以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置1内には画像形成部Pが、搬送ベルト8の上方に配設されている。この画像形成部Pは、帯電、露光、現像及び転写の各工程により所定の画像を形成する。
この画像形成部Pには、可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)2が配設されており、感光体ドラム2上に形成されたトナー像が、画像形成部Pに隣接して移動する搬送ベルト8によって担持・搬送されるシート(記録媒体)6上に転写され、さらに、定着ユニット7においてシート6上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。駆動モータ21(図4参照)により感光体ドラム2を図1において時計回り(所定の回転方向)に回転(正回転)させながら、感光体ドラム2に対する画像形成プロセスが実行される。
次に、画像形成部Pについて詳細に説明する。回転自在に配設された感光体ドラム2の周囲及び上方には、感光体ドラム2を帯電させる帯電ローラ(帯電手段)3と、感光体ドラム2に画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム2上にトナー像を形成する現像ユニット(現像手段)5と、感光体ドラム2上に残留した現像剤(トナー)を回収するクリーニング装置(クリーニング手段)9と、静電潜像を除去する除電器10と、補助クリーニング部材(補助クリーニング手段)25と、が設けられている。
先ず、帯電ローラ3によって感光体ドラム2の表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、感光体ドラム2上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像ユニット5は、感光体ドラム2と対向して配置された現像ローラ5aを有し、現像ユニット5には、トナーがトナーコンテナ11によって所定量充填されている。このトナーは、現像ローラ5aにより感光体ドラム2上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。なお、帯電ローラ3の詳細については後述する。
トナー像が転写されるシート6は、シート6を収納する複数の給紙カセット12a、12b、12cと、その上方に設けられるスタックバイパス(手差しトレイ)12dに収容されており、給紙ローラ13、レジストローラ14を介して搬送ベルト8上へ供給され、感光体ドラム2の位置へと搬送される。搬送ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。
搬送ベルト8は、下流側の駆動ローラ15と、上流側の従動ローラ16とに掛け渡されており、搬送ベルト8が反時計回りに回転を開始すると、シート6がレジストローラ14から搬送ベルト8上へ搬送される。このとき画像書き出し信号がONとなり、シート6の所定位置にトナー像が転写されるように感光体ドラム2上に画像形成を行う。そして、感光体ドラム2の下部において、所定の転写電圧が印加された転写ローラ17で電界付与することにより、感光体ドラム2上のトナー像がシート6上に転写される。このシート6は、搬送ベルト8上に静電吸着力で保持されている。
トナー像が転写されたシート6は、搬送ベルト8から離脱し、定着ユニット7へと搬送される。また、トナー像が転写された後の感光体ドラム2は、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、その表面に残留したトナーがクリーニング装置9により回収される。搬送ベルト8から定着部7に搬送されたシート6は、定着ローラ7aにより加熱及び加圧されてトナー像がシート6の表面に定着され、所定の画像が形成される。なお、クリーニング装置9及び補助クリーニング部材25の詳細については後述する。
画像が形成されたシート6は、その後排出ローラ18によって排出トレイ19に排出される。また、装置本体内部には、駆動モータ21の駆動電流値(負荷)Aを検知する電流計(第1の検知手段)26、環境温度Tを検知する温度検知センサ(第2の検知手段)27、が設けられている。
