JP2010189734A - 高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】SiやMnを比較的多く含む鋼板を母材として使用して高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した場合であっても、不めっき、合金化ムラ、めっき付着量異常を安定して防止できる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するための有用な方法提供する。
【解決手段】合金化溶融亜鉛めっき層を素地鋼板の表面に形成した合金化溶融亜鉛めっき鋼板を酸化還元めっき法で製造する方法であって、前記素地鋼板は、Si:0.8〜2.5%(「質量%」の意味、以下同じ)、Mn:1.5〜2.5%を夫々含有するものであり、酸化時に素地鋼板表面に生成するFe系酸化皮膜厚さA(Å)、めっき浴温度B(℃)、めっき浴侵入板温C(℃)、浴中有効Al濃度D(質量%)が、下記(1)式および(2)式の関係を満足するように操業し、その後合金化熱処理を行なう。
A≦−75×B−30×C+7000×D+48700 …(1)
A≧3000 …(2)
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車ボディ用鋼板として使用される高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を酸化還元めっき法で製造する方法に関するものであり、特に不めっき、合金化むら、めっき付着量異常を安定して防止できる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するための有用な方法に関するものである。
近年、自動車業界では、衝突安全性の向上、軽量化による燃費向上を目的として、高張力鋼板を多用するようになっている。鋼板を高張力化するに当たっては、鋼中に各種強化元素が含有されるが、各種元素の中でもSiおよびMnが効果的で安価な元素である。しかしながら、鋼板中にSiやMnを多量に含有させた場合には、連続溶融亜鉛めっきラインのめっき前の焼鈍時に、SiやMnが鋼板表面に選択酸化されて酸化皮膜を形成し、めっき時に溶融亜鉛との濡れ性を阻害するために、不めっきが発生し、良好な外観品質のめっき製品が製造できないという問題がある。
少なくとも多量のSiを含む鋼板(以下では、こうした鋼板を「Si添加鋼」と呼ぶことがある)の表面に溶融めっきを施す場合には、不めっきやめっき密着性不良を防止し安定して良好な外観品質を確保するために、無酸化炉方式の溶融めっき方法において、鋼板表面を酸化した後、水素を含む雰囲気中で焼鈍(還元焼鈍)し、溶融めっきする方法(以下、この方法を「酸化還元めっき法」と呼ぶことがある)が有効であることが知られている(例えば、特許文献1)。
上記のような酸化還元めっき法では、酸化時に鋼板中のSi等の添加元素も酸化されるが、Feも同時に酸化されて酸化鉄を主体とする酸化膜が形成され、その後の還元工程でFeに還元されるため、不めっきが防止できることが報告されている。
また、上記のような溶融亜鉛めっき鋼板は、その後加熱されて素地鋼板中のFeとZnを合金化させることによって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とされ、上記用途に使用されることが多いが、この合金化の際に合金化が良好に進まず、合金化不良(合金化ムラ)が発生することがある。
不めっき防止、めっき密着性、合金化処理性等を確保するためには、酸化皮膜の厚さが重要であり、酸化皮膜の厚さを酸化膜厚計で測定し、実測した膜厚に応じて焼鈍条件を制御してめっきを実施する方法も提案されている(例えば、特許文献2、3)。また、酸化皮膜測定方法として、例えば特許文献4では、2つの放射温度計を用いて測定する方法も提案されている。
しかしながら、酸化皮膜の厚さによって焼鈍条件を制御しても、なお不めっき、合金化ムラ、めっき付着量異常が発生する場合があり、品質の良好な合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製造することができず、Si添加鋼を母材(素地鋼板)に使用した合金化溶融亜鉛めっき鋼板は実現できていないのが実情である。
特開昭55−122865号公報 特許第2530939号公報 特許第2704819号公報 特開2003−129137号公報
