JP2010167739A - 成形型 - Google Patents

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Kuniyuki Kobayashi
邦幸 小林
Susumu Shintani
進 新谷
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Abstract

【課題】ラジアルファン全体を一体に成形することができて、製造コストを低減することができるとともに、高性能のラジアルファンを製造することができる成形型を提供する。
【解決手段】一対の円環状の端板間に複数のブレードが放射状に配置され、一方の端板が他方の端板に対して外周側ほど接近するように傾斜状態で配置されたラジアルファンFを成形するための成形型であって、上型21及び下型23と、それらの間において放射方向に進退可能な複数の中子24とを備える。ラジアルファンFの成形後に、中子24がラジアルファンFの外周側に後退移動される際に、傾斜状態の端板F1と干渉するのを回避するための回避構造27を設ける。
【選択図】図2

Description

この発明は、例えば液体ポンプに用いられるラジアルファンを成形するようにした成形型に関するものである。
従来、この種の装置等に使用されるラジアルファンとしては、例えば図8〜図10に示すような構成が知られている。このラジアルファンFは、上下一対の円環状の端板F1,F2と、それらの端板F1,F2間に所定間隔おきで放射状に配置された複数のブレードF3とから構成されている。そして、上部端板F1が下部端板F2に対して、外周側ほど接近するように傾斜状態で配置されている。
このような構造のラジアルファンFを合成樹脂により成形する場合、両端板F1,F2間の間隔が外周側ほど狭くなるように形成される。このため、両端板F1,F2間において、その両端板F1,F2の内面及び各ブレードF3を成形する型(以下、この型を中子という)を、ラジアルファンFの外周側に型開き移動させることが困難である。このため、従来では一対の端板F1,F2と複数のブレードF3とを別々に成形した後、それらの部品を熱溶着、接着剤、リベット等により組み付け固定する方法がとられていた。
ちなみに、特許文献1及び特許文献2には、この種の成形型が開示されているが、これらは、いずれも上下の端板が平行をなすラジアルファンを成形するためのものである。
特開平08−216192号公報 特開平09−151898号公報
ところが、この従来のラジアルファンの製造方法においては、前記のように一対の端板F1,F2及び複数のブレードF3を別々に成形して組み付け固定しているため、部品点数が多くなり、製造コストが高くなるという問題があった。
また、この従来の製造方法により製造されたラジアルファンFにおいては、各ブレードF3の両端面が両端板F1,F2の内面に対して接着等により結合固定されているため、その結合部分を一体に形成した場合に比較して結合強度が低くなるとともに、その結合部分に隙間が発生するおそれもあった。その結果、高性能のラジアルファンを製造することができないという問題があった。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ラジアルファン全体を一体に成形することができて、製造コストを低減することができるとともに、高性能のラジアルファンを製造することができる成形型を提供することにある。
上記の目的を達成するために、この発明は、一対の円環状の端板間に複数のブレードが放射状に配置され、一方の端板が他方の端板に対して外周側ほど接近するように傾斜状態で配置されたラジアルファンを成形するための成形型において、上型及び下型と、それらの間において放射方向に進退可能な複数の中子とを備え、前記中子がラジアルファンの外周側に後退移動される際に、傾斜状態の端板と干渉するのを回避するための回避手段を設けたことを特徴としている。
従って、この発明の成形型においては、一対の端板と複数のブレードとよりなるラジアルファン全体を一体に成形することができる。よって、一対の端板及び複数のブレードを別々に成形するための複数種の成形型や、成形された部品を組み付けるための組み付け装置を必要とせず、ラジアルファンの製造コストを低減することができる。
しかも、この発明の成形型により成形されたラジアルファンにおいては、各ブレードの両端面が両端板の内面に対して一体に結合形成されているため、その結合部分の結合強度を高めることができるとともに、その結合部分に隙間が発生するおそれを抑制することができる。よって、高性能のラジアルファンを製造することができる。
また、前記の構成において、前記回避手段は、前記中子を上型と下型との間において分割された複数の分割片により構成することと、それらの複数の分割片をそれぞれ単独で進退させる駆動手段と、前記端板の傾斜角度に沿うように形成された分割片間の接合面とを有するように構成するとよい。このように構成した場合には、ラジアルファンの成形後に、中子の各分割片を駆動手段にてラジアルファンの外周側へ格別に後退移動させることにより、中子を傾斜状態の端板と干渉することなく型開き動作させることができる。
さらに、前記の構成において、前記回避手段は、前記中子を上型と下型との間において分割された複数の分割片により構成することと、それらの複数の分割片をそれぞれ単独で進退させる駆動手段と、前記ラジアルファンの軸線と直交する面内に形成された分割片間の接合面とを有するように構成するとよい。このように構成した場合にも、前記と同様に、ラジアルファンの成形後に、中子を傾斜状態の端板と干渉することなく型開き動作させることができる。
