JP2010179289A - 高圧処理方法および高圧処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で高圧処理を行った後に、短時間で減圧ができ、しかも高い回収率で二酸化炭素を回収することのできる高圧処理方法を提供する。
【解決手段】高圧処理チャンバー内で被処理体と高圧二酸化炭素とを接触させることで被処理体の高圧処理を行った後、上記チャンバー内を大気圧まで減圧する高圧処理方法において、上記チャンバーの下流に二酸化炭素の回収容器を配設すると共に、上記チャンバー内の高圧二酸化炭素を上記回収容器の内圧を上昇させながらガス状を含む二酸化炭素として受け入れ、このガス状二酸化炭素を液化して回収する工程を含むことを特徴とする高圧処理方法である。
【選択図】図1
【解決手段】高圧処理チャンバー内で被処理体と高圧二酸化炭素とを接触させることで被処理体の高圧処理を行った後、上記チャンバー内を大気圧まで減圧する高圧処理方法において、上記チャンバーの下流に二酸化炭素の回収容器を配設すると共に、上記チャンバー内の高圧二酸化炭素を上記回収容器の内圧を上昇させながらガス状を含む二酸化炭素として受け入れ、このガス状二酸化炭素を液化して回収する工程を含むことを特徴とする高圧処理方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、超臨界状態あるいは亜臨界状態の二酸化炭素を用いて様々な高圧処理が行われた後の減圧工程において、特に短時間で減圧を行う際に、二酸化炭素を高い回収率で回収することのできる高圧処理方法に関するものである。
本願発明者等は、超臨界二酸化炭素を用いた高圧処理について、古くから検討を行っている(例えば、特許文献1等)。この特許文献1に記載の発明は、超臨界二酸化炭素を用いて、原料物質から有用物質を抽出するための装置についてのものである。
ところで、近年、地球温暖化現象に歯止めを掛けるため、温室効果ガスの排出量削減が必須となっており、我が国でも国を挙げて温暖化防止に取り組んでいる。従って、二酸化炭素を用いた高圧処理を行う場合にも、人体等に無害だからという理由で大気中に放出していた二酸化炭素を、なるべく多量に回収してリユースする必要がある。
前記特許文献1においても二酸化炭素は循環使用されている([0045]等)。しかし、バッチ処理が終了して抽出器(高圧処理チャンバー)をオープンする際に抽出器中に残存している二酸化炭素の回収方法については記載がないが、[0032]に記載のように、分離器等の圧力を50〜70kg/cm2の範囲内で一定に制御して回収しており、特に短時間で減圧する際に、高い回収率は期待できない。
高圧処理方法の効率化のため、高圧処理チャンバーの容量は大型化する傾向にあり、使用される二酸化炭素量も増大していることから、前記特許文献1が出願された頃よりも二酸化炭素の回収率向上の必要性が高まっている。また、減圧工程に時間を掛ければ回収率を高めることは可能であるが、処理効率を高めるには、減圧工程を速やかに行いつつ、二酸化炭素の回収率も高める技術が求められている。
こういった観点から、例えば特許文献2には、洗浄槽(高圧処理チャンバー)の内部を減圧して、洗浄溶媒を気液混合状態とする技術が示されている。しかし、この技術では洗浄槽を減圧するのに仕切り弁を開けているため、ここから大量の洗浄溶媒が大気中に放出されていると考えられる。従って、短時間減圧といった要求に応えられても、二酸化炭素の排出の抑制や回収率の向上、という点では不充分である。
また、特許文献3には、二酸化炭素の回収に着目した技術が示されている。この技術は、二酸化炭素の一部を循環使用するためのラインへと導出し、その後、洗浄槽(高圧処理チャンバー)と回収炭酸ガスボンベの内圧を平衡させることで、二酸化炭素の一部を回収し、最後に残部を大気中に放出するというものである。しかし、洗浄槽と回収炭酸ガスボンベを均圧することによって回収しているだけなので、結局、二酸化炭素の回収量を決めるのは回収炭酸ガスボンベの容量ということになり、常識的なボンベの大きさを考えれば、大量の二酸化炭素を回収できるとは考えられない。また、この技術では、減圧の短時間化については考慮されていない。