図2は、本実施形態の画像形成装置に用いられる感光体ドラム周辺の概略拡大断面図である。なお、図2では、搬送ベルト8、現像ユニット5を省略して示した。図1と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。感光体ドラム2としては、例えばアモルファスシリコンドラムを用いることができる。また、感光体ドラム2は、不図示の駆動ギアを介して駆動モータ21(図4参照)と連結されることにより、画像形成時には図中時計回り(正回転方向)に回転(正回転)するようになっている。
感光体ドラム2の上方には、ドラム表面と回転自在に当接し、該ドラム表面を帯電する帯電ローラ3が配置されている。帯電ローラ3は、例えば、表層に抵抗値105〜106Ω、表面粗さRZ=10μmのエピクロルヒドリンゴムを使用した導電性ゴムローラ等のソリッドタイプを好適に用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。その他、例えば、発泡ゴムローラにチューブを被せたスポンジタイプや、導電性ブラシ等を用いることもできる。帯電ローラ3は、装置本体に従動可能に支持されており、感光体ドラム2に所定のニップ圧で圧接されている。
クリーニング装置9には、感光体ドラム2表面の残留トナーを除去するためのクリーニングブレード22と、感光体ドラム2表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム3表面を摺擦して研磨するクリーニングローラ23と、トナー排出手段としての搬送スクリュー24と、が設けられている。クリーニングブレード22は、感光体ドラム2の表面に、該ドラムの正回転方向(図2の時計回り)に対しカウンターとなるよう当接している。クリーニングブレード22の厚みは、装置構成等に応じて例えば1.2mmとすることができる。
感光体ドラム2表面の転写残トナーや外添剤は、クリーニングブレード22により除去され、クリーニングローラ23及び搬送スクリュー24によってトナー排出口(図示せず)からクリーニング装置9の外部に排出される。なお、図示しないが、クリーニング装置9には、クリーニングローラ23表面のトナーを所定の層厚とするためのスクレーパや、クリーニング装置9内の廃トナーを外部に漏らさないためのウレタンシール等も設けられている。
かかるクリーニング装置9を設けることによって、上記の通り転写残トナーや外添剤のほとんどは、クリーニングブレード22により除去されるが、除去されずにクリーニングブレード22を摺り抜けるトナーや外添剤等の異物も存在する。クリーニングブレード22を摺り抜け、感光体ドラム2表面に付着したまま正回転方向下流側に移動する異物は、補助クリーニング部材25が配置されていない場合、帯電ローラ3の表面に付着する。
帯電ローラ3に付着する異物の大きさは、数十から数百ミクロンのトナー凝集物及び紙粉と、サブミクロンのトナー外添剤と、の2種類に大別することができる。これら異物が帯電ローラ3に付着すると、付着した部分は帯電ローラ3表面の電位が他の部分とは異なるため帯電不良が生じるおそれがある。その結果、形成される画像上に黒点等となって出現し、画像不良が発生するおそれがある。
かかる帯電不良及び画像不良の原因となる異物を除去するために、補助クリーニング部材25が設けられている。補助クリーニング部材25は、感光体ドラム2の画像形成時の正回転方向(図2の時計回り)に対し帯電ローラ3の上流側且つクリーニング装置9の下流側に配置されている。
補助クリーニング部材25は、感光体ドラム2の正回転方向下流側に向かって撓みながら感光体ドラム2表面に圧接されている。感光体ドラム2に対する補助クリーニング部材25の圧接力が弱すぎると、感光体ドラム2と補助クリーニング部材25を異物が摺り抜け、かかる異物が帯電ローラ3に付着し、形成される画像に黒点等が発生するおそれがある。
一方、圧接力が強すぎると、感光体ドラム2表面が筋状に削れるおそれがあり、削られた部分から異物が摺り抜けて帯電ローラ3に移動すると、形成される画像に黒筋等が発生するおそれがある。従って、かかる観点を考慮すると、補助クリーニング部材25の感光体ドラム2に対する圧接力を、例えば略0.05gf/mm以上略10gf/mm以下とすることが好ましい。
