはガス流路形成部材としての用途に適する。
固体高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜と該膜の両側に配置される酸素極および水素極を備える膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、膜電極接合体とセパレータとの間に配置された、前記セパレータと一体に形成されていてもよいガス流路形成部材とを含むセルを備える。
固体高分子電解質型燃料電池において電池性能を低下させる一つの要因としては、酸素極における過酸化水素の生成が挙げられる。過酸化水素を除去することを目的として、過酸化水素分解成分を配合する技術が本出願人らにより開発されている。また、電池性能を低下させる他の要因としては、酸素極での反応により生じる水がガス流路を塞ぐことが挙げられる。水によりガス流路が閉塞されると電圧が低下するおそれがある。ガス流路の水による閉塞を防ぐために、ガス流路を構成する部材(セパレータ等)の親水性を向上させる技術が開発されている。
特許文献1では、過酸化水素を分解することを目的として、固体高分子電解質型燃料電池用膜電極接合体の酸素極にセリウム含有酸化物を含ませている。セリウム含有酸化物としては酸化セリウム、セリウム−ジルコニウム複合酸化物等が挙げられている。特許文献1では触媒インクにセリウム含有酸化物を添加し酸素極を製造することにより、酸素極中にセリウム含有酸化物を添加している。
特許文献2の発明もまた燃料電池において発生する過酸化水素を分解することを目的とする。特許文献2では、膜電極接合体と、その外側に配置されたセパレータとを備える固体高分子型燃料電池において、セパレータの膜電極接合体と接する面上の凸部および/または該凸部に押圧される膜電極接合体の部位に、過酸化水素分解性能を有する酸化セリウム等の金属化合物が塗布により配置される。
特許文献3ではラジカル化合物を消去することを目的として、燃料電池の電解質膜と触媒層との接合面に、高分子材料中に耐酸化性向上成分(ラジカル捕捉剤等)を介在させる技術が開示されている。
特許文献4では、黒鉛粉末、熱硬化性樹脂および内部離型剤を含む組成物を成形してなる固体高分子電解質型燃料電池用セパレータにおいて、その表面を砥粒を用いたブラスト処理等により所定の粗さにまで粗面化することにより、ガス流路を親水化させ排水性能を向上させる技術が開示されている。砥粒としてアルミナ、ジルコニアなどの金属酸化物の粒子が記載されている。ブラスト処理の方法としてはショットブラスト、エアブラスト、ウェットブラスト等が挙げられている。
特許文献5の技術もまた、アルミナ研創材を用いたショットブラスト法等の方法により炭素系セパレータのガス流路面表面を粗面化することにより親水性を高め、排水を促すことを意図している。
特許文献6では固体高分子電解質型燃料電池用の金属セパレータの耐腐食性を高めることを目的として、金属基材の表面に導電性および耐腐食性に優れた緻密な導電性保護膜を形成する技術が開示されている。特許文献6における導電性保護膜は、金属基材表面に微粒子を吹き付けて形成される緻密な堆積層である。導電性保護膜は金属炭化物または金属硼化物により形成される。特許文献6では堆積層の剥離を防ぐことを意図して、金属基材表面を、酸化ジルコニウム等の微粉末を用いたブラスト処理により予め粗面化し、次いでブラスト面上に導電性保護膜を形成する。
特開2004−327074号公報 特開2006−164920号公報 特開2005−190752号公報 特開2008−53052号公報 特開2005−197222号公報 特開2006−140009号公報
上記のように、燃料電池におけるガス流路の親水性を高めてガス流路の閉塞を防ぐ技術と、過酸化水素を分解する技術はそれぞれ開発されているがいずれも満足できるものではなかった。例えば特許文献1では電極中にセリウム含有酸化物を添加するため、発電が進行するにつれて酸化物が溶解して空穴を形成する可能性がある。この空穴は、電極の破断や劣化の基点となる可能性が考えられる。
