図1は、本発明の一実施形態を採用した潤滑剤塗布装置を有するプロセスカートリッジを示している。同図においてプロセスカートリッジ100は、像担持体である感光体10、感光体10に付設された潤滑剤塗布装置20、クリーニング装置30、帯電装置40、現像装置50等を有している。
クリーニング装置30には、感光体10の表面に当接するクリーニングブレード31が設けられており、クリーニングブレード31は感光体10の表面に残留するトナー等を清掃して回収する。帯電装置40は、感光体10に当接配置された帯電ローラ41、帯電ローラ41に当接配置され回転する帯電ローラクリーナ42等を有しており、帯電ローラ41によって感光体10の表面を一様に帯電させ、帯電ローラクリーナ42によって帯電ローラ41の表面を清掃する。現像装置50は、感光体10の表面に現像剤としてのトナーを供給して感光体10の表面に形成された静電潜像を可視像化させる現像ローラ51、現像剤収容部に収容された現像剤を撹拌する混合ローラ52、撹拌及び混合された現像剤を現像ローラ51に供給する供給ローラ53等を有している。
図1ないし図3に示すように、潤滑剤塗布装置20は、固形化されたステアリン酸亜鉛からなる固形潤滑剤21、固形潤滑剤21を支持する潤滑剤保持部材24、固形潤滑剤21を潤滑剤保持部材24ごと収容する潤滑剤ホルダ25、固形潤滑剤21と感光体10との双方に接触して回転する第1のブラシローラである潤滑剤塗布ブラシローラ22、潤滑剤塗布ブラシローラ22よりも感光体10の回転方向下流側において感光体10に接触する態様で潤滑剤塗布ブラシローラ22の下方に配設された第2のブラシローラである潤滑剤塗布ブラシローラ29、潤滑剤塗布ブレード23等を有している。潤滑剤塗布ブラシローラ22と潤滑剤塗布ブラシローラ29とは、端部に配設された歯車等の図示しない駆動伝達手段によって感光体10の端部に配設された図示しない歯車からの駆動力を伝達されて回転し、固形潤滑剤21から削り取った粉末状の潤滑剤を感光体10の表面に塗布する。潤滑剤塗布ブレード23は、感光体10の表面に塗布された潤滑剤を均してその厚みを均一化させる。
潤滑剤保持部材24と潤滑剤ホルダ25の底部との間には、所定間隔をおいて一対のカム状の羽根部材26が配設されており、各羽根部材26間には例えば弦巻ばねからなる図示しないばね部材が架設されている。各羽根部材26間の間隔を狭めるように作用する図示しないばね部材の復元力によって羽根部材26を次第に起立させ、起立した各羽根部材26によって潤滑剤ホルダ25の底部を押圧する際の反力を利用し、潤滑剤保持部材24に支持された固形潤滑剤21が潤滑剤塗布ブラシローラ22に対して常時所定の圧接力で圧接するように構成されている。
次に、上述した潤滑剤塗布装置20を有するプロセスカートリッジを画像形成装置に適用した際に、画像形成動作に好適に使用されるトナーについて説明する。画像形成動作時において、600dpi以上の微小ドットを再現するため、トナーの重量平均粒径は3〜8μmが好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることからドット再現性に優れる。重量平均粒径(D4)が3μm未満では転写効率の低下やブレードクリーニング性の低下といった現象が発生し易く、重量平均粒径が8μmを超えると文字やラインの飛び散りを抑えることが困難となる。また、重量平均粒径と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一となり地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また静電転写方式においては転写率を高めることができる。
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。コールターカウンタ法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンタTA−IIやコールターマルチサイザII(何れもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について説明する。
先ず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加える。電解水溶液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調整したものであり、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解水溶液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、上述の測定装置によりアパーチャとして100μmアパーチャを用いてトナー粒子またはトナーの質量及び個数を測定して質量分布と個数分布とを算出する。得られた分布からトナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満、2.52〜3.17μm未満、3.17〜4.00μm未満、4.00〜5.04μm未満、5.04〜6.35μm未満、6.35〜8.00μm未満、8.00〜10.08μm未満、10.08〜12.70μm未満、12.70〜16.00μm未満、16.00〜20.20μm未満、20.20〜25.40μm未満、25.40〜32.00μm未満、32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上ないし40.30μm未満の粒子を対象とする。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図7、図8は、形状係数SF−1,SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に示した図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの2乗を図形面積AREAで除し、これに100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF−1の値が100の場合にトナー形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形となる。
