JP2010190291A - 円環状部材の製造方法 - Google Patents

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義一 蔵下
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Abstract

【課題】動作面の取り代を格段に小さくできて、動作面の硬さの低下を防止でき、かつ、動作面の硬化層の深さを、周方向においてより均一にすることができる円環状部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】旋回座軸受の外輪2の軌道部21を構成する各円弧状の部材90において、動作面である軌道面72に高周波焼入れを施した後、各円弧状の部材90において、円弧の中心側とは反対側の面である非動作面において、軌道面72に円弧の径方向に重なる外周面部分81に高周波焼入れを施す。
【選択図】図4C

Description

この発明は、円環状部材の製造方法に関する。本発明は、特に、トンネル掘進機のカッターヘッド用軸受や、大型建設機械のターンテーブル用軸受等の大型の軸受で使用される分割可能な軌道輪を製造するのに使用されれば好適な円環状部材の製造方法に関する。
従来、大型の旋回座軸受の外輪として、例えば、実開平4−1723号公報(特許文献1)に記載されているように、大型の製品の製作を可能ならしめるために、また、輸送時や修理等の取り扱いが容易なように、周方向に分割可能であるものを使用している。
この外輪は、複数の円弧状の部材を備え、この複数の円弧状の部材は、略円環状に配置されている。円環状に配置された複数の円弧状の部材が構成する内周面は、外輪の軌道面を有している。この軌道面は、高周波焼入れされて、硬化されている表面層を有し、所定深さの表面層よりも深い内部は硬化されていない。
実開平4−1723号公報
上記従来の旋回座軸受において、外輪の各円弧状の部材は、その軌道面に相当する部分を有する円弧の中心側の内面が、高周波焼入れされた際、各円弧状の部材に、上記円弧状の部材の曲率が大きくなる方向に、径方向の内方に歪みが生じる。したがって、この歪みに起因して、軌道面の形状を、真円状にする際の取り代が大きくなって、削りとられる部分が大きくなるから、各円弧状の部材の硬さが低下することを避けがたい。また、各円弧状の部材の上記内面において、内面の円弧方向によって、削りとられる部分の肉厚が変化するから、軌道面の周方向の位置によって、硬化層の深さが均一にならず、軌道面の周方向の位置によって硬度が変動することを避けがたい。
そこで、この発明の課題は、動作面の取り代を格段に小さくできて、動作面の硬さの低下を防止でき、かつ、動作面の硬化層の深さを、周方向においてより均一にすることができる円環状部材の製造方法を提供することにある。
この課題を解決するために、この発明の円環状部材の製造方法は、
円環状になるように配置される複数の円弧状の部材を備えると共に、外周側と内周側とのうちの一方の側に、動作面を備える一方、上記外周側と上記内周側とのうちの他方の側に、非動作面を備える円環状部材の製造方法であって、
複数の鋼製の円弧状の部材を用意し、
その後、上記各鋼製の円弧状の部材において、上記動作面と上記非動作面とのうちの一方に高周波焼入れを施し、
その後、上記動作面と上記非動作面とのうちの他方に高周波焼入れを施すことを特徴としている。
尚、上記動作面とは、負荷する荷重が時間的に変動する面を指す。上記動作面には、例えば、軌道面や、噛合面や、すべり摺動面が含まれる。外周側に備えられる動作面および非動作面の一方の面は、径方向の外方に向く外周面(円筒面、円錐面)、または、この外周面に隣接する端面(平面)であり、内周面に備えられる動作面および非動作面の他方の面は、上記外周面に備えられる一方の面に対して径方向に間隔をおいて位置し、上記一方の面に径方向に対向せず、かつ、径方向の内方に向く内周面(円筒面、円錐面)、または、この内周面に隣接する端面(平面)である。
