JP4107631B2 - 濃縮オゾン製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温の熱媒体供給系から供給される低温熱媒体と前記低温より十分高い高温の熱媒体供給系から供給される高温熱媒体とによって保有体に入れられた吸着剤の冷却と加熱とを交互に行ってオゾン供給系から前記吸着剤に供給されるオゾンの吸着と脱着とを交互に行ってオゾン排出系から前記オゾンを排出させて前記脱着時に濃縮された濃縮オゾンを得るようにした濃縮オゾン製造装置に関し、特に濃度500〜1000g/m3 程度の超高濃度オゾンを安全に製造し、これによって電子部品の有機汚染物やフォトレジストを強力に分解したり剥離させる技術に好都合に利用される。
【0002】
【従来の技術】
例えば電子部品等に付着したフォトレジストを分解・剥離するために用いられる濃度60ppm以上の超高濃度オゾン水を得るためには、濃度500〜1000g/m3 程度の超高濃度オゾンを使用する必要がある。このようなオゾンを製造する方法としては、シリカゲル等のオゾン吸着剤を使用し、温度または圧力の変化による吸着剤の吸着平衡の差を利用して、オゾンの吸着脱着を繰り返してオゾンを濃縮する方法が公知である。この方法では、一般に、吸着剤を低温にするほど吸着量が大きくなることから、通常吸着剤を−30℃〜−100℃程度の範囲まで冷却し、オゾン吸着後に、ヒーターや高温のパージガスを用いて吸着剤を100℃程度に加熱するようにしている。
【0003】
ところが、このような従来の方法及び装置では、
1)オゾンが自己分解爆発を起こす危険性があるため、濃縮オゾンガスの濃度をそのような危険のない30wt%(400g/m3 )程度の一般的爆発限界以下に制限する必要があること、
2)この程度の濃度のオゾンでは、これを用いて製造されるオゾン水の濃度が50〜60ppm程度までとなり、有機物の除去速度が遅く実用的なフォトレジストの剥離処理ができないこと、
3)冷却に液体酸素を用いている場合には、取り扱いが容易でなく使用しにくいこと、吸脱着の温度差が大きいため、脱着開始時に吸着オゾンが一気に離脱し、オゾン濃度が過度に上昇して爆発の危険があると共に、その後オゾン濃度が徐々に低下するので、濃度が一定にならず、フォトレジストの剥離効果が不十分になること、
4)これを超純水と接触させて超高濃度のオゾン水を造る際に、その濃度が一定にならないこと、
5)装置全体として切換弁が多く、特に高濃度のオゾンガスを製造する場合には、耐蝕性の高い弁を使用しなければならないために装置がコスト高になること、等の諸問題を有する。
【0004】
このような従来のオゾン高濃度化装置において、オゾン濃度を安定化させる技術としては、冷却ジャケットの中に吸着剤を充填した吸着筒を入れ、液体酸素の供給及び排出によって吸着剤を−80℃に冷却し、オゾンを供給して吸着剤に吸着させると共に未吸着ガスを排出し、吸着筒をヒーターで加熱して吸着剤からオゾンを脱着させ、パージガスを供給して製造されるオゾンの圧力を調整すると共にオゾン濃度を調整し、ヒーターに通電する電圧を段階的に設定して吸着剤の温度を段階的に設定することによってオゾン濃度の変動を小さくし、濃縮されたオゾンを更に濃度安定器に通し、パルプの漂白に用いるために濃度20wt%程度で圧力4〜6kgf/cm2 g (約0.4〜0.6MPag)のオゾンを得るようにしたオゾン濃縮方法が提案されている(特許公報第2835879号参照)。
【0005】
しかしながら、このような方法では、オゾン濃度をある程度安定化させられるものの、前述の諸問題が殆ど解決されていない。例えば、オゾン関連系統が極めて複雑で弁類が多数存在する。又、時間的要素を含めた吸着剤温度の段階的制御という難しい工程が追加されていると共に、冷却温度と最終加熱温度との差も極めて大きいことから、オゾン濃度の確実な安定化が難しいと共にオゾンを超高濃度まで濃縮すると爆発のおそれあるという問題がある。
【0006】
