JP2010173892A - 溶融ガラス流出制御装置及びガラス成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷媒液を用いなくとも、流出パイプからの溶融ガラスの流出を充分に停止できるガラス流出制御装置等を提供すること。
【解決手段】ガラス溶解炉21に連通した流出パイプ23からの溶融ガラスMGの流出を停止する溶融ガラス流出停止装置30は、カーボン系材料からなるカーボン領域を上面311の少なくとも一部に有する板状部材31と、この板状部材31のカーボン領域を流出パイプ23の先端233に対向配置し、板状部材31の上面311に溶融ガラスMGを受けて流れを分断させるアクチュエータ35と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融ガラスの流出を停止する溶融ガラス流出制御技術に関する。
ガラス溶融炉で溶融された溶融ガラスは、ガラス溶融炉に設けられた流出パイプから流出する。従来、遮蔽物となる部品によって溶融ガラスの流動を停止させるガラス流出制御装置が知られている。
しかし、このような従来の装置では、流出パイプを流れる溶融ガラスが高温であるため、遮蔽物等の部品は優れた耐熱性を有する必要がある。また、部品が溶融ガラスの熱により変形するため、部品の劣化が激しく、寿命が短いという問題が生じていた。
他方、特許文献1には、流出パイプの側面に冷却用流体を供給する供給部を配置することで、流出パイプの内部を流れる溶融ガラスを冷却し、流出パイプから流出することを停止するガラス流出制御装置が開示されている。このようなガラス流出制御装置は、内径が数mm〜十数mmの範囲にある、いわゆる小径の流出パイプについては適用できる。
しかし、大型品を成型する等のために大径の流出パイプを用いる場合、この流出パイプから流出し始めた溶融ガラスが固化状態になる固化温度まで冷却されるのに長時間を要する。また、一般的に、溶融槽に収容される溶融ガラスの体積が大きく、これに起因して流出パイプの先端に作用する静水圧が大きい。このため、大径の流出パイプを用いる場合には、特許文献1に示されるガラス流出制御装置のように流出パイプの側面を冷却用流体で冷却しても、溶融ガラスは流出パイプから流出し続け、溶融ガラスの流出を停止することは困難である。
そこで、図5に示されるガラス成形体製造システム900は、内部の水流路955に水が流れる水冷式の金属製の板状部材950によって、ガラス溶融炉910に連通した流出パイプ930から流出する溶融ガラスMGを遮りつつ、冷却手段960から冷媒液を板状部材950に噴霧する。これにより、流出パイプ930の先端の溶融ガラスが冷却されて固化することで、溶融ガラスMGの流出が停止する。
特開平6−166521号公報
しかし、従来のシステム900では、板状部材950へと噴霧された冷媒液が、システム900が備える電気系統を破壊したり、型940内に流出された溶融ガラス内に混入したりといった問題がある。また、板状部材950を水冷するための装置が必要であるため、設備が複雑になり、製造コストが嵩むとともに、故障を誘発しやすい。更には、ガラスと板状部材950とが反応し、板状部材950と流出パイプ930先端のガラスが固着してしまうため、板状部材950を通常位置(つまり、流出パイプ930から離れた位置)に戻す際、固着したガラスを手作業で剥がす等の作業に多大な手間を要する。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、冷媒液を用いなくとも、流出パイプからの溶融ガラスの流出を充分に停止できるガラス流出制御装置、溶融ガラス供給システム、ガラス成形体製造システム、及びガラス成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、カーボン系材料からなるカーボン領域を上面の少なくとも一部に有する板状部材が、周囲の気体へと効率的に放熱するため、冷媒液を用いなくともほとんど変形しないことを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) ガラス溶解炉に連通した流出パイプからの溶融ガラスの流出を停止する溶融ガラス流出停止装置であって、
