JP2010182385A - 光ディスク用ハードコート材 - Google Patents

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Yuichi Kawada
雄一 川田
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Abstract

【課題】硬化後の塗膜が傷つきにくいハードコート層を有する光ディスクにおいて、長期保存安定性(加熱促進試験時の低反り性や残膜性)や変形を生じた際の耐クラック性に優れた光ディスク用ハードコート材を提供することにある。
【解決手段】基板上に存在し、かつ情報読み取り用のレーザー光を反射させる反射膜と、前記反射膜上に存在し、かつ厚さが10〜150μmである保護層と、前記保護層上に設けられたハードコート層とを有する光ディスクに用いられるハードコート材であって、前記ハードコート材中に、
(a)4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類を合計量30質量%以上と
(b)光重合開始剤
を含有することを特徴とする光ディスク用ハードコート材である。

【選択図】なし

Description

本発明は、基板上に反射膜と保護層とハードコート層を有する光ディスクに用いられるハードコート材に関する。
近年、高画質のデジタルハイビジョン放送が始まったことで、フルハイビジョン対応の高画質で大画面の液晶やプラズマテレビが普及されるようになった。しかし、従来の光ディスクであるDVD(digital versatile disc)は記録容量が小さいので、高品位の動画像を長時間録画することができなかった。これに応えるために、DVDの5倍以上もの記録容量を有する新しい光ディスクの規格として青色レーザー光で情報を記録・再生するブルーレイディスクが開発、販売されるようになった。この新規格では、光ディスクの大容量化のために波長405nmの青色レーザー光の採用や記録・再生光学系対物レンズの開口数(NA)を0.85に大きくして、記録・再生時のレーザービームスポット径をDVDよりも約0.44倍まで小さくし、また、信号が記録されるトラックピッチ(間隔)を約0.43倍に狭くすることで、5倍以上もの大記録容量化が実現されている。
青色レーザー光を用いた場合、光ディスクの読み取り表面に小さな傷や塵埃、指紋の付着があると、記録・再生する際にエラーを生じやすくなる。また光ピックアップと光ディスクのレーザー光入射面との間隔がDVDよりも接近していることからピックアップが光ディスクに接触する可能性もあり、レーザー光入射表面はより一層の耐磨耗性が求められるようになってきた。青色レーザー光を用いた光ディスク(Blu-ray Disc)が販売された当初は、レーザー光入射表面の傷つきを防止するためにカートリッジに光ディスクが収納されたタイプの製品が売り出された。しかし、この光ディスクの普及の為に、耐擦傷性の優れたハードコート材が開発され、カートリッジがなくても信頼性が確保されたベアディスク(カートリッジに光ディスクが収納されていない製品)が販売されるようになった。このように青色レーザー光を用いた光ディスクにはハードコート層が重要な役割を担うものである。
耐擦傷性に優れたハードコート材を実現するために種々の検討がなされてきた。特許文献1〜3には、ハードコート材用硬化性樹脂組成物にシリカ無機微粒子を配合し、表面硬度を上げる方法が開示されている。シリカ微粒子を添加することにより耐擦傷性が向上するがシリカ微粒子が高価なこによりコストアップとなっている。また、シリカ微粒子を分散させるために揮発性の有機溶剤が加えられている。しかし、ハードコート材を硬化させる前には有機溶剤を揮発させることが必要になることから、揮発した有機溶剤を回収する手間も要することになる。また、特許文献4には、ハードコート層を2層以上に形成し最外層にポリシラザンを含む組成物の硬化物層であることが記載されている。また、特許文献5には、ハードコート材を保護層上に塗布後、紫外線照射を行った後、次に電子線を照射してハードコート層を形成する方法が記載されている。これらの方法は、ハードコート層を形成する際に多層或いは硬化工程を複数回要するなど工程が増えることから同様にコストアップとなっていた。
一方、保護層に関する検討も種々行われている。例えば、特許文献6および特許文献7には、光ディスクの保護層に関して、透明性、機械特性に優れた保護層(光透過層)を有する光ディスクとするために、保護層の引張弾性率が特定の範囲とすることが望ましいことが記載されている。特許文献8には、光ディスクの反り発生(紫外線硬化による保護層の形成時および光ディスクの高温高湿試験時)を抑えるために、保護層の膜厚と保護層の30℃での弾性率との積を特定の値以下にすることが記載されている。しかし、弾性率の低い保護層の上に硬質のハードコート層を形成した場合、使用条件によりハードコート層にクラックを生じる場合があり問題となっていた。
このように反射膜上に保護層(光透過層)を有する光ディスク(例えば、青色レーザー光により情報の読み取りを行うBlu-ray Disc)において、実質的に有機溶剤を含有しない低粘度の樹脂組成物および弾性率の低い保護層上に形成されたハードコート層を有する光ディスクが変形した場合やハードコート層上から押し込んだ後の凹みやクラックを防止するためには、ハードコート材の更なる改良の検討が必要であった。
特開2003−77184号公報 特開2005−112900号公報 特開2005−339609号公報 特開2002−157784号公報 特開2005−152751号公報 特開2006−4458号公報 特開2003−263780号公報 特開2007−102980号公報
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、硬化後の塗膜が傷つきにくいハードコート層を有する光ディスクにおいて、長期保存安定性(加熱促進試験時の低反り性や残膜性)や変形を生じた際の耐クラック性に優れた光ディスク用ハードコート材を提供することにある。
