JP2010190064A - Egrガス冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】EGR熱交換器がエンジンのシリンダブロックに設けられたクーラ収容部に収容されるものにおいて、排気ガスの冷却時に生成される凝縮水による腐食の影響を受けにくいEGRガス冷却装置を提供する。
【解決手段】内燃機関10のシリンダブロック11の外側に一体的に設けられ、内部に冷却水が流通する収容部15と、この収容部15内に収容されると共に、内燃機関10の排気ガスの一部を冷却水によって冷却し、内燃機関10の吸気側に流出させる排気ガス熱交換器30とを備えるEGRガス冷却装置において、排気ガス熱交換部30のガス流入部31、熱交換部32、およびガス流出部33を直線的に配置し、ガス流入部31が、ガス流出部33よりも下側に位置するように配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、EGR(排気再循環装置)用の排気を冷却するEGRガス冷却装置に関するものである。
従来のEGRガス冷却装置として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。即ち、特許文献1のEGRガス冷却装置においては、車両エンジンのシリンダブロックに直接取り付けられて、エンジンの冷却水が流入出するクーラ収容部内に、EGRガスが流通するEGR熱交換器が収容さている。
これにより、EGRガス冷却装置の設置スペースを小さくできると共に、エンジンの冷却水用の配管を不要とすることができるので、配管の振動耐久向上のためのブラッケット等による補強が不要になるとしている。
特開2001−132556号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のEGRガス冷却装置においては、EGRガス熱交換器は複数のEGR中空薄板体(扁平チューブ)が積層されて形成されており、これらEGR中空薄板体の長手方向が水平方向を向くように配置されているので、EGRガスが冷却水によって冷却される際にEGRガスから凝縮される凝縮水が、EGR中空薄板体に滞留してしまう。
この凝縮水は、排気ガス中の成分(硫酸、NOx等)が濃縮されたものであり、EGRガス熱交換器に対して強い腐食性を呈する。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、EGR熱交換器がエンジンのシリンダブロックに設けられたクーラ収容部に収容されるものにおいて、排気ガスの冷却時に生成される凝縮水による腐食の影響を受けにくいEGRガス冷却装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明では、内燃機関(10)のシリンダブロック(11)の外側に一体的に設けられると共に、内燃機関(10)の冷却水を内部に流入させる冷却水流入部(13)、および流入された冷却水を内部から流出させる冷却水流出部(14)を有する収容部(15)と、
収容部(15)内に収容されると共に、内燃機関(10)の排気ガスの一部をガス流入部(31)から流入させ、冷却水によって熱交換部(32)にて冷却し、ガス流出部(33)から内燃機関(10)の吸気側に流出させる排気ガス熱交換器(30)とを備えるEGRガス冷却装置において、
ガス流入部(31)、熱交換部(32)、およびガス流出部(33)は、直線的に配置されており、
ガス流入部(31)は、ガス流出部(33)よりも下側に位置するように配置されたことを特徴としている。
これにより、排気ガス熱交換器(30)用の冷却水タンクを収容部(15)として内燃機関(10)に一体的に設けるようにしているので、内燃機関(10)に冷却水タンクを固定するための取付けブラケット、締結ボルト等を廃止することができる。
また、冷却水流入部(13)および冷却水流出部(14)が、内燃機関(10)に近接して設けられることになるので、内燃機関(10)から収容部(15)への冷却水配管を簡素化することができる。
また、排気ガス熱交換器(30)は、ガス流入部(31)も含めて収容部(15)内に収容されることから、ガス流入部(31)も冷却水によって冷却することができるので、排気ガスに伴う高温時に要求される強度条件を緩和することができ、排気ガス熱交換器(30)の材料選定が容易となる。
加えて、排気ガスが熱交換部(32)で冷却される際に腐食性の凝縮水が生成されても、この凝縮水は重力によって落下してガス流入部(31)から排気管側へ排出されるようになるので、凝縮水による排気ガス熱交換器(30)の腐食に対する影響を低減することができる。
