JP2010179381A - 放電加工液組成物および放電加工方法 - Google Patents

放電加工液組成物および放電加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010179381A
JP2010179381A JP2009022881A JP2009022881A JP2010179381A JP 2010179381 A JP2010179381 A JP 2010179381A JP 2009022881 A JP2009022881 A JP 2009022881A JP 2009022881 A JP2009022881 A JP 2009022881A JP 2010179381 A JP2010179381 A JP 2010179381A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge machining
electric discharge
imide
composition
electrical discharge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009022881A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5927395B2 (ja
Inventor
Nobuyoshi Nanbu
信義 南部
Kazuhiko Arimatsu
一比古 有松
Tadahiko Nanbu
忠彦 南部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chelest Corp
Chubu Chelest Co Ltd
Original Assignee
Chelest Corp
Chubu Chelest Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chelest Corp, Chubu Chelest Co Ltd filed Critical Chelest Corp
Priority to JP2009022881A priority Critical patent/JP5927395B2/ja
Publication of JP2010179381A publication Critical patent/JP2010179381A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5927395B2 publication Critical patent/JP5927395B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

【課題】十分な金属の防錆効果を有する放電加工液組成物、およびそれを用いた放電加工方法を提供する。
【解決手段】イミド化合物と水とを含有する放電加工液組成物。前記イミド化合物としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、グルタル酸イミド、またはフタル酸イミド等を用いることができ、放電加工液組成物中のイミド化合物の含有率は、0.001質量%以上1.0質量%以下が好ましい。また、放電加工液組成物は、ベンゾトリアゾール化合物や糖を含有していてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、放電加工液組成物、および前記放電加工液組成物を用いた放電加工方法に関するものである。
放電加工は、絶縁媒体である放電加工液中、加工電極と導電性の被加工物との間で高周波電圧を印加して金属を溶融除去することによって、形彫り、開孔、切断等を行なう加工法である。放電加工に用いられる放電加工液組成物としては、従来、ケロシン等の石油溶剤が使用されていた。しかし、ケロシン等の石油溶剤は引火性が強く、放電加工時に火災を発生する危険性が高いことから、不燃性の放電加工液として、水性の放電加工液組成物が使用されるようになってきている。水性の放電加工液組成物は、水が主成分として用いられているが、水性の放電加工液組成物は、被加工物や加工設備に対する防錆性能が悪いため、これまで、種々の防錆成分が添加された水性の放電加工液組成物が提案されている。
例えば、特許文献1,2には、防錆成分としてベンゾトリアゾールと糖類とを含有する放電加工液組成物が開示されている。また、特許文献3には、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンを含有する防錆効果を有する放電加工液組成物が開示されている。しかし、特許文献1〜3に開示された放電加工液組成物では、防錆効果が十分得られない場合があった。
特許第2598715号公報 特開平4−250921公報 特開昭61−188022号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分な金属の防錆効果を有する放電加工液組成物と、前記放電加工液組成物を用いた放電加工方法を提供することにある。
上記課題を解決することができた本発明の放電加工液組成物とは、イミド化合物と水とを含有するところに特徴を有する。本発明の放電加工液組成物は、前記構成により、十分な金属の防錆効果を有する。
前記イミド化合物は、下記式(1)で示されるイミド化合物であることが好ましく、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、グルタル酸イミド、およびフタル酸イミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。このようなイミド化合物は、水への溶解度が高くなりやすく、放電加工液組成物の防錆効果が十分発揮されやすくなる。