カーボン系材料からなるカーボン領域を上面の少なくとも一部に有する板状部材と、
前記板状部材のカーボン領域を前記流出パイプの先端に対向配置し、前記板状部材の上面に前記溶融ガラスを受けて流れを分断させるアクチュエータと、を備える溶融ガラス流出停止装置。
(2) 前記カーボン系材料は、C、SiC、並びにC及びSiCのコンポジットからなる群より選ばれる1種以上を含む(1)記載の溶融ガラス流出停止装置。
(3) 前記板状部材の上面と、前記流出パイプの先端との隙間幅を調節する隙間幅調節手段を更に備える(1)又は(2)記載の溶融ガラス流出停止装置。
(4) 前記流出パイプは電導性素材で構成され、前記流出パイプと前記アクチュエータとが電気的に絶縁されている(1)から(3)いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置。
(5) 前記板状部材を冷媒液で冷却する冷却手段が設けられていない(1)から(4)いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置。
(6) 前記板状部材が前記溶融ガラスに接触した時点から、前記溶融ガラスの流出が停止される時点までの時間が2.0秒以下である(1)から(5)いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置。
(7) 前記流出パイプの先端の開口径は、30mm以上である(1)から(6)いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置。
(8) ガラス溶解炉及びこのガラス溶解炉に連通した流出パイプを有する溶融ガラス供給装置と、(1)から(7)いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置と、を備える溶融ガラス供給システム。
(9) 前記流出パイプの位置は、弾性体を介して固定されている(8)記載の溶融ガラス供給システム。
(10) 前記弾性体は、前記流出パイプと前記ガラス溶解炉との間に介在する(9)記載の溶融ガラス供給システム。
(11) (8)から(10)いずれか記載の溶融ガラス供給システムと、前記流出パイプから流出される溶融ガラスを成形する成形装置と、を備えるガラス成形体製造システム。
(12) ガラス溶解炉に連通した流出パイプから成形型へと溶融ガラスを流出して成形するガラス成形体の製造方法であって、
所定タイミングで前記溶融ガラスの流出を停止する工程を有し、
前記溶融ガラスの流出の停止は、カーボン系材料からなるカーボン領域を上面の少なくとも一部に有する板状部材のカーボン領域を前記流出パイプの先端に対向配置し、前記板状部材の上面に前記溶融ガラスを受けて流れを分断させることで行う製造方法。
(13) 前記カーボン系材料は、C、SiC、並びにC及びSiCのコンポジットからなる群より選ばれる1種以上を含む(12)記載の製造方法。
(14) 前記板状部材の上面と、前記流出パイプの先端との隙間幅を調節する隙間幅調節工程を更に有する(12)又は(13)記載の製造方法。
(15) 前記流出パイプとして電導性素材で構成されたものを用い、前記流出パイプと前記板状部材とを電気的に絶縁する(12)から(14)いずれか記載の製造方法。
(16) 前記板状部材を冷媒液で冷却する工程を有しない(12)から(15)いずれか記載の製造方法。
(17) 前記板状部材が前記溶融ガラスに接触した時点から2.0秒以内に、前記溶融ガラスの流出を停止する(12)から(16)いずれか記載の製造方法。
(18) 前記流出パイプとして、先端の開口径が30mm以上のものを用いる(12)から(17)いずれか記載の製造方法。
(19) 前記流出パイプの位置を、弾性体を介して固定する(12)から(18)いずれか記載の製造方法。
(20) 前記弾性体を、前記流出パイプと前記ガラス溶解炉との間に介在させる(19)記載の製造方法。
