JP2010176906A - 回路遮断器 - Google Patents

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隆 馬場
Naoki Okano
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Abstract

【課題】過電流引外し装置における引外し電流の下限値を変えることなく、各極独立して、可動子と作動板とのギャップを当初設計の値に近づけるよう調整作業を行え、回路遮断器へ取り付けた状態で、調整作業に伴い大きな変化を加えても、必要以上に調整しすぎることのない回路遮断器を提供する。
【解決手段】時延引外し要素として、オイルダッシュポット110bを備えた完全電磁式の過電流引外し装置110を備えた多極式の回路遮断器に関して、当該過電流引外し装置110が引外し作用する開閉機構部102との間隙の大きさを調整するために、可動鉄片110dと当該オイルダッシュポット110bとの間隙の大きさは変えずに、当該開閉機構部102の作動板105と当該可動鉄片110dの作用片110eとの間隙の大きさのみを調整する調整手段110fを備えた。
【選択図】図3

Description

この発明は,配線用遮断器や漏電遮断器などの回路遮断器の過電流引外し装置に関するものである。特に,過電流引外し装置が開閉機構部に作用して引外し動作を行わせる場合の,該過電流引外し装置の作用のし具合を,設計値に近づけて当初設計の引外し特性を変えずに調整可能な過電流引外し装置に関するものである。
回路遮断器の過電流引外し装置は,電路に過電流が発生したときに開閉機構部に作用し,回路遮断器を引外し動作させる。また,電路に短絡などの異常電流が流れた場合に,電流による電磁誘導を利用して瞬時動作を行い,接点装置を開極するよう開閉機構部に作用するものである。
一般的に,過電流引外し装置は,その動作原理により熱動電磁形と完全電磁形に分類できる。そして,熱動電磁形における瞬時引外しに係わる部分,ならびに完全電磁形の装置は,固定子と可動子とで構成され,可動子は,電磁誘導により固定子に吸引される可動鉄片と,他の部材に当接作用する作用片を備えた作用部材とから構成される。なお,可動鉄片と作用片とは1つの部品で構成される場合と,別々の部品を固着することで構成される場合とがある。
固定子と可動鉄片には,鉄など磁性体の材料を用いる。固定子と可動鉄片の配置は,回路遮断器の主回路に流れる電流の周りに発生する磁界により電磁石となって引き付け合うような位置関係となるよう配置する。
具体的には,固定子は回路遮断器の筐体に直接的,間接的に固着され,可動子は固定子に対し軸支回転や並進移動など適宜吸引動作されるよう配置される。固定子と可動鉄片の間には予め間隙を設けてあり,回路遮断器が設置された電路に異常のない状態では前記間隙が保持されるよう,ばねなどの付勢部材により,前記間隙を保持している。
回路遮断器が設置された電路に短絡などの異常電流が流れた場合,可動子は,付勢部材による付勢力に抗して固定子に吸引され,作用片が開閉機構部の作動板に作用する。作動板には,開閉機構部を所定の状態(オン状態,オフ状態)に保持せしめるよう開閉機構部と係合するラッチ部を形成する係合片が固着されている。このラッチ部における係合が,可動子の作動板への作用により作動板の変移とともに係合片が軸支回転や並進移動などして外れた場合には,開閉機構部が接点装置を開極させ,回路遮断器は短絡などの異常電流を遮断することができる。
さて,前記係合片の係合が外れるためには,前述した係合片が一定量以上の軸支回転や並進移動などをする必要がある。即ち,係合片が固着されている作動板が一定量以上の軸支回転や,並進移動などをする必要があり,前記可動子は作動板に対して作用するにあたり,一定量以上の作用をする必要がある。そして,可動子の作動板への必要な作用量は,前記固定子と可動鉄片の間隙の大きさ,作動板と可動子の位置関係,係合量の長さなどで決定される。
さて,このような瞬時引外し装置においては,一般的に固定子が可動子をひきつける吸引力は,間隙の自乗に反比例する関係であり,回路遮断器における引外し電流を選定するにあたっては,間隙の大きさが個々の製品に応じてばらつきにくくなるよう設計が行われている。