本発明によれば、上記各鋼製の円弧状の部材において、その円弧状の部材の上記内周側と上記外周側とのうちの一方の側に備えられた面に高周波焼入れを施した後、上記内周側と上記外周側とのうちの他方の側に備えられた面に高周波焼入れを施すから、上記内周側と上記外周側とのうちの一方の側に備えられた面に高周波焼入れを施すことによって生じた変形を、上記内周側と上記外周側とのうちの他方の側に備えられた面に施した高周波焼入れによって、元の円弧形状に戻す方向に、再度変形させることができる。したがって、各円弧状の部材の高周波焼入れの前後で、円弧状の部材に生じる変形を小さなものにすることができて、動作面の取り代を格段に小さくできて、このことに起因して、動作面の硬さの低下を防止できる。また、動作面の取り代が、円弧状の部材の円弧方向の位置で殆ど変わることがないから、動作面の硬化層の深さを、動作面の周方向においてより均一にすることができる。
また、本発明の円環状部材の製造方法は、
円環状になるように配置される複数の円弧状の部材を備えると共に、外周側と内周側とのうちの一方の側に、動作面を備える一方、上記外周側と上記内周側とのうちの他方の側に、非動作面を備える円環状部材の製造方法であって、
複数の鋼製の円弧状の部材を用意し、
その後、上記各鋼製の円弧状の部材において、上記動作面の高周波焼入れと、上記非動作面の高周波焼入れとを同時に施すことを特徴としている。
鋼製の円弧状の部材の内周側と外周側との一方の側に備えられた面と他方の側に備えられた面とに施す高周波焼入れに、時間差を持たしても、円弧状の部材の内周側と外周側との一方の側に備えられた面と他方の側に備えられた面とに同時に高周波焼入れを施しても、どちらでも、各円弧状の部材の高周波焼入れの前後で、円弧状の部材に生じる変形を小さなものにすることができて、本願の課題を解決することができることは言うまでもない。
本発明によれば、各鋼製の円弧状の部材において、円弧状の部材の内周側と外周側との一方の側に備えられた面と他方の側に備えられた面に同時に高周波焼入れを施しているから、一方の側に備えられた面と他方の側に備えられた面との高周波焼入れに時間差がある場合と同様に、各円弧状の部材の高周波焼入れの前後で、円弧状の部材に生じる変形を小さなものにすることができる。したがって、動作面の取り代を格段に小さくできて、このことに起因して、動作面の硬さの低下を防止できる。また、動作面の取り代が、円弧状の部材の周方向の位置で殆ど変わることがないから、動作面の硬化層の深さを、動作面の周方向においてより均一にすることができる。
また、一実施形態では、
上記円環状部材は、軸受の軌道輪であって、
上記動作面は、上記軌道輪の外周側および内周側のうちの一方の側で軌道面を有する面であり、
上記非動作面は、上記軌道輪の外周側および内周側のうちの他方の側で上記軌道面に対して間隔をおいて位置している面である。
上記実施形態によれば、軌道輪を構成する各円弧状の部材において、各円弧状の部材の高周波焼入れの前後で、円弧状の部材に生じる変形を小さなものにすることができる。したがって、軌道面の取り代を格段に小さくできて、このことに起因して、軌道面の硬さの低下を防止できる。また、軌道面の取り代が、円弧状の部材の周方向の位置で殆ど変わることがないから、軌道面の硬化層の深さを、周方向においてより均一にすることができる。
また、一実施形態では、
上記円環状部材は、歯車であって、
上記動作面は、上記歯車の外周側および内周側のうちで噛合面を有する面であり、
上記非動作面は、上記歯車の外周側および内周側のうちで上記噛合面に対して間隔をおいて位置している面である。
上記実施形態によれば、歯車を構成する各円弧状の部材において、各円弧状の部材の高周波焼入れの前後で、円弧状の部材に生じる変形を小さなものにすることができる。したがって、噛合面の取り代を格段に小さくできて、このことに起因して、噛合面の硬さの低下を防止できる。また、噛合面の取り代が、円弧状の部材の周方向の位置で殆ど変わることがないから、噛合面の硬化層の深さを、周方向においてより均一にすることができる。
