JP2010169510A - 原子吸光光度計および黒鉛管 - Google Patents

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明 米谷
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Abstract

【課題】分析時間の短縮と測定精度の向上とが可能な原子吸光光度計および黒鉛管を提供する。
【解決手段】原子吸光光度計の加熱手段内に配置される黒鉛管41は、第1および第2に試料注入口44a,44bと、これらの試料注入口からそれぞれ注入された測定試料が保持される第1および第2の試料保持部46a,46bと、これらの試料保持部に保持された試料の液滴を互いに隔てるための一対の凸部48a,48bとを備える。これにより、凸部48a,48bが隔壁として作用し、第1の試料注入口44aと第2の試料注入口44bとを近づけても、試料保持部内の試料の液滴が接触することを防いで、液滴の比表面積を大きくかつ半径を小さい状態で保って蒸発時間を短くできる。
【選択図】図2

Description

本発明は、加熱して原子化させた試料を吸光分析することにより金属元素の分析を行う原子吸光光度計およびこれに用いられる黒鉛管に関する。
試料を原子化させて吸光分析により金属元素の分析を行う原子吸光光度計として、電気加熱炉を使用した原子吸光光度計が知られている(例えば特許文献1参照)。このタイプの原子吸光光度計は通常、黒鉛管の注入口1箇所から液体の測定試料を20μL〜40μLの範囲で注入し、測定試料の水分を蒸発させる乾燥段階および有機物等を燃焼させ灰化する灰化段階を経る。そして、最終的に測定試料が原子化する温度まで加熱して原子吸光分析を行う。試料の乾燥時間、試料灰化時間および原子化時間は、分析者が試料注入量、試料成分および分析元素に応じて決定し、加熱温度プログラムとして制御部に入力して分析を行う。
特に、測定試料の乾燥時間と灰化時間は、測定試料の注入量に左右されるため、分析者が注入量に応じて設定する必要が有る。設定する時間は、注入量を増加させた場合は長く、減少させた場合は短くする。
また、測定精度の向上を図ることを目的として、黒鉛管の試料注入口を2箇所以上備えた原子吸光光度計が提案されている(特許文献2参照)。この原子吸光光度計では、2箇所以上の試料注入口から測定試料を注入すると、黒鉛管内面の試料保持部に複数の液滴が収容される。
特開平1−176944号公報 特開2006−58272号公報
ところで、分析者は測定の感度、すなわち検出限界を上げるために、試料注入量を増加させて吸光度を上げる傾向があり、試料を増やした分だけ試料の乾燥時間と灰化時間とを長くする必要がある。一方で、分析時間を短縮するためには、乾燥時間と灰化時間とを短くしなければならない要請がある。
しかし、例えば特許文献1に記載されるような従来の原子吸光光度計では、試料の注入を黒鉛管の注入口1箇所のみから行うので、注入した試料の分布が1箇所に集中する。このため、試料量が例えば20μLの場合も10μLの場合も一つの液滴となり、20μLの場合は、比表面積、つまり単位時間あたりの表面積、または単位体積あたりの表面積が、10μLより小さくなる。また、20μLの液滴は、10μLの液滴より半径が大きくなるため、ケルビン方程式による蒸気圧が低くなる。したがって、試料量が多くなるに連れて液滴の蒸発時間を長くとる必要がある。
また、特許文献2に記載される原子吸光光度計では、試料保持部に保持される各々の液滴の距離を離すと、黒鉛管加熱時に内面の温度分布にムラが生じて測定精度に悪影響を与える。このため、各々の液滴の距離は近づける必要があるが、近づけた場合には、隣り合う液滴が接触して大きな液滴となる虞がある。したがって、試料注入口が1つの場合と同様に、液滴の比表面積が小さくなるとともに半径が大きくなり、蒸発時間を長くとることになる。