請求項2に記載の発明では、冷却水流入部(13)、および冷却水流出部(14)の少なくとも一方は、シリンダブロック(11)内の冷却水流路(12)と収容部(15)の内部とを直接連通するように形成されたことを特徴としている。
これにより、シリンダブロック(11)内の冷却水流路(12)と収容部(15)内部とを直接接続することができるので、冷却水用の接続配管、固定用のクランプ等を廃止することができる。
請求項3に記載の発明では、ガス流出部(33)の下流側には、流出される排気ガスの流量を調整する流量調整手段(40)が一体的に形成されており、
流量調整手段(40)は、収容部(15)の外側に当接配置されたことを特徴としている。
これにより、排気ガス熱交換器(30)と流量調整手段(40)との間の排気ガス用の配管を廃止することができる。また、流量調整手段(40)を収容部(15)内の冷却水によって冷却することが可能となるので、流量調整手段(40)の信頼性を向上させることができる。
請求項3に記載の発明に対して、請求項4に記載の発明のように、ガス流出部(33)の下流側には、内燃機関(10)の吸気側に接続されるガス配管(22)が設けるようにしても良く、これにより、流量調整手段(40)の配置の自由度を大きくすることができる。
請求項5に記載の発明では、熱交換部(32)は、複数のチューブ(32a)によって形成されたことを特徴としている。
これにより、排気ガスに対する流通抵抗を小さく抑えた熱交換部(32)を容易に形成することができる。
請求項6に記載の発明では、複数のチューブ(32a)は、断面扁平状を成して積層されており、内部にインナーフィン(32b)が挿入されたことを特徴としている。
これにより、排気ガス側の熱伝達率を向上させて、熱交換性能を向上することができる。
請求項7に記載の発明では、複数のチューブ(32a)は、表面にディンプルが形成されたことを特徴としている。
これにより、上記請求項6に記載の発明と同様に、排気ガス側の熱伝達率を向上させて、熱交換性能を向上することができる。
請求項8に記載の発明では、冷却水流入部(13)、および冷却水流出部(14)は、上下方向に並ぶように形成されており、
熱交換部(32)の冷却水流入部(13)、および冷却水流出部(14)にそれぞれ対応する部位の間には、冷却水流入部(13)から流入した冷却水が冷却水流出部(14)へ直接的に流れないように、熱交換部(32)側に整流する整流部(32d)が形成されたことを特徴としている。
これにより、冷却水流入部(13)からより多くの冷却水を熱交換部(32)側に流すことができるので、熱交換性能を向上することができる。
請求項9に記載の発明では、ガス流入部(31)には、排気ガスの熱による熱伸びを吸収するベローズ(31b)が設けられたことを特徴としている。
これにより、排気ガスの熱影響を最も受けやすいガス流入部(31)における熱応力を低減することができるので、ガス流入部(31)の強度を向上させることができる。
請求項10に記載の発明では、ガス流入部(31)には、外表面積を拡大する凹凸部(31c)が設けられたことを特徴としている。
これにより、ガス流入部(31)から冷却水側への熱移動量を大きくすることができるので、ガス流入部(31)に対する冷却効果を向上させることができる。
請求項11に記載の発明では、排気ガス熱交換器(30)は、アルミニウム材から形成されたことを特徴としている。
これにより、熱伝導に優れ、軽量、安価な排気ガス熱交換器(30)とすることができる。
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。また、特許請求の範囲における括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段に限定して解釈されるものではない。
第1実施形態におけるEGRガス冷却装置を示す断面図である。 図1におけるA−A部を示す断面図である。 図2におけるB−B部を示す断面図である。 第1実施形態におけるEGRガス冷却装置の組付け要領を示す分解図である。 第2実施形態におけるEGRガス冷却装置を示す断面図である。 第3実施形態におけるEGRガス冷却装置を示す断面図である。 第4実施形態におけるEGRガス冷却装置を示す断面図である。 第5実施形態におけるEGRガス冷却装置を示す断面図である。 第6実施形態におけるEGRガス冷却装置を示す断面図である。
