JP2010187550A - 米粉配合角型食パンの製造方法 - Google Patents

米粉配合角型食パンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、高い製パン性および優れた品質を有する米粉配合角型食パンの製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明により、1〜50質量%の米粉と50〜99質量%の小麦粉を含んでなる原料穀粉を用いて中種法により角型食パンを製造する方法であって、中種の作成工程において、米粉と小麦粉の合計量に対して5ppm〜19.5ppmの量の臭素酸カリウムを水溶液として添加し、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加するとともに、バイタルグルテンを添加して中種を作成し、食パン生地の作成工程において、作成した中種に米粉の全量を添加し、混捏して食パン生地を作成し、食パン生地の焼成工程において、この食パン生地を焼成型に入れ蓋をして焼成し、焼成後の角型食パンに含まれる臭素酸が0.5ppb未満である、上記米粉配合角型食パンの製造方法が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、米粉を配合した角型食パンの製造方法に関する。特に本発明は、製パン性に優れ、優れた品質の米粉配合角型食パンを製造する方法に関する。
従来、剰余米の有効活用の一例として、パン生地を構成する小麦粉の全部または一部を、わが国古来の伝統的な主食である米を粉末状に加工した米粉に置き換えて、パンを製造することが一部で行われていた。そして近年の国際的な小麦価格の高騰を背景として、わが国の食料自給率の向上にも資するとして、パン生地を構成する小麦粉の全部または一部を米粉に置き換えたパンの製造が広く行われるようになってきた。
しかし、このようにパン生地を構成する小麦粉を米粉に置き換えてパンを製造する場合、米粉の使用量が多くなればなるほど、製パン性が劣り、良好な品質のパンを製造することが困難であった。具体的には、小麦粉に代えて米粉を配合すると、伸展性・弾力性のあるパン生地に混ね上げることが難しくなり、混捏したパン生地は粘着性が強く、力が弱いため、米粉を配合したパン生地は製パン工程において取り扱いにくく、機械適性や機械耐性に劣る。また、焼成後の米粉配合パンは、オーブンスプリングが小さく、クラムの内相はその気泡が目詰まりし、クラストはその焼き色が光沢のある明るい黄金色には焼き上がらず、くすんだ色になる。さらに、焼成後の米粉配合パンの食感は、パサついており、しっとりした保湿性のある柔らかさに欠ける。そして、保存性の点でも、米粉配合パンは、日持ちがせずに老化が早い。
この理由は十分に解明されていないが、これまで以下のような推測がなされている。第1は、米粉は、イースト醗酵を促進するマルトース価が小麦粉より著しく低いため、米粉を配合するとイースト醗酵が阻害されるというものである。第2は、米粉は、小麦粉に比べて吸水性が大きいため、製パン性やパンの品質が劣るというものである。第3は、米粉のタンパク質は、小麦タンパク質と比較して、グルテンを発達させる性質に欠けるため、パン生地にとって必須のグルテンネットワーク構造が十分に形成されないというものである。第4は、米粉の粒子は角張っているため、未発達のグルテンの発達を阻害し、また形成されたグルテンネットワーク構造を損傷するというものである。
そして、米粉配合パンに関する上記課題を解決するため、これまでに多くの努力が重ねられている。米粉配合パンに関する先行技術を大きく類型化すると、以下の通りである。
第1の類型は、バイタルグルテンを混合した米粉をパン生地に使用する方法、または、米粉と一緒にバイタルグルテンをパン生地に添加する方法である(特許文献1〜16参照)。
第2の類型は、特定の処理を施した米を用いる方法であり、醗酵処理、酵素処理、浸透処理、物理的加工処理および化学的加工処理などの処理を米自体に施してから製粉した米粉を使用する方法である(特許文献17〜22参照)。
第3の類型は、予め米粉を水分の存在下において加熱処理することにより糊化して使用する方法である(特許文献23〜28参照)。
第4の類型は、パン生地の仕込み水として特殊な水を使用する方法である(イオン化カルシウム水:特許文献29、海洋深層水:特許文献30、電解生成水:特許文献31)。
第5の類型は、パン生地に特殊な素材・添加物を添加する方法である(増粘多糖類:特許文献32〜34、茶成分:特許文献35、フィブロイン:特許文献36、トレハロース等の難醗酵性糖類:特許文献37〜40、チップ状油脂:特許文献41、製パン改良材含有油脂:特許文献42、食物繊維:特許文献43・44)。
しかし、これらの従来技術は、有効性、採用容易性、素材の入手容易性、副次的弊害の有無等の観点からみて一長一短があり、米粉配合パンに関する上記課題を解決する新たな方法が求められていた。
他方、製パン用改良剤として臭素酸カリウムを使用するパンの製造方法が知られている(特許文献45〜47等参照)。臭素酸カリウムは、1910年代にアメリカで製パン用改良剤として推奨されて以来、広く世界で用いられているが、わが国の使用基準では、「臭素酸カリウムの使用はパンに限定され、その使用量は、小麦粉1kgにつき臭素酸として0.03g(小麦粉に対して30ppm)以下でなければならず、且つ最終製品の完成前に分解または除去しなければならない」とされており、焼成後の製品に臭素酸が残存してはならない。ここで、わが国における使用基準の「最終製品の完成前に分解または除去しなければならない」とは、最終製品であるパンに臭素酸が残存してはならないことを意味し、具体的には、その時々において最も精密な測定方法により測定したときに臭素酸が検出されないこと、すなわち検出限界値未満の測定値であることを意味する。
パン中に臭素酸を残存させないための方法として、従来、パン生地の発酵時間や焼成時間を十分にとり臭素酸の化学反応を完全なものにする方法、臭素酸カリウムの添加量を低減する方法、あるいはこれらを組み合わせた方法が行われてきた。さらに、アスコルビン酸を添加することにより、臭素酸のパン中の残存量を減少させる方法がすでに開発されている(例えば特許文献45)。