つまり、試料注入量を増加させて測定の感度を上げるためには、加熱温度プログラムの時間を長く設定する必要があり、このことが分析時間の増加の要因となっている。また、黒鉛管への試料注入量が増加するに連れて、試料液滴の形状および分布が測定毎に変化しやすくなるため、原子化時の原子吸光(吸光度)に変動が生じて測定精度に悪影響を与えている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、分析時間の短縮と測定精度の向上とが可能な原子吸光光度計および黒鉛管を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の原子吸光光度計は、試料容器から測定試料を吸引して黒鉛管に注入する分注ノズルを保持して前記試料容器と前記黒鉛管との間を移動する分注アームを備えた分注手段と、前記黒鉛管に電流を流すことにより加熱して前記黒鉛管に注入した前記測定試料を原子化する加熱手段と、原子化した前記測定試料に対して測定光を照射する発光手段と、前記加熱手段を通過した前記測定光を任意の波長毎に分光する分光手段と、分光された光を検出する検出手段と、この検出手段により出力された信号から吸光度を算出する演算手段と、前記黒鉛管への前記測定試料の注入量と前記黒鉛管の加熱温度および加熱時間とを指示入力する入力手段と、前記各手段の制御を行う制御手段とを有する原子吸光光度計であって、前記黒鉛管は、複数の試料注入口と、これらの試料注入口からそれぞれ注入された前記測定試料が保持される試料保持部と、これらの試料保持部に保持される前記測定試料を互いに隔てる凸部とを備える。
好ましくは、前記試料保持部および前記凸部では、前記黒鉛管に流れる前記電流の方向と直交する方向における、前記黒鉛管の肉厚部の断面積が等しい。
また、好ましくは、前記分注アームは、前記黒鉛管の長手方向に沿う第1の方向および当該第1の方向と直交する方向に直線状に移動する。
また、好ましくは、前記制御手段からの制御により、前記試料注入口からそれぞれ等量の前記測定試料が注入される。
また、好ましくは、前記測定試料は、前記制御手段からの制御により、前記分注ノズルで一度に吸引され、前記試料注入口からそれぞれ等分量に分けて注入される。
また、好ましくは、前記測定試料は、前記制御手段からの制御により、前記試料注入口毎に、前記分注ノズルで吸引された全量が前記試料注入口から注入される。
本発明の黒鉛管は、複数の試料注入口と、これらの試料注入口からそれぞれ注入された測定試料が保持される試料保持部と、これらの試料保持部に保持される前記測定試料を互いに隔てる凸部とを備える。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、黒鉛管は、複数の試料注入口と、これらの試料注入口からそれぞれ注入された測定試料が保持される試料保持部と、これらの試料保持部に保持される測定試料を互いに隔てる凸部とを備えるので、試料注入口から各々注入された測定試料の液滴は、凸部で互いに隔てられて接触しない。したがって、黒鉛管に注入した測定試料の比表面積を大きくするとともに半径を小さくでき、かつその状態を保持することができる。
これにより、分析時間の短縮と測定精度の向上とが可能になる。
本発明の原子吸光光度計の一実施の形態の概略構成を示す概略構成図である。 (a)は図1の黒鉛管の斜視図、(b)は(a)のI−I線に沿う半断面斜視図、(c)は(a)のI−I線に沿う断面図である。 (a)は図2(c)のII−II線に沿う断面図、(b)は図2(c)のIII−III線に沿う断面図、(c)は図2(c)のIV−IV線に沿う断面図である。 (a)は図1の黒鉛管の第1の変形例を示す斜視図、(b)は(a)のV−V線に沿う半断面斜視図、(c)は(a)のV−V線に沿う断面図である。 図1の黒鉛管の第2の変形例を示す図4(a)のV−V線に沿う断面図である。 測定試料の乾燥段階から灰化段階、原子化に至るまでの吸光度変化をリアルタイムのグラフで表示している表示部の一例である。 原子化段階の水平方向(電流方向)の黒鉛管温度分布である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。
図1は、本発明の原子吸光光度計の一実施の形態の概略構成を示す概略構成図である。図2(a)は図1の黒鉛管の斜視図、(b)は(a)のI−I線に沿う半断面斜視図、(c)は(a)のI−I線に沿う断面図である。図3(a)は図2(c)のII−II線に沿う断面図、(b)は図2(c)のIII−III線に沿う断面図、(c)は図2(c)のIV−IV線に沿う断面図である。
