JP2010180310A - 有機顔料粒子の製造方法及び顔料分散物の製造方法 - Google Patents

有機顔料粒子の製造方法及び顔料分散物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特定の枝流路と幹流路とを有する流通反応装置を用いた再沈法による有機顔料の微細な粒子の製造方法。
【解決手段】少なくとも、良溶媒に有機顔料を溶解した顔料溶液11と、前記良溶媒と相溶する前記顔料の貧溶媒12と、1種以上の分散剤を溶解した分散剤溶液13とを、それぞれ異なる枝流路E〜Eから幹流路内M,Mに導入して顔料粒子を形成して分散安定化するに当たり、前記幹流路内の上流側において前記顔料溶液と前記貧溶媒とを接触させることにより、その混合液中に顔料粒子を生成させ、続いて前記幹流路内の下流側において、分散安定化可能時間(T)内にその混合液と前記分散剤溶液とを接触させて混合する有機顔料粒子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機顔料粒子の製造方法及び顔料分散物の製造方法に関し、特に液中での分散性に優れた有機顔料粒子の製造方法およびそれにより得られた有機顔料粒子を含む顔料分散物の製造方法に関する。
近年、液晶表示装置(LCD)の画質は向上してきており、普及ディスプレイであるCRT(ブラウン管)との代替が広い用途で進みつつある。これをうけ、色再現範囲や輝度において一層高品質の画像表示性能を有する製品が求められ、この要求に応えるためにカラーフィルタの性能改良が鍵を握る。これは、カラーフィルタがLCDパネル等の表示画像に着色する役割を果たし、LCDパネルの色特性を直接左右するからである。
カラーフィルタの要求特性として、高光透過性、色純度、高コントラスト、低反射化などが挙げられる。特にコントラストが低いと光が減衰して表示画面が暗くなったり、明暗が不明瞭になったりするため、コントラストはできる限り高いことが望まれる。そしてその上、RGBを組み合わせて得られる色の再現域が広く、各色の純度が高いことも望まれる。
カラーフィルタを着色するに当たっては、微細な粒子とした顔料を色材として用い、これの層を支持体上に形成することで行われることが多い。この際、前述のコントラストを向上させる目的からは、この顔料粒子の粒径ができる限り小さく、かつ粒径の単分散性が高いことが求められる。この観点から、ニーダー、ビーズミル、コロイドミル、アトライターといった分散機を用いてバルク物質を砕いて微細粒子を生成する粉砕法(ブレイクダウン法とも)を中心として、顔料微細化の技術開発が従来から進められてきている。
顔料粒子を微細化させる手法としては、前述の粉砕法以外にも近年さまざまな研究がなされている。一例を挙げると、気相法(不活性ガス雰囲気下で試料を昇華させ、粒子を基板上に回収する方法)、液相法(例えば、良溶媒に溶解した試料を撹拌条件や温度を制御した貧溶媒に注入することにより、微粒子を得る再沈法。ビルドアップ法とも)、レーザーアブレーション法(溶液中に分散させた試料に、レーザーを照射しアブレーションさせることにより粒子を微細化する方法)などがある。この中でも液相法は、溶媒種、撹拌条件、注入速度を変化させることにより、粒径分布を操作可能であることから、微細な顔料粒子を効率よく生産するための有効な手段とされている(特許文献1、2)。
液相法での粒子形成手段の中でも特に注目されているものの一つが、いわゆるマイクロリアクターを用いた手法である。従来の連続流通式のリアクターよりもはるかに小さい代表長さ数μm〜数百μmのマイクロ流路内で反応などを行わせ、マイクロ流路特有の現象、例えば混合の均一性や迅速性を利用するマイクロ化学プロセスは近年その重要性を特に増してきており、再沈法での粒子形成への適用例も数多く見られる。例えば特許文献3では、マイクロリアクター内で顔料溶液とその顔料の貧溶媒を急速混合することで微細な顔料粒子を生成する技術が紹介されている。
さて、カラーフィルタに限らず、インクジェットインキや塗料といった用途に対しても顔料粒子の微細化は重要であるが、これらの用途においては、ただ顔料粒子を微細化するのみでなく、生成した微細顔料粒子を媒質(水や有機溶媒)に均一に分散し、長期にわたって凝集を起こさない安定なコロイド系を形成することが強く求められる。安定なコロイドとして顔料を用いることは、例えばカラーフィルタの色材として用いる場合には微細な顔料が再凝集して粗大な凝集体を作り、コントラストを低下させることを防ぐ目的はもちろん、色むらの低減や塗布時の安定性といった諸特性にとってきわめて重要となる。液中でのコロイドの安定性を増す手法としては、粒子のゼータ電位を大きくし電荷反発力を強くする方法がよく用いられるが、有機顔料のようなゼータ電位が小さい物質の粒子に対しては、特定の物質を粒子表面に吸着させ保護コロイドの役目をさせる手法が用いられる。いわゆる高分子(ポリマー)分散剤は粒子表面に吸着されると分子鎖同士、すなわち粒子同士の接近に際し大きなエントロピー斥力を生ずるため、この保護コロイドには特に好適である。実際、前述の粉砕法においては、バルク物質の粉砕時、あるいは粉砕後に高分子分散剤を混合して吸着させ、分散性を付与することがしばしば行われている。
また前述の液相法、再沈法についても、分散剤を利用することで粒子の分散性を増す手法が多く研究されている。例えば特許文献3および4では、顔料溶解時に顔料分子と相互作用を持つような高分子分散剤を共に溶解し、マイクロリアクター内で生成した顔料粒子に水中または有機溶剤中での分散性を付与する手法が紹介されているし、また特許文献4では再沈法にて粒子を形成した後、一旦粒子を取り出してから高分子分散剤を添加混合し、粒子表面に吸着させることで分散性を付与する手法も紹介されている。さらに特許文献5では、マイクロリアクター内でまず顔料の溶液と分散剤の溶液とを混合し、粒子形成が完了した後に貧溶媒と接触させる方法か、あるいは別装置内で作成した顔料粒子の含有液に対してマイクロリアクター内で高分子分散剤と混合する手法が開示されている。
特開平6−79168号公報 特開2004−91560号公報 特開2006−342304号公報 特開2007−262378号公報 特開2006−104448号公報
しかしながら、本発明者らは上記のような分散剤を再沈法と組み合わせて用いる場合、その性能を十分に発揮し得ないことがあることに着目した。その理由として以下のような仮説を立てた。例えば特許文献3および4に開示されるような分散剤と顔料とを共溶解して粒子形成を行った場合、分散剤は顔料粒子の極めて速い核形成と成長に巻き込まれる形で析出する。そのため、顔料と分散剤の分子とが均一に混ざった粒子、別の言い方をすれば、分散剤が粒子内部に取り込まれており、(以下「埋包された」とも呼称)その取り込まれる深度が粒子中心まで及んで、分子鎖の全てが粒子内に存在した状態の粒子が形成される。このようなことが起これば分散剤の機能性部位を含む分子の一部分、または全体が粒子内に埋包されてしまうため、その本来の効果が発揮されない。