従来技術の他の例として、外容器内に更に内容器を入れ、この内容器内に直径7mmの多数の穴の開いた熱伝導板を上下に多数枚並設し、オゾンを吸着するシリカゲルを上記穴から下方に落下させて充填し、内容器の外周に巻きつけた管にフロンを流してシリカゲルを−40℃〜−60℃まで冷却し、内容器の下方からオゾンを導入してシリカゲルに吸着させ、上方から酸素を排出させ、加熱槽で加熱した不凍液を内外容器の間の部分に流すと共に内容器の中央に設けた加熱管に流してシリカゲルを加熱し、オゾンの供給口と同じ所から濃縮オゾンを取り出すようにしたオゾン吸脱着塔が提案されている(特公昭62−69045号公報参照)。
【0007】
この吸脱着塔では、熱伝導板により、シリカゲルを迅速に効率良く冷却・加熱できるとされている。しかし、冷却温度を−40℃〜−60℃とし、冷却と加熱との温度差を大きくしていて、超高濃度オゾンを発生させる場合にも当然このような温度差を用いることになるため、濃縮オゾンが高温下で一時的に異常高濃度になって爆発のおそれがあるという問題が解決されていない。
【0008】
又、多数枚の穴明き熱伝導板を設けた構造は複雑であり、シリカゲルの均一的投入が難しいと共に、シリカゲルの交換時には、穴があっても相当量が内部に残留する可能性があり、置換不十分になる。又、置換作業も面倒である。更に、このような熱伝導板を設けたとしても、直径が大きく容積の大きい内容器を外部からフロンで冷却するため、冷却に長い時間がかかると共に、これを短縮すれば内容器の外周近傍のシリカゲルだけがオゾンを多く吸着し、シリカゲルにおけるオゾンの吸着むらが相当発生する。又、内容器の中心に加熱管を設けているが、その加熱面積は内容器の外周面の加熱面積に比べて小さいので、結局外周部分が急速に加熱されることになる。その結果、加熱時には、吸着されたオゾンの大部分を占める外周近傍に吸着されたオゾンが一気に脱着し、濃縮オゾンの異常高濃度の発生を防止することができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術に於ける上記問題を解決し、構造や配管系統が簡単で低コストで、処理時間が短く、吸着剤の交換性が良く交換作業も容易で、爆発の危険性がなく安全に濃度変化の少ない超高濃度オゾンを発生させ、超高濃度オゾン水を製造可能な濃縮オゾン製造装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、低温の熱媒体供給系から供給される低温熱媒体と前記低温より十分高い高温の熱媒体供給系から供給される高温熱媒体とによって保有体に入れられた吸着剤の冷却と加熱とを交互に行ってオゾン供給系から前記吸着剤に供給されるオゾンの吸着と脱着とを交互に行ってオゾン排出系から前記オゾンを排出させて前記脱着時に濃縮された濃縮オゾンを得るようにした濃縮オゾン製造装置において、
前記低温熱媒体と前記高温熱媒体とが交互に入れられるように形成された容器を有し、前記保有体は直径に対して長さが十分長くなるように前記容器の中に配設された管であって連続したリング状に曲げられたコイルチューブ状の管又は曲げられて結合された平面形状のものが複数段結合された形状の管であることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、上記に加えて、前記低温をほぼマイナス30℃より高い温度にし前記高温をほぼ70℃より低い温度にすることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明に加えて、前記オゾン排出系は第1系と第2系とに分岐されていて、前記第1系に第1開閉弁と該第1開閉弁が開かれると前記吸着時に前記吸着剤の吸着能力から定まるオゾン量を前記管に供給可能なように設定された第1オゾン流量設定手段とを設け、前記第2系に第2開閉弁と該第2開閉弁が開かれると前記脱着時に脱着されたオゾンが通過可能なように設定された第2オゾン流量設定手段とを設けたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した濃縮オゾン製造装置として本例では超高濃度オゾン製造装置の全体構成の一例を示す。
