JP2010183753A - 圧電駆動装置および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】設定された駆動量に対して駆動対象物の駆動がオーバーランすることを確実に防止でき、構造が簡易でかつ制御も容易にできる圧電駆動装置を提供すること。
【解決手段】圧電駆動装置10は、圧電素子を有する振動体21で回転されるローター30を有する圧電アクチュエーター20と、ローター30の回転が伝達されるゼネバ駆動車431およびゼネバ被駆動車435を備える間欠伝達装置43と、ゼネバ駆動車431の回転位置を検出可能な回転検出装置と、圧電アクチュエーター20の駆動を制御する駆動制御手段とを備える。ゼネバ駆動車431は、1回転する角度範囲に、ゼネバ被駆動車435を回転する駆動範囲と、ゼネバ被駆動車435を回転しない規制範囲とを備える。規制範囲は、駆動信号の供給を停止し、ゼネバ駆動車431の回転位置が駆動範囲から規制範囲に移動した後、規制範囲内でゼネバ駆動車431の回転が停止する角度に設定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、圧電アクチュエーターを備える圧電駆動装置および電子機器に関する。
電子時計の指針の運針のように、一定角度のステップ運動をさせる場合、一般的には電磁式のステッピングモータが用いられている。
一方で、磁界の影響を受けないように、圧電アクチュエーターで指針を駆動する方法も知られている。
電磁式ステッピングモータは、入力パルス数に応じて駆動対象の駆動量が一義的に決まるのに対し、圧電アクチュエーターは摩擦力で駆動するため、入力エネルギーに対して駆動対象(被駆動体)の駆動量が一義的に決まらない。このため、接点やセンサーなどを用いて被駆動体の駆動量を検出している(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−228374号公報
しかしながら、圧電アクチュエーターで被駆動体を駆動した場合、接点やセンサーによって被駆動体の駆動量を検出した検出結果に応じて駆動を停止したとしても、駆動系の慣性の影響で被駆動体はすぐには停止しないため、オーバーランが生じる。
さらに、本発明者が鋭意研究した結果、駆動源として圧電アクチュエーターを用いた場合、圧電アクチュエーターは、駆動信号の入力を停止しても減衰振動をしており、それによって被駆動体が駆動してオーバーランが生じることが新たに分かってきた。
このようなオーバーランが生じた際に、前記特許文献1の第3実施形態では、ローターを逆回転して戻している。
しかしながら、この場合、ローターをどちらの方向にも回転できるように圧電アクチュエーターを構成しなければならず、圧電アクチュエーターの構成が複雑になったり、駆動効率が低下するおそれがある。
さらに、オーバーランが生じた際に、ローターを逆回転する制御に時間がかかり、例えば、時計のように、1秒間隔や20秒間隔でステップ運針をしなければならない場合に、制御が複雑になるという問題もある。
本発明の目的は、設定された駆動量に対して駆動対象物の駆動がオーバーランすることを確実に防止でき、構造が簡易でかつ制御も容易にできる圧電駆動装置および電子機器を提供することである。
本発明の圧電駆動装置は、圧電素子を有する振動体および前記振動体で回転されるローターを有する圧電アクチュエーターと、前記ローターの回転エネルギーが伝達されて回転する駆動車およびこの駆動車の回転に連動して間欠的に回転する被駆動車を備える間欠伝達装置と、前記駆動車が所定の回転位置に達したことを検出可能な回転位置検出手段と、前記圧電素子に駆動信号を供給して圧電アクチュエーターの駆動を制御する駆動制御手段とを備えた圧電駆動装置であって、前記駆動制御手段は、外部からの駆動開始信号に基づいて前記圧電素子への駆動信号の供給を開始し、かつ、前記回転位置検出手段で前記駆動車が所定の回転位置に達したことを検出すると前記駆動信号の供給を停止し、前記駆動車は、駆動車が1回転する角度範囲に、駆動車の回転に連動して前記被駆動車を回転する駆動範囲と、駆動車が回転しても前記被駆動車を回転しない規制範囲とが設定され、前記規制範囲は、前記駆動制御手段によって前記圧電素子への駆動信号の供給が停止された後、前記規制範囲内で駆動車の回転が停止されるように設定されていることを特徴とする。
ここで、振動体は、少なくとも駆動信号が圧電素子に与えられることで振動し、その振動によってローターを一方の所定方向に回転させるように構成されていればよい。例えば、振動体は、圧電素子自体を振動させてローターを回転させるように構成してもよいし、板状の圧電素子と補強板とを積層させたものを振動させてローターを回転させるように構成してもよい。また、ローターが一方の所定方向に回転するとは、ローターが第1方向および逆方向の第2方向に回転する場合に、第1又は第2のいずれか一方の決められた方向にローターが回転することを意味する。
なお、本発明の圧電駆動装置で駆動される回転対象物としては、ローターの回転が間欠伝達装置を介して伝達されて回転駆動されるものであればよい。例えば、指針式時計の駆動装置として本発明の圧電駆動装置を用いた場合は、時針や分針などの指針や、それらの指針が取り付けられる筒車、二番車等が駆動対象となる。また、前記回転エネルギーは回転力などを含むものである。
また、前記駆動車の駆動範囲および規制範囲は、少なくとも1つずつ設ければよいが、各範囲を2つ以上設けてもよい。例えば、駆動範囲および規制範囲を交互に設定して、各範囲を2つずつ設けてもよい。
本発明によれば、回転位置検出手段で駆動車が所定の回転位置に達したことを検出すると、駆動制御手段は圧電素子への駆動信号の供給を停止している。また、駆動車は、駆動信号の供給を停止してからも、振動体の減衰振動や駆動系の慣性などで回転するが、この回転角度の最大値は実験などによって予め予測できる。従って、駆動車が所定の回転位置に達して駆動信号の供給を停止した後、駆動車が停止する位置が規制範囲内となるように設定できる。
このため、駆動信号の供給を停止した後に、駆動車の回転角度は規制範囲を超えることがないため、駆動車が規制範囲に入ったために回転が規制された被駆動車は停止した状態のままで保持される。従って、駆動信号の供給を停止した後に、振動体の減衰振動等で駆動車が多少回転しても、駆動車は規制範囲内で停止し、被駆動車も駆動車が規制範囲にあることで回転が規制されて停止するため、圧電アクチュエーターによって回転される回転対象物のオーバーランを防止できる。このため、回転対象物の回転角度の精度を向上させることができ、回転対象物で回転される指針等の表示手段の表示精度を向上させることができる。
特に、圧電アクチュエーターを用いて時計等の指針を駆動させる際には、指針を一定間隔で動かすことが非常に重要であるので、圧電アクチュエーターを用いた圧電駆動装置によって回転対象物を一定角度毎に動かすことができれば、指針の一定角度毎のステップ運針を実現でき、指針の位置ずれも防止でき、指示精度を向上できる。
ここで、前記規制範囲は、前記駆動範囲以上の角度に設定されていることが好ましい。
例えば、駆動範囲が60度の角度に設定されていた場合、規制範囲は60度以上、例えば120度に設定すればよい。
本発明によれば、規制範囲が駆動範囲以上であるため、駆動車がオーバーランした場合に、駆動車が規制範囲を超えて再度駆動範囲まで回転し、このために被駆動車の再度回転し始めることを確実に防止できる。
本発明の圧電駆動装置において、前記規制範囲は、前記駆動範囲の2倍の角度以下に設定されていることが好ましい。
例えば、駆動範囲が60度の角度範囲に設定されていた場合、規制範囲はその2倍である120度以下に設定すればよい。
規制範囲を駆動範囲に比べて大きくすると、駆動車のオーバーラン時に被駆動車が回転することを防止できる利点があるが、一方で、駆動車を回転させた際の回転伝達の効率が低下する。例えば、駆動範囲が60度で規制範囲が300度の場合、駆動車が1回転(360度回転)した際に、被駆動車が回転できるのは、その1/6の角度範囲のみであり、その他の5/6の角度範囲は規制範囲とされて被駆動車の回転が規制される。このため、圧電駆動装置の伝達効率が低下する。
これに対し、本発明によれば、規制範囲を駆動範囲の2倍以下の角度範囲に制限しているので、駆動車が1回転(360度回転)した際の駆動範囲を1/3以上にすることができ、圧電駆動装置の伝達効率を向上できる。
本発明の圧電駆動装置において、前記規制範囲は、前記駆動信号の供給を停止した後における前記振動体の減衰振動による駆動車の回転角度と、前記ローターから駆動車までの駆動系の慣性によって前記停止の後に回転する駆動車の回転角度との合計値よりも大きな角度に設定されていることが好ましい。
圧電駆動装置において、駆動車のオーバーランが発生する原因としては、振動体を停止しても減衰振動が生じて駆動車が回転してしまうことと、ローターから駆動車までの駆動系の慣性によって駆動車が回転してしまうことが想定できる。
従って、本発明によれば、駆動車が駆動範囲を超えた時点で振動体を停止させた際に、前記減衰振動や慣性によって駆動車がオーバーランしても、駆動車を規制範囲内で停止させることができる。このため、駆動車がオーバーランで再度駆動範囲に入ってしまい、被駆動車が回転してしまうことがなく、被駆動車や回転対象物を一定角度毎に正確に駆動することができる。
ここで、前記回転位置検出手段は、前記ローターの回転エネルギーが伝達されて回転する回転検出車と、この回転検出車の回転位置を検出するセンサーとを備えて構成され、前記規制範囲は、さらに前記回転位置検出手段の検出誤差量と、前記回転検出車と駆動車との位相ズレ量とを加算した値よりも大きな角度に設定されていることが好ましい。
駆動車の回転位置を回転検出車およびセンサーを備える回転位置検出手段で検出する場合、回転位置検出手段の検出誤差量や、回転検出車と駆動車との位相ズレ量が、検出位置精度に影響する。このため、回転位置検出手段で位置検出を行った際に、駆動車が目的の位置からずれている可能性がある。そのため、駆動車が既に駆動範囲を超えているのにもかかわらず、回転位置検出手段の検出では駆動範囲を超えていないと判断してしまい、駆動車がオーバーランするおそれがある。
