JP2010184090A - 歯列3次元像生成方法および装置 - Google Patents

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理 大城
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Abstract

【課題】患者に対するX線の被爆が少なく、さらに安価な設備を用いて、容易に目視不可能な歯根や歯の内部まで含めて、容易に歯列の状況を3次元的に把握することができ、充分な医用情報を得ることができる技術を提供する。
【解決手段】歯列の表面形状に関する3次元データを取得すると共に、X線パノラマ断層撮影法により撮影された歯列のパノラマ画像に関する2次元データを取得し、X線パノラマ断層撮影法における回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、設定された複数の回転軸の位置に基づき形成された複数の仮想パノラマ画像から実パノラマ画像に最も近い仮想パノラマ画像を検出し、その回転軸の位置を、パノラマ画像を撮影した時のX線源とフィルムの回転軸の位置と見なして、3次元データと2次元データを位置合わせし、同一3次元空間へ投影して表示する。
【選択図】図1

Description

本発明は歯列3次元像生成方法および装置に関し、詳しくは、口腔模型等の歯列の表面形状に関する3次元データと、パノラマ画像の歯列の内部情報に関する2次元データとを同一3次元空間に投影して表示する歯列3次元像生成方法および装置に関する。
歯科診療において、歯列の状況を目視不可能な歯根や歯の内部まで含めて3次元的に把握することは、歯科医が治療方針を決定する際の重要な参照資料となることのみならず、患者へ病状や治療の内容を説明する際の資料となることからも重要である。
このような3次元モデルを作成する手法として、近年、医療分野においては、核磁気共鳴画像法(MRI)やX線コンピュータ断層撮影法(CT)が実用化されている(例えば、特許文献1、2)が、これらの手法を歯科臨床の分野で使用するには、以下に示すような弊害があるために用いることができず、通常は、X線パノラマ断層撮影法による歯列のX線パノラマ画像と歯列の印象による口腔模型とを併用して必要な医用情報を得ている。
即ち、核磁気共鳴画像法では核磁気共鳴を用いているため、歯に対する空間分解能が低い。また、データ採取に長時間を要するという問題もある。
そして、X線コンピュータ断層撮影法では患者のX線被爆量が大きくなることが避けられないため、脳に近い位置にある歯に用いることには問題があり、特に、小児歯科分野では問題となる。
特開2008−229322号公報 特開2008−259822号公報
しかしながら、X線パノラマ断層撮影法による歯列のパノラマ画像は、歯列の内部情報は有しているものの、3次元位置情報は有していない。また、撮影法により歪みが生じる恐れがある。一方、歯列の印象による口腔模型は、歯列の表面形状の幾何データを有しているものの、内部情報を有していない。
このため、実際の患者の口腔模型とパノラマ画像との位置のずれやパノラマ画像の歪み等の発生が避けられず、単に口腔模型とパノラマ画像とを併用して個別に参照するだけでは、歯科臨床において充分な医用情報を得ることができず、歯科医が治療方針を決定する際に参照する資料としても、歯科医が病状や治療の内容を患者に説明するため用いる資料としても、必ずしも満足のいくものではなかった。
なお、局所的な硬組織に対して高い空間分解能があり低被曝量である歯科用X線CTが開発されている(例えば、特開2004−275512号公報)。これは、X線の照射野を小さくすることで被曝量を大幅に低減し、解像度の高い光電子倍増管を使用することで高い空間分解能を得るものである。しかし、撮影範囲が制限されるため、診断範囲が広い場合には追加撮影が必要となり、また、口腔内の金属補綴物により偽像が生じるため、高価な設備であることとも相俟って、この装置が導入されている施設は少ないのが現状である。
このため、患者に対するX線の被爆が少なく、さらに安価な設備を用いて、容易には目視不可能な歯根や歯の内部まで含めて、容易に歯列の状況を3次元的に把握することができ、充分な医用情報を得ることができる技術の開発が望まれていた。
本発明は、以上の課題を解決することを目的としてなされたものであり、通常の歯科治療で作製されているパノラマ画像と口腔模型から歯列の簡易かつ正確な3次元モデルを作成する様にしたものである。以下、各請求項の発明を説明する。
請求項1に記載の発明は、
歯列の表面形状に関する3次元データを取得する3次元データ取得ステップと、
X線パノラマ断層撮影法を用いて撮影された前記歯列のパノラマ画像に関する2次元データを取得するパノラマ画像データ取得ステップと、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された複数の回転軸の位置に基づく複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップと、
前記仮想パノラマ画像形成ステップにおいて形成された複数の仮想パノラマ画像と、前記パノラマ画像データ取得ステップにおいて取得されたパノラマ画像とを、所定の手順で比較して、前記パノラマ画像に最も近い仮想パノラマ画像を検出する比較検出ステップと、
前記比較検出ステップにおいて検出された仮想パノラマ画像に対応する回転軸の位置を、パノラマ画像を撮影した時のX線源とフィルムの回転軸の位置と見なして、前記3次元データと前記2次元データを位置合わせし、同一3次元空間へ投影して表示する表示ステップと
を有していることを特徴とする歯列3次元像生成方法である。
