JP2010188842A - 車両の歩行者保護アブソーバ及び車体前部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃を全体に分散させて高い衝撃吸収性能及び耐衝撃性を確保することができる車両の歩行者保護アブソーバを提供すること。
【解決手段】樹脂にて一体成形された部材である車両の歩行者保護アブソーバ7を、少なくとも前端が開口して車両前後方向に延びる複数のビード10を車幅方向に並設するとともに、上下面の各ビード10の内部に車両前後方向に延びる縦リブ11と横方向に延びる複数の横リブ12を配設し、互いにX字状にクロスするXリブ8を前端縁に沿って配設するとともに、該Xリブ8の車両後方に横方向に延びるリブ9を形成して構成する。
【選択図】図5

Description

本発明は、樹脂で一体成形された車両の歩行者保護アブソーバ及びこれを含む車体前部構造に関するものである。
車両前部のバンパフェイシャの下部後方には、車両が歩行者に接触衝突した際の衝撃を吸収して歩行者を保護するための歩行者保護アブソーバが設けられるが、この歩行者保護アブソーバは、樹脂にて一体成形されており、従来はリブのみ又はビードのみで構成されていた。
歩行者保護アブソーバにおいて、車両前後方向に延びる縦リブによって衝撃を車体横方向のメンバに伝達する構成を採用する場合、伝達する距離が長いと縦リブだけでは衝撃が車体横方向のメンバに伝わらないため、縦リブに割れや亀裂が発生してしまい、大きな衝撃荷重に耐えることができない。このため、斯かる歩行者保護アブソーバは、バンパフェイシャとクロスメンバとの距離が短い車両には適用することができない。
他方、歩行者保護アブソーバを車両前後方向に延びるビードのみで構成した場合、該歩行者保護アブソーバに自重による車幅方向の撓みが発生し、衝撃が加わった場合にはビードが横方向に開いて衝撃が効果的に伝わらないため、斯かる歩行者保護アブソーバは、車幅方向の寸法が小さい車両にしか適用することができない。
ところで、特許文献1には、縦リブと横リブを備えた歩行者保護アブソーバ(プレート部材)の後端をシュラウドロアの前面部に取り付け、前端をバンパフェイシャの裏面に隣接する位置まで延ばし、縦リブの中間部分に、前後方向の荷重に対する脆弱部(ノッチや開口孔)を形成する構成が提案されている。
特開2008−265399号公報
しかしながら、特許文献1において提案された構成では、歩行者保護アブソーバ(プレート部材)は衝撃が加わった部分の衝撃吸収性能は高いが、その衝撃を全体に分散させることができないため、衝撃吸収性能及び耐衝撃性が低いという問題がある。又、歩行者保護アブソーバ(プレート部材)の前端はフリーであるため、バンパフェイシャの振動を抑えることができないという問題もある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、衝撃を全体に分散させて高い衝撃吸収性能及び耐衝撃性を確保することができるとともに、バンパフェイシャの振動を低く抑えることができる車両の歩行者保護アブソーバ及び車体前部構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、樹脂にて一体成形された部材である車両の歩行者保護アブソーバを、少なくとも前端が閉口して車両前後方向に延びる複数のビードを車幅方向に並設するとともに、上下面の各ビードの内部に車両前後方向に延びる縦リブと横方向に延びる複数の横リブを配設し、互いにX字状にクロスするXリブを前端縁に沿って配設するとともに、該Xリブの車両後方に横方向に延びるリブを形成して構成したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記Xリブと前記縦リブとを繋げない形状としたことを特徴とする。
請求項3記載の車両の車体前部構造は、請求項1又は2記載の歩行者保護アブソーバによってバンパフェイシャとその後方に横架された車体のクロスメンバとを連結することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、車両前後方向に延びる複数のビードを車幅方向に並設するとともに、歩行者保護アブソーバの上下面の各ビードの内部に車両前後方向に延びる縦リブと横方向に延びる複数の横リブを配設するとともに、各ビードの少なくとも前端を閉口させたため、ビードの横方向の拡大又は縮小が横リブによって抑えられ、前端からの衝撃を各ビードの前端閉口部で受けることによって該ビードの左右の側壁と平面部に衝撃力を分散させることができる。この結果、衝撃を歩行者保護アブソーバの全体に分散させて該歩行者保護アブソーバに高い衝撃吸収性能と耐衝撃性を確保することができる。