尚、本発明の円環状部材の製造方法の結果、次の円環状部材が製造されることになる。
すなわち、環状になるように配置された複数の円弧状の部材を備え、外周側と内周側とのうちの一方の側に、動作面を備える一方、上記外周側と上記内周側とのうちの他方の側に、非動作面を備え、かつ、上記動作面および上記非動作面の両方の表層部に、高周波焼入れによって生成された硬化層が存在する円環状部材が製造されることは言うまでもない。
本発明の円環状部材の製造方法によれば、各円弧状の部材において、その円弧状の部材の中心側に位置する内周側に備えられた面と、中心側とは反対側に位置する外周側に備えられた面の両方に、高周波焼入れを施すから、すなわち、各円弧状の部材において、円環状部材の動作面の一部を構成する面と、円環状部材の非動作面の一部を構成する面の両方に、高周波焼入れを施すから、上記内周側と上記外周側とのうちの一方の側に備えられた面に高周波焼入れを施すことによって生じた変形を、上記内周側と上記外周側とのうちの他方の側に備えられた面に施した高周波焼入れによって、元の円弧形状に戻す方向に、再度変形させることができる。したがって、各円弧状の部材の高周波焼入れの前後で、円弧状の部材に生じる変形を小さなものにすることができて、動作面の取り代を格段に小さくできて、このことに起因して、動作面の硬さの低下を防止できる。また、動作面の取り代が、円弧状の部材の円弧方向の位置で殆ど変わることがないから、動作面の硬化層の深さを、周方向においてより均一にすることができる。
本発明の一実施形態の円環状部材の製造方法を用いて製造した軌道輪を備える旋回座軸受の軸方向の断面図である。 第1内輪部と、第2内輪部との固定における配置構成を示す斜視図である。 軌道部と、歯車部との固定における配置構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態の円環状部材の製造方法を説明する図である。 本発明の一実施形態の円環状部材の製造方法を説明する図である。 本発明の一実施形態の円環状部材の製造方法を説明する図である。 本発明の一実施形態の円環状部材の製造方法を説明する図である。
以下、この発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の円環状部材の製造方法を用いて製造した軌道輪を備える旋回座軸受の軸方向の断面図である。
この旋回座軸受は、内輪1、外輪2、複数の第1スラストころ10、複数の第2スラストころ12、複数のラジアルころ14を備える。上記内輪1は、第1内輪部31および第2内輪部32を有する一方、外輪2は、軌道部21および歯車部22を有する。
上記第1内輪部31は、第1円筒外周面34、第2円筒外周面35および第3円筒外周面36を有し、第1円筒外周面34の外径は、第2円筒外周面35の外径よりも大きく、第2円筒外周面35の外径は、第3円筒外周面36の外径よりも大きくなっている。上記第1円筒外周面34は、径方向に延在する第1段部37を介して第2円筒外周面35につながり、第2円筒外周面35は、径方向に延在する第2段部38を介して第3円筒外周面36につながっている。
上記第2内輪部32は、第1円筒外周面41および第2円筒外周面42を有し、第1円筒外周面41の外径は、第2円筒外周面42の外径よりも小さくなっている。上記第1円筒外周面41は、径方向に延在する段部43を介して第2円筒外周面42に接続されている。
上記第1内輪部31の第1段部37は、上記第1スラストころ10が転動する第1内輪軌道面37になっている一方、第1内輪部31の第3円筒外周面36は、ラジアルころ14が転動する第2内輪軌道面36になっている。また、上記第2内輪部32の段部43は、第2スラストころ12が転動する第3内輪軌道面43になっている。
