JP2010176411A - 画像センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】画像センサユニットに対する隙間をおいた画策行為を精度良く検出する。
【解決手段】画像センサ1は、画像処理部10において、撮像部20が撮影した画像の輝度分散が小さく、かつ、ブロック分割手段130で複数に分割された前記画像においてブロックの一部又は全部について周辺の方が明るい場合に、該画像が隙間をおいて視野妨害された画像であると判定手段200により判定する。撮像手段と視野妨害手段との間に隙間が無いペンキ塗布などの画策行為を検出できるだけでなく、撮像手段の前に布を垂らす等の画策行為も検出できるので、画像センサの視野を妨害する行為に対して堅牢な監視が可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、監視領域を監視しうる位置に設置され、当該監視領域内への侵入者等を検出する画像センサに好適であり、特に画像センサの撮像手段をペンキやテープ等で密着して覆う画策行為(視野妨害行為)に加え、さらに画像センサの撮像手段を布等の遮蔽物によって隙間をおいて覆うなどの画策行為(視野妨害行為)をも検出することができる画像センサに関する。
画像処理により侵入者を検出する画像センサが知られている。しかし、侵入者においては、犯罪行為の発覚を逃れるためにセンサユニットにペンキを塗布したり、テープを貼付して視野を妨害する画策行為に及ぶ可能性がある。
このような行為に対応するために、特許文献1には、得られた画像をブロック分けし、高周波成分が大幅に減ったブロック数を計数し、それが一定数以上存在する場合には前記のような画策行為がなされたとして通報する画像センサが開示されている。
また特許文献2には、カメラレンズ面の近くに専用照明装置を具備して、定期的に弱照明と無照明の状態を作り出して各状態における画像をそれぞれ取得し、弱照明時の画像と無照明時の画像の輝度差を利用して直近の物体だけを検知する手法が開示されている。
特開2000−194969号 特開2001−266114号
特許文献1の方法では、監視領域に物があまり置かれておらず、暗い照明条件の場合、判断がつきにくくなり、誤通報が多くなる可能性があった。また、画像センサユニットにペンキを塗布したり、テープを貼付するような、撮像手段と視野妨害手段との間に隙間がない画策行為ではなく、図10にて示すような、視野妨害手段である布を、画像センサユニットの前面側に隙間をおいて垂らすような場合には、高周波成分が大幅に減るとは限らず、判断が難しい場合もあった。
図10(a)は特に画策行為はされておらず、正常に監視している状態である。符号500と501で示す直線に挟まれる領域が画像センサユニット1の視野である。
図10(b)は、画像センサユニット1の前に布502を垂らして画策行為を行った状態である。得られる画像の模式図が図10(c)である。同図に示すように、画像の上部は光が入らず暗いが、下部は光が差し込み、下部に向かって明るくなるグラデーションのような画像が得られる。また、多少のテクスチャも得られることが多いので、特許文献1の方法では高周波成分が大幅に減ることを条件としているため、判断が難しいことがわかる。
図10(d)は、同図(b)の場合よりも、画像センサユニット1に対して隙間を大きくあけて布503を垂らして画策行為を行った状態である。得られる画像の模式図が図10(e)である。下の方に向かって明るくなることに加え、左右からも光が差し込むので、画像の左右も多少明るくなる画像が得られる。この状態も前記と同じ理由で判断が難しい。
特許文献2の方法では、特殊な照明装置の存在が前提となるので、必ずしもそのような照明装置を全ての画像センサが備えているとは限らず、一般的なものとは言えない面があった。
そこで、本発明においては、画像監視において一般的に求められる侵入者の検出を行うことができる画像センサに好適であり、従来は検出が難しかった画像センサユニットに対する隙間をおいた画策行為を精度良く検出することができる画像センサを提供することを目的とする。
請求項1に記載された画像センサは、
撮像手段への視野妨害行為による画像の異常を検出する画像センサであって、
監視領域の画像を撮影する撮像部と、
前記撮像部が撮影した前記画像の輝度分散が小さく、かつ、前記撮像部が撮影した前記画像の周辺部が該周辺部の内側に比べて輝度が高いと判断すると、前記画像は視野妨害された画像であると判定する画像処理部を具備することを特徴としている。
