JP2010177471A - フレキシブルプリント配線板、その製造方法、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導体層1と、該導体層の上に位置する絶縁層2と、該絶縁層の上にアディティブ法で形成された配線回路の層3とを備え、配線回路3および絶縁層2を貫通し、導体層に達するビアホールHがあり、ビアホールの上端の直径dtが導体層に達した下端の直径dbよりも大きいことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
(K1)ビアホールをあけるために絶縁層をエッチングするとき(配線パターンにはアディティブ法により既に垂直壁の孔(以後の説明で、「第1貫通孔」と記す場合がある)が形成されている)、エッチング液が配線回路の第1貫通孔に十分回り込まないためにエッチング不十分になり、導電性ペーストを充填しても底部の導体層との導通がとれない。
(K2)垂直壁のビアホールの上端の直径は小さいため、ビアホールの容積が小さくなり、充填する導電性ペーストの量の調節を非常に精妙に行う必要がある。量が多いとビアホールからあふれ出して、周囲の配線と短絡するおそれがあり、量が少ないと導電が不完全になる。
(K3)導電性ペーストをスクリーン印刷するとき、程度の大小はあるが印刷のずれは不可避であり、垂直壁のビアホールの上端の直径が小さいと、ビアホールへの完全一致から外れやすく、外れた導電性ペーストによる短絡のおそれを生じる。
なお、サブトラクティブ法であけたビアホールがすべて上広の孔となるわけではなく、アディティブ法によるビアホールと同様の形状の孔となる場合がある。このため、ビアホール直径が小さくなった場合に生じる上記問題は、サブトラクティブ法によるビアホールにも生じることがある。
本発明は、磁気ヘッド配線板を含むフレキシブルプリント配線板一般に適用されるものであり、ビアホールを設ける部分の配線幅を小さくせざるを得ないときに生じる上記の問題(K1)〜(K3)を抑制することができる、フレキシブルプリント配線板、その製造方法、およびこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
図1は、本発明の実施の形態1におけるフレキシブルプリント配線板(以下、フレキシブルプリント配線板をFPCと記す)10の部分を示す断面図である。導体層1の上には絶縁層2を介在させて、配線回路3が形成されている。配線回路3はアースするための部分であり、導電性ペースト5により、グランド部となる導体層1に導通されている。導電性ペースト5が充填される孔はビアホールHであり、導体層1に達している。ビアホールHは、配線回路3を通る部分は配線貫通孔3hにより、また絶縁層2を通る部分は絶縁層貫通孔2hにより、構成される。ビアホールHは、上端の直径dtが下端の直径dbよりも5μm以上大きいことが特徴である。図1の場合、ビアホールHの配線回路の部分3hにおいて、直径に上広のテーパが付いている。ビアホールHに充填される導電性ペースト5は、配線回路3の層の上端まで充填する必要はなく、導体層1と配線3との導通を確実にとることができれば、図1に示すように、途中までであってもよい。
絶縁層2は、柔軟性、耐熱性等に優れた、ポリイミド、ポリイミドアミドなどのポリイミド系の樹脂や、ポリアミド系の樹脂を用いるのがよい。厚みは、5μm〜200μmとするのがよい。
また、配線回路3には、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、はんだ、またはこれらの合金等が好適に用いられる。特に銅めっきによって形成するのがよい。銅めっきをする場合、絶縁層2の上に、下地として導電性薄膜を形成して、その上に当該銅めっき層を形成するのがよい。下地層も含めて、配線回路の層の厚みは、2μm〜50μmとするのがよい。配線回路3は、通常、レジストパターンの開口部に金属めっき法等で形成されるが、下地に導電性をもたせるために、スパッタリングや無電解めっきによって、導電性薄膜が形成される。ニッケル、クロム、銅などの薄膜、またはこれら合金の薄膜を設けるのがよい。
導電性ペースト5には、バインダー樹脂中に金属粒子等を分散させたものを用いるのがよい。金属粒子としては、銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム等を用いるのがよい。とくに銀粉末や銀コート銅粉末は導電性を高めるので好ましい。バインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を使用するのがよい。とくに、これらのうち、耐熱性向上のために、熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。エポキシ樹脂を用いる場合には、たとえばビスフェノールA型、F型、S型、AD型、またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合型のエポキシ樹脂や、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、高分子エポキシ樹脂のフェノキシ樹脂等を用いるのがよい。
上記のバインダー樹脂は、スクリーン印刷など行う場合、溶剤に溶解して使用することができる。
導電性ペースト5および配線回路3を被覆するために、絶縁性のカバー絶縁層7が形成される。カバー絶縁層7は、ポリイミド等、絶縁層2と同様の材料を用いて形成するのがよい。