近年、樹脂成形体の発泡に高圧流体を用いる技術が開発されてきている(例えば特許文献4)。この技術は、圧力容器内にフィルム等の熱可塑性ポリマーを入れ、超臨界二酸化炭素でフィルムの表層を膨潤(フィルムの内部へ二酸化炭素を含浸させる)させた後、急速に圧力容器の圧力を解除して、含浸した二酸化炭素を断熱膨張させることでフィルムを発泡させるというものである。この技術においては、数秒程度で一気に減圧することが必要であるが、具体的な減圧方法や回収方法は記載されていない。
上記技術を具体化するには、処理に用いた二酸化炭素を全て大気中に放出すればよいが、前記したように、温室効果ガスである二酸化炭素はできるだけ回収する必要がある。しかしながら、これまで説明してきたように、短時間で減圧ができ、しかも高い回収率で二酸化炭素を回収できる方法は、今までなかった。
本発明では、上記の事情を考慮して、超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で高圧処理を行った後に、短時間で減圧ができ、しかも高い回収率で二酸化炭素を回収することのできる高圧処理方法の提供を課題とした。
本発明の高圧処理方法は、高圧処理チャンバー内で被処理体と高圧二酸化炭素とを接触させることで被処理体の高圧処理を行った後、上記チャンバー内を大気圧まで減圧する高圧処理方法において、上記チャンバーの下流に二酸化炭素の回収容器を配設すると共に、上記チャンバー内の高圧二酸化炭素を上記回収容器の内圧を上昇させながらガス状を含む二酸化炭素として受け入れ、このガス状二酸化炭素を液化して回収する工程を含むことを特徴とする。
上記高圧処理チャンバーからガス状を含む二酸化炭素を受け入れる前に、予め、上記回収容器内に液化二酸化炭素を入れておき、この液化二酸化炭素と、回収容器に導入されてくるガス状を含む二酸化炭素とを、直接、気液接触させることにより、ガス状二酸化炭素を液化する態様と、上記回収容器に受け入れられたガス状を含む二酸化炭素を、回収容器の下流の凝縮器で液化する態様の、いずれも採用可能である。また、上記回収容器に予め吸着剤を充填しておくと、回収容器を減容できるため好ましい。
本発明には、少なくとも、二酸化炭素供給手段と、高圧処理チャンバーと、二酸化炭素回収容器とを備え、この二酸化炭素回収容器は、高圧処理チャンバーの下流に配設されていることを特徴とする高圧処理装置も含まれる。
本発明の高圧処理方法では、高圧処理に用いられる二酸化炭素を高い回収率で回収することができるようになった。また、短時間での減圧も可能にしたので、高圧処理自体の効率を上げることにも成功した。
以下、本発明の高圧処理方法を図面を参照しながら説明する。図1には、本発明法を実施するための装置図の一例を示した。この例では、高圧処理チャンバー(以下単にチャンバーということがある)は、1と2の2機が配置されている。例えばチャンバー1において高圧処理を行う際には、まず、チャンバー1を開放して被処理体を入れ、密封する。液化CO2貯槽5に貯えられているCO2を、必要に応じて冷却器6で冷却した後、ポンプ7で加圧し、加熱器8で加熱してから、開放状態の遮断弁9を通して、チャンバー1へ導入する。ポンプ7と加熱器8でチャンバー1内の高圧流体を所定の温度および圧力へと、昇温・昇圧する。
高圧処理工程では、高密度、高溶解性、低粘度、高拡散性を示す超臨界状態または亜臨界状態の二酸化炭素を用いることが好ましい。二酸化炭素を使用する場合の高圧処理条件は、高圧処理の目的や被処理体の種類によって適宜変更可能であるが、二酸化炭素は31℃、7.4MPa(ゲージ圧;以下同じ)以上とすることで超臨界状態となるので、5〜80MPaの亜臨界または超臨界二酸化炭素として用いることが好ましく、7.4MPa以上で高圧処理を行うことがより好ましい。
高圧処理温度は、高圧処理の目的に応じる点に加えて、被処理体の耐熱温度や熱可塑性樹脂であるか熱硬化後の樹脂であるか等を考慮して設定すべきであり、25〜300℃が好ましい。高圧処理工程には、チャンバーを密封状態とした後、チャンバーへのCO2の導入およびチャンバーからのCO2の導出を行わないバッチ処理や、チャンバーへのCO2の導入およびチャンバーからのCO2の流体の導出を行う流通処理があるが、いずれも採用可能である。樹脂フィルムにCO2を含浸させて、その後の断熱膨張により発泡させる場合はバッチ処理が好ましく、含浸時間も特に限定されないが、20分〜10時間程度が好ましい。