以上のように、この発明によれば、ラジアルファン全体を一体に成形することができて、製造コストを低減することができるとともに、高性能のラジアルファンを製造することができるという効果を発揮する。
第1実施形態の成形型における下型の平面図。 図1の2−2線における拡大断面図。 図1の成形型における中子の拡大断面図。 (a)〜(c)は同成形型における中子の型開き動作を順に示す要部断面図。 第2実施形態の成形型における下型の平面図。 図5の6−6線における拡大断面図。 (a)〜(c)は同成形型における中子の型開き動作を順に示す要部断面図。 成型品としてのラジアルファンを示す斜視図。 同ラジアルファンの平面図。 同ラジアルファンの断面図。
(第1実施形態)
以下に、この発明を図8〜図10に示すような構成のラジアルファンFを製造するための成形型に具体化した第1実施形態を、図1〜図4に従って説明する。
図1及び図2に示すように、この実施形態の成形型は、上型21と、その上型21の下部に複数のガイドロッド22を介して上下方向へ開閉移動可能に配置された下型23とを備えている。上型21の下面中央部には、ラジアルファンFの上部端板F1の外面及びラジアルファンF全体の内周面を形成するための第1型部21aが設けられている。下型23の上面中央部には、ラジアルファンFの下部端板F2の外面を形成するための第2型部23aが設けられている。下型23の上面には、ラジアルファンFの両端板F1,F2の内面及び複数のブレードF3の周側面を形成するための複数の中子24が、所定間隔おきで放射方向へ進退移動可能に配置されている。
そして、図2に示すように、上型21及び下型23が型閉じされた状態で、第1型部21aと第2型部23aと複数の中子24とにより、ラジアルファンFを一体に成形するためのキャビティCが形成される。上型21の中央部には、キャビティC内に合成樹脂材料を注入するための注入口25が設けられている。下型23には、ラジアルファンFの成形後に、そのラジアルファンFをキャビティCから型抜きするためのノックアウトピン26が上下移動可能に貫通配置されている。
図1〜図3に示すように、前記各中子24には、ラジアルファンFの成形後に、中子24がラジアルファンFの外周側に後退移動される際に、傾斜状態の上部端板F1との干渉を回避するための回避手段としての回避構造27が施されている。すなわち、各中子24は、上型21と下型23との間において上下に分割された2つの分割片24a,24bにより構成されている。中子24の両分割片24a,24b間には、アリ溝28aとアリ28bとよりなる接合面28がラジアルファンFの上部端板F1の傾斜角度に沿うように形成されている。
図1及び図2に示すように、前記各中子24の両分割片24a,24bには、それらの分割片24a,24bをそれぞれ単独で進退移動させるための第1及び第2駆動手段が設けられている。傾斜状態の上部端板F1側に位置する上部分割片24aのための第1駆動手段は、上型21の下面に傾斜状態で突設された駆動ピン29aと、その駆動ピン29aに摺動可能に係合するように上部分割片24aに形成された係合孔29bとからなる連結機構29により構成されている。そして、ラジアルファンFの成形後に、上型21及び下型23が型開きされる際に、その型開き動作に連動して、連結機構29の係合孔29bが駆動ピン29aに沿って摺動されることにより、上部分割片24aが傾斜接合面28に沿ってラジアルファンFの外周側に後退移動される。
また、下部端板F2側に位置する下部分割片24bのための第2駆動手段は、下型23上に配設されたシリンダ30により構成され、そのシリンダ30のピストンロッド30aが下部分割片24bの外端部に連結されている。そして、ラジアルファンFの成形後に、連結機構29により上部分割片24aが後退移動された状態で、シリンダ30の引き込み動作により、下部分割片24bが上部分割片24aとともにラジアルファンFの外周側に後退移動される。
次に、前記のように構成された成形型の動作を説明する。
さて、図2に示す状態では、上型21に対して下型23が型閉じされ、第1型部21aと第2型部23aと複数の中子24との間に、ラジアルファンFを成形するためのキャビティCが形成されている。この型閉じ状態において、注入口25からキャビティC内に合成樹脂材料が注入されることにより、図4(a)に示すように、傾斜状態の上部端板F1、平板状の下部端板F2及び複数のブレードF3を有するラジアルファンFが成形される。
そして、このラジアルファンFの成形後に、上型21に対して下型23が下方に型開き移動されると、その下型23上に配置された複数の中子24がラジアルファンFとともに下方へ移動される。このとき、連結機構29の駆動ピン29aと係合孔29bとの係合を介して、各中子24の上部分割片24aにラジアルファンFの外周側への移動力が付与される。これにより、上型21及び下型23の型開き動作に連動して、各中子24の上部分割片24aが傾斜接合面28に沿ってラジアルファンFの外周側に後退移動される。その結果、図4(b)に示すように、上部分割片24aの先端部がラジアルファンFにおける傾斜状態の上部端板F1の内側から外周側に抜き取られる。
その後、シリンダ30の引き込み動作により、各中子24の下部分割片24bが上部分割片24aとともにラジアルファンFの外周側に後退移動される。これにより、図4(c)に示すように、下部分割片24bの先端部がラジアルファンFにおける下部端板F2の内側から外周側に抜き取られる。そして、この状態でノックアウトピン26が上方に移動されることにより、ラジアルファンFが下型23から型抜きされる。