[式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基、またはフェニレン基を表す。]
本発明の放電加工液組成物は、前記イミド化合物を、0.001質量%以上1.0質量%以下含有することが好ましい。イミド化合物の含有率が前記範囲にあれば、放電加工液組成物の防錆効果が十分発揮されやすくなり、また放電加工液組成物中での放電加工を行いやすくなる。
本発明の放電加工液組成物は、さらにベンゾトリアゾール化合物を含むことが好ましい。放電加工液組成物がベンゾトリアゾール化合物を含んでいれば、イミド化合物との相乗効果により、放電加工液組成物の防錆効果を高めやすくなる。また、放電加工液組成物を長期にわたり使用するために、放電加工液組成物をイオン交換樹脂に通液してイオン性不純物を除去した場合、放電加工液組成物からイミド化合物が除去されにくくなる。
本発明の放電加工液組成物は、さらに糖を含むことが好ましい。放電加工液組成物が糖を含んでいれば、イミド化合物との相乗効果により、放電加工液組成物の防錆効果を高めやすくなる。
本発明は、また、放電加工液組成物を含む液中で放電加工を行うことを特徴とする放電加工方法も提供する。本発明の放電加工方法によれば、放電加工において、加工対象である金属の発錆を防ぐことが容易となる。
本発明の放電加工液組成物は、金属の防錆効果を有する。また、本発明の放電加工方法によれば、加工対象である金属の発錆を防ぐことが容易となる。
本発明の放電加工液組成物は、イミド化合物と水とを含有することを特徴とする。
放電加工液組成物に用いられるイミド化合物は、1級アミンまたはアンモニアの窒素原子にカルボニル基が2つ結合した構造を有するものであれば特に限定されない。本発明の放電加工液組成物は、イミド化合物を含むことにより、放電加工液組成物中で金属を放電加工した際、金属の発錆が起こりにくくなる。
イミド化合物としては、アンモニアとジカルボン酸とを脱水縮合して得られるイミド化合物が好ましく、下記式(1)で示されるイミド化合物がより好ましい。なお、下記式(1)中、Rは有機基を表し、好ましくは、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基(アルケンの任意の炭素原子から2個の水素原子を除去した2価基)、またはフェニレン基を表す。Rが炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基、またはフェニレン基であるイミド化合物であれば、イミド化合物の水への溶解度が高くなりやすくなり、好ましい。
前記式(1)中、Rとしては、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4のアルケニレン基、またはo−フェニレン基がより好ましく、そのようなイミド化合物としては、マロン酸イミド、コハク酸イミド、グルタル酸イミド、アジピン酸イミド、2−メチルグルタル酸イミド、マレイン酸イミド、およびフタル酸イミド等が挙げられる。イミド化合物としては、コハク酸イミド、グルタル酸イミド、マレイン酸イミド、およびフタル酸イミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、入手容易性、安全性、および防錆性能の点から、コハク酸イミドが特に好ましい。コハク酸イミドは、銀メッキの表面処理剤や医薬合成原料として既に幅広く使用されており、急性経口毒性LD50が14g/kg(ラット)と高い安全性が確認されている。
本発明の放電加工液組成物は、イミド化合物と水とに加え、さらにベンゾトリアゾール化合物を含むことが好ましい。放電加工液組成物にベンゾトリアゾール化合物が含まれれば、イミド化合物との相乗効果により、放電加工液組成物の防錆効果を高めやすくなる。
また、放電加工液組成物にベンゾトリアゾール化合物が含まれれば、使用済みの放電加工液の導電率を下げるために、放電加工液をイオン交換樹脂に通液して放電加工液中のイオン性不純物を除去する際、イミド化合物を含む放電加工液からイミド化合物が除去されにくくなる。この場合、長期にわたり放電加工液中で放電加工できるようになる。これについて、以下に説明する。
放電加工では、放電加工液中にイオン性不純物が徐々に蓄積し、放電加工液の導電率が上昇してくる。放電加工では、放電加工液に含まれる有機物が分解したりして、放電加工液中にイオン性不純物が蓄積すると考えられる。また、放電加工では、放電加工液を、放電加工を行う加工槽と放電加工液を貯留および不純物除去する貯留槽とを循環させて使用するのが一般的であるが、この際、循環する放電加工液の勢いが激しかったりすると、炭酸ガスが放電加工液に吸収され、放電加工液にイオン性不純物が蓄積するとも考えられる。そして、放電加工液中にイオン性不純物が蓄積し、放電加工液の導電率が大きくなりすぎる(例えば100μS/cm超)と、放電加工液が絶縁媒体としての機能を果たさなくなり、放電加工を行うことができなくなる。従って、放電加工においては、放電加工液の導電率を一定の範囲(例えば、1μS/cm〜100μS/cm)に調整することが好ましい。