その後、焼成後のパン中の臭素酸の検出限界値が3ppbという極めて精密なHPLC法(高速液体クロマトグラフィー測定法)によって測定しても臭素酸が検出されないようにする技術、すなわち焼成後のパン中の臭素酸の残存量が3ppb未満となる技術がすでに開発されている(特許文献46)。
さらにその後、臭素酸の検出限界値が0.5ppbとさらに精密なHPLC法が本出願人らにより開発された(非特許文献1〜3参照)。そこで本出願人らはさらに研究開発を進め、ついに、角型食パンにおいて焼成後のパン中に臭素酸を残存させない方法、すなわち、臭素酸の検出限界値が0.5ppbである上記改良HPLC法により測定しても残存臭素酸が検出されない角型食パンの製造方法を開発することに成功し、当該角型食パンの製造方法について特許権を取得した(特許文献47等参照)。
特開平5−15298号公報 特開平5−68468号公報 特開2001−327242号公報 特開2003−158990号公報 特開2003−169593号公報 特開2003−274845号公報 特開2003−304801号公報 特開2003−325097号公報 国際公開WO2003−63596 特開2004−8007号公報 特開2004−208561号公報 特開2004−222548号公報 特開2004−267157号公報 特開2004−65250号公報 特開2004−267194号公報 特開2005−253457号公報 特開平4−63555号公報 特開平5−68468号公報 特開2000−175636号公報 特開2004−16126号公報 特開2004−267144号公報 国際公開WO2004−47561号公報 特開平7−236408号公報 特開2001−17070号公報 特開2003−235439号公報 特開2003−304801号公報 特開2004−267144号公報 特開2006−136257号公報 特開2001−327242号公報 特開2003−158990号公報 特開2005−73543号公報 特開平10−113115号公報 特開2004−135608号公報 特開2005−245409号公報 特開2000−236803号公報 特開2001−69925号公報 特開2003−274845号公報 国際公開WO2003−63596 国際公開WO2004−47561 特開2004−65250号公報 特開2003−325097号公報 特開2004−8007号公報 特開2004−290160号公報 特開2005−13110号公報 特開平8−116857号公報 特許第3131898号公報 特許第3893120号公報 「食品衛生学雑誌」第43巻第4号(平成14年8月、社団法人日本食品衛生学会)第221頁〜第224頁 平成15年3月4日付厚生労働省医薬局食品保健部基準課長通知(食基発第0304001号)「食品中の臭素酸カリウム分析法について」 平成15年3月12日付厚生労働省食品保健部基準課事務連絡『「食品中の臭素酸カリウム分析法について」に係る正誤について』
上述したように、パンの原料として米粉を使用すると、製パン性が低下し、得られるパンの品質も劣るという技術課題が存在する。本発明の課題は、原料穀粉の一部に米粉を使用する食パンの製造方法であって、製パン性が良好で、品質に優れた食パンを製造することができる方法を提供することである。
上記課題を解決するため鋭意研究した結果、本発明者は、食パンの製造方法として中種法を採用し、中種作成時には原料穀粉として米粉を使用せず小麦粉を用い、パン生地作成時に米粉と、小麦粉の残量があるときにはそれを用いることにより、優れた製パン性が得られ、また、優れた品質の食パンを製造できることを見出した。さらに、本発明者らは、中種作成工程においてバイタルグルテンを添加すること、および、中種作成工程において臭素酸カリウム水溶液とアスコルビン酸を添加することによって、優れた製パン性および高品質な米粉配合食パンが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、1〜50質量%の米粉と50〜99質量%の小麦粉を含んでなる原料穀粉を用いて中種法により角型食パンを製造する方法であって、中種の作成工程において、小麦粉の全部または一部に、米粉と小麦粉の合計量に対して5ppm〜19.5ppmの量の臭素酸カリウムを水溶液として添加し、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加するとともに、バイタルグルテンを添加して中種を作成し、食パン生地の作成工程において、作成した中種に米粉の全量と、小麦粉の残量があるときにはそれを添加し混捏して食パン生地を作成し、食パン生地の焼成工程において、この食パン生地を焼成型に入れ蓋をして焼成し、焼成後の角型食パンに含まれる臭素酸が0.5ppb未満である、上記米粉配合角型食パンの製造方法である。
本発明においては、中種作成工程では米粉を用いず、パン生地作成工程(本捏工程)において米粉を使用する。また、本発明においては、中種作成工程において小麦粉の全部または一部を用い、パン生地作成工程において小麦粉の残量があるときにはそれを使用する。
また、本発明は、原料穀粉として米粉を1〜50質量%使用するが、本発明の1つの態様において、5〜40質量%の米粉と60〜95質量%の小麦粉を含んでなる原料穀粉を用いることができる。
さらに、1つの態様において、本発明の中種作成工程で添加するバイタルグルテンの添加量は、米粉に対して3〜30質量%であるようにすることができる。
そして、本発明においては、中種作成工程で使用するアスコルビン酸を、臭素酸カリウム水溶液とは別に、粉末として添加することができる。また、本発明の中種工程で使用するアスコルビン酸として、油脂または油脂とモノグリセライド脂肪酸エステルの混合物によって全部または一部が被覆されているアスコルビン酸を用いることができる。さらに、本発明の中種作成工程において、混捏後、26℃〜29℃の温度で3時間〜6時間、中種を醗酵させることができる。さらにまた、本発明で用いる小麦粉として強力粉を使用することができる。
本発明にしたがって米粉と小麦粉を用いて中種法により角型食パンを製造すると、品質に優れた米粉配合角型食パンが得られ、製パン性も良好である。