形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの2乗を図形面積AREAで除し、これに100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合にトナー表面には凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著となる。
形状係数の測定は、具体的には走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析し計算した。トナーの形状が球形に近づくと、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触となるためにトナー同士の吸着力が弱くなって流動性が高くなり、またトナーと感光体との吸着力も弱くなって転写率が高くなる。形状係数SF−1,SF−2の何れかが180を超えると転写率が低下するので好ましくない。
本発明のトナーは、母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nm、嵩密度0.3mg/cm3以上の微粒子を外添加して得られたトナーである。外添加剤として平均一次粒径50〜500nm、嵩密度0.3mg/cm3以上の微粒子を用いることにより、クリーニング性が良好であると共に特に高画質を再現する小粒径のトナーを用いた場合に、現像性及び転写性の低下の改善が図られる。以下、本発明に用いられるトナーを詳細に説明する。
本発明に使用されるトナーは、トナーの粒子表面に平均一次粒径50〜500nm、嵩密度0.3mg/cm3以上の微粒子(以下、単に微粒子という)を付着させたものである。通常の流動性向上剤としてはシリカ等がよく用いられるが、例えばシリカの平均一次粒径は通常10〜30nm、嵩密度は0.1〜0.2mg/cm3である。
本発明において、トナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子と対象体との間に適度な空隙が形成される。また微粒子は、トナー粒子、感光体、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像及び転写効率の向上に有効である。さらに、コロの役割を果たすため感光体を摩耗または損傷させることがなく、クリーニングブレードと感光体との高荷重及び高速度等の高ストレス下におけるクリーニングの際にもトナー粒子に埋没し難く、少々埋没しても離脱及び復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。
さらに、トナーの表面から適度に離脱してクリーニングブレードの先端部に蓄積する、いわゆるダム効果によってクリーニングブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。これらの特性はトナー粒子の受けるシェアを低減させる作用を示すので、高速定着(低エネルギ定着)のためトナーに含有されている低レオロジ成分によるトナー自体のフィルミング低減効果を発揮する。しかも微粒子として平均一次粒径が50〜500nmの範囲のものを用いると、十分にその優れたクリーニング性能を活かすことができる上、極めて小粒径であるためトナーの粉体流動性を低下させることがない。さらに詳細は明らかではないが、表面処理された微粒子はトナーに外部添加されても、仮にキャリアを汚染した場合においても現像剤劣化の度合いが少ない。
微粒子の平均一次粒径は50〜500nmのものが用いられ、特に100〜400nmのものが好ましい。平均一次粒径が50nm未満であると微粒子がトナー表面の凹凸の凹部分に埋没してコロの役割が低下する場合が生じ、平均一次粒径が500nmよりも大きいと微粒子がクリーニングブレードと感光体表面との間に位置した場合にトナー自体の接触面積と同レベルのオーダとなってクリーニングされるべきトナー粒子を通過させるクリーニング不良が発生し易くなる。また、嵩密度が0.3mg/cm3未満では、流動性向上への寄与はあるもののトナー及び微粒子の飛散性及び付着性が高くなるため、トナーとコロとしての効果やクリーニング部において蓄積することによりトナーのクリーニング不良を防止するいわゆるダム効果といった働きが低下してしまう。
本発明に使用される微粒子において、無機化合物としてはSiO2、TiO2、Al2O3、MgO、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、SrTiO3等を例示することができ、好ましくはSiO2、TiO2、Al2O3が挙げられる。特にこれら無機化合物は、各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
有機化合物の微粒子としては熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上述の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいものは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られ易い点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの併用が好ましい。ビニル系樹脂の具体例としては、ビニル系モノマを単独重合または共重合したポリマで、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
微粒子の嵩密度は下記の方法により測定した。
100mlのメスシリンダを用い、微粒子を徐々に加えて100mlとした。このとき振動は与えなかった。このメスシリンダの微粒子を入れる前後の質量差により嵩密度を測定した。
嵩密度(g/cm3)=微粒子量(g/100ml)/100
本発明に用いられる微粒子をトナー表面に外添加して付着させる方法としては、トナー母体粒子と微粒子とを公知の各種混合装置を用いて機械的に付着させる方法、液相中でトナー母体粒子と微粒子とを界面活性剤等で均一に分散させて付着処理後に乾燥させる方法等が挙げられる。
トナーの定着性に関連するトナー特性は多く知られており、特に1/2流出温度(軟化点)が関連することが知られているが、本発明に用いられる定着装置に対しては1/2流出温度(軟化点)定着性は関連が見られず、ガラス転移温度45〜65℃、流出開始温度90〜115℃である両特性を満足するトナーを用いることにより良好な定着性を得ることができる。ガラス転移温度が45℃よりも低い場合は定着時にオフセットが発生する場合があり、65℃よりも高い場合には十分な定着性が得られずに画像が転写紙から剥がれ易くなる場合がある。流出開始温度が90℃よりも低い場合には定着時にオフセットが発生する場合があり、115℃よりも高い場合には十分な定着性が得られずに画像が転写紙から剥がれ易くなる場合がある。