超高濃度オゾン製造装置は、低温T1 の熱媒体供給系として冷凍機を含む冷却装置1から供給される低温熱媒体としてのエチレングリコール等の水溶液から成る不凍液と、T1 より十分高い高温T2 の熱媒体供給系としての加熱装置2から供給される高温熱媒体としての水とにより、保有体に入れられたシリカゲル等の吸着剤の冷却と加熱とを交互に行い、オゾン供給系であるオゾン発生装置3から吸着剤に供給されるオゾンの吸着と脱着とを交互に行い、オゾン排出系4からオゾンを排出させ、オゾンの脱着時に濃縮された濃縮オゾンとして500〜1000g/m3 程度の超高濃度オゾンを得るようにした装置であり、不凍液と水とが交互に入れられるように形成された容器としての本体5を有すると共に、前記保有体を管であって本例ではコイルチューブ6にした装置である。
【0014】
超高濃度オゾン製造装置は、単体として以上の構成を備えたものにすることができるが、本例のものは、一部共用部分を含み第1基から第4基で構成された単体4基が組み合わせられて1ユニットの装置になっている。以下では、原則的には単体として説明し、必要になったときにユニットとしての構成を説明する。なお、本発明の超高濃度オゾン製造装置は単体としても使用可能であるが、本例の如く4基を組み合わせて、ほぼ連続的に濃縮されたオゾンを製造するように構成されることが望ましい。
【0015】
本体5には、オゾン発生装置3に結合されたオゾン入口61、オゾン排出系4に結合されたオゾン出口62、冷却装置1に接続された不凍液入口63及び出口64、加熱器2に結合された水入口65、出口66、等が設けられている。本体5の上部はカバー部51になっている。ユニットとしては、上記の如くこのような同じ本体5が4台設けられている。なお、図の都合上、第2基と第3基のものでは冷却及び加熱配管系の図示を省略している。
【0016】
コイルチューブ6は、前記保有体は直径に対して長さが十分長くなるように前記容器に配設された管であり、例えば内径10mm、外径12mmのPTFE等のフッ素樹脂製で、コイル径300mmの25巻きで総長が25mのものになっていて、オゾン入口61及び出口62に接続部61a及び62aを介して着脱可能に取付けられている。接続部は、コイルチューブ6の両端を差し込めるように固設された単管等で形成される。コイルチューブ6内には前記の如くオゾン吸着剤が充填されている。
【0017】
吸着剤の保有体となる管としては、管の断面積に対して十分長い長さになるように本体5の中に少なくとも多数回曲げられて本体5内にある程度均一的に配置されたものであれば、本例のように連続したリング状に曲げられたコイルチューブ6とは異なった形状のものでもよい。即ち、例えば図2のように曲げられて結合された平面形状のものが縦方向にも曲げられて複数段結合され長さが長くなったような管6´であってもよい。
【0018】
冷却装置1は、本例では、単段の簡易な冷凍回路を構成するように冷媒の流れ順に設けられた圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13及び蒸発器14、蒸発器14で不凍液を冷却して循環供給するように設けられたポンプ15、等で構成されている。このような冷却装置1は、蒸発器14の冷媒蒸発温度を−35℃程度までの温度にすることができる。その結果、不凍液を−30℃程度まで冷却可能であり、これにより、吸着剤を低温T1 として−30℃近くまで冷却することができる。
【0019】
なお、本例の超高濃度オゾン製造装置は4基が組み合わせられて1ユニットになっているが、冷却装置1は通常1台だけ設けられ、4基に対して共用される。その場合には、4基のうち3基がオゾン吸着工程になり、1基がオゾン脱着工程になるので、原則的には3基分の能力をもったものとなる。又、4基でこのように工程を切り換えているので、1基毎に不凍液を供給又は供給停止させる必要があり、そのため不凍液の入口及び出口に不凍液開閉弁16、17が設けられている。又、図では圧縮式の冷凍回路の例を示したが、吸収式等他の形式の冷凍機を用いることも可能である。
【0020】
加熱装置2は、通常電気ヒーターから成る加熱器21、加熱器21と高濃度オゾン製造装置の本体5との間で水を循環させるポンプ22、等で構成されている。加熱器21は供給される水を70℃程度まで加熱することができる。なお、特に図示していないが、通常温度調整装置が設けられ、水温を70℃までの一定温度に維持できるようになっている。加熱装置2も、冷却装置1と同様の能力のものが1ユニットに対して1台設けられる。そして、冷却装置1の場合と同様に水の入口及び出口に水開閉弁23及び24が設けられている。