本請求項の発明は、X線パノラマ断層撮影法を用いて実パノラマ画像を取得し、口腔模型等より得られた歯列の表面形状に関する3次元データを用いて作成される複数の仮想パノラマ画像から、実パノラマ画像に対応した最適な仮想パノラマ画像を検出し、この仮想パノラマ画像における回転軸に関するデータを利用して、具体的には、実パノラマ画像を撮影した時の回転軸の位置と見なして、実パノラマ画像に前記の3次元データを正確に重ね合わせて表示するという簡便な方法である。これにより、歯列の表面形状に関する3次元データと歯列の内部情報に関する2次元データとを統一して3次元モデルとして表示することができ、目視不可能な歯根や歯の内部までを含めた歯列の状況を容易に3次元的に把握することができる。
このように、通常のX線パノラマ断層撮影法を用いるだけでよく、余分にX線被爆量を大きくする必要がなく、かつ安価な方法にも拘わらず、充分な医用情報を得ることができる。
前記回転軸は、X線パノラマ断層撮影法において、X線源とフィルム(含む、X線用のCCD)とを歯列を挟んだ状態で対向させ、X線源とフィルムを同期して回転させつつパノラマ画像を撮影する際の回転中心であり、X線源とフィルムとの間に存在する回転軸の数と位置の違いにより、前記のX線パノラマ断層撮影法には、一軸回転方式、二軸変換方式、三軸変換方式、中心軸スライド方式等がある。
本請求項の発明においては、各方式に対応する回転軸の設定を行い、それぞれ仮想パノラマ画像を形成させて、実パノラマ画像と比較することにより、パノラマ画像に最も近い仮想パノラマ画像を検出し、その仮想パノラマ画像の回転軸の位置を、最適な回転軸の位置と推定する。
「歯列」とは、上顎の歯列、下顎の歯列、全体の歯列を問わない。また、実際のパノラマ画像等のデータを取得するに際して、歯の充填物がある箇所等についてのデータをマスキングする等の処理を施しても良い。さらに、実際のパノラマ画像と仮想パノラマ画像との比較に際して、寸法、縮尺を調整する等の処理を施す等の処理(ステップ)を有していても良い。
請求項2に記載の発明は、
前記比較検出ステップにおける前記複数の仮想パノラマ画像と前記パノラマ画像との比較、検出が、それぞれの画像において、認識が容易な1または複数の箇所の歯が、前記箇所または歯列全体に対して占める長さの比率に基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の歯列3次元像生成方法である。
本請求項の発明においては、認識が容易な1または複数の箇所の歯を特定して比較を行うため、より精度の高い比較検出が可能となる。このような認識が容易な1または複数の箇所の歯としては、例えば、左右の最も奥から1〜2本の歯や歯列の中央に位置する最も前の1〜3本の歯を挙げることができる。
なお、「前記箇所または歯列全体に対して占める長さの比率に基づく」とは、比較される仮想パノラマ画像と実パノラマ画像について、例えば、左と右の最も奥から1〜2本の歯と最も前の1〜3本の歯について、これらがU字型の歯列全体の水平方向の長さ(パノラマ的に展開した横方向の長さ)に対して占める比率の相違を取り、複数の仮想パノラマ画像の内から、それら3個の相違の和が最も小さいものを取ることを指す。なお、その他犬歯等他の歯の比率を加え、併せ用いてもよい。
請求項3に記載の発明は、
前記仮想パノラマ画像形成ステップが、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸を1本と仮定して、前記回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯列3次元像生成方法である。
本請求項の発明は、前記したX線パノラマ断層撮影法が一軸回転方式であると仮定した場合における仮想パノラマ画像形成ステップを規定するものである。
この一軸回転方式は別名パントモグラフィとも呼ばれ、1本の回転軸により得られた1つの円弧で歯列を表現する方式であり、撮像条件を正しく設定しなければ、前歯部、臼歯部のいずれかが撮像範囲から外れ、正しく撮像できなくなる場合が起こり得るという欠点や、臼歯部において正方からX線を照射することができず偏心投影が発生し、像がゆがむという欠点があるが、構造が単純であるため故障が少なく安価であるという利点がある。実用上の問題が少ないため、二軸変換方式など他の手法が発明されて以降も、臨床現場では、継続的に利用されていることが多い方式である。
この方式を用いた実パノラマ画像の回転軸の位置の推定は、具体的には、まず、歯列の中心部に所定の間隔で数箇所の回転軸を設定して、各々の回転軸に対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する。その後、形成された複数の仮想パノラマ画像の各々を実パノラマ画像と比較して、実パノラマ画像に最も近い仮想パノラマ画像を検出する。そして、検出された仮想パノラマ画像における回転軸の位置を、実パノラマ画像の回転軸の位置と推定する。
請求項4に記載の発明は、
前記仮想パノラマ画像形成ステップが、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸を2本と仮定して、前記2本の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯列3次元像生成方法である。
本請求項の発明は、前記したX線パノラマ断層撮影法が二軸変換方式であると仮定した場合における仮想パノラマ画像形成ステップを規定するものである。
この二軸変換方式は別名パノレックスラジオグラフィとも呼ばれ、2本の回転軸により得られた2つの円弧を合成して歯列を表現する方式であり、画像の中央部に未露光の部分が出来てしまうという欠点もあるが、明瞭な前歯部の像を得ることができる。
具体的な方法は、回転軸の設定を、歯列の中心部に所定の間隔で2本の回転軸の組を設定して、各々の回転軸の組に対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する他は、前記した一軸回転方式の場合の処理と基本的に同じである。