略0.05gf/mm以上とすることにより、異物の摺り抜けを防止し、上記黒点等の画像の不具合を防止することができる。また、略10gf/mm以下とすることにより、感光体ドラム2が削れることを防止し、上記黒筋等の画像の不具合を防止することができる。
また、補助クリーニング部材25の材質は、ウレタンシート、エステル系ゴム、発泡ゴム等の弾性部材から形成されるシートとすることが好ましい。このような材質とすることにより、感光体ドラム2を傷つけ難くすることができる。また、補助クリーニング部材25の厚みは、例えば略0.5mmとすることができる。
帯電ローラ3の上方には、帯電ローラ3表面と回転自在に当接し、該ローラ表面を除去及び分散して清掃可能な帯電ローラ用クリーニング部材28が配置されている。かかる帯電ローラ用クリーニング部材28を設けることにより、補助クリーニング部材28を摺り抜けた異物が帯電ローラ3に付着しても、帯電ローラ3表面を清掃することができる。帯電ローラ用クリーニング部材28は、帯電ローラ3と略平行に配置された回転軸と、該回転軸の周囲に植毛され、帯電ローラ3表面と当接するブラシ部と、から構成されている。
ブラシ部は、例えば導電性のナイロン等の樹脂材料から形成されており、帯電ローラ3の表面に食い込み可能な程度の硬さを有している。帯電ローラ用クリーニング部材28の帯電ローラ3表面に対する食い込み量は、例えば0.5mmとすることができ、これにより、帯電ローラ3表面の異物の除去及び分散性能を向上させることができる。帯電ローラ用クリーニング部材28をブラシローラとすることにより、帯電ローラ3への損傷や回転に及ぼす影響等が少なくできるが、その他、ゴムローラとすることもできる。
ブラシ部に用いられるブラシの単糸繊度は、例えば10T以下とすることができ、これにより、帯電ローラ3の安定回転を阻害するおそれを回避できる。また、ブラシの密度は、例えば密度を40kF/inch2以上300kF/inch2以下とすることができ、これにより、帯電ローラ3に対する損傷や帯電ローラ3の帯電性に影響を及ぼすおそれを回避できる。
図3は、図2の領域S周辺を示す拡大図であり、図3(a)は、感光体ドラムの正回転により、感光体ドラム上の補助クリーニング部材周辺に異物が堆積した状態を示す図であり、図3(b)は、感光体ドラムの逆回転により、感光体ドラム上の補助クリーニング部材周辺に堆積した異物が回収される状態を示す図である。図1及び図2と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
上記の通り、補助クリーニング部材25を設けることにより、クリーニング装置9で回収されなかった異物を回収することができる。しかし、図3(a)に示すように、補助クリーニング部材25での回収により、感光体ドラム2と補助クリーニング部材25及びクリーニングブレード22との間に異物が堆積するおそれがある。
また、装置本体を長期間使用すると、補助クリーニング部材25周辺に堆積した異物同士が固着し、塊となるおそれがある。かかる塊が補助クリーニング部材25を摺り抜け、帯電ローラ3表面に付着すると、帯電ローラ用クリーニング部材28によっても帯電ローラ3表面を清掃することは困難となる。その結果、帯電ローラ3表面が異物によって汚染され、帯電ローラ3の帯電不良が生じ、形成される画像に不具合が生じるおそれがある。
また、このように堆積した異物を除去するためには、クリーニング装置9によって回収する必要があるが、感光体ドラム2を画像形成時の正回転方向に回転させて堆積した異物をクリーニング装置9まで移動させると、画像形成に不具合が生じるおそれがある。そこで、図3(b)に示すように、感光体ドラム2を正回転方向とは逆方向に回転(逆回転)させて、補助クリーニング部材25周辺に堆積した感光体ドラム2上の異物をクリーニングブレード22よりも転写ローラ17側まで移動させることとした。
すなわち、堆積した異物を、図3(a)に示す時計回り方向に対しクリーニングブレード22の上流側、若しくは、図3(b)の反時計回り方向に対しクリーニングブレード22の下流側まで移動させることとした。これにより、堆積した異物を、クリーニング装置9によって回収することが可能となる。感光体ドラム2の逆方向の回転速度は、例えば、画像形成時の回転速度の半分の速度とすることができる。