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係るEGRガス冷却装置100Aを、走行用のエンジン10を搭載する車両(自動車)に適用したものである。以下、図1〜図4を用いて詳細に説明する。図1はEGRガス冷却装置100Aを示す断面図、図2は図1におけるA−A部を示す断面図、図3は図2におけるB−B部を示す断面図、図4はEGRガス冷却装置100Aの組付け要領を示す分解図である。
EGRガス冷却装置100Aは、例えばガソリン系のエンジン(内燃機関)10に形成された収容部15内に、EGRガスクーラ30が収容されて形成されている。EGRガスクーラ30は、エンジン10の排気管(図示せず)から分岐して、エンジン10の吸気側にバイパス接続されて排気再循環管を形成する排気バイパス管(図示せず)の途中に介在されている。そして、EGRガスクーラ30の排気ガス流れ下流側にはバルブユニット40が設けられている。バルブユニット40の開閉作動に応じて、排気バイパス管およびEGRガスクーラ30には、排気ガスの一部(以下、EGRガス)が流れるようになっている。
図1に示すように、エンジン10のシリンダブロック11の壁面内には、図示しないウォータポンプによって冷却水が流通する複数の冷却水流路12が形成されている。そして、シリンダブロック11の壁面(側壁)の外側には、筒状を成す収容部15が一体的に形成されている。ここでは、収容部15は断面四角状の筒となっている。収容部15の軸方向は上下を向く方向に設定されており、上下の開口部においてシリンダブロック11と反対側となる端部には、それぞれシリンダブロック11から離れるように板状を成して水平方向に延びる上側張出部15a、下側張出部15bが形成されている。
また、シリンダブロック11には、冷却水流路12と収容部15の内部とを直接的に連通させる入口流路(冷却水流入部)13、および出口流路(冷却水流出部)14が形成されている。入口流路13、および出口流路14は、シリンダブロック11において冷却水流路12から収容部15の内部に向けて開口された連通路である。
入口流路13は、収容部15の下側であって、EGRガスクーラ30の流入側タンク部31の近傍に形成されている。出口流路14は、収容部15の上側であって、EGRガスクーラ30の流出側タンク部33の近傍に形成されている。入口流路13と出口流路14は、上下方向に並ぶように配置されている。冷却水流路12を流通する冷却水は、入口流路13から収容部15の内部に流入して、収容部15の内部を流通した後に、出口流路14から再び冷却水流路12に戻るようになっている。
次に、EGRガスクーラ(排気ガス熱交換器)30の構造について、図2〜図4を加えて説明する。
EGRガスクーラ100Aは、熱交換部32、流入側タンク部31、および流出側タンク部33を備えている。上記各部材は、例えば熱伝導性に優れるアルミニウム材から形成されており、以下説明する各部材の当接部が互いにろう付けによって接合されている。
熱交換部32は、チューブ32a、インナーフィン32b、プレート32c、および整流部32dを備えている。チューブ32aは、内部にEGRガスが流通する管部材であり、EGRガスの流通方向に交差する断面が矩形扁平状に形成されている。チューブ32aは、扁平状断面の長辺側の面が互いに対向するように、かつ、隣り合うチューブ32aの間に所定寸法の隙間が確保されるように複数(本実施例では4本)積層されている。
インナーフィン32bは、EGRに乱流を発生させてEGRガスと冷却水との熱交換を促進する伝熱部材であり、チューブ32a内に配設されている。インナーフィン32bは、図3に示すように、EGRガスの流通方向から見た断面形状が矩形波状となるように形成されている。インナーフィン32bとしては、例えば、オフセット型フィン、ストレート型フィン等を採用することができる。
プレート32cは、複数のチューブ32aの長手方向の両端部に対応する位置に複数のチューブ孔が穿設された一対の板部材である。一対のプレート32cのチューブ孔には、複数積層されたチューブ32aの長手方向の端部がそれぞれ貫通接合されることで、複数のチューブ32aは、一対のプレート32cに保持されている。