請求項5に記載の発明は、
前記仮想パノラマ画像形成ステップが、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸を3本と仮定して、前記3本の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯列3次元像生成方法である。
本請求項の発明は、前記したX線パノラマ断層撮影法が三軸変換方式であると仮定した場合における仮想パノラマ画像形成ステップを規定するものである。
この三軸変換方式は別名オルソパントモグラフィとも呼ばれ、3本の回転軸により得られた3つの円弧を合成して歯列を表現する方式であり、断層域がより通常の歯列配置に近くなるという利点がある。
具体的な方法は、回転軸の設定を、歯列の中心部に所定の間隔で3本の回転軸の組を設定して、各々の回転軸の組に対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する他は、前記した一軸回転方式の場合の処理と基本的に同じである。
請求項6に記載の発明は、
前記仮想パノラマ画像形成ステップが、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸を複数の連続した回転軸と仮定して、前記複数の連続した回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯列3次元像生成方法である。
本請求項の発明は、前記したX線パノラマ断層撮影法が中心軸スライド方式であると仮定した場合における仮想パノラマ画像形成ステップを規定するものである。
この中心軸スライド方式は別名エリプソパントモグラフィとも呼ばれ、回転軸を連続移動させてそれぞれの円弧を合成し半楕円形に歯列を表現する方式であり、撮影機構が比較的複雑であり機器が高価になりがちであるという欠点もあるが、断層域がなめらかにつながり、歯列が断層域に収まりやすく、偏心投影が発生しにくいという利点がある。
具体的な方法は、回転軸の設定を、歯列の中心部に所定の間隔で複数の連続した回転軸の組を設定して、各々の回転軸の組に対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する他は、前記した一軸回転方式の場合の処理と基本的に同じである。
請求項7に記載の発明は、
歯列の表面形状に関する3次元データを取得する3次元データ取得手段と、
X線パノラマ断層撮影法を用いて撮影された前記歯列のパノラマ画像に関する2次元データを取得するパノラマ画像データ取得手段と、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された複数の回転軸の位置に基づく複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段と、
前記仮想パノラマ画像形成手段により形成された複数の仮想パノラマ画像と、前記パノラマ画像データ取得手段により取得されたパノラマ画像とを、所定の手順で比較して、前記パノラマ画像に最も近い仮想パノラマ画像を検出する比較検出手段と、
前記比較検出手段により検出された仮想パノラマ画像に対応する回転軸の位置を、パノラマ画像を撮影した時のX線源とフィルムの回転軸の位置と見なして、前記3次元データと前記2次元データを位置合わせし、同一3次元空間へ投影して表示する表示手段と
を有していることを特徴とする歯列3次元像生成装置である。
本請求項の発明は、方法の発明である請求項1の発明を装置の発明として捉えたものである。
請求項8に記載の発明は、
前記比較検出手段における前記複数の仮想パノラマ画像と前記パノラマ画像との比較、検出が、それぞれの画像において、認識が容易な1または複数の箇所の歯が、前記箇所または歯列全体に対して占める長さの比率に基づいて行う比較手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載の歯列3次元像生成装置である。
本請求項の発明は、方法の発明である請求項2の発明を装置の発明として捉えたものである。
請求項9に記載の発明は、
前記仮想パノラマ画像形成手段が、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段である
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の歯列3次元像生成装置である。
本請求項の発明は、方法の発明である請求項3の発明を装置の発明として捉えたものである。
請求項10に記載の発明は、
前記仮想パノラマ画像形成手段が、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの2本の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段である
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の歯列3次元像生成装置である。
本請求項の発明は、方法の発明である請求項4の発明を装置の発明として捉えたものである。
請求項11に記載の発明は、
前記仮想パノラマ画像形成手段が、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの3本の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段である
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の歯列3次元像生成装置である。
本請求項の発明は、方法の発明である請求項5の発明を装置の発明として捉えたものである。
請求項12に記載の発明は、
前記仮想パノラマ画像形成手段が、