請求項2に記載された画像センサは、請求項1に記載の画像センサにおいて、
前記画像処理部が、
前記画像を所定数のブロックに区分するブロック分割手段を備えており、
前記画像の周辺部に位置するブロックの一部または全部が該周辺部に位置するブロックよりも内側に位置するブロックに比べて輝度が高い場合に前記画像の周辺部が該周辺部の内側に比べて輝度が高いと判断することを特徴としている。
請求項3に記載された画像センサは、請求項2に記載の画像センサにおいて、
前記画像処理部が、
前記ブロックごとに前記画像の輝度分散値を算出する輝度分散算出手段と、
前記ブロックごとに前記画像の平均輝度を算出する輝度算出手段と、
前記ブロックから、前記画像の周辺に位置する一の外周ブロックと該外周ブロックより内側に位置する一の内周ブロックとを対応させたブロックペアを複数組選択するブロック選択手段と、
前記各ブロックの輝度分散値が第1の分散閾値以下であるブロック数が第1のブロック数閾値以上であり、かつ、前記内周ブロックの平均輝度と前記外周ブロックの平均輝度の差が内外ブロック輝度差閾値以上であるブロックペア数がブロックペア数閾値以上の場合に、前記画像が視野妨害された画像であると判定する判定手段を具備することを特徴としている。
請求項4に記載された画像センサは、請求項3に記載の画像センサにおいて、
前記ブロック選択手段が、
前記内周ブロックを、前記外周ブロックに隣接するブロックから選択することを特徴としている。
請求項5に記載された画像センサは、請求項3又は4に記載の画像センサにおいて、
前記各ブロックの輝度分散値が、前記第1の分散閾値よりも小さい第2の分散閾値以下であるブロック数が、第2のブロック数閾値以上の場合にも、前記画像が視野妨害された画像であると前記判定手段が判定することを特徴としている。
請求項6に記載された画像センサは、請求項3乃至5のいずれか1つに記載の画像センサにおいて、
前記撮像部の近傍に配置されて前記監視領域を照射する照明部をさらに有し、
前記ブロック選択手段は、前記撮像部にて撮影された画像のうち、前記照明部に照らされて前記監視領域内で高輝度となった被照明物に対応する前記画像内の高輝度領域から、前記外周ブロックを選択することを特徴としている。
本願発明に係る画像センサによれば、撮像手段の前に布を垂らす等、撮像手段と視野妨害手段との間に隙間を持って画策する行為も検出することができるので、画像センサの視野を妨害する行為に対して堅牢な監視が可能となる。従って、本願発明に係る画像センサを画像監視システムに適用すれば、画像センサに対する視野妨害行為を確実かつ速やかに検出できるので、不審者が視野を妨害する行為(以下、本明細書では「マスク画策」と称する)を行った後に犯罪を試みることを早期に検出することが可能となる。
図1は本発明の実施形態に係る画像監視システムの全体構成を示す図である。 図2は前記画像監視システムで使用される画像センサの構成図である。 図3(a)は前記画像センサにおいて入力画像をブロックに分割する場合の分割態様の一例を示す図であり、図3(b)は図3(a)のように分割された複数のブロックを、輝度判断のために内周ブロックと外周ブロックのペアに組み合わせて選択した例を示す図である。 図4は前記画像センサの動作を示す流れ図である。 図5は図4のS0005で行なわれるマスクブロックの判定処理の詳細を示す流れ図である。 図6は図4のS0006で行なわれるマスク候補ブロックの判定処理の詳細を示す流れ図である。 図7は図4のS0010で行なわれる周辺明ブロックの判定処理の詳細を示す流れ図である。 図8は図4のS0013で行なわれるマスク判定処理の詳細を示す流れ図である。 図9(a)は前記画像監視システムにおいて撮像部の両側に照明部が配置されている場合に、間隔をおいて画策が行なわれた状態を示す模式的平面図であり、図9(b)は図9(a)の場合に得られる入力画像を示す図である。 図10は従来の画像センサユニットにおける問題点を説明するための図であって、同図(a)は従来の画像センサユニットが監視領域を正常に監視している状態を示す図であり、同図(b)は従来の画像センサユニットの前に布を垂らす画策行為が行なわれた状態を示す図であり、同図(c)は同図(b)の場合に得られる入力画像を示す図であり、同図(d)は従来の画像センサユニットの前に同図(b)の場合よりも間隔をおいて布を垂らす画策行為が行なわれた状態を示す図であり、同図(e)は同図(d)の場合に得られる入力画像を示す図である。