【0021】
オゾン発生装置3としては、通常、オゾン濃度250g/Nm3 程度までの高濃度オゾンを発生可能な固体高分子膜を備えた電解式のものが好都合に使用される。なお、同程度の濃度のオゾンを発生可能な高濃度型特殊形式の無声放電式のもの等、他の形式のオゾン発生装置を用いてもよい。オゾン発生装置3も通常4基に共用として1ユニットに1台設けられる。
【0022】
オゾン排出系4は、濃縮されたオゾン又は吸着剤で吸着されなかったオゾン及び酸素を排出するが、本例のものは、第1系である排オゾン系41と第2系である濃縮オゾン系42とに分岐されている。そして、それぞれの系41と42には、第1開閉弁である排オゾン用弁41aと第1オゾン流量設定手段としての排オゾン用オリフィス41b及び第2開閉弁である濃縮オゾン用弁42aと第2オゾン流量設定手段としての濃縮オゾン用オリフィス42bが設けられている。
【0023】
弁41a、42aは電磁弁である。なお、図1では弁41aと42aとを別個独立の弁として示しているが、これらは切り換え使用されるので、オゾン排出系4の元ラインに一体型三方弁におけるそれぞれの弁部分として構成することも可能である。排オゾン用オリフィス41bは、弁41aが開かれると、オゾン吸着時に吸着剤の吸着能力から定まるオゾン量を管であるコイルチューブ6に供給可能なように設定されている。濃縮オゾン用オリフィス42bは、弁42aが開かれると、オゾン脱着時にオゾン発生装置からの少量の追い出し用オゾンガスと脱着されたオゾンが通過可能なように設定されている。なお、第1及び第2オゾン流量設定手段としては、オリフィスに代えて絞り調整の可能な弁等であってもよい。
【0024】
以上のような超高濃度オゾン製造装置は次のように運転されその作用効果を発揮する。
1ユニットの超高濃度オゾン製造装置のうち第1基でオゾンの吸着工程が開始され、第4基でオゾンの脱着工程が開始され、第2基及び第3基ではそれぞれオゾンの吸着工程がほぼ1/3及び2/3進行した状態になっていて、この状態を現状として現状及びその後の工程について説明する。
【0025】
オゾン発生装置3では、例えば濃度が200g/Nm3 、流量9.8L/mim.のオゾンが製造され、第1基から第3基にそれぞれ3.1L/mim.のオゾンが供給され、第4基に0.5L/mim.のオゾンが供給される。又、冷却装置1が運転されていて、蒸発器14では冷媒が−20℃で蒸発し、ポンプ15で流される不凍液は−10℃程度まで冷却され、第1基から第3基の本体5には不凍液入口及び出口63、64を経由して不凍液が循環供給され、コイルチューブ6及びその中の吸着剤は−5℃程度の温度に冷却される。
【0026】
この場合、コイルチューブ6が十分細長くできていて、循環する不凍液中に浸漬された状態になっているので、不凍液の冷熱が完全に吸着剤に伝達され、吸着剤の全体が均一に−5℃程度の温度になる。その結果、吸着剤を−30℃以上の相当な低温にまで冷却しなくても、吸着剤による十分なオゾンの吸着作用を得ることができる。
【0027】
このようにオゾンの吸着工程にある第1基〜第3基では、排オゾン用弁41aが開になり濃縮オゾン用弁42aが閉になっていて、コイルチューブ6に供給されるオゾン3.1L/mim.のうちの非吸着オゾン及びオゾンに随伴された酸素が排オゾン用オリフィス41bを通過して排出される。従って、例えば吸着オゾンが0.2L/mim.で非吸着オゾンが0.1L/mim.で随伴酸素が2.8L/mim.である運転状態を予定しているとすれば、排オゾン用オリフィス41bは、非吸着オゾン0.1L/mim.及び随伴酸素2.8L/mim.を流し、その結果として吸着剤の吸着能力から定まる供給されるべきオゾン量3.1L/mim.をコイルチューブ6に供給するように計画されている。このように設定された排オゾン用オリフィス41bを設ければ、単に排オゾン用弁41aを開くだけの自動操作により、目的とするオゾン吸着量を得ることができ、操作を簡略化して極めて安定した運転状態を得ることができる。
【0028】