本発明によれば、板状部材が流出パイプの先端に対向配置されることで、溶融ガラスの流出が停止される。ここで板状部材は、カーボン系材料からなるカーボン領域を上面の少なくとも一部に有するため、周囲の気体へと効率的に放熱する。このため、冷媒液を用いなくとも板状部材はほとんど変形せず、流出パイプからの溶融ガラスの流出を充分に停止できる。また、板状部材が溶融ガラスと反応しにくいため、溶融ガラスの流出を再開する等の場合に、板状部材を容易に通常位置に戻すことができる。
本発明の第1実施形態に係るガラス成形体製造システムの概略構成図である。 図1のガラス成形体製造システムが備える溶融ガラス流出停止装置の動作を示す図である。 一変形例に係る溶融ガラス流出停止装置の概略構成図である。 本発明の第2実施形態に係るガラス成形体製造システムの要部拡大図である。 従来例に係るガラス成形体製造システムの概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態以外の各実施形態の説明において、第1実施形態と共通するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るガラス成形体製造システム10の概略構成図である。図1に示されるように、ガラス成形体製造システム10は、溶融ガラス供給装置20、成形装置40、及び溶融ガラス流出停止装置30を備える。なお、溶融ガラス供給装置20及び溶融ガラス流出停止装置30は溶融ガラス供給システムを構成する。
溶融ガラス供給装置20はガラス溶解炉21を有し、このガラス溶解炉21内でガラス原料が溶解されて溶融ガラスMGが作製される。ガラス溶解炉21の内部からは流出パイプ23が延びており、これにより、溶融ガラスMGが基部231を通じて先端233から外部へ流出されることになる。なお、本実施形態では、基部231がガラス溶解炉21の下面中央に挿入され、流出パイプ23は下方に延びているが、これに限定されるものではない。
ガラス溶解炉21、流出パイプ23等、特に溶融ガラスMGに接触する部分は、特に限定されないが、白金等の安定な貴金属で形成されることが好ましい。これにより、溶融ガラスMGへのコンタミを低減できる。また流出パイプ23には、特に限定されないが、従来公知の加熱装置又は冷却装置が設けられていてもよく、これにより流出パイプ23内を通る溶融ガラスMGの温度を適切に調節できる。特に、加熱の効率や精度に優れる通電加熱を利用した加熱装置を設ける場合、流出パイプ23は、電導性素材で構成される必要がある。
先端233の下方には、成形装置40の型41が配置されている。これにより、先端233から流出された溶融ガラスMGは、順次、型41へと供給される。ここで、型41への溶融ガラスMGの供給量が所望値に達した時点で、溶融ガラス流出停止装置30により、型41への溶融ガラスMGの供給が停止される。これにより、溶融ガラスの供給量を所望値に設定することができる。
具体的に溶融ガラス流出停止装置30は板状部材31を備え、この板状部材31は先端233の側下方に配置されるとともに、接続部33を介してアクチュエータ35に接続されている。そして、アクチュエータ35によって、板状部材31が先端233から流出される溶融ガラスMGに対して接近し、これに応じて先端233のガラス流出口OLを被覆する。これにより、溶融ガラス流出停止装置30は、板状部材31の上面311に溶融ガラスMGを受けて流れを分断させることで、溶融ガラスMGの供給を停止しようとする。
このとき、上面全体が前述した従来の素材で構成されていると、極めて高温な溶融ガラスMGによって板状部材が変形しやすく、これにより溶融ガラスMGの流出を充分に停止することが困難である。
しかし、本発明における板状部材31は、上面311の少なくとも一部に、カーボン系材料からなるカーボン領域を有する。カーボン系材料は金属性材料よりも熱膨張が低いため、板状部材31は、溶融ガラスMGから熱を受けても変形しにくい。また、溶融ガラスMGの温度が高くても、板状部材31の機械的強度が劣化しにくい。例えば、黒鉛からなるカーボン領域を有する板状部材31は、温度が高くなるにつれて、その機械的強度がむしろ増強する傾向を示す。また、高温の熔融ガラスMGに急に接触させられても、カーボン系材料の耐熱衝撃性が優れているため、板状部材31は破損しにくい。更に、カーボン系材料が、高温に曝される機械構造物に一般的に使用される素材(例えば、ステンレス鋼や鋳鉄)に比べ、高い熱伝導度を有するため、板状部材31は、周囲の気体へと効率的に熱を放出し、冷媒液を用いなくとも効果的に対象ガラスの熱を吸収しガラスを固化させることができる。