図1は、本発明の画像センサ1を適用した画像監視システム1000の全体構成を示す図である。図1に示すように、図示しない監視対象の建物にコントローラ3が設置され、このコントローラ3に複数の画像センサ1が接続される。画像センサ1の他に火災センサを適宜増設しても良い。コントローラ3は、通信回線4を介して、遠隔地の監視センタに設けられた警備センター装置5と接続される。
画像センサ1とコントローラ3との接続は、信号線2(LAN:Local Area Network)によって行われる。画像センサ1からコントローラ3へは、画像センサ1にて取得した画像や、侵入者の有無、マスク画策行為の有無などの信号が送信される。コントローラ3から画像センサ1へは、監視領域について、警戒状態の開始や終了などのモード設定信号などが送信される。
警戒状態中に画像センサ1が侵入者の存在を検出すると、コントローラ3は通信回線4を介して警備センター装置5に侵入者の存在を示す異常信号を送信する。また、画像センサ1に対し、視野を妨害する行為がなされた場合には、警戒状態中か否かに関わらずその旨を表す異常信号を送信する。
尚、本実施の形態においては、画像センサ1が侵入者の存在を検出するものとして説明するが、これに限定されるものではない。例えば、画像センサ1は、以下に述べるような視野妨害の検出に特化して使用するものとし、侵入者の検出は公知のセンサ類、例えば赤外線を使った受光型センサ(PIR)や、マイクロ波やレーザー光を使った測距型のセンサに行わせるようにしても良い。
図2に、画像センサ1の構成図を示す。
画像センサ1は、画像処理部10、撮像部20、記憶部30、必須ではないが好適な形態として照明部40を備える。
画像処理部10は、図2に示す各手段を有する。
このうち画像取得手段110はインターフェース回路やドライバソフトなど、一般的な手段にて構成され、撮像部20にて取得された画像信号を画像処理部10にて処理できるようにデジタル化する。
移動物体抽出手段120は、撮像部20が取得した入力画像に映り込んでいる移動物体、即ち多くは侵入者などを検出する。記憶部30に記憶された背景画像(不図示)との画素毎の差分を行い、輝度情報に基づいて検出する。この方法については公知の方法を用いれば良いので詳細は省略する。
ブロック分割手段130は、入力画像を既定の数にブロック分割する。図3(a)にその例を示す。図3(a)では入力画像300を縦方向を6、横方向を8に分割した例を示したが、この分割数に限定されるものではない。また、分割されたブロックのサイズが位置によって異なるようにしてもよい。さらには、入力画像中のブロックが互いに重なりあように入力画像をブロック分割してもよい。この場合には、例えば隣接する2つのブロックには、それぞれ部分的に共通する複数個ずつの画素が含まれることとなる。また必ずしも矩形に分割する必要は無く、設置場所や処理負荷を鑑みて、他の形に分割しても良い。
輝度分散算出手段140は、ブロック分割手段130にて分割されたブロックごとに輝度分散を算出する。輝度分散の算出方法は公知であるので、詳細は省略する。
マスクブロック計数手段150は、輝度分散算出手段140が算出した各ブロックの輝度分散値を参照し、所定の閾値以下であるブロック数を計数し、後述の判定手段200にて、画像センサ1がペンキ塗布やテープ貼付などにより、隙間の無いマスク画策行為がなされたかどうかを判定する。このようなマスク画策行為がなされたことを検出するには、従来技術としての特開2000−194969号(前記特許文献1)に開示されているように、高周波成分が少ないことを検出すればよく、高周波成分を検出するためには上記従来技術で用いられているエッジ強度の代わりに輝度分散値を用いることができるので、その詳細は省略する。
尚、マスクブロック計数手段150にて計数されるブロックは、輝度分散値が通常よりも大幅に低く、高周波成分がほとんど失われた状態であり、マスクブロック計数手段150は明らかにマスク画策であると判断されるブロックを計数する。
マスク候補ブロック計数手段160は、輝度分散算出手段140が算出した各ブロックの輝度分散値を参照し、所定の閾値以下であるブロック数を計数し、後述のブロックペア計数手段190の計数結果と合わせて、後述の判定手段200にて、画像センサ1が、隙間を持って布を垂らすなどのマスク画策がなされたかどうかを判定する。
