JP2010184664A - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】トレッド部に配置したラグ溝の溝底に発生するクラックの、ベルトへの進展を抑制することができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ラグ溝9の溝底11にクラックが生じた場合、タイヤ1が回転して路面に対する接地及び離脱を繰り返す度にベルト4がトレッド幅方向に収縮及び復元するというベルト4の変形挙動がラグ溝底11に伝わることによって、この溝底クラックはベルト4に向かって次第に進展するが、トレッドゴム5とベルト4との間で、少なくともラグ溝9の溝底11と対応する位置に、トレッドゴム5よりも変形しやすい軟ゴム層12を配置することによって、この軟ゴム層12がベルト4変形量の、ラグ溝底11への伝達量を低減させ、溝底クラックの進展を抑制できる。
【選択図】図1
【解決手段】ラグ溝9の溝底11にクラックが生じた場合、タイヤ1が回転して路面に対する接地及び離脱を繰り返す度にベルト4がトレッド幅方向に収縮及び復元するというベルト4の変形挙動がラグ溝底11に伝わることによって、この溝底クラックはベルト4に向かって次第に進展するが、トレッドゴム5とベルト4との間で、少なくともラグ溝9の溝底11と対応する位置に、トレッドゴム5よりも変形しやすい軟ゴム層12を配置することによって、この軟ゴム層12がベルト4変形量の、ラグ溝底11への伝達量を低減させ、溝底クラックの進展を抑制できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、トレッド踏面にいわゆるラグ溝を有するとともに、トレッド部に補強部材としての、複数のベルト層よりなるベルトを有する重荷重用空気入りタイヤ、なかでも、建設車両等の重荷重車両に用いて好適な空気入りタイヤに関するものであり、特に、ラグ溝の溝底に発生するクラックの、ベルトへの進展を抑制する技術を提案するものである。
従来の建設車両用の重荷重用空気入りラジアルタイヤでは、タイヤ赤道面に対するコード角度が小さい、層間でコードが相互に交差する複数層の低角度ベルト層のタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対するコード角度が相対的に大きい少なくとも一層の高角度ベルト層を配置し、この高角度ベルト層の、さらにタイヤ半径方向外側に、ほぼタイヤ周方向に延びる伸張性スチールコード、例えばハイエロンゲーションスチールコードからなる一層以上の保護ベルト層を配置したベルト構造を採用することが一般的である。
このようなベルト構成によれば、高角度ベルト層により、ベルトの面に沿った、ベルト幅方向の伸縮変形に対する剛性を確保し、低角度ベルト層により、トレッド周方向の張力を支持して、いわゆる「たが効果」をもって、トレッドの径成長を抑制して、走行時にクラウン形状が変化するのを防ぎ、そして、保護ベルト層により、それらのベルト層を、路面からの突起入力による破断や損傷等から保護することができる。
ところで、石や岩等が散在する非舗装路面で使用されることが多い、この種の重荷重用空気入りラジアルタイヤでは、悪路走行でのトラクション性能等の確保を目的として、トレッド踏面に多数本のラグ溝を配置してなるラグパターンが広く一般に採用されている。
しかるに、悪路を走行することの多いこのようなラグパターンタイヤでは、ラグ溝に石や岩等の路面突起物が挟まり、その路面突起物がラグ溝の溝底にクラックを生じさせる場合があり、このようにして発生した溝底クラックは、タイヤが回転して路面に対する接地及び離脱を繰り返す度にベルトがトレッド幅方向に収縮及び復元するというベルトの変形挙動がラグ溝底に伝わることによって、ベルトに向かって次第に進展し、そのクラックがベルトに到達するとベルトに損傷を与え、甚だしくは、タイヤバーストを引き起こすおそれがある。
この溝底クラックの進展を抑制するためには、ベルトの変形抑止機能に優れる、高角度ベルト層の幅を広げるという方法が考えられるが、この方法によれば、高角度ベルト層の幅方向端の剪断歪が過大となり、その高角度ベルト層の端縁に亀裂が発生しやすくなるという他の問題があった。
そこで、タイヤの転動に伴う溝底クラックの進行を抑制することを目的として、特許文献1には、溝の壁面付近に耐亀裂成長性に優れたゴム層を配置する空気入りタイヤが提案されており、このタイヤでは、溝底に発生したクラックの、タイヤ半径方向内側に向かう進行をそのゴム層により防ぐことができるとしている。