高圧処理後は、減圧工程を行う。本発明法での減圧は、樹脂フィルムを発泡させるため、チャンバー1内においては断熱膨張工程とする。また、CO2の回収率を高めるため、チャンバー1内で気液混合状態となるのは避ける。よって、遮断弁9を閉じ、遮断弁13を開け、圧力制御弁15を制御して、チャンバー1の直ぐ下流に配設された回収容器3に、CO2を受け入れる。ここで、回収容器に導入されるCO2は、高圧処理時の条件によって、ガス状のみの場合と、ガス状と液状との気液混合状態の場合と、ガス状が一部で液状の方が多い気液混合状態の場合とがある。すなわち、断熱膨張工程を行う時に気液平衡曲線を横切らない場合(高圧処理が高温で行われる場合)はガス状のみとなり、気液平衡曲線を横切る場合(高圧処理が中・低温で行われる場合)は気液混合状態となる。本発明では、液状のみのCO2を受け入れることはなく、ガス状を必ず含むCO2として受け入れる。
受け入れ前の回収容器3は、大気圧(0MPa;ゲージ圧)としておくことが好ましい。CO2の受入量が増大するにつれて、回収容器3の内圧は上昇していく。回収容器3の内圧が3〜4MPa程度になるように、回収容器3の大きさを調整することが好ましい。また、減圧速度は1〜30MPa/秒とする。なお、この実施形態におけるチャンバーの「直ぐ下流」とは、チャンバー1と回収容器3との間には、遮断弁や圧力制御弁以外の、凝縮器や圧縮機等、チャンバーから排出されるガス状を含むCO2に何らかの作用を与える機器等は配設していないという意味であり、チャンバー1と回収容器3とを物理的に近い位置に配置するという意味ではない。
例えば、30MPa、150℃、682リットル(338kg)のCO2を用いて高圧処理を行った場合、回収容器の大きさが682リットルであれば50%のCO2しか回収できず、チャンバー内は12MPaにしかならない。回収容器3を例えば4700リットルにすれば、チャンバー1内を3MPaにすることができ、CO2は87%(294kg)回収可能である。回収容器3の容積は、大きければ大きいほど、大量のCO2を回収できるが、現実的には、チャンバー1の容積の7倍程度にとどめておくことが好ましい。チャンバー1内を3MPaに減圧する際に、6秒で減圧を行ったとすると、減圧速度は4.5MPa/秒となる。回収容器3の内圧は3MPaまで上がり、チャンバー1内には44kgのCO2が残る。回収容器3でCO2を回収した(一次回収工程)後は、例えば、切換弁10を開いて、同容積のチャンバー1と2とを均圧すれば、残存CO2の1/2をさらに回収(二次回収)することができる。チャンバー2には均圧処理前に予め被処理体を入れておくことが好ましく、回収したCO2を、チャンバー2で高圧処理を行う際のCO2の一部として使用することができる。均圧処理によって回収率は93%にまで上昇する。チャンバー1内の残りのCO2は、大気放出弁14を開けて大気に放出する。なお、大気放出弁14の下流に図示しない他のチャンバー等を接続して、CO2をさらに回収してもよい。
回収容器3は、次の高圧処理工程における回収に備えて大気圧程度にまで減圧する必要があるので、一次回収工程後は、回収容器3内のCO2を遮断弁16を開けて凝縮器4に導入し、液化して、CO2貯槽5に貯える。凝縮器4およびCO2貯槽5は、回収容器3よりも低圧の2〜3MPa程度にしておくと、圧力差によって回収容器3内のCO2を容易に凝縮器4へ導入することができる。回収容器3のCO2が3〜4MPaよりも低圧の場合は、圧縮機17を用いて昇圧して、凝縮器4へと導入すればよい。なお、18は液化CO2貯槽、19は液化CO2用ポンプ、20は熱交換器であり、CO2貯槽5のCO2が少なくなってきたときにCO2を補充するための手段である。
また、回収容器3内に、CO2を吸着することのできる吸着剤を充填しておいてもよい。これにより、回収容器3の容積を小さくすることができ、例えば4700リットルから2600リットルへと低減できる。CO2を吸着することのできる吸着剤としては、活性炭、合成ゼオライト等が挙げられる。中でも、活性炭が好ましい。活性炭は、CO2を吸着すると共に、その細孔空隙にCO2が圧縮装填されるため、吸着効率に優れているからである。CO2を吸着した吸着剤からCO2を取り出すには、例えば圧力を下げたり、温度を上げる等の方法がある。