図2は、本発明の実施の形態1のFPCの製造方法を説明するフローチャートである。また、図3および図4は、製造手順に従った、FPCのグランド部における積層構造を示す断面図である。FPCは、数十個が一枚のシートに形成されるが、シート内の各FPCは同じなので、各FPCは区別しない。フローチャートと、具体的なFPCの部分の構造とを、並行して説明してゆく。まず、磁気ヘッドサスペンション用のステンレススティール箔の導体層1の上に、ポリイミドの絶縁層2を形成する。図3(a)は、ステンレススティール箔1上にポリイミド層2を形成した状態を示す断面図である。次いで、アディティブ法で、第1貫通孔を内蔵する配線3を形成する。このとき、ポリイミド層2の上に、上述の導電性薄膜の下地を形成しておく(図3に図示せず)。図3(b)は、アディティブ法で配線を形成するために、ポリイミド層2上の下地(図示せず)の上にレジストパターン43を形成した状態を示す断面図である。レジストパターン43の開口部43hに、めっき法によって配線3が形成される。この場合、配線3の側壁は絶縁層2に対して直角に立つようになる。これに対して、従来のサブトラクティブ法では、絶縁層の全体に配線薄膜を形成したあと、配線薄膜をエッチングしながら貫通孔を含む配線回路を形成する。この場合、配線の側壁は山腹のようになだらかに絶縁層へと連続するので、配線幅は広くならざるを得ない。図3(c)は、レジストパターン43の開口部43hを充填するように、配線回路3を形成した状態を示す。次いで、図3(d)に示すように、レジストパターン43を除去すると、第1貫通孔3pを含む配線3が形成される。そして、図示はしていないが、上に配線が形成されていない下地部分をエッチングで除去しておく。図3(c)、(d)から明らかなように、第1貫通孔3pの内壁は絶縁層3に垂直に立つ。第1貫通孔3pの直径Pは、FPC10が用いられる装置によって大きく異なるが、狭小な配線3が用いられる場合、20μm〜200μm程度とするのがよい。この直径は、当然、配線3の全幅よりは所定のマージンとって小さくする。
図4(f)は、第1エッチングによって配線3をエッチングして、配線貫通孔3hを形成した状態を示す断面図である。第1エッチングは、ソフトエッチングとも呼ばれ、絶縁層2をエッチングせずに、配線層3のみをエッチングするエッチャントを用いる。ソフトエッチングのエッチャントには、塩化第二鉄系エッチング液、塩化第二銅系エッチング液、水酸化アンモニウム液など、周知のエッチング液を用いることができる。図4(f)に示すように、このソフトエッチングにより、上広の形状の配線貫通孔3hが形成される。
第2エッチングでは、ポリイミド2をエッチングしてステンレススティール箔1や銅配線2をエッチングしないエッチング液を用いるのがよい。この第2エッチングのエッチング液には、オキシアルキルアミン及びアルカリ金属化合物を含む系、エタノールアミン−水酸化カリウム系などの周知のエッチング液を用いることができる。
上記の第1エッチングおよび第2エッチングともに、被エッチング体をエッチング液に浸漬するディッピング法、または所定の圧力にてエッチング液をシャワーのように被エッチング体に吹き付けるシャワー法など周知の方法を用いることができる。とくにシャワー法は、第2エッチングにおいて、絶縁層2のエッチング不足を解消するためには有効である。
このあと、周知の方法により、カバー絶縁層(カバーレイ)7を形成する。
(E1)絶縁層をエッチングしてビアホールを完成するためのエッチング液が、当該ビアホールの孔に十分行き渡るように供給されやすくなる。これによって、導体層と、アディティブ法で形成された配線回路とが導通不良になる事態を防止することができる。
(E2)ビアホールの容積が増えて、充填する導電性ペーストのベース量も増える。このため、導電性ペースト量の調節の程度を緩和することができる。この結果、周囲の配線との短絡を抑制し、また導体層と配線回路との導通不完全を回避することができる。
(E3)スクリーン印刷による導電性ペーストの印刷のずれ許容範囲を大きくすることができる。この結果、導電性ペーストの位置ずれ供給による短絡等を抑制することができる。
上記の(E1)〜(E3)によって、配線の狭小化およびグランド部のビアホール直径の縮小に起因する問題(K1)〜(K3)を緩和ないし克服することができる。さらに、次の作用を得ることができる。
(E4)ビアホール上端の直径が、下端の直径より大きいので、ビアホール内壁面の面積が増大する。この結果、導電性ペーストの接触面積が増大して接触抵抗を減らすことができる。
図5は、本発明の実施の形態2におけるFPC10の部分を示す断面図である。本実施の形態のFPC10のグランド部のビアホールHの形状は、実施の形態と同じように、上端の直径dtが下端の直径dbよりも大きいという点で共通する。また、導体層1/絶縁層2/配線回路3/カバー絶縁層7の積層構造、および導体層1と配線回路3とを導通させるためのビアホールH、そのビアホールHに充填される導電性ペースト5について、実施の形態1と共通する。