このマスク候補ブロック計数手段160で用いられる輝度分散に関する閾値は、前述のマスクブロック計数手段150にて用いられる輝度分散に関する閾値よりも高いものとし、輝度分散が低下しているものの、明らかに正常とは判断しきれない状態のブロックを計数することを目的とする。
ブロック選択手段170は、ブロック分割手段130にて分割されたブロックのうち、入力画像の周辺部分が明るいかどうかを判定するためのブロックを選択する。選択には図3(a)の符号310と符号320のように、外周に近い符号310のブロック(以下、「外周ブロック」とする)と、内側に近い符号320のブロック(以下、「内周ブロック」とする)を組み合わせ(以下、「ブロックペア」)とし、最低限両者を1つずつ組み合わせてペアとして選択する。
外周ブロックと内周ブロックとの組み合わせは1対1で説明するが、可能であれば1対多、多対1、多対多によってもよい。また外周ブロックと内周ブロックは隣接するものとして説明するが、ブロック数が多い場合には必ずしも隣接する必要は無い。さらに、外周ブロックは画像の外周部に接する、最も外側のブロックから選択する必要はなく、内周ブロックよりも外側にあるという条件を満たせば良い。すなわち、「外周」及び「内周」という語は、入力画像におけるペアとしての外周ブロックと内周ブロックの相対的な位置関係に対応するものである。
図3(b)では、符号340の矢印で示される内外2個のブロックペアを20組選択した様子を示している。
輝度算出手段180は、ブロック選択手段170が選択した各ブロックペアにおいて、外周ブロックと内周ブロックのそれぞれについて、各ブロックが含んでいる画素の平均輝度を求め、当該ブロックの輝度とする。
ブロックペア計数手段190は、ブロック選択手段170が選択した外周ブロックと内周ブロックの組み合わせである複数のペアの各々について、輝度算出手段180が算出したそれぞれの外周ブロック及び内周ブロックの各平均輝度を比較し、外周ブロックの平均輝度と内周ブロックの平均輝度の差が所定の閾値よりも大きい(外周ブロックの平均輝度の方が高い)組み合わせ(以下、「周辺明ブロックペア」とする)を計数する。
周辺明ブロックペアとして計数されたペアが多いほど、入力画像は、周辺部分が中央部分よりも明るい画像になっていることを表している。
判定手段200は、(i)移動物体抽出手段120が抽出した物体が検出の対象である侵入者であるかどうか、(ii)マスクブロック計数手段150が計数したブロックが所定以上の数であるかどうか、(iii)マスク候補ブロック計数手段160が計数したブロック数が所定以上の数であり、かつブロックペア計数手段190が計数した周辺明ブロックペアが所定以上の数であるかどうか、を判定する。
(i)が満たされた場合には、侵入者有りとの通報を出力手段210経由で、コントローラ3に出力する。
(ii)または(iii)が満たされた場合には、視野妨害の画策がなされたとの通報を出力手段210経由で、コントローラ3に出力する。
(ii)が満たされるのは、ペンキ塗布などの隙間の無いマスク画策の場合であり、(iii)が満たされるのは、布を隙間をもって垂らすなどのマスク画策の場合である。
出力手段210は、信号線2とのインターフェース回路であり、適宜周知のものを用いることができる。
撮像部20は、監視対象である侵入者等の移動物体について検知が行われる監視領域を撮影するべく適当な位置に設置された撮像手段であり、入力画像としての監視画像を取得するためのいわゆるカメラである。撮像部20にはNTSCタイプや高解像度タイプなどの一般的な物を用いることができる。撮像部20は一定の時間間隔(例えば1/5秒)毎に撮影を行い、入力画像を取得する。入力画像は各画素が0〜255の輝度値を有する画像データとして表現され、取得される度に画像処理部10の画像取得手段110に送信する。
記憶部30は、半導体メモリや磁気ディスクなどで構成され、各種閾値や移動物体抽出手段120において用いられる背景画像や、ソフトウエアで実現される画像処理部10のプログラムなどを記憶する。
次に、図4を参照し、画像センサ1の動作について説明する。この動作は撮像部20が入力画像を取得する度に実行される。
尚、移動物体抽出手段120によって実行される侵入者などの検出処理は、公知のものを用いれば良く、以下に述べる画策検出処理とは独立に行われるので、本実施の形態では説明を省略する。
ステップS0001にて、撮像部20は、監視領域を撮影した入力画像を取得し、画像取得手段110に送信する。画像取得手段110は、受信した入力画像をデジタル化し、移動物体抽出手段120とブロック分割手段130に渡す。