ハードコート層用の樹脂として従来は、表面硬度を上げるためにジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのような多官能アクリレート化合物が多く用いられてきた。また、弾性率が高い保護層を用いた場合、硬化時に発生する収縮のため基板に反りが発生し易いという問題があった。そこで、基板の反りを抑えるために保護層の弾性率が低い材料を用いられる場合があった。しかし、反射膜上に保護層/ハードコート層が積層された光ディスクに変形が生じた場合や、ハードコート層の上から三角錐圧子のような比較的鋭利なもので荷重を加えた場合に、ハードコート層が変形に耐えることでできずクラックを生じることがあった。特に保護層が柔らかい材料(弾性率の低い材料)の上にハードコート材を塗布した場合は、変形に対して容易にクラックが発生した。その為、保護層が柔らかい材料にも使用できる柔軟性のあるハードコート層が求められていた。本発明者は、上記問題点を解決する為にハードコート材を鋭意検討した結果、4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類を合計量30質量%以上用いることにより硬化後の塗膜が傷つきにくく、長期保存安定性(加熱促進試験時の低反り性や残膜性)や耐変形性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の光ディスク用ハードコート材は、基板上に存在し、かつ情報読み取り用のレーザー光を反射させる反射膜と、前記反射膜上に存在し、かつ厚さが10〜150μmである保護層と、前記保護層上に設けられたハードコート層とを有する光ディスクに用いられる材料であって、前記ハードコート材中に、(a)4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類を合計量30質量%以上と(b)光重合開始剤を含有することを特徴とするものである。
また本発明において、前記ハードコート材にビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することが好ましい。
また本発明において、前記ハードコート材の25℃における粘度が20mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましい。
また本発明において、前記ハードコート材を硬化させた硬化物の25℃における貯蔵弾性率E'が600MPa以上2000MPa以下であることが好ましい。
本発明によれば、4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類を用いたハードコート材は、硬化後の塗膜は傷つきにくく靭性に優れ、変形生じた際の耐クラック性や長期保存安定性(加熱促進試験時の低反り性や残膜性)に優れた光ディスクが得られるという効果を奏する。
≪ハードコート材≫
本発明のハードコート材は、(a)4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類を合計量30質量%以上と、(b)光重合開始剤とを含有するものである。
<(a)4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類>
本発明の4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトールなどの4価以上の多価アルコールにアルキレンオキサイドおよび/またはカプロラクトンを水酸基1価あたり付加繰り返し単位n=1〜2で付加させさらに多価アルコール体を得た後、多官能(メタ)アクリル酸エステル類を得るものである。
4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類として例として次が挙げられる。アルキレンオキサイド付加物の例としてペンタエリスリトールのエチレンオキサイド4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド8モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド8モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド12モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド12モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド5モル付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド10モル付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド12モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド12モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールのエチレンオキサイド6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、マンニトールのエチレンオキサイド6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。又、カプロラクトン付加物の例としてペンタエリスリトールのε−カプロラクトン4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのε−カプロラクトン8モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン12モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン5モル付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン10モル付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのε−カプロラクトン6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのε−カプロラクトン12モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールのε−カプロラクトン6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、マンニトールのε−カプロラクトン6モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ハードコート材において、4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類の合計量は30質量%以上である。