JP2010187358A - ヘリカルアンテナ、およびこれを用いた車載アンテナ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヘリカルアンテナ10は、一周一波長相当の第一螺旋部11、および第一螺旋部11の径方向外側に位置しており一周二波長相当の第二螺旋部12を備えている。この第一螺旋部11から放射されるアンテナビームと第二螺旋部12から放射されるアンテナビームとは、位相および最大利得方向に差が生じる。これにより、第一螺旋部11および第二螺旋部12へ供給する高周波電力の位相および強度を変化させることにより、各アンテナビームから形成される主ビームの指向性が制御される。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、大型化を招くことなく限られた搭載範囲で指向性が任意に制御されるヘリカルアンテナおよびこれを用いた車載アンテナを提供することにある。
請求項3記載の発明では、一周1波長相当の第一螺旋部と、一周2波長相当の第二螺旋部とを備えている。これにより、第一螺旋部および第二螺旋部へ供給する高周波の電力の位相および強度を変化させることにより、指向性が変化する。このように一周2波長相当の第二螺旋部の内側に一周1波長相当の第一螺旋部を配置することにより、アレー化した従来のヘリカルアンテナに比較して小型化が図られる。したがって、大型化を招くことなく限られた搭載範囲で指向性を任意に制御することができる。
請求項5記載の発明では、第二螺旋部の高さと巻数との関係が設定されている。すなわち、第二螺旋部の高さは、第二螺旋部による指向性の標準偏差が0.6以下の円に近い形状となるように巻数が設定されている。これにより、例えば第二螺旋部の単体による指向性が最大となるθ=30°において、φ方向の全方向において指向性が均一に近似して安定化する。したがって、第二螺旋部の高さに応じて巻数を設定することにより、φ方向で制御される指向性の利得を安定して高めることができる。
(ヘリカルアンテナ)
図1に示すように、本発明の一実施形態によるヘリカルアンテナ10は、第一螺旋部11、第二螺旋部12、地板13および給電回路14を備えている。地板13は、例えば金属などの導電体により板状に形成されている。第一螺旋部11は、地板13に対して略垂直方向へ螺旋状に巻き上げられている。第一螺旋部11は、一周がn波長相当で巻き上げられている。一方、第二螺旋部12は、第一螺旋部11と同様に地板13に対して略垂直方向へ螺旋状に巻き上げられている。第二螺旋部12は、第一螺旋部11の径方向外側を包囲しており、一周がm波長相当で巻き上げられている。第二螺旋部12は第一螺旋部11の径方向外側を包囲しているため、第一螺旋部11のn波長と第二螺旋部12のm波長との関係はm>nとなる。本実施形態の場合、第一螺旋部11は一周一波長相当に設定され、第二螺旋部12は一周二波長相当に設定されている。また、第一螺旋部11と第二螺旋部12とは、ほぼ同心円状に配置されている。図1において、地板13の縦方向および横方向をそれぞれx方向およびy方向とし、地板13の厚さ方向をz方向としている。そして、z軸を中心とする回転方向をφ(Phi)方向とし、y軸を中心とする回転方向θ(Theta)方向とする。
また、本発明の一実施形態によるヘリカルアンテナ10は、分配器22がウィルキンソン分配器である。したがって、簡単な構造で第一螺旋部11および第二螺旋部12へ供給する高周波の電力の位相および強度を制御することができる。
次に、上述のヘリカルアンテナを搭載した車載アンテナについて説明する。
図7は、統合車載アンテナ50を示す概略図である。統合車載アンテナ50は、図1に示す一実施形態によるヘリカルアンテナ10をETCアンテナ51として備えている。統合車載アンテナ50は、ヘリカルアンテナ10を適用したETCアンテナ51、ケーシング52およびGPS/VICSアンテナ53を備えている。ケーシング52は、ETCアンテナ51およびGPS/VICSアンテナ53を収容している。なお、ケーシング52に収容されたETCアンテナ51およびGPS/VICSアンテナ53を覆うカバーは図示を省略している。GPS/VICSアンテナ53は、平面アンテナであり、GPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信するとともに、VICS(Vehicle Information and Communication System)ビーコンから発信される電波を受信する。
次に、第二螺旋部12の高さと巻数との関係について詳細に説明する。