本発明では、前記回転位置検出手段の検出誤差を考慮して規制範囲を設定しているので、上記のような誤検出によってオーバーランが生じても、規制範囲内で駆動車が停止するため、被駆動車や回転対象物を一定角度毎に正確に駆動することができる。
本発明の圧電駆動装置において、前記回転位置検出手段で検出する前記駆動車の所定の回転位置は、前記駆動範囲内であり、かつ、前記駆動信号の供給が停止された後、駆動車の回転が停止されるまでに、前記駆動車の回転位置が規制範囲に達する位置に設定されていることが好ましい。
本発明では、前記駆動信号の供給を停止して振動体を停止した後の、減衰振動や駆動系の慣性などによる駆動車のオーバーランを考慮し、駆動車が駆動範囲を超える手前で前記駆動信号の供給を停止し振動体を停止しても、前記オーバーランによって駆動車が駆動範囲を超えて停止するように設定したものである。
この場合、駆動車は、オーバーランを含んで駆動範囲を超えた時点で停止するため、規制範囲を小さな角度範囲に設定することができる。例えば、駆動範囲が60度の場合で、オーバーランによって5度程度回転する場合、本発明では、駆動車が駆動範囲を55度回転したポイントを回転位置検出手段で検出しこの検出結果により振動体を停止させ、前記オーバーランによって駆動範囲(60度)回転するようにすれば、オーバーラン時の回転伝達を規制する規制範囲を小さくでき、例えば、30度程度にすることもできる。このため、駆動車が1回転する間の駆動範囲を大きくでき、圧電駆動装置の伝達効率を向上することができる。
本発明の圧電駆動装置において、前記ローターから間欠伝達装置の駆動車までの伝達経路には、前記ローターから伝達される回転エネルギーを弾性エネルギーとして蓄積可能な弾性装置を備え、前記間欠伝達装置の駆動車は、前記弾性装置で蓄積された弾性エネルギーが伝達されて回転駆動されることが好ましい。
弾性装置を設ければ、圧電アクチュエーターの起動時に加わる負荷から、前記弾性装置以降に設けられる輪列や回転対象物(指針等)の慣性負荷や軸受負荷を無くすことができる。このため、圧電アクチュエーターの起動時の負荷を軽減でき、その分、消費電力も低減できる。
また、弾性装置をローターと前記駆動車との間に設けているので、落下等で回転対象物が回転した際に、その回転対象物からの回転(衝撃)を、弾性装置を介さずに間欠伝達装置で受けることができる。そのため、弾性装置の弾性力を大きく設定する必要が無く、圧電アクチュエーターの起動時に、弾性装置による負荷を低減できるため、圧電駆動装置を低電力で駆動することができる。
さらに、圧電アクチュエーターを停止状態から起動させる際、回転エネルギーを伝える伝達経路に弾性装置が設けられているので、比較的慣性モーメントの大きい指針等の回転対象物は、圧電アクチュエーターにより直接回転されず、圧電アクチュエーターで直接回転させる部分の慣性モーメントが回転対象物の分だけ小さくなる。従って、回転対象物を所定角度だけ回転させる場合に、圧電アクチュエーターの駆動時間を短くすることができるので、駆動信号を供給する時間も短くなって、始動性が向上されるとともに、低電力で駆動することができる。
また、回転対象物を所定角度だけ回転させる場合に、ローターを所定角度以上回転させれば、間欠伝達装置によって被駆動車の回転角度を所定角度に規制できる。すなわち、本発明では、間欠伝達装置を設けることで、回転エネルギーを伝達しつつ、かつ、被駆動車つまりは回転対象物の回転角度を一定にすることができる。
さらに、ローターを振動体により一方の所定方向に回転すれば、ローターから伝達される弾性エネルギーは前記一方の所定方向で蓄積されることになり、弾性装置は上記弾性エネルギーを蓄積しやすくかつ効率よく蓄積できる。加えて、ローターが振動体により一方の所定方向とその逆方向の双方に回転させられ前述の駆動車も上記双方に回転させられる場合には、駆動車と被駆動車との噛み合い部に生じているバックラッシにより被駆動車の回転方向の位置が定まりにくくなるが、本発明ではローターが一方の所定方向に回転するとともに回転後は振動体により停止させられているので、前述のようなバックラッシの影響を受けることがなく、従って前記駆動車の回転角度が安定する。このため、被駆動車を所定角度に確実に回転することができ、同時に被駆動車が駆動車を回転することを確実に禁止することができる。
その上、弾性装置と間欠伝達装置は同一経路上に設けることができるので、設計上の制約も無くすことができ、圧電駆動装置を容易に設計、製造することができる。
さらに、回転対象物を所定角度だけ回転させる場合に、ローターを所定角度以上回転させれば、蓄積された弾性エネルギーによって、ローターの回転時間よりも長い時間をかけて回転対象物を回転させることもできるので、ローターを所定角度だけ回転させた時点で圧電アクチュエーターを停止させても、回転対象物を所定角度まで回転させることができる。
本発明の圧電駆動装置において、前記ローターおよび前記間欠伝達装置の駆動車間には増速輪列が設けられ、前記ローターの回転は前記増速輪列で増速されて前記間欠伝達装置の駆動車に伝達され、前記間欠伝達装置の被駆動車および回転伝達装置によって回転される回転対象物間には減速輪列が設けられ、前記間欠伝達装置の被駆動車の回転は前記減速輪列で減速されて前記回転対象物に伝達されることが好ましい。
本発明では、ローターの回転は増速輪列で増速されて間欠伝達装置の駆動車に伝達され、さらに、間欠伝達装置の被駆動車から減速輪列で減速されて回転対象物に伝達される。間欠伝達装置では、駆動車の回転に連動して被駆動車が回転する。この際、駆動車の回転量にバラツキが生じても被駆動車の回転量を一定にするためには、例えば、駆動車が180度回転する間に、120度の範囲は被駆動車を回転しない規制範囲とし、残りの60度の範囲で被駆動車を回転する駆動範囲とすればよい。このようにすれば、駆動車は被駆動車を回転する60度の駆動範囲以上回転すれば、規制範囲での回転量にバラツキが生じても、被駆動車を一定角度回転することができる。すなわち、規制範囲をある程度大きく確保することで、駆動車のバラツキに影響されずに被駆動車を一定角度回転することができる。
そして、本発明では、ローターからの回転を増速して間欠伝達装置に伝達しているので、仮に、駆動車を180度回転する場合でも、ローターの回転角度は増速比に応じて小さくできる。ローターの回転角度を小さくできれば、圧電アクチュエーターの駆動時間も短くでき、その分、消費電力も低減できる。
また、間欠伝達装置の出力は減速輪列で減速できるため、前記増速輪列の増速比は、回転対象物の回転速度に左右されずに、圧電アクチュエーターの駆動時間と、駆動車の回転量(回転角度)とを考慮して容易に設定できる。
本発明の圧電駆動装置において、前記増速輪列は、回転検出車を備え、前記回転位置検出手段は、前記回転検出車が所定角度回転したことを検出し、前記駆動制御手段は、圧電アクチュエーターの駆動開始後、前記回転位置検出手段で前記回転検出車が所定角度回転したことを検出すると前記圧電アクチュエーターを駆動する駆動信号の出力を停止することが好ましい。
ここで、回転位置検出手段は、回転検出車の回転を連続して検出するものでもよいし、間欠的に検出するものでもよい。
本発明では、ローターの回転に連動する増速輪列に回転検出車を配置しているので、ローターの回転角度が小さい場合でも、回転検出車の回転角度を大きくでき、その回転を容易に検出することができる。例えば、ローターの回転から回転検出車までの増速比を6倍とすれば、仮にローターが7.5度回転した際に、回転検出車は45度回転する。ローターが7.5度回転したことを直接検出しようとすると、回転角度が小さいために精度良く検出することが難しい。これに対し、本発明では、増速された回転検出車で検出できるので、検出精度も向上できる。
そして、本発明では、回転位置検出手段で回転検出車が所定角度回転したことを検出すると、前記圧電アクチュエーターを停止しているので、圧電アクチュエーターの駆動も精度良く制御できる。
本発明の圧電駆動装置において、前記間欠伝達装置は、前記被駆動車から駆動車へは回転を伝達しない非可逆歯形伝達装置で構成されていることが好ましい。
非可逆歯形伝達装置は、駆動車から被駆動車への回転は伝達できるが、逆に被駆動車から駆動車への回転の伝達は非常に効率が低く、通常は、回転を伝達することができないものであり、例えば、ゼネバ駆動車およびゼネバ被駆動車を備えたゼネバ歯車装置や、アンクルおよびガンギを備えた装置などが利用できる。
本発明は、間欠伝達装置として、被駆動車から駆動車への回転効率が低い非可逆歯形伝達装置を用いることで、被駆動車が所定角度回転した際に、前記被駆動車から前記駆動車への駆動を禁止しているので、例えば、時計を落下した場合の衝撃などが指針に加わっても、指針からの回転力は間欠伝達装置によって被駆動車および駆動車間で止まり、ローター側に伝達することを防止できる。このため、時計を落下した場合に、その落下の衝撃で指針の指示がずれてしまうことも防止できる。
本発明の圧電駆動装置において、前記間欠伝達装置は、ゼネバ駆動車およびゼネバ被駆動車を備えたゼネバ歯車装置で構成され、前記ゼネバ駆動車は、前記ゼネバ被駆動車の歯に係合して前記ゼネバ被駆動車を回転させる爪と、前記ゼネバ被駆動車の歯が当接してゼネバ被駆動車を回転しない規制部とを備え、前記ゼネバ駆動車の回転範囲には、前記爪がゼネバ被駆動車の歯に当接してゼネバ被駆動車を回転する駆動範囲と、前記規制部がゼネバ被駆動車の歯に当接してゼネバ被駆動車を回転しない規制範囲とが設けられていることが好ましい。
本発明では、ゼネバ歯車装置を用いて間欠伝達装置を構成しているので、間欠伝達装置の構成を簡単にでき、部品点数も少なくできる。さらに、ゼネバ歯車装置を用いれば、回転対象物を間欠運転させる際に、ローターの回転角度のばらつきの影響を受けずに済み、指針等を正確な1ステップ分の回転角度で駆動させることができる。
さらに、本発明では、ゼネバ駆動車における規制範囲を比較的大きくできるため、振動体を停止した後の減衰振動や、回転していたローターなどの慣性によって駆動車の回転にオーバーランなどが生じても、前記規制範囲を超えて次の駆動範囲に入ってしまうことを未然に防止できる。このため、ゼネバ被駆動車を所定角度だけ確実に回転できるように、圧電アクチュエーターの駆動量を設定できる。
本発明の圧電駆動装置では、前記弾性装置は、渦巻バネであることが好ましい。
ここで、渦巻バネとして、時計等に使用されるひげぜんまいや、動力ぜんまいを使用できる。