すなわち、本発明によれば、伸展性・弾力性のあるパン生地に混ね上げることができ、混捏したパン生地は粘着性がなく、力が強く、取り扱い容易性や機械適性・機械耐性に優れるため、製パン性が良好である。また、本発明によって焼成した米粉配合角型食パンは、オーブンスプリングが大きく、クラムの内相はその気泡が均一に細かく膨らんで形成され、クラストはその焼き色が光沢のある明るい黄金色に焼き上がる。また、本発明によって焼成した米粉配合角型食パンは、その食感にパサつきがなく、しっとりした保湿性のある柔らかさを有する。さらに、本発明によって焼成した米粉配合角型食パンは、日持ちが向上して老化が遅い。
本発明によって優れた品質の米粉配合角型食パンや良好な製パン性が得られる理由の詳細は明らかでないが、その理由としては、本発明によってグルテンを発達させ弾力性・柔軟性を有するグルテンネットワーク構造の形成が可能になるため、グルテンを発達させる性質がないという米粉の欠点が補われるとともに、米粉粒子に対するグルテンネットワークの抵抗力が備わり損傷を受けにくくなるからであると推測される。
さらに、本発明によれば確実に焼成後の角型食パン中に臭素酸を残存させないこと、すなわち、臭素酸の検出限界値が0.5ppbであるHPLC法によって測定しても臭素酸が検出されないことが可能となる。
1つの態様において本発明は、1〜50質量%の米粉と50〜99質量%の小麦粉を含んでなる原料穀粉を用いて中種法により角型食パンを製造する方法であって、中種の作成工程において、小麦粉の全部または一部に、米粉と小麦粉の合計量に対して5ppm〜19.5ppmの量の臭素酸カリウムを水溶液として添加し、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加するとともに、バイタルグルテンを添加して中種を作成し、食パン生地の作成工程において、作成した中種に米粉の全量と、小麦粉の残量があるときにはそれを添加し混捏して食パン生地を作成し、食パン生地の焼成工程において、この食パン生地を焼成型に入れ蓋をして焼成し、焼成後の角型食パンに含まれる臭素酸が0.5ppb未満である、上記米粉配合角型食パンの製造方法である。
本発明は、米粉を配合した角型食パンの製造方法であり、本発明によれば、優れた品質の米粉配合角型食パンを製造することが可能である。具体的には、本発明では、1〜50質量%の米粉と50〜99質量%の小麦粉を含んでなる原料穀粉を用いる。すなわち、本発明は、小麦粉と同量以下の範囲で米粉を使用する。米粉の使用量が小麦粉の使用量を超えると、米粉配合パンに関する上述した課題を十分に解決することが困難となり、品質の良好なパンを製造することが難しくなる。そして、この弊害は、特に機械的大量生産において著しい。
本発明において、小麦粉と米粉の使用量は、小麦粉と米粉の合計質量を基準として表示するものである。例えば、1〜50質量%の米粉と50〜99質量%の小麦粉と記載した場合、米粉と小麦粉の合計質量を基準として、1〜50質量%の米粉および50〜99質量%の小麦粉を使用するという意味である。
また、本発明において、米粉と小麦粉を含んでなる原料穀粉とは、明細書の他の記載から明らかなように、本発明で中種法により食パン生地を作成するにあたり、当該食パン生地を構成する原料穀粉として少なくとも米粉と小麦粉を使用するという程の意味である。したがって、本発明の米粉と小麦粉を含んでなる原料穀粉は、米粉と小麦粉を予め混合したプレミックスとしての原料穀粉に限定されるわけではない。但し、本発明では、中種法による食パン生地の作成(本捏)工程において、このようなプレミックスとしての原料穀粉を使用することを排除するものではない。
本発明における米粉の使用量は、1〜50質量%であるが、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、15〜25質量%がより一層好ましい。一方、本発明における小麦粉の使用量は、50〜99質量%であるが、60〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましく、75〜85質量%がより一層好ましい。米粉の使用量が上記範囲内であると、米粉入りパンに特徴的なもちもちした柔らかい食感、米の旨味・甘味および炊飯米の風味を実現しながら、米粉を使用する角型食パンの製造過程における製パン性を改善し、品質の良好な当該角型食パンを製造するとともに、焼成後の当該角型食パン中に臭素酸を残存させないようにすることができる。
また、本発明は、中種法(スポンジアンドドウプロセス法)により角型食パンを製造する方法である。米粉を使用する食パンは、米粉の使用量が多くなればなるほど、パン本来の芳ばしい醗酵風味が乏しくなってくるが、中種法で製造することにより、米粉を使用する食パンにも芳ばしい醗酵風味を付与することができるようになる。一方、中種法以外の製パン法、例えば、直捏法(ストレート法)、短時間醗酵法(ショートタイムプロセス法)、無醗酵法(ノータイム法)による場合、製パン性やパンの品質が低下する。具体的には、直捏法(ストレート法)では、特に機械的大量生産において、米粉を使用する角型食パンの製パン性および品質を維持することが困難になり、また臭素酸カリウムの添加量が原料穀粉の米粉と小麦粉の合計量に対して15ppmを超えた際に、焼成後の角型食パン中に臭素酸を確実に残存させないようにすることも困難となる。さらに、短時間醗酵法(ショートタイムプロセス法)や無醗酵法(ノータイム法)では、米粉の使用量如何を問わず、角型食パンにパン本来の芳ばしい醗酵風味を付与することが著しく困難になり、また臭素酸カリウムの添加量が米粉と小麦粉の合計量に対して15ppm以下であっても、焼成後の角型食パン中に確実に臭素酸を残存させない(0.5ppb未満である)ことが著しく困難である。
一般に、中種法とは、まず、小麦粉の全部または一部から中種を作成し、次いで、中種に残りの小麦粉や他の材料を添加して混捏(本捏)して食パン生地を作成する方法である。より具体的には、中種法による食パン生地の作成では、例えば、少なくとも食パン生地を構成する小麦粉の全部または一部と、イーストおよび水とを使用し、これに必要に応じてさらにイーストフード、酸化剤、酵素剤等々の生地改良剤、乳化剤、塩、糖類、その他の原料素材や添加剤のうち一種または二種以上を添加し、混捏して、これを一定条件で醗酵させて、中種を作成する。次に、この醗酵後の中種に、少なくとも残りの小麦粉、塩および水を添加し、必要に応じてさらに糖類、油脂類、脱脂粉乳、その他の原料素材や添加剤のうち一種または二種以上を添加して混捏(本捏)してパン生地を作成し、この本捏生地を一定条件で醗酵(フロアータイム)させるというパン生地の製造方法である。