次にガラス転移点Tgの測定方法について概説する。
ガラス転移点Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。先ず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットに載せて電気炉中にセットする。そして、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min間放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。ガラス転移点TgはTAS−100システム中の解析システムを用い、ガラス転移点Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
トナーの流出開始温度は、フローテスタを用いて測定することができる。フローテスタとしては、例えば島津製作所製の高架式フローテスタCFT500D型が挙げられる。フローテスタのフローカーブは図9(a),(b)に示されるデータとなり、そこからそれぞれの温度を読み取ることができる。図中、Tfbは流出開始温度を示し、1/2法における溶融温度はT1/2温度を示している。
(測定条件)荷重5kg/cm2、昇温速度3.0℃/min、ダイ口径1.00mm、ダイ長さ10.0mm
本発明に用いられるトナーに使用される結着樹脂としては、本発明に使用可能なトナーの特性を満足するものであれば以下の組成のものを使用することができる。例えばポリエステル、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体が挙げられる。
また、下記の樹脂を混合して使用することもできる。例えばポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。この中で特に、ポリエステル樹脂が十分な定着性を得るために好ましい。
ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られるが、用いられるアルコールとはポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリエキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和若しくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単体、その他の2価のアルコール単体が挙げられる。
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和若しくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸の2量体、その他の2価の有機酸単量体が挙げられる。
バインダ樹脂として用いるポリエステル樹脂を得るためには、上述の2官能性単量体のみによる重合体のみでなく、3官能以上の多官能性単量体による成分を含有する重合体を用いることも好適である。かかる多官能性単量体である3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−サルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、その他等が挙げられる。また3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ペンゼントリカルボン酸、1,2,5−ペンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2―メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンボール3量体酸、これらの酸無水物、その他等が挙げられる。
本発明に使用されるトナーには、定着時の定着ベルト表面でのトナーの離型性を向上させるため、離型剤を含有させることができる。離型剤としては公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックス、エステルワックスを単独あるいは組み合わせて使用することができる。カルナウバワックスとしては微結晶のものがよく、酸価が5以下でありトナーバインダ中に分散したときの粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスとは一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックスと同様に微結晶であり酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。
各ワックスの酸価がそれぞれの範囲未満であった場合には、低温定着温度が上昇して低温定着化が不十分となる。逆に酸価がそれぞれの範囲を超えた場合には、コールドオフセット温度が上昇して低温定着化が不十分となる。ワックスの添加量としては、バインダ樹脂100質量部に対して1〜15質量部、好ましくは3〜10質量部の範囲で用いられる。1質量部未満ではその離型効果が薄く所望の効果が得られにくい。一方15質量部を超えた場合はキャリアへのスペントが顕著になる等の問題が生じた。
また、トナーに帯電を付与する目的で帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤としては従来公知のものが全て使用できる。正帯電制御剤としては、ニグロシン、塩基性染料、塩基性染料のレーキ顔料、4級アンモニウム塩化合物他等が挙げられ、負帯電制御剤としては、モノアゾ染料の金属塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属錯体他等が挙げられる。本極性制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法等によって決定されるものであり一義的に限定されるものではないが、バインダ樹脂100質量部に対して0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜2質量部の範囲で用いられる。0.01質量部未満では環境変動時における帯電量Q/Mの変動に対しその効果が小さく、8質量部を超えると低温定着性が劣る結果となる。