本発明によれば、弾性装置として渦巻バネを用いているので、大きな変位量を確保するために、渦巻バネの巻き数を増加させても、U字バネや片持ちバネを使用する場合と比べて、設置空間をそれほど広げることなく、渦巻バネを配置できる。さらに、大きな変位量を確保すれば、弾性装置の変位量に関わらず略一定の弾性エネルギーを生じさせることができる。従って、外部の衝撃の大小に関わらず、回転対象物が弾性装置から略一定の弾性エネルギーを受けるので、回転対象物の動作を安定させることができる。
本発明の圧電駆動装置では、前記ローターからの回転が伝達されるローター伝達車を備え、前記ローター伝達車および前記間欠伝達装置の駆動車は、同じ回転軸上に配置され、前記弾性装置は、一端が前記ローター伝達車に係合され、他端が前記駆動車に係合されていることが好ましい。
本発明によれば、同軸上に配置されたローター伝達車および間欠伝達装置の駆動車の間に、弾性装置を配置させることができるので、弾性装置をコンパクトに配置できる。
また、ローターと同軸に配置されたローター歯車上に、駆動車を設け、それらの間に弾性装置を配置した場合、ローター、ローター歯車、弾性装置、駆動車が軸方向に重なるため、厚さ寸法も大きくなる。これに対し、本発明では、ローター伝達車は、ローターとは別の軸に配置できるため、ローター伝達車、弾性装置、駆動車のみが積層され、ローターが積層されない分、薄型化できる。
本発明の圧電駆動装置では、前記間欠伝達装置の被駆動車と同じ回転軸上に配置された伝達車を備え、前記弾性装置は、一端が前記被駆動車に係合され、他端が前記伝達車に係合されていることが好ましい。
本発明によれば、間欠伝達装置の被駆動車と伝達車とが同一の軸上に形成されているので、間欠伝達装置の出力側に弾性装置を配置する場合に、弾性装置をコンパクトに配置できる。
ここで、本発明の圧電駆動装置では、前記振動体は、板状に形成されるとともに、前記ローターの外周面に接触する当接部を有して構成され、前記振動体および前記ローターのいずれか一方を、前記振動体および前記ローターのいずれか他方に対して押圧する押圧手段を備えていることが好ましい。
また、振動体は少なくとも板状に形成されていればよく、例えば、菱形、台形、平行四辺形等に形成されてもよい。また、当接部は、少なくとも、ローターの外周面に接触するように設けられていればよく、例えば、板状振動体の端部から突出した形状とされてもよく、または、板状振動体の隅部で形成されてもよい。また、押圧手段によって、ローターが振動体に向かって押されてもよく、振動体がローターに向かって押されてもよい。押圧手段の押圧方向は、ローターの回転軸に対して略直交する方向であり、押圧方向と、振動体の振動方向とが同一平面上となることが好適である。
本発明によれば、振動体が板状に形成されているので、圧電駆動装置の薄型化を促進できる。また、押圧手段を備えているので、当接部とローターの外周面との摩擦力を増大でき、振動体の振動によってローターを回転させる際の駆動力を確実に伝達できる。
本発明の電子機器は、前述の圧電駆動装置と、この圧電駆動装置により駆動される被駆動部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、圧電駆動装置を駆動源とする各種電子機器を構成できる。この際、圧電駆動装置による被駆動部の駆動が磁界に影響されることを防止でき、かつ、駆動時の消費電力も低減できる。
本発明の電子機器において、前記被駆動部は、計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部であることが好ましい。
本発明によれば、圧電駆動装置によって時計の指針などの計時情報表示部を駆動できるため、指針等の駆動が磁界に影響されることを防止でき、かつ、計時情報表示部の指針等を低電力で駆動させることができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、後述する各実施形態において、以下に説明する第1実施形態での構成部材と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
[全体構成]
図1は、本実施形態における圧電駆動装置を用いた電子機器としての電子時計1の概略構成を示す平面図であり、図2、3はその要部の断面図である。
なお、図1は、電子時計1の時刻表示側とは反対側(裏蓋側)から見た図であり、この図1において、上方向が電子時計1の3時方向、下方向が9時方向、右方向が12時方向、左方向が6時方向となっている。図2、3も、電子時計1の時刻表示側を下、裏蓋側を上にした図となっている。
図1に示すように、電子時計1は、時刻を表示する指針を駆動する圧電駆動装置10と、電池2と、IC5と、水晶振動子6とを備えている。IC5、水晶振動子6等は、図示しない回路基板に設けられている。電池2は、電池押え部で保持されている。
また、本実施形態の電子時計1は、指針として時針および分針を備えた二針式の腕時計である。
[圧電駆動装置の構成]
図1〜3に示すように、指針を駆動する圧電駆動装置10は、圧電アクチュエーター20と、圧電アクチュエーター20の出力を回転対象物である指針まで伝達する回転伝達装置40とを備えている。
[圧電アクチュエーターの構成]
圧電アクチュエーター20は、振動体21と、ローター30とを備えて構成されている。振動体21は、図2に示すように、2枚の長方形かつ板状の圧電素子22の間に、これらの圧電素子22と略同形状であり、かつ圧電素子22よりも肉厚の薄いステンレス鋼等の補強板23を挟んで接着した積層構造を有している。
圧電素子22としては、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT(商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。
振動体21は、一短辺の幅方向端部に当接部25を有している。この当接部25は、補強板23を切断成形する等の方法により得られたものであり、緩やかな曲面を持った先端部分を圧電素子22から突出させている。振動体21は、この当接部25の先端をローター30の外周面に当接させる姿勢を保っている。
なお、本実施形態では、当接部25は、振動体21の幅方向の中心軸に対して偏心した位置に形成されているため、圧電アクチュエーター20は、振動体21の幅方向の重量バランスがアンバランスとされ、屈曲振動が生じやすいように構成されている。なお、振動体21の他の短辺には、前記当接部25と同様の突起部26が振動体21の平面中心に対して対象となる位置に形成され、前記振動体21の屈曲振動がより生じやすいようにされている。
圧電アクチュエーター20の長手方向の一側面には支持部27が形成されている。支持部27は、補強板23と一体形成されたものである。この支持部27は、地板などにネジ等で固定されている。
また、支持部27には圧電素子用回路基板が取り付けられ、圧電素子22の表面に設けられる駆動電極に、回路基板が伸ばされて回路基板の表面に配置されているリード線が接続され、圧電素子22を駆動可能に構成されている。
このような振動体21の駆動電極に、所定周波数の電圧(駆動信号)を印加すると、圧電素子22が長手方向に沿って伸縮する縦一次振動モードの振動を励振する。このとき、振動体21の対角線上両端には当接部25、突起部26が設けられているので、振動体21は全体として長手方向中心線に対して重量がアンバランスとなる。このアンバランスにより、振動体21は長手方向に略直交する方向に屈曲する屈曲二次振動モードの振動を励振する。したがって、振動体21は、これらの縦一次振動モードおよび屈曲二次振動モードを組み合わせた振動を励振し、当接部25は、略楕円軌道を描いて振動する。
このような圧電アクチュエーター20における駆動特性を図4に示す。
図4(A)は、振動体21でローター30を回転している際に、振動体21の駆動を開始した時点(時間0sec)からの経過に伴うローター30の速度変化を示すグラフである。
図4(B)は、時間経過に伴う振動体21のローター30に当接する当接部25のX軸方向の変位を表すグラフであり、図4(C)は同じく当接部25のY軸方向の変位を表すグラフである。
そして、図4では、図4の一点鎖線で示す時点(0.0025秒経過時)で振動体21への駆動信号の入力を停止した状態を示している。図4から分かるように、振動体21への駆動信号の入力を停止しても、振動体21は減衰振動をするため、ローター30の回転速度も一旦上昇してから低下する。このため、ローター30の回転速度が「0」になるまでに所定の時間が掛かり、その間はローター30の回転が伝達されることになる。そこで、本実施形態では、後述するように、間欠伝達装置43を設けたものである。
[ローターの構成]
前記振動体21に当接して駆動されるローター30は、ローター案内体320に回転自在に保持されている。このローター30およびローター案内体320によってローターブロックが構成されている。また、ローター30には、ローター30と一体で回転するローター歯車31が設けられている。
ローター案内体320は、図1に示すように、揺動軸321を中心に揺動自在に配置され、押圧手段である押圧バネ35の一端がローター案内体320のピン322に当接されている。
押圧バネ35の他端は地板などに設けられた固定ピン36に係止され、固定ピン36およびローター案内体320間に配置された押圧バネ35が撓んでローター案内体320を付勢するようにされている。
このローター案内体320が押圧手段(押圧バネ35)によって付勢されることで、ローター30は圧電アクチュエーター20の当接部25に所定の当接力(接触圧)で当接されている。このため、前記圧電アクチュエーター20の振動体21が振動し、当接部25が略楕円軌道を描いて振動すると、この当接部25が側面に当接されたローター30も回転する。本実施形態では、図1において、ローター30は時計回りに回転する。従って、本実施形態では、ローター30が回転される一方の所定方向とは、図1における時計回り方向となる。
[回転伝達装置の構成]
回転伝達装置40は、ローター30の回転エネルギーを回転対象物に伝達するものであり、図2、3,5に示すように、回転検出車41と、弾性装置42と、間欠伝達装置43と、三番車44と、二番車45と、日の裏車46、筒車47とを備えている。