さらに、このような粒子は、たとえ分散剤が存在している状態でも、実際には個々の分散剤分子鎖の一部又は全部が粒子内部に埋包されているため、粒子の接近に際して十分な斥力が得られず、粒子の凝集を引き起こす恐れがある。これを回避するには、共溶解する分散剤の量を多くすることで、粒子表面に十分な長さで露出している分子鎖の数(より正確に言えば、十分な長さで分子鎖が露出している分子の存在確率)を増やすことが考えられるが、そもそも対象としていた顔料以外の不純物を多量に含んだ粒子を生成することになり、このような粒子を用いる製品の品質(例えば、カラーフィルターなら色純度)に悪影響を与える可能性が大きい。もちろん、分散剤の使用量が増えることによるコスト増加や、埋包されなかった分散剤による液の粘度増加等は実用上の要求に反する方向である。
また、粒子中心部への埋包を避けるため、再沈法で粒子形成した直後の装置内や、再沈法で作成した粒子を一旦取り出した後に、粉砕法と同様に分散剤を混合して分散剤を吸着させることも考えられるが、平衡吸着による分散性付与であるため経時による分散剤の脱離が起こり、非吸着状態の分散剤が系内に残存するなどの課題が生じ得る。これを回避するために分散剤の混合量を増やした場合、上記再沈法と同様の不利益が生じることは言うまでもない。
したがって、以上の観点から見ると、分散剤は粒子に埋包されていること(平衡吸着でない分散剤の固定化)が好ましく、これと同時に、粒子中心部にその全体が埋もれてしまうことを避け、粒子の表面付近に集中して取り込まれている(以下、この状態を「表面偏在」または単に「偏在」と呼称)ことが望ましいということになる。
これらの課題に対して、分散剤の分子構造を改良することで取り込まれる状態を改善し、少ない分散剤量でも十分な粒子保護と分散性とを得ることができるかもしれないが、対象となる粒子の物性により効果に差がありうるため物質に合わせた分散剤開発がそのたびに必要であるなど、分散剤の改良のみでは十分な解決は困難と言える。
すなわち、従来の再沈法で分散剤を投入するには、大別すれば、顔料と分散剤とを共に溶解するか、分散剤を粒子形成後に添加するかのいずれかであり、前者では分散剤の機能性部位ないし全体が粒子中心部へ埋入することによる不都合があり、後者では分散剤使用量の増加及び非吸着分散剤量の増加が避けがたいという課題があった。
上記の点に鑑み、本発明は特定の枝流路と幹流路とを有する流通反応装置を用いた再沈法による有機顔料の微細な粒子の製造方法の提供を目的とする。また、上記の流通反応装置を用いた粒子生成において特定の時機に高分子分散剤を導入することにより、水又は有機溶剤中での分散性に優れ、かつ少ない分散剤量であっても良好な分散性を得られる有機顔料粒子の製造方法及び顔料分散物の製造方法の提供を目的とする。
上記課題は下記の手段により解決された。
(1)少なくとも、良溶媒に有機顔料を溶解した顔料溶液と、前記良溶媒と相溶する前記顔料の貧溶媒と、1種以上の分散剤を溶解した分散剤溶液とを、それぞれ異なる枝流路から幹流路内に導入して顔料粒子を形成して分散安定化するに当たり、前記幹流路内の上流側において前記顔料溶液と前記貧溶媒とを接触させることにより、その混合液中に顔料粒子を生成させ、続いて前記幹流路内の下流側において、分散安定化可能時間(T)内にその混合液と前記分散剤溶液とを接触させて混合することを特徴とする有機顔料粒子の製造方法。
(2)前記分散安定化可能時間(T)が100ミリ秒であることを特徴とする(1)に記載の有機顔料粒子の製造方法。
(3)前記分散安定化可能時間(T)が1マイクロ秒を超えることを特徴とする(1)又は2に記載の有機顔料粒子の製造方法。
(4)前記流路の代表長さが20〜5,000μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の有機顔料粒子の製造方法。
(5)前記顔料溶液と貧溶媒との混合が乱流支配下又は層流支配下で行われることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の有機顔料粒子の製造方法。
(6)前記顔料溶液及び貧溶媒の混合液と前記分散剤溶液との混合が乱流支配下又は層流支配下で行われることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の有機顔料粒子の製造方法。
(7)前記有機顔料粒子を、平均粒径10〜200nm、かつ、前記分散剤が粒子表面側に偏在して埋包されたものとして得ることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の有機顔料粒子の製造方法。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の方法で得られる有機顔料粒子を媒体中に分散させた状態で得ることを特徴とする顔料分散物の製造方法。
本発明の製造法によれば、特定の枝流路及び幹流路を有する流通反応装置内で行う再沈法において、粒径が微細でかつ単分散性の高い有機顔料粒子及びその分散物を効率よく生産することができる。さらに分散剤と顔料粒子とを特定の時機に接触させることにより、分散剤を埋包しながらもこれが機能しないほどに粒子中心部分にまで深く埋もれさせず、適度に偏在させることができ、かつ分散剤の使用量が少ない場合であっても水又は有機溶剤中での分散性に優れた微粒子を生成させ、その分散物を得ることが可能である。
本発明の製造方法に用いられる製造装置の好ましい実施態様を模式的に示す装置説明図である。 本発明の製造方法により得られる顔料微粒子の構造を模式化して示す断面図である。 比較例の製造方法に用いられる製造装置の実施態様を模式的に示す装置説明図である。
以下、本発明の好ましい実施様態について説明するが、本発明は該説明内容に限定して解釈されるものでない。
本発明の有機顔料粒子の製造方法においては、少なくとも、良溶媒に有機顔料を溶解した顔料溶液と、前記良溶媒と相溶する前記顔料の貧溶媒と、1種以上の分散剤を溶解した分散剤溶液とを、それぞれ異なる枝流路から幹流路内に導入して顔料粒子を形成、分散安定化するに当たり、前記幹流路内の上流側において前記顔料溶液と前記貧溶媒とを接触させることにより、その混合液中に顔料粒子を生成させ(第1混合)、続いて前記幹流路内の下流側において、分散安定化可能時間(T)内にその混合液と前記分散剤溶液とを接触させて混合(第2混合)し、本願に特有の分散安定化状態を得ることができる。
まず、本発明の上記製造方法に用いられる幹流路及び枝流路を備えた流通装置について説明する。この装置においては、連続流通型リアクター内の流体が通る部分である幹流路として最も流路が太い流路を有することが好ましく、またはその流路を流れる流体の体積流量が最大であるような流路であることが好ましく、枝流路としては幹流路に合流する形に配置された1つ又はそれ以上の流路であることが好ましい。通常、主たる混合操作や反応が行われる場をその中に含むような流路が幹流路であるが、実際にはこの限りではない。また、幹流路と枝流路の流線方向は同一でも良く、異なっていても良い。
