JP2010180800A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体還元剤の濃度を所定濃度に維持して、窒素酸化物の還元を安定的に行うことが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】還元剤タンクに貯蔵された液体還元剤を内燃機関の排気通路内に供給可能な還元剤供給装置と、液体還元剤を用いて内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物を還元する還元触媒と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、液体還元剤の溶媒が貯蔵された溶媒タンクと、溶媒タンクから還元剤タンクへ溶媒を供給可能な溶媒送液部と、溶媒送液部の制御を行う溶媒供給制御部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物を液体還元剤を用いて還元可能な内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
従来、内燃機関から排出される排気ガス中の窒素酸化物を浄化する内燃機関の排気浄化装置として、SCR触媒等の還元触媒を排気通路に配置し、還元触媒より上流側の排気通路内に尿素水溶液等の液体還元剤を供給することによって、還元触媒において排気ガス中の窒素酸化物を還元するものが知られている。
このような内燃機関の排気浄化装置では、液体還元剤の供給量が窒素酸化物の量に対して少なすぎると、還元されなかった窒素酸化物が還元触媒の下流側に流出する一方、液体還元剤の供給量が窒素酸化物の量に対して多すぎると、液体還元剤、あるいはアンモニア等の液体還元剤に由来する成分が還元触媒の下流側に流出することになる。これらの窒素酸化物やアンモニアが大気中に放出されると環境に影響を及ぼすおそれがあることから、このような内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関の運転状態、排気ガスや還元触媒の温度、窒素酸化物濃度等、種々の情報に基づいて必要な液体還元剤の供給量を算出し、還元剤供給装置から液体還元剤が過不足なく供給されるように制御が行われる(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−282413
ところで、窒素酸化物の還元に用いられる液体還元剤として、分解されることでアンモニアを生成可能な尿素水溶液が多用されている。上述した制御装置では、窒素酸化物を還元するために必要なアンモニアの量から尿素水溶液の供給量が算出されるようになっている。そのため、尿素水溶液をより正確に供給制御できるように一定の濃度の尿素水溶液が用いられる。また、尿素水溶液は濃度によって凍結温度が異なるため、一定の濃度の尿素水溶液として、凍結温度が出来るだけ低くなる濃度の尿素水溶液が用いられる場合がある。
しかしながら、このような内燃機関の排気浄化装置に備えられた還元剤タンクは、タンク内圧を大気圧とした開放タイプとなっている場合があり、還元剤タンク内に貯蔵された尿素水溶液の水分が蒸発しやすく、尿素水溶液の濃度が上昇するおそれがある。
貯蔵された尿素水溶液の濃度が上昇すると、凍結温度が高くなってしまい、還元剤タンク内の尿素水溶液が凍結しやすくなるという問題がある。例えば、濃度が40%の尿素水溶液の凍結温度は−1℃、濃度が50%の尿素水溶液の凍結温度は16℃である。
さらに、尿素水溶液の濃度が上昇すると比重や粘度等の物性も変化するため、還元剤供給装置の駆動制御が正確に行われていても、排気通路内への尿素水溶液の供給量が必要な供給量からずれてしまうおそれがある。このような尿素水溶液の供給量のずれが生じると、排気ガス中の窒素酸化物に対するアンモニアの過不足が生じ、安定した排気浄化処理が行えなくなるという問題につながる。
そこで、本発明の発明者は鋭意検討し、排気浄化装置が、液体還元剤の溶媒を貯蔵する溶媒タンクと、当該溶媒を還元剤タンクに供給する溶媒送液部とを備えることにより、還元剤タンク内の液体還元剤の濃度が所定濃度よりも上昇した場合に、還元剤タンク内に溶媒を供給して液体還元剤の濃度を所定濃度に戻すことができることを見出し、本発明を完成させたものである。すなわち、本発明は、液体還元剤の濃度を所定濃度に維持して、窒素酸化物の還元を安定的に行うことが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、還元剤タンクに貯蔵された液体還元剤を内燃機関の排気通路内に供給可能な還元剤供給装置と、液体還元剤を用いて内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物を還元する還元触媒と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、液体還元剤の溶媒が貯蔵された溶媒タンクと、溶媒タンクから還元剤タンクへ溶媒を供給可能な溶媒送液部と、溶媒送液部の制御を行う溶媒供給制御部と、を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置が提供され、上述した課題を解決することができる。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、液体還元剤の濃度を検出可能な濃度検出手段を備え、溶媒供給制御部は、濃度検出手段の検出結果に基づいて還元剤タンクへの溶媒の供給量を調整可能であることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、還元剤タンクは、貯蔵された液体還元剤の残量を検出可能な残量検出手段を備え、溶媒供給制御部は、残量検出手段の検出結果に基づき、溶媒の供給量を調整可能であることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、液体還元剤は尿素水溶液であり、溶媒は水であることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、溶媒送液部は、溶媒を所定の被冷却部位に供給して被冷却部位を冷却可能な冷却部を含むことが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、還元剤供給装置は、液体還元剤を排気通路内に噴射可能な還元剤噴射部と、還元剤タンクから還元剤噴射部へ液体還元剤を供給可能であるとともに、還元剤噴射部側へ供給された液体還元剤を還元剤タンクへ還流可能な還元剤送液部と、を備え、還元剤送液部及び溶媒送液部は、還元剤タンクに還流される液体還元剤及び還元剤タンクに送液される溶媒が流通可能な第1の共有通路を備えることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、還元剤送液部及び溶媒送液部は、液体還元剤及び溶媒が流通可能な第2の共有通路を備え、還元剤噴射部は、液体還元剤及び溶媒を噴射可能に構成されていることが好ましい。