そこで本発明においては、図1に示されるように、溶融ガラス流出停止装置30は、板状部材31を冷媒液で冷却する冷却手段を備えていないことが好ましい。これにより、溶融ガラスMGの停止効率を充分に確保しつつ、冷媒液を用いることによる不具合を解消でき、また部品点数を削減できる。なお、本発明における冷却手段は、図5に示されるような冷媒液を噴霧する装置960のみならず、板状部材31の内部に冷媒液を流通する装置をも包含する。ただし、冷却手段、特に後者の装置は、電気系統の破壊や溶融ガラス内への冷媒液の混入といった不具合を生じにくいため、設けられていてもよい。
また、カーボン系材料は、多くのガラス成分に対して安定であるため、ガラスが固着しにくい性質を有する。このため、後述のように溶融ガラスMGの供給を再開するべく、先端233から板状部材31を離隔するのが容易であるし、また離隔した後に、上面311や先端233に固着したガラスを除去する作業の手間を軽減することもできる。このようなカーボン系材料とは、所望の放熱性が得られる有効量の炭素元素を含む材料を指す。ここで、有効量とは、溶融ガラスMGの温度及び単位時間あたりの流出量、ガラス流出口OLの面積、カーボン領域の面積及び形状、カーボン系材料の使用量、カーボン系材料の組成等の溶融ガラスMGの停止のしにくさに関与する任意のパラメータに応じて適宜設定されてよいが、一般的には材料全体の30モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、最も好ましくは80モル%以上である。
このような条件を満たす限りにおいて、カーボン系材料の具体的組成は特に限定されないが、放熱性に特に優れる点で、C、SiC、並びにC及びSiCのコンポジットからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。また、カーボン系材料は、市販品であってもよく、例えば「等方性黒鉛材 G347」(東海カーボン株式会社製)が挙げられる。
カーボン領域は、放熱効率に優れる点で、本実施形態のように上面311全体に亘ることが好ましいが、これに限定されない。例えば、図3(a)に示される板状部材31Aのように、カーボン系材料からなるカーボン体313が、上面311Aのうち先端233に正対する部分(つまり先端233と同等あるいは若干大きい範囲)に設けられ、カーボン系材料以外からなる非カーボン体315が先端233に正対しない部分(つまりカーボン領域の周囲)に設けられていてもよい。これにより、優れた放熱性を確保しつつ、一般的に高価であるカーボン系材料の使用量が低減するので、設備投資額を削減できる。
また、上面311全面積に対するカーボン領域の面積の比率は、優れた放熱性を確保できる点で、80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。
板状部材31は、放熱効率に優れる点で、全厚みに亘りカーボン系材料で構成されていることが好ましいが、これに限定されない。例えば、図3(b)に示される板状部材31Bのように、板状部材31Bの厚み方向に関して、上面311を含む一部分のみがカーボン体313Bであり、他の部分は非カーボン体315Bであってもよい。これにより、優れた放熱性を確保しつつ、一般的に高価であるカーボン系材料の使用量が低減するので、設備投資額を削減できる。
板状部材31の全厚みに対するカーボン体の厚みの比率は、優れた放熱性を確保できる点で、50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、最も好ましくは100%である。
カーボン系材料は一般に電導性を有する。このため、前述のように流出パイプ23が電導性素材で構成されている場合、通電加熱等により流出パイプ23内を流れる電流が、板状部材31及び接続部33を通ってアクチュエータ35にまで流れ、アクチュエータ35に不具合を生じさせるおそれがある。そこで、かかる不具合を確実に抑制できるよう、流出パイプ23とアクチュエータ35とが電気的に絶縁されていることが好ましい。本実施形態では、接続部33の途中に絶縁体37が設けられているが、これに限られず、接続部33の端部に絶縁体が配置されていてもよいし、接続部33全体が絶縁体で構成されていてもよい。ここで使用される絶縁体の素材は、従来周知のものであってよい。