また、特許文献2には、溝底クラックの発生それ自体を防ぐことを目的として、ラグ溝の、タイヤ赤道面寄りの先端部の溝深さを、ラグ溝の中央部の溝深さより浅くする表面形状を有するプラットフォームをラグ溝内に形成することで、駆動トルクが集中するトレッド中央部を強化して、トルクの作用に起因する溝底クラックの発生を防止した重荷重用空気入りラジアルタイヤが提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載された空気入りタイヤでは、タイヤの製造上、耐亀裂成長性に優れたゴム層を、ラグ溝の壁面付近の所定位置に、所期した通りに正確に配設することが困難であるという問題があり、また、特許文献2に記載された重荷重用空気入りラジアルタイヤでは、石や岩等の路面突起物の刺さり込みに起因するクラックの発生を防止することができず、ラグ溝底に一旦クラックが発生すると、その溝底クラックの、ベルトに向かう進行を抑制することができないという問題があった。
本発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、ベルト層端縁への早期の亀裂の発生なしに、また、タイヤの製造上の困難を伴うことなしに、トレッドの溝底に発生することのあるクラックが、タイヤの負荷転動によってベルト層に向かって進展するのを有効に抑制できる重荷重用空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、対をなすビードコア間にトロイダルに延びるカーカスと、カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した複数のベルト層からなるベルトと、ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したトレッドゴムとを具え、トレッドゴムの表面に複数本のラグ溝を設けてなる重荷重用空気入りタイヤであって、トレッドゴムとベルトとの間で、少なくともラグ溝の溝底と対応する位置に、トレッドゴムよりも変形しやすい軟ゴム層を配置することを特徴とするものである。
ここで、「ラグ溝」とは、トレッド踏面上に、トレッド端からタイヤ赤道線に向かって延在させた溝であって、溝の、トレッド周方向の延在成分に比してトレッド幅方向の延在成分が大きいものをいう。このラグ溝は、タイヤ赤道線を越えて延びるを可とするも、タイヤ赤道線まで達していることは必須ではない。また、このラグ溝は、一箇所以上の箇所で折れ曲がって、若しくは湾曲して延在することもある。そして、「少なくともラグ溝の溝底と対応する位置」とは、軟ゴム層が必ずしもラグ溝底の全長にわたって配置されることは必要ではなく、例えば、ラグ溝に部分的な深浅がある場合は、軟ゴム層が、少なくとも溝深さの深い範囲で、溝底と対応する部分に配置されていることを意味する。
また、この出願の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤにおいて、軟ゴム層を、タイヤ赤道面からタイヤ幅方向外側にトレッド半幅の25%から100%の範囲にわたって配置してなるものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤにおいて、ラグ溝の溝底からベルトの外周面までの厚み(L)に対する、その溝底と対応する位置での軟ゴム層の内周面からベルトの外周面までの厚み(k)の比(k/L)を、0.3以上かつ0.4以下としてなるものである。
ここで、「ベルトの外周面」における「ベルト」には、複数層のベルト層のうち、最もタイヤ半径方向外面に位置するベルト層を覆うゴム被覆層も含まれる。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤにおいて、ラグ溝の溝底からベルトの外周面までの厚み(L)に対する、その溝底と対応する位置での軟ゴム層の厚み(t)の比(t/L)を、0.2以上かつ0.4以下としてなるものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤにおいて、軟ゴム層を少なくともラグ溝底の直下にラグ溝に沿って配置し、ラグ溝の開口幅(d)に対する軟ゴム層の幅(w)の比(w/d)を1以上としてなるものである。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤにおいて、トレッドゴムの100%モジュラスを2.2〜3.3MPaとし、軟ゴム層の100%モジュラスを1.5〜2.2MPaとしてなるものである。