放電加工液の導電率を一定の範囲に調整するためには、放電加工液をイオン交換樹脂に通液して、放電加工液中のイオン性不純物を除去することが効果的である。この際、強塩基性陰イオン交換樹脂と強酸性陽イオン交換樹脂とを組み合わせてイオン性不純物を除去することが、イオン性不純物の除去効率を高める点で好ましい。前記強塩基性陰イオン交換樹脂は、官能基として、例えばトリメチルアンモニウム基やジメチルエタノールアンモニウム基を有するものを用いればよく、前記強酸性陽イオン交換樹脂は、官能基として、例えばスルホン酸基を有するものを用いればよい。そして、放電加工液にベンゾトリアゾール化合物が含まれていれば、放電加工液をイオン交換樹脂に通液した際、ベンゾトリアゾール化合物が含まれない場合と比較して、放電加工液からイミド化合物が除去されにくくなり、放電加工液の防錆効果がより長続きするようになる。すなわち、ベンゾトリアゾール化合物は、イミド化合物をイオン交換樹脂の吸着から守る犠牲薬剤としての効果を有している。
ベンゾトリアゾール化合物としては、分子中にベンゾトリアゾール骨格を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ベンゾトリアゾール、4−メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、4−エチルベンゾトリアゾール、5−エチルベンゾトリアゾール、4−イソプロピルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシベンゾトリアゾール、およびそのエステルまたはその塩、5−カルボキシベンゾトリアゾール、およびそのエステルまたは塩等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベンゾトリアゾールがより好ましい。ベンゾトリアゾール化合物としてベンゾトリアゾールを用いれば、放電加工液を循環使用したり移送する際、放電加工液の発泡を抑えやすくなる。
本発明の放電加工液組成物は、イミド化合物と水とに加え、さらに糖を含むことが好ましい。放電加工液組成物に糖が含まれれば、イミド化合物との相乗効果により、放電加工液組成物の防錆効果を高めやすくなる。
糖としては、単糖、二糖、三糖、単糖が4分子以上結合したオリゴ糖、およびさらに多くの単糖が結合した多糖を含み、ヒドロキシ基が水素に置換されたデオキシ糖、アルドース末端の炭素がカルボキシル基に置換されたウロン酸、ケトン基やアルデヒド基がアルコールに還元された糖アルコールを含む。糖を構成する単糖の構造については、三単糖、四単糖、五単糖、六単糖、七単糖等、単糖を構成する炭素数は特に限定されない。糖としては、水への溶解性が高い点で多糖でない方が好ましく、糖アルコールがより好ましい。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、本発明の放電加工液組成物の各成分の含有率について説明する。放電加工液組成物中のイミド化合物の含有率は、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、また1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。イミド化合物の含有率が0.001質量%以上であれば、放電加工液組成物の防錆効果が十分発揮されやすくなる。一方、イミド化合物の含有率が1.0質量%を超えると、放電加工液組成物の防錆効果が低下する場合がある。この理由は不明であるが、放電加工液組成物の酸性が強くなることが原因と推測される。また、イミド化合物の含有率が1.0質量%を超えると、放電加工液組成物中の有機物量が多くなり、その結果、放電加工時に炭酸イオンが多量に生成し、放電加工液の導電率が高くなるおそれがある。この場合、放電加工液が絶縁媒体としての機能を果たさなくなり、放電加工を行うことが困難となるおそれある。また、放電加工時に炭酸イオンが多量に生成すると、放電加工液をイオン交換樹脂に通液して再生する際、イオン交換樹脂の消費量が多くなり、不経済となりやすい。
放電加工液組成物中のイミド化合物の含有率は、放電加工液組成物が糖を含まない場合よりも糖を含む場合の方が、より低くすることが可能となる。例えば、同じ程度の防錆効果を得る場合は、糖を併用することで、放電加工液組成物中のイミド化合物の含有率を低くすることができる。また、イミド化合物の含有率は下げずに、糖を併用することで、放電加工液組成物の防錆効果を高めることもできる。
放電加工液組成物がベンゾトリアゾール化合物を含む場合、放電加工液組成物中のベンゾトリアゾール化合物の含有率は、0.0001質量%以上が好ましく、0.0005質量%以上がより好ましく、また0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。ベンゾトリアゾール化合物の含有率が0.0001質量%以上であれば、放電加工液組成物の防錆効果を高めやすくなり、また、放電加工液をイオン交換樹脂に通液して再生する際、イミド化合物を含む放電加工液からイミド化合物が除去されにくくなる。一方、ベンゾトリアゾール化合物の含有率が0.2質量%を超えると、放電加工液組成物の防錆効果が低下する場合がある。この理由は不明であるが、放電加工液組成物の酸性が強くなることが原因と推測される。また、ベンゾトリアゾール化合物の含有率が0.2質量%を超えると、放電加工液組成物中の有機物量が多くなり、放電加工時に炭酸イオンが多量に生成し、放電加工液の導電率が高くなる場合がある。この場合、放電加工液が絶縁媒体としての機能を果たさなくなり、放電加工を行うことが困難となるおそれがある。さらに、放電加工時に炭酸イオンが多量に生成すると、放電加工液をイオン交換樹脂に通液して再生する際、イオン交換樹脂の消費量が多くなり、不経済となりやすい。