また過酸化水素による材料の劣化の問題と、水によるガス流路の閉塞の問題を同時に解決することができる技術は未だに提供されていない。例えば、高分子材料中にラジカル捕捉剤を配合する特許文献3の技術では空穴形成の問題はないと考えられるが、水によるガス流路閉塞の課題は依然として残る。
そこで本発明は、過酸化水素による材料の劣化と水によるガス流路の閉塞が共に抑制された、耐久性と電圧安定性の高い固体高分子電解質型燃料電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、過酸化水素分解性を有する金属化合物の粒子を、セパレータや多孔体などのガス流路形成部材の表面に投射することにより、ガス流路表面が粗面化(親水化)されて電圧安定性が向上されるとともに、過酸化水素分解促進剤である金属化合物の粒子がガス流路表面に残存することにより電池部材の劣化が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は以下の発明を包含する。
(1)表面が粗面化され、且つ、過酸化水素分解性を有する金属化合物の粒子が表面に付与されている、燃料電池の構成部材。
(2)金属製部材である、(1)の部材。
(3)高分子電解質膜と該膜の両側に配置される酸素極および水素極を備える膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、膜電極接合体とセパレータとの間に配置されたガス流路形成部材とを含むセルを備える燃料電池に用いるための、セパレータまたはガス流路形成部材である、(1)または(2)の部材。
(4)ガス流路形成部材が、前記セパレータの、前記膜電極接合体に対向する面上に一体に形成されている、(3)の部材。
(5)金属化合物の粒子が、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、またはセリウム−ジルコニウム複合酸化物の粒子である、(1)〜(4)のいずれかの部材。
(6)金属化合物の粒子を表面に投射して製造された、(1)〜(5)のいずれかの部材。
(7)(1)〜(6)のいずれかの部材を備えた燃料電池。
(8)燃料電池の構成部材の製造方法であって、
前記構成部材の表面に、過酸化水素分解性を有する金属化合物の粒子を投射することにより前記表面を粗面化するとともに前記粒子を前記表面に付与することを含む方法。
(9)構成部材が金属製部材である、(8)の方法。
(10)構成部材が、高分子電解質膜と該膜の両側に配置される酸素極および水素極を備える膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、膜電極接合体とセパレータとの間に配置されたガス流路形成部材とを含むセルを備える燃料電池に用いるための、セパレータまたはガス流路形成部材である、(8)または(9)の方法。
(11)ガス流路形成部材が、前記セパレータの、前記膜電極接合体に対向する面上に一体に形成されている、(10)の方法。
(12)金属化合物の粒子が、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、またはセリウム−ジルコニウム複合酸化物の粒子である、(8)〜(11)のいずれかの方法。
(13)金属化合物の粒子の投射が、液体ホーニングまたはショットピーニングにより行われる、(8)〜(12)のいずれかの方法。
本発明により提供される燃料電池構成部材は表面の親水性が高く、なおかつ過酸化水素分解促進剤である金属化合物の粒子が表面上に残留している。このため本発明の部材をガス流路を構成する部材として用いた燃料電池は、経時的な電圧安定性が高くなおかつ過酸化水素による劣化の可能性が低い。
図1は、本発明の燃料電池構成部材を備えたセルの断面構造の一例を示す。 図2は、本発明の燃料電池構成部材を備えたセルの断面構造の一例を示す。 図3は、本発明の燃料電池構成部材を備えたセルの断面構造の一例を示す。 図4はアルミナ微粒子により表面の投射処理を行ったチタン基材表面の観察結果を示す。 図5はアルミナ微粒子により表面の投射処理を行った部材を用いた燃料電池の長期間にわたる電圧安定性を示す。 図6はアルミナ微粒子により表面の投射処理を行った基材表面の走査型電子顕微鏡による観察像である。アルミナ微粒子が表面上に埋め込まれて残留していることが確認された。 図7は酸化セリウム微粒子により表面の投射処理を行ったチタン基材表面の観察結果を示す。