図1に示すように、原子吸光光度計1は、制御手段および演算手段としての中央処理装置10と、入力手段および出力手段としての操作部20と、分注手段としての分注装置30と、加熱手段としての電気加熱炉40と、発光手段としての光源50と、分光手段としての分光器60と、検出手段としての検知器(光電子増倍管)70とから主に構成されている。そして、測定時には、分注装置30内に試料(測定試料)31の入った試料容器32が、電気加熱炉40内に黒鉛管41がそれぞれ配置される。なお、黒鉛管41は、水平方向に長手であり、いずれの部分も同一の黒鉛(グラファイト)からなる管である。
中央処理装置10は、原子吸光光度計1の有する上述した各手段である操作部20、分注装置30、電気加熱炉40、光源50、分光器60および検知器70を制御する。なお、電気加熱炉40は加熱制御部11を介して、分光器60および検知器70はA/D変換器80を介して、中央処理装置10によりそれぞれ制御される。
分注装置30は、水平(左右)方向移動レール33と、鉛直(高さ)方向移動レール34と、これらのレールに沿って水平方向(黒鉛管の長手方向に沿う第1の方向)および鉛直方向(第1の方向に直交する方向)に直線状に動かされることで、試料容器32と黒鉛管41との間を移動する分注アーム35とを備えている。分注アーム35は、水平方向移動レール33に沿って移動する第1のアーム35aと、この第1のアーム35aの表面に配置されて鉛直方向移動レール34に沿って移動する第2のアーム35bとを有している。そして、第2のアーム35bにおいて、試料容器32から試料31を吸引して黒鉛管41に注入する分注ノズル36を保持するとともに、この分注ノズル36をシリンジポンプ37と接続している。なお、分注ノズル36とシリンジポンプ37は、中央処理装置10により制御される。
電気加熱炉40は、炉内に電源42と、これに接続された一対の電極43a,43bとを備えており、一対の電極43a,43b間に黒鉛管41が配置されるようになっている。また、電気加熱炉40の中央部には、水平方向に沿って光源50から照射された測定光51を通過させる図示しない貫通孔が形成されている。
電気加熱炉40は、操作部20より予め入力および設定された加熱プログラムにしたがい、加熱制御部11により電源42にて加熱制御を行う。これにより、黒鉛管41は電源42から流された電流により通電加熱され、黒鉛管41に注入された試料31が乾燥段階および灰化段階を経て原子化される。
図2(a)〜(c)に示すように、黒鉛管41は、図1に示した光源50側から順に、第1の試料注入口44aと第2の試料注入口44bとの2つの試料注入口を備えている。
黒鉛管41内面には、光源から照射された測定光および電源から流された電流を通す貫通孔45が、水平方向に沿って形成されている。また、黒鉛管41の中央部は一対の大径部41a,41bとなっており、この大径部41a,41bの上端に、上述した第1および第2の試料注入口44a,44bが形成されている。
そして、図2(b),(c)に示すように、大径部41a,41bの内部には、第1および第2の試料注入口44a,44bと各々つながって、それぞれ注入された試料を保持するための第1の試料保持部46aおよび第2の試料保持部46b(以下、単に試料保持部という。)が、貫通孔45の外周に沿って形成されている。試料保持部46a,46bは貫通孔45より大径であり、径差により貫通孔45との境に段差47が形成される。この段差47により、試料保持部46a,46b内の試料の液滴が貫通孔45に流出せずに保持される。
試料保持部46a,46bの間には、注入された試料の液滴を互いに隔てるための一対の凸部48a,48bが、黒鉛管41内面の鉛直方向両端から突出して形成されている。凸部48a,48bは、傾斜状に突出するとともに、黒鉛管41の外面に、内面側の傾斜よりも緩い傾斜状の切り欠き49a,49bがそれぞれ形成されている。
これにより、凸部48a,48bでは、図3(a)〜(c)に示すように、鉛直方向、つまり黒鉛管41に流れる電流i(図2(c)参照)の方向と直交する方向における、黒鉛管41の肉厚部の断面積sが、いずれの部分においても、試料保持部46a,46bの同じ方向における黒鉛管41の肉厚部の断面積tと等しくなっている。なお、図3では、理解を容易にするために、中空部において可視できる部分は敢えて省略している。