好ましくは、30質量%以上80質量%未満、より好ましくは40質量%以上70質量%以下である。合計量が80質量%を超えると、基板/保護層の積層体へ塗布した後の反りが大きくなる場合がある。また30質量%未満であれば、耐擦傷性や硬度が低下してハードコート性能を発現しない場合がある。
<(b)光重合開始剤>
本発明のハードコート材は、光重合開始剤を必須成分とするものであるが、紫外線の照射により重合開始ラジカルを発生する光重合開始剤、さらには紫外線の照射により重合開始カチオンを発生する光カチオン重合開始剤;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤などをさらに添加することも好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリドなどのチオキサントン類;などが挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光ラジカル重合開始剤のうち、アセトフェノン類が好適であり、具体的には1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンが好適である。その中でも、耐熱試験時の反りの増加を抑制するとの理由から、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}が特に好適である。光カチオン重合開始剤としては、下記の化合物が好適である。トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のアリールスルフォニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のアリールヨウドニウム塩;フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート等のアリールジアゾニウム塩。これらの中でも、アリールスルフォニウム塩、ジアゾニウム塩が好適である。特に、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好適である。
光重合開始剤の配合量は、ハードコート材の合計量に対して、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは2〜10質量%である。光重合開始剤の配合量が0.5質量%未満であると、組成物が充分に硬化しないことがある。逆に、光重合開始剤の配合量が20質量%を超えると、硬化物の物性がさらに向上することはなく、むしろ悪影響を及ぼす上、経済性を損なうことがある。
<(c)ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類>
本発明のハードコート材は、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有していることが好ましい。ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、基板として通常使用されるポリカーボネートとの密着性が良好であることと希釈効果が高くハードコート材の粘度を下げるという効果を有する。ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類として例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。ハードコート材中のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の配合量としては、好ましくは5質量%〜35質量%、更に好ましくは10質量%〜30質量%である。
本発明のハードコート材の粘度は、25℃において20mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは30mPa・s以上80mPa・sであり、さらに好ましくは40mPa・s以上70mPa・sである。ハードコート材の粘度が上記範囲内であればハードコート層を均一な厚さで形成することができる。しかしハードコート材の粘度が上記範囲外となれば、ハードコート層の中心部の厚みが薄くなる場合や、端部の厚みが厚くなる場合がある。ここで、粘度は温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」:東機産業(株)製)を用いて算出した値である。
本発明のハードコート材は、(a)4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類と(b)光重合開始剤以外に反応性基を有するオリゴマーおよびまたはポリマーを含有していても良い。オリゴマーおよびまたはポリマーにある反応性基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーまたはポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基ペンダントポリマー、エポキシ樹脂、ビニルエーテル基ペンダントポリマー、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが好ましい。ハードコート材において、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーおよびまたはポリマーの配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは3質量%以上20質量%未満、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。オリゴマーおよびまたはポリマーの配合量が20質量%を超えると、粘度が上昇し適正なハードコート層厚みを形成できなくなる場合がある。また、3質量%未満であれば、基板へ塗布した後の反りが大きくなる場合や、靭性が低下して塗膜ひび割れ及び剥がれなどが生じたり、長期保存安定性が悪くなったりする場合がある。