例えば、特表2003−512173号公報のように、板状部材がガラス溶解炉の下面に沿ってガラス流出口まで摺動できる装置では、高さ方向に関する上面311の位置が常に一定するため、ガラス流出口を被覆することができる。しかし、本発明の溶融ガラス流出停止装置30のように、ガラス流出口OLが流出パイプ23に形成されている場合には、流出パイプ23まで板状部材31を摺動させることができず、また溶融ガラスMGの温度等の影響で流出パイプ23の先端233の位置が変化しやすい。このため、板状部材31の上面311と、流出パイプ23の先端233との隙間幅が一定せず、結果的に溶融ガラスMGの停止作用が不安定になりやすい。
そこで、好ましくは、本実施形態のように、溶融ガラス流出停止装置30は、板状部材31の上面311と、流出パイプ23の先端233との隙間幅を調節する隙間幅調節手段を更に備える。これにより、板状部材31の上面311と、流出パイプ23の先端233との隙間幅が確実に所望範囲に調節されるので、溶融ガラスMGをより充分に停止できる。なお、隙間幅とは、具体的には先端233のガラス流出口OLが存在する平面に直交する方向に関する、先端233と上面311との距離を指す。また、隙間幅調節手段はアクチュエータ35に設けられていて、従来周知の移動装置を有していればよい。なお、隙間幅調節手段は、隙間幅を検知する検知手段と、この検知手段での検知値に基づいて、移動装置を制御する制御装置と、を備えた自動式であってもよいし、作業者が隙間幅を監視しながら隙間幅を調節可能な手動式であってもよい。
隙間幅の調節を含めた板状部材31の移動の一例を図2に示す。まず、隙間幅調節手段が接続部33を介して板状部材31の上面311を上方向に移動させ、これにより隙間幅CLを所定値にまで縮める(図2(a))。ここで、所定値は、溶融ガラス停止の効率と、安全性とを考慮して、適宜設定される許容範囲を意味する。所定値は、過大であると、隙間から溶融ガラスMGが漏出するために充分に停止するのが困難である一方、過小であると、上面311が先端233に接触することによるガラス成形体製造システム10の破損や劣化が懸念される。そこで、所定値の下限は、0.01mmであることが好ましく、より好ましくは0.03mm、最も好ましくは0.05mmである。また、所定値の上限は、3mmであることが好ましく、より好ましくは2.5mm、最も好ましくは2mmである。
次に、隙間幅調節手段は、隙間幅CLが所定範囲内に収まった時点で板状部材31の移動を中止し、アクチュエータ35が接続部33を左方向(流出パイプ23の方)へと移動し始める(図2(b))。なお、図2では、隙間幅調節手段により隙間幅CLを縮めることと、アクチュエータにより板状部材31を先端233に接近することと、を別々に行っているが、これに限られず、並行して行ってもよい。
やがて、板状部材31が溶融ガラスMGに接触し(図2(c))、更に左方向に移動することで、最終的には、上面311のカーボン領域が先端233に対向配置される。これにより、先端233のガラス流出口OLが閉鎖されているため、溶融ガラスMGの流出が阻害される。ここで、溶融ガラスMGに接触したカーボン領域が溶融ガラスMGの熱を高効率に放熱するため、溶融ガラスMGが急速に冷却されて固化し、溶融ガラスMGの流出が停止する(図2(d))。
このとき、上面311は、図2に示されるように、先端233のガラス流出口OLが存在する平面に対して平行に配置されることが好ましい。これにより、上面311が先端233に密着しやすく、溶融ガラスMGの流出をより充分に停止しやすい。なお、本実施形態では、先端233のガラス流出口OLが存在する平面が水平であるが、これに限られず、非水平(例えば、特開平9−48620号公報参照)であってもよい。また、アクチュエータ35には、板状部材31に先端233の方向への力を作用する抗ガラス流手段が設けられていることが好ましい。これにより、溶融ガラスMGから負荷される力によって、板状部材31が先端233から離間するのが抑制されるため、溶融ガラスMGの停止をより充分に行うことができる。
