JP2010186951A - 太陽電池及び太陽電池の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】厚さ3〜150μmの単結晶シリコンより作製された太陽電池セルの裏面に不透明の石英もしくはガラスで作製された反射板を配置することを特徴とする太陽電池。
【効果】本発明によれば、効率のよい太陽電池を安価に作製し得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池及び太陽電池の作製方法に関するものである。
近年、地球温暖化の問題や再生可能エネルギーの開発という観点から太陽電池の需要が急速に伸びている。太陽電池の半導体として主に用いられるのは電子デバイス同様シリコンである。しかし、太陽電池市場の急速な伸びに伴い、シリコンの供給は需要に追いつかない現象が発生している。このような背景もあり、最近は従来の太陽電池の主役であった結晶系の太陽電池に加えて、シリコン厚が数μmですむアモルファスシリコンで構成された太陽電池も出現している。しかし、この場合はシリコンの絶対量が節約できるものの、効率が低いことに加えて経年劣化の問題も指摘されている。
材料として最適なのは、キャリアの再結合・効率等の問題点から単結晶であるが、多結晶と異なり、結晶の引き上げに時間がかかるために、太陽電池全体に占めるマテリアルコストが非常に高いものとなる。しかし、マテリアルコストを引き下げるために単結晶シリコンの厚さを薄くすると、照射される太陽光の一部がシリコンを透過してしまい、結果的に効率が悪くなるという問題点があった。
このような問題点を解決するために、従来から様々な方法が考案されている。代表的なものは非特許文献1(Zeng et.al.,Applied Physics Letters “Efficiency enhancement in Si solar cells by textured photonic crystal back reflector” 89 111111(2006))等であり、これは薄い単結晶シリコン太陽電池の裏面に複雑な反射層を設け、反射される光が乱反射されることで結果的に光路長が伸び、吸収される光が増えることで効率が上がるというものである。しかし、この複雑な反射構造を作り込むことで、リソグラフィー・エッチング等の追加の工程が必要となり、結果的にコストの削減にはつながらないと思われる。
従来の研究として、裏面反射板となるアルミナで作製される反射板を用意し、その上にバッファー層を介して非結晶シリコンをCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相堆積法)法で堆積するという方法も提案されているが(非特許文献2:R.Shimokawa,H.Takato,H.Ave,M.Yamanaka T.Takahashi and T.Hidaka,3rd World Conference on Photovoltaic Energy Conversion,2003/12m,p.1245)、この方法ではアルミナ(Al23)からのアルミ等の不純物拡散が懸念されるということと、形成されるシリコンが非単結晶シリコンということで、単結晶バルクシリコン並みの性能が発揮されないことや、長期に亘る屋外での使用には懸念が残る。
Zeng et.al.,Applied Physics Letters "Efficiency enhancement in Si solar cells by textured photonic crystal back reflector" 89 111111(2006) R.Shimokawa,H.Takato,H.Ave,M.Yamanaka T.Takahashi and T.Hidaka,3rd World Conference on Photovoltaic Energy Conversion,2003/12m,p.1245 信越石英(株)カタログ「半導体・液晶製造プロセス用石英ガラス」
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、低コストで効率のよい太陽電池及びその作製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達したもので、本発明は下記の太陽電池及び太陽電池の作製方法を提供する。
請求項1:
厚さ3〜150μmの単結晶シリコンより作製された太陽電池セルの裏面に不透明の石英もしくはガラスで作製された反射板を配置することを特徴とする太陽電池。
請求項2:
前記反射板として、200〜1200nmの波長域で80%以上の反射率を有する不透明の石英もしくはガラスで構成される反射板を用いることを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