しかしながら,間隙の大きさに関与する部品は,一般的に,固定子,可動鉄片,可動鉄片の軸支部の3部品程度と少ないため,間隙の大きさを決定する寸法のばらつきの積上げも少なくできる。したがって,間隙の大きさのばらつきを小さくすることは比較的容易である。
また,前述した係合の大きさについては,瞬時引き外し性能だけでなく,長限時引き外し性能,漏電引き外し性能などの引き外し性能や,回路遮断器が振動や衝撃などに耐えて閉路状態を保持する性能に大きく影響するため,やはり,ばらつきにくくなるよう設計しなければならない。そして,係合の大きさに関与する部品は,一般的に,作動板,係合片,それらを軸支する軸受部材(主軸受)の3部品程度と少ないため,係合の長さを決定する寸法のばらつきの積上げも少なくできる。したがって,係合の長さのばらつきを小さくすることは比較的容易である。
また,作動板と可動子の位置関係は,瞬時引き外し性能に大きく影響するため,ばらつきにくいよう設計することが望ましいが,作動板と可動子の位置関係に関与する部品は,それらが別個に,回路遮断器の筐体に配設されることから,前述の部品の寸法のばらつきの積み上げが,5〜9部品程度の多くの部品の積み上げになり,作動板と可動子の位置関係のばらつきを小さくすることが容易ではない。そして,これらの位置関係のばらつきにより作動板と可動子の間隔が大きくなり過ぎると,可動子の作動板への作用のし具合が不十分で,係合が外れずに,最悪の場合,開閉機構部が駆動できないために接点装置が開極されず,瞬時引き外し性能を満足できない場合が予想されるため,設計値の公差範囲から外れているような場合,製造工程において関係する部品の交換や,部品そのものに対して曲げ加工を行い,作動板と可動子の位置関係を修正する必要があった。
そして,部品の交換などにより作動板と可動子の位置関係を修正する場合は,交換後の部品の組み合わせにより位置関係が適切か否か確実性に乏しい上,交換,確認に要する工数が多くなり製造コストが高くなる。
また,部品そのものに対して曲げ加工を行い,作動板と可動子の位置関係を修正する場合,可動子側を曲げ加工する方法が確実性は高い。これは,一般的に作動板は樹脂などの絶縁材料で形成されることが多く,弾性を有するため,一旦曲げ加工を行っても復元する可能性があるからである。
このため,実際には可動子を曲げ加工することになる。この場合,可動子が筐体に取り付けられたまま,可動子そのものを作動板方向に曲げ加工するため,曲げ加工には比較的大きな力が必要になる。また,回路遮断器または可動子の意図しない部分が変形などしないよう配慮する必要がある。
したがって,過電流引外し装置を回路遮断器へ取り付けた状態で可動子を曲げ加工する場合には,専用の曲げ加工治具を用意して,不用意な変形を回避する必要があるが,一般的に可動子の周辺には空間が少ないため,この狭い空間で回路遮断器または可動子の意図しない部分が変形などしないような曲げ加工治具を製作することは困難であることが多い。
また,過電流引外し装置を回路遮断器から取り外した状態で曲げ加工を行うことは比較的容易であるが,過電流引外し装置の取り外しと取り付けの工数が余分にかかり,また,調整作業前後における,ねじを外して締め直すことによりばらつきが生ずることがあるため正確な調整に対する不確定性が残り,総じて製造コストが高くなる要因となる。
このように,作動板と可動子との位置関係を当初の設計値に近づけるよう,回路遮断器へ取り付けた状態で可動子を曲げ加工する場合であっても,回路遮断器から取外した状態で曲げ加工する場合であっても,曲げ加工の際に誤って必要以上に曲げ過ぎた場合は,回路遮断器に電流が流れていない状態であっても可動子が作動板に常時作用してしまい接点装置の閉操作ができなくなってしまう場合がある。この場合,再度,可動子を曲げ戻す加工を行わなければならず,製造コストがさらに高くなる。
さて,可動子そのものに対して曲げ加工する例を挙げたが,その他の調整例として,特許文献1及び特許文献2を示した。特許文献1には,図11に示したように,動作電流を調整するダイヤル式の引外し電流調整機構の開示がなされている。ダイヤルを回すことにより,各極に渡された回動軸が回転し,回動軸に軸支されたインスタントバーを介して,アーマチュアを駆動させ,ヨークとアーマチュアとのギャップを変化させるものである。