放電加工液組成物が糖を含む場合、放電加工液組成物中の糖の含有率は、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、また0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。糖の含有率が0.005質量%以上であれば、放電加工液組成物の防錆効果を高めやすくなる。一方、糖の含有率が0.5質量%を超えると、放電加工後に放電加工装置を乾燥させた場合、放電加工装置の表面や隙間に粘性物質が残留したりして、放電加工装置に不具合を来す場合がある。また、糖の含有率が0.5質量%を超えると、放電加工液組成物中の有機物量が多くなり、放電加工時に炭酸イオンが多量に生成し、放電加工液の導電率が高くなる場合がある。この場合、放電加工液が絶縁媒体としての機能を果たさなくなり、放電加工を行うことが困難となるおそれがある。また、放電加工時に炭酸イオンが多量に生成すると、放電加工液をイオン交換樹脂に通液して再生する際、イオン交換樹脂の消費量が多くなり、不経済となりやすい。
本発明の放電加工液組成物は、さらに極性溶媒を含んでいてもよい。放電加工液組成物に極性溶媒が含まれれば、イミド化合物の水への溶解性を高めることができ、水に溶解したイミド化合物の安定性を高めることができる。また、放電加工液組成物がベンゾトリアゾール化合物を含む場合は、極性溶媒の存在により、ベンゾトリアゾール化合物の水への溶解性が高められ、水に溶解したベンゾトリアゾール化合物の安定性を高めることができる。特に、放電加工液組成物の防錆効果を高めるために、放電加工液組成物中にイミド化合物やベンゾトリアゾール化合物を高濃度に含むようにする場合は、放電加工液組成物に極性溶媒を含ませることが好ましい。
極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブチルジグリコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、1,2−オクタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のグリコール類、1−メチル−2−ピロリドン;メチルホルムアミド等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エチレングリコール、ブチルジグリコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、1,2−オクタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のグリコール類;1−メチル−2−ピロリドン;ジメチルホルムアミドが好ましく、特に、エチレングリコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1−メチル−2−ピロリドンが好適である。
放電加工液組成物が極性溶媒を含む場合、放電加工液組成物中の極性溶媒の含有率は、0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。極性溶媒の含有率の下限は特に限定されない。極性溶媒の含有率が0.5質量%を超えると、放電加工液組成物中の有機物量が多くなり、放電加工時に炭酸イオンが多量に生成し、放電加工液の導電率が高くなる場合がある。この場合、放電加工液が絶縁媒体としての機能を果たさなくなり、放電加工を行うことが困難となるおそれがある。また、放電加工時に炭酸イオンが多量に生成すると、放電加工液をイオン交換樹脂に通液して再生する際、イオン交換樹脂の消費量が多くなり、不経済となりやすい。
本発明の放電加工液組成物、さらに消泡剤を含んでいてもよい。消泡剤としては、グリコール系、シリコン系等、従来公知のものを用いることができ、例えば、信越化学工業社製の「KM−73A」、「KF−96」、「KS−604」、ダウコーニングアジア社製のFSアンチフォーム「DK Q1−1247」等を使用すればよい。消泡剤は、本発明の効果を損なわない程度に、放電加工液組成物に含まれればよい。
本発明の放電加工液組成物は、イミド化合物と水とを配合し、さらに必要に応じてベンゾトリアゾール化合物、糖、極性溶媒、および消泡剤よりなる群から少なくとも一種とを配合し、混合することにより得られる。この際、水を除く各成分は、水に溶解するようにすることが好ましい。
次に、本発明の放電加工方法について説明する。本発明の放電加工方法は、前記放電加工液組成物を含む液中で放電加工を行うことを特徴とする。本発明の放電加工方法は、絶縁媒体として前記放電加工液組成物を含む液を用いる以外は、従来公知の放電加工方法を採用できる。すなわち、前記放電加工液組成物を含む液中、加工電極と導電性の被加工物の間で高周波電圧を印加して金属を溶融除去することによって、形彫り、開孔、切断等を行なえばよい。放電加工を行う際、放電加工液組成物はそのまま放電加工液として用い、当該放電加工液組成物中で放電加工を行うことが好ましい。本発明の放電加工方法によれば、放電加工において、加工対象である金属の発錆を防ぐことが容易となる。
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(1)放電加工液組成物の作製
表1に示すように、各試薬を所定の比率で配合し、各成分を水に溶解し、放電加工液組成物を得た。表1中、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、およびグルタル酸イミドは、イミド化合物に相当し、D−ソルビトールは糖に相当し、ベンゾトリアゾールはベンゾトリアゾール化合物に相当し、N−メチル−2−ピロリドンは極性溶媒に相当する。なお、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンは、従来、放電加工液組成物に用いられる成分として、比較対象として用いた。
各試薬について、マレイン酸イミドとグルタル酸イミドは東京化成工業社から販売されているものを用い、ベンゾトリアゾールはキレスト社製「C.V.I.」を用い、シリコン系消泡剤は信越化学工業社製「KM−73A」を用い、それ以外は関東化学株式会社から販売されているものを用いた。