上記第1内輪部31の軸方向の第3円筒外周面36側の端面と、第2内輪部32の軸方向の第1円筒外周面41側の端面とは、ボルト50によって締結固定されている。
図2は、第1内輪部31と、第2内輪部32との固定における配置構成示す斜視図である。
図2に示すように、第1内輪部31は、4つの略同一の円弧状の部材60からなっており、第2内輪部32は、4つの略同一の円弧状の部材61からなっている。4つの円弧状の部材60は、互いに相俟って略環状の部材を構成し、4つの円弧状の部材61は、互いに相俟って略環状の部材を構成している。
図2に示すように、4つの円弧状の部材60を、互いに環状になるように、配置する一方、4つの円弧状の部材61を、互いに環状になると共に、隣接する円弧状の部材61の間の位置の周方向の位相が、隣接する円弧状の部材60の間の周方向の位置の位相に対して略π/4[ラジアン]ずれるように配置する。そして、この状態で、4つの円弧状の部材60と、4つの円弧状の部材61とをボルト50(図1参照)で締結固定する。このようにして、内輪1を形成する。
再度、図1を参照して、上記外輪2の軌道部21は、第1外輪軌道面71、第2外輪軌道面72および第3外輪軌道面73を有する。上記第1外輪軌道面71は、第1内輪部31の第1内輪軌道面(第1段部)37に軸方向に対向し、第2軌道面72は、第1内輪部31の第2内輪軌道面(第3円筒外周面)36に径方向に対向し、第3軌道面73は、第2内輪部32の第3内輪軌道面(段部)43に軸方向に対向している。
また、上記外輪2の歯車部22は、外周側に噛合部を有している。上記軌道部21と歯車部22とは、ボルト75によって軸方向に締結されて固定されている。
図3は、軌道部21と、歯車部22との固定における配置構成を示す斜視図である。
図3に示すように、軌道部21は、4つの略同一の円弧状の部材90からなっており、歯車部22は、4つの略同一の円弧状の部材91からなっている。4つの円弧状の部材90は、互いに相俟って略環状の部材を構成し、4つの円弧状の部材91は、互いに相俟って略環状の部材を構成している。
図3に示すように、4つの円弧状の部材90を、互いに環状になるように、配置する一方、4つの円弧状の部材91を、互いに環状になると共に、隣接する円弧状の部材91の間の位置の周方向の位相が、隣接する円弧状の部材90の間の周方向の位置の位相に対して略π/4[ラジアン]ずれるように配置する。そして、この状態で、4つの円弧状の部材90と、4つの円弧状の部材91とをボルト75(図1参照)で締結固定する。このようにして、外輪2を形成する。
図1に示すように、上記複数の第1スラストころ10は、第1内輪部31の第1内輪軌道面(第1段部)37と、外輪2の第1外輪軌道面71との間に、保持器に保持された状態で、周方向に間隔をおいて配置されている。また、複数の第2スラストころ12は、第2内輪部32の第3内輪軌道面(段部)43と、外輪2の第3外輪軌道面73との間に、保持器に保持された状態で、周方向に間隔をおいて配置されている。また、複数のラジアルころ14は、第1内輪部31の第2内輪軌道面(第3円筒外周面)36と、軌道部21の第2外輪軌道面72との間に、周方向に間隔をおいて位置している。
上記第1内輪部31、第2内輪部32、軌道部21および歯車部22は、電磁誘導が発生する鋼製の電導材料からなっている。例えば、上記第1内輪部31、第2内輪部32、軌道部21および歯車部22の夫々は、S48C、SCM440、SCM445、SCM447等の炭素鋼材からなっている。
上記第1内輪部31の第1内輪軌道面37、第2内輪軌道面36、上記第2内輪部32の第3内輪軌道面43、および、外輪2の軌道部21の第1外輪軌道面71、第2外輪軌道面72、第3外輪軌道面73の夫々の軌道面は、動作面であり、特に、第1,2,3内輪軌道面と、第2,3外輪軌道面は、本発明の動作面であって、周知の高周波焼入れにより硬化処理がされている。