1ユニットの超濃縮オゾン製造装置のうち第4基では、第1基のオゾン吸着工程と同時期にオゾンの脱着工程が開始されるが、このときには、前述の如くコイルチューブ6に0.5L/mim.のオゾンが供給される。又、加熱装置2が運転されていて、加熱器21では水が50℃程度まで加熱され、第4基の本体5に水入口65から供給される。このとき、本体5内には冷却・吸着工程における不凍液が残っていて、これが温度の高い水側を循環し水と混ざることになるが、70℃程度までの加熱温度であれば、不凍液成分を加熱しても特に問題は生じない。同様に、前記冷却・吸着工程では不凍液中に水が混ざるが、−30℃程度までの低温であれば、不凍液が水で薄められたとしても凍結等の問題は生じない。
【0029】
なお、低温及び高温熱媒体である不凍液及び水をそれぞれ別個に貯蔵する貯槽を設け、吸着工程又は脱着工程終了後に、本体5内に入れられている不凍液又は水をそれぞれの貯槽に落下させた後、対応する本体5内に水又は不凍液を供給するようにしてもよい。そのようにすれば、両液の混合を最小限にし、冷凍能力及び加熱能力を小さくすることができる。一方、本例のように高低温熱媒体を水及び不凍液という別のものにすることなく、不凍液を共通の熱媒液として使用することも可能である。
【0030】
50℃の水が循環すると、吸着剤もこれに近い温度まで加熱され、吸着していたオゾンが脱着される。この場合、コイルチューブ6によれば加熱水からの熱伝達が極めて良いので、水の熱が完全に吸着剤に伝達され、吸着剤の全体が均一に50℃になる。その結果、吸着剤を従来のように100℃というような高温にまで加熱しなくても、吸着剤に十分なオゾンの脱着作用をさせることができる。
【0031】
そして、このように低い加熱温度にすることが可能なため、吸着したオゾンが急激に脱着して異常高濃度になるような現象が生じない。一方、コイルチューブ6の保有する吸着剤の全体に均一にオゾンが吸着されていて、上記の如くオゾンの脱着が吸着剤の全体から比較的緩かに進行するため、一定量に近いオゾンの脱着を持続させ、十分濃縮され且つ濃度変動の少ない超高濃度オゾンを得ることができる。この場合、オゾンの脱着が緩やかなことや従来よりもオゾンの温度自体を十分低い値にできること等により、オゾンを超高濃度になるまで濃縮しても、自己分解による爆発のおそれがない。
【0032】
このようなオゾンの脱着工程にある第4基では、前記の如くコイルチューブ6に0.5L/min.のオゾンと酸素の混合ガスが供給され、吸着剤からのオゾンの脱着が促進される。そしてこのときには、濃縮オゾン用弁42aが開になり排オゾン用弁41aが閉になっていて、新たに供給されたオゾン及び酸素と吸着工程において吸着剤に吸着していて脱着したオゾンの合計流量1.1L/mim.が弁42a及び濃縮オゾン用オリフィス42bを通過する。
【0033】
濃縮オゾン用オリフィス42bは、この量を通過可能なように設定されていて、それによってオゾン脱着時に脱着されたオゾンを通過可能にしている。このように設定された濃縮オゾン用オリフィス42bを設ければ、単に濃縮オゾン用弁42aを開くだけで、目的とするオゾン脱着量を得ることができ、操作を簡略化して極めて安定した運転状態を得ることができる。
【0034】
図3及び図4は、発明者等が図1に示す本発明の超濃縮オゾン製造装置を用いてオゾン濃縮実験を行った結果を示す。
図3の実験では、これまで説明したように4基の装置構成で3基吸着1基脱着の工程を実施し、1基脱着時のデータを採取している。オゾンガスの分配量は図1の装置で説明したとおりである。冷却及び加熱される不凍液及び水をそれぞれ約−10℃及び55℃に制御し、冷却及び加熱される吸着剤の温度をそれぞれ約T1 =−5℃及びT2 =50℃にした。なお、使用した冷凍機は、−20℃の蒸発温度で冷凍能力800Wのもの(圧縮機11は700W)であり、加熱器21は3KWのものである。
【0035】
その結果、約30秒で吸着剤の温度が50℃まで上がる少し前にオゾン濃度が850g/m3 に到達し、吸着剤の温度が目的の温度である50℃まで上昇して安定すると、約4分間のオゾン脱着時間中約850g/m3 から750g/m3 の範囲で推移した。即ち、低下量が十分小さいと共に、異常高濃度にならず当然自己爆発が起こることもなく、安定した濃度の超高濃度オゾンを得ることができた。
【0036】
