JP5570023B2 - 回路遮断器 - Google Patents

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Description

本発明は、回路遮断器に用いられるバイメタルの構造に関する。
回路遮断器の過電流引き外し部には、熱膨張率の異なる2枚の金属片を貼り合わせたバイメタルが使用される。一般的に、定格電流が低い回路遮断器には、特許文献1に示されるように、バイメタルに直接電流を流すことによりバイメタルを湾曲させる直熱式の過電流引き外し機構が用いられる。
バイメタルは、熱膨張率の異なる金属片を重ね合わせて構成したものであり、可動接触子と固定接触子間に流れる電流により発熱して湾曲する。可動接触子と固定接触子間に過電流が流れた場合には、バイメタルが大きく湾曲して、バイメタルの自由端が、トリガーレバーに取り付けられた調整ねじを押圧して、トリガーレバーが傾動して、開閉機構のラッチが外れ、複数の可動接触子の可動接点が同時に複数の固定接触子の固定接点から引き剥がされるようになっている。つまり、バイメタルの発熱によるバイメタルの自由端位置の変位により、開閉機構が作動して、可動接点が固定接点から引き剥がされるようになっている。
モータ保護遮断器は、定格電流の600%以上の電流を流した際の必要な引き外し動作時間が、モータ保護遮断器の安全規格(UL 508(工業用制御装置の安全規格))として定められている。この安全規格には、図に示されるようなI−t特性(電流と引き外し時間との関係を示した特性)が規定されている。図に示すように、通電量(600%)に対し、引き外し時間はt1以上t2以下であることが、モータ保護遮断器の安全規格に定められている。しかし、バイメタルを使用する直熱式の回路遮断器の場合にはt1時間以下で引き外しを行ってしまう問題があった。これは、バイメタル全体が発熱する場合には、バイメタルの支持部近傍も発熱により湾曲し、図に示されるように、バイメタル20全体が支持部を支点として大きく傾動してしまい、バイメタル20の自由端が俊敏に変動してしまうからである。
このため、定格30A以下の場合、熱動式ではなく、ダッシュポットを用いた完全電磁式が採用される。近年、直流の用途が増えつつあるが、完全電磁式では直流遮断が困難となるデメリットがある。
特開平5−198238号公報
本発明は、上記問題を解決し、バイメタルを使用した熱動式の引き外し機構であっても、過電流が流れた際の引き外し時間を適切な範囲とすることができる回路遮断器を提供することを目的とする。
固定接点が形成された固定接触子と、
前記固定接点と離接する可動接点が形成された可動接触子と、
固定接触子と可動接触子間に流れる電流により発熱して湾曲し、基端で支持され、先端が自由端となっているバイメタルと
記可動接点を固定接点から引き剥がす開閉機構と、
前記バイメタルの発熱による前記バイメタルの自由端位置の変位により、前記開閉機構が作動して、可動接点が固定接点から引き剥がされる回路遮断器において、
前記バイメタルの基端側から自由端側にかけて、開口幅が徐々に大きくなる連通孔を形成することにより、前記バイメタルの中間位置よりも自由端側に、通電により前記バイメタルの支持部側より多く発熱する発熱部を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、バイメタルの中間位置よりも自由端側に通電によりバイメタルの支持部側より多く発熱する発熱部を設けたので、バイメタルの中間位置よりも自由端側で多く湾曲し、バイメタルの自由端位置の変動量を緩慢とさせることが可能となり、過電流が流れた際の引き外し時間を適切な範囲とすることができる回路遮断器を提供することが可能となる。
本発明の原理を示した説明図である。 参考実施形態のバイメタルの斜視図である。 実施形態のバイメタルの斜視図である。 複数極用回路遮断器の斜視図である。 モータ保護遮断器の安全規格のI−t特性を表したグラフである。 従来のバイメタルの変動を表した説明図である。
(回路遮断器の基本構成の説明)
回路遮断器100の過電流引き外し機構は、図に示されるように、複数の可動接触子11が単一のクロスバー(図示せず)に取り付けられ、このクロスバーがメカフレーム15に回動可能に取り付けられ、複数の可動接触子11の可動接点が複数の固定接触子の固定接点と離接可能となって構成されている。バイメタル20は、熱膨張率の異なる金属片を重ね合わせて構成したものであり、可動接触子11と固定接触子間に流れる電流により発熱して湾曲する。可動接触子11と固定接触子間に過電流が流れた場合には、バイメタル20が大きく湾曲して、バイメタル20の自由端が、トリガーレバー18に取り付けられた調整ねじ19を押圧して、トリガーレバー18が傾動して、開閉機構16のラッチが外れ、複数の可動接触子11の可動接点が同時に複数の固定接触子の固定接点から引き剥がされるようになっている。