このように逆方向の回転速度を画像形成時よりも小さくすることにより、クリーニングブレード22よりも転写ローラ17側に移動させた異物を、クリーニング装置9により回収し易くすることができる。これにより、帯電ローラ3の汚染をより防止し、帯電不良をより防止することができる。しかし、かかる逆方向の回転速度は、堆積した異物をクリーニングブレード22よりも転写ローラ17側に移動可能であれば、特に限定されるものではない。
また、堆積した異物が感光体ドラム2の逆回転によって転写ローラ17と感光体ドラム2とのニップ部まで移動し、かかるニップ部に入り込むと、転写に不具合を生じるおそれがある。かかる観点を考慮すれば、堆積した異物がクリーニングブレード22と転写ローラ17との間に移動するまで、感光体ドラム2を逆回転することが好ましい。
すなわち、堆積した異物を、図3(a)に示す時計回り方向に対しクリーニングブレード22の上流側且つ転写ローラ17の下流側、若しくは、図3(b)の反時計回り方向に対しクリーニングブレード22の下流側且つ転写ローラ17の上流側まで移動させることが好ましい。なお、堆積した異物が上記逆回転により転写ローラ17に付着することを防止するため、逆回転時に転写ローラ17に異物と同極性のバイアスを印加することもできる。また、感光体ドラム2を逆回転させる所定のタイミングについては後述する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の制御機構の一例を示すブロック図である。図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置1は、画像形成部P、定着ユニット7、クリーニング装置9、駆動モータ21、補助クリーニング部材25、電流計26、温度検知センサ27、帯電ローラ用クリーニング部材28、画像入力部32、AD変換部33、記憶部34、制御部35、操作パネル36、印字枚数カウンタ37を含む構成である。
画像入力部32は、画像形成装置1が複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部(図示せず)であり、画像形成装置1がプリンタである場合、パーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部32より入力された画像信号は制御部35に送出され、階調処理等の画像処理を適宜行い、AD変換部33においてデジタル信号に変換された後、後述する記憶部34内の画像メモリ40に送出される。
画像形成部Pは、感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光ユニット4、現像ユニット5、転写ローラ17等から構成され、AD変換部33において変換され画像メモリ40に記憶された画像データをもとに感光体ドラム2上に静電潜像を形成する。感光体ドラム2の他、転写ローラ17、クリーニング装置9内のクリーニングローラ23及び搬送スクリュー24(図2参照)等も、駆動モータ21により不図示のギアやクラッチ等を介して回転駆動され、制御部35は駆動モータ21に制御信号を送信して感光体ドラム2や転写ローラ17、クリーニングローラ23、搬送スクリュー24の回転及び停止を制御する。
記憶部34は、画像メモリ40、RAM41、及びROM42を備えており、画像メモリ40は、画像入力部32において入力され、AD変換部33においてデジタル変換された画像信号(データ)を記憶し、制御部35に送出する。RAM41及びROM42は、制御部35の画像処理プログラムや処理内容等を記憶する。また、感光体ドラム2の逆回転のタイミングを制御するためのプログラムや、その制御の基準となる所定駆動電流値Asや、所定環境温度Tsや、所定印字率Rsや、第1及び第2所定印字枚数Ns1、Ns2や、前回の逆回転動作からの印字枚数Nや、感光体ドラム2の逆回転時の回転量等も記憶される。
制御部35は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部32、画像形成部P、クリーニング装置9等を全般的に制御するとともに、画像入力部32から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データ(印字データ)に変換する。露光ユニット4は、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム2上に潜像を形成する。さらに制御部35は、設定されたプログラムに従って画像入力部32、帯電ローラ3、露光ユニット4、現像ユニット5等の画像形成装置各部の制御も行う。