ステップS0002にて、ブロック分割手段130は、画像取得手段110より受信した入力画像を既定の数にて分割する。例えば図3(a)に示すように、縦6、横8の48ブロックに分割する。
ステップS0003にて、記憶部30に記憶されており、マスクブロック計数手段150でのカウンタに用いられるマスクブロック数、マスク候補ブロック計数手段160でのカウンタに用いられるマスク候補ブロック数、ブロックペア計数手段190でのカウンタに用いられる周辺明ブロックペア数を、それぞれ0に初期化する。
ステップS0004からS0008では、マスクブロック計数手段150とマスク候補ブロック計数手段160が、ステップS0002にてブロック分割手段130が分割したブロックを順次走査して、処理対象のブロックを特定する。
ステップ0004では最初のブロックを特定する。次にステップS0005にて、特定したブロックがマスクブロックか否かを判定し、マスクブロックならば、カウンタであるマスクブロック数を1増やす。
図5はステップS0005におけるマスクブロックの判定処理を詳細に示している。
ステップS1001にてマスクブロック判定を開始する。
ステップS1002にて、処理対象として特定されたブロックについて輝度分散算出手段140が算出した輝度分散を分散閾値Th1(以下、閾値Th1と称する。「発明を解決するための手段」における第2の分散閾値に対応する。)と比較する。
輝度分散値が閾値Th1より小さいとき(ステップS1002にてYes)は、画像のコントラストが低いときであるので、この判定は当該ブロックが低コントラスト状態かどうかを判定していることになる。閾値Th1は実験により求める。この閾値は、正常状態のブロックをマスク画策の影響を受けたブロックとしないよう、確実に判断できるような閾値を適用する。たとえば、Th1=100とする。
なお、マスクブロック判定は、輝度分散値以外にも空間的な輝度微分(エッジ強度)が所定値よりも小さいかどうか等、選択したブロックが低コントラストであるかどうかを判定するための他の手段を利用したり、併用したりすることもできる。
ステップS1002で、輝度分散値が閾値Th1より小さいと判断された場合(Yesの分岐)には、ステップS1003にて、マスクブロック計数手段150は、カウンタであるマスクブロック数を1増やす。そうでない場合(ステップS1002にてNoの分岐)には何もしない。
ステップS1004にてマスクブロック判定を終了する。
図4に戻り、ステップS0006にて、特定したブロックがマスク候補ブロックか否かを判定し、マスク候補ブロックならば、カウンタであるマスク候補ブロック数を1増やす。
図6は、このマスク候補ブロックの判定処理を詳細に示している。
ステップS2001にてマスク候補ブロック判定を開始する。
ステップS2002にて、処理対象として特定されたブロックについて輝度分散算出手段140が算出した輝度分散を分散閾値Th2(以下、閾値Th2と称する。「発明を解決するための手段」における第1の分散閾値に対応する。)と比較する。
輝度分散値が閾値Th2より小さいとき(ステップS2002にてYesの分岐)は、画像のコントラストが低いときであるので、この判定は当該ブロックが低コントラスト状態かどうかを判定していることになる。閾値Th2は実験により求めるが、この閾値は、S1002で判定したマスクブロック判定のための閾値Th1よりも高い値に設定し、マスク画策によるものである可能性も否定しきれないブロックもマスク候補ブロックになるようにする。たとえば、Th1=100よりも大きいTh2=600として、マスクブロックより多くのブロックがマスク候補ブロックになるようにする。
なお、マスク候補ブロック判定に、輝度分散値以外にも空間的な輝度微分(エッジ強度)が所定値よりも小さいかどうか等、選択したブロックが低コントラストであるかどうかを判定するための他の手段を利用したり、併用したりすることもできるのは、マスクブロック判定の場合と同様である。
ステップS2002で、輝度分散値が閾値Th2より小さいと判断された場合には、ステップS2003にて、マスク候補ブロック計数手段160は、カウンタであるマスク候補ブロック数を1増やす。そうでない場合(ステップS2002にてNo)には何もしない。
ステップS2004にてマスク候補ブロック判定を終了する。