(2)試験方法
(2−1)導電率の測定
各放電加工液組成物の導電率を、導電率計EC Testr11+(アズワン社製)を用いて測定した。測定結果は表1に示した。
(2−2)防錆試験
500mLビーカーに、上記(1)で得られた各放電加工液組成物を400mL入れ、そこに試験片(SPCC:冷間圧延鋼板、#240研磨、60mm×80mm×1.2mm)を浸漬し、25℃で48時間放置した後、試験片のさび発生状況を観察した。試験片の作製と試験片のさび発生状況に基づくさび発生度の評価は、JIS K 2246:2007に基づいて行った。さび発生度の評価は、下記基準に従い、評価結果を表1に示した。
A:さび発生度が0%
B:さび発生度が1%〜10%
C:さび発生度が11%〜25%
D:さび発生度が26%〜50%
E:さび発生度が51%〜100%
(2−3)イオン交換樹脂通液試験
500mLビーカーに放電加工液組成物500mLを入れ、放電加工液組成物をスターラーで攪拌しながら、循環ポンプを用いて、放電加工液組成物を強酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR120B、オルガノ社製)15mLを充填したカラムと強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA400、オルガノ社製)15mLを充填したカラムとに通液し、ビーカーとカラム間を循環させた。試験で使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、骨格としてポリスチレンを、官能基としてスルホン酸基を有し、試験で使用した強塩基性陰イオン交換樹脂は、骨格としてポリスチレンを、官能基としてトリメチルアンモニウム基を有していた。放電加工液組成物は、25℃で、15mL/分の流速で、カラムに通液した。なお、通液開始時、カラムおよびカラムに接続されたチューブ中には、脱イオン水が50mL残留していた。
イオン交換樹脂通液試験は、放電加工液組成物No.4(コハク酸イミドとD−ソルビトールとを含有)、放電加工液組成物No.12(コハク酸イミドとD−ソルビトールとベンゾトリアゾールとを含有)、放電加工液組成物No.17(D−ソルビトールとベンゾトリアゾールとを含有)を各々単独で通液する試験と、放電加工液組成物No.4を通液後、同じイオン交換樹脂に放電加工液組成物No.17を通液する試験とを行った。通液開始から、0分、30分、60分、120分、180分、および240分後に、ビーカー中の放電加工液組成物のコハク酸イミド、D−ソルビトール、および/またはベンゾトリアゾールの各濃度を測定した。コハク酸イミドとD−ソルビトールは、液体クロマトグラフィー(Shodex、昭和電工社製、検出器:RI示差屈折率計)を用いて測定し、ベンゾトリアゾールは、紫外可視分光光度計(V−630、日本分光社製、検出波長:265nm)を用いて測定した。各成分の0分における濃度を100%として、各経過時間における各成分の残存率を算出し、その結果を表2および表3に示した。
(3)試験結果
(3−1)防錆試験および導電率
放電加工液組成物No.1〜12は、いずれもイミド化合物を含有しており、防錆試験ではいずれもC以上のさび発生度の評価となり、十分な防錆効果を有していた。また、放電加工液組成物No.1〜12は、導電率がいずれも20μS/cm以下と低い値であり、放電加工に使用可能であることが分かった。
放電加工液組成物No.1は、イミド化合物を0.05質量%含有し、さび発生度はC評価であった。さらにイミド化合物含有量を高めた放電加工液組成物No.2では、さび発生度はB評価に改善した。
イミド化合物とD−ソルビトールとを含む放電加工液組成物No.4〜6では、さび発生度はAまたはB評価となり、イミド化合物のみを同量で含む放電加工液組成物No.1よりも防錆効果が向上した。これに対し、イミド化合物を含有せず、D−ソルビトールを0.2質量%含有する放電加工液組成物No.13では、さび発生度はE評価となった。
イミド化合物とベンゾトリアゾールとを含む放電加工液組成物No.7では、さび発生度はB評価となり、イミド化合物のみを同量で含む放電加工液組成物No.1よりも防錆効果が向上した。これに対し、イミド化合物を含有せず、ベンゾトリアゾールを含有する放電加工液組成物No.14〜16では、放電加工液組成物No.7よりもベンゾトリアゾール配合量を増やしても、さび発生度はDまたはE評価であった。
イミド化合物に加え、D−ソルビトールとベンゾトリアゾールとを配合した放電加工液組成物No.8〜12では、より少量のイミド化合物配合量でも、さび発生度はC評価以上となり、十分な防錆効果が得られた。放電加工液組成物No.8〜10は、D−ソルビトールとベンゾトリアゾールとを含有する放電加工液組成物No.17に比べ、防錆効果が改善した。また、放電加工液組成物No.8〜10では、イミド化合物の配合量が増加するに伴い、防錆効果が向上した。
放電加工液組成物No.18は、特許文献3に記載の防錆成分として使用されている1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンを含有していたが、さび発生度はE評価であり、防錆効果は不十分であった。また、脱イオン水で防錆試験を行った放電加工液組成物No.19では、浸漬後10分で点さびが発生し始め、さび発生度はE評価となった。
(3−2)イオン交換樹脂通液試験