前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの連続した複数の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段である
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の歯列3次元像生成装置である。
本請求項の発明は、方法の発明である請求項6の発明を装置の発明として捉えたものである。
本発明により、患者に対するX線の被爆が少なく、さらに安価な設備を用いて、容易には目視不可能な歯根や歯の内部まで含めて、容易に歯列の状況を3次元的に把握することができ、充分な医用情報を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態の概略の手順を示す図である。 一軸パノラマ断層撮影装置における、X線源とフィルムの歯列に対する回転の様子を示す平面図である。 仮想パノラマ画像を作製する原理を概念的に示す図である。 実際のパノラマ画像と仮想パノラマ画像の照合(比較)の原理を示す図である。 照合に用いる記号と式の意味を説明するための図である。 平面内で繰返し照合を行う為に口腔内に仮定された回転軸O1の位置を示す図である。 第1の実施の形態において作製された歯列の簡易3次元モデルが表示されたディスプレイ画像の一例を示す図である。 1次元的に繰返し照合を行う為に口腔内に仮定された回転軸O1の位置を示す図である。 1次元的な繰返し照合を行った際の場所による照合の不一致度Cの相違を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る二軸変換方式で撮影する様子を概念的に示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る三軸変換方式で撮影する様子を概念的に示す図である。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
(第1の実施の形態)
本実施の形態は、下顎の歯列の実際のパノラマ画像を、口腔模型を基に一軸回転方式で作製された複数の仮想パノラマ画像と照合(比較)することにより、実際のパノラマ画像を作製した際の回転軸(断層軸)の位置を決定した後、口腔模型に実際のパノラマ画像を位置合わせして結合し、下顎の簡易3次元モデルを作成(3次元的に表示する)することに関する。なお、上顎についても同様に作成可能であり、これは他の実施の形態でも同様である。
本第1の実施の形態の概略の手順を図1に示す。図1において、S1は3次元の口腔模型の作製ステップであり、S2は口腔模型の表面形状データ(3次元データ)取得ステップであり、S3はパノラマ画像作製ステップであり、S4は仮想パノラマ画像作製ステップであり、S5は実際のパノラマ画像と仮想パノラマ画像の照合ステップであり、S6は口腔模型に実際のパノラマ画像を位置合せして結合するステップであり、S7はパノラマ画像を3次元的に表示する表示ステップである。以下、各ステップの内容を説明する。
S1:口腔模型の作製ステップ
本第1の実施の形態において使用した3次元の口腔模型の作製は、通常歯科医で行なわれているのと方法と同じ方法で行なった。ただし、実際の人(患者)ではなく、既にある歯列の研究用模型(ニッシン社製歯列モデル12D−400C)から作製した。使用した印象材はジーシー社のアローマファインDF3ファストセットであり、同じく模型用石膏はジーシー社のニュープラストーンである。
S2:表面形状データ(3次元データ)取得ステップ
口腔模型が有する表面形状に関する情報を計算機へ入力(インプット)するための3次元データの取得は、UNISN社のSURFLACERを用いて0.25mmピッチで測定するスリット光投影法を用いて3次元形状のデータを採取して行なった。このスリット光投影法は、ステレオ法における2台のカメラの内の一方を光発生器に置き換え、スリット光を投影して計測する方法であり、アクティブステレオ法の1種であり、空間分解能が高く、無模様でも計測が可能という特徴があるため採用した。但し、この方法は周知技術であるため、詳細な説明は省略する。
なお、実際の歯科治療における口腔模型の作製は石膏模型が主であるが、その他患者の口腔からアクティブステレオ法等種々の方法で測定され、数値化されて計算機に取り込まれたデータから作製されたり、さらには物でなく画像データとしてブラウン管に3次元的に表示されたりする等、種々のものがある。また、口腔模型を作製するために患者の口腔の3次元データを測定したり、既に作製されている石膏模型から計算機へ入力するために3次元データを測定したりする方法、装置も種々開発されている。但し、これらも周知技術であるため、その内容、特徴、長短等の説明は省略する。
S3:パノラマ画像作製ステップ
本第1の実施の形態における実際のパノラマ画像は、前記の石膏模型の歯の部分にニッケルめっきを行ない、石膏模型の口腔内に相当する部分に歯科用パテを詰めた状態で、一軸パノラマ断層撮影装置(株式会社吉田製作所製PANOURAFW)を用いて撮影することにより作製した。
図2に、一軸パノラマ断層撮影装置におけるX線源とフィルムの歯列に対する回転の様子を示す。図2において、10は歯列であり、80はX線源であり、90はフィルムであり、その黒い部分は露光箇所95であり、白い部分は未露光箇所96であり、OはX線源とフィルムが歯列に対して回転する際の中心(回転軸)であり歯列の中心付近に設定される。また、X線は、スリット等のX線光学系により、水平方向の幅は極めて小さく、上下方向に高さを有し、かつ平行な、いわゆるスリット光として投射される。
以上の配置の下で、X線源80とフィルム90は、X線の照射方向が歯列10の撮影対象である歯の面に直交し、フィルム90の面が歯の面に平行である状態を保持しつつ、さらに歯の位置が常に焦点にあるように相互に同期して前記回転軸Oの周りを時計方向に1回転し、撮影がなされる。