本発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、液体還元剤の溶媒が貯蔵された溶媒タンクと、この溶媒タンクから還元剤タンクへ溶媒を供給可能な溶媒送液部と、溶媒送液部の制御を行う溶媒供給制御部とを備えているので、液体還元剤の濃度が上昇したときに、溶媒タンク内の溶媒を還元剤タンクに供給して液体還元剤の濃度を調整することができる。そのため、液体還元剤の濃度が所定濃度に調整されるとともに液体還元剤の物性が維持されて、液体還元剤が過不足なく排気通路内に供給されやすくなる。したがって、排気ガス中の窒素酸化物の還元が安定的に実施されるようになる。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、溶媒供給制御部が、濃度検出手段の検出結果に基づき、還元剤タンクへの溶媒の供給量を調整可能であることにより、液体還元剤の濃度変化に応じて適切な量の溶媒が還元剤タンクに供給され、液体還元剤が速やかに所定濃度に調整される。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、溶媒供給制御部が、残量検出手段の検出結果に基づき、還元剤タンクへの溶媒の供給量を調整可能であることにより、液体還元剤の残量に応じて適切な量の溶媒が還元剤タンクに供給され、液体還元剤が速やかに所定濃度に調整される。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、液体還元剤が尿素水溶液であり、溶媒が水であれば、尿素水溶液の凍結が防止され、また、尿素水溶液の密度や粘度等が変化しにくくなって、尿素水溶液を用いた排気浄化処理が安定的に実施される。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、溶媒送液部が、還元触媒や還元剤噴射部の近傍等の所定の被冷却部位に溶媒を供給可能な冷却部を含むことにより、液体還元剤の濃度調整だけでなく各被冷却部の冷却にも溶媒を利用することができる。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、還元剤供給装置が、還元剤噴射部と還元剤送液部とを備え、還元剤送液部及び溶媒送液部が、還元剤タンクと連通する第1の共有通路を備えることにより、還元剤送液部及び溶媒送液部を構成する配管の数が少なくなり、構成が簡素化されるとともに、コストの増加が抑えられる。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、還元剤供給装置及び溶媒送液部が、還元剤送液部と連通する第2の共有通路を備えることにより、還元剤噴射部から、冷却材としての溶媒を噴射させることができる。したがって、溶媒によって還元剤噴射部や還元触媒が冷却されるため、内燃機関の運転時に還元剤噴射部や還元触媒が過剰な高温となって破損や損傷を受けることが防止される。
本発明の第1の実施の形態にかかる内燃機関の排気浄化装置の構成例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる内燃機関の排気浄化装置に備えられた還元剤供給装置の構成を説明するための図である。 内燃機関の排気浄化装置に備えられた制御装置の構成例を示すブロック図である。 液体還元剤の濃度調整制御のフローを説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる内燃機関の排気浄化装置の還元剤供給装置の構成を説明するための図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる内燃機関の排気浄化装置に備えられた還元剤供給装置の構成を説明するための図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる内燃機関の排気浄化装置に備えられた還元剤供給装置における液体還元剤の噴射制御時の状態を示す図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる内燃機関の排気浄化装置に備えられた還元剤供給装置におけるエアパージ制御時及びエアー抜き処理時の状態を示す図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる内燃機関の排気浄化装置に備えられた還元剤供給装置における液体還元剤の濃度調整制御時及びエアパージ制御時の状態を示す図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる内燃機関の排気浄化装置に備えられた還元剤供給装置における冷却制御時の状態を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の内燃機関の排気浄化装置にかかる実施の形態について具体的に説明する。ただし、この実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものについては同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
[第1の実施の形態]
1.排気浄化装置
(1)排気浄化装置の全体構成
図1は、排気浄化装置10の全体構成を表す概略図を示している。この排気浄化装置10は、車両に搭載されたディーゼルエンジン、リーンバーンエンジンなどの内燃機関5から排出される排気ガス中の窒素酸化物を浄化する装置である。