以上のように、この実施形態の成形型においては、傾斜状態の上部端板F1、平板状の下部端板F2及び複数のブレードF3を有するラジアルファンF全体を、合成樹脂にて一体に成形することができる。従って、各部品を別々に成形して組み付け固定していた従来の製造方法と異なって、複数種の成形型や組み付け装置が不要となり、ラジアルファンFの製造コストを低減することができる。
また、この実施形態の成形型により成形されたラジアルファンFにおいては、各ブレードF3の両端面が両端板F1,F2の内面に対して一体に結合形成されている。このため、従来の製造方法により製造されたラジアルファンに比較して、その結合部分の結合強度を高めることができるとともに、その結合部分に隙間が発生するおそれを抑制することができる。よって、高性能のラジアルファンFを製造することができる。
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した成形型の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第2実施形態においては、図5〜図7に示すように、各中子24の上部分割片24aと下部分割片24bとの間の接合面28が、ラジアルファンFの上部端板F1の傾斜角度に沿うことなく、ラジアルファンFの軸線と直交する面内に沿って延びるように形成されている。また、この実施形態においては、各中子24の上部分割片24aに対応して、下型23上に第1駆動手段としてのシリンダ31が配設され、そのシリンダ31のピストンロッド31aが上部分割片24aの外端部に連結されている。
そして、この実施形態の成形型においては、図6及び図7(a)に示すように、上型21及び下型23の型閉じ状態で、ラジアルファンFが成形された後、中子24の上部分割片24a及び下部分割片24bが次のように型抜き動作される。すなわち、ラジアルファンFの成形後に、上型21に対して下型23が下方に型開き移動されると、その下型23上に配置された複数の中子24がラジアルファンFとともに下方へ移動される。
このとき、図7(b)に示すように、シリンダ30の引き込み動作により、各中子24の下部分割片24bがラジアルファンFの外周側に後退移動される。これにより、下部分割片24bの先端部がラジアルファンFにおける下部端板F2の内側から外周側に抜き取られる。そして、この状態でノックアウトピン26が上方に移動されることにより、ラジアルファンFが下型23から型抜きされるとともに、ラジアルファンFにおける傾斜状態の上部端板F1が各中子24の上部分割片24aから上方に離間される。
その後、図7(c)に示すように、シリンダ31の引き込み動作により、各中子24の上部分割片24aがラジアルファンFの外周側に後退移動される。これにより、上部分割片24aの先端部がラジアルファンFにおける上部端板F1の内側から外周側に抜き取られる。
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記各実施形態において、小さい曲率で湾曲するブレードF3が設けられたラジアルファンFの成形に対応できるように、中子24がその後退とともにその向きを変更する機構を設けること。
・ 前記実施形態とはブレードF3の枚数が異なるラジアルファンFの成形にこの発明を具体化すること。この場合には、中子24の数も前記実施形態とは異なる。
(別の技術的思想)
さらに、上記実施形態により把握される請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果とともに記載する。
(A) 前記駆動手段は、傾斜した端板側に位置する中子の分割片を上型及び下型の型開き動作により後退させる連結機構である請求項2に記載の成形型。
この構成によれば、傾斜した端板側の分割片を、上型及び下型の型開き動作に連動して後退移動させることができる。
(B) 前記駆動手段はシリンダである請求項2または3に記載の成形型。
この構成によれば、中子の分割片をシリンダにより任意に進退移動させることができる。
21…上型、23…下型、24…中子、24a…上部分割片、24b…下部分割片、27…回避手段としての回避構造、28…接合面、29…第1駆動手段を構成する連結機構、30…第2駆動手段を構成するシリンダ、31…第1駆動手段を構成するシリンダ、F…ラジアルファン、F1…上部端板、F2…下部端板、F3…ブレード、C…キャビティ。

Claims (3)

  1. 一対の円環状の端板間に複数のブレードが放射状に配置され、一方の端板が他方の端板に対して外周側ほど接近するように傾斜状態で配置されたラジアルファンを成形するための成形型において、
    上型及び下型と、それらの間において放射方向に進退可能な複数の中子とを備え、前記中子がラジアルファンの外周側に後退移動される際に、傾斜状態の端板と干渉するのを回避するための回避手段を設けたことを特徴とする成形型。
  2. 前記回避手段は、
    前記中子を上型と下型との間において分割された複数の分割片により構成することと、
    それらの複数の分割片をそれぞれ単独で進退させる駆動手段と、
    前記端板の傾斜角度に沿うように形成された分割片間の接合面と
    を有する請求項1に記載の成形型。
  3. 前記回避手段は、
    前記中子を上型と下型との間において分割された複数の分割片により構成することと、
    それらの複数の分割片をそれぞれ単独で進退させる駆動手段と、
    前記ラジアルファンの軸線と直交する面内に形成された分割片間の接合面と
    を有する請求項1に記載の成形型。
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