整流部32dは、収容部15内における入口流路13から出口流路14へ向かう冷却水の流れを整流する整流手段であり、チューブ32aの表面に形成されている。整流部32dは、チューブ32aの表面において、入口流路13に対応する位置と、出口流路14に対応する位置との間で、かつ入口流路13の近傍となる位置に形成されている。整流部32dは、チューブ表面から外側に突出する突出部として一体形成されており、その突出形状はチューブ32aのシリンダブロック11側からチューブ32aの幅方向(長手方向に直行する方向)の途中位置まで延びている。隣り合うチューブ32aの整流部32dは、その突出する先端側で互いに当接して接合されている。また、チューブ32aのシリンダブロック11側に位置する突出整流部32dは、シリンダブロック11の壁面に近接するように突出している。よって、収容部15の内部は、互いに接合された整流部32dによって、入口流路13側と出口流路14側とが最短距離で繋がることなく、入口流路13側から一旦、シリンダブロック11の反対側に迂回して、出口流路14側に繋がるようになっている。
流入側タンク部(ガス流入部)31は、各チューブ32aにEGRガスを分配供給する漏斗状の部材であり、漏斗状の開口面積の大きい側の端部が、プレート32cの外周端部に接合されている。そして、流入側タンク部31の漏斗状の開口面積の小さい側の端部には、流入側タンク部31の軸線(EGRガスの流通方向)に対して交差する方向に拡がる平板状のフランジ部31aが一体的に設けられている。フランジ部31aは、収容部15の下側開口部を閉塞する蓋部材となっており、またEGRガスクーラ30を下側張出部15bへ取付けるための取付け部となっている。
流出側タンク部(ガス流出部)33は、各チューブ32aから流出するEGRガスを集合させる漏斗状の部材であり、漏斗状の開口面積の大きい側の端部が、プレート32cの外周端部に接合されている。そして、流出側タンク部33の漏斗状の開口面積の小さい側の端部には、流出側タンク部31の軸線(EGRガスの流通方向)に対して交差する方向で、かつ収容部15の空間内で拡がる平板状のフランジ部33aが一体的に設けられている。フランジ部33aは、バルブユニット40の流路部42(後述)のEGRガス流入側(流路部開口の外周側)に当接するようになっている。
EGRガスクーラ30は、流入側タンク部31、熱交換部32、および流出側タンク部33の順に並び、これら各部31、32、33が直線的に配置されており、EGRガスはEGRガスクーラ30の内部を真直ぐ流れるようになっている。
そして、EGRガスクーラ30は、流出側タンク部33に対して、流入側タンク部31が下側となる姿勢で、収容部15の内部に収容されている。ここでは、EGRガスクーラ30は、チューブ32aの長手方向が真直ぐ上下方向を向くようにして、下側張出部15bとフランジ部31aとが当接するように収容されている。下側張出部15bとフランジ31aとの間にはシール用のOリング53が介在されて、ボルト54によって下側張出部15bとフランジ31aとが締結されている。即ち、EGRガスクーラ30は、ボルト54によって下側張出部15bに固定されている。収容部15の下側開口はフランジ部31aによって閉塞されている。
そして、EGRガスクーラ30のフランジ部31a(排気側)には、上流側排気バイパス管21が接続されている。上流側排気バイパス管21は、長手方向が上下方向を向くようにして、流入側タンク部31よりも下側に配置されている。上流側排気バイパス管21の一端側には、フランジ部が形成されており、このフランジ部はシール用のガスケット51を介して、ボルト52によってフランジ部31aに固定されている。上流側排気バイパス管21の内部は、流入側タンク部31の内部に連通している。上流側排気バイパス管21の他端側は、排気管に接続されており、上流側排気バイパス管21によってEGRガスがEGRガスクーラ30内に導かれるようになっている。
バルブユニット40は、エンジン10の稼働状態に応じて排気管から排気バイパス管(上流側排気バイパス管21)を流通するEGRガスの流量を調整する流量調整手段であり、EGRガスクーラ30(流出側タンク部33)のEGRガスの下流側(吸気側)に設けられている。つまり、ここでは、バルブユニット40は、流出側タンク部33の上側に配置されている。バルブユニット40は、ケース41内に流路部42、バルブ43、アクチュエータ44が設けられて形成されている。
ケース41は、直方体の箱状を成す容器体であり、流路部42は、このケース41自体を貫通する断面円形状の流路として形成されている。バルブ43は、流路部42を開閉する円板状の開閉手段であり、アクチュエータ44の駆動軸に固定されて、流路部42の内部に収容されている。よってバルブ43は、アクチュエータ44によって回動されることで流路部42を開閉すると共に、開状態においては流路部42の開度を調節するようになっている。
