JP2010171704A - シンボル同期追従装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所要数のFSWのシンボル位相値の平均値に基づいて位相基準軸を決定する際、データ復調時の誤り訂正処理の結果に基づいて通信路環境の良否を判断し、この通信路環境の良否判断結果に基づいて、FSWシンボル位相平均値算出時の平均算出対象フレーム数、又は平均算出の対象とするシンボル数を増減する。
【選択図】図1
Description
図5は、MIL−STD−188−110に規定されている通信フォーマットを示す概要図である。この例では、8PSK(8Phase Shift Keying:8位相偏移変調)の場合を示しており、規格では更に、予め定められたパターンのコードを重畳することによってスクランブルを施すが、本発明の説明上不要であるので省略する。この例において、先頭の同期用プリアンブル101は、初期同期捕捉用の既知データパターンであり、それに続いて送信される送信データ102は、上述した既知のデータパターン(FSW)103と、未知のデータパターンである情報データ(通信データ)104からなる複数のフレームとして送信される。データは後述するシンボルにより構成される。この例では既知データパターンは16シンボルで、PSK変調が施された情報データ(32シンボル)を復調する際の同期検波の基準となる軸(I軸、Q軸)を決定するためにも使用される。
シンボルは、送信する情報データをその位相位置によって表現する。図6は、8PSKのシンボル位置を示す図である。8PSKの場合、8つのシンボル位置によりデータを表現する。1つのシンボルは3ビット分のデータを表現できる。さて、規格によれば更に、シンボル位置が修正グレイ符号化により符号化されるが、これも本発明に直接関係しないので説明を省略する。8PSKでは、基準となる正弦波“0”と、45度刻みで位相がずれた合計8つの波のどれかを送信することによって3ビットにてあらわす8値、(000)、(001)、(010)、(011)、(100)、(101)、(110)、(111)のどれかの情報を伝送することができる。なお、位相を更に細分化することによって、より多くのビット値を伝送することもできる。
そこで従来から、通信データ復調に際して、各フレーム先頭に付加された既知データの位相情報を基準(リファレンス)として、情報データの位相値を判断しているが、リファレンスとなる位相情報を得る際に、受信した複数の既知のデータパターン(FSWデータ)の位相値平均を求めることによって耐雑音性能を向上するようにしている。
即ち、図8(a)に示すように殆どの既知データシンボルの位相が401に集中する場合であっても、突発的に一つの既知データシンボルが402に示すように大きく外れた場合は、その影響によって全体の平均値が変動し、それに基づいて決定される位相基準軸が真の値の401と異なる403に位置することになる。このような真値から外れた軸を基準に、位相基準軸を補正すると、図8(b)に示すように、データ“0”を示す場所に補正されるべき404の位置が、真値と異なる位相角θ405だけずれた場所に来ることになる。
これらの不具合に対処するためには、できるだけ多くの既知データシンボルの平均を求めることによって、少数の突発的な位相外れビットの影響を軽減することが有効である。従来、通信データの直前の一つのフレームの既知データに限らず、それ以前の複数のフレームを平均値算出の対象に含めて位相基準軸を決定するようにしていた。
この不具合を、図9(a)を用いて説明する。例えば、今ある時点におけるフレームの通信データに付された16個の既知データシンボルの位相が501で、次のフレームの16個の既知データシンボルの位相がフェージングのために502として算出された場合を想定すると、これら二フレーム分の位相平均値は、例えば503のように両者の間の値となって、これを元に位相基準軸を決定すると、図9(b)に示すような位置となる。ここで、504は、図9(a)における502の補正後の位置を表している。今、502の既知データに続く未知データを復調する際に、この軸を基準としてしまうと、データが誤ってしまう。正しく復調するためには、504で示すデータが“0”となるように軸を補正するべきであった。このように位相遅延量が時間とともに変動する場合は、むしろ時間的に直近の少ないフレーム数の既知データ平均値を用いた方が、正確な軸を決定することが可能である。即ち、単発的な位相遅延変動の影響を軽減する上からは長期間に亘る複数の既知データの平均値を用いることが正確な位相基準軸決定を行う上で好ましいが、一方で、時間的に遅延量が大きく変動する場合は、短時間の少ない既知データ平均値の方が真値に近い位相基準軸をもたらす可能性が高い。