流路幅、すなわちこのような流通反応装置の流路構成の代表例として図1に示すものが挙げられ、この詳細については後記実施例において詳述する。代表長さについては、なるべく小さいものであることが好ましく、数千μm以下が好ましく、数百μm以下であることがより好ましい。具体的に上記幹流路の幅(代表長さ)[D]が20〜5000μmであることが好ましく、50〜3000μmであることがより好ましい。他方、枝流路の幅(代表長さ)[D]は20〜3000μmであることが好ましく、40〜2000μmであることがより好ましい。このような狭い流路を備えた装置はしばしばマイクロリアクターと呼ばれており、反応を効率的に行える、均一な場を形成できる等の特徴があるとされ、本発明の目的に対しても顔料粒子と分散剤の混合を均一かつ迅速に行えることから適したものである。流路幅の最小値については後述の混合を妨げるものでなければ特に制限されないが、幅が狭すぎると生成した顔料粒子による流路の閉塞現象が生じる可能性が高くなるほか、流路の圧力損失が大きくなり高圧のポンプが必要となることから、10μm以上の流路幅であることが実際的である。
流路の断面形状については、物質の不要な滞留を起こしにくいことから円または楕円が望ましい。また、混合効率向上、閉塞防止などの観点から、流路途中において代表長さや断面形状を変化させることも適宜行ってよい。
本発明の有機顔料粒子の製造方法においては、上記顔料溶液と貧溶媒とを接触混合して顔料粒子を生成させた混合液と分散剤を含む溶液との混合を迅速に行うことが重要であり、特にこの部分において混合を促進する手段を採用することが好ましい。その方法のひとつに、混合場を乱流化することで混合を促進する、例えば、高速の流れをお互いに向き合うような方向、すなわち対向流の状態で狭い流路内で衝突させるような手法が挙げられる。このほか、特開2006−342304に示されるように混合前にいったん各々の流体を複数に分割し、合一させると同時に衝突させてもよい。なお、上記分散剤の種類やこの溶液の調製については後で詳しく述べる。
ただし、本発明において液体の混合様式は乱流支配下に限定されるものではなく、例えば特開2006−104448に示されるようにY字型をなした流路の交点にて流体同士を層流状態で接触させ、分子拡散によって混合を図る手法でもよい。この手法は流路幅が数μm〜数百μmの様に狭いリアクターを用いる場合、この制限された空間内においては拡散距離が短いことから混合速度の向上が期待できるため、拡散速度の速い物質を分散剤として用いる場合に特に好ましい。
液体の混合形式ないし条件は、用いる分散剤の種類、分散剤を混合する時間差、顔料の反応速度、所望の生産速度等により適した手法を選択することが好ましい。例えば、必要により、顔料溶液と貧溶媒の混合を乱流条件下で行い、その後流れを層流化し、分散剤溶液との混合を層流条件下で行うことが好ましく、このように流動状態を組み合わせる手法も好ましく用いられる。
各液体の体積流量は、流路の構成と共に混合場が乱流か層流かを決定する重要な要素である。体積流量は、通常は所望の混合場を達成するため、および/または所望の製造速度を得るために決定され、流路構成との組み合わせによって選ばれることが多い。例えば、非常に狭い流路で乱流の混合場を得たい、および/または高い製造速度を得たい場合、これに合わせて体積流量を大きくすることでこれを達成できる。ただし、実際的には、ポンプの送液可能な圧力などに制約があるため、任意の流量を取れるわけではない。
本発明において取り上げるような比較的狭い流路内での流通を行う場合、各液体の体積流量は10,000mL/min.以下であることが実際的である。これ以上の流量を送液可能なポンプでは送液可能な最大圧力が小さくなる傾向にあり、流路での圧力損失を小さくするために流路構成に著しい制限が加わる可能性があるため、好ましくない。体積流量の最小値は特に制限されないが、あまり小さすぎると作成する顔料粒子の製造速度が小さくなるため、1mL/min.以上であることが実際的である。
本発明において流体の流動状態が乱流であるか層流であるかの判定は、管レイノルズ数をもって行う。すなわち、管代表長さをD[m]、流通する液の線流速をu[m/s](定義は後述)、液の密度及び粘度をそれぞれρ[kg/m]、η[Pa・s]とした場合、管レイノルズ数Re[−]は
Re=Duρ/η
によって定義される。本発明においては、Reが1000以上の状態が乱流、100以上1000未満の状態が遷移域、100未満の状態が層流であるとした。
上式の代表長さDとは、管内の流動に最も影響を与えるような管の物性のことであり、円筒管の場合はその直径、そうでない場合は以下の式によって定義される。
D=4A/p
ここで、A[m]は流路の断面積、p[m]は流路内において流体が壁に接する部分の長さ(浸辺長)である。
なお、本発明においては混合場の流動状態が重要となるが、混合場の状態を適切に測定することは困難であるため、以下の2条件を共に満たす場合に混合場の状態を乱流支配と推定した。
(i)混合される2流体それぞれの混合直前の管レイノルズ数Reから、少なくとも一方の流動状態が乱流とみなされる
(ii)混合後の流体の混合直後の管レイノルズ数Reから、混合直後の流動状態が乱流とみなされる
本発明の有機顔料粒子の製造方法においては、上記のように、顔料溶液と貧溶媒の接触に伴う混合(第1混合)開始後、その混合液と分散剤溶液とが分散安定化可能時間(以下、遅延時間T[s]と称する)内に接触され混合(第2混合)される。この遅延時間(T)は第1混合により顔料粒子が核形成を終了し、該粒子が成長している最中に分散剤の導入が行われるように粒子成長完了時間(T)より短くすることが好ましい。上記遅延時間(T)が大きすぎた場合、顔料粒子の成長がすでに終了してしまっており、分散剤を別の系で後から添加した状態と同じような吸着状態になり、分散安定化効果が不十分になる可能性がある。逆に遅延時間(T)が小さすぎた場合、共溶解と同じように粒子内部に均一に分布した分散剤の埋め込み状態になり、やはり分散安定化効果が不十分になる可能性がある。
本発明において上記遅延時間Tは、特に断らない限り、分散剤混合前の(顔料溶液と貧溶媒を合計した)体積流量と、顔料溶液と貧溶媒との混合開始地点(G1)から、分散剤混合開始地点(G2)にいたるまでの流路断面積から求められる線流速を用いる。すなわち、体積流量をQ[m/s]、流路断面積をA[m]としたときに、線流速u[m/s]は
u=Q/A
によって定義される。Aが反応途中に不連続に変化する場合、Aが一定である各区間についてそれぞれuを計算し、Aの変化が連続的である場合は、流路長に対する微分値によってuを定義する。このuと、顔料溶液/貧溶媒の混合点から分散剤混合点までの距離L[m]から、
T=L/u
としてTを算出する。Aの変化が連続的である場合はuが流路内の位置に対する関数となるため、微小区間内でのΔTを求め、それを積分することによって遅延時間Tが求められる。
顔料粒子の溶解度は通常きわめて低いため、再沈法における核形成および粒子成長は一般に非常に速い。このことから、遅延時間Tは100ミリ秒よりも小さく、好ましくは50ミリ秒よりも小さく、さらに好ましくは20ミリ秒よりも小さい値である。一方、共溶解と同じような分散剤の埋め込み状態になることを避ける観点から、遅延時間Tは1マイクロ秒より大きいことが適当である。