又、歩行者保護アブソーバに前方から加わる衝撃はその前端縁に沿って配設されたXリブとその後方に形成された車幅方向のリブによって幅方向に拡散されるため、当該歩行者保護アブソーバの衝撃吸収性能と耐衝撃性が更に高められる。
請求項2記載の発明によれば、歩行者保護アブソーバの前端縁に沿って配設されたXリブと縦リブとを繋げない形状としたため、前方からの衝撃が主にビードに伝達されて吸収される。
請求項3記載の発明によれば、歩行者保護アブソーバによってバンパフェイシャとその後方に横架された車体のクロスメンバとを連結したため、バンパフェイシャの振動が低く抑えられるとともに、前方から過大な衝撃が加わった場合に歩行者保護アブソーバに割れ等が発生して該歩行者保護アブソーバの衝撃吸収性が高められる。
本発明に係る車体前部構造を示す車両前部の斜視図である。 本発明に係る車体前部構造を備えた車両前部を斜め後方から見た斜視図である。 本発明に係る歩行者保護アブソーバの平面図である。 図3のA−A線断面図である。 図3のB部拡大詳細図である。 (a)は本発明に係る歩行者保護アブソーバのパンパフェイシャへの取付構造を示す部分側断面図、(b)同歩行者保護アブソーバのクロスメンバへの取付構造を示す部分側断面図である。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る車体前部構造を示す車両前部の斜視図、図2は同車両前部を斜め後方から見た斜視図であり、車両1の最前端には樹脂製のバンパフェイシャ2が車幅方向全幅に亘って設けられており、その車両後方には車幅方向に横架された横断面矩形のバンパメンバ3が配設されている。そして、バンパフェイシャ2とバンパメンバ3との間には、エネルギ吸収部材である不図示のアッパアブソーバが設けられている。
又、バンパフェイシャ2の上端縁には不図示のエンジンフードの前端縁が位置しており、バンパフェイシャ2の下端部は車両後方へと略直角に折り曲げられており、この折り曲げられた部分はロアカバー部2Aを構成している。そして、車両1の前部下端のバンパフェイシャ2とその後方に横架された横断面矩形状のクロスメンバ6との間には、本発明に係る歩行者保護アブソーバ(ロアアブソーバ)7が略水平に配設されている。この歩行者保護アブソーバ7は、その前部がバンパフェイシャ2のロアカバー部2Aの上に重なるよう配置されており、後述のように、その前部はバンパフェイシャ2のロアカバー部2Aに取り付けられ、後部は前記クロスメンバ6に取り付けられている。
次に、本発明に係る歩行者保護アブソーバ7の詳細を図2〜図6に基づいて説明する。
図3は本発明に係る歩行者保護アブソーバの平面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB部拡大詳細図、図6(a)は本発明に係る歩行者保護アブソーバのパンパフェイシャへの取付構造を示す部分側断面図、図6(b)同歩行者保護アブソーバのクロスメンバへの取付構造を示す部分側断面図である。
本発明に係る歩行者保護アブソーバ7は、樹脂にて一体成形された部材であって、図3及び図4に示すように、前記バンパフェイシャ2の平断面形状に沿って略円弧状に形成されている。そして、この歩行者保護アブソーバ7の前端部には、互いにX字状にクロスするXリブ8(図5参照)が前端縁に沿って所定幅で配設されており、その車両後方には横方向に延びるリブ9が形成されている。
又、歩行者保護アブソーバ7の上記リブ9よりも車両後方の部位には、図3〜図6に示すように、車両前後方向に延びる複数のビード10が車幅方向に並設されている。ここで、各ビード10は、図4に示すように、台形の横断面形状の上下を逆転させながら車幅方向に繋げて構成され、その左右の側壁10aは斜面とされ、前後端は車両前方及び車両後方に向かってそれぞれ閉口している。
そして、歩行者保護アブソーバ7の上下面の各ビード10の内部には、車両前後方向に延びる縦リブ11と横方向に延びる複数の横リブ12(図4及び図5参照)が配設されており、これらの縦リブ11と横リブ12は複数の格子状枠を形成している。そして、図5に示すように、その格子状枠には、水抜きや軽量化のための円孔13がそれぞれ形成されている。
ところで、本実施の形態に係る歩行者保護アブソーバ7においては、図5のE部に示すように、前記Xリブ8と前記縦リブ11とは互いに繋がらないような形状とされている。