また、使用される含金属モノアゾ染料としては、含クロムモノアゾ染料、含コバルトモノアゾ染料、含鉄モノアゾ染料を単独もしくは組み合わせて使用する事ができる。これらを添加する事により、現像剤中における帯電量Q/Mの立ち上がり(飽和までの時間)がより優れたものとなる。使用量としては、上述の極性制御剤と同様にバインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり一義的に限定されるものではないが、バインダ樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは1〜7質量部の範囲で用いられる。0.1質量部未満ではその効果が薄く、10質量部を超えると帯電量の飽和レベルが低下する等の問題点が生じる。
また、カラートナーにはサリチル酸誘導体の金属塩を用いることが特に好ましいが、必要に応じてカラートナーの色調を損なう事のない透明もしくは白色の物質を添加して、トナーの帯電性を安定的に付与する事が出来る。具体的には、有機ホウ素塩類、含フッ素4級アンモニウム塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられるが、これらに限られるものではない。
更に本発明に使用されるトナーに対して磁性材料を含有させ、磁性トナーとして使用することも可能である。この磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物等が挙げられる。これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては樹脂成分100質量部に対し約20〜200質量部、特に好ましくは樹脂成分100質量部に対し40〜150質量部である。
トナー用の着色剤としては公知のものがすべて使用できる。黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエロの着色剤としては、例えば、クロムイエロ、ベンジジンイエロ、ハンザイエロ、ナフトールイエロ、モリブデンオレンジ、キノリンイエロ、タートラジン等が使用できる。
本発明に使用されるトナーに用いられる着色剤としては、イエロ、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な染料および顔料が使用できる。例えば、カーボンブラック、ランプブラック、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロG、ローグミン6G、 レーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロ、キナクリドン、ベンジジンイエロ、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料などの染顔料等、従来公知の如何なる染顔料をも単独あるいは混合して使用できる。
また外添加剤として、トナーの流動性を向上させる目的で疎水性のシリカ、酸化チタン、アルミナ等、さらに必要に応じて脂肪酸金属塩類やポリフッ化ビニリデン等を添加しても良い。
トナーを2成分現像剤として用いる場合に使用可能なキャリアとしては公知のものが全て使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉の如き磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面を樹脂等で処理した物等が挙げられる。キャリアにコーティング可能な樹脂粉末としては、スチレン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂エポキシ樹脂等が挙げられる。
スチレン−アクリル共重合体の場合は、30〜90質量%のスチレン分を有するものが好ましい。スチレン分が30質量%未満だと現像特性が低く、90質量%を越えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなり、キャリアの寿命が短くなるためである。またキャリアの樹脂コーティングは、上述した樹脂の他に接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電材、荷電制御剤等を含有してもよい。
シリコーン樹脂で被覆するキャリア核体粒子としては公知のものでよく、例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金や化合物、ガラスビーズ等が挙げられる。これら核体粒子の平均粒径は通常10〜1000μm、好ましくは30〜500μmである。なお、シリコーン樹脂の使用量としては、通常キャリア核体粒子に対して1〜10質量%である。
使用されるシリコーン樹脂としては公知の何れのシリコーン樹脂であってもよく、例えば市販品として入手できる信越シリコーン社製のKR261、KR271、KR271、KR272、KR275、KR280、KR282、KR285、KR251、KR155、KR220、KR201、KR204、KR205、KR206、SA−4、ES1001、ES1001N、ES1002T、KR3093や東レシリコーン社製のSR2100、SR2101、SR2107、SR2110、SR2108、SR2109、SR2115、SR2400、SR2410、SR2411、SH805、SH806A、SH840等が用いられる。シリコーン樹脂層の形成法としては従来と同様に、キャリア核体粒子の表面に噴霧法あるいは浸漬法等の手段でシリコーン樹脂を塗布すればよい。
本発明に好適に用いられるトナーは、少なくとも窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマ、ポリエステル、着色剤、離型剤を有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/または伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上述した3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下で150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となり易く、さらには記録紙への定着時において記録紙とトナーとの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし酸価が30を超えると、帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量は1万〜40万が望ましく、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では耐オフセット性が悪化するため好ましくなく、重量平均分子量が40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上述した重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上述の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/または伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアネート類;上述のポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。