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、SiやMnを比較的多く含む鋼板を母材として使用して高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した場合であっても、不めっき、合金化ムラ、めっき付着量異常を安定して防止できる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するための有用な方法を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法とは、合金化溶融亜鉛めっき層を素地鋼板の表面に形成した高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を酸化還元めっき法で製造する方法であって、前記素地鋼板は、Si:0.8〜2.5%(「質量%」の意味、以下同じ)、Mn:1.5〜2.5%を夫々含有するものであり、酸化時に素地鋼板表面に生成するFe系酸化皮膜厚さA(Å)、めっき浴温度B(℃)、めっき浴侵入板温C(℃)、浴中有効Al濃度D(質量%)が、下記(1)式および(2)式の関係を満足するように操業し、その後合金化熱処理を行なう点に要旨を有するものである。
A≦−75×B−30×C+7000×D+48700 …(1)
A≧3000 …(2)
本発明方法では、酸化時に素地鋼板表面に生成するFe系酸化皮膜厚さA(Å)、めっき浴温度B(℃)、めっき浴侵入板温C(℃)、浴中有効Al濃度D(質量%)が、上記(1)式および(2)式の関係を満足するようにして操業し、その後合金化熱処理することによって、SiやMnを比較的多く含む鋼板を素地鋼板として使用して合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した場合であっても、不めっき、合金化ムラ、めっき付着異常を安定して防止できる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板が実現でき、こうした合金化溶融亜鉛めっき鋼板は自動車ボディ用鋼板等の素材として有用である。
めっき浴から引き上げてワイピングをしたときの溶融亜鉛めっき鋼板の断面を観察した結果を示す図面代用顕微鏡写真である。
本発明者らは、不めっき、合金化ムラ、めっき付着異常を安定して防止できる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の実現を目指して様々な角度から検討を重ねた。その結果、次のような知見が得られた。まず、不めっきを安定して防止するためには、酸化皮膜(Fe系酸化皮膜)を厚くするのが良く、こうした観点から、酸化皮膜は3000Å以上にすることが効果的であるとの着想が得られた。
また、Si添加鋼は母材(素地鋼板)から亜鉛めっき層中へのFeの拡散が遅いために、合金化が進行しにくいことになる。しかしながら、酸化皮膜を厚くすることによって、酸化皮膜が還元されて生成する還元Feはめっき層中に容易に拡散するので、合金化を促進することができ、こうした観点からも酸化皮膜を厚くするのがよい。但し、酸化皮膜厚を厚くするに従って、その後行なわれる合金化の際に合金化ムラが発生しやすい状況になる。
本発明者らは、合金化ムラが発生する原因について更に検討を重ねた。合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、めっき付着量は通常30〜60g/m2程度に調整されることになる。これは、めっき付着量が少ない場合には、十分な耐食性が確保できず、一方、めっき付着量が60g/m2を超えるような場合には、合金化後のパウダリング性が劣化することになるためである。このようにめっき付着量を適切に調整する必要があるのは、溶融亜鉛めっき鋼板ではそれほど問題にならず(付着量が多くても良い)、その後合金化熱処理を施す合金化溶融亜鉛めっき鋼板特有のものである。
そして、合金化ムラが生じた合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、めっき付着量が60g/m2以下とはなっておらず、比較的多量のめっきが付着しており、めっき層中のFe含有量は同程度であっても、めっき付着量が多いために、めっき層の鉄濃度(Fe含有量/めっき付着量)が相対的に低くなり、これが原因となって合金化ムラが発生することが判明したのである。