請求項3:
単結晶シリコンに対して反射板をシリコーン樹脂によって貼り合せることにより配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池。
請求項4:
厚さ3〜150μmの単結晶シリコンより作製された太陽電池セルの裏面に不透明の石英もしくはガラスで作製された反射板を配置することを特徴とする太陽電池の作製方法。
請求項5:
前記反射板として、200〜1200nmの波長域で80%以上の反射率を有する不透明の石英もしくはガラスで構成される反射板を用いることを特徴とする請求項4記載の太陽電池の作製方法。
請求項6:
不透明の石英もしくはガラス反射板がモールド成型法又はスラリーコーティング法で形成されることを特徴とする請求項4又は5記載の太陽電池の作製方法。
請求項7:
単結晶シリコンに対して反射板をシリコーン樹脂によって貼り合せることにより配置したことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項記載の太陽電池の作製方法。
本発明によれば、効率のよい太陽電池を安価に作製し得る。
(A)は薄い太陽電池セルの裏面に反射板を配置しない場合、(B)は金属反射板を配置した場合、(C)は本発明に従って不透明の石英反射板を配置した場合の光路を示した概略図である。 実施例1、比較例1におけるシリコン膜厚に応じた太陽電池セルの発電効率を示したグラフである。 実施例2、比較例2におけるシリコン膜厚に応じた太陽電池セルの発電効率を示したグラフである。 比較例3におけるシリコン膜厚に応じた太陽電池セルの発電効率を示したグラフである。
本発明に係る太陽電池は、単結晶シリコンにより形成されるもので、その形態としてはPN接合が形成された単結晶シリコン基板の表裏面にそれぞれ電極を形成した公知の構成のものを用いることができる。
この場合、本発明においては、上記単結晶シリコンの厚さを3〜150μm、好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜50μmとする。このような薄い単結晶シリコンは必然的にインゴットから作り込まれるが、極端に薄いものだとハンドリングが困難となるので、3μm以上程度のものを用いる。また、あまり厚いもの(150μm超)だと裏面へ反射層を設けるメリットが無くなるために3〜150μm厚程度が有効である。薄いウェーハの作製方法は特に限定されるものではないが、例として、ワイヤーソーなどで切り出す方法や、イオン注入により切り出す方法、又はプラズマ、電子ビームで切り出す方法でも良い。
本発明は、このような厚さ3〜150μmの単結晶シリコンより作製された太陽電池セルの裏面に不透明の石英もしくはガラスからなる反射板を配置する。この不透明の石英もしくはガラスとしては、200〜1200nmの波長域で80%以上、特に90%以上の反射率を有するものが好適に用いられる。かかる不透明の石英もしくはガラスは内部に微細な気泡を含有することで、広い波長域で高い反射率を有することに加え、石英製のため、不純物が少ないという利点を有する。また石英自体は光を吸収しないため、光損失が発生しないという利点を有する(非特許文献3:信越石英(株)カタログ「半導体・液晶製造プロセス用石英ガラス」)。この不透明石英は一般に市販されているものであり、入手も容易である。作製方法は、モールド成型法やスラリーコーティング法で簡便に作製することが採用できる。なお、市販品としては、信越石英(株)製の不透明石英板OM−100、ヘラウス(Heraeus)社製の不透明石英板HRC等を用いることができる。
上記反射板の厚さは特に制限されないが、0.5〜10mmとすることが好ましく、より好ましくは1〜5mmである。
この不透明石英が高い反射率を有する理由であるが、内部に様々なサイズの空孔を含有することで、フォトニック結晶構造が形成される。完全な構造ではないが、石英それ自体が吸収体ではないので、反射される部位まで光が浸透しても損失は無いものと考えられる。即ち、図1(A)に示したように、厚さ3〜150μm程度の薄いシリコンを用いた太陽電池セル1では、入射光(太陽光)の大部分がセル1を透過して透過光となる。また、図1(B)に示したように太陽電池セルの裏面に単に金属反射板2を配置した場合、入射光は金属反射板2にて反射されるが、その反射光はセル1を透過してしまい、セル1に対する吸収量は少ない。これに対し、図1(C)に示したように、入射光は上記不透明の石英反射板3にて乱反射されるため、乱反射光はセル1内において光路長が増大するため、より効率的にセル1に吸収されるものである。