また[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合にそのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では耐ホットオフセット性が悪化すると共に耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは平均1.5〜3個、さらに好ましくは平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満ではウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマ(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、上述したB1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。これらアミン類(B)のうち、好ましいものはB1及びB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超える場合や1/2未満の場合には、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満の場合には、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法等により製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)とを、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下で150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)を得る。さらにこのポリエステルプレポリマ(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。多価イソシアネート(PIC)を反応させる際、及びポリエステルプレポリマ(A)とアミン類(B)とを反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢 酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)およびエーテル類(テトラヒドロフラン等)等の多価イソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマ(A)とアミン類(B)との架橋及び/または伸長反応には必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。重量平均分子量が1万未満の場合には耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。数平均分子量が20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの質量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの質量比が5%未満の場合には、耐ホットオフセット性が悪化すると共に耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。ガラス転移点が45℃未満の場合にはトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。またウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在し易いため、公知のポリエステル系トナーと比較してガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエロS、ハンザイエロ(10G、5G、G)、カドミュウムイエロ、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロ、オイルイエロ、ハンザイエロ(GR、A、RN、R)、ピグメントイエロL、ベンジジンイエロ(G、GR)、パーマネントイエロ(NCG)、バルカンファストイエロ(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエロレーキ、アンスラザンイエロBGL、イソインドリノンイエロ、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッ ド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルド5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドF2K、ヘリオボルドBL、ボルド10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチと共に混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用できる。
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEGVP2036、コピーチャージNXVP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。10質量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させて現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招く。
