JP2010175261A - 熱量測定方法および熱量測定装置 - Google Patents
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Description
而して、このような熱量測定装置によれば、特に被測定ガスが、例えばLNG(液化天然ガス)とLPG(液化石油ガス)との混合ガスよりなる都市ガスなどのパラフィン系炭化水素ガスのみよりなるものである場合には、測定されるガスの熱量に高い信頼性が得られる。
熱量測定対象ガスの熱伝導率から得られる熱伝導率換算熱量A〔MJ/Nm3 〕と、当該熱量測定対象ガスの屈折率から得られる屈折率換算熱量B〔MJ/Nm3 〕とに基づいて、下記の式(1)により、2.91≦補正係数α≦3.75の条件にて熱量測定対象ガスの熱量Q〔MJ/Nm3 〕を算出することを特徴とする。
上記の熱量測定方法によって熱量測定対象ガスの熱量が算出されることを特徴とする。
図1は、本発明の熱量測定装置の構成の一例を示す説明図である。
この熱量測定装置10は、例えばガスパイプライン12内を図1の矢印方向に流通するガスの熱量を測定するために用いられるものである。
熱量測定装置10は、被測定ガス(熱量測定対象ガス)の熱伝導率から得られる熱伝導率換算熱量Aを測定するための熱伝導率換算熱量測定機構21と、当該被測定ガスの屈折率から得られる屈折率換算熱量Bを測定するための屈折率換算熱量測定機構23とを備え、当該熱伝導率換算熱量測定機構21において得られた熱伝導率換算熱量Aと、屈折率換算熱量測定機構23において得られた屈折率換算熱量Bとに基づいて被測定ガスの熱量Qを算出するための計算機構25が設けられている。
この計算機構25において算出された被測定ガスの熱量Qは、その熱量Qのデータがデータ送信路28を介して表示部27に送信され、この表示部27において被測定ガスの熱量Qが表示されることとなる。
図1において、16A、16Bおよび16Cは、ガスパイプライン12内を流通するガスを被測定ガスとして熱伝導率換算熱量測定機構21および屈折率換算熱量測定機構23の各々に供給するためのガス流路である。また、22は、熱伝導率換算熱量測定機構21において得られた熱伝導率換算熱量Aのデータを計算機構25に送信するためのデータ送信路であり、24は、屈折率換算熱量測定機構23において得られた屈折率換算熱量Bのデータを計算機構25に送信するためのデータ送信路である。
すなわち、特定の熱量測定方法によれば、被測定ガスの熱量Qは、熱伝導率換算熱量Aと、屈折率換算熱量Bとに基づき、前記式(1)により、2.91≦補正係数α≦3.75の条件で算出される。
ここに、式(1)において、算出される被測定ガスのの熱量Qと、計算に供される熱伝導率換算熱量Aおよび屈折率換算熱量Bの値の単位は、〔MJ/Nm3 〕である。
補正係数αが過小である場合には、熱伝導率換算熱量Aおよび屈折率換算熱量Bに生じた測定誤差を十分に補正することができず、最終的に得られる被測定ガスの熱量に、雑ガスが含有されていることに起因する誤差が生じてしまう。一方、補正係数αが過大である場合には、熱伝導率換算熱量Aおよび屈折率換算熱量Bに生じた測定誤差が適切に補正がされずに過剰の補正されるため、最終的に得られる被測定ガスの熱量に大きな誤差が生じてしまう。
具体的には、後述の実験例1から明らかなように、例えば雑ガスが酸素ガスのみである場合には、補正係数αは3.75であることが好ましく、雑ガスが窒素ガスのみである場合には、補正係数αは3.60であることが好ましく、雑ガスが二酸化炭素ガスのみである場合には、補正係数αは2.91であることが好ましい。
具体的には、被測定ガスは、パラフィン系炭化水素ガスのみを含有するガス、およびパラフィン系炭化水素ガスよりなる主成分と共に、他の成分として、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスのうちの少なくとも1種を雑ガスとして含有してなるものである。
また、熱量測定装置10は、被測定ガスが、例えばLNGとLPGとの混合ガスよりなる都市ガスなどのパラフィン系炭化水素ガスのみよりなるものである場合であっても、高い信頼性で熱量の測定を行うことができる。
例えば熱量測定方法は、熱伝導率換算熱量測定機構と屈折率換算熱量測定機構と計算機構とを合わせて備えてなる装置によって実施されることに限定されず、熱伝導率換算熱量Aと屈折率換算熱量Bとに基づいて、前記式(1)により、2.91≦補正係数α≦3.75の条件にて被測定ガスの熱量を算出するのであれば、例えば図3に示すように、熱伝導率換算熱量Aおよび屈折率換算熱量Bの値を得るための装置が一体化されておらずに個別であってもよく、さらに被測定ガスのを算出する手法が演算機などによる自動計算であっても、あるいは手動による計算であってもよい。
図3において、51は、測定された被測定ガス(例えば、天然ガスなどの原料ガス)の熱量に基づいてガスパイプライン12に対して調整用ガス(例えば、ブタンガスリッチのLPG)を供給するための調整用ガス供給ラインであり、52は、被測定ガス(原料ガス)に調整用ガスの供給によって所望の調整がなされたことを確認するための熱伝導率計であり、53は、被測定ガス(原料ガス)と調整用ガスとを混合し、これによって製造ガスを得るためのミキシングタンクである。