また,特許文献2には,図12に示したように,過電流引外し装置に組み込まれたダイヤル式の時延引外し電流の調整機構の開示がなされている。ダイヤルを回すことにより,各極に渡って軸支されたクロスバーの操作片に形成された軸方向に傾斜する斜面を,軸方向に移動させることにより,バイメタルと操作片とのギャップを変化させるものである。
このように,特許文献1及び特許文献2は,いずれも,製品出荷後においても引外し電流の調整を筐体の外側から行うことができるように構成された回路遮断器である。
特開平4−212232号公報 図4 特開平9−298025号公報 図3
このように,従来の回路遮断器の過電流引き外し装置にあっては,以上のように,製造後において,作動板と可動子の位置関係を修正するためには,可動子そのものを作動板方向に曲げ加工するから,場合によっては不用意な力がかかり,回路遮断器または可動子の意図しない部分が変形してしまうことがあり,また,多くの工数を要し,製造コストが高くなるという問題があった。
また,特許文献1及び特許文献2においては,回路遮断器の各極に対して個別に調整を行うことができないから,特定の極だけを調整することができず,また,調整のための構造が複雑となり,コストが高くなるという課題があった。
そこで本件の発明の目的とするところは,過電流引外し装置における電磁石の可動鉄片と鉄心との間隙の大きさは変えずに,即ち,引外し電流の大きさを変えることなく,各極独立して可動子と作動板とのギャップを当初の設計値に近づけるよう調整作業を行えながらも,製造コストを低くできるとともに,専用の調整治具が不要で,回路遮断器へ取り付けた状態で,調整作業に伴い大きな変化を加えても,間隙の調整方向の変化は小さく,調整作業が行いやすく,しかも,調整の量が一定量以下にでき,誤って必要以上に調整しすぎることのない回路遮断器を得ることである。
上述の目的を達成するために,本発明の請求項1では,時延引外し要素としてオイルダッシュポットを備えた電磁石を用いた完全電磁式の過電流引外し装置を備えた多極式の回路遮断器において,前記過電流引外し装置と,該過電流引外し装置が引外し作用する回路遮断器の接点開閉機構部との間隙の大きさを調整するために,過電流引外し装置における電磁石の可動鉄片と鉄心との間隙の大きさは変えずに,開閉機構部と過電流引外し装置との間隙の大きさのみを調整する調整手段を設けたことを特徴として回路遮断器を提供したものである。
これにより,過電流引外し装置における可動鉄片と鉄心との間隙の大きさは変化しないから,引外し電流の大きさは変わらず,各極独立して可動子と作動板とのギャップの調整作業を行えながらも,製造コストを低くできるとともに,専用の調整治具が不要で,回路遮断器へ取り付けた状態で調整作業を行うことができる回路遮断器を得ることができる。
また,請求項2では,前記調整手段を,前記完全電磁式の過電流引外し装置の前記開閉機構部に作用する作用片に,前記間隙を調整する調整ねじを設けて構成し,該調整ねじを進退させることにより,前記開閉機構部と過電流引外し装置との間隙の大きさを調整することを特徴として請求項1記載の回路遮断器を提供したものである。
これにより,調整には一般的なドライバなどを用いて調整作業が行え,専用の調整治具が不要で,過電流引外し装置が回路遮断器へ取り付けられた状態で調整作業を行っても,回路遮断器または可動子の意図しない部分の変形などがなく,調整作業に伴い大きな変化を加えても,間隙の調整方向の変化は小さく調整作業が行いやすく,しかも,調整量が一定量以下にでき,誤って必要以上に調整しすぎることのない回路遮断器を得ることができる。
また,請求項3では,前記調整手段は,前記開閉機構部の,過電流引外し装置の作用片が作用する作動板に,前記間隙を調整する調整ねじを設けて,該調整ねじを進退させることにより,前記開閉機構部と過電流引外し装置との間隙の大きさを調整することを特徴として,請求項2記載の回路遮断器の瞬時引外し装置を提供したものである。
これにより,請求項2と同様に,調整には一般的なドライバなどを用いて調整作業が行え,専用の調整加工治具が不要で,過電流引外し装置が回路遮断器へ取り付けられた状態で調整作業を行っても,回路遮断器または可動子の意図しない部分の変形などがなく,調整作業に伴い大きな変化を加えても,間隙の調整方向の変化は小さく調整作業が行いやすく,しかも,調整量が一定量以下にでき,誤って必要以上に調整しすぎることのない回路遮断器を得ることができる。