また、ハードコート材として(メタ)アクリル系単官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマー等の重合性モノマーを含有してもよい。重合性モノマーとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、スチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系モノマー;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリルなどのアリルエステル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の1官能(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタンー1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、などの(メタ)アクリル酸系誘導体;メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレートなどのエーテル構造を有する(メタ)アクリル系誘導体;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテルなどのアリルエーテル系モノマー;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル系モノマー;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどのフマル酸エステル系モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、などの1,3−ジオキソラン系モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン;N−ビニルホルムアミド;N−ビニルピロリドン;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうちフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレートが好適に使用できる。耐擦傷性の観点から、3官能以上多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
ハードコート材において、重合性モノマーの配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0以上60質量%未満、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。重合性モノマーの配合量が60質量%を超えると、硬化収縮率や内部歪が大きくなり、例えば基板/保護層の積層体に塗布し硬化させた後の反りが大きくなる場合がある。
本発明のハードコート材は、さらに必要に応じて、添加物として、無機充填剤、非反応性樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂など)、着色顔料、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面調整剤、揺変化剤、揺変助剤などを添加することができる。これらの添加物の存在は、特に本発明の効果に影響を及ぼすものではない。これらの添加物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
添加物の配合量は、添加物の種類や使用目的、組成物の用途や使用方法などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、無機充填剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%の範囲内である。非反応性樹脂、着色顔料、可塑剤または援変化剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%の範囲内である。重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤または援変助剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.001〜3質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%の範囲内である。
本発明のハードコート材は、金属酸化物からなる微粒子を含有してもよい。金属酸化物からなる微粒子を含有する場合には、硬化後の塗膜の硬度が向上し、より傷つきにくくなるという効果を奏する。
微粒子を構成する金属酸化物は、より好ましくは、Si、Ti、Zr、Zn、Sn、In、LaおよびYよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む。微粒子を構成する金属酸化物は、これらの元素を含む単独の酸化物であってもよいし、これらの元素を含む複合酸化物であってもよい。微粒子を構成する金属酸化物の具体例としては、例えば、SiO、SiO、TiO、ZrO、ZnO、SnO、In、La、Y、SiO−Al、SiO−Zr、SiO−Ti、Al−ZrO、TiO−ZrOなどが挙げられる。これらの金属酸化物からなる微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの金属酸化物からなる微粒子のうち、SiO、TiO、ZrO、ZnOが好適である。