なお、図5は、第1実施形態の回転伝達装置を示す平面図である。
[回転検出車の構成]
回転検出車41は、前記ローター歯車31に噛み合うカナ411と、カナ411と一体に回転する歯車412とを備え、地板3および輪列受4で回転自在に支持されている。
歯車412は、中心軸に配置されたボス部412Aと、外周に配置された円環状のリム部412Bと、ボス部412Aからリム部412Bに向かって放射状に複数本設けられたスポーク部412Cを備えて構成されている。このため、ボス部412Aおよびリム部412B間は、スポーク部412Cを除いて孔が形成されている。
[弾性装置の構成]
弾性装置42は、カナ421と、軸422と、バネ係止部材423と、間欠伝達装置43のゼネバ駆動車431に固定された軸受リング424と係止ピン425と、渦巻きバネ426と、カバー427とを備えている。ゼネバ駆動車431は中心部に固定された軸受リング424により軸422に対して回転可能に配置されている。
カナ421は、地板3および輪列受4に回転自在に支持された軸422と一体に回転し、前記回転検出車41の歯車412に噛み合っている。
バネ係止部材423は、軸422に嵌合されて一体に回転し、前記渦巻バネ426の内周側の端部が係止されている。この渦巻きバネ426の外周側の端部は、前記係止ピン425に係止されている。従って、本実施形態では、一体で回転するカナ421、軸422、バネ係止部材423によって、ローター30からの回転が回転検出車41を介して伝達され、かつ、渦巻バネ426の一端が係合されるローター伝達車が構成されている。
カバー427は、軸422に対して所定平面位置にて固定されており、バネ426の中間部が輪列受4側に飛び出してくることを防止している。さらにカバー427は、上記所定平面位置にて軸422に固定されていることにより、図5に図示するように、渦巻きバネ426の外端を固定した係止ピン425を側面で度決めして位置決めすることができる。この位置決めにより渦巻きバネ426の弾性力によりゼネバ駆動車431を所定回転位置、すなわち係止ピン425がカバー427の側壁に度当たりしている位置に保持されるものである。
渦巻バネ426は、断面円形状のばね素線を図5における平面上で時計回りの渦巻状に巻いて形成されている。この渦巻バネ426は、カナ421、軸422、バネ係止部材423が、ゼネバ駆動車431よりも時計回りに先行して回転することにより、巻き数が増える方向に弾性変形して、カナ421に伝達された駆動力を弾性エネルギーとして蓄積することができる。
また、前記渦巻バネ426は、初期撓み(初期弾性変形)を持たせた状態で、バネ係止部材423および係止ピン425に係止されている。具体的には、圧電アクチュエーター20が停止されている状態、すなわちカナ421、軸422、カバー427が停止している状態において、前記初期撓みによる弾性力は、ゼネバ駆動車431の係止ピン425がカバー427の側壁に確実に当接する程度に設定されている。この状態においては、ゼネバ被駆動車435の歯436と歯437とがゼネバ駆動車431の規制部433に当接しており、ゼネバ被駆動車435は回転方向に位置決めされているとともに、ゼネバ被駆動車435側からの回転力が生じてもゼネバ被駆動車435の回転は禁止されている。さらに上記のように初期撓みを持たせると、時針、分針等の指針が重たい(慣性モーメントが大きい)場合であっても、針を駆動しやすくなる。
[間欠伝達装置の構成]
間欠伝達装置43は、非可逆歯形伝達装置であるゼネバ歯車装置で構成され、ゼネバ駆動車(原動歯車)431と、ゼネバ駆動車431によって回転するゼネバ被駆動車(従動歯車)435とを備えている。
ゼネバ駆動車431は、中央部に固定された軸受リング424を介して前記軸422に対して回転自在に支持されている。そして、ゼネバ駆動車431の回転軸を中心とした対称位置つまりゼネバ駆動車431の回転方向に180度間隔の2箇所に、ゼネバ被駆動車435に係合する爪(歯)432が設けられている。また、この2つの爪432の間にある円弧状の外周面により、規制部433が構成されている。この規制部433の中心軸からの半径は、爪(歯)432の歯底円半径よりも大きく、かつ、歯先円半径よりも小さく設定されている。
ゼネバ被駆動車435は、その外周面において回転方向に72度間隔の5箇所に形成された歯436と、各歯436に対応して形成された歯437と、中心軸に設けられたカナ438とを備えている。
歯436と歯437との間隔は、歯436を基準にその反回転方向に配置された歯437との間隔は20度程度と小さな小間隔とされ、回転方向に配置された歯437との間隔は50度程度と大きな大間隔とされている。
そして、図6(A)に示すように、前記大間隔部分を挟む2つの歯437,436がゼネバ駆動車431の規制部433に当接している状態では、ゼネバ被駆動車435は回転方向および反回転方向のいずれにも回転することができない。すなわち、ゼネバ被駆動車435は、ゼネバ駆動車431で回転が規制された状態とされている。
このゼネバ被駆動車435の回転規制状態は、ゼネバ駆動車431が回転して爪432が歯436に当接するまで継続される。本実施形態では、図6(A)の状態からゼネバ駆動車431が120度回転する間は、ゼネバ被駆動車435の回転が規制される。
そして、図6(B)に示すように、ゼネバ駆動車431の爪432が、ゼネバ被駆動車435の歯436に当接した状態からさらにゼネバ駆動車431が回転すると、図6(C)に示すように、ゼネバ被駆動車435も連動して回転する。図6(C)の状態からゼネバ駆動車431がさらに回転すると、爪432がゼネバ被駆動車435の歯436を送りきる。その場合には、ゼネバ駆動車431の爪432の背後に形成されている溝縁434が歯437と噛合っているので歯437を送ることになる。この溝縁434が歯437を送りきった状態が図6(A)である。そして、図6(A)の状態に戻った位置でゼネバ被駆動車435の回転は停止する。この際、ゼネバ駆動車431がオーバーランしてさらに回転したとしても、ゼネバ駆動車431の次の爪432がゼネバ被駆動車435の歯436に当接する位置までゼネバ駆動車431が回転しなければ、ゼネバ駆動車431の回転がゼネバ被駆動車435に伝達されることはない。
すなわち、本実施形態では、ゼネバ駆動車431が180度回転すると、そのうちの120度回転している間(規制範囲)は、ゼネバ被駆動車435は回転が規制されて停止している。従って、規制範囲は、ゼネバ駆動車431の回転によって、爪432が、図6(A)の位置すなわち図6(B)の一点鎖線で示す位置から、図6(B)の実線の位置まで回転する角度範囲R1となる。
一方、ゼネバ駆動車431が残りの60度回転する間(駆動範囲)は、ゼネバ駆動車431に連動してゼネバ被駆動車435が72度回転する。従って、駆動範囲は、爪432が、図6(B)の実線の位置から、図6(B)の点線の位置すなわち図6(A)の位置まで回転する角度範囲R2となる。
従って、ゼネバ被駆動車435は、ゼネバ駆動車431の回転に連動して間欠的に回転する。
以上のように、ゼネバ駆動車431からの回転によってゼネバ被駆動車435は間欠的に回転し、かつ、その回転角度は所定角度に設定されている。一方、ゼネバ被駆動車435側が回転しても、その回転はゼネバ駆動車431に規制されてゼネバ駆動車431側には伝達されない。従って、ゼネバ駆動車431およびゼネバ被駆動車435は、非可逆歯形伝達装置とされ、ゼネバ駆動車431の回転に伴ってゼネバ被駆動車435が所定角度(72度)ごと間欠的に回転し、前記所定角度回転した際には前記ゼネバ被駆動車435からゼネバ駆動車431への駆動を禁止する間欠伝達装置を構成している。
さらに、前記爪432は、その先端がゼネバ駆動車431の回転方向に向かって傾斜して形成されており、左右非対称の歯形形状とされている。このため、図6(B)に示すように、ゼネバ駆動車431が図6(B)の矢印方向に回転してゼネバ被駆動車435の歯436に当接すると、爪432は歯436をゼネバ被駆動車435の回転方向に押すため、ゼネバ被駆動車435は回転駆動される。
一方、ゼネバ駆動車431が逆方向に回転する場合、爪432が歯437に当接するが、爪432の先端が傾斜されていることで、爪432は歯437をゼネバ被駆動車435の回転中心方向に押すため、ゼネバ被駆動車435に回転を伝達できないように構成されている。
[ゼネバ被駆動車以降の輪列の構成]
ゼネバ被駆動車435のカナ438は、図1〜3,5に示すように、三番車44に噛み合い、三番車44のカナ441は、二番車45に噛み合っている。さらに、二番車45には二番カナ451が設けられ、この二番カナ451は日の裏車46に噛み合い、日の裏車46のカナ461は筒車47に噛み合っている。
二番車45の二番カナ451の先端には図示しない分針が取り付けられる。また、筒車47の先端には図示しない時針が取り付けられる。これらの各歯車44〜46は、地板3および輪列受4に軸支されている。
なお、秒針を設ける場合には、通常の時計と同様に、四番車や、四番車と一体に回転する秒カナを二番カナ451内に配置して秒針を取り付ければよい。但し、本実施形態では、秒針が設けられていないため、二番カナ451の内部には二番カナ451を回転自在に支持する軸部材48が設けられている。
[回転検出装置の構成]
本実施形態の電子時計1は、回転検出車41の回転を検出する回転検出装置(回転位置検出手段)70を備えている。
回転検出装置70は、回転検出車41のスポーク部412Cあるいはスポーク部412C間の孔部分を検出することで、回転検出車41が所定角度回転したかを検出している。
具体的には、回転検出装置70は、LED等の発光素子およびフォトトランジスタ等の受光素子を備えた反射型や透過型の光センサーが用いられる。本実施形態では、反射型の光センサーが用いられ、歯車412の裏蓋側から光を投射し、孔を通して地板3で反射した光あるいはスポーク部412Cで反射した光を受光するように設定し、その受光素子の出力で回転検出を行っている。
より具体的には、本実施形態では、回転検出装置70からの回転検出車41の孔を通して地板3で反射した光を受光素子で受光して検出するように構成されている。このため、スポーク部412Cが回転方向に45度間隔で形成されている場合、前記孔を透過する反射光の検出も回転検出車41が45度回転する毎に、受光素子の出力が所定値以上となるオン状態と、所定値未満となるオフ状態とに変化することになる。従って、受光素子の出力を所定の閾値と比較することで、回転検出車41が45度回転したか否かを検出できる。