本発明によれば,過電流引外し装置における電磁石の可動鉄片と鉄心との間隙の大きさは変えずに,即ち,引外し電流の大きさを変えることなく,各極独立して可動子と作動板とのギャップを当初の設計値に近づけるよう調整作業を行えながらも,製造コストを低くできるとともに,専用の調整治具が不要で,回路遮断器へ取り付けた状態で,調整作業に伴い大きな変化を加えても,間隙の調整方向の変化は小さく,調整作業が行いやすく,しかも,調整の量が一定量以下にでき,誤って必要以上に調整しすぎることのない回路遮断器を得ることができる効果がある。
本発明の実施例1を示す調整手段を適用した回路遮断器のカバーを開けた状態の斜視図。 調整手段の周辺の拡大図。 実施例1の要部側面を示した図。 初期の間隙の状態を示した図。 作用片が作動板に当接した時の状態を示した図。 係合部のラッチが外れた時の状態を示した図。 実施例2を示した図。 完全電磁式以外の過電流引外し装置に本発明の調整手段を適用した例。 図8の要部拡大図。 完全電磁式以外の過電流引外し装置に本発明の調整手段を適用した他の例。 従来の例を示した図。 従来の例を示した図。
以下,本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は,本発明の調整手段を適用した回路遮断器を示すもので,各極毎に瞬時引外し装置を備えた多極回路遮断器100の筐体を構成するカバーを取り外した場合の斜視図である。また,図2は,前記調整手段周辺の拡大図である。
回路遮断器100の過電流引外し装置110以外の部分は,一般的な過電流引外し装置を備えた回路遮断器と同等のものである。即ち,操作ハンドル101をオン,オフ操作することによって,該操作ハンドルとリンク機構などにより接続された開閉機構部102が連動して駆動され,さらに該開閉機構部102に接続された接点装置103が連動して駆動されて,電路を開閉するものである。また,電路に過電流が発生した場合には,回路遮断器に備えられた過電流引外し装置110によって過電流を検出し,過電流の大きさによって,時延引外し,もしくは瞬時引外しを行い,該過電流引外し装置110の作用部が開閉機構部102に作用して引外し動作し,回路遮断器は自動的に電路を遮断する。
本実施例で示した過電流引外し装置は,時延引外し要素としてオイルダッシュポットをコイル内部に備えた電磁石を用いた完全電磁形の過電流引外し装置である。該過電流引外し装置110のオイルダッシュポットの内部はオイルで満たされ,可動鉄片110dに近い側にはオイルダッシュポットの閉じ蓋が設けられている。また,オイルダッシュポットの内部には,鉄心と制動ばねが設けられており,該鉄心が制動ばねにより可動鉄片110dから遠ざかる方向に押圧された状態となっている。
電路における電流が定格値以内である場合には,制動ばねにより押圧された鉄心と可動鉄片110dとの距離が大きく,可動鉄片110dは吸引されない。
電路に過電流が発生した場合には,電磁石の起磁力が増大し,鉄心は制動ばねの押圧力に打ち勝って徐々に前記閉じ蓋の方向に移動する。そして,制動ばねと可動鉄片110dの間隙が小さくなり,ついには可動鉄片110dを吸引する。このとき,オイルの粘性抵抗により回路遮断器は時延動作を行う。
過電流の大きさによって,短絡電流などの異常電流が発生した場合には,急激な漏洩磁束の増大によって可動鉄片110dは,鉄心の移動を待たずに,鉄心に瞬時に吸引動作し,可動鉄片110dの作用片110eが作動板105に作用を行う。
接点装置103は,一端に接点が設けられた可動接触子と,該可動接触子と対向配置されて,同じく一端に接点が設けられた固定接触子とを備えている。このうち,固定接触子は回路遮断器100のケース側に配設され,可動接触子は開閉機構部102に備えられるクロスバーに装着されて,該クロスバーが,前記操作ハンドル101の操作に連動して回動することにより,接点装置103が開閉駆動される。
過電流引外し装置110の開閉機構部102への作用は,前述したように,開閉機構部に設けられた作動板に対して行われる。本実施例の場合,図3に示したように,作動板105は,開閉機構部102を構成する主軸受1021に軸支(105a)されて,一定量回動自在に保持されている。