試料保持部46a,46bは、図2に示した黒鉛管41の水平方向両端間の距離lと、試料保持部46a,46bの水平方向両端間の距離mとの比が3:1に近いことが好ましい。距離mの値をこれより大きくするに連れ、黒鉛管41加熱時にその内面の温度分布にムラが生じて測定精度に悪影響を与える虞がある。また、距離mの値をこれより小さくすると、凸部48a,48bの形成が困難になる。
図2(c)に示した凸部48a,48bの黒鉛管41内面からの突出距離αは、段差47の黒鉛管41内面からの突出距離βと同程度であることが好ましい。突出距離αをこれより短くすると、試料保持部46a,46b内の試料の液滴が凸部48a,48bを超えて接触することがあり、これより長くしても加工コストが嵩むだけである。
なお、試料31が保持されるのは試料保持部46a,46bの底部側であるので、底部側のみに凸部を形成することも可能であるが、この場合は、黒鉛管41加熱時の温度分布にムラが生じる虞があり、加工も難しくなる。したがって、図2に示したように、一対の凸部48a,48bを形成することが好ましい。
原子吸光光度計1の測定時の動作を、図1を参照しながら説明する。まず、操作部20により、分析者が予め試料の分注量や黒鉛管の加熱温度および加熱時間等の分析条件の設定を行う。
具体的な設定項目としては、測定元素、測定波長、黒鉛管への試料注入量および黒鉛管の加熱温度プログラム(以下、単に加熱温度プログラムという。)がある。加熱温度プログラムにおいては、乾燥段階の開始温度、終了温度および加熱時間と、灰化段階の開始温度、終了温度および加熱時間と、原子化段階の温度および加熱時間とを設定する。乾燥段階の加熱時間と灰化段階の加熱時間は、黒鉛管への試料注入量と比例して時間の増加減を行う。
次に、分注アーム35が、第1のアーム35aにより水平方向移動レール33に沿って試料容器32上に移動した後、第2のアーム35bにより鉛直方向移動レール34に沿って下降して分注ノズル36が試料容器32内の試料31に入る。そして、シリンジポンプ37が、予め設定された黒鉛管への試料注入量にしたがい、中央処理装置10からの制御により、分注ノズル36から一定量の試料31を吸引する。
次に、分注アーム35は、第2のアーム35bにより鉛直方向移動レール34に沿って上昇する。第1のアーム35aにより水平方向移動レール33に沿って黒鉛管41の第1の試料注入口44a上に移動した後、第2のアーム35bにより鉛直方向移動レール34に沿って下降して分注ノズル36が第1の試料注入口44aから黒鉛管41の内部に入る。そして、シリンジポンプ37が、予め設定された黒鉛管への試料注入量の半分の量(試料注入量を試料注入口の数で割った量)を、中央処理装置10からの制御により、分注ノズル36から試料保持部46aに注入する。
つづいて、同様に、分注アーム35は上昇して第2の試料注入口44b上に移動した後、下降して分注ノズル36が第1の試料注入口44bから黒鉛管41の内部に入る。そして、シリンジポンプ37が、試料容器32から吸引した試料31の残りの量、つまり第1の試料注入口44aからの試料注入量と等量の試料を、中央処理装置10からの制御により、分注ノズル36から試料保持部46bに注入する。注入後、分注アーム35は上昇して分注ノズル36が黒鉛管41の外に移動する。
分注アーム35の作動後、光源50から測定光51が、電気加熱炉40の貫通孔および黒鉛管41の貫通孔45を通って試料保持部46a,46b内の試料31に照射される。また、加熱制御部11が、加熱温度プログラムにしたがい電気加熱炉40の加熱制御を行い、黒鉛管41は電源42により通電加熱される。加熱温度プログラムは、試料31の水分を蒸発させる乾燥段階から始まり、試料31の有機物等を燃焼させる灰化段階の加熱を経た後、試料31を原子化させる原子化段階で吸光度を得る。
試料31を通過した測定光51は、分光器60に導かれる。そして、この分光器60では測定光51が任意の波長毎に分光され、測定対象となる特定の測定波長の光のみが分光器60から出射される。
出射された測定光51は検知器70に導かれ、検知器70では検出された光の強度を電気信号に変換してA/D変換器80に出力し、A/D変換器80は電気信号をデジタル信号として中央処理装置10に出力する。中央処理装置10では、デジタル信号から吸光度を算出して記憶する。また、算出した吸光度を操作部20に出力するとともに、操作部20に接続された表示部21に表示する。