金属酸化物からなる微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜300nm、より好ましくは1〜50nmである。微粒子の平均粒子径が300nmを超えると、硬化物の透明性が損なわれることがある。なお、微粒子の平均粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定することにより求められる体積平均粒子径を意味する。
金属酸化物からなる微粒子の配合量は、ハードコート材の合計量に対して、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0〜50質量%である。微粒子の配合量が80質量%を超えると、硬化物が脆くなることがある。
本発明のハードコート材は、紫外線による硬化で波長150〜450nmの範囲内の光を含む光源を用いればよい。このような光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、フラッシュ型キセノン灯、カーボンアーク灯などが挙げられる。これらの光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などによる熱の併用も可能である。照射積算光量は、好ましくは0.1〜3J/cm、より好ましくは0.2〜2.0J/cm、さらに好ましくは0.3〜1.0J/cmの範囲内である。
紫外線照射による硬化と共に加熱による硬化を行う場合には、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などを用いればよい。加熱温度は、基板の種類などに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃の範囲内である。加熱時間は、塗布面積などに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜24時間、より好ましくは10分間〜12時間、さらに好ましくは30分間〜6時間の範囲内である。
≪硬化物≫
本発明の硬化物は、硬化性を有する樹脂組成物を硬化させて得られるものであれば特に限定するものではない。ここで、「硬化物」とは、流動性の無い物質を意味する。
≪ハードコート層≫
本発明のハードコート材を硬化させた硬化物の25℃における貯蔵弾性率E'が600MPa以上2000MPa以下であることが好ましい。より好ましくは700MPa以上1800MPa以下、最も好ましくは700MPa以上1600MPa以下である。貯蔵弾性率E'が2000MPaを超えると靭性が低下しハードコート層が変形した際にクラックを発生する場合がある。また、600MPa未満であれば目的とする硬度が得られない場合がある。貯蔵弾性率E'は、得られた硬化物を用いて動的粘弾性測定により得られた値である。また、ハードコート材の硬化物のガラス転移温度は特に限定されるものではないが、ガラス点移転温度が40℃以上100℃以下であることが好ましい。より好ましくは45℃以上90℃以下、最も好ましくは50℃以上80℃以下である。ガラス点移転温度は、貯蔵弾性率E'と同様に動的粘弾性測定により得られた値であり、最大tanδ値の温度を採用する。なお、動的粘弾性測定の測定条件としては、サンプルサイズ幅8mm×長さ50mm×厚さ100μm、引っ張りモード、周波数1Hz、クランプ距離25mm、振幅0.1%、昇温速度5℃/分を採用することが好ましい。
≪保護層≫
本発明のハードコート材を塗布する保護層において、保護層用樹脂組成物を硬化させた硬化物の弾性率としては、特に限定するものではない。本発明のハードコート材から得たハードコート層は、靭性のある材料であるので、その下に形成される保護層は、弾性率の低い材料でも高い材料でも構わない。低い弾性率としては、例えば、25℃における貯蔵弾性率E'が10MPa以上500MPa以下であることが好ましい。より好ましくは10MPa以上300MPa以下、最も好ましくは20MPa以上100MPa以下である。また、保護層のガラス転移温度も特に限定されるものではないが、ガラス点移転温度が0℃以上50℃以下であることが好ましい。より好ましくは5℃以上30℃以下、最も好ましくは10℃以上30℃以下である。また、保護層の弾性率が高い場合、25℃における貯蔵弾性率E'は800MPa以上が好ましく、2000MPa以下、好ましくは1500MPa以下であることが好ましい。ガラス転移温度は、30℃以上が好ましく、60℃以下、好ましくは55℃以下、より好ましくは50℃以下が好ましい。ガラス転移温度は50℃以上が好ましく、85℃以下、好ましくは70℃以下であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
≪評価方法≫
<粘度>
得られた本発明のハードコート材を、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」:東機産業(株)製)を用いて測定した値を採用した。
<硬化層の透明性>
得られた積層体から硬化層(保護層+ハードコート層あるいは保護層のみ)を所定の寸法で剥離し、405nmにおける光線透過率を、分光光度計(型式UV−3100、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。空気をブランクとして採用した。次いで、算出された光線透過率の値について下記の基準により評価した。
◎:透過率が89%以上
○:透過率が85%以上
×:透過率が85%未満。
<硬化層の質量減量>
得られた積層体から硬化層(保護層+ハードコート層あるいは保護層のみ)を所定の寸法で剥離し、加熱促進試験(70℃のオーブン中で100時間保持)前後の質量減量(%)を、(試験前の質量−試験後の質量)/試験前の質量×100で算出した。次いで、算出された光線透過率の値について下記の基準により評価した。
◎:質量減量が1.0%以下
○:質量減量が2.0%以下
×:質量減量が2.0以上
<硬化層の残膜性>