また、上記第1内輪部31において、第1スラストころ10が転動する転動面を構成する第1内輪軌道面37およびラジアルころ14が転動する軌道面を構成する第2内輪軌道面36に径方向に間隔をおいて位置し、上記第1内輪軌道面37および上記第2内輪軌道面36に径方向に対向せず、上記第1内輪軌道面37および上記第2内輪軌道面36を備える外周面とは径方向に反対側である内周側の第1内輪部31の内周面部分80は、非動作面であり、周知の高周波焼入れにより硬化処理がされている。
また、上記第2内輪部32において、第2スラストころ12が転動する軌道面を構成する第3内輪軌道面43に径方向に間隔をおいて位置し、上記第3内輪軌道面43に径方向に対向せず、上記第3内輪軌道面43を備える外周側とは径方向に反対側である内周側の第2内輪部32の内周面部分82は、非動作面であり、周知の高周波焼入れにより硬化処理がされている。
また、外輪2の軌道面21において、ラジアルころ14が転動する軌道面を構成する第2外輪軌道面72および第2スラストころ12が転動する軌道面を構成する第3外輪軌道面73に径方向に間隔をおいて位置し、上記第2外輪軌道面72および上記第3外輪軌道面73に径方向に対向せず、上記第2外輪軌道面72および上記第3外輪軌道面73を備える内周側とは径方向に反対側である外周側の外輪2の外周面部分81は、非動作面であり、周知の高周波焼入れにより硬化処理がされている。特に、非動作面は、動作面に径方向に重なることが好ましい。
図4A〜図4Dは、本発明の一実施形態の円環状部材の製造方法を説明する図である。
以下、図4A〜図4Dを用いて、外輪2の軌道部21を構成する円弧状の部材90の高周波焼入れについて説明する。なお、外輪2の軌道部21を構成する円弧状の部材90は、図3に示すとおり、π/2[ラジアン]の円弧状であるが、図4A〜図4Dは、説明を容易にするため、π[ラジアン]の円弧状で示す。
先ず、図4Aに示すように、各円弧状の部材90において、円弧状の部材90の本発明の動作面である第2外輪軌道面72,第3外輪軌道面73を、それぞれ高周波焼入れする。すなわち、円弧状の部材90の第2外輪軌道面72,第3外輪軌道面73を、高周波電流で加熱し、水を噴射して急冷し、表面層に焼きを入れる。すると、この第2外輪軌道面72,第3外輪軌道面73の高周波焼入れにより、円弧状の部材90が、図4Bに、点線100で示す形状から、実線110で示す形状に変形する。すなわち、上記円弧状の部材90が、第2外輪軌道面72の曲率が大きくなるように歪み、変形する。なお、高周波電流で加熱し急冷するには、水や水溶性焼入れ液、高周波焼入れ液、焼入れ油を用いても良い。
次に、図4Bにおいて81で示す、円弧状の部材90において第2外輪軌道面72,第3外輪軌道面73に径方向に重なる外周面部81を、図4Cに示すように、高周波電流で加熱し、油を噴射して急冷し、表面層に焼きを入れる。このようにして、第2外輪軌道面72の曲率が大きくなるように変形した円弧状の部材90を、図4Dに示すように、第2外輪軌道面72の曲率が小さくなるように強制的に変形させる。そして、上記円弧状の部材90の形状を、高周波焼入れ前の形状にちかい矯正する。すなわち、硬化処理の必要がない、非動作面である外周面部81を、意図的に高周波焼入れして、円弧状の部材90の高周波焼入れの前後で、円弧状の部材90の形状が殆ど変化しないようにする。このようにして、各円弧状の部材90の高周波焼入れを行う。なお、第1外輪軌道面71は、いずれかの段階で表面層に焼きを入れる。
尚、説明を省略するが、内輪1の第1内輪部31の第1内輪軌道面37,第2内輪軌道面36の高周波焼入れと、その第1内輪軌道面37,第2内輪軌道面36に径方向に重なる第1内輪部31の内周面部80の高周波焼入れも、外輪2の場合と同様に行い、円弧状の部材60の形状が殆ど変化しないようにしている。また、上記内輪1の第2内輪部32の第3内輪軌道面43の高周波焼入れと、その第3内輪軌道面43に径方向に重なる第2内輪部32の内周面部82の高周波焼入れも、外輪2、第1内輪部31の場合と同様に行い、円弧状の部材61の形状が殆ど変化しないようにしている。