而して、以上のように構成された歩行者保護アブソーバ7は、図6(a)に示すように、その前端部がこれと前記バンパフェイシャ2のロアカバー部2Aに下方から挿通するボルト14によってバンパフェイシャ2のロアカバー部2Aに取り付けられている。ここで、バンパフェイシャ2のロアカバー部2Aのボルト14が挿通する部位には凹部2aが形成されており、この凹部2a内にボルト14の頭部が隠れて外部に突出しないよう配慮されている。又、図6(a)のF部に示すように、歩行者保護アブソーバ7の前端部はバンパフェイシャ2の裏側に沿って立ち上げられており、その上方にバンパフェイシャ2の凹凸部2bが位置している。このように構成することによって、衝突時に歩行者保護アブソーバ7に衝撃が加わって該歩行者保護アブソーバ7が変形しても、その前端部がバンパフェイシャ2の凹凸部2bに当接して該凹凸部2bよりも上方に逃げることがない。
又、歩行者保護アブソーバ7の後端平面部7aは、図6(b)に示すように、前記クロスメンバ6の下面に下側から当てられ、両者に下方から挿通するボルト15をクロスメンバ6の内部に溶着された溶接ナット16に締め付けることによってクロスメンバ6に取り付けられている。
以上において、本発明に係る歩行者保護アブソーバ7によれば、車両前後方向に延びる複数のビード10を車幅方向に並設するとともに、歩行者保護アブソーバ7の上下面の各ビード10の内部に車両前後方向に延びる縦リブ11と横方向に延びる複数の横リブ12を配設するとともに、各ビード10の前後端を閉口させたため、ビード10の横方向の拡大又は縮小が横リブ12によって抑えられ、前端からの衝撃を各ビード10の前端閉口部で受けることによって該ビード10の左右の側壁10aと平面部10bに衝撃力を分散させることができる。この結果、衝撃を歩行者保護アブソーバ7の全体に分散させて該歩行者保護アブソーバ7に高い衝撃吸収性能及び耐衝撃性を確保することができる。そして、本実施の形態では、歩行者保護アブソーバ7の各ビード10の左右の側壁10aを斜面としたため、該歩行者保護アブソーバ7の軽量化と横方向の耐衝撃性を高めることができる。
又、本発明に係る歩行者保護アブソーバ7によれば、該歩行者保護アブソーバ7に前方から加わる衝撃はその前端縁に沿って配設されたXリブ8とその後方に形成された車幅方向のリブ9によって幅方向に拡散されるため、当該歩行者保護アブソーバ7の衝撃吸収性能と耐衝撃性が更に高められる。そして、本実施の形態では、前述のように歩行者保護アブソーバ7の前端縁に沿って配設されたXリブ8と縦リブ11とを繋げない形状としたため(図5のE部参照)、前方からの衝撃が主にビード10に伝達されて吸収されるという効果が得られる。
更に、本発明に係る車体前部構造によれば、歩行者保護アブソーバ7によってバンパフェイシャ2とその後方に横架された車体のクロスメンバ6とを連結したため、バンパフェイシャ2の振動が低く抑えられるとともに、前方から過大な衝撃が加わった場合に歩行者保護アブソーバ7に割れ等が発生して該歩行者保護アブソーバ7の衝撃吸収性が高められるという効果が得られる。
1 車両
2 バンパフェイシャ
2A バンパフェイシャのロアカバー部
2a バンパフェイシャの凹部
2b バンパフェイシャの凹凸部
3 バンパメンバ
6 クロスメンバ
7 歩行者保護アブソーバ
7a 歩行者保護アブソーバの後端平面部
8 Xリブ
9 リブ
10 ビード
10a ビードの側壁
10b ビードの平面部
11 縦リブ
12 横リブ
13 円孔
14,15 ボルト
16 溶接ナット
17 ボルト

Claims (3)

  1. 樹脂にて一体成形された部材であって、少なくとも前端が閉口して車両前後方向に延びる複数のビードを車幅方向に並設するとともに、上下面の各ビードの内部に車両前後方向に延びる縦リブと横方向に延びる複数の横リブを配設し、互いにX字状にクロスするXリブを前端縁に沿って配設するとともに、該Xリブの車両後方に横方向に延びるリブを形成したことを特徴とする車両の歩行者保護アブソーバ。
  2. 前記Xリブと前記縦リブとを繋げない形状としたことを特徴とする請求項1記載の車両の歩行者保護アブソーバ。
  3. 請求項1又は2記載の歩行者保護アブソーバによってバンパフェイシャとその後方に横架された車体のクロスメンバとを連結したことを特徴とする車両の車体前部構造。
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