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスがバインダ樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。
これら天然ワックスの外に、フィッシャ・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、及び低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えばn−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。荷電制御剤及び離型剤は。マスターバッチ、バインダ樹脂と共に溶融混練することも可能であり、もちろん有機溶剤に溶解及び分散する際に加えても良い。
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×103〜2μmであることが好ましく、特に5×103〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。中でも流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子とを併用するものが好ましい。
特に両微粒子の平均粒径が5×102μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合には、トナーとの静電力及びファンデルワールス力が格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によってもトナーから流動性付与剤が脱離することがなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られ、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性及び画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性が悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかしながら疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれずに所望の帯電立ち上がり特性が得られ、複写動作を繰り返し行っても安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ、離型剤を有機溶媒中に分散させてトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマ100質量部に対し、通常0〜300質量部、好ましくは0〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でもよいしアルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等の有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪くなり所定の粒径のトナー粒子が得られず、20000質量部を超えると経済的でない。
水系媒体中の分散を良好にするため、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級若しくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられ、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファッ クF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このため、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上述した樹脂微粒子及び無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸等の酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の含窒素化合物、またはその複素環を有するもの等のホモポリマまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000r.p.m.である。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
(3)乳化液の作製と同時にアミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/または伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマ(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的には、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄及び乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する等の方法によってトナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解等の操作によっても除去できる。
(5)上述の方法により得られたトナー母体粒子に荷電制御剤を打ち込み、次いでシリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させてトナーを得る。荷電制御剤の打ち込み及び無機微粒子の外添は、ミキサ等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに表面のモフォロジも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
図6は、本発明の一実施形態を採用したプロセスカートリッジを有する画像形成装置を示している。同図において画像形成装置200はフルカラー画像を形成する画像形成装置であり、画像読取部110、画像形成部120、給紙部130等を有している。