このように、原子吸光光度計1は、黒鉛管41に、第1の試料注入口44aおよび第2の試料注入口44bの2つの試料注入口と、これらに対応する試料保持部46a,46bと、試料保持部46a,46b内に保持される試料31の液滴を互いに隔てる凸部48a,48bとを備えたので、分析時間の短縮と測定精度の向上とを図ることができる。
黒鉛管が試料注入口を複数備えるだけでは、各試料注入口毎に分けて試料を注入しても、各試料保持部に保持された試料の液滴が接触し、液滴の比表面積が小さくなるとともに半径が大きくなり蒸発時間が長くなる虞がある。ここで、試料の液滴の接触を防ぐために、試料保持部を互いに離すことが考えられる。しかし、その場合には、黒鉛管加熱時に、常温の試料と加熱されて極めて高温となっている黒鉛管との温度差により、内面の温度分布にムラが生じて測定精度に悪影響を及ぼす。
一方、原子吸光光度計1では、凸部48a,48bを備えたことで、これらが隔壁として作用し、第1の試料注入口44aと第2の試料注入口44bとを近づけても、試料保持部46a,46b内の試料の液滴が接触することを防いで、液滴の比表面積を大きくかつ半径を小さい状態で保って蒸発時間を短くできる。
また、原子吸光光度計1は、凸部48a,48bで、黒鉛管41に流れる電流の方向と直交する方向における、黒鉛管41の肉厚部の断面積sが、いずれの部分においても、試料保持部46a,46bの同じ方向における黒鉛管41の肉厚部の断面積tと等しいので、測定精度のさらなる向上を図ることができる。
つまり、黒鉛管41内面の貫通孔45を流れる電流は一定であるので、肉厚部の断面積が増える部分があると、その部分で抵抗が増して温度分布に変化が生じやすくなることがある。そこで、上述したように、凸部48a,48bでは、黒鉛管41の肉厚部の断面積を試料保持部46a、46bのそれと等しくし、抵抗を一定として温度分布に変化を生じさせないようにして測定精度の向上を図っているのである。
さらに、原子吸光光度計1は、中央処理装置10からの制御により、第1の試料注入口44aと第2の試料注入口44bとで、等量の試料31が注入されるので、各試料注入口から注入した試料の液滴を同じ時間で蒸発させることができ、分析時間のさらなる短縮を図ることができる。
さらに、原子吸光光度計1は、分注ノズル36により、試料容器32から一度で試料31を吸引し、各試料注入口から等しい量の試料31を黒鉛管41に注入するので、分注アーム35の作動時間を短くでき、分析時間のさらなる短縮を図ることができる。
さらに、原子吸光光度計1は、分注アーム35が、水平方向および鉛直方向に直線状に移動するので、分注ノズル36により、第1の試料注入口44aおよび第2の試料注入口44bの2つの試料注入口に試料を注入することができる。つまり、分注アームが円弧状に移動する場合は、試料注入口が増えたことに対応して柔軟に移動方法を変更することが難しいが、原子吸光光度計1では分注アーム35が二方向に直線状に移動するので、試料注入口が増やしてもそれに対応して移動方法を柔軟に変更することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前記実施の形態では、原子吸光光度計1は、内面に傾斜状に突出するとともに、外面に切り欠き49a,49bが形成された凸部48a,48bを備えた黒鉛管41を用いているが、例えば以下の変形例の黒鉛管を用いてもよい。
図4(a)は図1の黒鉛管の第1の変形例を示す斜視図、(b)は(a)のV−V線に沿う半断面斜視図、(c)は(a)のV−V線に沿う断面図である。図4(a)〜(c)に示すように、黒鉛管90は、内面に凸部91a,91bが段状に突出して形成されており、この凸部91a,91bは黒鉛管90の外面に切り欠きが形成されていない。なお、切り欠きがないことに伴い、試料保持部46a,46bは連続した大径部41cの内面に備えられている。このように、黒鉛管90では、凸部91a,91bの形状を単純にしたので、極めて高い耐熱性を有していても加工が容易となり、加工コストの削減を図ることができる。
図5は、図1の黒鉛管の第2の変形例を示す図4(a)のV−V線に沿う断面図である。図5に示すように、黒鉛管95は、内面に凸部96a,96bが傾斜状に突出して形成されており、この凸部96a,96bは黒鉛管90の外面に切り欠きが形成されていない。つまり、凸部96a,96bは、黒鉛管41の凸部48a,48bに比して切り欠き49a,49bが形成されてないことのみが異なる。