本発明の高圧処理方法の別の実施形態を図2を用いて説明する。この装置例では、液化CO2貯槽18は、液化CO2用ポンプ19と、熱交換器20とを介して、回収容器3につながっている。高圧処理後の減圧工程に先立ち、液化CO2用ポンプ19を用いて、液化CO2貯槽18から、冷却された液化CO2を回収容器3に入れておく。回収容器3へ入れておく液化CO2の量は、チャンバー1を所定圧力のCO2で満たした後の量として、チャンバー1内のCO2の質量の2〜4倍程度が好ましい。回収容器3の容積は、回収するCO2の量および予め入れておく液化CO2の量を勘案して、チャンバー1の容量の2倍〜10倍程度が好ましい。液化CO2の圧力は2〜3MPa程度、温度は、−20〜−5℃程度とする。なお、減圧直後のガス状を含むCO2の圧力に応じて、液化に必要な温度が一義的に決まる。熱交換器20は回収容器3に導入する液化CO2の温度を調整するためのものである。
高圧処理後、遮断弁13を開け、圧力制御弁15を制御して、回収容器3の底部からガス状のCO2を導入する。30MPa、150℃のCO2を2MPaまで減圧すると、減圧直後は27℃のガス状CO2となる。回収容器3には、既に液化CO2が入っているので、回収容器3の底部から導入されたガス状CO2と液化CO2が気液接触し、ガス状CO2が冷却されて液化CO2となる。この結果、液化した分だけ回収容器3内部の液化CO2量が増加し、回収容器3内部の圧力も若干上昇する。
チャンバー1内の圧力が5MPa程度になったら、一次回収工程を終了する。一次回収工程終了後は、前記した場合と同様に、チャンバー1と2を均圧させて、二次回収を行うことが好ましい。二次回収後は、チャンバー1内の残存CO2を大気に放出するか、さらに別の容器を用いて排出・回収を行うか、図示しない圧縮機によって昇圧して回収容器3に回収するか、いずれでもよい。
30MPa、150℃、682リットル(338kg)のCO2を用いて高圧処理を行い、チャンバー1内の圧力が5MPaになるまで減圧を行う場合、例えば、5秒で減圧すれば、減圧速度は5MPa/秒となる。回収容器3に回収されたCO2は267kgとなり、回収率は79%である。回収容器3に予め1100kg、2MPaの液化CO2を入れておけば、一次回収後の回収容器3の圧力は4.4MPaとなり、液化CO2の量は1367kgとなる。二次回収の均圧処理によって、さらに34kg回収できるので、二次回収までの回収率は89%となる。
図2の装置例では、回収容器3は、液化CO2の貯槽も兼ねている。回収工程終了後にチャンバー1または2で新たな高圧処理を行う場合は、回収容器3から、ポンプ7を用いて、加熱器8で加熱されたCO2をチャンバー1または2へと導入する。新たな回収工程のため、回収容器3の圧力は、冷媒等を使用して2〜3MPa程度まで下げておく。すなわち、冷媒を冷却器6に供給し、冷却されたCO2をポンプ7を用いて、遮断弁21を介して回収容器3へと送り、再び回収容器内のCO2を冷却器6へと送り、というように液化CO2を循環させることで回収容器内のCO2を次第に冷却してやれば、結果的に回収容器3内の圧力を下げることができる。
なお、加熱器8を配設せずに、チャンバー1や2そのもの、またはその近傍に加熱手段を付設し、チャンバー1や2内で行われる各工程に適した温度にそれぞれ加熱する構成としてもよい。また、回収圧力等も、上記した例には限定されず、適宜設定変更することができる。その他、この分野において、高圧処理が可能な装置に対して通常配設される公知の装置や手段の付加(例えば、チャンバーに被処理体を装入・取り出すためのロボット装置等)は、本発明の範囲内とする。
次に高圧処理の対象および高圧処理の具体例について説明する。本発明の高圧処理方法における高圧処理とは、樹脂成形体等の被処理体を発泡させるために、被処理体に二酸化炭素を含浸させる処理である。なお、本発明法を含浸処理以外の高圧処理の減圧に用いてもよい。
樹脂成形体としては、プラスチック(公知の各種樹脂)の他、ゴム、熱可塑性エラストマーが用いられる。その形態は、各種形状をした成形品そのままの形状(例えば、フィルム状、板状、塊状、容器状等)が好ましい。また、フィルム状の被処理物をロール状に巻き取ったものでもよい。上記被処理体の厚みや大きさは、特に限定されない。
プラスチックとしては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂等のハロゲン含有樹脂等の汎用熱可塑性樹脂;液晶ポリマー等の特殊樹脂;ポリアセタール、ポリカーボネート、脂肪族または芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリングプラスチック等が使用可能である。また、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、オリゴアクリレート等の成形材料として公知の硬化性樹脂の硬化体を用いることもできる。