なお、一般に、反射型光センサーでは、光センサーの受発光面から反射面まで所定の距離が必要となる。従って、スポーク部412Cで反射させる場合に比べて、地板3で反射させるほうが、光センサーを地板3に近づけて配置でき、その分、時計1を薄型化できる利点がある。
なお、回転検出装置70は、回転検出車41の移動量(回転角度)を検出するものに限らず、例えば、ローター30やローター歯車31の移動量を直接検出するものでもよい。すなわち、ローター30から渦巻バネ426の手前に設けられ、ローター30またはローター30と共に回転する部材の移動量を検出すればよい。
また、回転検出装置70としては、光センサーの他、ばね等によるメカ接点、磁気センサーによるものなど、ローター30や回転検出車41の回転量(回転角度)を検出可能な各種センサーが利用できる。
[時刻修正機構の構成]
本実施形態の電子時計1においても、リュウズ操作で時刻を修正する時刻修正機構80が設けられている。この時刻修正機構80は、従来から利用されているものであり、リュウズ操作で回転する巻真81、オシドリ82、カンヌキ83、ツヅミ車84、小鉄車85等を備えている。
そして、リュウズを引き出し、オシドリ82、カンヌキ83の動作でツヅミ車84を小鉄車85にかみ合わせた状態でリュウズを回転し、小鉄車85のカナ851に噛み合っている日の裏車46をリュウズ操作で回転する。すると、前記ゼネバ被駆動車435がゼネバ駆動車431で回転が規制されているため、三番車44、二番車45は回転せず、二番車45に対して二番カナ451が滑って回転し、分針の指示が修正される。また、日の裏車46の回転により筒車47も回転するため、時針の指示も連動して修正される。
[時計の回路構成]
次に、時計1の回路構成について、図7に基づいて説明する。
時計1の駆動回路は、一次電池や二次電池等の各種電池2からなる電源101によって駆動される発振回路102、分周回路103、制御回路104を備えている。
発振回路102は、水晶振動子6等の基準発振源を有し、発振信号を分周回路103に出力する。
分周回路103は、発振回路102から出力された発振信号が入力され、この発振信号に基づいて時計基準信号(例えば1Hzの信号)を出力する。
制御回路104は、分周回路103から出力された基準信号に基づいて時刻をカウントするとともに、時計仕様にあった時計駆動信号の出力を時計駆動回路106に指示する。
例えば、時計1が時針、分針、秒針を備える場合のように1秒ごとにステップ運針を行う場合には、制御回路104は、時計駆動信号を1秒に1回出力するように時計駆動回路106に指示する。
一方、本実施形態のように、時計1が時針および分針の2針時計であり、分針を20秒間隔で2度ずつ送る場合には、制御回路104は、時計駆動信号を20秒に1回出力するように時計駆動回路106に指示する。
また、制御回路104は、前述の回転検出装置70と接続され、回転検出装置70から出力される検出信号をトリガーとして、時計駆動回路106の動作を制御する。
そして、前記制御回路104は、回転検出装置70から検出信号が出力されると、つまりローター30が所定量移動したことを検出すると、時計駆動回路106に対して駆動信号の出力を停止させる制御つまり圧電アクチュエーター20を停止させる制御を行う。
例えば、秒針を1秒間隔でステップ運針する場合、制御回路104は時計駆動回路106に対して1秒毎に駆動信号を出力するように指示する。この場合、回転検出装置70は、秒針が1秒分つまり6度回転するのに対応する所定角度だけローター30が回転することを検出するように設定され、回転検出装置70でローター30が前記所定角度回転したことを検出すると、制御回路104は時計駆動回路106に対して駆動信号の出力を停止させる。このため、圧電アクチュエーター20は1秒間隔で秒針を1秒分移動させる量だけ駆動する。
また、二針時計のように、20秒間隔で分針を2度ずつ送る場合は、制御回路104は時計駆動回路106に対して20秒毎に駆動信号を出力するように指示する。この場合、回転検出装置70は、分針が20秒分つまり2度回転するのに対応する所定角度だけローター30が回転することを検出するように設定され、回転検出装置70でローター30が前記所定角度回転したことを検出すると、制御回路104は時計駆動回路106に対して駆動信号の出力を停止させる。
また、制御回路104には、リューズやボタンなどの時刻修正機構80の操作を検出する操作検出部109が接続されている。操作検出部109は、時刻修正機構80の所定の操作を検出すると、その操作を検出して所定の信号を制御回路104に送る。制御回路104は、操作検出部109からの信号に基づいて、時計駆動回路106に対し、駆動信号の出力つまり圧電アクチュエーター20の駆動開始や、駆動信号の出力停止つまり圧電アクチュエーター20の駆動停止を指示する。
例えば、時刻修正のために、リューズを引き出した際には、指針の運針を停止する必要がある。このため、操作検出部109がリューズの引き出し操作の検出信号を出力すると、制御回路104は、圧電アクチュエーター20の駆動を停止する制御信号を時計駆動回路106に出力する。一方、操作検出部109がリューズの押し込み操作の検出信号を出力すると、制御回路104は、圧電アクチュエーター20の駆動を開始する制御信号を時計駆動回路106に出力する。
従って、制御回路104によって、圧電アクチュエーター20の駆動を制御する駆動制御装置が構成されている。
時計駆動回路106は、制御回路104からの制御信号を受けて、圧電アクチュエーター20の駆動信号を出力する。具体的には、時計駆動回路106は、交流信号(パルス信号)によって圧電アクチュエーター20の圧電素子22に所定周波数の駆動電圧を印加させて駆動する。
なお、圧電アクチュエーター20の駆動周波数の制御方法は特に限定せず、例えば、特許文献(特開2006−20445号公報)に開示されているように、圧電素子22へ供給される駆動信号の周波数を、駆動可能な周波数範囲を含む広い範囲でスイープ(変化)させ、確実に圧電アクチュエーター20を駆動させる方法でも良いし、特許文献(特開2006−33912号公報)に開示されているように、圧電素子22に供給される駆動信号の周波数と圧電素子22の振動状態から得られる検出信号との位相差を駆動に適した所定の目標位相差となるように駆動信号の周波数を変更させる方法でも良いし、あらかじめ温度毎に設定された固定周波数で駆動させる方法でも良い。
また、圧電アクチュエーター20の圧電素子22に電圧印加の対象となっていない検出電極を設け、この検出電極から出力される検出信号を制御回路104にフィードバックして前記駆動信号の周波数を制御してもよい。この検出信号によって、制御回路104は、圧電アクチュエーター20の駆動状態を確認して、駆動信号の周波数をフィードバック制御できる。
圧電アクチュエーター20の出力は、前述の通り、回転伝達装置40を介して伝達される。
この回転伝達装置40は、圧電アクチュエーター20から出力される回転エネルギーを時刻表示に適した移動量に変換して計時情報表示部である時刻表示部(指針)110に伝達する。本実施形態では、ローター歯車31、回転検出車41、ゼネバ駆動車431までは増速輪列とされ、ゼネバ被駆動車435、三番車44、二番車45、日の裏車46、筒車47は減速輪列であるため、所定の増減速比で圧電アクチュエーター20の移動量(ローター30の回転量)を時刻表示の移動量に変化する。
[圧電駆動装置の起動時の動作]
次に、圧電駆動装置10の起動時の動作について説明する。
まず、停止状態の圧電アクチュエーター20の振動体21に対し、時計駆動回路106により駆動信号(駆動電圧)が印加されると、振動体21が振動してローター30が回転する。そして、ローター30からローター歯車31、回転検出車41を介してカナ421に回転エネルギーが伝達される。
カナ421の回転に伴い、軸422、バネ係止部材423が回転し、渦巻バネ426が巻き上げられて弾性変形し、伝達された回転エネルギーが渦巻バネ426の弾性エネルギーとして蓄積される。
渦巻バネ426が巻き上げられた初期状態では、渦巻バネ426に蓄積された弾性エネルギーも小さい。このため、渦巻バネ426からゼネバ駆動車431に加わる回転エネルギーも小さく、ゼネバ駆動車431は停止状態を維持する。一方、渦巻バネ426に蓄積された弾性エネルギーが大きくなり、ゼネバ駆動車431に加わる回転エネルギーが所定の大きさに達すると、ゼネバ駆動車431が回転し始める。
ところで、前述の通り、ゼネバ駆動車431が回転し始めてから、その爪432がゼネバ被駆動車435の歯436に当接するまでは、ゼネバ駆動車431の回転エネルギーはゼネバ被駆動車435に伝達されない。従って、ゼネバ駆動車431を回転させるために、渦巻バネ426から加える回転エネルギーは、ゼネバ駆動車431の慣性負荷および軸受負荷を合計した負荷に等しい大きさの回転エネルギーであればよく、ゼネバ被駆動車435から指針までの慣性負荷や歯車噛合摩擦抵抗および軸受負荷は影響しない。従って、圧電アクチュエーター20の駆動開始からゼネバ駆動車431が回転するまでのタイムラグは非常に小さいものにできる。
次に、ゼネバ駆動車431が回転し始めてから約120度回転すると、爪432がゼネバ被駆動車435の歯436に当たり、ゼネバ被駆動車435が回転し始める。なお、ゼネバ被駆動車435を回転させるためには、各回転体(ゼネバ被駆動車435、三番車44、二番車45、日の裏車46、筒車47および各指針)の慣性負荷と歯車噛合摩擦抵抗およびこれらの各回転体の軸受負荷とを合計した負荷に等しい大きさの回転エネルギーである。
従って、ゼネバ駆動車431の爪432がゼネバ被駆動車435の歯436に当接した際に、前記所定の回転エネルギーをゼネバ被駆動車435に加えることができなかった場合は、ゼネバ駆動車431が一旦停止するため、渦巻バネ426が巻き上げられて弾性エネルギーが蓄積され、その弾性エネルギーにより加えられる回転エネルギーが前記所定値以上となれば、ゼネバ駆動車431およびゼネバ被駆動車435は回転し始める。