1.金属化合物の粒子
本発明に用いられる金属化合物は過酸化水素分解性を有するものであれば特に限定されない。このような金属化合物としては金属酸化物が挙げられ、特に酸化セリウム(CeO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、またはセリウム−ジルコニウム複合酸化物が好ましく、酸化セリウム(CeO)が最も好ましい。
金属化合物の粒子は、粒子径が5μm〜50μmであることが好ましく、12μm〜18μmであることがより好ましい。金属化合物として酸化セリウムを使用する場合、粒子サイズは40μm以下であることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
2.投射方法
本発明では燃料電池の構成部材の基材表面に、過酸化水素分解性の金属化合物の粒子を投射することにより、基材表面を粗面化するとともに、金属化合物を表面に残留させて付与する。
投射方法としては典型的には液体ホーニング、ショットピーニング、電解インプロセスドレッシング(ELID)が挙げられる。
液体ホーニングを行う場合、液体媒体としては水、酸性溶液(例えばHSO、HNO、HCl等)を使用できる。液体ホーニングの諸条件は次の範囲から決定することが好ましい。圧力条件は0.15〜0.35MPaが好ましく、0.2〜0.25MPaがより好ましい。なお、酸化セリウム粒子を投射する場合には、0.18〜0.23MPaであることが好ましい。試料の送り速度は10〜100mm/秒が好ましく、20〜50mm/秒がより好ましい。温度条件は10〜50℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。粒子濃度は10〜30wt%が好ましく、13〜20wt%がより好ましい。投射距離は5〜50mmが好ましく、20〜30mmがより好ましい。
ショットピーニングの諸条件は次の範囲から決定することが好ましい。圧力条件は0.1〜0.6MPaが好ましく、0.3〜0.4MPaがより好ましい。試料の送り速度は10〜100mm/秒が好ましく、20〜50mm/秒がより好ましい。ワーク温度は10〜100℃が好ましく、25〜50℃がより好ましい。粒子サイズは5〜50μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
3.投射を受けた部材の特徴
上記手順により金属化合物粒子の投射を受けた燃料電池用部材の表面は以下の特徴を有する。
部材表面は粗面化されており、典型的にはサブμmからμmオーダーの凹凸が形成されている。「サブμmからμmオーダーの凹凸」とは具体的にはRzが0.5〜5μmであることを指し、好ましくはRzが1.2〜3.0μmである。
部材表面は微粒子の投射前は平滑であり、投射処理により粗面化される。そこで平滑面に対する粗面化面の表面積の比により、投射処理後の部材表面の粗さを次の式:
表面積比α=粒子投射処理後の測定部の表面積(3D測定データ)/測定部の二次元面積
により評価することもできる。粒子投射処理後の測定部の表面積は3Dレーザ顕微鏡(キーエンス社製)を用いて測定することができる。本発明では、表面積比αは1.05〜2.00であることが好ましく、1.15〜1.56であることがより好ましい。「測定部の二次元面積」の代わりに、処理前の基材の測定部を、3Dレーザ顕微鏡で測定して得られた表面積値を用いてもよい。
基材表面の親水性(水接触角)はWinzelの式:
cosθ’=α×cosθ
(式中、θ’は処理後の基材表面の水接触角を指し、θは処理前の基材表面の水接触角を指し、αは処理後の基材の表面積の処理前の基材の表面積に対する比(表面積比)を示す。)
に従うことが知られている。このことは表面積比αが大きいほど水接触角は小さい(親水性が高い)ことを示す。上記の表面積比αを有する燃料電池構成部材は未処理の構成部材と比較して表面の水接触角が小さいため、ガス流路形成部材として使用した場合に水による流路の閉塞が生じにくく、フラッディングが抑制され電圧安定性が向上される。