上述したように、本実施形態の溶融ガラス流出停止装置30によれば、溶融ガラスMGが急速に冷却されて固化する。具体的に、板状部材31が溶融ガラスMGに接触した時点から、溶融ガラスMGの流出が停止される時点までの時間は、溶融ガラスMGの漏出等をより解消できる点で、2.0秒以下であることが好ましく、より好ましくは1.8秒以下、最も好ましくは1.5秒以下である。この時間は、溶融ガラスMGの温度及び単位時間あたりの流出量、ガラス流出口OLの面積等に応じて、カーボン領域の面積及び形状、カーボン系材料の使用量、カーボン系材料の組成、隙間幅CL等を適宜設定することによって調節できる。
中でも、ガラス流出口OLの面積は、先端233の開口径R(図2(a))によって決定できる。ここで、開口径Rは、過小であると、単位時間あたりの溶融ガラスMGの流出量が大きく制限され、製造条件の自由度が損なわれやすい。そこで、開口径Rの下限は30mmであることが好ましく、より好ましくは40mm、最も好ましくは50mmである。また、開口径Rの上限は、板状部材31を支持する部材等がガラスから負荷される力で破損しない限りにおいて、特に限定されない。
また、前述のように流出パイプ23内を流れたり(つまり停止前)、更には流出パイプ23内にとどまったり(つまり停止後)する溶融ガラスMGの温度の増減に伴って、流出パイプ23の膨張度合いが変化するため、流出パイプ23の長さが増減する。これにより先端233の位置が変化し、先端233と上面311との隙間幅が変動するため、溶融ガラスMGの停止が意図せず不充分に若しくは解除されてしまったり、先端233と上面311とが接触して破損を生じたりといった事態が懸念される。
そこで、流出パイプ23の位置は、弾性体を介して固定されていることが好ましい。これにより、流出パイプ23の長さは変化しても、弾性体の弾性力によって穏やかに一定値に戻されるため、流出パイプ23へのダメージを抑制しつつ、溶融ガラスMGの充分な停止を確保し且つ設備の破損を予防できる。
弾性体による固定の態様は特に限定されない。ただし、溶融ガラスMGの流出を停止する際には、板状部材31と流出パイプ23の先端233との間に固化前の溶融ガラスMGが高圧で押し出されるため、流出パイプ23に応力が作用する。そこで、弾性体が、流出パイプ23とガラス溶解炉21との間に介在することが好ましい。これにより、弾性体が流出パイプ23に作用する応力を緩和するため、流出パイプ23の変形や破損を防止できる。
具体的に図4に示される態様では、流出パイプ23には、外方に膨出する板状の係止部235が設けられている。また、ガラス溶解炉21の下面から延出棒211a,211bが下方に延びており、この延出棒211a,211bは係止部235に挿通され、更に下方に鍔部213a,213bを有している。そして、係止部235と、鍔部213a,213bとの間に、弾性体25a,25bが配置されているため、流出パイプ23とガラス溶解炉21との間に弾性体25a,25bが介在することになる。
なお、図4では、弾性体25a,25bとして、バネを用いているが、弾性力を有する限りにおいてこれに限定されない。また、先端233の位置がその全周に亘って均等に維持され、溶融ガラスMGの停止をより確実化できる点で、図4に示されるように、弾性体が流出パイプ23に関して対称に配置されることが好ましいが、非対称に配置されていてもよい。また、弾性体の設置個数は、複数であってもよいし、単数であってもよい。
このようにして流出が停止された溶融ガラスMGの供給を再開する場合には、アクチュエータ35が接続部33を介して板状部材31を右方向(流出パイプ23から離れる方向)へと移動することで、流出パイプ23の先端233から離隔する。すると、ガラス流出口OLが開放されるため、溶融ガラスMGが自重で落下を再開し、再び型41へと流出され始める。このとき、前述のようにカーボン系材料にはガラスが固着しにくいことから、先端233からの板状部材31の離隔を容易に行うことができる。