上述の一実施形態のヘリカルアンテナ10においてφ方向に指向性を制御する場合、全方向へ均一な利得を維持するためには、第二螺旋部12単体による指向性が最大となるθ=30°にあるとき、φ方向で全方位性すなわちφ方向へ均一である必要がある。この第二螺旋部12のφ方向における利得の特性は、第二螺旋部12の高さと巻数とに相関する。
さらに、図8(D)に示すように第二螺旋部12の高さが0.4λの場合、巻数が1、巻数が3、巻数が4および巻数が5のとき、いずれもφ方向における利得は、円から遠いいびつな指向性となる。これに対し、巻数が2のとき、第二螺旋部12の利得は、φ方向の全方向において比較的均一な円に近い指向性となる。
上記のように第二螺旋部12の高さを設定する場合、第二螺旋部12の高さhは、0.1λ≦h≦0.4λに設定される。これは、高さhがh<0.1λの場合、螺旋状に巻き上げた線材が互いに重なり合い、アンテナとして機能しないからである。また、高さhが0.4λ<hの場合、巻き上げられた線材の高さが過大となり、実用性が低いからである。
上述の一実施形態では、一周一波長相当の第一螺旋部11と一周二波長相当の第二螺旋部12とを同心円状に配置する例について説明した。しかし、第一螺旋部11の中心と第二螺旋部12の中心とをずらしてもよい。このように第一螺旋部11および第二螺旋部12の中心をずらす、すなわち偏心して配置することにより、主ビームの指向性が変化する。そのため、供給する高周波の電力の位相および強度に加え、第一螺旋部11の中心と第二螺旋部12の中心との位置関係も調整することにより、主ビームの指向性をより精密に制御することができる。以下、具体的な例に基づいて説明する。
上記のように第一螺旋部11と第二螺旋部12との間の偏心量sを設定する場合、偏心量sは、0.04λ≦s≦0.12λに設定される。偏心量sをs<0.04λと設定するのは上述の理由によるものである。これに対し、偏心量sがs<0.12λの場合、第一螺旋部11と、この外側に設けられている第二螺旋部12とが互いに接触してしまうからである。
第一螺旋部11を一周一波長相当、第二螺旋部12を一周二波長相当にするだけでなく、第一螺旋部11および第二螺旋部12をそれぞれ一周あたり任意の波長相当としてもよい。但し、第二螺旋部12は、第一螺旋部11の径方向外側を包囲するため、第一螺旋部11を一周n波長相当、第二螺旋部12を一周m波長相当としたとき、m>nとなる。このように、供給する高周波の電力の位相および強度に加え、第一螺旋部11および第二螺旋部12をそれぞれ一周当たり任意の整数倍の波長相当とすることにより、主ビームの指向性をより精密に制御することができる。
さらに、第二螺旋部12の径方向外側には、第三螺旋部、第四螺旋部、・・・、第N螺旋部(N≧3)として単数または複数の螺旋部を配置してもよい。このように、供給する高周波の電力の位相および強度に加え、第二螺旋部12の径方向外側に単数または複数の螺旋部を配置することにより、指向性をより精密に制御することができる。
Claims (7)
- 板状の地板と、
前記地板に対して略垂直方向へ一周n波長相当で螺旋状に巻き上げられている第一螺旋部と、
前記第一螺旋部の径方向外側に前記第一螺旋部を包囲して前記地板に対して略垂直方向へ一周m(m>n)波長相当で螺旋状に巻き上げられている第二螺旋部と、
発振器、前記発振器に接続する分配器、前記分配器の出力側に接続し前記第一螺旋部の給電点に接続する第一位相器、および前記分配器の出力側に接続し前記第二螺旋部の給電点に接続する第二位相器を有する給電回路と、
を備えることを特徴とするヘリカルアンテナ。 - 前記分配器は、ウィルキンソン分配器であることを特徴とする請求項1記載のヘリカルアンテナ。
- 前記第一螺旋部は一周一波長(n=1)相当であり、前記第二螺旋部は一周二波長(m=2)相当であることを特徴とする請求項1または2記載のヘリカルアンテナ。
- 前記第二螺旋部の径方向外側に前記地板に対して略垂直方向へ螺旋状に巻き上げられている単数または複数の第N螺旋部(N≧3)をさらに備えることを特徴とする請求項1、2または3記載のヘリカルアンテナ。
- 前記第二螺旋部の高さは、前記第二螺旋部による指向性の標準偏差が0.6以下の円に近い形状となるように巻数が設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のヘリカルアンテナ。
- 前記第一螺旋部と前記第二螺旋部とは、発信する高周波の波長をλとしたとき、中心が0.04λ以上離れて偏心していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のヘリカルアンテナ。
- 請求項1から6のいずれか一項記載の前記ヘリカルアンテナを備えることを特徴とする車載アンテナ。
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