本発明は、このような従来の同期維持手段における問題を解決するためになされたものであって、例えば、長周期、短周期のフェージングが混在する場合や、時間的に遅延量が大きく変動する場合であっても、正確に同期を追従維持することが可能なシンボル同期追従装置及びその方法を提供することを目的としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシンボル同期追従装置において、上記誤り訂正符号が畳み込み符号であって、訂正復号化がビタビアルゴリズムに基づくものであり、その通信路環境判断手段が、ビタビアルゴリズム処理において得られるパスメトリック値に基づいて通信路環境の良否を判断することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載のシンボル同期追従方法において、上記誤り訂正符号が畳み込み符号であって、訂正復号化がビタビアルゴリズムに基づくものであり、通信路環境判断処理がビタビアルゴリズムにおいて得られるパスメトリック値に基づいて通信路環境の良否を判断することを特徴とするシンボル同期追従方法。
図1は、本発明に係るシンボル同期追従装置の基本的な考え方を説明するための概要ブロック図である。本発明では、例えば受信した8PSKのシンボルデータを復調部1と、同期追従部2に供給する。受信したデータには上述したように既知データパターンのFSWと、それに続く未知データパターンである情報データ(ここでは、FSW以外のデータを情報データと称する)が含まれるので、同期追従部2においてFSWを検出し、そのシンボルの位相を基準(位相ゼロ)として、後続の情報データのシンボル値を判断する。
デジタル通信においては、伝送中の雑音や位相遅延等によるデータ誤りに対応するために各種の誤り訂正手段が講じられており、特に、無線通信回線を含む通信システムでは、フェージングやマルチパス等によるデータ誤りが多く発生するので、高度な誤り訂正手段が講じられている。この例では、畳み込み符号の代表的な復号方式であるビタビ復号を使用する場合を説明するが、本発明では、この例に限るものではない。
ビタビ復号器においては、誤り訂正符号化されたデータを復号する際、最も確からしいデータのパターンを選択するために、データパターンの確からしさの程度を示す量を計算する。これは、データの取り得るパターンと復調したデータの信号的な距離をあらわしたもので、この距離(パスメトリック)が最小になるパターンを復調データとする。なお、“0”か“1”かのどちらかに値を振り分ける硬判定ではハミング距離、“0”と“1”との中間値を含めて数ビットで表現することで、“0”らしさ、“1”らしさを判断する軟判定ではユークリッド距離が使用され、選択されたデータパターン(復調データ)のパスメトリックが小さいほど復調データの信頼性が高く、逆にパスメトリックが大きいほど復調データの信頼性が低いことになる。即ち、パスメトリックは、通信路環境の善し悪しを示すものであり、その値が小さいほど通信路環境が良く、逆にパスメトリック値が大きいほど通信路環境が悪いということができる。
換言すれば、本発明のシンボル同期追従装置は、既知のデータパターンを配置したフレームに、誤り訂正符号を付した伝送すべき情報データを含めて送信された信号を受信復調する受信機のシンボル同期追従装置において、所要数のフレームに含まれる既知データパターンのシンボル位相値の平均を求める既知データシンボル位相平均値算出手段と、求めた平均値に基づいてフレーム中のデータ復調時の位相基準軸を決定する基準軸決定手段と、それ以前におけるフレームデータ復調時の誤り訂正符号の復調処理の結果に基づいて伝搬状況(通信路環境)の良否を判断する伝搬状況(通信路環境)判断手段と、この伝搬状況判断手段によって得られた伝搬状況(通信路環境)の良否判断結果に基づいて、上記既知データシンボル位相平均値算出手段における平均算出対象フレーム数、又は平均算出の対象とする既知データシンボル数を増減する平均値対象フレーム制御手段と、を備えたものである。