放電加工液組成物No.4(コハク酸イミドとD−ソルビトールを含有)と放電加工液組成物No.17(D−ソルビトールとベンゾトリアゾールとを含有)とを比較すると、コハク酸イミドはベンゾトリアゾールよりイオン交換樹脂に吸着されにくい結果となった。放電加工液組成物No.4(コハク酸イミドとD−ソルビトールを含有)と放電加工液組成物No.12(コハク酸イミドとD−ソルビトールとベンゾトリアゾールとを含有)とを比較すると、ベンゾトリアゾールが共存することで、コハク酸イミドのイオン交換樹脂への吸着が抑えられる結果となった。放電加工液組成物No.4を通液後、同じイオン交換樹脂に放電加工液組成物No.17を通液した場合、ベンゾトリアゾールがイオン交換樹脂に吸着されてビーカー中のベンゾトリアゾール濃度が低下するに従い、コハク酸イミドがイオン交換樹脂から溶出することが確認された。これらの結果より、ベンゾトリアゾールは、イミド化合物のイオン交換樹脂への吸着を防ぐ犠牲薬剤としての効果を有していることが分かった。
本発明の放電加工液組成物は、放電加工に使用することができる。また、本発明の放電加工方法は、放電加工に適用することができる。

Claims (7)

  1. イミド化合物と水とを含有することを特徴とする放電加工液組成物。
  2. 前記イミド化合物が、下記式(1)で示されるイミド化合物である請求項1に記載の放電加工液組成物。

    [式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基、またはフェニレン基を表す。]
  3. さらに、ベンゾトリアゾール化合物を含む請求項1または2に記載の放電加工液組成物。
  4. 前記イミド化合物を、0.001質量%以上1.0質量%以下含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の放電加工液組成物。
  5. 前記イミド化合物が、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、グルタル酸イミド、およびフタル酸イミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の放電加工液組成物。
  6. さらに、糖を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の放電加工液組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の放電加工液組成物を含む液中で放電加工を行うことを特徴とする放電加工方法。
JP2009022881A 2009-02-03 2009-02-03 放電加工液組成物および放電加工方法 Expired - Fee Related JP5927395B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009022881A JP5927395B2 (ja) 2009-02-03 2009-02-03 放電加工液組成物および放電加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009022881A JP5927395B2 (ja) 2009-02-03 2009-02-03 放電加工液組成物および放電加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010179381A true JP2010179381A (ja) 2010-08-19
JP5927395B2 JP5927395B2 (ja) 2016-06-01

Family

ID=42761318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009022881A Expired - Fee Related JP5927395B2 (ja) 2009-02-03 2009-02-03 放電加工液組成物および放電加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5927395B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014043625A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Chubu Kiresuto Kk 防錆剤組成物および水性防錆潤滑剤、並びにこれを用いた金属材の加工法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04193419A (ja) * 1990-11-28 1992-07-13 Yushiro Chem Ind Co Ltd 改良された水溶液系放電加工液
JPH04250921A (ja) * 1990-12-28 1992-09-07 Mitsubishi Electric Corp 水溶液系放電加工液
JPH06170647A (ja) * 1992-10-13 1994-06-21 Nobuyuki Takahashi 粉末濃縮分散液状物および粉末分散放電加工液
JP2003514063A (ja) * 1999-10-29 2003-04-15 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト ジカルボン酸、モリブデン酸塩およびトリアゾールまたはチアゾールを基礎とする凍結防止剤濃縮物ならびにこの凍結防止剤濃縮物を含有する冷媒組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04193419A (ja) * 1990-11-28 1992-07-13 Yushiro Chem Ind Co Ltd 改良された水溶液系放電加工液