本発明では、中種の作成において、原料穀粉として小麦粉の全部または一部を使用し米粉は使用せず、パン生地作成工程(本捏工程)において、米粉と、小麦粉の残量があるときにはそれを使用する。このように、米粉を使用せずに小麦粉から中種を作成することによって、優れた品質の米粉配合角型食パンを製造することが可能になる。その理由は定かではないが、米粉を使用せずに小麦粉から中種を作成することによって、中種の醗酵を促進してグルテンを発達させ、十分に強固なグルテンネットワークを形成させることが可能になり、また、後の本捏工程によって米粉が添加されても、グルテンネットワークが破壊されにくくなるためだと考えられる。
本発明では原料穀粉として小麦粉を使用するが、使用する小麦粉の種類、産地、品種などは特に制限されず、例えば、外国産小麦を用いてもよく、また、国内産小麦を用いてもよい。本発明においては、原料穀粉の小麦粉として強力粉を使用することが望ましい。小麦粉として強力粉を用いると、後述するバイタルグルテンの添加と相まって、角型食パン生地を構成する小麦粉のうち一部の量を米粉に置き換えることから生じる弊害を最小限に抑えるとともに、強靱なグルテンを確実に発達させることができるためである。本発明における強力粉とは、タンパク含量が11.5〜13重量%である小麦粉をいう。
また、本発明では原料穀粉として米粉を使用するが、使用する米粉の原料米の種類、産地、品種などは特に制限されず、通常の米粉を使用することができる。したがって、例えば、上新粉、上用粉、白玉粉、もち粉、落雁粉、寒梅粉、乳児粉、その他の米粉を使用することができ、また、原料米の種類も、もち米、うるち米、その他を使用することができる。本発明においては、微細粉化した米粉を使用することが望ましく、平均粒径が100ミクロン(μm)以下、好ましくは70ミクロン(μm)以下に微細粉化した米粉を使用すると製パン性が向上するため望ましい。米粉の平均粒径は、レーザー回折散乱法または細孔電気抵抗法により体積基準で測定することができる。
米粒の微細粉化の方法は、特に制限されず、一般的な方法を使用することができる。これに限らないが、例えば、特開平5−68468号公報に記載の方法により得られた米粉を好ましく使用することができ、この方法では、米粒を米粒の細胞膜を加水分解するヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンエステラサーゼ等の酵素を含有する水溶液(好ましくは酵素濃度0.005〜0.01%)に適宜時間、好ましくは6〜24時間、浸漬した後、脱水し、乾燥した後、ロールミル機、気流粉砕機等により微細粉化し、さらに熱風乾燥を施すか、または乾式加熱を施していて、好ましくはこれにより米澱粉の一部をデキストリンに加熱分解している。
なお、本発明では、米粉と小麦粉に加えて、それ以外の穀物粉や穀物粒を原料穀粉として、本発明の米粉配合角型食パンの特徴や製パン性を損なわない範囲で適宜量使用してもよい。この場合には、中種作成工程で、もしくはパン生地作成工程(本捏工程)で、またはこれらの両者の工程で添加することができるが、パン生地作成工程(本捏工程)で添加することが望ましい。本発明において各種穀物粉や穀物粒は、中種や食パン生地の作成段階でそれぞれ他の原料とは別々に添加してもよく、また、プレミックスのように予め他の原料の全部または一部と混合しておいて添加してもよい。
中種作成工程
本発明の米粉配合角型食パンの製造方法は、上述したように中種法によるものであり、中種作成工程を有する。具体的には、本発明の中種作成工程においては、小麦粉の全部または一部に、米粉と小麦粉の合計量を基準として5ppm〜19.5ppmの量の臭素酸カリウムを水溶液として添加し、米粉と小麦粉の合計量を基準として3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加するとともに、バイタルグルテンを添加して中種を作成する。
本発明においては、食パン全体の米粉と小麦粉の合計質量に対して、中種を作成するために添加する小麦粉の量は、50質量%〜80質量%が好ましく、60質量%〜80質量%がより好ましい。これよりも中種を構成する小麦粉の量が多い場合または少ない場合には、この中種を使用して混捏したパン生地は、中種法の特徴である醗酵安定性や機械耐性を欠くおそれがある。
本発明において中種原料を混合して混捏した後の醗酵条件は、特に制限されない。例えば、発酵温度は、26℃〜29℃が好ましく、27℃〜28℃がより好ましく、発酵時間は、十分な発酵が得られる時間であればよく、これに限定されないが、例えば3時間〜6時間が好ましく、4時間〜5時間がより好ましい。また、加糖中種法により、中種の混捏工程で、ブドウ糖、砂糖等の糖類を添加し、これにより中種の醗酵を促進させ、その熟成を早める場合、発酵時間を約2時間〜約2.5時間とすることができる。中種の発酵に関しては、中種の醗酵温度が低い場合や、発酵時間が短い場合には、中種の醗酵が未熟となり、この中種を使用して混捏したパン生地は、中種法の特徴である醗酵安定性や機械耐性を欠き、また焼成後のパンの品質にも影響するだけでなく、臭素酸カリウムとアスコルビン酸の化学反応が不十分となるおそれがある。これに対し、中種の醗酵温度が高い場合や、発酵時間が長い場合には、中種が過醗酵・過熟成となり、この中種を使用して混捏したパン生地は、同様に中種法の特徴を欠き、また焼成後のパンの品質にも影響する。
本発明の中種は、原料穀粉として米粉を使用せず、小麦粉を用いて作成する。このように、中種の作成工程において米粉を添加しないで中種を混捏して醗酵させることにより、十分な中種の醗酵を実現することができるようになる。なぜならば、中種のイースト醗酵には、中種中に十分な麦芽糖(マルトース)が存在していることが重要であるところ、米粉のマルトース価は小麦粉(製パン用強力粉)の約1/5〜1/10程度であるため、中種に米粉を添加することにより、中種の醗酵が阻害され、米粉を使用する角型食パンの製パン性および品質に影響するおそれがあるが、中種の作成工程において米粉を添加しなければ、これを回避することができるからである。さらに、小麦タンパク質に比べて、米粉のタンパク質が、パン生地にとって必須のグルテンネットワーク構造を形成することが可能なグルテンを発達させる性質を欠いているとしても、米粉を使用する角型食パンの中種の作成工程において米粉を添加しなければ、中種の醗酵が阻害されることによる製パン性および品質への影響を回避できる。
また、本発明の中種作成工程においてはバイタルグルテンが添加される。バイタルグルテンを添加して中種を混捏して醗酵させることにより、中種の醗酵過程において、添加したバイタルグルテンの水和の促進に伴いグルテンの発達が促され、強靭なグルテンネットワーク構造が形成され易くなる。そして、上述のように中種作成工程で米粉を添加しないことにより、このグルテンの発達およびグルテンネットワーク構造の形成効果が顕著になる。米粉の粒子は角張っているため、未発達のグルテンの発達を阻害し、またグルテンネットワーク構造の形成を阻害する。しかし、本発明のように、十分な中種醗酵の過程において、一旦十分に水和して発達して、ネットワーク構造を形成し得るような性質を備えたグルテンは、高い弾力性・柔軟性を有するために、米粉粒子に対する対抗力が備わることから、損傷を受けにくくなると推測される。かくして、本発明の中種作成工程においては、バイタルグルテンを添加して、しかし米粉は添加しないで、中種を混捏して醗酵させるようにする。
本発明で使用するバイタルグルテンは、活性グルテンとも言われ、多数の市場流通品が存在し、本発明でもこれらを使用できる。一般にバイタルグルテンはいわゆる小麦蛋白濃縮物であり、基本的には、小麦粉と水とを混捏し、グルテンが発達した粘弾性を有する生地を形成した後、生地中の澱粉等の可溶性成分を洗浄して除去し、小麦蛋白質の含有量を高めたものである。食品製造工業で一般的に使用されるバイタルグルテンは、小麦蛋白質が80〜95%まで濃縮されたものであり、粉末であることが多い。
本発明におけるバイタルグルテンの添加量は、特に限定されないが、米粉に対して3質量%〜30質量%の量で使用することが望ましい。これにより、米粉配合パンに特徴的な食感および香り・味を損なうことなく、米粉を使用することから生じる上記の弊害を最小限に抑えるとともに、強靱なグルテンを発達させることが確実に実現できる。ここで上記バイタルグルテンの添加量は、米粉に対して5質量%〜25質量%がより望ましく、10質量%〜20質量%がより一層望ましく、13質量%〜17質量%が最も望ましい。バイタルグルテンの使用量が少なすぎるときには、米粉を使用することから生じる上記の弊害を最小限に抑え、強靱なグルテンを発達させることが難しくなる。これに対し、バイタルグルテンの使用量が多すぎるときには、米粉入りパンに特徴的な食感および香り・味が損なわれるとともに、焼成後の食パンのクラストが硬くて噛み切り難くなり、クラムも引きと弾力が過剰に強くなり、口当たりも重く、口溶けも悪くなる。
さらに、本発明の米粉配合角型食パンの製造方法は、中種の作成工程において、米粉と小麦粉の合計量に対して5ppm〜19.5ppmの量の臭素酸カリウムを水溶液として添加し、さらに、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加する。
本発明の中種作成工程においては、臭素酸カリウムを水溶液として添加する。このように臭素酸カリウムを水溶液として添加することにより、パン生地の伸展性と柔軟性を著しく向上し、製パン性が改良されるとともに、焼成後の食パンの品質も優れたものとなる。
上述したように本発明ではバイタルグルテンを中種作成工程で添加するが、一般に、バイタルグルテンを添加したパン生地は、伸展性と柔軟性を欠いた硬いパン生地に形成され、酸化剤としてアスコルビン酸をさらに添加した場合には、いわゆるアスコルビン酸の速効性(パン生地の抗張力を早く発現させて持続させる性質)による抗張力も加わって、この傾向が顕著である。そのため、バイタルグルテンとアスコルビン酸を添加して混捏したパン生地は、特に機械的大量生産において、分割、圧延(ガス抜き)、カーリング、整形等の機械的加工の工程における製パン性が著しく低くなるだけでなく、機械的損傷を受け、焼成後の食パンの品質にも悪影響を与える。すなわち、焼成後の食パンはオーブンスプリングが小さく、そのクラストは焼き色が薄くボケて、艶・光沢に欠けるようになり、またそのクラムは内相が不均一で粗い気泡となってしまう。さらに、当該食パンを食すると、口中で凝集して団子状となり、引きの強い、口当たりの重い食感となってしまう。このように、アスコルビン酸を添加して生地を作成すると、上記アスコルビン酸の速効性により、従来の米粉配合パンに生じる課題がより一層生じることになる。
これに対し、本発明では、臭素酸カリウムを水溶液として添加することによって上記課題を克服している。つまり、臭素酸カリウム水溶液を添加することにより、著しく伸展性と柔軟性を有する弾力のあるパン生地が形成される。また、作成されたパン生地は、粘着性がなく、力が強く、取り扱い容易性や機械適性・耐性を有しているため、上記の機械的大量生産における製パン性が向上し、また分割、圧延(ガス抜き)、カーリング、整形等の機械的加工の工程でも、機械的損傷をそれほど受けることがなく、焼成後の食パンの品質に影響を与えることがない。したがって、焼成後の食パンは、オーブンスプリングが大きく、クラムの内相はその気泡が均一に細かく膨らんで形成され、クラストはその焼き色が光沢のある明るい黄金色に焼き上がる。また、焼成後のパンは、パサついた食感がなく、しっとりした保湿性のある柔らかさを有するようになる。さらに、本発明の角型食パンは比較的日持ちが向上して老化が遅い。
本発明の米粉配合角型食パンの製造方法は、中種の作成工程において、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加する。一般に臭素酸カリウムは、パン生地中で十分に作用させるための、添加量および醗酵、焼成のための温度および時間の適正範囲が非常に狭い。しかしながら、アスコルビン酸を添加することにより、この適正範囲を広げることができるので、パンの製造条件を緩和できる。また、臭素酸カリウムを添加した食パン、特に角型食パンは、腰折れを起こし易いが、アスコルビン酸の添加によってこの現象が抑制できる。
このように、臭素酸カリウムを水溶液として添加し、さらにアスコルビン酸を添加して中種を作成し、角型食パンを製造することによって、焼成後の角型食パン中の残存臭素酸が著しく低減するが、角型食パン中の臭素酸についてはその測定方法とともに後に詳述する。
パン生地作成工程(本捏工程)
本発明の米粉配合角型食パンの製造方法は、パン生地作成工程、すなわち本捏工程を有する。そして、本発明においては、食パン生地の作成工程において全量の米粉を添加する。
上述したように本発明は、中種の作成工程において、バイタルグルテンを添加して、ただし米粉は添加しないで中種を作成することにより、十分な中種の醗酵を実現し、中種中に弾力性・柔軟性を有するグルテンネットワーク構造の形成を可能とする強靱なグルテンを発達させることができるようになる。そのため、パン生地作成工程において米粉を添加しても、米粉の添加による弊害を極力抑制することができる。
本発明では、1質量%〜50質量%の量の米粉を使用するが、5質量%〜40質量%の量の米粉を使用することが望ましく、10質量%〜30質量%の量の米粉を使用することがより望ましく、15質量%〜25質量%の量の米粉を使用することがより一層望ましい。このような量の米粉を使用することにより、米粉入りパンに特徴的な食感および香り・味を実現しながら、角型食パン生地を構成する小麦粉のうち一部の量を米粉に置き換えることから生じる上記の弊害を最小限に抑えるとともに、強靱なグルテンを確実に発達させることができる。また、米粉の使用量を5質量%以上にすることにより、米粉配合パンに特徴的な食感および香り・味を確実に実現し易くなる。
焼成工程
本発明の米粉配合角型食パンの製造方法は、上記のように調製したパン生地を焼成する焼成工程を有する。本発明の焼成工程では、上記食パン生地を焼成型に入れ、蓋をして焼成することにより角型食パン(プルマンブレッド)を製造する。
本発明にしたがって焼成型に蓋をして焼成することにより、焼成後の角型食パンに残存する臭素酸を著しく低減することが可能になる。一方、角型食パン以外の種類のパン、例えば、山型食パン(オープントップブレッド)、菓子パン(包み物パンおよびロングロールパン)、テーブルロール、フランスパン、クロワッサン、デニッシュペストリー等の、焼成型に蓋をしないで焼成するパンや、展板に載置して焼成するパンでは、本発明のように焼成後のパン中に臭素酸を残存させない(0.5ppb未満である)ようにすることが難しい。
ここで角型食パンとは、これに限られないが、具体的には、例えば、正方形、長方形等の四角形の底面と、該底面の各々の4辺から垂直に立ち上がり、周囲四方を取り囲む側壁からなる直方体の焼成型にパン生地を入れ、ホイロ後、蓋を上面に被せて焼成して得られる、角型の食パンである。
食パン中の残存臭素酸
すでに述べたように、本発明においては、中種作成工程において臭素酸カリウムを水溶液として添加することにより、米粉配合角型食パンの製パン性および品質を向上させている。しかしながら、製パンにおける臭素酸カリウムの使用に関しては、「最終製品の完成前に分解または除去しなければならない」という極めて厳格な使用基準があるため、この基準をクリアできない製パン方法は現実に実施することができず、実用的な製造方法とはいえない。ここで、「最終製品の完成前に分解または除去しなければならない」とは、臭素酸カリウムが残存してはならないことを意味し、具体的には、臭素酸の検出限界値が0.5ppbである後述のHPLC法(公定法)によって測定しても、パンから臭素酸が検出されないことを意味する。
本発明の角型食パンの製造方法により得られた角型食パンは、臭素酸の検出限界値が0.5ppbであるHPLC法によって測定しても臭素酸が検出されない。つまり、本発明による米粉配合角型食パンに含まれる残存臭素酸は0.5ppb未満であり、本発明の製造方法は十分に実用レベルにある。すなわち、本発明では、臭素酸カリウムを水溶液として添加するとともに、アスコルビン酸を添加して中種を作成し、焼成時に蓋をして焼成することによって、残存臭素酸が著しく低減される。
本発明では中種作成工程において、米粉と小麦粉の合計量に対して5ppm〜19.5ppmの量の臭素酸カリウムを水溶液として添加し、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加する。
本発明の臭素酸カリウムは、水に溶解した水溶液として添加する。この臭素酸カリウム水溶液は、好ましくは、水と臭素酸カリウムとを単に攪拌するか、超音波を当てながら攪拌するか、その他の水溶液を作るための任意の方法を採用して作成することができる。
食パン生地に添加する臭素酸カリウム水溶液は、臭素酸カリウムが水に完全に溶解している必要があるが、水に完全に溶解していれば、その濃度は任意に選択することができる。臭素酸カリウムは水への溶解性が比較的低く、また温度によって水への溶解性が変わり、温度が低くなると溶解性が低下してくる。0℃の水では3%が最大溶解量である。食パン生地の作成時に添加する水の温度は、通常、0℃以上であり、3%以上の臭素酸カリウムを溶解することが可能であるが、食パン生地の製造工程中に、臭素酸カリウムが析出することを防止するため、臭素酸カリウム水溶液の濃度は3%以下であることが望ましく、2%以下であることがより一層望ましい。他方、臭素酸カリウム水溶液の濃度の下限値については、濃度が低ければ低いほど、臭素酸カリウムのパン生地中での溶解性、分散均一性および計量の正確さ、容易さが向上するという点で望ましいと言えるが、濃度が低すぎると、大量の水溶液を添加する必要が生じ、作業性、製パン適性等に影響するようになる。従って、臭素酸カリウム水溶液の濃度は0.1%以上が望ましく、1%以上がより一層望ましい。そして、この両者の要求を満たすように調節すればよい。
本発明において臭素酸カリウム水溶液は、米粉と小麦粉の合計量に対して、臭素酸カリウムの添加量として5ppm〜19.5ppmとなるように添加する。そして、臭素酸カリウムの添加量は、望ましくは8ppm〜19.5ppm、より望ましくは8ppm〜15ppmとなるように、より一層望ましくは11ppm〜13ppmとなるように添加することである。こうすることで、臭素酸カリウムの本来的な酸化作用を十分に発揮させることができるようになり、焼成後の食パンの風味および食感の向上、焼色等の外観の向上等の製パン改良効果を十分に実現させることができる。さらに、著しく少量のアスコルビン酸を添加するだけで、角型食パンにおいて、焼成後のパン中の臭素酸を残存させないようにすることができる。
臭素酸カリウムの添加量が例えば5ppm未満のように少な過ぎると、上記製パン改良効果が得られなくなるおそれがあり、これに対し、臭素酸カリウムの添加量が中種法で25ppmを超えるような多過ぎる量でも、やはり上記製パン改良効果を達成できないことがある。さらに、このように添加量が多過ぎる場合、中種醗酵の時間を長くして、および/またはアスコルビン酸の添加量も多くすることによって、焼成後の食パン、特に角型食パン中の臭素酸を残存させないようにする必要がある。しかしながら、そのように中種醗酵の時間を長くし、または多量のアスコルビン酸を使用すると、焼成後のパンの風味、味、および焼色が影響を受けることになり、さらに、アスコルビン酸の添加量を多くしても焼成後のパン中に臭素酸が依然として残存するおそれがある。
本発明では、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加するが、本発明のアスコルビン酸とはL−アスコルビン酸のことである。中種に添加されたアスコルビン酸は、パン生地との関係では、良好な改良剤として機能する一方、臭素酸カリウムとの関係では、還元剤若しくはこれに類するものとして働き、臭素酸カリウムの化学反応を完全なものにする。
本発明においてアスコルビン酸を添加することにより、米粉配合角型食パンにおいて、焼成後の食パン中の臭素酸をより一層残存させないようにするとともに、上述したように製パン性および焼成後のパンの品質をより一層向上させることができる。
本発明のアスコルビン酸としては、被覆等されていない裸の状態のアスコルビン酸、または油脂で被覆されたアスコルビン酸、または、油脂およびモノグリセライド脂肪酸エステル等の乳化剤の混合物で被覆されたアスコルビン酸のいずれを用いてもよい。
本発明におけるアスコルビン酸の添加量は、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmである。アスコルビン酸の添加量は、焼成後の食パン中に臭素酸を残存させないという観点からすれば、多いほうが望ましい。これに対し、パン生地中における臭素酸カリウムの酸化剤としての本来的な作用を発揮させて、製パン性や焼成後の食パンの品質を向上させるという観点からすると、少ないほうが望ましい。両方の要求を満足させるためには、アスコルビン酸の添加量は、3ppm〜20ppmであり、3ppm〜10ppmが望ましく、5ppm〜10ppmがより一層望ましい。
本発明においてアスコルビン酸は、上記臭素酸カリウム水溶液とは別に、粉末として添加することが望ましい。ここで、アスコルビン酸を水溶液として添加すると、臭素酸カリウムはパン生地に添加されて、パン生地中で酸化剤としての本来的な作用を発揮する前から、当該水溶液の段階で分解されてしまい、製パン性や焼成後の食パンの品質を改良する効果に影響するおそれがあるためである。
また、アスコルビン酸は、それ自体単独で添加してもよいが、イーストフード、酵素剤、乳化剤、その他の生地改良剤の1種または2種以上に混合、分散させて添加することでき、またそのような添加方法が好ましい。
また、本発明の米粉配合角型食パンの製造方法では、上記のように調製したパン生地を焼成型に入れ、蓋をして焼成することにより、パンに残存する臭素酸を著しく低減することができる。この理由の詳細は明らかでないが、蓋をしないでパン生地を焼成すると、生地表面の温度が急激に上昇するため、パンの表面近傍に臭素酸が残存しやすくなるところ、本発明のように蓋をして焼成することにより、焼成時の生地表面の急激な温度上昇が抑えられ、パンの表面近傍に臭素酸が残存することが抑制されるためだと考えられる。
食パン中の臭素酸の測定法
本発明によって焼成した米粉配合角型食パンは、焼成後の食パン中に臭素酸が残存しない。すなわち、上記したように、本発明によって焼成した米粉配合角型食パンは、臭素酸の検出限界値である0.5ppbであるHPLC法で測定したときに、臭素酸が検出されない。
ここで、上記HPLC法は、焼成後のパン中の臭素酸の検出限界値が0.5ppbという極めて精密な測定法である。この測定法の詳細は、「食品衛生学雑誌」(第43巻、第4号、平成14年8月、日本食品衛生学会発行)第221頁〜第224頁(非特許文献1)、平成15年3月4日付厚生労働省医薬局食品保健部基準課長通知(食基発第0304001号)および平成15年3月12日付厚生労働省食品保健部基準課事務連絡(非特許文献2・3)を参照されたい。当該食基発第0304001号通知により、上記HPLC法の検出限界値が0.5ppbであると認められ、パンの残存臭素酸を分析する公定法として上記分析法が厚生労働省に採用されている。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、本明細書において、部および%はそれぞれ質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
[実施例1]
以下の原料配合(表1、表2)と製造工程(表3)にしたがって、小麦粉80質量%と米粉20質量%とを含む原料穀粉から角型食パンを製造した。使用した米粉のレーザー回折散乱法による平均粒径は65ミクロン(μm)だった。
まず、中種作成工程において、表1に示す原料配合にしたがって小麦粉70質量%を用いて中種を作成した。続くパン生地作成工程において、この中種に、表2に示す原料配合にしたがって、小麦粉10質量%、米粉20質量%、その他の原料を添加して混捏し、パン生地を作成した。次いで、このように作成したパン生地を、焼成型に入れ蓋をして焼成し、角型食パンを製造した。
Figure 2010187550
Figure 2010187550
Figure 2010187550
このようにして製造した米粉配合角型食パンは、製パン性に優れ、また品質が良好なものであった。特に、本発明は製パン性に優れ、伸展性・弾力性のあるパン生地に混ね上げることができ、混捏したパン生地は粘着性がなく、力が強く、取り扱いが容易であり、良好な機械適性・機械耐性を有していた。また、焼成後のパンの外観については、オーブンスプリングが大きく、クラムの内相はその気泡が均一に細かく形成され、クラストはその焼き色が光沢のある明るい黄金色に焼き上がった。さらに、焼成後のパンは、パサついた食感がなく、適度なモチモチ感と甘みが良好であり、また、しっとりした保湿性のある柔らかさを有する、口溶けが良好なものであった。そして、本発明にしたがって製造した米粉配合角型食パンは、日持ちが向上して老化が遅かった。