また、めっき付着量の調整は、溶融亜鉛めっき層を形成した後に空気または不活性ガスを吹き付けて行う(ワイピング)のが一般的であるが、通常の条件で溶融亜鉛めっき層を形成した場合には、ワイピングによって溶融亜鉛めっき層の除去が効果的に行えず、めっき付着量が比較的多くなる傾向がある。即ち、酸化皮膜が還元されて生成した還元鉄は、めっき浴中で溶融亜鉛と反応を開始するが、このときの反応が過剰に進行して、界面から離れた位置までZn−Fe系合金の固相が成長、移動した場合には、めっき浴を出た後の鋼板に対してワイピングによる作用が低減されることになり、溶融亜鉛めっき層のワイピングによる除去が効果的にできなくなり、めっき層の付着量が多くなるものと考えられる。
酸化、還元後に、溶融亜鉛めっき浴中に素地鋼板を浸漬し、引き続きめっき浴から引き上げてワイピングをしたときの溶融亜鉛めっき鋼板の断面を観察した結果を図1(図面代用顕微鏡写真)に示す。図1(a)は、Zn−Fe系合金が界面から離れた位置(めっき表面側)にまで移動、成長し、それ以上のワイピングが困難である状態を示し、図1(b)はZn−Fe系合金が界面から離れた位置への移動、成長が抑制された状態を示している。
上記のような着想の下で、本発明者らは、合金化ムラが発生しない条件について更に検討を重ねた。その結果、酸化皮膜を比較的厚くした状態[即ち、(2)式の関係を満足した状態]は同じであっても、めっき条件[前記(1)式の関係]を制御することによって、界面(母材/溶融めっき層の界面)から離れた位置にまでのZn−Fe反応合金相(以下、単に「Zn−Fe系合金」と呼ぶことがある)の移動、成長を抑制でき[前記図1(b)に示した状態]、その結果、ワイピングによるめっき付着量の制御が可能となって、合金化ムラの発生を効果的に防止できることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明で規定する各要件について説明する。
浴中で生成するZn−Fe合金が、界面から離れた位置への移動、成長することを抑制するためには、酸化時の酸化皮膜厚さに応じて、めっき浴温度、めっき浴侵入板温、浴中有効Al濃度の3つの要件が所定の関係を満足する必要がある。めっき浴温度が低く、めっき浴侵入板温も低く、一方浴中有効Al濃度が高い方が、Zn−Fe合金の移動、成長が抑制できることが判明したのである。
そして、Fe系酸化皮膜厚さをA(Å)、めっき浴温度をB(℃)、めっき浴侵入板温をC(℃)、浴中有効Al濃度をD(質量%)としたとき、これらが下記(1)式の関係を満足するように操業すれば、ワイピングによるめっき付着量の制御が可能であることを見出したのである。
A≦−75×B−30×C+7000×D+48700 …(1)
ワイピングによるめっき付着量の制御を可能とする上で、めっき浴温度Bを低くする方がよいのは、めっき浴温度Bが低いほどZn−Fe合金の合金化反応が抑制されるためである。しかしながら、めっき浴温度Bが低過ぎる場合には、溶融亜鉛の粘性低下によるワイピング阻害や、ポット底部へのドロスの堆積による操業性低下が生じるため、その下限は440℃程度であることが好ましい。
また、上記(1)式を満足する場合であっても、めっき浴温度Bが高くなるに従い、鋼板から浴中へのFe溶解量の増加によるドロス発生量の増大、めっき浴から蒸発するZnヒュームによる建屋内での汚染が著しくなるため、その上限は500℃以下とすることが好ましい(より好ましくは490℃以下)。
めっき浴侵入板温Cが低い方が、ワイピングによるめっき付着量の制御する上で良いのは、この場合においてもめっき浴温度Bの場合と同様に、めっき浴侵入板温C(めっき浴侵入時の素地鋼板の表面温度)が低いほどZn−Fe合金の合金化反応が抑制されるためである。しかしながら、めっき浴侵入板温Cが低過ぎる場合には、めっき浴温度Bも低下し、これを再加熱するための電力が必要になるため、エネルギー原単位が低下し、まためっき浴侵入板温Cが低過ぎる場合には、めっき浴温度Bの維持が困難になることがある。こうした観点から、めっき浴侵入板温Cは350℃以上とすることが好ましい。
また、上記(1)式を満足する場合であっても、めっき浴侵入板温Cが高くなるに従い、めっき浴温度Bが上昇して、温度管理が困難となり、しかも鋼板から浴中へのFe溶解量増加によるドロス発生量も増大するので、その上限は530℃以下とすることが好ましい(より好ましくは510℃以下)。
ところで、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合、めっき層と素地鋼板の著しい合金化の進行によるめっき密着性の劣化を防止するため、めっき浴中にAlが添加されている。Alの一部は浴中でFeと反応してドロスを形成するため、浴中のトータルAl量からドロス形成Al相当量を除いた値を有効Al濃度と定義し[有効Al濃度=トータルAl濃度(%)−Fe濃度(%)]、この有効Al濃度を高めることにより、めっき浴中でAlが優先的に酸化還元鉄と反応するようになり、Zn−Fe合金の成長を抑制することにもなり、こうした現象はワイピングによるめっき付着量の制御を可能とする上で良好な方向に作用することになる。