また,作動板105には,開閉機構部を所定の状態(オン状態,オフ状態)に保持せしめるよう開閉機構の一部と係合するようラッチ部が形成された係合片が固着されている。このラッチ部における開閉機構部側の係合が,過電流引外し装置110の作用片が作動板に作用することにより作動板が変移していき,作動板の変移とともに係合片が軸支回転や並進移動などして係合が外れた場合には,開閉機構部が接点装置103を開極させ,回路遮断器100は電路を遮断するよう動作する。
さて,過電流引外し装置110における作動板への作用は,可動鉄片110dに設けられた作用片110eの調整ねじ110fの部分により行われる。
可動鉄片110dは磁性体で形成されているから,短絡電流などの異常電流が発生した場合には,電磁誘導により,可動鉄片110dがダッシュポット110bに引き付けられて,作用片110eが図3中反時計回りに回転し,作動板105に当接作用する。
作用片110eには,作動板105と作用片110eとの間隙を調整するための間隙調整手段を設けている。該間隙調整手段として,作用片に設けたねじ穴に調整ねじを設けて構成している。調整時には,調整ねじ110fを回動させて間隙が狭くなる方向や,広くなる方向に進退させて調整する。
このような調整にあたっては,過電流引外し装置110における電磁石の可動鉄片110dとダッシュポット110bの鉄心との間隙の大きさを変化させずに行うことができる。したがって,電磁石の可動鉄片110dとダッシュポット110bの鉄心との間隙の大きさは,過電流引外し装置110の駆動が電磁誘導により行われることから,過電流引外し装置110を備えた回路遮断器における所定の引外し特性と密接に関係しており,引外し電流の下限値を変化させることなく調整を行うことが可能となるものである。
過電流引外し装置110における電磁石の可動鉄片110dとダッシュポット110bの鉄心との間隙の大きさに着目すると,図4に示したように,過電流引外し装置110が動作していない初期状態の間隙G1,図5に示したように,電路に異常電流が発生した場合に過電流引外し装置110が駆動し,作動板105に作用片が当接した場合の間隙G2,及び図6に示したように,さらに過電流引外し装置が駆動し,作動板105を押圧し,開閉機構のラッチが外れた時の間隙G3,の寸法関係を設計時の理想値に近づけながら作動板105と作用片110eとの間隙を調整することができる。
また,調整作業に伴い,大きな変化を加えても,間隙の大きさの調整方向の変化は小さいため調整作業が行いやすい。即ち,ドライバなどにより調整ねじ110fを回転させる場合,作用片110eと作動板105との間隙の大きさの変化は,ねじの1回転対して,ねじの1ピッチに相当することから,ねじの回転量に対して,作用する方向に変移する量は非常に小さいものとなる。
このため,調整作業にあたっては,ドライバなどの一般的な工具を用いて調整ねじを回すことで作業を行うことができる。また,ねじの回転量に対して間隙がの大きさが変化する量が非常に小さいため,直接的に部品を曲げる場合に比べて,作業の精密さは要求されず,また,調整ねじの長さを適宜設定することにより,最大限に調整を行った場合でも,調整の量を一定量以下にでき,調整しすぎるということがなくなる。また,各極独立して可動子と作動版との間隙の調整作業を行え,製造時に発生したばらつきを当初設計の値に近づけるよう,より細かく調整することができる。
このように,調整ねじによる簡単な構造であること,調整が容易であることと相まって,製造コストを低減できるという効果がある。
次に,実施例2について説明を行う。
図7に,実施例2に係わる調整手段の拡大図を示した。本実施例については,過電流引外し装置は,通常の回路遮断器に用いられるものと同様であり,作動板側に調整ねじを設けた点が実施例1と異なるものである。
調整方法については実施例1と同じであるが,本実施例の場合,作動板における調整ねじの進退方向の厚みが,可動鉄片110dに比べて厚く構成されており,調整ねじの進退方向に対する軸ぶれを軽減させられ,より精度良く調整作業を行うことができる効果がある。
次に,他の例について説明を行う。