排気浄化装置10は、内燃機関5の排気ガスが流れる排気通路11内に配置された還元触媒20と、還元触媒20より上流側の排気通路11内に液体還元剤を供給可能な還元剤供給装置30と、還元剤供給装置30を構成する還元剤タンク31内の液体還元剤の濃度調整が可能な溶媒供給部50と、還元剤供給装置30及び溶媒供給部50を制御する制御装置60とを備えている。
還元触媒20は、後述する液体還元剤としての尿素水溶液から生成されるアンモニアとともに排気ガスを接触させることで、排気ガス中に含まれるNOXを還元して無害化するためのSCR触媒などの還元触媒が用いられる。還元触媒20の上流側及び下流側には、温度センサ21、23やNOXセンサ25等のセンサが設けられており、各センサは還元触媒20の温度、排気ガス中の窒素酸化物濃度、排気ガスの圧力などの検出に用いられる。
(2)還元剤供給装置
還元剤供給装置30は、液体還元剤が貯蔵される還元剤タンク31と、還元剤タンク31内の液体還元剤を送液する還元剤送液部40と、送液された液体還元剤を還元触媒20の上流側の排気通路11内に噴射可能な還元剤噴射部としての還元剤噴射弁41とを備えている。
液体還元剤としては、溶媒としての水中に尿素等の還元成分を含有する水溶液、分散液、混合液などが用いられる。本実施形態の排気浄化装置10では、32.5重量%の尿素水溶液が使用されている。
還元剤タンク31は、例えば、樹脂等により形成された液体容器であり、タンク内に貯蔵された液体還元剤の液面レベルにより残量を把握できるもの、例えば、鉛直方向の各位置における水平方向の断面積が予め把握できているものが好適である。
また、還元剤タンク31は、貯蔵された液体還元剤の液面レベルを検出可能な残量検出手段を構成する還元剤レベルセンサ32と、液体還元剤の温度を検出可能な還元剤温度センサ33と、液体還元剤の濃度を検出可能な還元剤濃度センサ34とを備えている。さらに、還元剤タンク31は、貯蔵されている液体還元剤を加熱するための加熱ヒータ36及び冷却するための冷却ファン37と、安全性及び噴射制御性の観点から還元剤タンク31内を大気圧に保つための内圧調整手段39とを備えている。
還元剤レベルセンサ32、還元剤温度センサ33、及び還元剤濃度センサ34のセンサ値は、それぞれ制御装置60に伝達される。また、加熱ヒータ36、冷却ファン37等は、内燃機関5の運転中に液体還元剤の温度が所望の範囲となるように、還元剤温度センサ33のセンサ値によって得られる液体還元剤の温度に基づいて制御装置60等により制御される。
還元剤送液部40は、還元剤タンク31から還元剤噴射弁41へ液体還元剤を供給可能であるとともに、還元剤噴射弁41側へ供給された液体還元剤の一部を還元剤タンク31へ還流可能な配管経路を備えている。本実施形態の排気浄化装置10では、還元剤送液部40は、液体還元剤を圧送する還元剤圧送ポンプ47が設けられたポンプモジュール44と、還元剤タンク31とポンプモジュール44との間に接続された第1の還元剤通路42と、ポンプモジュール44と還元剤噴射弁41との間に接続された第2の還元剤通路43と、還元剤圧送ポンプ47によって還元剤噴射弁41側へ供給された液体還元剤の一部を還元剤タンク31へ還流するための還流路45とを備えている。
第1の還元剤通路42は、還元剤タンク31内に流入口42aを有し、フィルタ42bを介して液体還元剤が第1の還元剤通路42に導入されるように構成されている。
ポンプモジュール44は、詳細な図示省略されているが、液体還元剤を圧送するための還元剤圧送ポンプ47や、液体還元剤中の異物を捕集する異物フィルタ、液体還元剤の流通方向を還元剤タンク31側から還元剤噴射弁41側への正方向とその逆方向に切り換える電磁弁等が設けられている。
第2の還元剤通路43には圧力センサ48が設けられ、この圧力センサ48に基づいて得られる圧力値が所定値に維持されるように、ポンプモジュール44に備えられた還元剤圧送ポンプ47のフィードバック制御が行われる。
還流路45には、第2の還元剤通路43内の圧力の上限を規定するためのオリフィスやプレッシャレギュレータなどの圧力調整手段46が設けられている。
(3)溶媒供給部
溶媒供給部50は、液体還元剤を構成する溶媒のみが貯蔵された溶媒タンク51と、溶媒タンク51から還元剤タンク31へ溶媒を供給可能な溶媒送液部55とを備える。還元剤タンク31の内部が内圧調整手段39により大気開放されると、還元剤タンク31内の液体還元剤の溶媒が蒸発し、液体還元剤の濃度が上昇する場合がある。また、液体還元剤が還元剤送液部40を循環する中で溶媒が蒸発し、液体還元剤の濃度が上昇する場合がある。このような場合において、溶媒供給部50は溶媒を還元剤タンク31に供給して液体還元剤を希釈する。
溶媒は、液体還元剤に供給することで液体還元剤の濃度を調整可能な液であり、液体還元剤として尿素水溶液が用いられる本実施形態の例では水が用いられる。
溶媒タンク51は、例えば、樹脂等により形成された液体容器であり、還元剤タンク31と一体に形成されていてもよく、別体に形成されていてもよいが、本実施形態では、還元剤タンク31と隣接して一体に設けられている。そのため、還元剤タンク31内の液体還元剤が、加熱ヒータ36及び冷却ファン37により温度調整されることで、溶媒タンク51内の溶媒も還元剤タンク31から伝達される熱量により温度調整される。
溶媒タンク51は、貯蔵された溶媒の液面レベルを検出可能な溶媒レベルセンサ52と、溶媒の液温を検出可能な溶媒温度センサ53と、溶媒タンク51内を大気圧に保つための内圧調整手段54とを備える。溶媒レベルセンサ52及び溶媒温度センサ53により検出された液面レベルや温度は制御装置60に伝達される。溶媒温度センサ53や内圧調整手段54は省略されていてもよい。
溶媒送液部55は、溶媒を圧送するための溶媒圧送ポンプ57と、溶媒圧送ポンプ57が設けられた溶媒流入路56と、溶媒流入路56を還元剤タンク31又は溶媒タンク51のいずれかに連通させる三方切換弁58と、三方切換弁58から還元剤タンク31側に溶媒を導く還元剤側流出路59aと、三方切換弁58から溶媒タンク51側に溶媒を導く溶媒側流出路59bとを備えている。
溶媒流入路56の溶媒タンク51側の流入口56aにはフィルタ56bが設けられており、フィルタ56bを介して溶媒タンク51内の溶媒が溶媒流入路56に吸い上げられる。
また、三方切換弁58は、還元剤側流出路59a又は溶媒側流出路59bのいずれか一方を溶媒流入路56と択一的に連通可能に構成されている。