しかしながら、「浴中有効Al濃度D」が高くなり過ぎると、その後の合金化が困難となる(或は、「合金化」に長時間を要する)ので、その上限は0.16%(より好ましくは0.14%)とするのが良い。また上記(1)式の関係を満足する場合であっても、浴中有効Al濃度Dが低くなるに従って、合金化の調整が困難となり、Fe濃度のバラツキによる合金化ムラが発生するようになるので、浴中有効Al濃度は0.08%以上とすることが好ましい。
尚、浴中有効Al濃度Dは、めっき浴をサンプリング、凝固されたZn塊をICP分析(誘導結合高周波プラズマ発光分光分析)することによって求めることができる。
上記のように、浴中で生成するZn−Fe合金が、界面から離れた位置への移動、成長することを抑制するためには、Fe系酸化皮膜厚さA(Å)に応じて、(a)めっき浴温度B(℃)、(b)めっき浴侵入板温C(℃)、(c)浴中有効Al濃度D(質量%)が、上記(1)式の関係を満足するようにする必要がある。尚、上記(1)式は、上記3つの要件[(a)〜(c)]のうち、いずれか1つの要件を固定した上で、他の2つの要件の関係を検討するという方法に基づいて、実験によって求められたものである。
上記(1)式の関係を満足させることによって、合金化ムラを防止できるのであるが、本発明では、不めっきを安定して防止するという観点から、酸化皮膜厚は3000Å以上にすることが必要である[前記(2)式の関係]。
本発明方法は、上記しためっき条件によって素地鋼板表面に溶融亜鉛めっきを形成した後、合金化させてFe−Zn合金めっき層とすることによって、対象とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られるのであるが、本発明で用いる素地鋼板としては、少なくともSi:0.8〜2.5%、Mn:1.5〜2.5%を夫々含有するものである。これら各成分の限定理由は、以下の通りである。
[Si:0.8〜2.5%]
Siは、固溶強化能が大きく、また延性を低下させずに強度を高めることができる元素である。こうした効果を十分に発揮させるには、Si含有量は0.8%以上とすることが必要であり、好ましくは1.2%以上である。しかしながら、Si含有量が過剰になると、強度が高くなりすぎて圧延負荷が増大し、しかも熱間圧延の際にはSiスケールを発生して鋼板の表面性状も悪化させるので、2.5%以下とする必要があり、好ましくは2.0%以下である。
[Mn:1.5〜2.5%]
Mnは、鋼板の強度確保のために有効な元素であり、また残留オーステナイトの生成を促進して加工性を高めるのにも有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、1.5%以上含有させる必要があり、好ましくは1.7%以上である。しかしながら、2.5%を超えて過剰に含有させると、延性や溶接性が劣化することになる。好ましくは2.3%以下とするのが良い。
上記のような素地鋼板(Si添加鋼)における、炭素鋼としてのC含有量については、特に限定するものではないが、通常0.05〜0.3%程度のCを含有する鋼板が採用される。即ち、Cは、鋼板の強度を決定する上での重要な元素であり、必要な強度を確保するためには、C含有量は0.05%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.08%以上である。しかしながら、C含有量が過剰になると溶接性が低下するので、0.3%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.2%以下である。
本発明で用いる素地鋼板の好ましい基本成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避不純物である。この不可避不純物としては、例えばP,S,N等が挙げられる。またこの素地鋼板は、上記基本元素以外に、必要に応じて、更に他の元素として、0.005〜3.0%程度のAlを含有するものであっても良い。
本発明方法は、上記(1)式および(2)式の関係を満足させるようにして操業すれば良く、他の製造条件については限定するものでなく、通常に従って行えば良い。即ち、所定の化学成分組成を有する素地鋼板を使用し、酸化帯で鋼板表面を加熱酸化し、次いでこれを還元帯で還元焼鈍した後、鋼板をZnめっき浴中に浸漬する方法(酸化還元めっき法)により製造することができる。また生産性の観点から、酸化還元めっき法を、連続亜鉛めっきライン(CGL)で行うことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