また、先端233から離隔した後の上面311に多量のガラスが固着していた場合には、このガラスが、次回の溶融ガラスMGの流出停止の際、先端233に激突したり、上面311と先端233との隙間幅を嵩ませたりといった不具合を予防するべく、ガラスを除去する作業が必要になる。しかし、カーボン系材料にはガラスが固着しにくいことから、ガラスを除去する作業の手間を軽減でき、場合によってはガラスの除去作業を行わなくてもよい。
以上のガラス成形体製造システム10によれば、流出パイプ23からの溶融ガラスMGの流出の停止が充分になされるため、従来存在していた煩雑な制御や不具合等を解消しつつ、型41へと供給される溶融ガラス量を所望値に設定される。このため、製造コストを抑えつつ、高品質のガラス成形体を再現性良く製造できる。かかるガラス成形体は、目的に応じて種々の用途に使用できる。
<実施例1>
酸化物基準の質量%で、54.5〜57%のSiO成分、6.0%〜8.5%のP成分、22.0〜26.0%のAl成分、3.5〜4.2%のLiO成分、0.6〜1.6%のMgO成分、0.4〜1.4%のZnO成分、0.7〜2.0%のCaO成分、0.6〜1.7%のBaO成分、1.6〜2.7%のTiO成分、1.0〜2.2%のZrO成分、及び0.8〜1.2%のAs成分を含む粉状の原材料を、ガラス溶解炉に投入した。燃焼バーナに酸素を供給して燃焼し、且つガラス溶解炉の内方へ水平に120〜130mm突出した電極に周波数3.0kHzの交流を供給することで、原材料を溶解し、その後、ガラス融液中に撹拌体を挿入して清澄及び撹拌を行った。このときのガラス溶解炉における溶融ガラスの体積は3.281mであった。この溶融ガラスを26000L/dayの流速で、先端の開口直径80mmの流出パイプから流出し、直径1.68m、高さ0.43mのブロック状のガラス成形体を成形した。
所定体積の溶融ガラスが流出した後、図1に示される溶融ガラス流停止装置を用いてガラス流の停止を試みた。板状部材31としては、「等方黒鉛材G347」(東海カーボン株式会社製)からなり、上面311の寸法が20cm×20cm、板状部材31の厚みが5cmであるものを用いた。つまり、本実施例ではカーボン領域が上面311全体である。
この板状部材31を、アクチュエータ35によって図2(a)の位置まで移動し、手動で隙間幅CLを0.5mmに調節した。その後、板状部材31をアクチュエータ35によって流出パイプ23の直下に水平移動し、この移動が完了した後、アクチュエータ35によって板状部材31に上方向(つまり、流出パイプ23の先端233の方)への力を作用させた。この結果、板状部材31が溶融ガラスMGに接触した時点から1.5秒後には、溶融ガラスMGの流出が停止した。これにより、本実施例の溶融ガラス流出停止装置30によれば、冷媒液を用いなくとも流出パイプからの溶融ガラスの流出を充分に停止できることが確認された。
溶融ガラスMGの流出を停止して所定時間が経過した後、板状部材31を通常位置に戻す作業を行った。このとき、板状部材31にはガラスがほとんど固着していなかったため、板状部材31は円滑に先端233から離隔し、また、ガラスを除去する作業の手間がほとんど不要であった。
<実施例2>
板状部材の素材を、炭素元素が50モル%であるSiCに変更した点を除き、実施例1と同様の手順で溶融ガラスの流出の停止を行った。この結果、板状部材が溶融ガラスMGに接触した時点から1.9秒後には、溶融ガラスの流出が停止した。
<実施例3>
板状部材の素材を、炭素元素が67モル%であるSiC−C複合焼結材に変更した点を除き、実施例1と同様の手順で溶融ガラスの流出の停止を行った。この結果、板状部材が溶融ガラスMGに接触した時点から1.8秒後には、溶融ガラスの流出が停止した。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
10 ガラス成形体製造システム
20 溶融ガラス供給装置
21 ガラス溶解炉
23 流出パイプ
25 弾性体
30 溶融ガラス流出停止装置
31 板状部材
35 アクチュエータ
37 絶縁体
40 成形装置
41 型
233 先端
311 上面
960 冷却手段
MG 溶融ガラス

Claims (20)

  1. ガラス溶解炉に連通した流出パイプからの溶融ガラスの流出を停止する溶融ガラス流出停止装置であって、