この溶媒送液部55は、図2(a)に示すように、三方切換弁58により、溶媒流入路56と溶媒側流出路59bとを連通させた状態で、溶媒圧送ポンプ57を作動させ、溶媒流入路56内のエアーを十分に抜いた後に、三方切換弁58を切換えて、図2(b)に示すように、溶媒流入路56と還元剤側流出路59aとを連通させた状態とし、溶媒が還元剤タンク31に供給できるように構成されている。
溶媒圧送ポンプ57は、一定流量で溶媒を液送可能に構成されており、上述したエアー抜きの後に、三方切換弁58により溶媒流入路56と還元剤側流出路59aとを所定の供給時間連通させることで、還元剤タンク31への要求量にしたがって溶媒が精度よく還元剤タンク31へ供給される。
(4)制御装置(溶媒供給制御部)
本実施形態の排気浄化装置10では、制御装置60は、還元剤噴射弁41、ポンプモジュール44、圧力調整手段46等の動作制御を行うことで還元剤供給装置30を制御可能な還元剤供給制御部69を備えるとともに、溶媒圧送ポンプ57、三方切換弁58等の動作制御を行うことで溶媒送液部50を制御可能な溶媒供給制御部61を備える。
図3は、制御装置60のうちの溶媒供給制御部61の構成例を機能的なブロックで表したものである。溶媒供給制御部61は、還元剤タンク31内の液体還元剤の濃度調整を行う必要があるか否かを判定する濃度判定部62と、液体還元剤の濃度調整を行う場合に還元剤タンク31に供給すべき溶媒の必要量を算出する要求量演算部63と、液体還元剤の濃度調整を行える状態か否かを判定する実施判定部64と、濃度判定部62、要求量演算部63及び実施判定部64の指示に基づき、溶媒圧送ポンプ57及び三方切換弁58の駆動制御を行う駆動制御部65とを備えている。
濃度判定部62には、予め許容濃度範囲又は基準濃度が記憶されており、濃度判定部62は、還元剤タンク31に設けられた還元剤濃度センサ34のセンサ値を読込み、当該センサ値に基づいて得られる液体還元剤の濃度が許容濃度範囲内又は基準濃度であるか否かを判定する。液体還元剤の濃度が許容濃度範囲又は基準濃度を上回ったときには、濃度判定部62は、液体還元剤の濃度調整の実行指示を駆動制御部65に出力するとともに、液体還元剤の濃度を要求量演算部63及び実施判定部64に伝達する。
許容濃度範囲又は基準濃度は使用する液体還元剤の濃度と窒素酸化物の許容還元効率に応じて適宜設定可能であるが、例えば、所定の凍結温度や所定の密度、粘性を実現可能な濃度を基準濃度として設定することができる。本実施形態では、溶媒としての水の蒸発により液体還元剤の濃度が上昇して凍結温度が上昇したり、密度や粘性等の物性が変化したりすることを防止するため、使用する尿素水溶液の濃度32.5重量%が基準濃度として設定されている。
要求量演算部63には、還元剤タンク31の鉛直方向の各位置における水平方向の断面積が予め記憶されており、要求量演算部63は、還元剤レベルセンサ32のセンサ値を読み込み、当該センサ値に基づいて得られる還元剤タンク31内の液体還元剤の液面レベルに基づき、還元剤タンク31内の液体還元剤の残量を算出する。さらに、要求量演算部63は、液体還元剤の残量と、濃度判定部62から伝達された液体還元剤の濃度とに基づいて、還元剤タンク31内の液体還元剤を基準濃度にするために還元剤タンク31内に供給すべき溶媒の要求量を算出する。要求量演算部63で演算された溶媒の要求量は、駆動制御部65及び実施判定部64に伝達される。
実施判定部64は、還元剤タンク31に設けられた還元剤温度センサ33のセンサ値及び溶媒タンク51に設けられた溶媒温度センサ53のセンサ値を読み込み、これらのセンサ値に基づいて液体還元剤及び溶媒の温度を算出する。また、実施判定部64は、溶媒タンク51に設けられた溶媒レベルセンサ52のセンサ値を読込み、当該センサ値に基づいて溶媒の液面レベルを算出するとともに、溶媒の残量を算出する。そして、実施判定部64は、これらの液体還元剤の温度、溶媒の温度、溶媒の残量に併せて、濃度判定部62から伝達される液体還元剤の濃度と、要求量演算部63から伝達される溶媒の要求量とに基づいて、液体還元剤の濃度調整制御を行うことが可能であるか否かを判定する。
具体的には、実施判定部64は、液体還元剤の濃度及び温度に基づいて液体還元剤が凍結状態であるか否かを判定するとともに、溶媒の温度に基づいて溶媒が凍結状態であるか否かを判定する。液体還元剤が一部凍結状態の場合には、領域によって液体還元剤の濃度にムラが生じやすいため還元剤濃度センサ34によって検出される液体還元剤の濃度の信頼性が低く、また、溶媒が凍結状態の場合には溶媒を送液することが困難であるため、液体還元剤又は溶媒の凍結時に、液体還元剤の濃度調整制御を中断するためである。
ただし、液体還元剤及び溶媒のうちのいずれか一方のみについて、凍結状態であるか否かを判定するようにしてもよい。
また、実施判定部64は、溶媒タンク51内の溶媒の残量が溶媒の要求量以上であるか否かを判定する。溶媒の残量が要求量未満であると、液体還元剤の濃度を基準濃度に戻すことができないからである。
すなわち、本実施形態の例では、実施判定部64は、液体還元剤及び溶媒が液体状態であり、さらに、溶媒の残量が要求量以上である場合に、濃度調整制御の実施を許可する信号を駆動制御部65に伝達する。
駆動制御部65は、濃度判定部62からの濃度調整制御の実行指示信号と、実施判定部64からの実施許可信号とが伝達されたとき、要求量演算部63で算出された要求量に基づいて、溶媒圧送ポンプ57と三方切換弁58との駆動制御を実行する。ここでは、駆動制御部65は、一定流量で溶媒を圧送する溶媒圧送ポンプ57を駆動させ、溶媒流入路56内のエアー抜きを行った後、溶媒タンク51から還元剤タンク31へ供給される溶媒の供給量が要求量演算部63で演算された要求量となるような時間だけ、三方切換弁58によって溶媒流入路56と還元剤側流出路59aとを連通させる。
2.排気浄化装置の動作
次に、これまで説明した図1の排気浄化装置10の動作について説明する。
(1)液体還元剤の噴射制御
まず、内燃機関5の通常の運転状態において、制御装置60の還元剤供給制御部69は、第2の還元剤通路43に設けられた圧力センサ48のセンサ値を読込み、当該センサ値に基づいて得られる圧力値が所定値に維持されるように還元剤圧送ポンプ47のフィードバック制御を行う。第2の還元剤通路43内の圧力が所定値よりも低いときには還元剤圧送ポンプ47の回転数は高められ、第2の還元剤通路43内の圧力が所定値よりも高いときには還元剤圧送ポンプ47の回転数は抑えられる。第2の還元剤通路43内の圧力が所定値よりも高い場合には、液体還元剤の一部が還流路45から圧力調整手段46を介して還元剤タンク31に戻される。
このように第2の還元剤通路43内の圧力が所定値に維持された状態で、還元剤供給制御部69は、内燃機関5の運転状態や、温度センサ21、23、NOXセンサ25の各センサ値等を読込み、これらの情報に基づいて液体還元剤の目標噴射量を算出し、還元剤供給装置30の動作制御を行う。噴射された液体還元剤としての尿素水溶液が分解されることでアンモニアが生成され、このアンモニアと排気ガス中の窒素酸化物とが還元触媒20に接触することで窒素酸化物が還元される。
そして、液体還元剤としての尿素水溶液の濃度が所定濃度に保たれていれば、液体還元剤の噴射量を調整することによって、生成されるアンモニアも所定量に調整されるため、排気ガス中の窒素酸化物に対して過不足なくアンモニアが生成されやすくなり、還元触媒20の下流側へのアンモニア又は窒素酸化物の流出が低減される。
(2)液体還元剤の濃度調整
上述のようにして液体還元剤の噴射制御が行われる中、例えば、還元剤タンク31からの水分の蒸発等により、還元剤タンク31内の液体還元剤の濃度が上昇することがある。液体還元剤の濃度が上昇すると、目標噴射量にしたがって液体還元剤を噴射した場合であっても、生成されるアンモニア量が、排気ガス中の窒素酸化物の量に対して過剰になってしまい、還元触媒20の下流側にアンモニアが流出しやすくなる。
そのため、本実施形態の排気浄化装置10の制御装置60では、内燃機関5の運転中に溶媒供給制御部61によって還元剤タンク31内の液体還元剤の濃度が常時検出され、液体還元剤の濃度が上昇した場合に濃度調整制御が行われる。
図4は、本実施形態の排気浄化装置10の制御装置60によって行われる液体還元剤の濃度調整制御のフローを示している。以下の液体還元剤の濃度調整制御のルーチンは、常時実行されるようになっていてもよいし、前回のルーチンの終了から所定時間経過する毎に実行されるようになっていてもよい。
制御装置60の溶媒供給制御部61では、まず、ステップS11で、濃度判定部62が、還元剤タンク31に設けられた還元剤濃度センサ34のセンサ値を読込み、還元剤タンク31に貯蔵されている液体還元剤の濃度Wを算出する。
次いで、ステップS12で、濃度判定部62は、算出された液体還元剤の濃度Wが、予め設定されている基準濃度W0となっているか否かを判別する。液体還元剤の濃度Wが基準濃度W0となっているか否かではなく、濃度Wが許容できる誤差の範囲内にあるか否かを判別するようにしてもよい。液体還元剤の濃度Wが基準濃度W0と一致しているか、あるいは、許容誤差の範囲内にある場合には本ルーチンを終了する。液体還元剤の濃度調整制御を常時実行する場合には、ステップS12で、液体還元剤の濃度Wが基準濃度W0と異なるか、あるいは、許容誤差を上回っていると判定されるまで、液体還元剤の濃度Wの判定が繰り返される。
ステップS12で、液体還元剤の濃度Wが基準濃度W0と異なるか、あるいは、許容誤差を上回っていると判定されると、濃度判定部62は液体還元剤の濃度Wを要求量演算部63に伝達するとともに、濃度調整制御の実行指示信号を駆動制御部65に出力する。
次いで、ステップS13で、要求量演算部63は、還元剤レベルセンサ32のセンサ値を読み込み、還元剤タンク31内の液体還元剤の液面レベルを検出するとともに、液面レベルに基づいて液体還元剤の残量を算出する。次いで、ステップS14で、要求量演算部63は、還元剤タンク31内の液体還元剤の現在の濃度Wと残量とに基づいて、液体還元剤の濃度Wを基準濃度W0に戻すために必要な溶媒の要求量Qwを算出する。
要求量演算部63で溶媒の要求量Qwが算出されると、算出値が駆動制御部65に出力され、今度は、ステップS15で、駆動制御部65は、要求量Qw分の溶媒が還元剤タンク31に供給される、三方切換弁58によって溶媒流入路56と還元剤側流出路59aとを連通させる時間T2を算出する。
次いで、ステップS16で、実施判定部64は、還元剤タンク31に設けられた還元剤温度センサ33のセンサ値及び溶媒タンク51に設けられた溶媒温度センサ53のセンサ値を読込むとともに、液体還元剤の温度Turea及び溶媒の温度Twtrを算出する。そして、ステップS17で、実施判定部64は、液体還元剤及び溶媒がそれぞれ凍結していないかの判別を行う。液体還元剤及び溶媒のうちの少なくとも一方が凍結状態と判定された場合には、濃度調整が正確に行えないおそれがあるため、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS17で液体還元剤及び溶媒が凍結していないと判定された場合には、ステップS18で、実施判定部64は、溶媒タンク51に設けられた溶媒レベルセンサ52のセンサ値を読込み、溶媒タンク51内の溶媒の液面レベルを検出するとともに、液面レベルに基づいて溶媒タンク51内の溶媒の残量を算出する。
そして、実施判定部64は、ステップS19で、溶媒の残量がステップS14で算出された要求量Qw以上存在するか否かを判別することで、液体還元剤の濃度調整の実施が可能であるか否かを判別する。溶媒の残量が要求量Qw以上存在していれば、液体還元剤の濃度調整の実施が可能であると判断され、実施判定部64は駆動制御部65に対して濃度調整の許可信号を出力してステップS21に進む。一方、溶媒の残量が要求量Qw未満であれば、液体還元剤の濃度調整が実施できないと判断されるため、ステップS20に進み、実施判定部64は、溶媒タンク51の溶媒が不足していることを示す警告信号を警告ランプ表示部等に出力して本ルーチンを終了する。
液体還元剤の濃度調整の実施が可能であると判断されて進んだステップS21で、駆動制御部65は、三方切換弁58によって溶媒流入路56と溶媒側流出路59bとを連通させる。そして、次のステップS22で、駆動制御部65は、一定流量の溶媒を圧送する溶媒圧送ポンプ57の駆動を開始する。この状態では、溶媒流入路56のエアー抜きが行われる。
次いで、ステップS23で、駆動制御部65は、溶媒圧送ポンプ57の駆動を開始してから、予め設定されているエアー抜きが確実に行われる時間T1が経過したか否かを判別し、当該時間T1が経過したときにステップS24に進んで、駆動制御部65は、三方切換弁58によって溶媒流入路56と還元剤側流出路59aとを連通させる。
この状態では、溶媒圧送ポンプ57により溶媒が一定流量で圧送され、溶媒タンク51から還元剤タンク31への溶媒の供給が行われる。そして、ステップS25で、駆動制御部65は、溶媒流入路56と還元剤側流出路59aとを連通させてからの時間が、ステップS15で算出した時間T2を経過したか否かを判別し、当該時間T2が経過したときにステップS26に進む。
ステップS26では、駆動制御部65は、三方切換弁58によって溶媒流入路56を溶媒側流出路59bに連通させるとともに溶媒圧送ポンプ57の駆動を停止して、還元剤タンク31への溶媒の供給を終了させる。
その後、ステップS27では、還元剤タンク31に供給された溶媒が液体還元剤中に拡散するに十分な時間T3を経過したか否かを判別し、当該時間T3が経過したときに液体還元剤の濃度調整制御を終了する。
以上のように行われる液体還元剤の濃度調整制御を実行することにより、液体還元剤の濃度が上昇したときに、溶媒タンク51内の溶媒を還元剤タンク31に供給して液体還元剤の濃度を調整することにより、液体還元剤が所定濃度に維持される。そのため、窒素酸化物の還元に用いる還元成分が過不足なく還元触媒20に供給され、還元成分あるいは窒素酸化物が還元触媒20の下流側への流出量が低減される。また、液体還元剤の濃度が変化することによる物性の変化が防止されるため、例えば、液体還元剤の凍結温度が上昇して液体還元剤が凍結しやすくなったり、液体還元剤の粘度が変化して適切な量の液体還元剤を還元触媒20に供給できなくなったりすることが防止される。したがって、排気ガス中の窒素酸化物の還元処理が安定的に行われるようになる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態にかかる排気浄化装置は、溶媒として水を使用する場合に適用できる装置であり、溶媒供給部の溶媒送液部の構成が異なる他は、第1の実施の形態の排気浄化装置と同様の構成を有している。以下、本実施形態の排気浄化装置について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
1.還元剤供給装置の構成
図5は、本実施形態にかかる排気浄化装置に備えられた還元剤供給装置30Aを示している。
この還元剤供給装置30Aを構成する溶媒送液部55Aでは、溶媒圧送ポンプ57の下流側の溶媒流入路56Aに、還元剤噴射弁41や還元触媒を冷却するための冷却部としての水噴射弁80が設けられているとともに、溶媒側流出路59bに、溶媒流入路56A内の水の圧力を調節するためのオリフィスやプレッシャレギュレータからなる圧力調整手段81が設けられている。
水噴射弁80は、溶媒流入路56Aから分岐して設けられた溶媒通路82に接続されており、この水噴射弁80に溶媒流入路56A内を流通する水が供給される。この水噴射弁80は、還元剤噴射弁41や、還元触媒20が配置された領域の排気通路の外周側の近傍に、ブラケット等を用いて装着されている。
2.排気浄化装置の動作
このように構成された還元剤供給装置30Aを備える本実施形態の排気浄化装置においても、液体還元剤の濃度検出や濃度調整は第1の実施の形態と同様に行われる。ただし、本実施形態の排気浄化装置は、内燃機関の運転時において、還元剤噴射弁41や還元触媒が過剰に高温になったときに、液体還元剤の溶媒としての水を冷却剤として利用して、還元剤噴射弁41や還元触媒20を冷却することができるように構成されている。
例えば、排気通路における還元剤噴射弁41の取付位置よりも上流側に、排気ガス中の排気微粒子を捕集するパティキュレートフィルタが備えられている場合において、パティキュレートフィルタの再生時には、パティキュレートフィルタの下流側に流出する排気温度は著しく上昇し、還元剤噴射弁41や還元触媒等が高温に晒される。このような高温時の熱によって還元剤噴射弁41や還元触媒等が劣化したり破損したりするおそれがあるため、本実施形態の排気浄化装置では、液体還元剤の濃度調整用の水を用いて還元剤噴射弁41や還元触媒の冷却制御が行われる。
冷却制御は、例えば、還元触媒の上流側での排気温度が所定温度を超えたときや、推定される還元剤噴射弁41の温度、あるいは推定される還元触媒の温度が所定の閾値以上になったときに実行される。具体的には、制御装置は、三方切換弁58によって溶媒流入路56Aと溶媒側流出路59bとを連通させた状態で、溶媒圧送ポンプ57を駆動させる。溶媒側流出路59bの出口部分には圧力調整手段81が備えられているため、溶媒流入路56A及び溶媒通路82内の圧力が所定値まで上昇する。
この状態で、制御装置は水噴射弁80の開閉制御を行い、溶媒を水噴射弁80から噴射させる。その結果、噴射された水が還元剤噴射弁41や還元触媒に吹き付けられ、これらの冷却が行われる。冷却制御では、水の噴射量が精密に調整される必要がないため、水を還元剤タンク31に供給するときのように、予め行われるエアー抜きや、厳密な噴射量制御を行わなくてもよい。
ただし、この排気浄化装置における冷却制御は、液体還元剤の濃度を調整するための溶媒の供給量の調整が複雑化しないように、溶媒タンク51から還元剤タンク31への溶媒の供給が行われていない間に行われることが望ましい。
以上のように、本実施形態の排気浄化装置によれば、溶媒送液部55Aが、溶媒としての水を用いて還元剤噴射弁41や還元触媒の冷却を行う冷却部を備えているために、溶媒としての水を液体還元剤の濃度調整に利用できるとともに、還元剤噴射弁41や還元触媒の冷却制御にも利用することができる。
なお、水を吹き付けて冷却する被冷却部位は特に限定されない。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態にかかる排気浄化装置は、第2の実施の形態と同様に、溶媒として水を使用する場合に適用できる装置であって、液体還元剤を還元剤噴射弁に供給するための還元剤送液部と、液体還元剤の濃度調整用として溶媒としての水を還元剤タンクに供給するための溶媒送液部との構成が異なる他は、第1の実施の形態と同様の構成を有している。以下、本実施形態の排気浄化装置について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
1.還元剤供給装置の構成
図6は、本実施形態にかかる排気浄化装置に備えられた還元剤供給装置30Bを示している。
この還元剤供給装置30Bを構成する還元剤送液部40Bと溶媒送液部55Bとは、一部の構成部材が共有化されて構成されている。還元剤送液部40B及び溶媒送液部55Bは、還元剤タンク31に接続され液体還元剤が流通可能な還元剤流入路91と、溶媒タンク51に接続され溶媒としての水が流通可能な溶媒流入路92と、還元剤流入路91及び溶媒流入路92が接続され、還元剤流入路91及び溶媒流入路92のいずれか一方を還元剤噴射弁41側に連通する流入切換弁93と、流入切換弁93に接続されて還元剤タンク31内の液体還元剤又は溶媒タンク51内の水を還元剤噴射弁41に導く共有通路95と、共有通路95に設けられ液体還元剤及び水の流れ方向を反転可能なポンプ94とを備えている。このうち、還元剤噴射弁41及び共有通路95、ポンプ94が、還元剤送液部40Bと溶媒送液部55Bとで共有化されて構成されている。流れ方向を反転可能なポンプ94を使用する代わりに、ポンプの近傍に流路切換弁を設けることによって、還元剤又は冷却剤の流れ方向を反転させるように構成することもできる。
また、還元剤送液部40B及び溶媒送液部55Bは、還元剤噴射弁41側へ圧送された液体還元剤又は水を還元剤タンク31又は溶媒タンク51へそれぞれ還流させるために、還元剤噴射弁41に接続された共有還流路96と、還元剤タンク31に接続された還元剤側流出路98と、溶媒タンク51に接続された溶媒側流出路99と、還元剤側流出路98及び溶媒側流出路99のうちのいずれかを共有還流路96とを連通させる流出切換弁97とを備えている。
また、本実施形態の還元剤供給装置30Bには、還元剤送液部40B及び溶媒送液部55B内の液体還元剤又は水を回収するためのエアパージ手段100が設けられている。具体的には、還元剤流入路91及び溶媒流入路92が接続された流入切換弁93に、圧縮気体発生装置101、例えば、商用車等に搭載されているエアコンプレッサ等が接続された気体通路102が接続されている。この流入切換弁93は、還元剤流入路91、溶媒流入路92及び気体通路102のうちのいずれか一つを共有通路95に連通可能に構成されている。還元剤側流出路98には第1の実施の形態と同様に圧力調整手段46が設けられ、溶媒側流出路99には第2の実施の形態と同様に圧力調整手段81が設けられている。
2.排気浄化装置の動作
次に、これまで説明した本実施形態の排気浄化装置の動作について図7〜図10に基づいて説明する。
(1)液体還元剤の噴射制御
まず、内燃機関5の通常の運転状態においては、図7に示すように、流入切換弁93によって還元剤流入路91と共有流入路95とが連通され、流出切換弁97によって還元剤側流出路98と共有流出路96とが連通されている。
この状態で、制御装置によってポンプ94が駆動されることにより、還元剤タンク31に貯蔵された液体還元剤が、還元剤流入路91及び共有通路95を介して還元剤噴射弁41側へ送液されるとともに、共有還流路96及び還元剤側流出路98を介して還元剤タンク31に還流する。このとき、還元剤送液部40B内は所定圧力で維持される。
そして、演算される目標噴射量にしたがって制御装置によって還元剤噴射弁41の開閉制御が行われると、還元剤噴射弁41から排気通路内に液体還元剤が噴射され、排気ガス中の窒素酸化物の還元処理が行われる。
(2)液体還元剤の濃度調整
液体還元剤の噴射制御が実施される間、還元剤タンク31からの溶媒としての水の蒸発などにより還元剤タンク31内の液体還元剤の濃度が上昇した場合には、制御装置は濃度調整制御を行う。
本実施形態の排気浄化装置では、まず、図8(a)に示すように、還元剤側流出路98と共有還流路96とが連通された状態でエアパージ手段100を用いて還元剤送液部40内に残留する液体還元剤のパージ制御を行う。具体的には、制御装置によってポンプ94の駆動を停止し、還元剤噴射弁41を閉塞状態で維持したまま、流入切換弁93によって気体通路102と共有通路95とを連通させるとともに、圧縮気体発生装置101を作動させる。
そうすると、導入される圧縮エアの圧力により、共有通路95、還元剤噴射弁41、共有還流路96、及び還元剤側流出路98内の液体還元剤が還元剤タンク31へ押し出されるため、還元剤送液部40B内の液体還元剤が還元剤タンク31内に回収される。
パージ制御が終了した後、今度は、図8(b)に示すように、流入切換弁93によって溶媒流入路92と共有通路95とが連通され、流出切換弁97によって溶媒側流出路99と共有還流路96とが連通される。この状態で、制御装置によってポンプ94が駆動されることにより、溶媒流入路92及び共有通路95内のエアー抜きが行われる。
エアー抜きが確実に行われる所定時間が経過した後、ポンプ94の駆動状態を維持したままで、今度は図9(a)に示すように、流出切換弁97によって共有還流路96と還元剤側流出路98とが連通される。この状態では、溶媒タンク51内の溶媒が還元剤タンク31に供給され、還元剤タンク31内に貯蔵されている液体還元剤の濃度が調整される。
そして、制御装置で算出された溶媒の要求量に応じた供給時間が経過した時点で、例えば、流出切換弁97によって還元剤側流出路98と共有還流路96とを遮断して溶媒側流出路99と共有還流路96とを連通させたり、あるいは、流入切換弁93によって、溶媒流入路92と共有通路95とを遮断して還元剤流入路91と共有通路95とを連通させたりすることで、還元剤タンク31への溶媒の供給を終了する。その結果、還元剤タンク31内の液体還元剤の濃度が所定濃度に戻される。
その後、液体還元剤の噴射制御を再開する際には、まず、図9(b)に示すように、エアパージ手段100を用いて溶媒送液部55内に残留する溶媒のパージ制御を行う。具体的には、制御装置によってポンプ94の駆動を停止するとともに流出切換弁97によって共有還流路96と溶媒側流出路99とを連通させ、還元剤噴射弁41を閉塞状態で維持したまま、流入切換弁93によって気体通路102と共有通路95とを連通させるとともに圧縮気体発生装置101を作動させる。
そうすると、導入される圧縮エアの圧力により、共有通路95、還元剤噴射弁41、共有還流路96、及び溶媒側流出路99内の溶媒が溶媒タンク51へ押し出されるため、溶媒送液部55Bに残留する溶媒が溶媒タンク31内に回収される。
その後、再び、図7に示すように、流入切換弁93によって還元剤流入路91と共有通路95とが連通され、流出切換弁97によって共有還流路96と還元剤側流出路98とが連通された状態で、ポンプ94を駆動させるとともに還元剤噴射弁41の開閉制御を行うことにより、液体還元剤の噴射制御が再開される。
(3)冷却制御
本実施形態の排気浄化装置は、さらに、内燃機関の運転時において、還元剤噴射弁41や還元触媒が過剰に高温になったときに、液体還元剤の溶媒としての水を冷却剤として利用して、還元剤噴射弁41や還元触媒の冷却制御が行われる。
この排気浄化装置における冷却制御は、液体還元剤の濃度を調整するための溶媒の供給量の調整が複雑化しないように、溶媒タンク51から還元剤タンク31への溶媒の供給が行われていない間に行われることが望ましい。
冷却制御は、第2の実施の形態と同様に、例えば、還元触媒の上流側での排気温度が所定温度を超えたときや、推定される還元剤噴射弁41の温度、あるいは推定される還元触媒の温度が所定の閾値以上になったときに実行される。具体的には、制御装置は、まず、図10に示すように、流入切換弁93によって溶媒流入路92と共有通路95とを連通させるとともに、流出切換弁97によって共有還流路96と溶媒流出路99とを連通させて、ポンプ94を駆動させる。
この状態で、制御装置は還元剤噴射弁41の開閉制御を行い、水を還元剤噴射弁41から排気通路11内へ噴射させる。その結果、熱交換作用によって水が還元剤噴射弁41の熱を奪い、還元剤噴射弁41が冷却されるとともに、水が還元触媒に到達したりあるいは排気通路内が冷却されたりすることによって、還元触媒も冷却される。
以上のように、本実施形態の排気浄化装置によれば、水を還元剤噴射弁41から噴射させることができるために、溶媒としての水を液体還元剤の濃度調整に利用できるとともに、還元剤噴射弁41や還元触媒の冷却制御にも利用することができる。
なお、本実施形態では、共有通路95と共有還流路96とが還元剤噴射弁41を介して連通した例について説明したが、これ以外に、例えば、共有通路95の途中から分岐して共有還流路96を設けることも可能である。
5:内燃機関、10:排気浄化装置、11:排気通路、20、還元触媒、21・23:温度センサ、25:NOXセンサ、30・30A・30B:還元剤供給装置、31:還元剤タンク、32:還元剤レベルセンサ、33:還元剤温度センサ、34:還元剤濃度センサ、36:加熱ヒータ、37:冷却ファン、39:内圧調整手段、40・40B:還元剤送液部、41:還元剤噴射弁、42:第1の還元剤通路、43:第2の還元剤通路、44:ポンプモジュール、45:還流路、46:圧力調整手段、47:還元剤圧送ポンプ、48:圧力センサ、50:溶媒供給部、51:溶媒タンク、52:溶媒レベルセンサ、53:溶媒温度センサ、54:内圧調整手段、55・55A・55B:溶媒送液部、56・56A:溶媒流入路、56a:流入口、56b:フィルタ、57:溶媒圧送ポンプ、58:三方切換弁、59a:還元剤側流出路、59b:溶媒側流出路、60:制御装置、61:溶媒供給制御部、62:濃度判定部、63:要求量演算部、64:実施判定部、65:駆動制御部、69:還元剤供給制御部、70:フィルタ、80:水噴射弁、81:圧力調整手段、82:溶媒流路、91:還元剤流入路、92:溶媒流入路、93:流入切換弁、94:ポンプ、95:共有流入路、96:共有流出路、97:流出切換弁、98:還元剤側流出路、99:溶媒側流出路、100:エアパージ手段、101:圧縮気体発生装置、102:気体通路

Claims (7)

  1. 還元剤タンクに貯蔵された液体還元剤を内燃機関の排気通路内に供給可能な還元剤供給装置と、前記液体還元剤を用いて前記内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物を還元する還元触媒と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
    前記液体還元剤の溶媒が貯蔵された溶媒タンクと、
    前記溶媒タンクから前記還元剤タンクへ前記溶媒を供給可能な溶媒送液部と、
    前記溶媒送液部の制御を行う溶媒供給制御部と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記液体還元剤の濃度を検出可能な濃度検出手段を備え、
    前記溶媒供給制御部は、前記濃度検出手段の検出結果に基づいて前記還元剤タンクへの前記溶媒の供給量を調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記還元剤タンクは、貯蔵された前記液体還元剤の残量を検出可能な残量検出手段を備え、
    前記溶媒供給制御部は、前記残量検出手段の検出結果に基づき、前記溶媒の供給量を調整可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記液体還元剤は尿素水溶液であり、前記溶媒は水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記溶媒送液部は、前記溶媒を所定の被冷却部位に供給して前記被冷却部位を冷却可能な冷却部を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記還元剤供給装置は、前記液体還元剤を前記排気通路内に噴射可能な還元剤噴射部と、前記還元剤タンクから前記還元剤噴射部へ前記液体還元剤を供給可能であるとともに前記還元剤噴射部側へ供給された前記液体還元剤を前記還元剤タンクへ還流可能な還元剤送液部と、を備え、
    前記還元剤送液部及び前記溶媒送液部は、前記還元剤タンクに還流される前記液体還元剤及び前記還元剤タンクに送液される前記溶媒が流通可能な第1の共有通路を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記還元剤送液部及び前記溶媒送液部は、前記液体還元剤及び前記溶媒が流通可能な第2の共有通路を備え、前記還元剤噴射部は、前記液体還元剤及び前記溶媒を噴射可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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