図8,図9には,熱動電磁式における過電流引外し装置における作用片110jに間隙調整手段110kを設けた例である。
熱動電磁形の過電流引外し装置においては,電路に過電流が発生したとき,該過電流の大きさによって,短絡電流などの異常電流が発生した場合には,該短絡電流に起因する電磁誘導により駆動する電磁式の短絡電流検出部である固定子となる電磁枠110gと,該電磁枠110gに吸引される可動子を備えた作用部材110hとなる可動鉄片110iを筐体内の電路を囲むように設けて,短絡電流を検出して瞬時引外し動作を行い,短絡電流よりも小さな過電流が発生した場合には,バイメタルなどの熱動素子を用いて熱動式の検出部により過電流を検出して時延引外し動作を行う。
そして,作用片110jが作動板105に作用することにより,開閉機構部102を引外し動作させる。
作用片110jは,その先端部が略Lの字形状に形成されており,該先端部に作動板105と作用片110jとの間隙の大きさを調整できるよう調整ねじが設けられている。実施例1および実施例2と同様に,調整ねじ110kを回転することにより,作動板105と作用片110jとの間隙の大きさを調整するものである。
図10には,熱動電磁式の過電流引外し装置を備えた回路遮断器の作動板に,作動板105と作用片110jとの間隙の大きさを調整する調整ねじ110lを設けた例を示している。調整方法は,前述した図8の例と同様に,調整ねじを回転することにより行う。
このように,過電流引外し装置と作動板との間隙の大きさを調整する調整手段として,調整ねじを可動鉄片や作動板に設けて構成することにより,過電流引外し装置における電磁石の可動鉄片と鉄心との間隙の大きさや,固定子と可動子との間隙の大きさは変えずに,即ち,引外し電流の大きさを変えることなく,各極独立して可動子と作動板とのギャップを当初設計の値に近づけるよう調整作業を行えながらも,製造コストを低くできるとともに,専用の調整治具が不要で,回路遮断器へ取り付けた状態で,調整作業に伴い大きな変化を加えても,間隙の調整方向の変化は小さく,調整作業が行いやすく,しかも,調整の量が一定量以下にでき,誤って必要以上に調整しすぎることのない回路遮断器を得ることができる。そして,簡単な構造であること,調整が容易であることと相まって,製造コストを低減できるという効果がある。
100 回路遮断器
101 操作ハンドル
102 開閉機構部
1021 主軸受
103 接点装置
105 作動板
110 引外し装置
110a 継鉄
110b ダッシュポット
110c コイル
110d 可動鉄片
110e 作用片
110f 調整ねじ
110g 電磁枠
110h 作用部材
110i 可動鉄片
110j 作用片
110k 調整ねじ
110l 調整ねじ

Claims (3)

  1. 各極独立して,時延引外し要素としてオイルダッシュポットを備えた電磁石を用いた完全電磁式の過電流引外し装置を備えた多極式の回路遮断器において,
    前記過電流引外し装置と,該過電流引外し装置が引外し作用する回路遮断器の接点開閉機構部との間隙の大きさを調整するために,
    過電流引外し装置における電磁石の可動鉄片と鉄心との間隙の大きさは変えずに,
    開閉機構部と過電流引外し装置との間隙の大きさのみを調整する調整手段を設けたことを特徴とする回路遮断器。
  2. 前記調整手段は,
    前記完全電磁式の過電流引外し装置の前記開閉機構部に作用する作用片に,
    前記間隙を調整する調整ねじを設けて,
    該調整ねじを進退させることにより,
    前記開閉機構部と過電流引外し装置との間隙の大きさを調整することを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
  3. 前記調整手段は,
    前記開閉機構部の,過電流引外し装置の作用片が作用する作動板に,
    前記間隙を調整する調整ねじを設けて,
    該調整ねじを進退させることにより,
    前記開閉機構部と過電流引外し装置との間隙の大きさを調整することを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。

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