また制御部35は、電流計26からの出力信号(駆動電流値A)を受信し、記憶部34に記憶された所定駆動電流値Asに基づいて感光体ドラム2を逆回転させるタイミングを設定する機能や、温度検知センサ27からの出力信号(環境温度T)を受信すると共に印字枚数カウンタ37からの出力信号(前回の逆回転動作からの印字枚数N)を受信し、記憶部34に記憶された所定環境温度Tsと、第1及び第2所定印字枚数Ns1、Ns2と、に基づいて感光体ドラム2を逆回転させるタイミングを設定する機能も有している。
さらに制御部35は、画像入力部32からの印字データに含まれる印字率Rを受信し、記憶部34に記憶された所定印字率Rsに基づいて感光体ドラム2を逆回転させるタイミングを設定する機能や、これら設定されたタイミングに基づいて感光体ドラム2を逆回転させる機能等も有している。
操作パネル36は、複数の操作キーから成る操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されており、ユーザが印刷サイズ等、印刷条件等の設定を行う他、例えば画像形成装置1がファクシミリ機能を有する場合は、記憶部34にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。印字枚数カウンタ37は、前回の逆回転動作からの画像形成部Pにおける印字枚数Nをカウントする。印字枚数Nは記憶部34に記憶され、上記した通り制御部35による逆回転動作のタイミング設定に用いられる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の第1制御例について説明する。図5は、第1制御例の制御手順を示すフローチャートである。図1〜図4を参照しながら、図5のステップに従い本制御例について説明する。本制御例では、感光体ドラム2上の補助クリーニング部材25周辺に異物が堆積すると(図3(a)参照)、感光体ドラム2の表面の動摩擦係数が増加するため、駆動モータ25のトルク負荷が増加し電流計26で検知される駆動電流値Aが増加することに着目した。
予備実験により駆動電流値Aと感光体ドラム2表面の動摩擦係数との関係を調べた結果を表1に示す。
表1に示すように、現像ユニット5からトナーを供給することなく感光体ドラム2を回転させる空運転時には、駆動電流値Aは530mAを示し、このときの動摩擦係数は0.3であった(表1に標準として示す)。しかし、現像ユニット5からトナーを供給すると、駆動電流値Aが増加するにつれて動摩擦係数も増加する傾向にあった。また、動摩擦係数が0.5を超えると、クリーニングブレード22からトナーや外添剤の擦り抜けが多くなり、補助クリーニング部材25周辺での異物の堆積が多くなった。
この結果、動摩擦係数が0.5となる600mAを所定駆動電流値Asと設定することとした。そして、駆動電流値Aが所定駆動電流値As(600mA)より大きくなった場合には、補助クリーニング部材25周辺に異物が多く堆積したと判断し、かかる堆積した異物がクリーニングブレード22よりも転写ローラ17側に移動するまで感光体ドラム2を逆回転させることとした。なお、画像形成時には印字動作を優先させるため、印字終了後に感光体ドラム2を逆回転させることとした。
先ず、印刷枚数、印刷倍率、用紙サイズ等の印刷条件がユーザによる操作パネル36或いはパソコンからの入力操作により手動設定されると、これら印字データを制御部35が受信し(ステップS1)、スタートボタンONにより印字が開始し(ステップS2)、電流計26により駆動モータ21の駆動電流値Aを検知する(ステップS3)。
検知された駆動電流値Aは、制御部35により記憶部34に記憶された所定駆動電流値As(600mA)より大きいか否か判断される(ステップS4)。駆動電流値Aが600mAよりも大きい場合には(A>600mA)、印字終了後、感光体ドラム2を逆回転させる。これにより、補助クリーニング部材25周辺に堆積した感光体ドラム2上の異物をクリーニング装置9により回収することが可能となる。