つまり、バイメタル20の発熱によるバイメタル20の自由端位置の変位により、開閉機構16が作動して、可動接点が固定接点から引き剥がされるようになっている。図において、13は外部接続端子であり、14は接続導体である。接続導体14は、外部接続端子13とバイメタル20の自由端とを接続している。なお、図示していないがバイメタル20の基端である支持部には可動接触子11と接続される接続導体が形成されている。接続導体の支持部もしくは自由端に取り付ける接続導体の取付場所は逆であっても問題ないものである。そのため、下記以降に示す実施形態においては接続導体に接続される外部接続端子13及び可動接触子11の記載については省略するものである。
(本発明の原理)
図1に示されるように、本発明では、バイメタル20の中間位置よりも自由端側に、通電によりバイメタル20の支持部側より多く発熱する発熱部を設けることにより、バイメタル20の自由端部分を緩慢に変動させて、過電流が流れた際の引き外し時間を適切な範囲とすることとしている。詳しく説明すると、バイメタル20全体の変動量を小さくして、バイメタル20基端の支持部近傍の変動量を小さくさせるとともに、バイメタル20の中間位置よりも自由端側にバイメタル20の支持部側より多く発熱する発熱部を設け、バイメタル20の中間位置よりも自由端側で湾曲させることにより、バイメタル20の自由端位置の変動量を緩慢させている。本発明では、バイメタルを使用する熱動式の回路遮断器なので、直流遮断が可能となる。
参考実施形態)
参考実施形態は、図2に示されるように、バイメタル21の中間位置よりも自由端側に、発熱部として連通孔21aを形成した実施形態である。このため、発熱部である連通孔21aが形成されている部分のバイメタル21の断面積は小さいことから、電気抵抗が他の部分と比べて大きく、連通孔21aが形成されている部分が発熱し、当該部分が大きく湾曲する。
なお、バイメタル21の基端は、支持部21bとなっていて、当該部分でバイメタル21が支持され、バイメタル21の先端側は自由端となっている。バイメタル21の基端には、可動接触子11と接続する接続導体17が接続されている。バイメタル21の自由端部には、接続導体14が接続されている。また、バイメタル21の自由端から所定寸法離間した位置には、トリガーレバー18に取り付けられた調整ねじ19が配設されている。これら、バイメタル21の支持構造、バイメタル21への接続導体14、17の接続構造、及び、調整ネジ19の配設位置は、特に記載しない限り、以下に説明する実施形態についても、参考実施形態と同一である。
実施形態)
実施形態は、図3に示されるように、バイメタル22に、バイメタル22の支持部23b側から自由端側に向けて、開口幅が徐々に大きくなる連通孔22aを形成した実施形態である。これにより、バイメタル22の支持部22b側に比べて自由端側の方が、バイメタル22の断面積が小さいので、電気抵抗が大きく、発熱量が大きいため、大きく変形する。本実施形態も、バイメタル22がバイメタル22の支持部22b側より多く発熱する発熱部は、バイメタル22の中間位置よりも自由端側に位置している。
上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う回路遮断器もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1 ベース
11 可動接触子
13 外部接続端子
14 接続導体
15 メカフレーム
16 開閉機構
17 接続導体
18 トリガーレバー
20 バイメタル(従来)
21 バイメタル(参考実施形態)
21a 連通孔
21b 支持部
22 バイメタル(実施形態)
22a 連通孔
22b 支持部
100 回路遮断器

Claims (1)

  1. 固定接点が形成された固定接触子と、
    前記固定接点と離接する可動接点が形成された可動接触子と、
    固定接触子と可動接触子間に流れる電流により発熱して湾曲し、基端で支持され、先端が自由端となっているバイメタルと
    記可動接点を固定接点から引き剥がす開閉機構と、
    前記バイメタルの発熱による前記バイメタルの自由端位置の変位により、前記開閉機構が作動して、可動接点が固定接点から引き剥がされる回路遮断器において、
    前記バイメタルの基端側から自由端側にかけて、開口幅が徐々に大きくなる連通孔を形成することにより、前記バイメタルの中間位置よりも自由端側に、通電により前記バイメタルの支持部側より多く発熱する発熱部を形成したことを特徴とする回路遮断器。
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