    カーボン系材料からなるカーボン領域を上面の少なくとも一部に有する板状部材と、
    前記板状部材のカーボン領域を前記流出パイプの先端に対向配置し、前記板状部材の上面に前記溶融ガラスを受けて流れを分断させるアクチュエータと、を備える溶融ガラス流出停止装置。
  2. 前記カーボン系材料は、C、SiC、並びにC及びSiCのコンポジットからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項1記載の溶融ガラス流出停止装置。
  3. 前記板状部材の上面と、前記流出パイプの先端との隙間幅を調節する隙間幅調節手段を更に備える請求項1又は2記載の溶融ガラス流出停止装置。
  4. 前記流出パイプは電導性素材で構成され、前記流出パイプと前記アクチュエータとが電気的に絶縁されている請求項1から3いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置。
  5. 前記板状部材を冷媒液で冷却する冷却手段が設けられていない請求項1から4いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置。
  6. 前記板状部材が前記溶融ガラスに接触した時点から、前記溶融ガラスの流出が停止される時点までの時間が2.0秒以下である請求項1から5いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置。
  7. 前記流出パイプの先端の開口径は、30mm以上である請求項1から6いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置。
  8. ガラス溶解炉及びこのガラス溶解炉に連通した流出パイプを有する溶融ガラス供給装置と、請求項1から7いずれか記載の溶融ガラス流出停止装置と、を備える溶融ガラス供給システム。
  9. 前記流出パイプの位置は、弾性体を介して固定されている請求項8記載の溶融ガラス供給システム。
  10. 前記弾性体は、前記流出パイプと前記ガラス溶解炉との間に介在する請求項9記載の溶融ガラス供給システム。
  11. 請求項8から10いずれか記載の溶融ガラス供給システムと、前記流出パイプから流出される溶融ガラスを成形する成形装置と、を備えるガラス成形体製造システム。
  12. ガラス溶解炉に連通した流出パイプから成形型へと溶融ガラスを流出して成形するガラス成形体の製造方法であって、
    所定タイミングで前記溶融ガラスの流出を停止する工程を有し、
    前記溶融ガラスの流出の停止は、カーボン系材料からなるカーボン領域を上面の少なくとも一部に有する板状部材のカーボン領域を前記流出パイプの先端に対向配置し、前記板状部材の上面に前記溶融ガラスを受けて流れを分断させることで行う製造方法。
  13. 前記カーボン系材料は、C、SiC、並びにC及びSiCのコンポジットからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項12記載の製造方法。
  14. 前記板状部材の上面と、前記流出パイプの先端との隙間幅を調節する隙間幅調節工程を更に有する請求項12又は13記載の製造方法。
  15. 前記流出パイプとして電導性素材で構成されたものを用い、前記流出パイプと前記板状部材とを電気的に絶縁する請求項12から14いずれか記載の製造方法。
  16. 前記板状部材を冷媒液で冷却する工程を有しない請求項12から15いずれか記載の製造方法。
  17. 前記板状部材が前記溶融ガラスに接触した時点から2.0秒以内に、前記溶融ガラスの流出を停止する請求項12から16いずれか記載の製造方法。
  18. 前記流出パイプとして、先端の開口径が30mm以上のものを用いる請求項12から17いずれか記載の製造方法。
  19. 前記流出パイプの位置を、弾性体を介して固定する請求項12から18いずれか記載の製造方法。
  20. 前記弾性体を、前記流出パイプと前記ガラス溶解炉との間に介在させる請求項19記載の製造方法。
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