次に、外輪2の軌道部21の製造の手順の一例について大まかに示す。
先ず、電導材料の環状部材を作成した後、その環状部材を、周方向に略等間隔に切断して、複数の円弧状の部材を作成する。または、複数の電導材料からなる棒状の部材を用意した後、各棒状の部材を、鍛造によって変形して、円弧状にする。このようにして、複数の円弧状の部材を作成する。
次に、各円弧状の部材において、円弧状の部材の中心側の面を、粗く旋削して、各円弧状の部材において、軌道を構成する部分を粗く作成する。
続いて、上述の高周波焼入れを行って、高周波焼入れの前後で、円弧状の部材の形状が殆ど変化しないような方法で、各円弧状の部材の高周波焼入れを行う。
続いて、各円弧状の部材において、軌道に相当する部分を、精密に研磨した後、周知の後加工を行って、複数の円弧状の部材を製造する。
最後に、上述したように、複数の円弧状の部材からなる軌道部21と、用意した歯車部(作成方法については省略)22とを、ボルト75を用いて締結して、外輪2を作成する。
尚、上記内輪2の第1内輪部31の製造の手順については、外輪2の軌道部21の製造の手順と殆ど変わらない。上記内輪2の第1内輪部31の製造の手順については、外輪2の軌道部21の製造の手順の説明をもって省略する。
上記実施形態の円環状部材の製造方法によれば、上記第1内輪部31,第2内輪部32および軌道部21の夫々において、高周波焼入前の各円弧状の部材60,61,90において、その円弧状の部材の内周側と外周側とのうちの一方の側に備えられた面に高周波焼入れを施した後、上記内周側と上記外周側とのうちの他方の側に備えられた面に高周波焼入れを施すから、上記内周側と上記外周側とのうちの一方の側に備えられた面に高周波焼入れを施すことによって生じた変形を、上記内周側と上記外周側とのうちの他方の側に備えられた面に施した高周波焼入れによって、元の円弧形状に戻す方向に、再度変形させることができて、各円弧状の部材60,61,90の高周波焼入れの前後で、円弧状の部材60,61,90に生じる変形を小さなものにすることができる。したがって、動作面の取り代を格段に小さくできて、このことに起因して、動作面の硬さの低下を防止できる。また、動作面の取り代が、円弧状の部材の周方向の位置で殆ど変わることがないから、動作面の硬化層の深さを、周方向においてより均一にすることができる。
尚、上記実施形態の円環状部材の製造方法では、4つの円弧状の部材でもって円環状部材を構成したが、この発明では、円環状部材は、2つの円弧状の部材、3つの円弧状の部材、または、5以上の円弧状の部材でもって構成されていても良い。
また、上記実施形態の円環状部材の製造方法では、各円弧状の部材では、動作面である軌道面側の面に高周波焼入れを行った後に、非動作面である、円弧の径方向に反対側の面に高周波焼入れを行ったが、この発明では、各円弧状の部材において、非動作面の高周波焼入れを行った後に、動作面の高周波焼入れを行っても良い。また、この発明では、動作面の高周波焼入れと、非動作面の高周波焼入れとを同時に行っても良い。
尚、各円弧状の部材において、動作面の高周波焼入れを行った後、非動作面の高周波焼入れを行った方が好ましい。というのは、動作面の必要十分な高周波焼入れを行った後、円弧状の部材の変形の度合を、非動作面の高周波焼入れの際に調整できるからである。すなわち、非動作面の高周波焼入れを行った後に、動作面の高周波焼入れを行う方法では、円弧状の部材の形状の調整と、動作面の必要十分な焼入れの両方を同時に行わなければならないから、後の動作面の高周波焼入れに技術的な熟練が必要になるのである。
また、上記実施形態の円環状部材の製造方法では、円環状部材が、動作面が軌道面である軌道輪であったが、この発明の円環状部材の製造方法では、円環状部材は、動作面が噛合面である歯車であっても良い。