バルブユニット40は、流路部42の下側開口が流出側タンク部33の開口部と一致するようにして、収容部15の上側張出部15aとEGRガスクーラ30のフランジ部33aとに当接するように配置されている。流路部42の下側開口と流出側タンク部33の開口部との外側となる領域で、フランジ部33aとケース41の下側面との間にはシール用のOリング55が介在され、また収容部15の内週壁とケース41の下側面との間にはシール用のOリング56が介在されて、ボルト57によって上側張出部15aとケース41の下側面とが締結されている。即ち、バルブユニット40は、ボルト57によって上側張出部15aに固定されている。収容部15の上側開口はケース41によって閉塞されている。
バルブユニット40は、EGRガスクーラ30の流出側タンク部33の下流側に一体的に形成されると共に、収容部15の外側に当接して配置されている。
また、収容部15の内部は、冷却水流路12から入口流路13を介して冷却水で満たされ、EGRガスクーラ30はその全体(流入側タンク部31、熱交換部32、および流出側タンク部33)が収容部15内で冷却水に漬るようになっている。
次に、上記構成に基づくEGRガス冷却装置100Aの作動、および作用効果について説明する。
本実施形態のEGRガス冷却装置100Aにおいては、バルブユニット40の流路部42がバルブ43によって開かれると、排気の一部であるEGRガスが上流側排気バイパス管21、流入側タンク部31から流入する。流入側タンク部31に流入したEGRガスは各チューブ32aに分配され、各チューブ32aを流通する。そして、各チューブ32aを通過したEGRガスは、流出側タンク部33で集合され、流路部42(バルブ43)を通りエンジン10の吸気側に供給される。
一方、エンジン10の冷却水は、冷却水流路12から入口流路13を介して収容部15の内部に流入し、流入した冷却水は図1に示すように、整流部32dに沿って一旦チューブ32aの幅方向に流れ、整流部32dを超えると、出口流路14を介して冷却水流路12に戻る。この冷却水は、収容部15内においてチューブ32aの外側表面を流れることになる。
この時、チューブ32a内を流通するEGRガスと、チューブ32aの外側表面を流通する冷却水との間で熱交換が行なわれて、EGRガスは冷却される。そして、上記のように冷却されたEGRガスは、エンジン10の吸気側に供給される。
本実施形態では、EGRガスクーラ30用の冷却水タンクを収容部15としてエンジン10に一体的に設けるようにしているので、エンジン10に冷却水タンクを固定するための取付けブラケット、締結ボルト等を廃止することができる。
また、冷却水用の入口流路13、および出口流路14を、シリンダブロック11内の冷却水流路12と収容部15の内部とを直接連通させるように形成しているので、冷却水用の接続配管、固定用のクランプ等を廃止することができる。
また、EGRガスクーラ30は、流入側タンク部31(流出側タンク部33)も含めて全体が収容部15内に収容されることから、流入側タンク部31も冷却水によって冷却することができるので、EGRガスに伴う高温時に要求される強度条件を緩和することができ、EGRガスクーラ30の材料選定が容易となる。
加えて、EGRガスが熱交換部32で冷却される際に腐食性の凝縮水が生成されても、流入側タンク部31、熱交換部32、流出側タンク部33を直線的に配置すると共に、流入側タンク部31を流出側タンク部33よりも下側に配置しているので、生成される凝縮水は重力によって落下して流入側タンク部31から排気管側へ排出されるようになる。よって、凝縮水によるEGRガスクーラ30の腐食に対する影響を低減することができる。
上記のように、流入側タンク部31における高温時強度条件緩和の効果、および腐食影響低減の効果により、従来のEGRガスクーラ30は通常、対強度性、耐腐食性に優れるステンレス材によって形成されていたが、本実施形態のようにアルミニウム材による対応が可能となる。よって、軽量、安価、かつアルミニウム材の高伝導性の長所を生かした熱交換性能に優れるEGRガスクーラ30とすることができる。
また、流出側タンク部33の下流側にバルブユニット40を一体的に形成し、バルブユニット40が収容部15の外側に当接配置されるようにしているので、EGRガスクーラ30とバルブユニット40との間の排気ガス用の配管を廃止することができる。また、バルブユニット40を収容部15内の冷却水によって冷却することが可能となるので、バルブユニット40の信頼性を向上させることができる。
また、EGRガスクーラ30の熱交換部32は、複数のチューブ32aによって形成されるようにしているので、EGRガスに対する流通抵抗を小さく抑えた熱交換部32を容易に形成することができる。