そして、ゼネバ駆動車431の爪432がゼネバ被駆動車435の歯436に当たってからゼネバ駆動車431が所定角度回転して前記爪432とゼネバ被駆動車435との係合が解除されると、仮にゼネバ駆動車431が回転し続けても、ゼネバ被駆動車435は停止する。
例えば、本実施形態では、ローター歯車31および回転検出車41の増速比は6倍とされ、ローター30およびローター歯車31が7.5度回転すると、回転検出車41が45度回転する。回転検出車41では、スポーク部412Cは45度間隔で配置されているため、回転検出装置70は、回転検出車41が45度回転する毎に検出信号を出力する。また、本実施形態では、回転検出車41とゼネバ駆動車431の増速比は4倍とされているので、回転検出車41が45度回転すると、ゼネバ駆動車431は180度回転することになる。そして、ゼネバ駆動車431が180度回転すると、規制範囲(本実施形態では120度)にゼネバ被駆動車435が当接している間はゼネバ被駆動車435の回転は規制されてゼネバ被駆動車435は回転できないが、爪432がゼネバ被駆動車435の歯436に当接している駆動範囲(本実施形態では60度)ではゼネバ被駆動車435は72度回転して停止する。
また、回転検出車41が45度回転したことを回転検出装置70が検出すると、その検出信号により圧電アクチュエーター20の駆動も停止される。
ゼネバ被駆動車435が72度回転すると、ゼネバ被駆動車435から筒車47までは減速輪列であるため、分針が取り付けられた二番カナ451は2度回転し、時針が取り付けられた筒車47も連動して約0.17度回転する。従って、時計駆動回路106から20秒間隔で駆動信号を出力して圧電アクチュエーター20を駆動し、回転検出車41が45度回転したら圧電アクチュエーター20を停止することで、分針および時針は20秒間隔でステップ運針し、時刻を指示することができる。
なお、本実施形態において、規制範囲を120度に設定したのは、以下の理由からである。
時計の指針を1ステップ移動させるのに、ローター30およびローター歯車31が7.5度回転する場合、前述の通り、回転検出車41が45度回転し、ゼネバ駆動車431は180度回転する。
このときのゼネバ駆動車431の位置ずれの見積りは、以下の3つの位置ずれ量を加算すればよい。
第1の位置ずれは、検出位置のオーバーラン量である。これは、回転検出装置70のセンサーと回転検出車41との感度やタイムラグなどであり、センサーの感度及びローターの回転速度等も加味したシミュレーションにより回転検出車41で最大10度のズレとなる。この場合、ゼネバ駆動車431では4倍に増速されるので、最大40度のズレが見込まれる。
第2の位置ずれは、振動体21の減衰や駆動系の慣性オーバーランである。これは、図4(A)の駆動信号供給停止後のローターの回転状況の解析によりローター30で最大2.5度を見込んでおり、ゼネバ駆動車431では最大2.5度×4倍×6倍=最大60度を見込んでいる。
第3の位置ずれは、回転検出車41とゼネバ駆動車431の組み込み時にすでに持っているズレ量である。すなわち、ゼネバ駆動車431の歯車に対するカナ421の位相ズレで決まる。例えば、カナ421の歯数を18枚に設定した場合、1ピッチ20度のため、最大20度のズレ量が見込まれる。
従って、第1〜第3の位置ずれ量を加算すると最大120度のズレ量となり、本実施形態では、ゼネバ駆動車431を所定の位置で停止させようとしても、最大で120度ずれる可能性があることが分かる。従って、ゼネバ駆動車431を駆動範囲の60度回転して停止させようとした際に、上記の第1〜3のズレ量の発生原因でオーバーランが生じても、そのオーバーラン量はゼネバ駆動車431を最大で120度回転させるものであるため、前記規制範囲として120度としておけば、ゼネバ駆動車431にオーバーランが生じてもゼネバ駆動車431が規制範囲を超えて再度駆動範囲まで回転することがないため、ゼネバ被駆動車435が回転してしまうことも防止できる。
[本実施形態による効果]
本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)ゼネバ駆動車431は、ゼネバ被駆動車435を回転させるための爪432が180度間隔で設けられており、ゼネバ駆動車431が180度回転する内、前記爪432がゼネバ被駆動車435に係合してゼネバ被駆動車435を回転させるのは、ゼネバ駆動車431が60度回転する駆動範囲であり、残りの120度の範囲は、規制部433がゼネバ被駆動車435の各歯436,437に当接してゼネバ被駆動車435の回転を規制する規制範囲となっている。
このため、圧電アクチュエーター20を駆動してから、回転検出装置70で回転検出車41が所定角度(45度)回転したことを検出して圧電アクチュエーター20の駆動を停止した後、例えば、振動体21の減衰振動やローター30等の慣性でゼネバ駆動車431がオーバーランしても、爪432とゼネバ被駆動車435との係合が外れた後はゼネバ被駆動車435の回転が規制されるため、ゼネバ被駆動車435は間欠駆動され、かつ、その回転角度を常に一定(本実施形態では72度)にすることができる。このため、ゼネバ被駆動車435の回転が伝達される指針の移動量も常に一定にでき、ステップ運針する指針の位置精度を確保できる。
(2)圧電アクチュエーター20から出力される回転エネルギーを伝達する回転伝達装置40において、圧電アクチュエーター20からの回転エネルギーを弾性エネルギーとして蓄積する弾性装置42と、ゼネバ駆動車431およびゼネバ被駆動車435を備えて構成され、ゼネバ被駆動車435を間欠的に回転し、かつ、その回転角度を所定角度に規制する間欠伝達装置とを同一経路に配置している。このため、圧電アクチュエーター20の起動時の負荷は、回転伝達経路において渦巻バネ426の手前側にあるローター30、ローター歯車31、回転検出車41、カナ421、軸422等の慣性負荷や歯車噛合摩擦抵抗および軸受負荷であり、ゼネバ駆動車431から指針までの各回転体の慣性負荷や歯車噛合摩擦抵抗および軸受負荷は圧電アクチュエーター20に作用しない。このため、圧電アクチュエーター20に加わる起動時の負荷が軽減され起動性が良好となり、消費電力も低減できる。
特に、アナログ時計では、指針は大きな慣性モーメントを持ち、かつ、指針形状は時計のデザイン(モデル)で変化する。このため、時計のモデル毎に指針による慣性モーメントも異なり、従来の方法では消費電力も変化する。このことは、電池で駆動される時計の場合、モデルによって電池寿命も変化してしまうことになる。
これに対し、本実施形態では、前記渦巻バネ426を設けることで、指針の慣性モーメントが圧電アクチュエーター20に作用しないため、指針の慣性モーメントの変化の影響をキャンセルでき、低電力で駆動でき、かつモデルによる電池寿命の変化を防止できる。
その上、指針に比べて慣性モーメントの大きな円板状の指針も使用することができ、時計のデザイン自由度を向上できる。
(3)間欠伝達装置43として、非可逆歯形伝達装置であるゼネバ歯車装置を用いているので、圧電アクチュエーター20からの回転エネルギーをゼネバ駆動車431およびゼネバ被駆動車435を介して伝達しながら、ゼネバ被駆動車435の回転角度を一定角度毎、具体的には72度毎に規制することができる。このため、本実施形態の時計1は、ローターの回転エネルギーを、弾性装置を介さずに間欠伝達装置に伝達する第1の伝達経路と、ローターの回転エネルギーを弾性装置に伝達する第2の伝達経路とを設ける必要が無い。このため、電子時計1の設計上の制約が少なくなり、設計や製造を容易に行うことができる。
さらに、ローター30は振動体21により一方の所定方向に回転されるので、ローター30から伝達される回転エネルギーで蓄積される弾性エネルギーは前記一方の所定方向で蓄積されることになり、渦巻きバネ426は上記弾性エネルギーを蓄積しやすく、かつ効率よく蓄積できる。加えて、ローター30が振動体21により一方の所定方向とその逆方向の双方に回転させられ前述のゼネバ駆動車431も上記双方に回転させられる場合には、ゼネバ駆動車431とゼネバ被駆動車435との噛み合い部のバックラッシによりゼネバ被駆動車435の回転方向の位置が定まりにくくなるが、本実施形態ではローター30が一方の所定方向に回転するとともに回転後は振動体21により停止させられるので、前述のようなバックラッシの影響を受けることがなく、従ってゼネバ駆動車431の回転角度が安定する。このため、ゼネバ被駆動車435を所定角度に確実に回転することができ、同時にゼネバ被駆動車435がゼネバ駆動車431を回転することを確実に禁止することができる。
(4)その上、第1,2の伝達経路を設けた場合、第1の伝達経路における間欠伝達装置による規制が解除されるまでは、第2の伝達経路における弾性装置で渦巻バネの弾性エネルギーを蓄積しなければならず、圧電アクチュエーター20の起動時には常に負荷が加わる問題点があった。
一方、本実施形態では、圧電アクチュエーター20の起動時に、ゼネバ駆動車431の回転は特に規制されていないため、圧電アクチュエーター20の起動時に加わる負荷を、特許文献1に比べて小さくでき、この点でも消費電力を低減できる効果がある。
(5)渦巻バネ426を備え、圧電アクチュエーター20に加わる起動時の負荷が軽減されることによって、短時間で圧電アクチュエーター20の駆動速度を所望の速度に上げることが可能となり、起動時間が短縮されるので、消費電力をさらに低減させることができる。
(6)ゼネバ被駆動車435は、各歯436,437がゼネバ駆動車431の規制部433に当接している間は、ゼネバ駆動車431によって回転が規制されるため、時計1が落下した場合など、外部からの衝撃が指針に作用した場合に、指針の揺動を抑制することができる。
さらに、仮に、落下の衝撃が、ゼネバ被駆動車435からゼネバ駆動車431に加わったとしても、渦巻バネ426が設けられているので、その衝撃力が圧電アクチュエーター20側に伝達されることを防止でき、圧電アクチュエーター20の動作を安定させることができる。
その上、ゼネバ被駆動車435の回転をゼネバ駆動車431で規制できるため、リュウズを操作して時刻修正を行う場合に、三番車44等の回転を規制する手段を別途設ける必要が無く、部品点数を少なくできる。
(7)渦巻バネ426を備えているので、大きな変位量を確保するために、渦巻バネ426の巻き数を増加させても、U字ばねや片持ちばねを使用する場合と比べて、設置空間をそれほど広げることなく、渦巻バネ426を配置できる。
