JP2013045668A - 回路遮断器の製造方法 - Google Patents

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【課題】製品によって遮断特性の個体差がない回路遮断器の製造方法を提供する。
【解決手段】サーマルリレー機能を有する回路遮断器100に、遮断容量に応じた複数の定格に関し、それぞれ所定の電流および所定の時間、通電を行い、回路遮断器100の欠相カム10と開閉機構部20のトリップレバー21の間隔を調整する調整ダイヤル12を実際に操作して強制的に開閉機構部20を作動させ、開閉機構部20が作動した時の調整ダイヤル12の位置を測定し、それぞれの整定電流値に対して、開閉機構部20が作動した時の調整ダイヤル12の位置を回路遮断器100に付する。
【選択図】図2

Description

この発明は、熱動式引き外し装置およびそれを用いた回路遮断器など、必要に応じ遮断容量を変更できる回路遮断器の製造方法に関するものである。
回路遮断器、および過負荷保護機能を持つサーマルリレーを組み合わせた熱動式引き外し装置(マニュアルモータスタータ)として、例えば特許文献1に示す構造を有する機器が提案されている。
同文献によれば、調整ダイヤルを回転して調整ダイヤルの目印をワークに印字された目盛りの所定位置に設定する操作により、調整ダイヤルの軸を介し欠相カムと引き外し動作機構部のトリップレバーとの距離を変動させる。
そして、定格電流毎に、過電流が流れた時のバイメタルの屈曲量が変動し、それぞれの位置で、欠相カムがトリップレバーに接触して開閉機構部が動作し、これにより回路を遮断する。
以上の技術により、電動機の定格電流に合わせた整定電流値を設定することができる。
このような熱動式引き外し装置では、各個体での部品制度のバラつき、および組立てバラつきが動作特性に影響を及ぼす。
これらの製品毎のバラつきを減少させ、遮断特性の均一化を向上させるために、製品毎に組立後の調整を行う必要がある。
従来の回路遮断器の組立後の調整方法について以下に説明する。
熱動式引き外し装置をある定格に対し、所定の通電電流および通電時間で調整ダイヤルを回転させる。調整ダイヤルが回転すると、軸部のカム動作により引き外し動作機構部のトリップレバーが欠相カム側に移動する。その一方で、通電による発熱でバイメタルが屈曲し、連動板を介し欠相カムをトリップレバーに近づける。その結果、欠相カムとトリップレバーが接触し、引き外し機構部が動作し回路が遮断される。
回路の遮断時に調整ダイヤルが示した目盛り位置を筐体ケースに付し、調整を行った定格での目盛りとする。
このように調整を行った後、定格以外の目盛り位置に関しては、あらかじめ決められた目盛り幅で目盛りを付する。
特開2009−43727号公報
上述の従来技術において、調整ダイヤルを回転操作し、電動機の容量に応じた整定電流を設定する際には、固定された目盛り幅が付された目盛りに合わせ調整ダイヤルを設定する。
この動作により、バイメタルと引き外し動作機構部との距離が設定される。
ところが、従来技術においては、実際の通電時間を測定し、基準通電時間と、実際の通電時間の差から目盛りの位置を計算して付している。
この場合、バイメタル位置が飽和していない場合があり、また個体ごとに発熱したバイメタル湾曲量のバラつき、およびワークの部品ばらつきないし各部品の組立バラつきにより、製品個体間での遮断性能が安定せず、組立後調整された目盛りでの動作時限にバラつきが生じ、その結果、本来満たすべき遮断特性の規格を満たさない場合があった。
また、調整された目盛り以外の定格においても、あらかじめ定められた目盛り幅で付されているため、上記の個体間バラつきにより、付された目盛りに合わせ調整ダイヤルを回転させて設定しても、設定された目盛り位置での欠相カムとトリップレバー間の距離がその定格での過電流による遮断が行われるべき間隔に適切に設定されないという問題があった。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、精度良く回路を遮断でき、製品によって個体差がない回路遮断器の製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係る回路遮断器の製造方法は、
サーマルリレー機能を有する回路遮断器において、
遮断容量に応じた複数の定格に関し、それぞれ所定の電流で所定の時間、通電を行い、回路遮断器の欠相カムと開閉機構部のトリップレバーの間隔を調整する調整ダイヤルを操作して強制的に開閉機構部を作動させ、開閉機構部が作動した時の調整ダイヤルの位置を測定し、それぞれの整定電流値に対して、開閉機構部が作動した時の調整ダイヤルの位置を回路遮断器に付するものである。