実施の形態1との相違点は、ビアホールHの形状であり、それはビアホールHの形成方法の相違による。本実施の形態におけるFPC10のグランド部のビアホールHは、レーザービーム照射によってあけられる。このため、ビアホールHの側面を画する、またはビアホールHに面する配線3の部分は、熱衝撃を受けて消散または蒸発した表面状態を呈する。図5では、レーザービームが照射された配線3の部分が消散したため、円環状に段差が付いた形状を示す。しかし、レーザービームの断面内のエネルギ密度分布、によっては段差が付かず、図1のビアホールHと同様にテーパが付くこともある。重要なことは、ビアホールHに面する配線回路3の部分の表面が熱衝撃によって消散または蒸発した表面性状を示すことである。レーザービームの熱衝撃によって形成された金属表面は、エッチングによって形成された金属表面とは、容易に区別できる。また、レーザービームによる熱衝撃の痕跡、ある場合には消散の結果の凹状部、が、ビアホールHの下端の導体層1に形成される。
次いで、図6に示す導電性ペーストをビアホールH内に充填する。この工程は、実施の形態1と同じように、スクリーン印刷によって行う。次いで、カバー絶縁層7を被覆する。
本発明例については、実施の形態1に説明した製造方法を用いた。グランド部は、ステンレススティール箔1(厚み20μm)/ポリイミド層2(厚み10μm)/銅めっき配線3(厚み15μm)の積層構造である。配線幅は120μmとして、第1貫通孔3pの直径Pは60μmとした。ビアホールHは、ソフトエッチング(第1エッチング)では塩化第二鉄水溶液を用い、また第2エッチングでは、モノエタノールアミン液を用いた。いずれもディッピング法によってエッチングした。導電性ペースト5には、市販のAgペーストを用い、スクリーン印刷により、ビアホールHにAgペーストを充填した。シートは120枚について、グランド部の正常、異常を検査した。シート内のFPC1つにでも異常があれば、そのシートは異常と判定した。代表的なサンプル5体についてビアホールの上端および下端の直径の平均値を測定した。
比較例については、本発明例と同じ寸法、材料によるグランド部を形成した。ただし、第1エッチング(ソフトエッチング)を省略して、配線回路3を形成後に、直ちに、第2エッチング(エッチング液:モノエタノールアミン)を行ったあと、スクリーン印刷により市販のAgペーストをその貫通孔(ビアホール)に充填する処理を行った。比較例は、本発明を実施する前の製造実績をもとにした。
結果を表1に示す。
レーザービーム照射凹部、2 絶縁層(ポリイミド層)、2h 絶縁層貫通孔、3 配線回路、3h 配線貫通孔、3p 第1貫通孔、5 導電性ペースト、7 カバー絶縁層、10 フレキシブルプリント配線板(FPC)、db ビアホール下端直径、dt ビアホール上端直径、H ビアホール、Lo レーザービーム直径、P 第1貫通孔の直径、31 レーザービーム、43,45 レジストパターン、43h、45h レジストパターンの開口部、H ビアホール。
Claims (7)
- 導体層と、該導体層の上に位置する絶縁層と、該絶縁層の上に形成された配線回路とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、
前記配線回路および絶縁層を貫通し、前記導体層に達するビアホールがあり、
前記ビアホールの上端の直径が前記導体層に達した下端の直径よりも5μm以上大きいことを特徴とする、フレキシブルプリント配線板。 - 前記配線回路の層内のビアホールの部分において、前記上端の直径が配線回路底部の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
- 前記導体層がステンレススティール箔であり、ハードディスク装置の磁気ヘッドサスペンション用であることを特徴とする、請求項1または2に記載のフレキシブルプリント配線板。
- 導体層と、該導体層の上に位置する絶縁層と、該絶縁層の上に配線回路とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層上に、第1貫通孔が設けられた前記配線回路を、アディティブ法で形成する工程と、
前記第1貫通孔に合う開口部を持つレジストパターンを前記配線回路の上に形成する工程と、
前記レジストパターンを用いて、前記配線回路の前記第1貫通孔を、第1エッチングにより広げて配線貫通孔とする工程と、
前記レジストパターンを用いて、第2エッチングにより、前記配線貫通孔を延ばして絶縁層貫通孔をあけて、前記導体層に達するビアホールを形成する工程とを備えることを特徴とする、フレキシブルプリント配線板の製造方法。 - 前記レジストパターンの開口部の直径は、前記第1貫通孔の直径よりも、10μm〜50μm大きいことを特徴とする、請求項4に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
- 導体層と、該導体層の上に位置する絶縁層と、該絶縁層の上に配線回路とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層上に、第1貫通孔が設けられた前記配線回路を、アディティブ法で形成する工程と、
レーザービームを照射して前記第1貫通孔を広げて配線貫通孔を形成しながら、前記絶縁層に絶縁層貫通孔をあけて、前記導体層に達するビアホールを形成する工程とを備えることを特徴とする、フレキシブルプリント配線板の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板、または請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたフレキシブルプリント配線板が用いられたことを特徴とする、電子機器。
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