本発明においては、分散剤を前述のように顔料溶液と貧溶媒の混合後に一定時間差をつけて混合することによって、分散剤は粒子に埋包されており、かつ粒子内部での分散剤分布が均一でなく表面に集中している(以下、「偏在化」と呼称)状態を実現することができる(図2参照)。これにより、粒子内部にまで分散剤が埋包されることによる非効率を避け、かつ分散剤の平衡吸着によって分散性を付与することによる不利(非吸着分散剤の存在)を避けることができる。
本発明において、粒子連続相(顔料)1内部に一部取り込まれた分散剤2(2a)又は全部取り込まれた分散剤2(2b)は、粉砕法で見られる状態のように粒子表面に例えば単に物理吸着しているのではなく、粒子連続相1内に固定化され不可逆的に取り込まれているため、埋包微粒子10が破壊されたり溶解されたりしないかぎり通常は分散媒体および/または組成物溶媒中で遊離や脱離がおきないという特徴を有する。そして粒子内に一部取り込まれた分散剤2aは、内在部2iと外方延在部2oとに区分され、この外方延在部2oが粒子外の媒体や別の粒子等に作用し、分散安定化作用等を発揮しうる。そのため、分散剤2が偏在され埋包された微粒子10は、粒子同士の凝集が抑えられるという分散効果の持続性が高く、分散剤の使用量が少なくても、分散安定性がきわめて高い。このような分散剤2を埋包した微粒子10の特性は例えば、分散剤が溶解する溶媒で洗浄を繰り返しても分散剤が脱離しない、この量を測定することで確認することができる。なお、図2においては、説明のために模式化して粒子を球体として示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明において、粒子内部に偏在化した分散剤の分布の測定法は、透過型電子顕微鏡や核磁気共鳴スペクトルなどが挙げられるが、特に固体13C CP/MAS NMRを用いた測定が好適である。
本発明において、粒子の分散性とは、生成した顔料粒子が媒質に均一に分散した分散液がある場合に、粒子がどれだけ一次粒子径に近い分布を持って分散しているかで判断される。媒質としては、水性溶媒、有機溶媒、あるいはこれらの混合物のいずれであっても良く、用途によって好適なものを用いて良い。またこれは再沈液そのものに対する分散性であっても、再沈液から一旦ろ過などの手段によって粒子を取り出し、その後別の媒質に分散した場合に対する分散性であってもよい。なお、ここでいう一次粒子径とは、合一しておらずに別個の粒子とみなされる粒子群の最小構成単位を指し、通常は電子顕微鏡などによる直接観察によって見積もられる。
分散性の評価法には、さまざまの公知の手法があり、例えば動的光散乱(DLS)によって分散粒子の流体力学径を求める手法、電子顕微鏡によって直接粒子径を求める手法、重力あるいは遠心沈降によって流体力学径を求める手法などが考えられ、目的に応じて用いることができる。例えば、粒子形成後の分散液をDLSを用いて粒径測定し、一方で電子顕微鏡によって一次粒子径を観察してその比を求めると、粒子の媒質中の分散性が低い場合は凝集によってDLSでの流体力学径が電子顕微鏡での一次粒子径に対して大きくなっていくので、DLSと電子顕微鏡の値の比が小さいほど分散性は優れていると言える。本発明における分散性の評価は、断りない限り、実施例に記載の評価法に従うものとする。
本発明の製造方法で得られる有機顔料粒子の平均粒径はナノメートルサイズであることが好ましく、例えば高性能インクジェットインクやカラーフィルタ用色材とすることに鑑み、10〜200nmとすることが好ましく、10〜50nmとすることがより好ましい。本発明において有機顔料粒子の平均粒径は特に断らない限り、動的光散乱法により測定したDLS径、又は走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したSEM径をいい、それぞれの具体的な測定法は、後記実施例に記載の方法によるものとする。
本発明の製造方法に用いられる分散剤は、有機顔料粒子の分散安定化に好適に用いうる物であれば特に限定されないが、顔料粒子と相互作用することにより粒子表面を修飾し、水中または有機溶剤中での顔料粒子の分散性を増すような物質であることが好ましい。特に有機溶剤中では、分子鎖のエントロピー斥力を利用した反発作用により分散性を確保する観点から、高分子分散剤の使用が好ましい。また、高分子分散剤と併用して、あるいは単独で、いわゆる界面活性剤や、低分子の分散剤、顔料誘導体型分散剤を用いてもよい。
用いることのできる分散剤として、例えば、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは顔料誘導体の、低分子または高分子分散剤を使用することができる。なお、高分子分散剤の分子量は溶液に均一に溶解できるものであれば制限なく用いることができるが、好ましくは分子量1,000〜2,000,000であり、5,000〜1,000,000がより好ましく、10,000〜500,000がさらに好ましく、10,000〜100,000が特に好ましい。
以下、分散剤の例を列挙するが、ここに挙げない分散剤であっても再沈法に使用しうるものであれば良く、本発明は本項の記載に限定されるものではない。
高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。顔料の分散に用いる分散剤に関しては、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」(化学情報協会、2001年12月発行)の29〜46頁に詳しく記載されている。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。これらアニオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらノニオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料誘導体型分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料誘導体型分散剤、あるいは化学修飾された顔料前駆体の顔料化反応により得られる顔料誘導体型分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料誘導体型分散剤、ピペリジル含有顔料誘導体型分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料誘導体型分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料誘導体型分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料誘導体型分散剤、スルホンアミド基を有する顔料誘導体型分散剤、エーテル基を有する顔料誘導体型分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料誘導体型分散剤などがある。