下記表1に化学成分組成を示す冷間圧延鋼板を素地鋼板として用い(板厚:いずれも1.6mm)、以下に示す条件で溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
上記素地鋼板を大気雰囲気中で加熱し、鋼板表面に酸化皮膜を形成した。次いで、表面に酸化皮膜を形成した鋼板を溶融めっきシミュレータにセットし、還元処理、めっき処理、ワイピングを実施した。この処理時には、鋼板表面に熱電対を取り付け、板温を測定、制御した。各処理の条件を以下に示す。
[酸化処理]
雰囲気:大気
加熱温度:700〜900℃
加熱保持時間:60秒
昇温速度:20℃/秒
冷却:N2ガスブロワー冷却
[還元処理]
雰囲気:N2−15%H2
加熱温度:850℃
加熱保持時間:120秒
昇温速度:20℃/秒
冷却:N2ガスブロワー冷却
[めっき処理]
浴中有効Al濃度:0.09〜0.13%
浴温:440〜480℃
侵入板温:385〜510℃
浸漬時間:4秒
浴内部鋼板揺動(上下):±10mm(1回/秒)
[ワイピング]
ガス:N2ガス
ガス圧:2.0kg/cm2
ガス流量:160リットル/分(常温)
ノズル−鋼板間距離:10mm
ワイピング時ガス温度:350℃
前記のようにして得られた溶融亜鉛めっき鋼板について、下記の方法で酸化皮膜の厚さを測定すると共に、ワイピングの良否、および不めっきの発生について評価した。
[酸化皮膜厚の測定]
酸化後鋼板の表面酸化皮膜を、インヒビター入り(ヘキサメチレンテトラミン)塩酸に溶解し、溶解後前後の質量差から酸化皮膜厚を求めた。この際、酸化皮膜の密度は5.29g/cm3として酸化皮膜厚を計算した。
[ワイピングの良否]
めっき、ワイピング後の材料のめっき付着量をインヒビター入り(ヘキサメチレンテトラミン)塩酸に溶解し、溶解後前後の質量差からめっき付着量を求め、めっき付着量が60g/m2以下であったものを、ワイピングが良(○:通常ワイピング)とし、めっき付着量が60g/m2を超えたものを、ワイピングが不良(×:合金化ムラの原因のあるワイピング阻害発生)として評価した。
[不めっきの評価]
不めっきの良否は、めっき材の表面を目視観察し、不めっきの発生面積率が2%以下の場合を不めっき発生せず(評価:○)、不めっきの発生面積率が2%を超える場合を不めっき発生(評価:×)とした。
これらの結果を、めっき条件(めっき浴温度B、めっき浴侵入板温C、浴中有効Al濃度D)およびこれらから求められる前記(1)の右辺の値[−75×B−30×C+7000×D+48700]と共に、下記表2、3に示す。尚、鋼板No.1,16,17,22,23,24については、めっき後に赤外加熱炉で合金化温度:480℃、保持時間30秒の条件で合金化処理し、その表面性状を目視観察によって合金化ムラの発生状況を評価したところ、いずれも合金化ムラが発生していないことが確認できた。
この結果から、明らかなように、本発明で規定する要件を満足するもの(表2に示した鋼板No.1〜27)では、不めっき、合金化ムラ、めっき付着量異常を安定して防止できていることが分かる。これに対して、本発明で規定する要件を満足しないもの(表3に示した鋼板No.28〜48)では、不めっき、合金化ムラ、めっき付着量異常が安定して防止できていないことが分かる。

Claims (1)

  1. 合金化溶融亜鉛めっき層を素地鋼板の表面に形成した高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を酸化還元めっき法で製造する方法であって、前記素地鋼板は、Si:0.8〜2.5%(「質量%」の意味、以下同じ)、Mn:1.5〜2.5%を夫々含有するものであり、酸化時に素地鋼板表面に生成するFe系酸化皮膜厚さA(Å)、めっき浴温度B(℃)、めっき浴侵入板温C(℃)、浴中有効Al濃度D(質量%)が、下記(1)式および(2)式の関係を満足するように操業し、その後合金化熱処理を行なうことを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
    A≦−75×B−30×C+7000×D+48700 …(1)
    A≧3000 …(2)
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