X線の照射条件は、管電圧70kV、管電流10mAである。なお、ニッケルめっきをしたのは、実際の人の口腔でなく石膏模型であるため、そのままでは歯と歯以外の部分のX線吸収率の差が少なく、露光量に差が出ないためである。但し、ニッケルめっきをする都合で歯に穴を穿けた箇所は輝度変化が大きくなるため、当該箇所にはマニュアルでマスキングを行なった画像を作製し、作製した画像を処理対象のパノラマ画像とした。また、パテを詰めたのは造影効果を出す為である。
S4:仮想パノラマ画像作製ステップ
S2のステップで計算機に入力した口腔模型の表面の3次元データから、計算により仮想パノラマ画像を作製した。仮想パノラマ画像作製の原理を図3に概念的に示す。図3の(1)は歯の厚みの測定方法を示し、図3の(2)はX線源の回転と歯列10の位置関係を示す。図3において、20は歯であり、81は計算機内に仮想的に配置された仮想X線源であり、91は同じく仮想フィルムであり、同じくO1はX線源の回転軸であり、また仮想フィルム91は回転軸O1に配置されている。
歯列10、そして個々の歯20は、口腔模型の表面の3次元データの取得ステップで計算機に入力されたデータに基いて配置されている。そして、計算機の内部において口腔の中心部に回転軸O1が設定され、この回転軸O1を中心として仮想X線源81が歯列10の外側を図3の(2)の左奥(上)側から右奥側まで反時計方向に仮想的に回転し、これに同期して仮想フィルム91も仮想的に回転する。図3の(2)において、O1で交差する2本の半直線状の点線は、仮想パノラマ画像を作製する際の仮想X線源81と仮想フィルム91の回転の始点と終点を示し、この範囲内が後で説明する照合の対象となる。
歯20の厚みは以下の様にして求められる。図3の(1)に示す様に、仮想X線源81と歯20の外周面との距離をR2、仮想フィルム91と歯20の内周面との距離をR1、仮想X線源81と仮想フィルム91との距離をR3とすると、仮想X線源81と仮想フィルム91を結ぶ箇所に在る歯20の厚みRはR3−R1−R2となる。なお、R1、R2の値はZバッファから取得される。Zバッファとは、平行投影変換をして描画する際に、手前のクリッピング面を0、奥のクリッピング面を1として、各画素の奥行き情報を格納するバッファである。そして、仮想パノラマ画像における露光は、この厚みRに逆比例することとなる。
さらに、計算で求めた歯20の厚みRを基に該当する箇所の仮想フィルム91の露光量を計算する。なお、実際のパノラマ画像と仮想パノラマ画像をより精度よく照合するためには、仮想X線源81と仮想フィルム91の回転に伴って両者の間に在る歯20の厚みRを計算するピッチを充分に小さくすることが好ましい。本実施の形態の場合、仮想パノラマ画像を作製する際の仮想X線源81と仮想フィルム91による撮影は0.1度刻みとした。これは、歯列の半径を4cmと大きめに仮定しても、ピッチの円周方向長さは0.069mmと充分小さく、後で説明する歯の隙間を検出するには充分であることによる。
なお、図2に示した実際のパノラマ画像のX線源80とフィルム90の回転軸Oが歯列あるいは口腔に対して占める位置を検出する際には、仮想X線源91の回転軸O1が歯列あるいは口腔に対して占める位置を所定の手順で変更し、変更した回転軸O1毎に複数の仮想パノラマ画像を作製して実際のパノラマ画像と複数の仮想パノラマ画像を照合することとなる。この点については、後で詳しく説明する。
S5:実際のパノラマ画像と仮想パノラマ画像の照合ステップ
実際のパノラマ画像の撮影においては、前記の理由で必ずしも撮影の中心が歯列の中心とは、ひいては口腔模型の中心とは限らない。このため、液晶ディスプレイ等に口腔模型に重ねてパノラマ画像を表示したりするためには、パノラマ画像を作製するためにX線撮影を行なった際の回転軸Oの位置を正確に知る必要がある。その手段として、実際のパノラマ画像と回転軸O1を変えて作製した仮想パノラマ画像を照合し、繰返し操作で実際のパノラマ画像の回転軸Oと最も一致するO1の位置を見出す。
照合の原理と照合方法について説明する。
照合に先立って、左右と上下の寸法(縮尺)と位置合わせを行なう。左右の寸法と位置合わせは、図3の(2)に点線で示した位置が仮想パノラマ画像の両端であり、実際のパノラマ画像ではこれに対応する位置が両端となる。上下の寸法と位置合わせは、下顎の歯列であれば咬合面が比較する画像の上端となる。なお、実際のパノラマ画像の左右端と上端は、後で説明するが、基本的には画素の露光の程度を調べることで決定される。さらに、実際のパノラマ画像の歯根の先端位置が比較に用いる画像の下端となる。
左右と上下の寸法と位置合わせの終了後に照合を行うが、その前提である個々の歯の認識について説明する。基本は、歯と歯の間には隙間が在るため、その部分の画素の露光は大きいこと、隙間は上下方向に連続することに着目する。
基本的な処理の具体的な内容は、以下の通りである。画像の横方向の差分を計算し、マニュアルで入力した閾値と比較して2値化を行う。閾値は、得られる2値化画像において、歯の隙間であると思われる場所が概ね見て取れる箇所の値を入力する。なお、歯列のパノラマ画像と言う限定された対象である為、閾値は容易に求められる。得られた2値化画像において、輝度値を持つ画素を縦方向にプロジェクションし、得られた1次元配列(ヒストグラム)より局所的に数値が高い部分を歯の隙間と判断する。なお、前記の2種類のパノラマ画像の左右と上下の寸法(縮尺)と位置合わせにおける咬合面の検出も、この方法で行なう。
次に、照合の原理を、図4を参照しつつ説明する。図4の(1)は図2に示す一軸パノラマ回転装置の回転軸Oの位置が前後にずれた場合を示す図であり、図4の(2)は同じく左(図上の右方)にずれた場合を示す図である。図4においてOXは前方(図上の下方)にずれた回転軸であり、OYは左方(図上の右方)にずれた回転軸であり、21は前歯であり、22は図上左方の(患者の右の)奥歯(成人であれば、原則として第3大臼歯)であり、23は図上右方(患者の左の)奥歯である。