加熱促進試験(70℃のオーブン中で100時間保持)前後の硬化層(保護層+ハードコート層あるいは保護層のみ)の厚みを、レーザーフォーカス変位計を用いて測定し、残膜率(%)を(加熱促進試験後の膜厚/加熱促進試験前の膜厚×100)で算出し、以下の基準で残膜性を評価した。
○:残膜率が98.0%以上〜102%未満
×:残膜率が98.0%未満または102%以上
<初期の反り増加量>
得られた積層体を、硬化物層が上面側になるように水平なガラス板上に置いた後、株式会社日本触媒製のレーザー変位読取方式の反り角測定装置を使い、温度25℃、相対湿度50%環境下にて、積層体の中心から半径58mm位置におけるラジアルチルト値を測定した。初期の反り増加量としては、塗布前後の反り変化量を採用した。
<加熱促進試験後の反り増加量>
得られた積層体を、80℃、相対湿度85%環境下に100時間保持させ、さらに、温度25℃、相対湿度50%環境下に48時間放置したときの反り値を、初期の反り増加量と同様にしてラジアルチルト値を測定した。これにより加熱促進試験前後の反り増加量を求めた。
<反り総合評価>
初期の反り増加量と加熱促進試験後の反り増加量を合算し、得られた反り量を以下の基準で評価した。
○:1.0°未満
×:1.0°以上
反り量が1.0°を超えると硬化層が基材と剥離する等の長期安定性での不具合が生じる可能性がある。
<硬化物の貯蔵弾性率E'>
硬化物層が積層された積層体から硬化物層(保護層あるいはハードコート材硬化物)を所定の寸法で剥離し、サンプルサイズ幅8mm×長さ50mm×厚さ100μm、引張りモード、周波数1Hz、クランプ距離25mm、振幅0.1%、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性測定装置を用いて、動的粘弾性の測定を行い、得られた25℃における貯蔵弾性率E'の値を採用した。
<硬化物表面の耐スクラッチ性>
積層体(基板+保護層+ハードコート層あるいは基板+保護層)の硬化物表面に対して、耐摩耗試験機(型式IMC−154A型、株式会社井元製作所製)を用いて、所定の荷重の下、スチールウール#0000番を、往復速度30mm/秒、往復距離25mmで10回往復させた後、傷つき度合いを目視により観察し、次の基準で評価した。
○:荷重250g/cm変化なし(傷が認められない)
×:荷重250g/cmで数本以上の傷が認められる
<ハードコート層耐変形性>
積層体(基板+保護層+ハードコート層:サンプルサイズ12cm×12cm)のハードコート層を上面にして対角線の端部を持ち、対角線距離が10cmになるまで湾曲させた時に積層体上のハードコート層にクラックが発生するかを目視により観察し、次の基準で評価した。
○:クラックが認められない
△:僅かにクラックが認められる
×:大きくクラックが認められる
≪実施例1≫
<ハードコート材>
(a)多官能(メタ)アクリル酸エステル類としてペンタエリスリトールのエチレンオキサイド4モル付加物のテトラアクリレート(商品名「SR494」、サートマージャパン株式会社製)80質量部、重合性モノマーとして(c)ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類であるアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒製)20質量部、(b)光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名「ダロキュア1173」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)8質量部さらに添加剤として表面調整剤(商品名「L−7002」、東レ・ダウコーニング株式会社製)0.1質量部を混合・攪拌して、ハードコート材を調製した。
<保護層用硬化性樹脂組成物>
ウレタンアクリレート(商品名「紫光UV−7000B」、日本合成化学工業株式会社製)50質量部、重合性モノマーとしてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学株式会社製)20質量部、イソボルニルアクリレート(商品名「ライトアクリレートIB−X」、共栄社化学株式会社製)20質量部、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒製)10質量部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)2質量部を混合・攪拌して、保護層用硬化性樹脂組成物を調製した。
次に、寸法120mm×120mm、厚さ1mmのポリカーボネート(PC)基板上にスピンコーターを用いて、保護層用硬化性樹脂組成物を厚さ97μm設定で塗布した。得られたPC基板を、キセノンフラッシュUVランプを有するUV照射機(米国キセノン社製 形式RC−742)を用いて、ランプ高さ2cmで硬化させた。なお、320〜390nmにおける照射積算光量は500mJ/cmであった。次に保護層が積層されたPC基板にさらに先に調整したハードコート材を厚さ3μm設定で塗布した。同様に得られたPC基板を、キセノンフラッシュUVランプを用いて、ランプ高さ2cmで硬化させた。同様に320〜390nmにおける照射積算光量は500mJ/cmであった。得られた積層体の評価を行った結果を表1に示した。
≪その他の実施例および比較例≫
実施例1と同様にして、各成分を表1および表2に示した割合で混合・攪拌して、上記の評価方法により評価した。評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2010182385
Figure 2010182385
なお、表中の略称は下記の通りである。
<ハードコート材用材料>
・PE−4EO−A:ペンタペンタエリスリトールのエチレンオキサイド4モル付加物のテトラアクリレート
(商品名「SR494」、サートマージャパン株式会社製)
・PE−8EO−A:ペンタペンタエリスリトールのエチレンオキサイド8モル付加物のテトラアクリレート
・DCPA−60:ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン6モル付加物のヘキサアクリレート