この発明に係る回路遮断器の製造方法は、遮断容量に応じた複数の定格に関し、それぞれ所定の電流で所定の時間、通電を行い、回路遮断器の欠相カムと開閉機構部のトリップレバーの間隔を調整する調整ダイヤルを操作して強制的に開閉機構部を作動させ、開閉機構部が作動した時の調整ダイヤルの位置を測定し、それぞれの整定電流値に対して、開閉機構部が作動した時の調整ダイヤルの位置を回路遮断器に付するものなので、カム機構を介したトリップレバーと欠相カムの間の間隔を精度良く調整でき、各製品の組立精度ばらつき、バイメタルの寸法精度、湾曲係数、抵抗率などのバラつきに対応した製品を製造できる。
その結果、各製品で定格ごとの遮断特性バラつきが減少し、整定電流で規格に応じた遮断特性を向上させることができる。
本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の3面図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の筐体カバーを取り外した正面図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の筐体カバーを取り外した平面図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の開閉機構部を中心とする斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の平面図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の調整ダイヤルの3面図である。 本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の調整ダイヤルと調整目盛りの配置図である。 図4の状態から欠相カムがトリップレバーと接触した状態へ移行した状態を示す斜視図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の製造方法を図を用いて説明する。
図1(a)は、回路遮断器100の正面図である。
図1(b)は、回路遮断器100の平面図である。
図1(c)は、回路遮断器100の側面図である。
本発明の実施の形態1に係るサーマルリレー機能を有する回路遮断器100は、樹脂製の回路遮断器筐体1の上部に筐体カバー2が取り付けられており、筐体カバー2の上端部から操作ハンドル3が、筐体カバー2の外部に突出している。
図2は、筐体カバー2を取り外した回路遮断器100の正面図である。
図3は、筐体カバー2を取り外した回路遮断器100の平面図である。
回路遮断器100は、両端に電源側端子4と負荷側端子5を有する。
また、回路遮断器100は、回路の開閉を行うトリップレバー21を含む開閉機構部20と、開閉機構部20を操作し、回路遮断器100内の回路の入り切りを行う操作ハンドル3と、回路の短絡検知を行い、回路遮断器100を瞬時に遮断する電磁過負荷引き外し装置7と、過負荷および欠相検出を行い、回路遮断器100をトリップし回路保護を行う熱動式過負荷引き外し装置8で構成されている。
図4は、回路遮断器100の機構部ユニットを示す斜視図である。
図5は、回路遮断器100の平面図である。
3つのバイメタル9は、主回路の各相に対応し、通電電流に応じ発熱し屈曲する熱動素子である。
欠相カム10は、各相のバイメタル9の挙動により押し動作又は引き動作を行い、開閉機構部20のトリップレバー21に接触し回路を遮断させる。
補償バイメタル11は、周囲温度補償用のバイメタルである。
図6(a)は、調整ダイヤル12の正面図である。
図6(b)は、調整ダイヤル12の平面図である。
図6(c)は、調整ダイヤル12の側面図である。
図7は、調整ダイヤル12と調整目盛り13の配置を示す図である。
図8は、欠相カム10がトリップレバー21に接触している状態を示す回路遮断器100の斜視図である。
調整ダイヤル12は、回路遮断器100に接続する電動機の容量(定格電流値)に合わせて熱動式過負荷引き外し装置8の整定電流を設定するために使用する。
図6に示すように、調整ダイヤル12の軸121はカム形状となっていている。
調整目盛り13は、筐体カバー2に付して設定され、電動機の容量(定格電流)に合わせて調整ダイヤル12の位置を設定する目盛りである。
連動板14は、各バイメタル9の屈曲に応じて欠相カム10を移動させるために用いられる。
そして、トリップレバー21は、開閉機構部20をトリップさせるものである。
このような構造を持つ回路遮断器100では、調整ダイヤル12を回転し、その指示部(矢印)を筐体カバー2に付された調整目盛り13の各位置に設定する操作により、調整ダイヤル12の軸121を介し欠相カム10と開閉機構部20のトリップレバー21との間隔が変動する。
また、特定の定格電流で運転時に、万一過電流が流れてバイメタル9が屈曲すると、欠相カム10が連動板14を介し開閉機構部20のトリップレバー21方向に移動する。