図4の(1)に示す様に、回転軸Oが前方にずれてOXの位置にあれば、前歯21の幅が歯列全体に対して占める角度が大きくなり、逆に後方にずれれば小さくなる。また、図4の(2)に示す様に、回転軸Oが左方(図上の右方)にずれてOY位置にあれば、左の奥歯23の幅が歯列全体や右の奥歯22に対して占める角度が大きくなり、右方にずれれば逆になる。このため、左右の大臼歯、それ以外の歯が歯列全体に占める比率を基に、実際のパノラマ画像の回転軸Oと仮想パノラマ画像の回転軸O1のずれを見出し、最もずれが小さい仮想パノラマ画像の回転軸O1の位置を実際のパノラマ画像の回転軸O、即ち断層軸の位置とする。
具体的には、図5に示すa〜dおよびa’〜d’を基に回転軸Oの位置を決定する。図5は、照合に用いる前記の記号と式の意味を説明するための図であり、図5の(1)は実際のパノラマ画像であり、図5の(2)は仮想パノラマ画像である。
図5においてaはパノラマ画像において図上左方の(患者の右の)2本の大臼歯22の占める幅であり、bは同じく図上右方(患者の左の)2本の大臼歯23の占める幅であり、cは同じくその他の歯の占める幅であり、dは同じく歯列全体の占める幅であり、a’、b’、c’、d’は各々仮想パノラマ画像の対応する幅である。
そして、以下の式(1)〜式(6)を用いてr1〜r3およびr1’〜r3’を求め、さらに式(7)によって求められる照合の不一致度Cの値が最も小さくなる仮想パノラマ画像のO2の位置を実際のパノラマ画像の回転軸の位置Oとする。
r1=a/d (1)
r2=b/d (2)
r3=c/d (3)
r1’=a’/d’ (4)
r2’=b’/d’ (5)
r3’=c’/d’ (6)
C=|r1−r1’|+|r2−r2’|+|r3−r3’| (7)
なお、仮想パノラマ画像には歯根部がないため、照合に際してはパノラマ画像の歯根部は無視する。
また、先行する治療で歯に補填物が充填されている場合等においては、実際のパノラマ画像においてマニュアルで当該箇所のマスキングを行なって仮想パノラマ画像との比較対象外とする。
さらに、何らかの理由で奥歯がない場合には最も奥にある歯で代用し、前歯がない場合には最も前の歯で代用する。
パノラマ画像を作製するためにX線撮影を行なった際の回転軸Oの位置を正確に知るために照合が繰返しなされるが、その内容について図6を参照しつつ説明する。図6は、前記のために口腔内に囲碁の升目状に設定されたO1の位置を示す図である。図6の(1)に示す様に、最初は升目の1辺の寸法aを大きく、具体的には8mmとし、各升目の頂点にO1をとる。これら各O1に対応する仮想パノラマ画像を、前記の方法で実際のパノラマ画像と照合し、最も合うO1の位置を探し出す。
次いで、探し出したO1の位置を中心としてその近傍に、図6の(2)に示す様に、1辺の寸法がa/2の升目を作成し、各升目の頂点にO1をとる。これら各O1に対応する仮想パノラマ画像を、前記の方法で実際のパノラマ画像と照合し、最も合うO1の位置Aを探し出す。このAを実際のパノラマ画像を作製した際の回転軸(断層軸)Oとする。
S6:口腔模型に実際のパノラマ画像を位置合わせして結合するステップ
S5のステップで決定された口腔模型のAの位置が実際のパノラマ画像を一軸回転方式で撮影したと仮定したときの回転軸として、2次元データである実際のパノラマ画像のデータを3次元データである口腔模型に計算機内で貼り付ける。
S7:3次元的に表示するステップ
一軸回転方式で撮影された2次元データである実際のパノラマ画像と計算機に3次元データとして入力された人の歯列あるいは口腔模型の表面形状を合成して同一3次元空間へ投影し、例えば液晶ディスプレイに表示する。この際は、表示されている歯列あるいは歯列の模型の表面形状に対する回転軸Oの位置を基準にして実際のパノラマ画像が貼り付けてられて表示されることとなる。このようにして作製された歯列の簡易3次元モデルを表示したディスプレイ画像の一例を図7に示す。図7から分かる様に、歯列の表面とパノラマ画像とは、正確に位置合わせ、寸法合わせがなされた状態で表示されている。そして、歯列の状況を目視不可能な歯根や歯の内部まで含めて正確に3次元的に表示されるため、歯科医が治療方針を決定する際の重要かつ極めて有効な参照資料となり、また患者へ病状や治療の内容を説明する際の判り易い資料となる。
なおここに、「3次元的に表示される」とは、前記のごとく2次元の液晶ディスプレイに立体感が感じられる様にして(3次元モデルとして)表示したり、立体視可能なディスプレイ装置を利用して表示したり、様々な方向、角度から見た状態の平面図として表示したり、更には様々な方向、角度から見た状態で立体感が感じられる様にして表示したりすることを指す。表示に際しては、実際のパノラマ画像と口腔模型の表面形状の各々のデータに基づく画像を色分けして表示してもよい。
(変形例)
前記第1の実施の形態は、実際のパノラマ画像の回転軸の位置が2次元的に不明確な場合であったが、本変形例は撮影時の左右のずれが少ない為1次元的に不明確な場合である。
この場合には、実際のパノラマ画像を作製した際の回転軸の位置は、図8に示す様に歯列の中心線に沿って縦方向に探索され、ひいては回転軸O1の位置もこの中心線上に設定される。本変形例では、図8にO1として示す位置を中心に上下16mmの範囲で最初は8mmピッチで、最後は0.25mm単位で繰返し探索を行なった。図9は探索によって測定された各位置における不一致度Cを示す図である。本例の場合は、図9から分かるように、O1即ち横軸が0の位置から+側に(前歯よりに)10.25mmのところで不一致度Cが最も小さくなることが分かる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、実際のパノラマ画像と照合する仮想パノラマ画像が二軸変換方式で入力された場合であり、その照合結果から求められた二軸変換方式での回転軸を基に、実際の下顎のパノラマ画像と下顎の3次元の口腔模型を位置合わせして下顎の簡易3次元モデルを作成することに関する。