図4の実験では、4基構成の同じ装置で3基吸着1基脱着の工程として、1サイクル時間を6分として1基づつ順次脱着工程と吸着工程とを切り換える運転を連続して行ってデータを採取した。オゾンガス配分や冷却及び加熱温度は上記実験と同じにしている。この実験でも、運転初期の不安定な時期を除いて、オゾンガス濃度はほぼ750〜850g/m3 の範囲内で推移し、何らかの原因で濃度変動が大きくなった場合でも700〜900g/m3 の範囲内におさまっている。勿論オゾンの自己爆発は発生していない。
【0037】
そして、図示していないが多孔質中空糸膜式のオゾン溶解モジュールを使用して、上記のような超高濃度オゾンを超純水と接触させることにより、オゾン濃度100〜110ppm という濃度変動の少ない超高濃度オゾン水を2L/min.の割合で製造することができた。従って、本発明の濃縮オゾン製造装置は、簡単な構成の下に実質的に使用可能なオゾン濃度の変動範囲で安全に超高濃度オゾンガスを製造でき、それによって超高濃度オゾン水の製造が可能なものであり、極めて実用性の高い装置であることが実証された。
【0038】
更に、図3及び図4には示していないが、発明者等は種々の実験を行い、少なくともオゾン濃度1200g/m3 (70wt%)までは爆発することなくオゾン濃縮できたことを確認している。即ち、本発明によれば、一般に爆発限界とされているオゾン濃度400g/m3 (30wt%)を大幅に越えた濃度までオゾンを濃縮することができる。
【0039】
以上のような超高濃度オゾン製造装置のコイルチューブ6には吸着剤が入れられているが、チューブ内に吸着剤を充填する作業は容易である。例えば、チューブを伸ばした直管状態にしてその先端側に空気抜き程度の大きさの穴を開けた仮の栓をして、後端側から吸着剤を流し込みつつ空気を送ってこれを搬送させ、先端側から空気を抜きつつ吸着剤を先端側に送り込むような方法により、容易に充填することができる。
【0040】
そして、吸着剤の充填後、適当な可撓性のあるチューブ材を本体1内に入れられる形状として例えばコイル状に巻いていくことにより、コイルチューブ6を製作することができる。そして、仮の栓を除くと共に本体1の蓋51を開けてその出入口の内側の接続部61a、62aにチューブ端を差し込んで結合し、蓋を閉めることによって本体装置5を容易に完成させることができる。
【0041】
本体装置を十分使用して吸着剤の吸着能力が低下すると、吸着剤を数回再生させて使用する。このときには、蓋51を開けて接続部からチューブ端を取外し、これを直管状にして一端側から空気を流して吸着剤を押し出し、これを再生し、上記と全く同様の方法で、チューブ内に充填してこれをコイル状にして本体1に取り付ける。このような操作は、1本のチューブだけを取り扱えばよいこと、着脱部がチューブ両端の2箇所だけであること、チューブに適当な可撓性があって曲げたり直管にする作業が容易であること、等の点から簡易に且つ迅速に行うことができる。
【0042】
又、以上のような本発明の濃縮オゾン製造装置は、本体5とコイルチューブ6からなる極めて簡単な構造の本体容器部分を主要構造部とし、これに必要最小限の配管系統を装備した装置であるため、構造が簡単で低コストのものである。又、単なる開閉弁の切り換えだけで装置の運転ができ、制御が簡単で信頼性の高い装置である。更に、このような簡単な低コストの装置の下に、オゾンの脱着性能が良いため、処理時間の短く処理能率の高い装置になっている。又、冷却と加熱の温度差が少ないため、熱媒体の混合が許容されるので、この点でも装置構造を簡単にすることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、低温熱媒体と高温熱媒体とが交互に入れられるように形成された容器を設け、吸着剤の入れられた保有体を、直径に対して長さが十分長くなるように容器に配設された管にするので、管の直径を従来の吸着剤保有体である筒に較べて十分細くしても、吸着剤を入れるための必要な容積を得ることができる。従って、そのような管を用いることにより、容器に低温及び高温の熱媒体を入れると、熱媒体の熱が極めて効率良く吸着剤に伝達され、吸着剤の全体が均一に目的とする低温又は高温になる。
【0044】