請求項1に係る発明によれば、タイヤが負荷転動して路面に対する接地及び離脱を繰り返すに当り、ベルトの、幅方向の収縮及び復元という変形挙動の多くの部分を、トレッドゴムとベルトとの間に介装した軟ゴム層に吸収させて、ベルト変形量の、ラグ溝底への伝達量を低減させることで、石や岩等の突起物により受けた溝底クラックの、タイヤの半径方向内側への進展を有効に抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、溝底クラックの発生頻度の高い範囲の、ラグ溝の溝底と対応する位置にのみ、軟ゴム層を配設することで、軟ゴム層に使用するゴムの量を節約でき、タイヤ重量の増加抑制効果と併せて、溝底クラックの進展を効果的に防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、軟ゴム層のラグ溝底への露出を防止するとともに、発熱し易い軟ゴム層からベルトへの熱伝導を有効に防止して、ベルトの熱劣化のうれいを取り除く。
すなわち、k/Lが0.3未満の場合には、ベルトの熱劣化を招き易いためであり、一方、k/Lが0.4を越える場合には、軟ゴム層が溝底の表面に露出することがあり、走行中に岩や石等の突起物によって、軟ゴム層自体にクラックが生じるおそれがあるためである。
請求項4に係る発明によれば、トレッドゴムに介装させる軟ゴム層を適切な厚さにすることによって、軟ゴム層にそれ本来の機能を十分に発揮させるとともに、その軟ゴム層の発熱熱量のベルト及びトレッドゴムへの熱伝導を有効に防止する。
つまり、t/Lが0.2未満の場合は、軟ゴム層が薄く、ベルトの変形挙動を軟ゴム層で吸収する効果が不十分となり、溝底に生じたクラックを抑制する効果があまり期待できないと考えられるためであり、t/Lが0.4を越える場合は、トレッドゴムよりも変形が大きく発熱量が多い軟ゴム層の量が多いことによって、その軟ゴム層の発熱熱量のトレッドゴムへの熱伝導が大きくなるからである。
請求項5に係る発明によれば、軟ゴム層の配置位置及び、その軟ゴム層の、ラグ溝幅に対する配置域を、十分広幅として、その軟ゴム層の所要の作用の下で、ラグ溝底の、ベルト幅方向の変形を効果的に抑制することができる。
溝底クラックは、ラグ溝底で発生し、ベルトの変形挙動がラグ溝底に伝わることによってタイヤ半径方向内側に進行するため、軟ゴム層を少なくともラグ溝の直下であってラグ溝に沿って配置しなければ、ベルトの変形挙動の伝達を軟ゴム層によって有効に抑制することができないためである。また、軟ゴム層の幅が、ラグ溝の幅と同等以上の長さを有していなければ、溝底の幅方向の変形を抑制する効果を得ることができないおそれがあるためである。
請求項6に係る発明によれば、通常のトレッドゴムの100%モジュラスが、2.2〜3.3MPaであるのに対し、トレッドゴムとベルトとの間に介装させる軟ゴム層の100%モジュラスを、これよりも小さい1.5〜2.2MPaとすることによって、ベルトの変形挙動のラグ溝底への伝達を、軟ゴム層の所期した通りの機能の下で、より効果的に抑制することができる。
これは、軟ゴム層の100%モジュラスが1.5MPaより小さい場合、軟ゴム層の変形が大きくなりすぎることで、軟ゴム層の発熱量が増加し、その熱がベルトに伝導することによって、ベルトが熱劣化するおそれがある一方、2.2MPaを越えると、溝底の表層部のトレッドゴムより軟ゴム層が硬いものとなり、タイヤの負荷転動時にベルトに発生する変形を、その軟ゴム層で吸収することができず、溝底の変形を抑制する効果が得ることができないためである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1及び図2中1は、重荷重用空気入りタイヤ1の全体を示す。
図1に示すところにおいて、重荷重用空気入りタイヤ1は、対をなすビードコア間にトロイダルに延びる、一枚以上のカーカスプライからなる、例えばラジアル構造のカーカス2、カーカス2のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した複数層のベルト層からなるトレッド部3の補強部材としてのベルト4、及びベルト4の、さらにタイヤ半径方向外側に配置したトレッドゴム5を具える。
ここで、ベルト4は、最もタイヤ半径方向内側にあって、例えば、タイヤ赤道面に対するコード交角を10°〜20°とすることができ、層間でコードが相互に交差する、二層の低角度ベルト層6a、6bと、これらの低角度ベルト層6a、6bの半径方向外側にあって、タイヤ赤道面に対するコード交角が低角度ベルト層6a、6bのそれよりも大きい二層の高角度ベルト層7a、7b、と、これらのベルト層6a、6b、7a、7bのさらに半径方向外側にあって、ほぼタイヤ周方向に延びる伸張性スチールコードからなる二層の保護ベルト層8a、8bとで構成してなる。なお、ここにおいて、「伸張性スチールコード」とは、コード方向引張試験時の破断時伸びが4%以上の、例えば、ラング撚り構造になるハイエロンゲーションコード等のコードをいうものとする。