酸素ガス、窒素ガスおよび二酸化炭素ガスを試料ガスとし、この試料ガスの各々を、熱伝導率式熱量計および屈折率式熱量計によって測定し、熱伝導率式熱量計の測定値(以下、「熱伝導率計値」ともいう。)と、屈折率式熱量計の測定値(以下、「屈折率計値」ともいう。)との比(熱伝導率計値/屈折率計値)を算出した。結果を下記表1に示す。
ここに、「熱伝導率計値」および「屈折率計値」とは、各々、試料ガスがパラフィン系炭化水素ガスに含有されている場合に、熱伝導率式熱量計および屈折率式熱量計の各々に生じうる、試料ガス1体積%当たりの測定誤差の値である。
ここに、実際に、熱伝導率式熱量計を用い、雑ガスとして二酸化炭素ガスを含有するパラフィン系炭化水素ガスの熱量の測定を行なった場合の実験例について具体的に説明する。
この実験例においては、二酸化炭素ガス1種のみを雑ガスとして含有し、二酸化炭素ガス濃度の異なる複数種のパラフィン系炭化水素ガスを試料ガスとし、これらの試料ガスについて、熱伝導率式熱量計によって熱伝導率に基づいて得られる熱量(熱伝導率換算熱量)を測定し、この測定値と、ガスクロマトグラフを用いた分析によって得られた熱量(以下、「熱量真値」ともいう。)とに基づいて、熱伝導率換算熱量に生じる測定誤差を確認した。結果を図4に示す。
表2に示す組成を有する4種類の天然ガス(ガス(A)〜ガス(D))を試料ガスとし、この試料ガスの各々について、熱伝導率式熱量計によって熱伝導率に基づいて得られる熱量(熱伝導率換算熱量)と、屈折率式熱量計によって屈折率に基づいて得られる熱量(屈折率換算熱量)とを測定し、この測定値と、ガスクロマトグラフを用いた分析によって得られた熱量(以下、「熱量真値」ともいう。)とに基づいて、熱伝導率換算熱量および屈折率換算熱量の各々に生じる測定誤差を確認すると共に、熱伝導率換算熱量に生じた測定誤差(熱伝導率計誤差)と、屈折率換算熱量に生じた測定誤差(屈折率計誤差)との誤差比(熱伝導率計誤差/屈折率計誤差)を算出した。結果を下記表2に示す。
実験例2において測定した熱伝導率換算熱量および屈折率換算熱量に基づいて、上記式(1)により、補正係数α3.05の条件で熱量Qを算出すると共に、この熱量Qの値を、実験例2において得られた熱量真値と比較した。結果を表3に示す。
表3において、熱伝導率式熱量計に係る値および屈折率式熱量計に係る値の各欄には、その測定値(具体的には、熱伝導率換算熱量および屈折率換算熱量)と共に、当該測定値と熱量真値との差を誤差値として示す。また、熱量Qに係る値の欄には、式(1)による演算値と共に、当該演算値と熱量真値との差を誤差値として示す。
ここに、補正係数αの値は、実験例2において得られた誤差比(熱伝導率計誤差/屈折率計誤差)に基づいて決定したものであり、それらの平均値である。
従って、熱量測定対象ガスの熱量を、当該熱量測定対象ガスの熱伝導率換算熱量および屈折率換算熱量に基づき、式(1)によって算出する本発明の熱量測定方法によれば、熱量測定対象ガスが天然ガスまたはバイオガスであっても、当該熱量測定対象ガスの熱量を高い信頼性で測定できることが理解される。
12 ガスパイプライン
16A、16B、16C ガス流路
21 熱伝導率換算熱量測定機構
22 データ送信路
23 屈折率換算熱量測定機構
24 データ送信路
25 計算機構
27 表示部
28 データ送信路
31 チャンバ
32 測定対象ガス用セル部
33、34 標準ガス用セル部
35 光源
36 平行平面鏡
37 干渉縞検出手段
39 平面鏡
41 プリズム
42 集光レンズ
51 調整用ガス供給ライン
52 熱伝導率計
53 ミキシングタンク
Claims (5)
- 前記式(1)において、補正係数αの値が2.96乃至3.15であることを特徴とする請求項1に記載の熱量測定方法。
- 熱量測定対象ガスが、パラフィン系炭化水素ガスを主成分とし、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスのうちの少なくとも一種が含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱量測定方法。
- 熱量測定対象ガスが、天然ガスまたはバイオガスであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の熱量測定方法。
- 熱量測定対象ガスの熱伝導率換算熱量を測定するための熱伝導率換算熱量測定機構と、当該熱量測定対象ガスの屈折率換算熱量を測定するための屈折率換算熱量測定機構とを備えており、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱量測定方法によって熱量測定対象ガスの熱量が算出されることを特徴とする熱量測定装置。
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