また、処理S3の次に情報データ処理を行って、そのときのパスメトリック値を閾値と比較する場合を示したが、例えば、FSWそのものの復調に際して、パスメトリック値、あるいは、通信路環境の良否を判断する情報が得られる場合は、その情報に基づいて通信路環境の判断を行うことも可能である。更に、それ以前に受信した所要数のフレームデータをメモリしておき、そのメモリしたデータを含めてパスメトリック値の変動を監視しながら、位相基準軸を決定するための平均値算出対象フレーム数を設定することも可能である。これらの変形は、後述する実施例においても適用可能である。
ビタビ復号処理において得られるパスメトリック判定は、図1乃至図3を用いて説明したように、予め設定したパスメトリックの閾値と比較し(S25)、閾値より小さい場合(S25、Yes)、つまり通信路環境が良好な場合はデータ復調出力処理に移行する(S26)が、そのときのパスメトリック値が閾値より大きい場合、つまり、通信路環境が不良の場合は(S25、No)、位相基準値を決定するために行うFSWの平均位相算出処理におけるフレーム数を減少させて(S27)、再度、上記処理S24(パスメトリック判定)と、処理S25(パスメトリック値と閾値との比較)を行う。なお、図示を省略したが、S24乃至S27の処理を所定数繰返して、平均処理対象フレーム数を減少させても、閾値比較処理をクリアしない場合は、通信路環境不良と判断して、処理を終了することもできる。
また、位相基準値(位置)を算出する際の平均フレーム数を減少するのは、通信路における位相遅延量の時間的変化が大きい場合であるが、単に瞬間的な変動を検出するに留まらず、それ以前の位相遅延変動経過を参照しながら、現在の、あるいは数フレーム先の(将来の)位相変動をある程度予測しながら、基準位相決定時の平均対象フレーム数を設定することも、本発明の機能をインテリジェント化する上で有用であろう。
更に、本発明のシンボル追従方法や制御方法をコンピュータが制御可能なOSに従ってプログラミングすれば、そのOSを備えたコンピュータを搭載した通信機において本発明を実施することができる。特に、近年の通信装置は、CPUやDSP、その他のデジタル処理装置を搭載したものが多いので、そのような既存の通信装置に本発明を実施するプログラムをインストールすることにより、本発明を実現することも可能である。
Claims (4)
- 既知のデータパターンを配置したフレームに、誤り訂正符号を付した伝送すべき情報データを含めて送信された信号を受信復調する受信機のシンボル同期追従装置において、所要数のフレームに含まれる既知データパターンのシンボル位相値の平均を求める既知データシンボル位相平均値算出手段と、求めた平均値に基づいてデータ復調時の位相基準軸を決定する基準軸決定手段と、データ復調時の誤り訂正処理の結果に基づいて通信路環境の良否を判断する通信路環境判断手段と、この通信路環境の良否判断結果に基づいて前記既知データシンボル位相平均値算出手段における平均算出対象フレーム数、又は平均算出の対象とする既知データシンボル数を増減する平均値対象フレーム制御手段と、を備えたことを特徴とするシンボル同期追従装置。
- 前記誤り訂正符号が畳み込み符号であって、訂正復号化がビタビアルゴリズムに基づくものであり、前記通信路環境判断手段が、そのパスメトリック値に基づいて通信路環境の良否を判断することを特徴とする請求項1記載のシンボル同期追従装置。
- 既知のデータパターンを配置したフレームに、誤り訂正符号を付した伝送すべきデータを含めて送信された信号を受信復調する際のシンボル同期追従方法において、所要数のフレームに含まれる既知データパターンのシンボル位相値の平均を求める既知データシンボル位相平均値算出処理と、求めた平均値に基づいてフレーム中のデータ復調時の位相基準軸を決定する基準軸決定処理と、それ以前におけるフレームデータ復調時の誤り訂正符号の復調処理の結果に基づいて通信路環境の良否を判断する通信路環境判断処理と、この通信路環境判断処理結果に基づいて、前記既知データシンボル位相平均値算出処理における平均算出対象フレーム数、又は平均算出の対象とする既知データシンボル数を増減する平均値対象フレーム制御処理と、を含むことを特徴とするシンボル同期追従方法。
- 請求項3記載のシンボル同期追従方法において、前記誤り訂正符号が畳み込み符号であって、訂正復号化がビタビアルゴリズムに基づくものであり、前記通信路環境判断処理が、前記ビタビアルゴリズムにおいて得られるパスメトリック値に基づいて通信路環境の良否を判断することを特徴とするシンボル同期追従方法。
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