本発明の処理後の部材は更に、投射された金属化合物粒子が表面上に埋め込まれた状態で残留していることを特徴とする。残留した金属化合物粒子は過酸化水素分解促進剤として作用することができる。この結果、当該表面を有する構成部材を備える燃料電池では、作動時に発生するヒドロキシラジカルに起因する電解質膜などの劣化が抑制される。本発明の方法によれば、電解質膜や電極の触媒層または拡散層に過酸化水素分解促進剤を添加する従来の方法よりも多量の過酸化水素分解促進剤を、部材表面に導入することが可能である。
また、金属化合物として酸化セリウムまたは酸化チタンなどの親水性成分を使用した場合には、部材表面上にこれらの親水性成分が付与されることとなり、粗面化による親水性向上効果に加えて、部材表面の親水性が化学的にも高められるため有利である。
燃料電池構成部材の表面に埋め込まれた状態で導入された金属化合物粒子は、発電時間が長くなるにつれてイオン化(溶解)して流出する可能性も考えられる。このような流出が生じた場合には、燃料電池構成部材の表面に穴が形成されるため表面積が更に高まる。このため、表面積比αが高まり、上記Winzelの式に従って部材表面の親水性が増す。
4.構成部材
上述の金属化合物微粒子の投射処理は燃料電池の構成部材に施される。部材としては特に限定されないが、金属製の部材であることが好ましい。カーボン製部材では残留金属化合物微粒子が起点となり部材が破損するおそれがあるが、金属製部材ではそのような懸念がなく投射圧力を高めることができる。また金属製部材は、セパレータ等の基材の薄肉化が可能である。また金属製部材であれば、ロール・ツー・ロール(roll to roll)等の連続加工処理が可能である。
構成部材としては特に、高分子電解質膜と該膜の両側に配置される酸素極および水素極を備える膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、膜電極接合体とセパレータとの間に配置されたガス流路形成部材とを含むセルを備える燃料電池に用いるための、セパレータまたはガス流路形成部材が好ましい。ここでセパレータとガス流路形成部材とは独立した部材として構成された形態であってもよいし、一体に形成された形態であってもよいし、両形態が組み合わされた形態であってもよい。
図1には、ガス流路形成部材が、セパレータ15の、膜電極接合体14に対向する面上に一体に形成された形態を示す。典型的には、セパレータの面上に複数の凸部16が形成されて、凸部16の間にガス流路となる凹部17が構成される。この場合、セパレータの、ガス流路を構成する表面の全部または一部に、本発明の金属化合物粒子による投射処理が施される。
図2には、独立したガス流路形成部材28が、平滑な形状のセパレータ25と、膜電極接合体24との間に介在する形態を示す。ガス流路形成部材28としては多孔体(例えば金属のメッシュ)が挙げられる。この場合、ガス流路形成部材28の表面の全部または一部に、本発明の金属化合物粒子による投射処理が施される。更に、セパレータ25のガス流路形成部材側の表面の全部または一部にも同様に本発明の処理が施されることが好ましい。
図3には、独立したガス流路形成部材38が、セパレータ35と、膜電極接合体34との間に介在し、なおかつセパレータ35の、膜電極接合体に対向する面にもガス流路を形成する部材(凸部36)が一体に形成された形態を示す。独立したガス流路形成部材38としては多孔体(例えば金属のメッシュ)が挙げられる。この場合、ガス流路形成部材38の表面の全部または一部に、本発明の金属化合物粒子による投射処理が施される。更に、セパレータ35のガス流路を構成する表面の全部または一部にも同様に本発明の処理が施されることが好ましい。
5.燃料電池
本発明はまた、上記の構成部材を備えた燃料電池を提供する。本発明の燃料電池は水によるフラッディングが抑制されるため電圧安定性に優れるとともに、過酸化水素に起因する電解質膜などの劣化が抑制されるため耐久性が高い。
実験1:アルミナ粒子の投射(その1)
アルミナの微粒子を基材表面に投射して粗面化処理し、親水性が向上すること、および安定的な発電を実施するために必要なガス流量が低下することを確認した。