ゴムとしては、例えば、天然ゴムやSBR、NBR、EPM、EPDM等の合成ゴムが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、SEPS等のスチレン系エラストマーの他、オレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系等公知の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明に包含される。
実施例1
ポリエチレンフィルムにCO2を含浸させ、その後の減圧工程で発泡させるために、超臨界CO2による高圧処理を行った。ポリエチレンフィルムは、0.3mm厚で、巾1.25m、長さ500mであり、これを0.3mmの隙間を空けてロール状に巻回したもの2本を被処理体とした。フィルム容積はCO2が15質量%含浸した状態で、187.5リットル/本となる。
ポリエチレンフィルムにCO2を含浸させ、その後の減圧工程で発泡させるために、超臨界CO2による高圧処理を行った。ポリエチレンフィルムは、0.3mm厚で、巾1.25m、長さ500mであり、これを0.3mmの隙間を空けてロール状に巻回したもの2本を被処理体とした。フィルム容積はCO2が15質量%含浸した状態で、187.5リットル/本となる。
図1に示した装置を用い、予め150℃に加温したポリエチレンフィルムロール2本を容量1m3のチャンバー1に入れた後、チャンバー1を密封した。遮断弁9を開け、液化CO2貯槽5に貯えられたCO2をポンプ7を用いて、加熱器8で150℃に加熱しながら、チャンバー1に682リットル(338kg)導入し、チャンバー1の内圧を30MPaとした。遮断弁9を閉め、このまま、2時間放置し、高圧処理を行った。
その後、断熱膨張による減圧工程を行った。遮断弁13と圧力制御弁15を開け、容積4700リットルの大気圧(0MPa)の回収容器3へ、チャンバー1の内圧が3MPaになるまで、ガス状CO2を導入した。この減圧は6秒で行ったので、減圧速度は4.5MPa/秒であった。回収容器3に回収されたガス状CO2の量は294kg(回収率87%)、回収容器3の内圧は3MPaとなった。ガス状CO2の密度は62kg/m3であった。チャンバー1の内圧が3MPaになった段階で、遮断弁13と圧力制御弁15を閉め、切換弁10を開にし、チャンバー1とチャンバー2(大気圧;容量1m3)とを連結した。両チャンバー1,2共、1.5MPaとなり、チャンバー1に残存していたCO2の半分がチャンバー2へ移動した。チャンバー1内のCO2は、大気放出弁14を開けて大気に放出した。ポリエチレンフィルムは、きれいに発泡していた。チャンバー2のCO2は、次の高圧処理に用いた。全体としての回収率は93%であった。
また、回収容器3に回収されたガス状CO2は、遮断弁16を開けて2MPaに調整された凝縮器4に導入し、液化して、CO2貯槽5に貯えた。
上記の4700リットルの回収容器3に変えて、2600リットルの回収容器を用い、この回収容器内に活性炭を充填した装置で、上記と同様の回収実験を行ったところ、上記と同様の結果が得られ、活性炭充填効果で回収容器の容量を小さくできることが確認された。
実施例2
図2に示した装置を用いて、容量1m3のチャンバー1で実施例1と同様の高圧処理を行った。減圧に先立ち、液化CO2用ポンプ19を用いて、液化CO2貯槽18から−20℃に冷却された液化CO2を回収容器3に1100kg入れた。回収容器3の容積は1800リットルであり、内圧は2MPaとした。高圧処理後、遮断弁13を開け、圧力制御弁15を制御して、回収容器3の底部からガス状のCO2を導入した。30MPa、150℃のCO2を2MPaまで減圧するので、減圧直後は27℃のガス状CO2となった。回収容器3の底部から導入されたガス状CO2は、液化CO2と気液接触し、冷却されて液化CO2となった。減圧開始から5秒後にチャンバー1内の圧力が5MPaになったので、遮断弁13と圧力制御弁15を閉めて、一次回収を終えた。減圧速度は5MPa/秒、回収されたCO2量は267kg(回収率79%)、回収後の回収容器3内部の圧力は4.4MPaであった。