このように、黒鉛管95では、凸部96a,96bの突出形状を傾斜状としたことで肉厚部の変異が緩やかになるとともに、切り欠きを形成しないことで加工も容易になるので、測定精度を高くできるのみならず、加工コストの削減をも図ることができる。なお、図5の黒鉛管90は、斜視図で表すと図4(a)の黒鉛管41と同じ形状になるので、斜視図による図示は敢えて省略する。
また、前記実施の形態では、原子吸光光度計1は、分注ノズル36により、試料容器32から一度で試料31を吸引しているが、これに限らない。例えば、中央処理装置10からの制御により、吸引した試料31の全量を第1の試料注入口44aから注入した後に、再度試料容器32から分注ノズル36により当初吸引量と等量の試料31を吸引して、第2の試料注入口に44bから注入してもよい。つまり、試料31は、試料注入口毎に、分注ノズル36で吸引された全量を試料注入口から注入してもよい。
さらに、前記実施の形態では、原子吸光光度計1は、第1の試料注入口44a、第2の試料注入口44bの順に試料31を注入しているが、これに限らず、注入順序を逆としてもよい。
さらに、前記実施の形態では、原子吸光光度計1は、試料注入口を2つ備えているが、これに限らず、複数であれば3つ以上備えていてもよい。ただし、黒鉛管41内面の温度分布を考慮すると、試料注入口は2つであることが好ましい。
さらに、前記実施の形態では、原子吸光光度計1は、中央処理装置10が、制御手段と演算手段とを兼ねているが、これに限らず、制御手段と演算手段とを別々に有していてもよい。
さらに、前記実施の形態では、原子吸光光度計1は、中央処理装置10と加熱制御部11とが分かれているが、これに限らず、両者を一体としてもよいし、加熱制御部11を電気加熱炉40に一体として備えていてもよい。
さらに、前記実施の形態では、原子吸光光度計1は、操作部20が、入力手段と出力手段とを兼ねているが、これに限らず、入力手段と出力手段とを別々に有していてもよい。
さらに、前記実施の形態では、原子吸光光度計1は、分注アーム35が、レールに沿って移動するが、これに限らず、例えばスリット等の公知のガイド部材に沿って移動するようにしてもよい。
以下、実施例によって、本発明をさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されない。
(分析時間の測定)
図1に示した原子吸光光度計1に凸部48a,48bを備えた黒鉛管41を用いて測定を行った。
分析条件としては、加熱温度プログラムにおいて、乾燥段階の開始温度、終了温度および加熱時間、灰化段階の開始温度、終了温度および加熱時間、原子化段階の温度および加熱時間を、表1に示すように設定し、5回連続測定を行った。
試料31の量は20μLとし、試料容器32から分注ノズル36により20μL吸引した後、第1の試料注入口44a、第2の試料注入口44bの順で10μLずつ黒鉛管41内に注入した。
また、従来の試料注入口を1つだけ備えた黒鉛管を用いた原子吸光光度計によっても、各段階の温度および試料量を同じにして同様に測定を行った。この場合は、試料量の20μL全てを試料注入口から黒鉛管内に注入した。
結果を図6および表1に示す。ここで、図6は、測定試料の乾燥段階から灰化段階、原子化に至るまでの吸光度変化をリアルタイムのグラフで表示している表示部の一例である。なお、図6のグラフ中、横軸は測定時間(秒)、縦軸は吸光度である。
Figure 2010169510
図6および表1の結果から、本発明での測定は、従来の黒鉛管での測定と比較して、加熱温度プログラムの合計時間を63秒から38秒に、約40%の短縮が可能であることがわかった。
本発明では、黒鉛管への試料注入口を2箇所にすることにより、1箇所あたりの試料注入量を半分にできる。このため、10μLの一つの液滴は、20μLの液滴と比較して比表面積(単位時間あたりの表面積、または単位体積あたりの表面積)が大きくなるし、10μLの液滴は20μLの液滴より液滴の半径が小さくなるため蒸気圧が高くなり、蒸発時間が短くなる。こうした理由から、試料を乾燥させる時間および灰化させる時間を短くできる。
(温度分布の測定)
図2に示した黒鉛管41内面の電流方向(水平方向)に沿った原子化段階における温度分布を測定した。結果を図7に示す。