分散剤を溶解する溶媒としては、分散剤を分解ないしは変質させず、また顔料の良溶媒および貧溶媒と相溶あるいは均一に混合可能な溶媒(最終的には分散剤と顔料粒子を混合する必要があるため)であればよい。分散剤の溶媒に対する溶解度は特に限定されないが、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上の分散剤溶解度を持つ溶媒であるとよい。なお、分散剤溶液の好ましい分散剤濃度は、上記溶解度に同義である。
分散剤溶解溶媒の、顔料の良溶媒および貧溶媒への相溶性は、良溶媒と貧溶媒の間の溶解度と同様であり、良溶媒、貧溶媒、およびそれらの混合溶媒(顔料粒子形成時の比率において)に対して、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
具体的な溶媒としては、水性溶媒(例えば、水)、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒がより好ましく、水性溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒がさらに好ましく、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が特に好ましい。
本発明の製造方法に用いられる有機顔料は、色相的に限定されるものではなく、例えば、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンもしくはイソビオラントロン化合物顔料、またはそれらの混合物などが挙げられる。
更に詳しくは、たとえば、C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン化合物顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントイエロー150(C.I.番号48545)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン化合物顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン化合物顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール化合物顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン化合物顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン化合物顔料が挙げられる。なかでも、キナクリドン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、またはアゾ化合物顔料であることが好ましく、ジケトピロロピロール化合物顔料又はジオキサジン化合物顔料がより好ましい。
本発明の製造方法によれば、ピロロピロール化合物顔料やジオキサジン化合物顔料を粒径分布がそろったナノサイズの顔料として得ることができる。そしてそれらの顔料微粒子含有する分散液を分散性および分散安定性に優れたものとすることができるため、それ用いたカラーフィルタは、高い色純度と高いコントラストを両立でき、しかも耐光性に優れる。またそのカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、黒のしまりおよび青の描写、再現性に優れ、表示ムラが抑えられる。
本発明の有機ナノ粒子の製造方法においては、2種類以上の有機顔料または有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、上記のとおり第1混合工程において流路内で、有機顔料を良溶媒に溶解した有機顔料溶液と、前記良溶媒に対して相溶性を有し、有機顔料に対して貧溶媒となる溶媒(以下、この溶媒を[有機顔料の貧溶媒]ともいい、あるいは単に[貧溶媒]ということもある。)とを接触・混合することにより有機顔料粒子を生成させる(以下、この方法を「再沈法」ということもあり、このとき得られる有機顔料粒子を含有する分散液を「顔料再沈液」ということもある。)。
有機顔料の貧溶媒は、有機顔料を溶解する良溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。有機顔料の貧溶媒としては、有機顔料の溶解度が0.02質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。有機顔料の貧溶媒への溶解度にとくに下限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると0.000001質量%以上が実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。良溶媒と貧溶媒との相溶性もしくは均一混合性は、良溶媒の貧溶媒に対する溶解量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。良溶媒の貧溶媒に対する溶解量に特に上限はないが、任意の割合で混じり合うことが実際的である。
貧溶媒としては、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、またはこれらの混合物がこの好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒またはエステル化合物溶媒がより好ましい。
アルコール化合物溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF6−との塩などが挙げられる。
次に、有機顔料を溶解する良溶媒について説明する。良溶媒は用いる顔料を溶解することが可能で、前記貧溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。良溶媒への溶解性は有機顔料の溶解度が0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。良溶媒への溶解度に特に上限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると50質量%以下であることが実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。貧溶媒と良溶媒との相溶性もしくは均一混合性の好ましい範囲は前述のとおりである。
良溶媒としては、例えば、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が好ましく、水性溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒がさらに好ましく、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が特に好ましい。
スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
また、良溶媒に有機顔料を溶解した有機顔料溶液の濃度としては、溶解時の条件における有機顔料の良溶媒に対する飽和濃度ないしこれの1/100程度の範囲が好ましい。有機顔料溶液の調製条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−10〜150℃が好ましく、−5〜130℃がより好ましく、0〜100℃が特に好ましい。
本発明において有機顔料は、酸性でもしくはアルカリ性で溶解することも可能である。一般に分子内にアルカリ性で解離可能な基を有する顔料の場合はアルカリ性条件が、アルカリ性で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性条件で溶解される。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合化合物顔料はアルカリ性で、フタロシアニン化合物顔料は酸性で溶解される。
アルカリ性で溶解させる場合に用いられる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化バリウムなどの無機塩基、またはテトラアルキルアミン、トリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、金属アルコキシドなどの有機塩基であるが、好ましくは有機塩基である。
使用される塩基の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、無機塩基の場合、好ましくは有機顔料に対して1.0〜30モル当量であり、より好ましくは1.0〜25モル当量であり、さらに好ましくは1.0〜20モル当量である。有機塩基の場合、好ましくは有機顔料に対して1.0〜100モル当量であり、より好ましくは5.0〜100モル当量であり、さらに好ましくは20〜100モル当量である。
酸性で溶解させる場合に用いられる酸は、硫酸、塩酸、もしくは燐酸などの無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸であるが好ましくは無機酸である。特に好ましくは硫酸である。
使用される酸の量は、有機顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、塩基に比べて過剰量用いられる場合が多い。無機酸および有機酸の場合を問わず、好ましくは有機顔料に対して3〜500モル当量であり、より好ましくは10〜500モル当量であり、さらに好ましくは30〜200モル当量である。
アルカリまたは酸を有機溶媒と混合して、有機顔料の良溶媒として用いる際は、アルカリまたは酸を完全に溶解させるため、若干の水や低級アルコールなどのアルカリまたは酸に対して高い溶解度をもつ溶剤を、有機溶媒に添加することができる。水や低級アルコールの量は、有機顔料溶液全量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコールなどを用いることができる。
有機粒子作製時、すなわち有機粒子を析出し、形成する際の貧溶媒の使用条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜60℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。
顔料溶液と貧溶媒の混合比(再沈液中の良溶媒/貧溶媒比)は体積比で1/50〜2/3が好ましく、1/40〜1/2がより好ましく、1/20〜3/8が特に好ましい。これは、流路内における顔料溶液と貧溶媒の体積流量比と同じであっても良く、異なっていても良い。例えば、混合比を1/2とする場合、以下のどちらの場合であっても良い。
(i)良溶媒と貧溶媒の体積流量比を1/2とする
(ii)貧溶媒にあらかじめ良溶媒を(良溶媒/貧溶媒比)=(1/4)の割合で混合しておき、この貧溶媒(貧溶媒´とする)を用いて、顔料溶液と貧溶媒´の体積流量比を1/5とする。この場合、顔料溶液中の良溶媒と、貧溶媒´中の良溶媒を足した量は、1+1=2となり、一方で貧溶媒´中の貧溶媒量は4であるので、良溶媒と貧溶媒の最終的な混合比は1/2となる
顔料再沈液の濃度は顔料粒子を生成することができれば特に制限されないが、分散溶媒1000mlに対して顔料粒子が10〜40000mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜30000mgの範囲であり、特に好ましくは50〜25000mgの範囲である。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに記載の内容に何ら限定されるものではない。また、記載中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量部および質量%を意味するものとする。
<実施例1>
図1に記載の装置100を用いて以下の反応を行った。このとき流路断面が円形の円管流路とし、その内径[代表長さ](D)を幹流路M,Mにおいては0.8[mm]、枝流路E〜Eにおいては0.8[mm]とした。合流部GからGまでの距離Lは140.3[mm]であり、合流部G以降の流路の距離Lは120[mm]であった。
[顔料溶液の作成]
ジメチルスルホキシド(和光純薬工業(株)製)20部に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液(東京化成工業(株)製)2.5部、C.I.ピグメント・レッド254(商品名:イルガフォア・レッド BT−CF、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2.0部を添加し、顔料を溶解させたものを20℃に保ち、顔料溶液とした。
[貧溶媒の作成]
イオン交換水200部、ジメチルスルホキシド40部を混合したものを用意し、これを5℃に冷却したものを貧溶媒とした。
[分散剤溶液の作成]
ジメチルスルホキシド20部に、ポリビニルピロリドンK25(和光純薬工業(株)製)2.0部を溶解したものを20℃に保ち、これを分散剤溶液とした。
[有機顔料粒子の作成]
無脈流ポンプ(商品名:NP−KX−740 日本精密化学(株)製)により、上記のとおり調製した顔料溶液(第1液)11を装置100の枝流路Eから、貧溶媒(第2液)12を枝流路Eから流入させ、合流部Gを経て幹流路Mにて混合させた(混合液14)。一方、分散剤溶液(第3液)13を枝流路Eから流入させ、合流部Gを経て幹流路Mにて、顔料溶液および貧溶媒の混合液14と混合させ、得られた生成液15をサンプリングし、これを顔料微粒子含有液試料1とした。顔料溶液、貧溶媒、分散剤溶液の流量はそれぞれ40mL/min.、400mL/min.、40mL/min.であり、この条件での合流部Gから合流部Gまでの合流の遅延時間Tは15ミリ秒であった。
<実施例2>
合流部GからGまでの距離Lを46.7[mm]とする以外、実施例1と同様にして再沈液を作成し、これを顔料微粒子含有液試料2とした。この条件での遅延時間Tは5ミリ秒であった。
<実施例3>
合流部GからGまでの距離Lを9.4[mm]とする以外、実施例1と同様にして再沈液を作成し、これを顔料微粒子含有液試料3とした。この条件での遅延時間Tは1ミリ秒であった。
<実施例4>
合流部GからGまでの距離Lを0.75[mm]とする以外、実施例1と同様にして再沈液を作成し、これを顔料微粒子含有液試料4とした。この条件での遅延時間Tは80マイクロ秒であった。
<実施例5>
合流部GからGまでの距離Lを467.8[mm]とする以外、実施例1と同様にして再沈液を作成し、これを顔料微粒子含有液試料5とした。この条件での遅延時間Tは50ミリ秒であった。
<実施例6>
[代表長さ](D)を幹流路M,Mにおいては1.5[mm]、枝流路E〜Eにおいては1.5[mm]、合流部GからGまでの距離Lを62.4[mm]とする以外、実施例1と同様にして再沈液を生成させて、これを顔料微粒子含有液試料6とした。ただし、顔料溶液、貧溶媒、分散剤溶液の流量をそれぞれ80mL/min.、800mL/min.、80mL/min.とし、この条件での遅延時間Tは15ミリ秒であった。
<実施例7>
分散剤溶液に添加するポリビニルピロリドンK25(和光純薬工業(株)製)を1.0部とした以外、実施例1と同様にして顔料粒子を作成し、これを顔料微粒子含有液試料7とした。
<比較例1>
図2に記載の装置200を用いて反応を行った。
[顔料および分散剤共溶解溶液の作成]
ジメチルスルホキシド(和光純薬工業(株)製)20部に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液(東京化成工業(株)製)2.5部、C.I.ピグメント・レッド254(商品名:イルガフォア・レッド BT−CF、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2.0部、ポリビニルピロリドンK25(和光純薬工業(株)製)2.0部を添加し、顔料を溶解させたものを20℃に保ち、顔料と分散剤の共溶液とした。
[貧溶媒の作成]
イオン交換水200部、ジメチルスルホキシド40部を混合したものを用意し、これを5℃に冷却して貧溶媒とした。
[有機顔料粒子の作成]
顔料/分散剤溶液11aを装置200(図3)の枝流路E(代表長さ:1.0mm)から、貧溶媒12を枝流路Eから無脈流ポンプを用いて流入させ、合流部Gにて混合した。得られた液を幹流路M(代表長さ:1.0mm)の流出部から生成液15aサンプリングし、これを顔料微粒子含有液試料c1とした。顔料分散液、貧溶媒の流量は、それぞれ240mL/min.であった。
<比較例2>
本比較例では、バッチ式撹拌槽(図示せず)を用いて反応を行った。すなわち、上記比較例1と同様にして顔料/分散剤溶液、貧溶媒を作成した。前記貧溶媒を5℃に保ちつつラモンドスターラー(製品名:GK−0222−10 藤沢薬品工業(株)製)で500rpmで撹拌し、ここに無脈流ポンプにより顔料/分散剤溶液を流量100mL/min.で48部注入して顔料粒子を作成した。なお、溶液注入の際、溶液は貧溶媒に挿入した内径1.0mmのノズルから噴出させる形で添加した。得られた再沈液を顔料微粒子含有液試料c2とした。
<比較例3>
顔料/分散剤溶液の作成時に使用するポリビニルピロリドンK25を4.0部とした以外は、比較例1と同様に各溶液を作成し、比較例2と同様にして実験を行った。得られた再沈液を顔料微粒子含有液試料c3とした。
<比較例4>
本比較例では、バッチ式撹拌槽(図示せず)および図3に記載の装置200を用いて反応を行った。実施例1で調製したものと同じ顔料溶液、貧溶媒、分散剤溶液を準備した。前記貧溶媒を5℃に保ちつつラモンドスターラー(製品名:GK−0222−10 藤沢薬品工業(株)製)で500rpmで撹拌し、ここに無脈流ポンプにより顔料溶液を流量100mL/min.で48部注入して顔料粒子を作成した。なお、溶液注入の際、溶液は貧溶媒に挿入した内径1.0mmのノズルから噴出させる形で添加した。
得られた再沈液に対し、アセトン1000部を加え凝集沈殿させ、ろ過、水洗して乾燥させた。得られた乾燥顔料5部に対してイオン交換水83部、ジメチルスルホキシド16部を加え、モーターミル(製品名;M−50 アイガー・ジャパン(株)製)と直径0.65mmのジルコニアビーズを用いて分散し、顔料分散液を調製した。
この顔料分散液を装置200の枝流路Eから、前記分散剤溶液を枝流路Eから無脈流ポンプを用いて流入させ、合流部Gにて混合した。得られた液を幹流路Mの流出部からサンプリングし、これを顔料微粒子含有液試料c4とした。顔料分散液、貧溶媒の流量は、それぞれ240mL/min.であった。
<比較例5>
合流部GからGまでの距離Lを1403.4[mm]とする以外、実施例1と同様にして再沈液を作成した。これを顔料微粒子含有液試料c5とした。顔料溶液、貧溶媒、分散剤溶液の流量はそれぞれ40mL/min.、400mL/min.、40mL/min.であり、この条件での遅延時間Tは150ミリ秒であった。
[粒子分散性の測定および評価]
<DLS径>
各実施例、比較例にて得られた各試料液を少量サンプリングし、再沈液作成後すぐにDLS(製品名:ナノトラックUPA−EX150 日機装(株)製)にて数平均径)測定を行った。以降、これをDLS径と呼称する。なお、媒質の屈折率および粘度には、再沈液と同温度、同組成になるように調整した液体(ただし、顔料とポリビニルピロリドンを除く)の値を使用した。
<SEM径>
一方、残りの試料液に1N塩酸(和光純薬(株)製)を撹拌しつつ加え、pHを3.0±0.1に調整した。これをメンブレンフィルター(製品名:オムニポアメンブレンフィルターJAWP09025、ミリポア製)にてろ過後、水洗してペースト状の顔料分散物とした。得られた顔料ペーストを、使用した再沈液に対応して顔料ペーストとした。この顔料ペーストを乳酸エチル(和光純薬(株)製)で希釈し、超音波ホモジナイザー(製品名:Model450 ブランソン製)で分散した。これを試料台に薄くスピンコートして撮影試料とし、走査型電子顕微鏡にて粒子像を観察した。観察画像から、一次粒子が明瞭に識別できるもの400個に対して粒径測定を行い、数平均径を算出した。以降、これをSEM径と呼称する。
これらの値を用い、DLS径/SEM径の比を求め、分散性の指標とした。この値が小さいほど、ポリビニルピロリドンによる保護効果がよく働き、水性溶媒中で一次粒子に近い分散状態で存在していると判定した。
[分散剤取り込み率の評価]
添加した分散剤のうち、どの程度の量が顔料粒子に取り込まれているか(以下、「分散剤取り込み率」または単に「取り込み率」と呼称)を以下のように評価した。
前記[粒子分散性の測定および評価]にて作成した顔料ペーストを1部に対して乳酸エチル50部を加え、モーターミル(製品名;M−50 アイガー・ジャパン(株)製)と直径0.65mmのジルコニアビーズを用いて周速9m/sで3時間分散した。得られた顔料分散液をメンブレンフィルター(製品名:FP−10 住友電工ファインポリマ製)を用い、ろ過、乾燥した。この操作により顔料から余分なポリビニルピロリドンを洗浄除去した上で、得られた乾燥顔料中のポリマー量を測定し、添加ポリマーとの比から以下の式により分散剤取り込み率を計算した。