さらに、渦巻バネ426を備えているので、大きな変位量を確保することができ、渦巻バネ426の変位量に関わらず略一定の弾性エネルギーを生じさせることができる。従って、外部の衝撃の大小に関わらず、ゼネバ駆動車431が渦巻バネ426から略一定の弾性エネルギーを受けるので、ゼネバ駆動車431やゼネバ被駆動車435の動作を安定させることができる。
その上、指針から衝撃が加わっても間欠伝達装置43で受けることができ、渦巻バネ426でその力を受ける必要がないため、渦巻バネ426の弾性力を大きく設定する必要がない。このため、圧電アクチュエーター20の起動時に、渦巻バネ426によって加わる負荷を低減でき、圧電駆動装置10をより低電力で駆動できる。
(8)圧電素子22が矩形板状に形成されているので、圧電駆動装置10の薄型化を促進できる。
(9)回転検出装置70を設け、回転検出車41つまりはローター30の移動量を検出しているので、指針の移動量も正確に設定できる。すなわち、圧電アクチュエーター20の振動体21とローター30とは摩擦によってトルクを伝達しているので、圧電アクチュエーター20の駆動時間によってローター30の回転量を正確に設定することは難しい。そこで、本実施形態では、ローター30とダイレクトに駆動する回転検出車41の移動量を回転検出装置70で検出しており、回転検出装置70でローター30が所定量移動したことを検出した時点で駆動を停止しているので、ローター30つまりは指針を正確に移動できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る電子時計1Aにおける圧電駆動装置10Aについて図8に基づいて説明する。
第1実施形態では、回転伝達装置40において、圧電アクチュエーター20の回転エネルギーを弾性装置42の渦巻バネ426に弾性エネルギーとして蓄積した後、その弾性エネルギーによってゼネバ歯車装置のゼネバ駆動車431、ゼネバ被駆動車435を回転させていた。
これに対し、第2実施形態では、圧電アクチュエーター20の回転エネルギーで、ゼネバ歯車装置のゼネバ駆動車431A、ゼネバ被駆動車435Aを回転させ、ゼネバ被駆動車435Aの回転によって弾性装置42の渦巻バネ426Aを巻き上げている。
すなわち、第2実施形態では、回転検出車41の回転は、ゼネバ駆動車431Aと一体で回転するカナ431Bに伝達される。ゼネバ駆動車431Aは、サイズは異なるが、第1実施形態のゼネバ駆動車431と同様に、180度間隔で爪432が形成され、各爪432間は規制部433とされている。
また、ゼネバ被駆動車435Aは、その外周に歯436が形成され、2つの歯436が前記規制部433に当接している状態では回転が規制され、ゼネバ駆動車431Aの爪432が歯436に当接するとゼネバ被駆動車435Aが所定角度回転するようになっている。従って、第2実施形態のゼネバ歯車装置もゼネバ駆動車431Aの回転に伴い、ゼネバ被駆動車435Aは間欠的にかつ一定角度ごと回転する。ゼネバ被駆動車435Aがこの一定角度回転した後では、ゼネバ被駆動車435Aは回転できないため、ゼネバ被駆動車435Aの回転方向位置は定まる。この際は、ゼネバ被駆動車435Aがゼネバ駆動車431Aを駆動することは禁止される。
そして、ゼネバ被駆動車435Aには渦巻バネ426Aの外周側の端部が固定され、渦巻バネ426Aの内周側の端部は、ゼネバ被駆動車435Aの中心位置に配置された軸部材に固定されている。そして、この軸部材と一体に回転するカナ438によって三番車44が回転している。ゼネバ被駆動車435Aは、上記軸部材に回転可能に支持されている。従って、本実施形態では、一体で回転する軸部材およびカナ438によって、ゼネバ被駆動車435Aと同軸上に配置され、渦巻バネ426Aの他端が係合される伝達車が構成されている。
このような第2実施形態では、圧電アクチュエーター20のローター30が回転すると、回転検出車41を介してゼネバ駆動車431Aが回転し、連動してゼネバ被駆動車435Aが間欠的にかつ一定角度ごとに回転する。
ゼネバ被駆動車435Aの回転に伴い、渦巻バネ426Aが巻き上げられて弾性エネルギーが蓄積される。そして、その弾性エネルギーが所定値以上となると、カナ438が回転し、三番車44から指針までの回転体も連動して回転する。
このような本実施形態によれば、前記各実施形態の効果と略同様の効果を奏することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る時計における圧電駆動装置10Bについて図9,10に基づいて説明する。
図9は、時計における圧電駆動装置10Bを示す平面図である。図10は、圧電駆動装置10Bを示す縦断面図である。
圧電駆動装置10Bは、間欠伝達装置43Aとして、原動車50および従動車62を使用したものである。
圧電駆動装置10Bは、振動体21、振動体21により駆動されるローター30、ローター30と一体化されたローター歯車31、ローター歯車31と噛合して回転される中間車33と、中間車33により回転される原動車50と、ローター伝え車60とを含んで構成されている。
ローター30は、ローター歯車31とともにローター回転軸32に固定されている。
原動車50は、中間車33と噛合する原動かな51と、原動カム52と、これらの原動かな51と原動カム52とを固定する原動回転軸53とを備えて構成されている。
原動カム52は、原動回転軸53を中心とする円弧状のカム面521と、このカム面521に連続し、かつ径方向に凹む凹部状のカム面522を有している。
ローター伝え車60は、ローター伝え歯車61と、渦巻バネ426と、従動車62と、伝え車回転軸63とを備えて構成され、図10に示すように、伝え車回転軸63を回転軸としてローター伝え歯車61、渦巻バネ426、従動車62の順番に配置されている。
ローター伝え歯車61は、ローター歯車31と噛合し、伝え車回転軸63により回転自在に支持されている。ローター伝え歯車61には、位置決め板64が固定されている。位置決め板64は、全体略円形の板状部材であり、側面の一部に弦状の側部641を有している。弦状の側部641の中央には、径方向に突出する位置決め用係止片642が形成されている。位置決め用係止片642は、中間部分で従動車62側に曲折され、先端が従動車62に向かって延設されている。
従動車62は、伝え車回転軸63に固定されている。従動車62には、回転軸方向に貫通する位置決め穴65およびばね用係止穴66が形成されている。位置決め穴65は、従動車62の外周に沿って形成された長孔であり、位置決め用係止片642の先端が挿入されている。従動車62の外周には、径方向に突出する9つの従動歯67が40度毎の間隔に形成され、従動歯67の先端部が半円弧状に加工されている。
渦巻バネ426の外周側の端部は、ばね用係止穴66に係止され、中心軸側の端部は、ローター伝え歯車61の筒部に巻かれることにより固定されている。
次に、圧電駆動装置10Bの動作を説明する。
ローター30は、振動体21により図9において反時計回り(矢印Aの方向)に回転する。ローター30の回転は、ローター歯車31を介して中間車33とローター伝え歯車61にそれぞれ伝達される。中間車33の回転は原動車50に伝達される。ローター伝え歯車61の回転は、渦巻バネ426の弾性エネルギーを介して従動車62に伝達される。
ここで、ローター30からローター伝え歯車61までの輪列は、ローター30が20度回転する場合に、ローター伝え歯車61が40度に増速、すなわち2倍に増速して回転する設定となっている。また、ローター30の回転は、原動車50に増速して伝達され、ローター30が20度回転する場合に、原動車50が180度回転する設定となっている。従動車62は、原動車50の原動カム52によって、間欠的に駆動される。従って、原動カム52のカム面521が従動歯67に当接して従動車62の回転を規制している間は、従動車62は停止したままで、渦巻バネ426が弾性変形して、ローター30の回転エネルギーを弾性エネルギーとして蓄積する。
続けて、原動車50が回転して、従動車62の回転を規制している原動カム52が反時計回りに送られて、凹部状のカム面522が従動車62と対向する位置まで送られると、その間に従動車62の規制が解除され、従動車62が、渦巻バネ426の弾性エネルギーにより回転し始める。さらに、原動車50が回転して、カム面521が従動歯67に当接する位置まで送られると、再び従動車62の回転を規制する。すなわち、原動カム52の回転角度範囲において、カム面521が従動歯67に当接している角度範囲により規制範囲が設定され、カム面522が従動歯67と当接して従動歯67の回転を許容する角度範囲により駆動範囲が設定されている。
従って、従動車62は、ローター歯車31からローター伝え歯車61に伝達され、渦巻バネ426に蓄積されたエネルギーによって回転される被駆動車であり、原動車50は、その回転によって前記従動車62を間欠的に回転させる駆動車である。
そして、従動車62と一体に回転する従動車カナ63Aに噛合う歯車(図示せず)を経由して指針を取り付けている指針車が駆動して指針が駆動されることになる。
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と略同様の効果を奏することができる。
特に、圧電アクチュエーター20の駆動によって従動車62に回転エネルギーが加えられるとともに、原動車50によって従動車62が一定角度毎に回転を規制されるので、圧電アクチュエーター20の駆動量に対して従動車62の回転量が一義的に決まらなくても、従動車62が一定角度回転すれば、原動車50が従動車62の回転角度を一定角度に規制するので、従動車62の回転量は正確に一定となる。従って、圧電アクチュエーター20によって回転される従動車62のオーバーランを防止できるので、従動車62の回転角度の精度を向上させることができ、従動車62で回転される指針等の指示精度を向上させることができる。
[本発明の変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明の間欠伝達装置は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、被駆動車に回転エネルギーを伝達でき、かつ、回転角度が所定角度毎に規制されるものであればよい。