一方、ステップS4で駆動電流値Aが600mA以下の場合には(A≦600mA)、感光体ドラム2を逆回転させることなく印字を終了する(ステップS6)。そして、ステップS5またはステップS6が終了すると、制御部35は次の印字データを受信するまで待機し(ステップS7)、制御部35が次の印字データを受信すると、(1)に示すようにステップS1に戻り、ステップS1〜S7が実行される。
本制御例に示すように、駆動モータ21の駆動電流値Aを検知する電流計26を設け、駆動電流値Aに基づいて感光体ドラム2の逆回転のタイミングを設定することにより、感光体ドラム2上の補助クリーニング部材25周辺に異物が堆積したことを適切に検知することができる。これにより、効果的に感光体ドラム2を逆回転させることが可能となる。しかし、駆動モータ21の負荷の検知方法は本制御例に特に限定されるものではなく、その他、感光体ドラム2の動摩擦係数を検知等することもできる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の第2制御例について説明する。図6は、第2制御例の制御手順を示すフローチャートである。図1〜図4を参照しながら、図6のステップに従い本制御例について説明する。本制御例では、環境温度によってはクリーニングブレード22を異物が擦り抜け易くなること、またかかる擦り抜け易さに応じて感光体ドラム2上の補助クリーニング部材25に異物が堆積するまでの印字枚数が異なることに着目した。
例えばクリーニングブレード22としてウレタンゴムを用いる場合、環境温度が高くなると反発弾性が上昇し、クリーニングブレード22が捲れ上がってトナーや外添剤の擦り抜けが多くなり易い。かかる場合、補助クリーニング部材25に異物が堆積するまでに要する印字枚数Nは少なくなる。
かかる観点から、印字開始から印字終了までに温度検知センサ27の検知温度Tが所定温度Ts(ここでは28℃)以上を示した場合には、前回の逆回転動作からの印字枚数Nが第1所定印字枚数Ns1(ここでは500枚)以上となった場合に、感光体ドラム2を逆回転させることとした。
一方、検知温度Tが28℃未満を示した場合には、前回の逆回転動作からの印字枚数Nが第1所定印字枚数Ns1よりも大きい第2所定印字枚数Ns2(ここでは1000枚)以上となった場合に、感光体ドラム2を逆回転させることとした。なお、画像形成時には印字動作を優先させるため、印字終了後に感光体ドラム2を逆回転させることとした。
先ず、印刷枚数、印刷倍率、用紙サイズ等の印刷条件がユーザによる操作パネル36或いはパソコンからの入力操作により手動設定されると、これら印字データを制御部35が受信し(ステップS1)、スタートボタンONにより印字が開始する(ステップS2)。また、温度検知センサ27により、環境温度Tを検知する(ステップS3)と共に、印字枚数カウンタ37により前回の逆回転動作からの印字枚数Nをカウントする(ステップS4)。
検知された環境温度Tは、制御部35により記憶部34に記憶された所定環境温度Ts(28℃)以上か否か判断される(ステップS5)。環境温度Tが28℃以上の場合には(T≧28℃)、前回の逆回転動作からの印字枚数Nが第1所定印字枚数Ns1(500枚)以上(N≧500)であるか否か判断される(ステップS6)。
印字枚数Nが500枚以上の場合には(N≧500)、印字終了後、感光体ドラム2を逆回転させる(ステップS7)。これにより、補助クリーニング部材25に堆積した異物をクリーニング装置9により回収することができる。一方、印字枚数Nが500枚未満(N<500)の場合には、感光体ドラム2を逆回転させることなく印字を終了する(ステップS8)。
また、ステップS5で28℃未満の場合には(T<28℃)、前回の逆回転動作からの印字枚数Nが第2所定印字枚数Ns2(1000枚)以上であるか否か判断される(ステップS9)。印字枚数Nが1000枚以上の場合には(N≧1000)、上記ステップS7に進み、印字終了後、感光体ドラム2を逆回転させる。一方、印字枚数Nが1000枚未満の場合には(N<1000)、感光体ドラム2を逆回転させることなく印字を終了する(ステップS10)。
そして、ステップS7、ステップS8、ステップ10が終了すると、制御部35は次の印字データを受信するまで待機し(ステップS11)、制御部35が次の印字データを受信すると、(1)に示すようにステップS1に戻り、ステップS1〜S11が実行される。