トレッドゴム5の踏面には、図2に示すように、複数本のラグ溝9を形成し、図2に示すところでは、各ラグ溝9を、トレッド端10からタイヤ赤道線Cに向けて折れ曲がり状態で延在させるとともに、タイヤ赤道線Cに達することなく終了させる。
そしてさらにここでは、トレッドゴム5と保護ベルト層8a、8bの間に、少なくともラグ溝9の溝底11と対応して位置する軟ゴム層12を介装する。なお、図1に示すところでは、軟ゴム層12は、トレッドゴム5の全幅にわたって配置されて、トレッド部3の全周にわたって延在するものとする。
図3は、本発明の他の実施形態に係る重荷重用空気入りタイヤ1を示したものであり、特には、軟ゴム層12の介装配置態様を変更したものである。
この実施形態は、軟ゴム層12を、タイヤ赤道線Cから、タイヤ幅方向外側にトレッド半幅の25%の位置から100%の位置までの間の、ラグ溝9の溝底11と対応する部分に介装した点で、図1、2に示すものとは構成を異にするものであり、その他の構成は、図1、2に示すものと同様である。
これは、ラグ溝を有する重荷重用空気入りタイヤにおいては一般に、ラグ溝は、タイヤ赤道面の近傍で徐々に浅くなり、溝底クラックは、このタイヤ赤道面に近い、ラグ溝深さの浅い領域にはあまり発生せず、タイヤ赤道線からタイヤ幅方向外側にトレッド半幅の25%以上離れた、溝深さが相対的に大きくなる、トレッド端までの溝底に多く発生することによるものである。
したがって、必要な領域にのみ軟ゴム層12を介装配置して、軟ゴム層12の変形に起因する発熱を、極力抑制することが好ましい。
軟ゴム層12の、タイヤ半径方向の配置位置に関しては、図4に示すように、ラグ溝9の溝底11からベルト4の外周面までの厚みをL、その溝底11と対応する位置での、軟ゴム層12の内周面からベルト4の外周面までの厚みをkとした場合に、k/Lが0.3以上かつ0.4以下であることが好ましい。
またここで、軟ゴム層12の、ラグ溝底11と対応する部分でのタイヤ半径方向の厚みtは、溝底11からベルト4の外周面までの厚みをLとして、t/Lが0.2以上かつ0.4以下であることが好ましい。
そしてまた、図3に示すように、少なくともラグ溝9の溝底11の直下に、ラグ溝9に沿って配置させる軟ゴム層12は、ラグ溝9の開口幅をd、軟ゴム層12の幅をwとした場合に、w/dが1以上であることが好ましい。ラグ溝9には、図1に示すように、トレッド端10からタイヤ赤道線Cに向かうにつれて徐々に溝幅が小さくなるものや、トレッド端10からタイヤ赤道線Cに向かうまでに湾曲しているもの等様々な形状を有するものが存在するが、このw/dが1以上であるという条件は、ラグ溝9の幅方向断面のどの位置においても軟ゴム層12との相対関係においてを満足されることを意味する。
トレッドゴムよりも変形しやすく軟らかい軟ゴム層12は、通常のトレッドゴム5の100%モジュラスが2.2〜3.3MPaであるのに対し、これよりも小さい1.5〜2.2MPaの100%モジュラスを有するものとすることが好ましい。
ここで、「100%モジュラス」とは、JIS K6301−1995に準拠した測定値で加硫後100%伸張時の引張応力のことをいう。
(試験例)
次に、本発明に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤを試作し、その性能を評価したので以下で説明する。タイヤのサイズは、53/80R63であり、従来例のタイヤは、ラグ溝とベルトとの間にトレッドゴムよりも変形しやすい軟ゴム層を配置したことを除いて、実施例のタイヤと同様の構成にした。実施例1〜6は、表1に示すように、軟ゴム層の厚さ(t)、タイヤ半径方向の配置位置(k/L)、タイヤ周方向長さ(w/d)を変化させた本発明に係るタイヤを用いた。
次に、本発明に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤを試作し、その性能を評価したので以下で説明する。タイヤのサイズは、53/80R63であり、従来例のタイヤは、ラグ溝とベルトとの間にトレッドゴムよりも変形しやすい軟ゴム層を配置したことを除いて、実施例のタイヤと同様の構成にした。実施例1〜6は、表1に示すように、軟ゴム層の厚さ(t)、タイヤ半径方向の配置位置(k/L)、タイヤ周方向長さ(w/d)を変化させた本発明に係るタイヤを用いた。
(評価方法)
上記各供試タイヤについて、タイヤ赤道面からタイヤ幅方向外側にトレッド半幅の75%離れた位置で、トレッド踏面のラグ溝の溝底に、ナイフで直線状の切り込みを入れて、長さ30mm、深さ5mmの、ラグ溝の長手方向と平行するカット傷を設け、これを溝底クラックの代わりとした。