更に、チューブ32aを断面扁平状に形成して複数積層すると共に、チューブ32aの内部にインナーフィン32bを挿入するようにしているので、乱流効果によるEGRガス側の熱伝達率を向上させて、熱交換性能を向上することができる。
また、入口流路13、および出口流路14を上下方向に並ぶように配置し、熱交換部32の入口流路13、および出口流路14にそれぞれ対応する部位の間に整流部32dを設けるようにしているので、入口流路13から流入した冷却水が出口流路14へ直接的に流れることがなく、入口流路13からより多くの冷却水を熱交換部32側に流すことができ、熱交換性能を向上することができる。
更に、上記のように、EGRガスクーラ30は、流入側タンク部31も含めて全体が収容部15内に収容されて流入側タンク部31も冷却水によって冷却される点、および整流部32dによって流入側タンク部31、および熱交換部32のEGRガス上流側に冷却水が充分流れるようになる点より、冷却水流量不足によるEGRガス上流側の冷却水の局部沸騰を防止することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のEGRガス冷却装置100Bを図5に示す。第2実施形態のEGRガス冷却装置100Bは、上記第1実施形態のEGRガス冷却装置100Aに対して、収容部15、およびEGRガスクーラ30の形状を変更したものである。
収容部15は、底部15cを一体的に備えた有底筒状に形成されており、底部15cの中心部分に収容部15の内部と外部とを連通させる連通孔15dが設けられている。連通孔15dは、流入側タンク部31の開口部と同等の大きさで開口している。
一方、EGRガスクーラ30のガス流入部31のフランジ部31aは、流出側タンク部33のフランジ部33aと同様に、収容部15内に収容される大きさに拡がっている。
EGRガスクーラ30は、収容部15の上側からチューブ32aの長手方向が真直ぐ上下方向を向くように挿入され、底部15cの連通孔15dが流入側タンク部31の開口部と一致するように、かつ、底部15cとフランジ部31aとが当接するように収容されている。底部15cとフランジ31aとの間にはシール用のOリング53が介在されている。そして、上記第1実施形態と同様にEGRガスクーラ30の上側からバルブユニット40が固定されている。よって、EGRガスクーラ30は、底部15cとバルブユニット40(ケース41の下側面)とに挟まれるようにして固定されている。
これにより、収容部15に対してEGRガスクーラ30、およびバルブユニット40を同一方向で組付けすることが可能となり、組付け性を向上させることができる。
また、収容部15に底部15cを一体的に設けるようにしているので、第1実施形態のようなボルト54による固定をなくすことができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のEGRガス冷却装置100Cを図6に示す。第3実施形態のEGRガス冷却装置100Cは、上記第1実施形態のEGRガス冷却装置100Aにおけるシリンダブロック11に形成された冷却水の出口流路14に代えて、収容部15に冷却水パイプ15hを設け、冷却水パイプ15hを介して冷却水を収容部15の内部から流出させるものである。
反シリンダブロック側となる収容部15の側壁15eの流出側タンク部33の近傍には、収容部15の内部と外部とを連通させる開口部15fが形成されている。そして、一端側にフランジ部の形成された冷却水パイプ15hが開口部15fに位置合わせされて、側壁15eとフランジ部との間にシール用のシール部材15gが介在されて、冷却水パイプ15hは側壁15eに固定されている。
冷却水パイプ15hは、例えばエンジン10の外部冷却水回路に配設される暖房用ヒータコア(図示せず)の冷却水流入側に接続されている。よって、冷却水は、冷却水流路12から入口流路13、収容部15の内部を流通して、冷却水パイプ15hからヒータコアを通り、エンジン10に戻る。
本実施形態では、EGRガスとの熱交換によって温度上昇する冷却水をヒータコアに供給することで、ヒータコアの暖房性能を向上させることができる。
尚、本実施形態では、入口流路13と冷却水パイプ15hの開口部15fが収容部15において対角上に位置させることができるので、収容部15内全体をよぎるように冷却水を流通させることができ、整流部32dを廃止しても良い。
(第4実施形態)
第4実施形態のEGRガス冷却装置100Dを図7に示す。第4実施形態のEGRガス冷却装置100Dは、上記第1実施形態のEGRガス冷却装置100Aに対して、バルブユニット40を廃止して、下流側排気バイパス管22を設けたものである。