本制御例に示すように、温度検知センサ27を設け、環境温度Tと印字枚数Nとに基づいて感光体ドラム2の逆回転のタイミングを設定することにより、環境温度Tによって異物のクリーニングブレード22の摺り抜け易さを把握すると共に、かかる擦り抜け易さに応じて補助クリーニング部材25周辺に感光体ドラム2上の異物が堆積するまでに印字可能な印字枚数Nを把握して、かかるタイミングを設定することができる。これにより、より効果的に感光体ドラム2を逆回転させることが可能となる。
また、その他、温度検知センサ27の代わりに湿度センサや温湿度センサを用い、環境湿度や環境温湿度の検知結果と、印字枚数と、に基づいて感光体ドラム2の逆回転のタイミングを設定することもできる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の第3制御例について説明する。図7は、第3制御例の制御手順を示すフローチャートである。図1〜図4を参照しながら、図7のステップに従い本制御例について説明する。本制御例では、画像形成部P(図1参照)で形成される画像の印字率によってはクリーニングブレード22を異物が擦り抜け易くなり、感光体ドラム2上の補助クリーニング部材25周辺に異物が堆積し易くなることに着目した。
例えば印字率Rが低い(ここでは5%以下)場合、現像ユニット5(図1参照)からのトナーの供給が少なく、感光体ドラム2表面にトナーが層としてではなく粒子として散在するおそれがある。かかる場合、クリーニングブレード22が捲れ易くなり、異物がクリーニングブレード22から擦り抜け易くなる。
しかし、印字率Rが例えば2%未満の場合には、感光体ドラム2上のトナーが少なくなり過ぎるため、ドラム表面の研磨性が劣化する等の不具合が生じるおそれがある。かかる不具合を回避するため、現像ユニット5から感光体ドラム2の略全幅に対し、例えば印字10枚毎に紙間で周方向に10mm程度のトナー乗せ(供給)を行う場合がある。
かかるトナー乗せは、上記のようにトナーを感光体ドラム2上に乗せる間、帯電ローラ3の電源をOFFにする、若しくは感光体ドラム2に対し露光ユニット4により露光することによって行うことができる。なお、感光体ドラム2上に供給されたトナーが転写ローラ17に付着しないように、転写ローラ17にはトナーと逆極性のバイアスを印加することができる。
このように定期的に感光体ドラム2にトナーが供給される結果、印字率Rが2%未満では、逆に異物のクリーニングブレード22の擦り抜けは少なくなる。また、印字率Rが5%よりも大きい場合、感光体ドラム2表面に十分にトナー層が形成され、外添剤等の微粒子はトナーに十分に塗されてこれに付着するため、トナーと共にクリーニング装置9に回収され、クリーニングブレード22を摺り抜け難くなっている。
従って、印字率Rが所定印字率Rs(2%以上5%以下)の場合には、異物がクリーニングブレード22を摺り抜け易くなり、感光体ドラム2上の補助クリーニング部材25周辺に堆積し易くなると判断し、感光体ドラム2を逆回転させることとした。なお、画像形成時には印字動作を優先させるため、印字終了後に感光体ドラム2を逆回転させることとした。
先ず、印刷枚数、印刷倍率、用紙サイズ等の印刷条件がユーザによる操作パネル36或いはパソコンからの入力操作により手動設定されると、これら印字データを制御部35が受信する(ステップS1)と共に、制御部35は、印字データに含まれる印字率Rを受信し(ステップS2)。スタートボタンONにより印字を開始する(ステップS3)。
受信された印字率Rは、制御部35により記憶部34に記憶された所定印字率Rs(2%以上5%以下)であるか否かが判断される(ステップS4)。印字率Rが2%以上5%以下である場合(2%≦R≦5%)、印字終了後、感光体ドラム2を逆回転させる。これにより、補助クリーニング部材25に堆積した異物をクリーニング装置9によって回収することができる。
一方、ステップS4で印字率Rが2%未満または5%超である場合(R<2%または5%<R)には、逆回転させることなく印字を終了する(ステップS6)。そして、ステップS5またはステップS6が終了すると、制御部35は次の印字データを受信するまで待機し(ステップS7)、制御部35が次の印字データを受信すると、(1)に示すようにステップS1に戻り、ステップS1〜S7が実行される。