アルミナの微粒子:粒子径14μmのアルミナ微粒子、及び同40μmのアルミナ微粒子(ともに昭和電工製)を使用した。
基材:JIS一種チタン(セパレータ部材)を使用した。
投射方法:液体ホーニング法により投射した。媒体中のアルミナ微粒子濃度は15wt%とした。ワークをベルトコンベア搬送装置で20〜50mm/秒の速度で送った。温度は20〜30℃、投射距離は20〜30mmの範囲に設定した。その他の条件は、表1参照。
親水性の評価:親水性(水接触角)はWinzelの式:
cosθ’=α×cosθ
(式中、θ’は処理後の基材表面の水接触角を指し、θは処理前の基材表面の水接触角を指し、αは処理後の基材の表面積の処理前の基材の表面積に対する比(表面積比)を示す。)
に従うことが知られている。
そこで、アルミナ投射処理による親水性の変化を表面積比(α)を指標に評価した。表面積比αは以下の式:
α=アルミナ投射処理後の測定部の表面積(3D測定データ)/測定部の二次元面積
アルミナ投射処理後の測定部の表面積は3Dレーザ顕微鏡(キーエンス社製)を用いて測定・算出した。
安定的な発電が可能なガス流量の測定:測定には、電解質膜と、触媒層と、ガス拡散層とから構成される膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)を一対のセパレータで挟持したセルを使用し、0.3A/cmを安定的に発電させるための空気流量を測定した。セパレータとして、上記の処理を施したチタン基材または処理していないチタン基材を使用した。処理無し時の同空気流量をβ=1とし、処理を施した場合の同空気流量の比を求めた。表1に示すように、処理を施すことによりβが低下したことから、より少ない空気流量で0.3A/cmの安定的な発電が可能となる。
Figure 2010192169
上記結果より、アルミナ微粒子を基材表面に投射処理することにより、表面の親水性が高まること、並びに、少ないガス流量であっても安定的に発電を行うことができることが確認された。
更に、上記で処理されたチタン基材試料の表面を、キーエンス製レーザー顕微鏡VK9510を用い、100倍率で観察した。アルミナ粒子サイズ14μm、投射圧力0.235MPaの条件で処理を施したチタン基材の観察像を図4に示す。液体ホーニング処理により実際に粗面化されていることが確認された。
実験2:アルミナ粒子の投射(その2)
本実験ではアルミナ微粒子による投射表面処理を行った燃料電池部材を用いて燃料電池を作成し、電圧安定性を長時間にわたり測定した。
アルミナの微粒子:実験1で用いた粒子サイズ0.14μmのアルミナ微粒子を用いた。
燃料電池部材:実験1と同じチタン製セパレータを使用した。
投射方法:実験1と同一の手順(投射圧力0.235MPa)で行った。
電圧の測定:フッ素系電解質膜と、白金担持カーボンを含む触媒層と、カーボン拡散層とから構成される膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)を、上記条件でアルミナ微粒子が投射されたセパレータで挟持したセルを用いた。電流密度は0.3A/cmとし、カソード、アノード共にガス温度50℃、相対湿度100%とし、水素利用率90%、空気利用率80%にて定常発電を実施した。
結果を図5に示す。アルミナによる照射処理を行わない場合には、発電途中で電圧低下が生じることがわかる。この電圧低下はフラッディングによるものと考えられる。
実験3:アルミナ粒子の投射(その3)
本実験ではアルミナ微粒子による投射表面処理を行った基材の表面にはアルミナ微粒子が埋め込まれて残留していることを確認した。
アルミナの微粒子:実験1で用いた粒子サイズ0.14μmのアルミナ微粒子を用いた。
基材:実験1と同じチタン製セパレータを使用した。
投射方法:実験1と同一の手順(投射圧力0.235MPa)で行った。
粒子を投射した表面を走査型電子顕微鏡により観察した。結果を図6に示す。矢印で指した2箇所にアルミナの微粒子が埋め込まれて残留していることが確認された。
実験4:過酸化水素分解能力