図4に戻り、ステップS0007とS0008にて、ステップS0005とS0006の処理を行っていないブロックがあるかどうかを調べ、ある場合には繰り返すものとする。全てのブロックについてステップS0005とS0006の処理が終われば、マスクブロック数とマスク候補ブロック数が確定したことになる。
次に、ステップS0009からステップS0012においては、ブロック選択手段170が選択したブロックペアについて、順に特定して処理を行う。前述のようにブロックペアの例は図3(b)の符号340に示されている。
ステップS0009では最初のブロックペアを選択する。次にステップ0010において、周辺明ブロックペアか否かを判定し、周辺明ブロックペアならば、カウンタである周辺明ブロックペア数を1増やす。
図7は、この周辺明ブロックペアか否かの判定処理を詳細に示している。
ステップS3001にて周辺明ブロックの判定を開始する。
ステップS3002において、各ブロックペア毎に、輝度算出手段180が算出した内周ブロック、外周ブロックのそれぞれの平均輝度を比較する。そして外周ブロックの方が内周ブロックに比べて内外ブロック輝度差閾値Th3(以下、閾値Th3と称する。)より明るいか否かを調べる。閾値Th3は実験的に求めるものする。例えばTh3=5とできる。
外周ブロックの方が内周ブロックに比べて、閾値Th3よりも明るい場合(ステップS3002においてYesの分岐)(以下、「周辺明状態」と呼ぶ)は、ステップS3003にて、カウンタである周辺明ブロックペア数を1増やす。周辺明ブロックは、視野妨害に用いられた布などとカメラレンズの隙間から、環境光が漏れ込んだ状態を表すブロックである。
外周ブロックの方が内周ブロックに比べて、閾値Th3よりも明るくない場合(ステップS3002においてNoの分岐)では何もしない。
ステップS3004にて周辺明ブロックの判定を終了する。
図4に戻り、ステップS0011とS0012にて、ステップS0010の処理を行っていないブロックペアが無いかを調べ、あった場合にはステップS0010の処理を行い、全てのブロックペアについてステップ0010の処理を行ったと判定される場合には、S0013のマスク判定処理に進む。
なお、ブロックペアの設定方法としては、前述のように、外周ブロックと内周ブロックの位置関係の類型を示したが、その他に、画像センサ1の構造や、画像センサ1の設置条件に対応して設定しても良い。
例えば、図2に示す本例のように、画像センサ1に照明部40が追加されている場合には、ブロック選択手段170は、照明部40に近いブロックだけを利用してブロックペアを設定してもよい。例えば、図9(a)に示すように、照明部40が、撮像部20の横左右に設けられている場合には、入力画像の左右の端の領域からブロックペアを選択できる。図9(a)は、画像センサ1の筐体に収納されている撮像部20と照明部40に着目し、画像センサ1を上から見た場合の撮像部20と照明部40の位置関係を模式的に示したものである。
これは、図9(a)に示すように、視野妨害物としての布300を、画像センサ1の撮像部20の前に隙間が生じるように垂らすような画策の場合には、撮像部20の両側にある照明部40,40の各真正面にある布の各部分が高輝度になるためである。すなわち、図9(b)に示すように、この布300を写している照明部40の入力画像においては、布300の高輝度となった領域に対応するのは、入力画像中の左右の端にある領域であり、そこが集中的に明るくなる可能性が高くなる。このため、入力画像中の左右の端の領域からブロックペアを選択すれば、精度の高い検出が期待できる。
また、照明部40の近さやカメラの設置環境に応じて、ブロックペアの位置ごとに別々の閾値Th3を用意しても良い。
例えば、照明部40が具備されているカメラであって、カメラ左方に壁があるような設置環境の場合は、照明光が壁に反射して正常状態であっても漏れ込み状態との区別がつきにくくなる可能性があるので、画像左側のブロックペアについてはTh3を高くして、周辺明条件が成立しにくくすることができる。
また、画像センサ1の設置場所の都合で、図10(e)に示すような視野妨害のみが考えられる場合には、ブロック選択手段170は、画像中の上部からはブロックペアを選択しない設定にすることもできる。
図4に戻り、ステップS0013において、視野妨害であるマスク画策の判定処理を行う。図8は、このマスク画策の判定処理を詳細に示している。
ステップ4001にてマスク画策の判定処理を開始する。