上記各供試タイヤについて、タイヤ赤道面からタイヤ幅方向外側にトレッド半幅の75%離れた位置で、トレッド踏面のラグ溝の溝底に、ナイフで直線状の切り込みを入れて、長さ30mm、深さ5mmの、ラグ溝の長手方向と平行するカット傷を設け、これを溝底クラックの代わりとした。
TRAに定める最大荷重負荷能力の150%に相当する荷重を負荷して時速20km/hで直径7mのドラム上で直進耐久試験を行い、240時間走行後、溝底クラックの深さ、及びベルト端からの亀裂深さを測定し、溝底クラックの進展速度、及びベルト端からの亀裂進展速度を比較することで、溝底クラックの改良効果を評価した。その評価結果を表1に示す。なお、表1中の「ベルト端亀裂進展速度」及び「溝底クラック進展速度」は、それぞれ、従来例のタイヤを100とする指数であり、数値が小さいほど、亀裂や溝底クラックの進展する速度が遅く、クラックの進展を抑制する効果が大きいことを示す。
表1に示す試験結果から、実施例1〜6は、ラグ溝とベルトとの間にトレッドゴムよりも変形しやすい軟ゴム層を配置していない従来例と比較して、いずれも溝底に設けた傷のベルト層方向に進展する速度が抑制されていることがわかる。
1:重荷重用空気入りタイヤ
2:カーカス
3:トレッド部
4:ベルト
5:トレッドゴム
6a、6b:低角度ベルト層
7a、7b:高角度ベルト層
8a、8b:保護ベルト層
9:ラグ溝
10:トレッド端
11:溝底
12:軟ゴム層
C:タイヤ赤道面
2:カーカス
3:トレッド部
4:ベルト
5:トレッドゴム
6a、6b:低角度ベルト層
7a、7b:高角度ベルト層
8a、8b:保護ベルト層
9:ラグ溝
10:トレッド端
11:溝底
12:軟ゴム層
C:タイヤ赤道面
Claims (6)
- 対をなすビードコア間にトロイダルに延びるカーカスと、カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した複数のベルト層からなるベルトと、ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したトレッドゴムとを具え、トレッドゴムの表面に複数本のラグ溝を設けてなる重荷重用空気入りタイヤであって、トレッドゴムとベルトとの間で、少なくともラグ溝の溝底と対応する位置に、トレッドゴムよりも変形しやすい軟ゴム層を配置することを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。
- 軟ゴム層を、タイヤ赤道面からタイヤ幅方向外側にトレッド半幅の25%から100%の範囲にわたって配置してなる請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
- ラグ溝の溝底からベルトの外周面までの厚み(L)に対する、その溝底と対応する位置での軟ゴム層の内周面からベルトの外周面までの厚み(k)の比(k/L)が、0.3以上かつ0.4以下としてなる請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
- ラグ溝の溝底からベルトの外周面までの厚み(L)に対するその溝底と対応する位置での軟ゴム層の厚み(t)の比(t/L)が、0.2以上かつ0.4以下としてなる請求項1〜3のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
- 軟ゴム層を少なくともラグ溝底の直下にラグ溝に沿って配置し、ラグ溝の開口幅(d)に対する軟ゴム層の幅(w)の比(w/d)が1以上としてなる請求項1〜4のいずれかの重荷重用空気入りタイヤ。
- トレッドゴムの100%モジュラスを2.2〜3.3MPaとし、軟ゴム層の100%モジュラスを1.5〜2.2MPaとしてなる請求項1〜5のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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Cited By (1)
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JP2012181104A (ja) * | 2011-03-01 | 2012-09-20 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | タイヤの耐久性評価方法 |
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2009
- 2009-02-13 JP JP2009031422A patent/JP2010184664A/ja not_active Withdrawn
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