1wt%H水溶液(100℃)に8時間、Feイオン10ppmと、対象物(アルミナまたは酸化セリウム)10ppmを添加した状態で電解質膜(Nafion 112(Nafionはディポン社の登録商標))を浸漬した。試験前後でのH量を定量し、分解率を算出した。その結果、酸化セリウム(CeO)の場合、処理無し時と比較してHが約6倍分解され、アルミナ(Al)の場合はHが約1.5倍分解された。
実験5:酸化セリウム粒子の投射
酸化セリウムの微粒子を基材表面に投射して粗面化処理し、親水性が向上すること、および安定的な発電を実施するために必要なガス流量が低下することを確認した。
酸化セリウムの微粒子:粒子径約35μmの酸化セリウム微粒子を使用した。
基材:実験1と同じチタン製セパレータを使用した。
投射方法:液体ホーニング法により投射した。媒体中のアルミナ微粒子濃度は約15wt%とした。ワークをベルトコンベア搬送装置で30mm/秒の速度で送った。投射距離は20mm程度、投射圧力は0.2MPaに設定した。
実験1と同様にして表面積比αおよび安定ガス流量比βを測定したところ、α=1.55(CeO処理品)、β=0.54であった。
更に、処理を施したチタン基材試料の表面を、キーエンス製レーザー顕微鏡VK9510を用い、100倍率で観察した。観察像を図7に示す。
1、2、3・・・セル
11、21、31・・・電解質膜
12、22、32・・・酸素極
13、23、33・・・水素極
14、24、34・・・膜電極接合体
15、25、35・・・セパレータ
16、36・・・凸部(一体化されたガス流路形成部材)
17、37・・・凹部(ガス流路)
28、38・・・独立したガス流路形成部材

Claims (13)

  1. 表面が粗面化され、且つ、過酸化水素分解性を有する金属化合物の粒子が表面に付与されている、燃料電池の構成部材。
  2. 金属製部材である、請求項1の部材。
  3. 高分子電解質膜と該膜の両側に配置される酸素極および水素極を備える膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、膜電極接合体とセパレータとの間に配置されたガス流路形成部材とを含むセルを備える燃料電池に用いるための、セパレータまたはガス流路形成部材である、請求項1または2の部材。
  4. ガス流路形成部材が、前記セパレータの、前記膜電極接合体に対向する面上に一体に形成されている、請求項3の部材。
  5. 金属化合物の粒子が、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、またはセリウム−ジルコニウム複合酸化物の粒子である、請求項1〜4のいずれかの部材。
  6. 金属化合物の粒子を表面に投射して製造された、請求項1〜5のいずれかの部材。
  7. 請求項1〜6のいずれかの部材を備えた燃料電池。
  8. 燃料電池の構成部材の製造方法であって、
    前記構成部材の表面に、過酸化水素分解性を有する金属化合物の粒子を投射することにより前記表面を粗面化するとともに前記粒子を前記表面に付与することを含む方法。
  9. 構成部材が金属製部材である、請求項8の方法。
  10. 構成部材が、高分子電解質膜と該膜の両側に配置される酸素極および水素極を備える膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、膜電極接合体とセパレータとの間に配置されたガス流路形成部材とを含むセルを備える燃料電池に用いるための、セパレータまたはガス流路形成部材である、請求項8または9の方法。
  11. ガス流路形成部材が、前記セパレータの、前記膜電極接合体に対向する面上に一体に形成されている、請求項10の方法。
  12. 金属化合物の粒子が、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、またはセリウム−ジルコニウム複合酸化物の粒子である、請求項8〜11のいずれかの方法。
  13. 金属化合物の粒子の投射が、液体ホーニングまたはショットピーニングにより行われる、請求項8〜12のいずれかの方法。
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