ここで、上記反射板の配置は、太陽電池セルの裏面に反射板を接着させることによる方法を採用できる。接着剤としては、特に制限されるものではないが、光透過性、耐久性、耐候性の点から透明のシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。この場合、かかる樹脂としては付加反応硬化型のシリコーン系樹脂組成物の硬化物を使用し得、市販品の樹脂組成物としては、例えば信越化学工業(株)製のフォトデバイス用透明封止樹脂SCR−1011(A/B)、SCR−1012(A/B)、SCR−1016(A/B)、KER−2500(A/B)、KER−2600(A/B)等を使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1、比較例1]
3μm,10μm,30μm,50μm,100μm,150μm,200μm厚の単結晶シリコンウェーハを用意し、常法に従ってPN接合を形成し、表面に電極を形成することにより、太陽電池セルを作り込んだ。これらのセルの発電効率と、裏面に信越石英(株)製の不透明石英板OM−100反射板を貼り付けた場合の効率の比較を行った。この場合、反射板の貼り付けにはシリコーン樹脂として信越化学工業(株)製のフォトデバイス用透明封止樹脂KER−2500(A/B)を用いた。3μm未満の厚さのウェーハはハンドリング中に破損し、取り扱いが困難と判断し、評価を断念した。結果を図2に示す。結果として、厚さ200μm以外のサンプルでは発電効率の向上が確認された。200μmのサンプルでは効果は殆ど観察されなかった。これは200μmでは太陽光の殆どが効率よく吸収されているためと考えられる。
[実施例2、比較例2]
3μm,10μm,30μm,50μm,100μm,150μm,200μm厚の単結晶シリコンウェーハを用意し、常法に従ってPN接合を形成し、表面に電極を形成することにより、太陽電池セルを作り込んだ。これらのセルの発電効率と、裏面にHeraeus社製の不透明石英板HRC反射板を貼り付けた場合の効率の比較を行った。この場合、反射板の貼り付けには上記と同じKER−2500(A/B)を用いた。3μm未満の厚さのウェーハはハンドリング中に破損し、取り扱いが困難と判断し、評価を断念した。結果を図3に示す。結果として、実施例1同様、厚さ200μm以外のサンプルでは発電効率の向上が確認された。200μmのサンプルでは効果は殆ど観察されなかった。これは200μmでは太陽光の殆どが効率よく吸収されているためと考えられる。
[比較例3]
3μm,10μm,30μm,50μm,100μm,150μm,200μm厚の単結晶シリコンウェーハを用意し、常法に従ってPN接合を形成し、表面に電極を形成することにより、太陽電池セルを作り込んだ。これらのセルの発電効率と、裏面にアルミニウムでできた反射板を貼り付けた場合の効率の比較を行った。なお、反射板の貼り付けには上記と同じKER−2500(A/B)を用いた。3μm未満の厚さのウェーハはハンドリング中に破損し、取り扱いが困難と判断し、評価を断念した。結果を図4に示す。結果として、実施例1同様、厚さ200μm以外のサンプルでは発電効率の向上が確認されたが、実施例1,2と比較し、大きな効果は確認されなかった。反射光は乱反射されることが必須と考えられる。
1 太陽電池セル
2 金属反射板
3 不透明の石英反射板

Claims (7)

  1. 厚さ3〜150μmの単結晶シリコンより作製された太陽電池セルの裏面に不透明の石英もしくはガラスで作製された反射板を配置することを特徴とする太陽電池。
  2. 前記反射板として、200〜1200nmの波長域で80%以上の反射率を有する不透明の石英もしくはガラスで構成される反射板を用いることを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  3. 単結晶シリコンに対して反射板をシリコーン樹脂によって貼り合せることにより配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池。
  4. 厚さ3〜150μmの単結晶シリコンより作製された太陽電池セルの裏面に不透明の石英もしくはガラスで作製された反射板を配置することを特徴とする太陽電池の作製方法。
  5. 前記反射板として、200〜1200nmの波長域で80%以上の反射率を有する不透明の石英もしくはガラスで構成される反射板を用いることを特徴とする請求項4記載の太陽電池の作製方法。
  6. 不透明の石英もしくはガラス反射板がモールド成型法又はスラリーコーティング法で形成されることを特徴とする請求項4又は5記載の太陽電池の作製方法。
  7. 単結晶シリコンに対して反射板をシリコーン樹脂によって貼り合せることにより配置したことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項記載の太陽電池の作製方法。
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