図7に示すように、黒鉛管41は、凸部48a,48bが形成された部分でも、試料保持部46a,46bと温度差がなく、温度分布に変化を生じさせないことがわかった。
つまり、黒鉛管41は、凸部48a,48bと試料保持部46a,46bとで肉厚部の断面積を等しくしたので、内面の温度分布を均一化することができる。
本発明は、加熱して原子化させた試料を吸光分析することにより金属元素の分析を行う原子吸光光度計に利用可能である。
1 原子吸光光度計
10 中央処理装置
11 加熱制御部
20 操作部
21 表示部
30 分注装置
31 試料(測定試料)
32 試料容器
33 水平(左右)方向移動レール
34 鉛直(高さ)方向移動レール
35 分注アーム
35a 第1のアーム
35b 第2のアーム
36 分注ノズル
37 シリンジポンプ
40 電気加熱炉
41 黒鉛管
41a 大径部
41b 大径部
41c 大径部
42 電源
43a 電極
43b 電極
44a 第1の試料注入口
44b 第2の試料注入口
45 貫通孔
46a 第1の試料保持部
46b 第2の試料保持部
47 段差
48a 凸部
48b 凸部
49a 切り欠き
49b 切り欠き
50 光源
51 測定光
60 分光器
70 検知器(光電子増倍管)
80 A/D変換器
90 黒鉛管
91a 凸部
91b 凸部
95 黒鉛管
96a 凸部
96b 凸部
i 電流
l 黒鉛管の水平方向両端間の距離
m 試料保持部の水平方向両端間の距離
s 黒鉛管の肉厚部の断面積
t 黒鉛管の肉厚部の断面積
α 凸部の黒鉛管内面からの突出距離
β 段差の黒鉛管内面からの突出距離

Claims (7)

  1. 試料容器から測定試料を吸引して黒鉛管に注入する分注ノズルを保持して前記試料容器と前記黒鉛管との間を移動する分注アームを備えた分注手段と、
    前記黒鉛管に電流を流すことにより加熱して前記黒鉛管に注入した前記測定試料を原子化する加熱手段と、
    原子化した前記測定試料に対して測定光を照射する発光手段と、
    前記加熱手段を通過した前記測定光を任意の波長毎に分光する分光手段と、
    分光された光を検出する検出手段と、
    この検出手段により出力された信号から吸光度を算出する演算手段と、
    前記黒鉛管への前記測定試料の注入量と前記黒鉛管の加熱温度および加熱時間とを指示入力する入力手段と、
    前記各手段の制御を行う制御手段とを有する原子吸光光度計であって、
    前記黒鉛管は、複数の試料注入口と、これらの試料注入口からそれぞれ注入された前記測定試料が保持される試料保持部と、これらの試料保持部に保持される前記測定試料を互いに隔てる凸部とを備えることを特徴とする原子吸光光度計。
  2. 請求項1に記載の原子吸光光度計において、前記試料保持部および前記凸部では、前記黒鉛管に流れる前記電流の方向と直交する方向における、前記黒鉛管の肉厚部の断面積が等しいことを特徴とする原子吸光光度計。
  3. 請求項1または2に記載の原子吸光光度計において、前記分注アームは、前記黒鉛管の長手方向に沿う第1の方向および当該第1の方向と直交する方向に直線状に移動することを特徴とする原子吸光光度計。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の原子吸光光度計において、前記制御手段からの制御により、前記試料注入口からそれぞれ等量の前記測定試料が注入されることを特徴とする原子吸光光度計。
  5. 請求項4に記載の原子吸光光度計において、前記測定試料は、前記制御手段からの制御により、前記分注ノズルで一度に吸引され、前記試料注入口からそれぞれ等分量に分けて注入されることを特徴とする原子吸光光度計。
  6. 請求項4に記載の原子吸光光度計において、前記測定試料は、前記制御手段からの制御により、前記試料注入口毎に、前記分注ノズルで吸引された全量が前記試料注入口から注入されることを特徴とする原子吸光光度計。
  7. 原子吸光光度計に用いられる黒鉛管であって、複数の試料注入口と、これらの試料注入口からそれぞれ注入された測定試料が保持される試料保持部と、これらの試料保持部に保持される前記測定試料を互いに隔てる凸部とを備えることを特徴とする黒鉛管。
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