ステップS4002にて、判定手段200は、図4のステップS0005にて、マスクブロック計数手段150が、マスクブロックと判断したブロック数がブロック数閾値Th4(以下、閾値Th4と称する。「発明を解決するための手段」における第2のブロック数閾値に対応する。)より大きいかどうかを調べ、大きい場合には(Yesの分岐)ステップS4005に進み、画像センサユニット1がペンキ塗布などの隙間の無いマスク画策をされていると判定する。
閾値Th4は、マスク画策されていない正常状態の画像を誤ってマスク画策されていると判断しないような値が望ましく、実験により求める。図3(a)のようなブロック分けに対しては、例えばTh4=40とすることができる。
ステップS4002にて、判定手段200が、マスクブロックと判断したブロック数が閾値Th4より小さいと判定した場合(Noの分岐)、更に、判定手段200は、図4のステップS0006にて、マスク候補ブロック計数手段160が、マスク候補ブロックと判断したブロック数がブロック数閾値Th5(以下、閾値Th5と称する。「発明を解決するための手段」における第1のブロック数閾値に対応する。)より大きいかどうか、かつ、図4のステップS0010にて、ブロックペア計数手段190が、周辺明ブロックペアと判断したブロックペアがブロックペア数閾値Th6(以下、閾値Th6と称する。)より大きいかどうかを調べる。
ステップS4003にて条件が満たされる場合(Yesの分岐)、視野妨害の画策がされている可能性があり、かつ周辺の光が差し込んでいる可能性がある場合なので、ステップS4005に進み、判定手段200は、画像センサユニット1に対して、隙間を持って布を垂らすなどのマスク画策がされていると判定する。
閾値Th5とTh6は実験により求める。図3(a)のようなブロック分けに対しては例えばTh5=40、Th6=12とすることができる。
このようにマスク候補ブロックのみの判断では、入力画像のコントラストが弱いと画策されていない状態を誤って画策されていると判断する場合もあるが、周辺明ブロックペアも参照することで、隙間を持って視野妨害をする画策行為を精度良く検出することができる。ステップS4003でNoの場合は、入力画像に十分なコントラストがあり、マスク画策はされていない正常な状態であると判定する。
図4に戻り、ステップS0014において、出力手段210は判定手段200の判定結果を信号線2を経由してコントローラ3へ出力する。尚、移動物体抽出手段120が、同時に入力画像中に侵入者の存在を判定した場合には、判定手段200は、視野妨害の画策検出信号に加え、侵入者検出信号も同時に出力する。
なお、上述した実施の形態では、マスク画策の判定のために入力画像をブロック分けし、ブロック間での平均輝度を比較していたが、その方法に限られるわけではない。例えば、ブロック分けをせず、入力画像の全体から算出された輝度分散が小さく、かつ、入力画像の中心付近の輝度と周辺付近の輝度を比較した結果、周辺の方が明るい場合にマスク画策を検出するようにしても良い。
上記の実施の形態では、撮像部20にて、画像が取得される度に画策行為の判定を行うものとし、画策が検出されたら直ちに出力するものとしていたが、図8のステップS4005の判定結果を所定時間にわたり記憶部30に記憶させ、連続的にマスク画策行為が検出された場合に、その旨出力することもできる。連続的なマスク画策行為としては、ステップS4002のみYesが連続する場合、ステップS4003のみYesが連続する場合、又はステップS4002とS4003のどちらかのYesが連続する場合のいずれでもよい。所定時間は例えば、10秒間とすることができる。これにより、例えば監視範囲の一時的な照明変動を画策行為と誤判定することを防ぐことができる。
尚、本実施の形態においては、画像センサ1が侵入者の存在を検出するものとして説明したが、前述したように、画像センサ1が侵入者の存在を検出せず、視野妨害の検出に特化して使用されるようにすることもできる。そのような場合には、図2における移動物体抽出手段120は省略でき、判定手段200は、マスクブロック計数手段150、マスク候補ブロック計数手段160、ブロックペア計数手段190の出力に従って判定することになる。
このように、本発明を視野妨害の検出に特化して適用するのは、例えば撮像部を監視カメラのように使用する場合に有用である。監視カメラは、通常長時間にわたって撮像を継続しているが、再生して映像をチェックするのは事件等が起こった場合だけというケースが多い。そのような場合に至って、初めて視野妨害されていたことが判明するのでは、監視カメラとしての役割がはたせない。このため、監視カメラに本発明の画像センサを適用すれば、視野妨害の画策がなされた場合には遅滞無く検出して警報を出力できるので有用である。