その結果、図8に示すように欠相カム10が開閉機構部20のトリップレバー21に接触する。これにより、開閉機構部20が動作して回路を遮断する。
このように、回路遮断器100を接続する電動機の定格電流に合わせた整定電流値を、調整ダイヤル12を利用して設定し、規格に応じて、万一過電流が流れた際には回路を遮断させることができる。
本発明に係る、回路遮断器100では、調整目盛り13は、従来方式のように1定格での調整を行い、調整された定格以外の他の目盛り位置又は目盛り幅が固定されているものではない。
以下、本発明に係る、回路遮断器100の調整目盛り13を付する方法について説明する。
回路遮断器100の製造時に、各製品個体に合わせて複数の所定の定格電流で、所定の時間UTC通電を行い、バイメタル9が安定した後に調整ダイヤル12を回転させ実際に開閉機構部20による遮断動作を行う。
そして、その時に調整ダイヤ12ルの指示部が指す位置を測定する。
所定の定格電流についてこれを繰り返した後、調整目盛り13を回路遮断器100に付する。
調整した定格以外の目盛りを、調整した複数の定格の目盛り位置に応じ、その間隔を調整して付しても良い。
このように、各製品に合わせて、調整目盛り13の位置およびその間隔が実際に測定して調整された調整目盛り13を付する構成にすることで、固定された目盛り幅の目盛りを各個体に使用する従来方式に比べ、カム機構を介したトリップレバー21と欠相カムの間の間隔を精度良く調整でき、各製品の組立精度ばらつき、バイメタル9の寸法精度、湾曲係数、抵抗率などのバラつきに対応した製品を製造できる。
その結果、各製品で定格ごとの遮断特性バラつきが減少し、整定電流で規格に応じた遮断特性を向上させることができる。
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2に係る回路遮断器の製造方法について、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1では、熱動式過負荷引き外し装置8の複数の整定電流値を設定するための調整目盛り13を付する方法について説明した。
本実施の形態2では、調整目盛り13を付する順序を電流値の低い定格より順に付するようにする。バイメタル9は、通電後、その位置が安定(飽和)するまでにある程度の時間を要する。同一ワーク内の複数の定格においてバイメタル9をより早く飽和状態とする方法の一つとして、低い電流値の定格から先に調整し、次第に高い電流値の調整を行う方法がある。複数の金属の熱膨張差を利用するバイメタルの特性上有利である。
本発明の実施の形態2に係る回路遮断器の製造方法によれば、各製品の目盛り印刷に要する時間を短縮することができる。
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3に係る回路遮断器の製造方法について、実施の形態1及び実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1及び2では、調整目盛り13は筐体カバー2側に付していた。
本実施の形態3では、調整目盛りが調整ダイヤル12に付され、指示部が筐体カバー2側に付されている。
これにより、筐体カバー2の指示部が全てのワーク間で統一され、調整ミスなどによる再調整時にも調整ダイヤル12の交換のみを行い、筐体カバー2の再利用が可能となる。
100 回路遮断器、1 回路遮断器筐体、2 筐体カバー、3 操作ハンドル、
4 電源側端子、5 負荷側端子、7 電磁過負荷引き外し装置、
8 熱動式過負荷引き外し装置、9 バイメタル、10 欠相カム、
11 補償バイメタル、12 調整ダイヤル、121 軸、13 調整目盛り、
14 連動板、20 開閉機構部、21 トリップレバー。

Claims (4)

  1. サーマルリレー機能を有する回路遮断器の製造方法において、遮断容量に応じた複数の定格に関し、それぞれ所定の電流で所定の時間、通電を行い、前記回路遮断器の欠相カムと開閉機構部のトリップレバーの間隔を調整する調整ダイヤルを操作して強制的に前記開閉機構部を作動させ、
    前記開閉機構部が作動した時の前記調整ダイヤルの位置を測定し、それぞれの前記整定電流値に対して、前記開閉機構部が作動した時の前記調整ダイヤルの位置を前記回路遮断器に付する回路遮断器の製造方法。
  2. 前記所定の電流が小さい定格順に通電し、調整する請求項1に記載の回路遮断器の製造方法。
  3. 前記回路遮断器のカバーに調整目盛りを付し、前記調整ダイヤルは、前記調整目盛りに合わせて指示する請求項1又は請求項2に記載の回路遮断器の製造方法。
  4. 前記調整ダイヤルに調整目盛りを付し、前記回路遮断器のカバーに前記調整目盛りを合わせて指示する請求項1又は請求項2に記載の回路遮断器の製造方法。
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