前記の如く、人の歯列は実際には円弧状ではない。このため、通常の一軸回転方式ではほぼ正放線状になされるが、奥歯(臼歯)部は偏心投影となり重なり易い。そこで、より良いパノラマ画像を作製するため、左右の歯列をX線撮影する際の回転軸を左右別個とする二軸変換方式(パノレックスラジオグラフィ)で撮影される場合がある。この様子を図10に概念的に示す。図10において、OAは歯列の図上右半分(患者の左半分)を撮影する場合の回転軸であり、OBは歯列の図上左半分(患者の右半分)を撮影する場合の回転軸である。
なお、実際の計算機による照合に際しては、実際のパノラマ画像を見た操作者、例えば歯科医師が一軸回転方式と二軸変換方式の何れの方式で撮影されたか、あるいは何れの方式が近いかを判断して計算機に何れの方式であるかをインプットする。あるいは、計算機が自動的に最初は一軸回転方式で撮影されたものと判断して評価し、照合の不一致度Cが経験から定められた閾値より大きければ二軸変換方式で評価する。さらに、両方の方式で評価して不一致度Cが小さい方を採用し併せてその旨をも表示する等の方法がある。
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、実際のパノラマ画像と照合する仮想パノラマ画像が三軸変換方式(オルソパントモグラフィ)で入力された場合であり、その照合結果から求められた三軸変換方式での回転軸を基に、実際の下顎のパノラマ画像と下顎の3次元の口腔模型を位置合わせして下顎の簡易3次元モデルを作成することに関する。
前記の如く、人の歯列は実際には円弧状ではない。このため、前歯と奥歯の位置関係にかかわらず奥歯についてもより良い画像を得て、一層優れたパノラマ画像を作製するため、歯列をX線撮影する際の回転軸を左右の各奥歯と前歯で別個、即ち合計3箇所とする場合がある。この様子を図11に概念的に示す。図11において、OAは歯列の図上右半分(患者の左半分)を撮影する場合の回転軸であり、OBは前歯を撮影する場合の回転軸であり、OCは歯列の図上左半分(患者の右半分)を撮影する場合の回転軸である。
この場合には、仮想パノラマ画像の作製、実際のパノラマ画像との照合、OAの位置を見つけだすための仮想パノラマ画像を作製する際のX線源と仮想フィルムの回転位置の設定等は、歯列の右半分と左半分と前歯で別個になされることとなる。また、奥歯の仮想パノラマ画像を作製する際のX線源と仮想フィルムの回転位置の設定は、歯列の右半分内の位置では歯列の左半分内の中央から奥よりの位置に、右半分の仮想パノラマ画像では歯列の左半分内の中央から奥よりの位置に、前歯の仮想パノラマ画像を作製する際には歯列の中心線近くになされることとなる。
次に、実際の計算機による照合に際しては、実際のパノラマ画像を見た操作者、例えば歯科医師が一軸回転方式と二軸変換方式と三軸変換方式の何れで撮影されたか、あるいは何れの方式が近いかを判断して計算機に指示(何れの方式であるかをインプット)する。あるいは、計算機が自動的に最初は一軸回転方式で撮影されたものと判断して評価し、照合の不一致度Cが経験から定められた閾値より大きければ二軸変換方式で評価し、照合の不一致度Cが経験から定められた閾値より大きければ三軸変換方式で評価する。さらに、3種の方式で評価して不一致度Cが小さい方を採用し併せてその旨をも表示する等の方法がある。
なお、三軸変換方式の場合、例えば右側の奥歯列の不一致度Cは、最も右(奥)の大臼歯と最も前の小臼歯が右半分の奥歯全体に対して占める角度等を用いて算出され、前歯の不一致度Cは、左右の犬歯が犬歯を含む前歯全体に対する角度等を用いて算出される。
(その他の実施の形態)
その他のX線パノラマ画像撮影方法であっても同様である。例えば軸スライド方式であれば、歯列の左右の中心線やその近傍の平行線上の前後(奥と手前)に、経験から定まる2個の焦点の組を荒く配置して対応する仮想パノラマ画像を作製し、最も一致する線や焦点位置やその近傍に細かく2個の焦点の組を配置して対応する仮想パノラマ画像を作製し、必要に応じてこの操作を繰り返して最適な焦点位置の組み合わせを見出し、その後は前記の実施の形態と同じ処理がなされることとなる。
本発明においては、X線の被爆が少なく、かつ簡単に歯列の状況を、目視不可能な歯根や歯の内部まで含めて3次元的に把握することが可能となるため、歯科医療において大きな利用可能性がある。
10 歯列
20 歯
21 前歯
22 右の奥歯(大臼歯)
23 左の奥歯(大臼歯)
80、80A、80B、80C X線源
81 仮想X線源
90、90A、90B、90C フィルム
91 仮想フィルム
95、95A、95B、95C 露光箇所
96、96A、96B、96C 未露光箇所

Claims (12)

  1. 歯列の表面形状に関する3次元データを取得する3次元データ取得ステップと、
    X線パノラマ断層撮影法を用いて撮影された前記歯列のパノラマ画像に関する2次元データを取得するパノラマ画像データ取得ステップと、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された複数の回転軸の位置に基づく複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップと、
    前記仮想パノラマ画像形成ステップにおいて形成された複数の仮想パノラマ画像と、前記パノラマ画像データ取得ステップにおいて取得されたパノラマ画像とを、所定の手順で比較して、前記パノラマ画像に最も近い仮想パノラマ画像を検出する比較検出ステップと、
    前記比較検出ステップにおいて検出された仮想パノラマ画像に対応する回転軸の位置を、パノラマ画像を撮影した時のX線源とフィルムの回転軸の位置と見なして、前記3次元データと前記2次元データを位置合わせし、同一3次元空間へ投影して表示する表示ステップと