(商品名「カヤラッドDPCA−60」、日本化薬株式会社製)
・PE−12EO−A:ペンタペンタエリスリトールのエチレンオキサイド12モル付加物のテトラアクリレート
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(日本触媒製)
・TMP−3EO−A:トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート
(商品名「SR454」、サートマージャパン株式会社製)
・TMP−6EO−A:トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド6モル付加物のトリアクリレート
(商品名「SR499」、サートマージャパン株式会社製)
・PETA:ペンタペンタエリスリトールテトラアクリレート
(商品名「SR295」、サートマージャパン株式会社製)
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(商品名「ライトアクリレートDPE−6A」、共栄社化学株式会社製)
・VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
(株式会社日本触媒製)
・L−7002:ポリエーテル変性シリコーン
(商品名「L−7002」、東レ・ダウコーニング株式会社製)
・D1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
(商品名「ダロキュア1173」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
<保護層用硬化性樹脂組成物用材料>
・UV−7000B:ウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製)
・UV−6100B:ウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製)
・UV−6640B:ウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製)
・UV−3000B:ウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製)
・DCP−A:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学株式会社製)
・IB−XA:イソボルニルアクリレート
(商品名「ライトアクリレートIB−XA」、共栄社化学株式会社製)
・HX−220:ヒドロキシピバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン2モル付加物のジアクリレート
(商品名「カヤラッドHX−220」、日本化薬株式会社製)
・HX−620:ヒドロキシピバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン4モル付加物のジアクリレート
(商品名「カヤラッドHX−620」、日本化薬株式会社製)
・Bis−4EO−A:ビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物のジアクリレート
(商品名「ライトアクリレートBP−4EA」、共栄社化学株式会社製)
・BP−10E−A:ビスフェノールAのエチレンオキサイド10モル付加物のジアクリレート
(商品名「SR602」、サートマージャパン株式会社製)
・Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
本発明のハードコート材は、透明性を有すると同時に硬化後の塗膜は傷つきにくく靭性に優れ、塗膜ひび割れ及び剥がれなどが生じにくい。また長期保存安定性(加熱促進試験時の低反り性や残膜性)に優れていることから、光ディスク、例えばブルーレイディスクのハードコート層として利用することが可能である。

Claims (4)

  1. 基板上に存在し、かつ情報読み取り用のレーザー光を反射させる反射膜と、前記反射膜上に存在し、かつ厚さが10〜150μmである保護層と、前記保護層上に設けられたハードコート層とを有する光ディスクに用いられるハードコート材であって、前記ハードコート材中に、
    (a)4価以上の多価アルコールへの1価あたりの付加繰り返し単位がn=1〜2であるアルキレンオキサイド付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類および/またはカプロラクトン付加物から得た多官能(メタ)アクリル酸エステル類を合計量30質量%以上と
    (b)光重合開始剤
    を含有することを特徴とする光ディスク用ハードコート材。
  2. 前記ハードコート材に、(c)ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク用ハードコート材。
  3. 前記ハードコート材の25℃における粘度が20mPa・s以上100mPa・s以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光ディスク用ハードコート材。
  4. 前記ハードコート材を硬化させた硬化物の25℃における貯蔵弾性率E'が600MPa以上2000MPa以下であることを特徴とする請求項1〜3記載の光ディスク用ハードコート材。
JP2009026809A 2009-02-06 2009-02-06 光ディスク用ハードコート材 Pending JP2010182385A (ja)

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WO2012023415A1 (en) 2010-08-17 2012-02-23 Nec Corporation Sleeping epc for energy saving in lte

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