また、前記各実施形態では、回転を伝達する経路に渦巻バネ426を設けていたが、圧電駆動装置としては、渦巻バネ426を設けずに設計してもよい。
また、前記第1,2実施形態では、ローター30からゼネバ歯車装置のゼネバ駆動車431までは増速輪列としていたが、増速せずに回転を伝達してもよい。
さらに、前記第1,2実施形態では、ローター歯車31とゼネバ駆動車431,431Aとの間に回転検出車41を配置していたが、この回転検出車41を設けなくてもよい。その場合、例えば、ローター歯車31部分で回転を検出すればよい。
なお、駆動車の回転位置を検出する回転位置検出装置は、ローターから駆動車までのいずれかの回転体の回転位置を検出するようにしてもよい。上記いずれかの回転体の回転位置を検出する検出装置も本発明の回転位置検出装置に含まれる。
また、振動体の振動によって回転するローターは、一方の所定方向に回転するものの他、一方の所定方向とは逆方向の第2方向に回転する両方向回転のものでも良い。両方向回転の場合は、回転位置検出手段により検出される駆動車の所定位置は、図6では、ゼネバ駆動車431の規制範囲のほぼ中央部位置である。その場合は、回転位置検出手段がゼネバ駆動車431の規制範囲(規制部433)の中央部位置を検出した際に駆動信号の供給を停止する。その時、ゼネバ被駆動車435の歯436と437は、上記規制範囲の中央部位置を挟むように配置されている。そこで、前述した第1の位置ずれ、第2の位置ずれ、第3の位置ずれが生じても、ゼネバ被駆動車435の歯436と437がゼネバ駆動車431の規制範囲から外れないように上記規制範囲及び上記歯436と437の関係等を設計しておく。そうすれば、ローターが両方回転する用途に用いた場合、ゼネバ駆動車431が所定位置に達したことを回転位置検出手段が検出し、駆動制御手段により駆動信号の供給を停止しても、ゼネバ駆動車431の規制範囲でゼネバ被駆動車435の歯436と437を回転規制できる。
上記の両方向回転の場合の用途は、例えば時計のカレンダー送りの駆動源に用いることができ、通常は暦車を一方の所定方向に回転させるが、暦修正時には暦車を逆方向に回転させることができ、あるいは携帯カメラの絞り機構を両方回転で駆動し、また携帯カメラの絞り機構を両方回転で駆動することができる。
なお、前述した各実施形態は、弾性装置の弾性エネルギーにより回転対象物が回転するものであったが、弾性装置により駆動される被駆動体は、非回転駆動するものであっても良い。上記非回転駆動は、例えば、直線駆動、直線往復駆動、円弧往復駆動等である。
また、本発明の圧電駆動装置は、時計に限らず、各種電子機器の駆動源としても利用できる。すなわち、本発明の圧電駆動装置を有する電子機器としては、例えば、表示針を圧電駆動装置で駆動する各種計器類や、ターンテーブルのように被駆動体を駆動させる電子機器などでもよい。特に、本発明の圧電駆動装置は、ステッピングモータなどに比べて耐磁性能に優れているため、耐磁性が要求される駆動源として広く利用できる。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係る時計の要部を示す平面図。 第1実施形態の回転伝達装置を示す断面図。 第1実施形態の回転伝達装置を示す断面図。 圧電アクチュエーターのローターの駆動状態を示すグラフ。 第1実施形態の回転伝達装置を示す平面図。 第1実施形態のゼネバ歯車装置の動作を説明する説明図。 第1実施形態の時計における回路構成を示すブロック図。 本発明の第2実施形態に係る時計の要部を示す平面図。 本発明の第3実施形態に係る圧電駆動装置の要部を示す平面図。 第3実施形態の圧電駆動装置の要部を示す断面図。
1、1A…電子時計、10、10A、10B…圧電駆動装置、20…圧電アクチュエーター、21…振動体、22…圧電素子、25…当接部、30…ローター、31…ローター歯車、40…回転伝達装置、41…回転検出車、42…弾性装置、43、43A…間欠伝達装置、44…三番車、45…二番車、46…日の裏車、50…原動車、62…従動車、70…回転検出装置、80…時刻修正機構、104…制御回路、106…時計駆動回路、421…カナ、422…軸、423…バネ係止部材、426、426A…渦巻バネ、431、431A…ゼネバ駆動車、432…爪、433…規制部、431B…カナ、435、435A…ゼネバ被駆動車、436、437…歯。

Claims (13)

  1. 圧電素子を有する振動体および前記振動体で回転されるローターを有する圧電アクチュエーターと、
    前記ローターの回転エネルギーが伝達されて回転する駆動車およびこの駆動車の回転に連動して間欠的に回転する被駆動車を備える間欠伝達装置と、
    前記駆動車が所定の回転位置に達したことを検出可能な回転位置検出手段と、
    前記圧電素子に駆動信号を供給して圧電アクチュエーターの駆動を制御する駆動制御手段とを備えた圧電駆動装置であって、
    前記駆動制御手段は、外部からの駆動開始信号に基づいて前記圧電素子への駆動信号の供給を開始し、かつ、前記回転位置検出手段で前記駆動車が所定の回転位置に達したことを検出すると前記駆動信号の供給を停止し、
    前記駆動車は、駆動車が1回転する角度範囲に、駆動車の回転に連動して前記被駆動車を回転する駆動範囲と、駆動車が回転しても前記被駆動車を回転しない規制範囲とが設定され、
    前記規制範囲は、前記駆動制御手段によって前記圧電素子への駆動信号の供給が停止された後、前記規制範囲内で駆動車の回転が停止されるように設定されていることを特徴とする圧電駆動装置。
  2. 請求項1に記載の圧電駆動装置において、
    前記規制範囲は、前記駆動範囲以上の角度に設定されていることを特徴とする圧電駆動装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の圧電駆動装置において、
    前記規制範囲は、前記駆動範囲の2倍の角度以下に設定されていることを特徴とする圧電駆動装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
    前記規制範囲は、前記駆動信号の供給を停止した後における前記振動体の減衰振動による駆動車の回転角度と、前記ローターから駆動車までの駆動系の慣性によって前記停止の後に回転する駆動車の回転角度との合計値よりも大きな角度に設定されていることを特徴とする圧電駆動装置。
  5. 請求項4に記載の圧電駆動装置において、
    前記回転位置検出手段は、前記ローターの回転エネルギーが伝達されて回転する回転検出車と、この回転検出車の回転位置を検出するセンサーとを備えて構成され、
    前記規制範囲は、さらに前記回転位置検出手段の検出誤差量と、前記回転検出車と駆動車との位相ズレ量とを加算した値よりも大きな角度に設定されていることを特徴とする圧電駆動装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
    前記回転位置検出手段で検出する前記駆動車の所定の回転位置は、前記駆動範囲内であり、かつ、前記駆動信号の供給が停止された後、駆動車の回転が停止されるまでに、前記駆動車の回転位置が規制範囲に達する位置に設定されていることを特徴とする圧電駆動装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
    前記ローターから間欠伝達装置の駆動車までの伝達経路には、
    前記ローターから伝達される回転エネルギーを弾性エネルギーとして蓄積可能な弾性装置を備え、
    前記間欠伝達装置の駆動車は、前記弾性装置で蓄積された弾性エネルギーが伝達されて回転駆動されることを特徴とする圧電駆動装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
    前記ローターおよび前記間欠伝達装置の駆動車間には増速輪列が設けられ、前記ローターの回転は前記増速輪列で増速されて前記間欠伝達装置の駆動車に伝達され、
    前記間欠伝達装置の被駆動車および回転伝達装置によって回転される回転対象物間には減速輪列が設けられ、前記間欠伝達装置の被駆動車の回転は前記減速輪列で減速されて前記回転対象物に伝達されることを特徴とする圧電駆動装置。
  9. 請求項8に記載の圧電駆動装置において、
    前記増速輪列は、回転検出車を備え、
    前記回転位置検出手段は、前記回転検出車が所定角度回転したことを検出し、
    前記駆動制御手段は、圧電アクチュエーターの駆動開始後、前記回転位置検出手段で前記回転検出車が所定角度回転したことを検出すると前記圧電アクチュエーターを駆動する駆動信号の出力を停止することを特徴とする圧電駆動装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
    前記間欠伝達装置は、前記被駆動車から駆動車へは回転を伝達しない非可逆歯形伝達装置で構成されていることを特徴とする圧電駆動装置。
  11. 請求項10に記載の圧電駆動装置において、
    前記間欠伝達装置は、ゼネバ駆動車およびゼネバ被駆動車を備えたゼネバ歯車装置で構成され、
    前記ゼネバ駆動車は、前記ゼネバ被駆動車の歯に係合して前記ゼネバ被駆動車を回転させる爪と、
    前記ゼネバ被駆動車の歯が当接してゼネバ被駆動車を回転しない規制部とを備え、
    前記ゼネバ駆動車の回転範囲には、前記爪がゼネバ被駆動車の歯に当接してゼネバ被駆動車を回転する駆動範囲と、前記規制部がゼネバ被駆動車の歯に当接してゼネバ被駆動車を回転しない規制範囲とが設けられていることを特徴とする圧電駆動装置。
  12. 請求項1から請求項11のいずれかに記載の圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置により駆動される被駆動部とを備えることを特徴とする電子機器。
  13. 請求項12に記載の電子機器において、
    前記被駆動部は、計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部であることを特徴とする電子機器。
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