図2に示した装置を用いて、容量1m3のチャンバー1で実施例1と同様の高圧処理を行った。減圧に先立ち、液化CO2用ポンプ19を用いて、液化CO2貯槽18から−20℃に冷却された液化CO2を回収容器3に1100kg入れた。回収容器3の容積は1800リットルであり、内圧は2MPaとした。高圧処理後、遮断弁13を開け、圧力制御弁15を制御して、回収容器3の底部からガス状のCO2を導入した。30MPa、150℃のCO2を2MPaまで減圧するので、減圧直後は27℃のガス状CO2となった。回収容器3の底部から導入されたガス状CO2は、液化CO2と気液接触し、冷却されて液化CO2となった。減圧開始から5秒後にチャンバー1内の圧力が5MPaになったので、遮断弁13と圧力制御弁15を閉めて、一次回収を終えた。減圧速度は5MPa/秒、回収されたCO2量は267kg(回収率79%)、回収後の回収容器3内部の圧力は4.4MPaであった。
続いて、切換弁10を開にし、チャンバー1とチャンバー2(大気圧;容量1m3)とを連結した。両チャンバー1,2共、2.5MPaとなり、チャンバー1に残存していたCO2の半分がチャンバー2へ移動した。チャンバー1内のCO2は、大気放出弁14を開けて大気に放出した。ポリエチレンフィルムは、きれいに発泡していた。チャンバー2のCO2は、次の高圧処理に用いた。全体としての回収率は89%であった。
本発明は、高圧処理後に急速減圧を行う方法であり、樹脂成形体等の被処理体に超臨界二酸化炭素を含浸させた後、二酸化炭素の断熱膨張を利用して、被処理体を発泡させる処理や、その他の高圧処理に適している。
1,2 チャンバー
3 回収容器
4 凝縮器
5 CO2貯槽
6 冷却器
7 ポンプ
8 加熱器
9,11,12,13,16,21 遮断弁
10 切換弁
14 大気放出弁
15 圧力制御弁
17 圧縮機
18 液化CO2貯槽
19 液化CO2用ポンプ
20 熱交換器
3 回収容器
4 凝縮器
5 CO2貯槽
6 冷却器
7 ポンプ
8 加熱器
9,11,12,13,16,21 遮断弁
10 切換弁
14 大気放出弁
15 圧力制御弁
17 圧縮機
18 液化CO2貯槽
19 液化CO2用ポンプ
20 熱交換器
Claims (5)
- 高圧処理チャンバー内で被処理体と高圧二酸化炭素とを接触させることで被処理体の高圧処理を行った後、上記チャンバー内を大気圧まで減圧する高圧処理方法において、上記チャンバーの下流に二酸化炭素の回収容器を配設すると共に、上記チャンバー内の高圧二酸化炭素を上記回収容器の内圧を上昇させながらガス状を含む二酸化炭素として受け入れ、このガス状二酸化炭素を液化して回収する工程を含むことを特徴とする高圧処理方法。
- 上記高圧処理チャンバーからガス状を含む二酸化炭素を受け入れる前に、予め、上記回収容器内に液化二酸化炭素を入れておき、この液化二酸化炭素と、回収容器に導入されてくるガス状を含む二酸化炭素とを、直接、気液接触させることにより、ガス状二酸化炭素を液化するものである請求項1に記載の高圧処理方法。
- 上記回収容器に受け入れられたガス状を含む二酸化炭素を、回収容器の下流の凝縮器で液化するものである請求項1に記載の高圧処理方法。
- 上記回収容器に予め吸着剤を充填しておく請求項1に記載の高圧処理方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の高圧処理方法を実施するための装置であって、少なくとも、二酸化炭素供給手段と、高圧処理チャンバーと、二酸化炭素回収容器とを備え、この二酸化炭素回収容器は、高圧処理チャンバーの下流に配設されていることを特徴とする高圧処理装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010248337A (ja) * | 2009-04-14 | 2010-11-04 | Kao Corp | 発泡体の製造方法 |
JP2013213198A (ja) * | 2012-03-09 | 2013-10-17 | Nitto Denko Corp | 多孔質樹脂シート及びその製造方法 |
JP2015075150A (ja) * | 2013-10-08 | 2015-04-20 | 日本ドライケミカル株式会社 | 液化炭酸ガス回収方法 |
-
2009
- 2009-02-09 JP JP2009027842A patent/JP2010179289A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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