(分散剤取り込み率)=(洗浄後顔料中のポリマー重量)/(添加ポリマー重量)×100
[表面偏在性の測定および評価]
分散剤の粒子内分布の確認は、固体13C CP/MAS NMR測定(商品名:AVANCE DSX−300分光器と4mmφ HFX CP/MAS probe ブルカー・バイオスピン社製)を用いて行った。固体13C CP/MAS NMR測定は以下の通りに行った。
前記[分散剤取り込み率の評価]におけるのと同様にして顔料ペーストを乳酸エチルで洗浄し、ろ過して濃縮ペーストを作成した。これを固体13C CP/MAS NMRの試料台にセットし、Goldman−shenパルス系列に基づき、1H90 パルス幅4.5μs、初期の溶媒選択のための待ち時間200μs、CPコンタクトタイム1 msとし、スピン拡散時間を0.5〜200 msまで変化させて測定を行った。積算回数は4096回、繰り返し時間は試料の1Hスピン−格子緩和時間の5倍を目安に3〜10秒とした。マジックアングルスピニングの回転数は、試料により8000〜10000 Hzとした。
各々のスピン拡散時間におけるスペクトルをピーク分離によって顔料及び分散剤のピーク面積を算出し、一次元拡散モデルを仮定した拡散距離Lは、スピン拡散時間tに対して、
L=1.1・t 1/2
の関係にあることを用いて、溶媒分子からの距離に対するピーク面積のプロットを作成した。これから、粒子形成時に取り込まれたポリビニルピロリドン総量の80質量%が存在する粒子表面からの距離(rとする)と、粒子の球相当径(Rとする)との比r/Rを算出し(図2参照)、この境界kで区分される内方領域Aiと外方領域Aoとの分散剤分布を偏在率(表2の分散剤偏在率)の指標とした。この値が小さいほど、ポリビニルピロリドンが粒子内部に取り込まれていて、かつ粒子表面に近い位置(外方領域Ao)に集中している状態、別の言い方をすれば分子鎖の一部が粒子外に存在している(外方延在部2o参照)確率が高い状態であることを示している。したがって、この分散剤偏在率の値が小さいほど、分子の全てが粒子内部に埋包されておらず分子鎖の一部が粒子外に露出した理想的な分散剤の配置形態になることが分かる。なお、r/Rが0である場合は全てのポリビニルピロリドンが粒子外に存在していることを意味し、これは単に粒子表面にポリマーが平衡吸着している状態と考えられる。
上記評価結果を表1および表2にまとめた。
Figure 2010180310
*1:装置100は図1参照、装置200は図3参照、バッチはバッチ式攪拌槽の意味。
*2:良溶媒と貧溶媒が混合される部分でのRe数を示す。実施例1〜7と比較例1〜2では良溶媒と貧溶媒の合計流量から算出。比較例3〜5では、顔料溶液の流量からノズル内の管レイノルズ数をもとめ、その値を使用した。
*3:分散剤が混合される部分でのRe数を示す。実施例1〜7と比較例1では良溶媒と貧溶媒、分散剤溶液の合計流量から算出。比較例2〜4では分散剤が最初から顔料と混合されているため割愛した。また、比較例5では乾燥後再分散した顔料分散液と分散剤溶液の合計流量から算出した。
*4:添加した顔料およびポリビニルピロリドン(PVP)が全て析出したと仮定した場合の質量比
*5:再沈液中の粒子の凝集のため測定不可能であった。
上記の結果より分かるとおり、本発明の製造方法によればナノメートルサイズという極めて微細な粒子に分散剤を取り込ませ、しかもその外方領域に優先的に分散剤を偏在させることができ、この特有の構造を有する微粒子を効率的に得ることができることが分かる。そして、必要により分散剤を合流させるまでの遅延時間Tを変化させて、例えばTが大きいほどDLS径・SEM径ともに大きくし、その上で分散性には大きな変化を与えないといった粒子制御が可能である。
分散剤取り込み率は遅延時間Tが大きいほど低下する傾向にあり、この量を調節・制御することもできる。これらのことは、顔料溶液と貧溶媒との混合時に始まる核形成に対して、分散剤の添加が遅れるほど、粒子成長途中での分散剤取り込みが間に合わなくなる可能性が高くなるためと考えられる。しかしながら、取り込み率が低い状態でも比較的分散性が保持されていることから、少ない量のPVPが表面を効率よく保護する状態が実現されているものと推定される。
分散剤偏在率は遅延時間Tが大きくなるほど小さくなる傾向にあり、PVPを核形成より遅れて取り込ませることで、顔料粒子内のPVP分布が粒子外側に偏在化しているものを制御して作製することも可能である。そして、前記の粒子径ないし分散性の傾向とあわせ、分散剤の遅延時間を適宜調節して添加し、粒子表面付近に偏在化させる程度を調節したり、分散剤の取り込み効率を調節したりして、ナノメートルサイズの微粒子を所望の形態で分散剤により表面保護したものを作製することができる。
1 顔料(連続相)
2 埋包分散剤(分散相)
10 水不溶性化合物の微粒子
100、200 流路を有する製造装置

Claims (8)

  1. 少なくとも、良溶媒に有機顔料を溶解した顔料溶液と、前記良溶媒と相溶する前記顔料の貧溶媒と、1種以上の分散剤を溶解した分散剤溶液とを、それぞれ異なる枝流路から幹流路内に導入して顔料粒子を形成して分散安定化するに当たり、前記幹流路内の上流側において前記顔料溶液と前記貧溶媒とを接触させることにより、その混合液中に顔料粒子を生成させ、続いて前記幹流路内の下流側において、分散安定化可能時間(T)内にその混合液と前記分散剤溶液とを接触させて混合することを特徴とする有機顔料粒子の製造方法。
  2. 前記分散安定化可能時間(T)が100ミリ秒であることを特徴とする請求項1に記載の有機顔料粒子の製造方法。
  3. 前記分散安定化可能時間(T)が1マイクロ秒を超えることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機顔料粒子の製造方法。
  4. 前記流路の代表長さが20〜5,000μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機顔料粒子の製造方法。
  5. 前記顔料溶液と貧溶媒との混合が乱流支配下又は層流支配下で行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機顔料粒子の製造方法。
  6. 前記顔料溶液及び貧溶媒の混合液と前記分散剤溶液との混合が乱流支配下又は層流支配下で行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機顔料粒子の製造方法。
  7. 前記有機顔料粒子を、平均粒径10〜200nm、かつ、前記分散剤が粒子表面側に偏在して埋包されたものとして得ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機顔料粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法で得られる有機顔料粒子を媒体中に分散させた状態で得ることを特徴とする顔料分散物の製造方法。
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