画像形成部120には、4個のプロセスカートリッジ121Y,121M,121C,121K、無端状の中間転写ベルト122、2次転写ローラ123、各プロセスカートリッジ121Y,121M,121C,121Kにトナーを供給する各色に対応したトナーボトル124等が配設されている。各プロセスカートリッジ121Y,121M,121C,121Kは、図1に示したプロセスカートリッジ100と同様に構成されている。中間転写ベルト122は、各感光体10の上方であってその下辺が各感光体10の周面に接触する態様で配設されている。中間転写ベルト122を介して各感光体10と対向する位置には1次転写ローラ125がそれぞれ配設されており、転写材として機能する中間転写ベルト122には各感光体10の周面にそれぞれ形成された互いに異なる色のトナー像が重ねて転写される。2次転写ローラ123は、中間転写ベルト122の走行方向においてブラックのプロセスカートリッジ121Kよりも下流側において中間転写ベルト122と対向する位置に配設されている。
各感光体10上にトナー像を形成し、形成されたトナー像を中間転写ベルト122に転写する構成は、トナー像の色が異なる点を除いて各プロセスカートリッジ121Y,121M,121C,121Kにおいて実質的に同一である。各プロセスカートリッジ121Y,121M,121C,121Kの下方には、帯電された各感光体10の周面に対して例えば画像情報に基づいてレーザ光を照射して静電潜像を形成する光書き込み装置60が配設されている。また給紙部130には記録媒体としての転写紙を収容した給紙カセットが設けられており、給紙カセットから給送された転写紙は所定のタイミングで中間転写ベルト122と2次転写ローラ123とのニップ部に給送される。
以下、上述した画像形成装置200の動作について説明する。
先ず、各感光体10がそれぞれ時計回り方向に回転し、帯電ローラ41によってそれぞれの表面が所定の極性に帯電される。帯電後の各感光体10に対して光書き込み装置60から光変調されたレーザビームが照射され、これにより各感光体10の表面に静電潜像が形成される。形成された各静電潜像に対し現像ローラ51から各色の現像剤が供給され、各感光体10の表面には各色のトナー像が形成される。
次に1次転写ローラ125に転写電圧を印加し、各感光体10上のトナー像を走行する中間転写ベルト122上に重畳転写させ、合成画像としてのカラー画像を形成する。中間転写ベルト122上に形成されたカラー画像は、2次転写ローラ123とのニップ部において給紙部130から給送された転写紙に2次転写される。カラー画像が転写された転写紙は定着装置126に送られ、ここで熱と圧力とにより画像が定着された転写紙は排紙ローラ対によって画像形成装置200の本体上部に排出される。
一方、トナー像転写後に感光体10上に残存した転写残トナーは、クリーニングブレード31によって除去及び回収される。クリーニングされた感光体10の表面には、潤滑剤塗布装置20によって潤滑剤が塗布される。これは、図2に示すように潤滑剤ホルダ25内に摺動可能に収容された固形潤滑剤21と感光体10との双方に接触して回転する潤滑剤塗布ブラシローラ22により、固形潤滑剤21を削り取って粉末状の潤滑剤として感光体10の表面に塗布することにより行われる。このとき図3に示すように、感光体10の表面に塗布しきれなかった潤滑剤21は、符号32で示すように粉体状となって同じく感光体10に接触して回転する潤滑剤塗布ブラシローラ29上に落下する。落下した粉体状の潤滑剤32は潤滑剤塗布ブラシローラ29上に運ばれて再び感光体10の表面に塗布される。
上述の構成により、感光体10に塗布しきれなかった潤滑剤21が装置本体内部に飛散することがなくなると共に、落下した粉体状の潤滑剤32を潤滑剤塗布ブラシローラ29によって感光体10上に再度塗布することができ、潤滑剤を効率的に使用することができる。
図4は、本発明の一実施形態の変形例を示している。この変形例は、潤滑剤塗布ブラシローラ29の下方であって落下した粉体状の潤滑剤32が堆積する位置に粉体状の潤滑剤32を受け止める受け部材33を有する点においてのみ上記実施形態と相違しており、他の構成は同一である。
受け部材33は、PET、PUR等の樹脂からなる弾性部材によって構成されており、両面テープによって潤滑剤ホルダ25の壁面27に貼付されている。この構成により、より確実に粉体状の潤滑剤32が装置内部へと飛散することを防止できると共に、受け部材33に堆積した粉体状の潤滑剤32が潤滑剤塗布ブラシローラ29に接触することにより感光体10へと粉体状の潤滑剤32が塗布されるので潤滑剤塗布効率を向上させることができる。また、受け部材33が弾性部材によって構成されているので、潤滑剤塗布ブラシローラ29が受け部材33に摺擦しても潤滑剤塗布ブラシローラ29の変形及び摩耗を低減することができ、装置の寿命を延ばすことができる。
ここで、受け部材33の先端を潤滑剤塗布ブレード23に接触させ、受け部材33、潤滑剤ホルダ25の壁面27、潤滑剤塗布ブラシローラ22、感光体10、潤滑剤塗布ブレード23によって仕切られた断面の閉空間を形成させることが望ましい。この構成により、装置内部へと粉体状の潤滑剤32が漏れることをより確実に防止することができると共に、粉体状の潤滑剤32が漏れないために潤滑剤を無駄にすることなくより効率的に使用することができる。また、受け部材33が潤滑剤ホルダ25に当接することにより形成される閉空間を最小とすることができ、装置の小型化を図ることができると共に潤滑剤塗布ブラシローラ29への潤滑剤の供給効率を向上することができる。
上記実施形態及び変形例において、潤滑剤塗布ブラシローラ22は固形潤滑剤21を削り取る機能と感光体10上に粉体状の潤滑剤を塗布する機能とを有するため、潤滑剤塗布ブラシローラ22を構成するブラシは図5(a)に示すように直毛形状とすることが望ましい。ループ形状は固形潤滑剤21に対する接触が軟らかくなり固形潤滑剤21を削り取る機能が低下するために望ましくない。これに対し、潤滑剤塗布ブラシローラ29は既に粉体となった潤滑剤32を感光体10上に塗布する機能を有するため、潤滑剤塗布ブラシローラ29を構成するブラシは図5(b)に示すようにループ形状とすることが望ましい。これによりブラシの植毛内により大量の潤滑剤を抱え込むことができ、感光体10に対する潤滑剤の再塗布効率を向上させることができる。
上述した構成では、画像形成装置として複写機を用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限られず、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらの複合機等の他の画像形成装置にも本発明は適用可能である。