    を有していることを特徴とする歯列3次元像生成方法。
  2. 前記比較検出ステップにおける前記複数の仮想パノラマ画像と前記パノラマ画像との比較、検出が、それぞれの画像において、認識が容易な1または複数の箇所の歯が、前記箇所または歯列全体に対して占める長さの比率に基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の歯列3次元像生成方法。
  3. 前記仮想パノラマ画像形成ステップが、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸を1本と仮定して、前記回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯列3次元像生成方法。
  4. 前記仮想パノラマ画像形成ステップが、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸を2本と仮定して、前記2本の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯列3次元像生成方法。
  5. 前記仮想パノラマ画像形成ステップが、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸を3本と仮定して、前記3本の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯列3次元像生成方法。
  6. 前記仮想パノラマ画像形成ステップが、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸を複数の連続した回転軸と仮定して、前記複数の連続した回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得ステップにおいて取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成ステップである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯列3次元像生成方法。
  7. 歯列の表面形状に関する3次元データを取得する3次元データ取得手段と、
    X線パノラマ断層撮影法を用いて撮影された前記歯列のパノラマ画像に関する2次元データを取得するパノラマ画像データ取得手段と、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された複数の回転軸の位置に基づく複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段と、
    前記仮想パノラマ画像形成手段により形成された複数の仮想パノラマ画像と、前記パノラマ画像データ取得手段により取得されたパノラマ画像とを、所定の手順で比較して、前記パノラマ画像に最も近い仮想パノラマ画像を検出する比較検出手段と、
    前記比較検出手段により検出された仮想パノラマ画像に対応する回転軸の位置を、パノラマ画像を撮影した時のX線源とフィルムの回転軸の位置と見なして、前記3次元データと前記2次元データを位置合わせし、同一3次元空間へ投影して表示する表示手段と
    を有していることを特徴とする歯列3次元像生成装置。
  8. 前記比較検出手段における前記複数の仮想パノラマ画像と前記パノラマ画像との比較、検出が、それぞれの画像において、認識が容易な1または複数の箇所の歯が、前記箇所または歯列全体に対して占める長さの比率に基づいて行う比較手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載の歯列3次元像生成装置。
  9. 前記仮想パノラマ画像形成手段が、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの回転軸の位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段である
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の歯列3次元像生成装置。
  10. 前記仮想パノラマ画像形成手段が、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの2本の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段である
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の歯列3次元像生成装置。
  11. 前記仮想パノラマ画像形成手段が、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの3本の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段である
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の歯列3次元像生成装置。
  12. 前記仮想パノラマ画像形成手段が、
    前記X線パノラマ断層撮影法におけるX線源とフィルムとの連続した複数の回転軸を組にしてその位置を所定の手順で複数設定し、前記3次元データ取得手段により取得された3次元データを基に、前記設定された回転軸の組のそれぞれに対応した複数の仮想パノラマ画像を形成する仮想パノラマ画像形成手段である
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の歯列3次元像生成装置。
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