また、上記測定法により焼成後の角型食パン中の臭素酸の残存量を測定したところ、臭素酸は検出されなかった(ND:Non-Detected、以下同様)。
[実施例2〜4]
上記実施例1と同様にして、小麦粉70質量%と米粉30質量%からなる原料穀粉、小麦粉60質量%と米粉40質量%とからなる原料穀粉、または小麦粉50質量%と米粉50質量%からなる原料穀粉(それぞれ実施例2、同3および同4とする)から角型食パンを製造した。具体的には、以下の表4に示すように原料配合を変更し、中種作成工程においてそれぞれ小麦粉(強力粉)を70、60、50質量%使用し、パン生地作成工程(本捏工程)において、それぞれ小麦粉を使用せず米粉を30、40、50質量%使用した。また、中種作成工程においてそれぞれバイタルグルテンを追加して、各実施例ともにバイタルグルテンを米粉に対して15質量%となるように調整した。また、中種作成工程においてバイタルグルテンを1質量%追加するごとに、水を1.5質量%追加する割合で、中種作成工程においてそれぞれ水を追加した。その他の製造条件は実施例1と同様である。
Figure 2010187550
このようにして製造した米粉配合角型食パンは、実施例2(小麦粉70質量%+米粉30質量%)では、混捏したパン生地は、実施例1よりも若干柔らかく、若干弱いが、なお伸展性・弾力性があり、良好な機械適性・耐性を有していた。また、焼成後の角型食パンの外観は、実施例1よりも少しオーブンスプリングが小さくなったが、なお十分なものであり、クラストの焼色も若干濃くなったが、なお光沢のある明るい黄金色であった。さらに、焼成後の食パンは、若干ねちゃつきが生じてきたがモチモチ感が強く、若干苦味が生じてきたがやや甘みがあり、パサつきがなくて柔らかかった。
実施例3(小麦粉60質量%+米粉40質量%)、実施例4(小麦粉50質量%+米粉50質量%)では、混捏したパン生地は、可塑性が強くなってきて伸展性・弾力性が小さくなってくる。また、焼成後の角型食パンの外観は、次第にオーブンスプリングが小さくなってきて、クラストの焼色の光沢・明るさも少なくなってくる。さらに、焼成後の食パンは、モチモチ感は強くなるが、次第にねちゃつきや苦味も強くなってきた。また、硬くなりやすくなってきた。
また、上記測定法により焼成後の角型食パン中の臭素酸の残存量を測定したところ、臭素酸は検出されなかった(ND)。
[実施例5、6]
上記実施例1と同様にして、小麦粉90質量%と米粉10質量%とからなる原料穀粉(実施例5)、小麦粉95質量%と米粉5質量%とからなる原料穀粉(実施例6)から角型食パンを製造した。
具体的には、表4に示すように原料配合を変更し、中種作成工程において小麦粉(強力粉)を70質量%使用し、パン生地作成工程(本捏工程)において、実施例5では、小麦粉20重量%と米粉10質量%を使用し、実施例6では、小麦粉25重量%と米粉5質量%を使用した。また、中種作成工程においてそれぞれバイタルグルテンを減少させて、各実施例ともにバイタルグルテンを米粉に対して15質量%となるように調整した。また、中種作成工程においてバイタルグルテンを1質量%減少させるごとに、水を1.5質量%減少させる割合で、中種作成工程においてそれぞれ水を減少させた。その他の製造条件は実施例1と同様である。
このようにして製造した米粉配合角型食パンは、実施例5(小麦粉90質量%+米粉10質量%)、実施例6(小麦粉95質量%+米粉5質量%)では、焼成後の食パンのモチモチ感および米粉を添加したことに由来する甘みが控えめになってくる。しかし、製パン性および焼成後の角型食パンのその他の品質については、実施例1と同等かそれ以上であった。
また、上記測定法により焼成後の角型食パン中の臭素酸の残存量を測定したところ、臭素酸は検出されなかった(ND)。

Claims (7)

  1. 1〜50質量%の米粉と50〜99質量%の小麦粉を含んでなる原料穀粉を用いて中種法により角型食パンを製造する方法であって、
    中種の作成工程において、小麦粉の全部または一部に、米粉と小麦粉の合計量に対して5ppm〜19.5ppmの量の臭素酸カリウムを水溶液として添加し、米粉と小麦粉の合計量に対して3ppm〜20ppmの量のアスコルビン酸を添加するとともに、バイタルグルテンを添加して中種を作成し、
    食パン生地の作成工程において、作成した中種に、米粉の全量と小麦粉の残量があるときにはそれを添加し、混捏して食パン生地を作成し、
    食パン生地の焼成工程において、この食パン生地を焼成型に入れ蓋をして焼成し、
    焼成後の角型食パンに含まれる臭素酸が0.5ppb未満である、上記米粉配合角型食パンの製造方法。
  2. 前記原料穀粉が、5〜40質量%の米粉と60〜95質量%の小麦粉を含んでなる、請求項1に記載の米粉配合角型食パンの製造方法。
  3. 前記バイタルグルテンの添加量が、前記米粉に対して3〜30質量%である、請求項1または2に記載の米粉配合角型食パンの製造方法。
  4. 前記アスコルビン酸を、前記臭素酸カリウム水溶液とは別に、粉末として添加する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の米粉配合角型食パンの製造方法。
  5. 前記アスコルビン酸として、油脂または油脂とモノグリセライド脂肪酸エステルの混合物によって全部または一部が被覆されているアスコルビン酸を使用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の米粉配合角型食パンの製造方法。
  6. 前記中種作成工程において、混捏後、26℃〜29℃の温度で3時間〜6時間、中種を醗酵させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の米粉配合角型食パンの製造方法。
  7. 前記小麦粉として強力粉を使用する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の米粉配合角型食パンの製造方法。
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