その結果、吸着工程では、目的とする低温が例えばマイナス20〜30℃程度で従来よりも十分高い温度であっても、供給されたオゾンが十分且つ均一に吸着剤全体に吸着される。そして、脱着工程では、目的とする高温が例えば50〜70℃程度で従来よりも十分低い温度であっても、十分に且つ均一に吸着されたオゾンを効率良く脱着させ、目的とする程度まで十分に濃縮されたオゾンにすることができる。この場合、脱着時の温度が低くすれば、オゾンの脱着が比較的緩やかに進行するため、脱着時のオゾン濃度の変動を少なくすることができる。又、オゾン脱着が緩やかなことと脱着時のオゾンの温度自体が低いこと等から、オゾンの極端な高濃度化が防止され自己分解による爆発のおそれがなくなる。
【0045】
又、吸着剤の保有体を連続した長い管にするので、筒に多数の仕切板を入れたような従来の吸着剤保有体ものよりも吸着剤の充填作業が容易である。従って、吸着剤の再生時の詰め替え作業も容易である。又、容器とその中に配設された管とから成る本体部分は構造が簡単で低コストのものである。
【0046】
請求項2の発明においては、低温をほぼマイナス30℃より高い温度にし高温をほぼ70℃より低い温度にするので、オゾンの自己爆発のおそれを確実に防止することができる。又、低温の熱媒体供給系を単段の冷凍機等の簡単な構造のものにすることができる。
【0047】
請求項3の発明においては、オゾン排出系を第1系と第2系とに分岐し、それぞれの系にオゾン吸着時と脱着時に吸着されるべきオゾン量及び脱着されるべきオゾン量を切り換えて流せるように第1及び第2開閉弁と第1及び第2オゾン流量設定手段とを設けるので、オゾン側では開閉弁の切換だけによって吸着工程と脱着工程とを切り換えることができる。その結果、制御が簡単になり装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した高濃度オゾン製造装置である超高濃度オゾン製造装置の全体構成の一例を示す説明図である。
【図2】上記装置の管の他の形成例を示す説明図である。
【図3】上記装置を用いた実験結果の一例を示し、オゾン脱着時の吸着剤温度及びオゾン濃度の曲線図である。
【図4】上記装置を用いた実験結果の他の例を示し、連続運転時のオゾン濃度の曲線図である。
【符号の説明】
1 冷却装置(低温の熱媒体供給系)
2 加熱装置(高温の熱媒体供給系)
3 オゾン発生装置(オゾン供給系)
4 オゾン排出系
5 本体(容器)
6 コイルチューブ(管、保有体)
41 排オゾン系(オゾン排出系、第1系)
41a 排オゾン用弁(第2開閉弁)
41b 排オゾン用オリフィス(第1オゾン流量設定手段)
42 濃縮オゾン系(オゾン排出系、第2系)
42a 濃縮オゾン用弁(第1開閉弁)
42b 濃縮オゾン用オリフィス(第2オゾン流量設定手段)
Claims (3)
- 低温の熱媒体供給系から供給される低温熱媒体と前記低温より十分高い高温の熱媒体供給系から供給される高温熱媒体とによって保有体に入れられた吸着剤の冷却と加熱とを交互に行ってオゾン供給系から前記吸着剤に供給されるオゾンの吸着と脱着とを交互に行ってオゾン排出系から前記オゾンを排出させて前記脱着時に濃縮された濃縮オゾンを得るようにした濃縮オゾン製造装置において、
前記低温熱媒体と前記高温熱媒体とが交互に入れられるように形成された容器を有し、前記保有体は直径に対して長さが十分長くなるように前記容器の中に配設された管であって連続したリング状に曲げられたコイルチューブ状の管又は曲げられて結合された平面形状のものが複数段結合された形状の管であることを特徴とする濃縮オゾン製造装置。 - 前記低温をほぼマイナス30℃より高い温度にし前記高温をほぼ70℃より低い温度にすることを特徴とする請求項1に記載の濃縮オゾン製造装置。
- 前記オゾン排出系は第1系と第2系とに分岐されていて、前記第1系に第1開閉弁と該第1開閉弁が開かれると前記吸着時に前記吸着剤の吸着能力から定まるオゾン量を前記管に供給可能なように設定された第1オゾン流量設定手段とを設け、前記第2系に第2開閉弁と該第2開閉弁が開かれると前記脱着時に脱着されたオゾンが通過可能なように設定された第2オゾン流量設定手段とを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の濃縮オゾン製造装置。
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