バルブユニット40は、上記第1実施形態のようにEGRガスクーラ30と一体的に形成される必要は無く、ここでは、バルブユニット40をエンジン10の吸気側に移設して、下流側排気バイパス管22がボルト57によって収容部15の上側張出部15aに固定されるようにしている。つまり、バルブユニット(図7では図示省略)は、下流側排気バイパス管22の更に下流側に設けられることになる。
これにより、バルブユニットの搭載位置の自由度を向上させることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態のEGRガス冷却装置100Eを図8に示す。第5実施形態のEGRガス冷却装置100Eは、上記第1実施形態のEGRガス冷却装置100Aに対して、流入側タンク部31にベローズ31bを設けたものである。
ベローズ31bは、蛇腹状の管部であり、流入側タンク部31の漏斗状の開口面積の小さい側の端部とフランジ部31aとの間に形成されている。
これにより、排気ガスの熱影響を最も受けやすい流入側タンク部31において、EGRガスの熱による流入側タンク部31の熱伸びを吸収することができ、熱伸びによって発生する熱応力を低減することができるので、流入側タンク部31の強度を向上させることができる。
(第6実施形態)
第6実施形態のEGRガス冷却装置100Fを図9に示す。第5実施形態のEGRガス冷却装置100Fは、上記第1実施形態のEGRガス冷却装置100Aに対して、流入側タンク部31に凹凸部31cを設けたものである。
凹凸部31cは、漏斗状の流入側タンク部31の周方向に突出する部分と、周方向にへこむ部分とが流入側タンク部31の軸方向に交互に繰り返されるように形成されている。凹凸部31cは、上記形状に限らず、例えば、円形状の凹部および/あるいは凸部が流入側タンク部31の表面に複数設けられたものとしても良い。
これにより、流入側タンク部31の外表面積を拡大できるので、流入側タンク部31から冷却水側への熱移動量を大きくすることができ、流入側タンク部31に対する冷却効果を向上させることができる。
(その他の実施形態)
上記第1〜第6実施形態では、EGRガスクーラ30はチューブ32aの長手方向が真直ぐ上下方向を向くように収容部15内に収容されるものとして説明したが、流入側タンク部31が流出側タンク部33よりも下側に位置するようにすれば良く、傾いた姿勢で収容部15内に収容されるようにしても良い。つまり、EGRガスから生成される凝縮水が重力によって落下して流入側タンク部31から排気管側へ排出されるようにすれば良い。
また、収容部15はシリンダブロック11に一体的に形成されるものとして説明したが、これに限らず、収容部15を別部品として成形しておいて、シリンダブロック11に締結部材(ボルト等)で機械的に組付けて成形するようにしても良い。
また、第3実施形態では、第1実施形態に対して冷却水の出口流路14を収容部15内部から外部冷却水回路に接続される冷却水パイプ15hに変更した場合を説明したが、これに代えて、シリンダブロック11内に形成された入口流路13に代えて、外部冷却水回路から収容部15内部に接続される冷却水パイプを設けたものとしても良い。さらに、外部冷却水回路から冷却水パイプを介して収容部15内部に冷却水を流出入させるものとしてもよい。
また、EGRガスクーラ30は、複数の扁平状のチューブ32aが積層される積層型の熱交換器として説明したが、これに限らず、複数の丸チューブを束ねたような、いわゆるシェルアンドチューブ型の熱交換器としても良い。
また、チューブ32aの内部にインナーフィン32bを挿入したものとしたが、インナーフィン32bは廃止しても良い。あるいは、インナーフィン32bに代えて、チューブ32aの表面に複数のディンプルが形成されたものとしても良い。ディンプルによりEGRガスに対する乱流効果を得ることができ、インナーフィン32bと同様の効果を得ることができる。
また、チューブ32aの整流部32dは、チューブ32a表面に一体形成されるものとして説明したが、これに限らず、別部材を接合したものとしても良い。また、第3実施形態で述べたように、収容部15内における冷却水の流れ方向を考慮して、整流部32dを廃止しても良い。
また、EGRガスクーラ30は、アルミニウム材から形成される熱交換器としたが、材質はこれに限定されるものでは無く、ステンレス材等、他の材料から形成されるものとしても良い。
また、EGRガス冷却装置100A〜100Fにおける対象エンジンをガソリン系のエンジン10として説明したが、ディーゼル系のエンジンを対象としても良い。
10 エンジン(内燃機関)
11 シリンダブロック
12 冷却水流路
13 入口流路(冷却水流入部)
14 出口流路(冷却水流出部)
15 収容部
22 下流側排気バイパス管(ガス配管)
30 EGRガスクーラ(排気ガス熱交換器)
31 流入側タンク部(ガス流入部)
31b ベローズ
31c 凹凸部
32 熱交換部
32a チューブ
32b インナーフィン
32d 整流部
33 流出側タンク部(ガス流出部)
40 バルブユニット(流量調整手段)
100A〜100F EGRガス冷却装置

Claims (11)

  1. 内燃機関(10)のシリンダブロック(11)の外側に一体的に設けられると共に、前記内燃機関(10)の冷却水を内部に流入させる冷却水流入部(13)、および流入された前記冷却水を内部から流出させる冷却水流出部(14)を有する収容部(15)と、
    前記収容部(15)内に収容されると共に、前記内燃機関(10)の排気ガスの一部をガス流入部(31)から流入させ、前記冷却水によって熱交換部(32)にて冷却し、ガス流出部(33)から前記内燃機関(10)の吸気側に流出させる排気ガス熱交換器(30)とを備えるEGRガス冷却装置において、
    前記ガス流入部(31)、前記熱交換部(32)、および前記ガス流出部(33)は、直線的に配置されており、
    前記ガス流入部(31)は、前記ガス流出部(33)よりも下側に位置するように配置されたことを特徴とするEGRガス冷却装置。
  2. 前記冷却水流入部(13)、および前記冷却水流出部(14)の少なくとも一方は、前記シリンダブロック(11)内の冷却水流路(12)と前記収容部(15)の内部とを直接連通するように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のEGRガス冷却装置。
  3. 前記ガス流出部(33)の下流側には、前記流出される排気ガスの流量を調整する流量調整手段(40)が一体的に形成されており、
    前記流量調整手段(40)は、前記収容部(15)の外側に当接配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のEGRガス冷却装置。
  4. 前記ガス流出部(33)の下流側には、前記内燃機関(10)の吸気側に接続されるガス配管(22)が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のEGRガス冷却装置。
  5. 前記熱交換部(32)は、複数のチューブ(32a)によって形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のEGRガス冷却装置。
  6. 複数の前記チューブ(32a)は、断面扁平状を成して積層されており、内部にインナーフィン(32b)が挿入されたことを特徴とする請求項5に記載のEGRガス冷却装置。
  7. 複数の前記チューブ(32a)は、表面にディンプルが形成されたことを特徴とする請求項5に記載のEGRガス冷却装置。
  8. 前記冷却水流入部(13)、および前記冷却水流出部(14)は、上下方向に並ぶように形成されており、
    前記熱交換部(32)の前記冷却水流入部(13)、および前記冷却水流出部(14)にそれぞれ対応する部位の間には、前記冷却水流入部(13)から流入した前記冷却水が前記冷却水流出部(14)へ直接的に流れないように、前記熱交換部(32)側に整流する整流部(32d)が形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載のEGRガス冷却装置。
  9. 前記ガス流入部(31)には、前記排気ガスの熱による熱伸びを吸収するベローズ(31b)が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載のEGRガス冷却装置。
  10. 前記ガス流入部(31)には、外表面積を拡大する凹凸部(31c)が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載のEGRガス冷却装置。
  11. 前記排気ガス熱交換器(30)は、アルミニウム材から形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載のEGRガス冷却装置。
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