本制御例に示すように、形成される画像の印字率Rに基づいて感光体ドラム2のタイミングを設定することにより、感光体ドラム2上の異物のクリーニングブレード22の摺り抜け易さを適切に把握することができるため、効果的に感光体ドラム2を逆回転させることが可能となる。
その他、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記制御例で設定した所定駆動電流値As、所定環境温度Ts、第1及び第2所定印字枚数Ns、所定印字率Rsは、一例に過ぎず、クリーニングブレード22、補助クリーニング部材25の材質等や、シート6、トナー、外添剤等の種類等や装置構成等に応じて予備実験等により適宜設定可能である。
また、上記実施形態では、帯電ローラ3は感光体ドラム2に対して接触させる接触方式としたため、帯電ローラ3への異物の付着を防止することができ、より効果的に帯電不良を防止することができる。しかし、本発明に用いられる帯電手段として、感光体ドラム2に対して非接触なコロトロン帯電器やスコロトロン帯電器を用いることもできる。
かかる非接触方式の帯電器は、帯電ローラ3のような接触方式に比べて異物の付着量は圧倒的に少ないが、それでも異物がクリーニングブレード22及び補助クリーニング部材25を擦り抜けて感光体ドラム2に付着したまま移動すると、感光体ドラム2の帯電に影響を及ぼす場合がある。従って、非接触方式においても感光体ドラム2の逆回転動作を行うことは効果的である。
また、本発明は、デジタル複合機やタンデム式のカラー複写機、アナログ方式のモノクロ複写機等の複写機、或いはファクシミリやレーザプリンタ等、種々の画像形成装置に適用可能である。
以下、本発明について実施例により更に具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
図1に示した本発明の実施形態に係る画像形成装置1を用い、連続印字時における感光体ドラム2に対する帯電ローラ3による帯電時の電気抵抗の推移を調べた。感光体ドラム2として、アモルファスシリコン製ドラムを用い、給紙カセット12a〜12cとして、500枚の用紙を収容可能なカセットを用いた。そして、上記第3制御例に基づいて感光体ドラム2の逆回転動作を行いながら、45枚/分の速度で、9万枚のA4ヨコ用紙にモノクロ印字を行った。
また、形成される画像の印字率Rは、2%以上5%以下の所定印字率Rsであることとし、給紙カセット12a〜12cの1カセット分(500枚)を連続通紙した毎に一旦印字動作を終了し、感光体ドラム2の逆回転動作を行うこととした。そして、帯電ローラ3の帯電時の抵抗を1万枚印字終了毎に測定した。結果を図8に示す。
比較例
500枚印字毎に感光体ドラム2の逆回転動作を行わないこと以外は、実施例と同様にして、9万枚のA4ヨコ用紙にモノクロ印字を行い、帯電ローラ3の帯電時の抵抗推移を1万枚印字終了毎に測定した。結果を図8に示す。
図8に示すように、本発明の第3制御例を行った実施例では、帯電ローラ3の帯電時の抵抗は、印字枚数によらず大きく変化することはなかった。すなわち、抵抗変動の要因となる、帯電ローラ3への異物の付着が抑制されていた。これにより、印字率Rに基づいて上記の通り設定されたタイミングで感光体ドラム2を逆回転させることにより、感光体ドラム2上の補助クリーニング部材25周辺に堆積した異物を定期的にクリーニング装置9で回収することができ、帯電ローラ3への異物の付着を防止できることがわかった。
これに対し、感光体ドラム2の逆回転動作を行わない比較例では、印字枚数の増加と共に帯電ローラ3の帯電時の抵抗が増加した。これにより、感光体ドラム2を逆回転させない場合には、補助クリーニング部材25周辺に堆積した感光体ドラム2上の異物をクリーニング装置9により回収することができず、堆積した異物が補助クリーニング部材25を摺り抜け、帯電ローラ3に付着することを防止できないことがわかった。
この結果、本発明により、所定のタイミングで感光体ドラム2を、補助クリーニングブレード25周辺の感光体ドラム2上の異物がクリーニングブレード22よりも転写ローラ17側に移動するまで逆回転させることにより、帯電ローラ3における異物による帯電不良を防止ができることがわかった。