この場合、歯車の製造は、例えば、次のように行うことができる。上記外輪2の歯車部22を用いて以下に説明する。
先ず、鋼製の電導材料の環状部材を作成した後、その環状部材を、周方向に略等間隔に切断して、複数の円弧状の部材を作成する。または、複数の鋼製の電導材料からなる棒状の部材を用意した後、各棒状の部材を、鍛造によって変形して、円弧状にする。このようにして、複数の円弧状の部材91を作成する。
次に、各円弧状の部材において、円弧状の部材91の中心側の面または中心側とは反対側の面を、歯切りして、動作面である噛合面を作成する。上記歯車部22においては、外周面に噛合部を形成する。
続いて、上述の高周波焼入れを行って、高周波焼入れの前後で、円弧状の部材91の形状が殆ど変化しないような方法で、各円弧状の部材の高周波焼入れを行う。上記歯車部22の外周面の噛合部に高周波焼入れを施した後、上記歯車部22の内周面に高周波焼入れを行う。
続いて、各円弧状の部材において、噛合面とは、反対側の嵌合面に、研削等の周知の後処理を行って、複数の円弧状の部材を製造する。
最後に、上述のボルトを用いた方法等によって、複数の円弧状の部材を締結して歯車を作成する。
尚、本発明で製造される円環状部材が、旋回座軸受の一部品に限られないのは、言うまでもない。すなわち、本発明の製造方法を、環状になるように配置された複数の円弧状の部材を備えると共に、外周面と内周面とのうちの一方が、動作面である一方、上記外周面と上記内周面とのうちの他方が、非動作面である円環状部材であれば、如何なる円環状部材の製造に適用することができることは、言うまでもない。
1 内輪
2 外輪
10 第1スラストころ
12 第2スラストころ
14 ラジアルころ
21 軌道部
31 第1内輪部
36 第3円筒外周面
72 第2軌道面
80 内周面部分
81 外周面部分

Claims (4)

  1. 円環状になるように配置される複数の円弧状の部材を備えると共に、外周側と内周側とのうちの一方の側に、動作面を備える一方、上記外周側と上記内周側とのうちの他方の側に、非動作面を備える円環状部材の製造方法であって、
    複数の鋼製の円弧状の部材を用意し、
    その後、上記各鋼製の円弧状の部材において、上記動作面と上記非動作面とのうちの一方に高周波焼入れを施し、
    その後、上記動作面と上記非動作面とのうちの他方に高周波焼入れを施すことを特徴とする円環状部材の製造方法。
  2. 円環状になるように配置される複数の円弧状の部材を備えると共に、外周側と内周側とのうちの一方の側に、動作面を備える一方、上記外周側と上記内周側とのうちの他方の側に、非動作面を備える円環状部材の製造方法であって、
    複数の鋼製の円弧状の部材を用意し、
    その後、上記各鋼製の円弧状の部材において、上記動作面の高周波焼入れと、上記非動作面の高周波焼入れとを同時に施すことを特徴とする円環状部材の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の円環状部材の製造方法において、
    上記円環状部材は、軸受の軌道輪であって、
    上記動作面は、上記軌道輪の外周側および内周側のうちの一方の側で軌道面を有する面であり、
    上記非動作面は、上記軌道輪の外周側および内周側のうちの他方の側で上記軌道面に対して間隔をおいて位置している面であることを特徴とする円環状部材の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の円環状部材の製造方法において、
    上記円環状部材は、歯車であって、
    上記動作面は、上記歯車の外周側および内周側のうちで噛合面を有する面であり、
    上記非動作面は、上記歯車の外周側および内周側のうちで上記噛合面に対して間隔をおいて位置している面であることを特徴とする円環状部材の製造方法。
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