また、このように、本発明を視野妨害の検出に特化して適用した場合には、侵入者の検知は赤外線センサ等で別途行い、本発明に係る画像センサをカメラの画策防止専用として使用することとしてもよい。この場合には、本発明に係る画像センサは常時撮像を行なっていてもよいし、通常は停止しておき、侵入者を検知した赤外線センサ等の出力信号をトリガとして監視領域の撮像を開始するものとしてもよい。
以上説明したように、不審者などの移動物体を検出する画像センサにおいて、隙間を持ってマスク画策行為を行うと、周囲部分から光が差し込み、中央部分は光が当たらず暗いものの、周辺部分は明るいという特徴的な画像となる。加えて、ペンキをべったり塗布する場合などに比較すると、多少の輝度変化が見られる。本願発明者は、このような現象に着目し、これを画策判断のための指標として利用するとの発想に至り、周辺部分が明るく、多少の輝度変化がある場合には、センサユニット前面に隙間を持って中途半端にマスク(隠蔽、視野妨害)された状況であると判断し、マスク画策がなされたとして通報する画像センサを実現することができた。これにより、不審者がマスク画策を行った後に犯罪を試みることを早期に検出できるという実用上優れた効果が得られる。
1…画像センサ
10…画像処理部
20…撮像部
40…照明部
130…ブロック分割手段
140…輝度分散算出手段
170…ブロック選択手段
180…輝度算出手段
200…判定手段
Th1…第2の分散閾値
Th2…第1の分散閾値
Th3…内外ブロック輝度差閾値
Th4…第2のブロック数閾値
Th5…第1のブロック数閾値
Th6…ブロックペア数閾値

Claims (6)

  1. 撮像手段への視野妨害行為による画像の異常を検出する画像センサであって、
    監視領域の画像を撮影する撮像部と、
    前記撮像部が撮影した前記画像の輝度分散が小さく、かつ、前記撮像部が撮影した前記画像の周辺部が該周辺部の内側に比べて輝度が高いと判断すると、前記画像は視野妨害された画像であると判定する画像処理部を具備することを特徴とした画像センサ。
  2. 前記画像処理部は、
    前記画像を所定数のブロックに区分するブロック分割手段を備えており、
    前記画像の周辺部に位置するブロックの一部または全部が該周辺部に位置するブロックよりも内側に位置するブロックに比べて輝度が高い場合に前記画像の周辺部が該周辺部の内側に比べて輝度が高いと判断することを特徴とした請求項1に記載の画像センサ。
  3. 前記画像処理部は、
    前記ブロックごとに前記画像の輝度分散値を算出する輝度分散算出手段と、
    前記ブロックごとに前記画像の平均輝度を算出する輝度算出手段と、
    前記ブロックから、前記画像の周辺に位置する一の外周ブロックと該外周ブロックより内側に位置する一の内周ブロックとを対応させたブロックペアを複数組選択するブロック選択手段と、
    前記各ブロックの輝度分散値が第1の分散閾値以下であるブロック数が第1のブロック数閾値以上であり、かつ、前記内周ブロックの平均輝度と前記外周ブロックの平均輝度の差が内外ブロック輝度差閾値以上であるブロックペア数がブロックペア数閾値以上の場合に、前記画像が視野妨害された画像であると判定する判定手段を具備することを特徴とした請求項2に記載の画像センサ。
  4. 前記ブロック選択手段は、
    前記内周ブロックを、前記外周ブロックに隣接するブロックから選択することを特徴とする請求項3に記載の画像センサ。
  5. 前記判定手段は、前記各ブロックの輝度分散値が、前記第1の分散閾値よりも小さい第2の分散閾値以下であるブロック数が、第2のブロック数閾値以上の場合にも、前記画像が視野妨害された画像であると判定することを特徴とした請求項3又は4に記載の画像センサ。
  6. 前記撮像部の近傍に配置されて前記監視領域を照射する照明部をさらに有し、
    前記ブロック選択手段は、前記撮像部にて撮影された画像のうち、前記照明部に照らされて前記監視領域内で高輝度となった被照明物に対応する前記画像内の高輝度領域から、前記外周ブロックを選択することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1つに記載の画像センサ。
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