JPH04250921A (ja) * 1990-12-28 1992-09-07 Mitsubishi Electric Corp 水溶液系放電加工液
JPH06170647A (ja) * 1992-10-13 1994-06-21 Nobuyuki Takahashi 粉末濃縮分散液状物および粉末分散放電加工液
JP2003514063A (ja) * 1999-10-29 2003-04-15 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト ジカルボン酸、モリブデン酸塩およびトリアゾールまたはチアゾールを基礎とする凍結防止剤濃縮物ならびにこの凍結防止剤濃縮物を含有する冷媒組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014043625A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Chubu Kiresuto Kk 防錆剤組成物および水性防錆潤滑剤、並びにこれを用いた金属材の加工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5927395B2 (ja) 2016-06-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2909465T3 (es) Composiciones de limpieza de metales que incluyen un disolvente de cloro-fluoro-alqueno y su método
EP0112756B1 (fr) Procédé de traitement de fluides aqueux en vue de réduire la corrosion des métaux en leur contact
Andreani et al. Study of corrosion inhibition for mild steel in hydrochloric acid solution by limbarda crithmoides (l.) Essential oil of corsica
EP3676423A1 (fr) Inhibiteurs de corrosion métallique
CN100419054C (zh) 一种电子设备清洗剂
JP5927395B2 (ja) 放電加工液組成物および放電加工方法
EP2352812B1 (en) Gluconic acid containing photoresist cleaning composition for multi-metal device processing
WO1998050517A1 (en) Environmentally-safe solvent compositions utilizing 1-bromopropane that are stabilized, non-flammable, and have desired solvency characteristics
WO2014058402A2 (en) Liquid cip (clean-in-place) detergent combinations
WO1995028373A1 (fr) Composition azeotrope
CN103590045A (zh) 抑制镁合金腐蚀的有机缓蚀剂及其在汽车冷却液或腐蚀水溶液中的应用方法
WO2013099891A1 (ja) 水性洗浄剤
KR101161508B1 (ko) 비인화성 세정 조성물
JPH04211500A (ja) 共沸溶剤組成物
RU2303083C1 (ru) Ингибитор коррозии для низкозамерзающих жидкостей
JP2005525491A (ja) フタル酸モノアミドのアンモニウム塩を含有するエンジンのならし運転段階のための水性冷却液
EP1956074B1 (en) n-PROPYL BROMIDE COMPOSITION
FR2792647A1 (fr) COMPOSITIONS DE NETTOYAGE OU DE SECHAGE A BASE DE F365 mfc, CH2CL2, CH3OH ET 43-10mee
EP3058047B1 (en) N-alkyl-n'-poly(oxyalkyl)hexahydropyrimidine-quaternary ammonium salts and the use thereof as corrosion inhibitors
JP6232407B2 (ja) 水性洗浄剤
KR102558848B1 (ko) 친환경 금속 세정제
JPH04250921A (ja) 水溶液系放電加工液
CN114292713A (zh) 一种环保工业清洗剂及其制备方法、应用
WO2018012581A1 (ja) 洗浄用溶剤組成物
JPS6137253B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20131220

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140311

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151016

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5927395

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees