JP2010166803A - 回転電機の固定子 - Google Patents

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Abstract

【課題】スロット内での導線の占積率を向上し得るようにした回転電機の固定子を提供する。
【解決手段】固定子20は、周方向に複数のスロット31を有する円環状の固定子コア30、周方向の異なるスロット31に収容されるスロット収容部41とスロット31の外部でスロット収容部41同士を接続しているターン部52とを有する複数の導線50を固定子コア30に波巻きしてなる固定子巻線40とを備えている。ターン52部は、固定子コア30から最も離れた位置にある頂部53とスロット収容部51との間の部位に、固定子コア30の径方向に折れ曲がるクランク部57を有する。
【選択図】図15

Description

本発明は、例えば車両において電動機や発電機として使用される回転電機の固定子に関する。
近年、電動機や発電機として使用される回転電機において、小型高出力および品質の向上が求められている。例えば、車両に搭載される回転電機においては、車両のエンジンルームで回転電機を搭載するためのスペースが小さくなってきている一方で、車両負荷の増大による発電出力の向上が求められている。特に、回転電機の小型高出力については、各巻線の巻線抵抗値の低減や、固定子の磁気回路内に納める電気導体の占積率の向上、さらには各相巻線のターン部の整列化および高密度化が必要であった。
この要求に対して、本出願人は、特許文献1および2において、周方向に複数のスロットを有する固定子コアと、周方向の異なるスロットに収容されるスロット収容部とスロットの外部でスロット収容部同士を接続しているターン部とを有する複数の導線を固定子コアに波巻きしてなる固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子に関する技術を提案した。
特許文献1では、固定子コアの端面の拡がる方向に沿って延びる段部をターン部に形成することにより、ターン部を密に配置して、固定子巻線のターン部の固定子コアからの突出高さを低くすることができる。また、特許文献1では、2本の導線を内側と外側に交互に入れ換えることにより編み込んで帯状の導線集積体を形成し、その導線集積体を渦巻き状に巻き付けて円筒状の固定子巻線を形成することにより、導線集積体の幅寸法(ターン部の固定子コアからの突出高さ)を小さくし、導線集積体の厚みを薄くすることができるので、回転電機の小型化が可能となる。
また、特許文献2では、複数の導線を所定の方法で編み込んで固定子巻線を製造することにより、波巻き方式の固定子巻線において、径方向の厚み寸法を低減することが可能となる。即ち、特許文献1および2には、回転電機の小型化を実現するために、複数の導線を編み込んで形成した導線集積体を用いて固定子巻線を形成することが開示されている。
国際公開第WO2008/108351A1号パンフレット 特開2000−139048号公報
ところで、上記特許文献1および2のように、複数の導線を編み込んで導線集積体を製造する場合、複数の導線を編み込む工程が必要となるが、編み込む導線の本数が多い場合などには、導線の編込み動作が複雑になりやすいため、製造工数が多くなるという問題がある。
そこで、本願発明者等は、導線集積体の簡易な作製方法について検討した結果、所定の波形形状に成形した複数の導線を所定の状態に積み重ねて帯状の導線集積体を作製することを考えた。この場合には、複数の導線を単純に積み重ねるのみであり、導線の編込み工程が不要となるため、導線集積体の作製が格段に簡易となり、低コスト化も可能である。
しかし、この導線集積体を渦巻き状に巻き付けて円筒状の固定子巻線を作製した場合には、導線集積体の厚みが長手方向において周期的に変化しており、また、厚みの変化量が導線を編み込んで作製した導線集積体に比べてやや大きくなることから、その固定子巻線の内周面および外周面の一部に、径方向内方および外方へそれぞれ突出した部分(スロット収容部)が形成される。そのため、その固定子巻線に固定子コアを組み付けた場合に、固定子コアの一部のスロットにおいては、スロット内に収容されるべき導線(スロット収容部)の一部がスロットからはみ出すと共に、スロットの底面との間に隙間が形成された状態となる(図20参照)。その結果、スロット内での導線の占積率が低下してしまい、性能の低下を招くという新たな問題が発生する。なお、占積率とは、スロット断面において導線の占める割合のことであり、(スロット内に配置された導線の総断面積)/(スロットの断面積)から求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スロット内での導線の占積率を向上し得るようにした回転電機の固定子を提供することを解決すべき課題とするものである。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、周方向の異なる前記スロットに収容されるスロット収容部と前記スロットの外部で前記スロット収容部同士を接続しているターン部とを有する複数の導線を前記固定子コアに波巻きしてなる固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子において、前記ターン部は、前記固定子コアから最も離れた位置にある頂部と前記スロット収容部との間の部位に、前記固定子コアの径方向に折れ曲がるクランク部を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ターン部は、固定子コアから最も離れた位置にある頂部とスロット収容部との間の部位に、固定子コアの径方向に折れ曲がるクランク部を有するので、導線同士の干渉が回避されることにより、固定子巻線のスロット収容部における内周面および外周面から径方向内方および外方へそれぞれ突出する部分の突出量が低減され、固定子巻線の内周面および外周面に発生する径方向の凹凸が周方向において均一化される。これにより、固定子巻線のスロット収容部における内周面および外周面の形状を、真円により近付けることができる。そのため、固定子コアの各スロット内に配置されるべき各導線のスロット収容部を、スロットから一部がはみ出したり、スロットの底面との間に隙間が形成されたりすることなく、より確実にスロット内に配置することが可能となる。これにより、スロット内での導線の占積率が向上し、性能の低下を回避することができる。
請求項1に記載の発明において、クランク部は、ターン部の頂部およびスロット収容部を除いて、それらの間の部位であれば、任意の部位に設けることができる。このクランク部は、必ずしも全ての導線のターン部に設ける必要はない。また、クランク部の径方向への折れ曲がり量は、固定子巻線のスロット収容部における内周面および外周面に形成される凹凸の差に応じて適宜設定することができる。ここで、クランク部の径方向への折れ曲がり量とは、クランク部の両端に位置するスロット収容部とターン部との径方向への変位量のことをいう。
請求項2に記載の発明は、前記クランク部は、前記スロット収容部の一端部から径方向外方に向かって折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、クランク部が形成されている導線のターン部は、固定子コアの径方向外方側に変位した状態になるので、固定子の内周側に回転子が配設される回転電機において、ターン部と回転子の干渉を回避することができる。また、折れ曲がり量が最大となるクランク部の折れ曲がり量の分だけ、固定子巻線のスロット収容部における外径を小さくすることが可能であるため、固定子の小型化も可能である。
請求項3に記載の発明は、前記クランク部は、前記スロット収容部の一端部から径方向内方に向かって折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、クランク部が形成されている導線のターン部は、固定子コアの径方向内方に変位した状態になるので、固定子のターン部の外径を縮小することができる。
請求項4に記載の発明は、前記クランク部は、前記スロット収容部の一端部から径方向外方に向かって折り曲げられて形成されるものと、径方向内方に向かって折り曲げられて形成されるものと、を有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、クランク部が形成されている導線のターン部は、固定子コアの径方向外方および径方向内方の両方向に変位した状態になるので、ターン部を固定子コアの径方向の任意の位置に調整することができ、固定子の取り付け位置の状況に応じた設計が可能となる。また、クランク部の折り曲げ量が径方向外方と径方向内方へ振り分けられることにより、それぞれの導線に対する折り曲げ量を低減することができるので、折り曲げ加工時において、導線の表面を被覆している絶縁被膜が受けるダメージを低減することができる。
請求項5に記載の発明は、前記クランク部は、折れ曲がり量の異なる複数種類のものが形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、固定子巻線の内周面または外周面からの突出量に応じて、クランク部の折れ曲がり量を設定することが可能となるので、各スロット内に配置されるべき導線のスロット収容部をより確実に収容させることができ、占積率の向上をより有利に達成することができる。
請求項6に記載の発明は、前記クランク部の折れ曲がり量は、前記固定子コアの周方向において徐々に変化していることを特徴とする。
導線集積体を渦巻き状に巻き付けて円筒状に形成される固定子巻線は、通常、内周面および外周面に形成される径方向の凹凸の差が周方向において徐々に変化している。そのため、請求項6に記載の発明によれば、クランク部の折れ曲がり量の変化が、固定子巻線の内周面および外周面に形成される径方向の凹凸の差の変化と符合し易くなるので、各スロット内に配置されるべき導線のスロット収容部をより確実に収容させることができ、占積率の向上をより有利に達成することができる。なお、本発明において、クランク部の折れ曲がり量が徐々に変化しているとは、クランク部の折れ曲がり量が導線の1本ごとに変化する場合は勿論、複数本ごとに段階的に変化する場合も含む。
請求項7に記載の発明は、前記クランク部は、折れ曲がり量が前記固定子コアの周方向において徐々に変化する第1のクランク部群を形成し、前記第1のクランク部群が周方向に繰り返し配置されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明と同様に、クランク部の折れ曲がり量の変化が、固定子巻線の内周面および外周面に形成される径方向の凹凸の差の変化と符合し易くなるので、各スロット内に配置されるべき導線のスロット収容部をより確実に収容させることができ、占積率の向上をより有利に達成することができる。
請求項8に記載の発明は、前記回転電機は、m相交流(mは自然数)であって磁極数に対してn倍(nは自然数)の前記スロットを有するものであり、1つの前記ターン部の両端に接続する2つの前記スロット収容部は、m×n個のスロット数離れた前記スロットに収容され、前記第1のクランク部群は、前記導線のm×n本ごとの周期で繰り返し配置されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、固定子巻線の内周面および外周面に形成される径方向の凹凸の差の変化の周期は、導線のm×n本ごとの周期で繰り返し現れるため、第1のクランク部群の折れ曲がり量の変化をその周期と等しくすることで、固定子巻線の整列性が向上し、占積率の向上をより確実に実現することができる。
請求項9に記載の発明は、前記クランク部は、折れ曲がり量が前記固定子コアの周方向において徐々に変化する第1のクランク部群と折れ曲がり量が一定量の第2のクランク部群とを形成し、前記固定子巻線の最内周と最外周のうちの少なくとも一方において前記第1のクランク部群と前記第2のクランク部群が交互に配置されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、最内周または最外周のターン部の突出量を抑制することができるので、内周側に配設される回転子や外周側に配設される他部品との干渉を防止することができる。
請求項10に記載の発明は、前記クランク部は、軸線方向中央部に位置する直線状部と、軸線方向両端に位置する曲げR部とからなることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、クランク部の軸線方向中央部に直線状部を有することによって、軸線方向両端の曲げR部を形成する際に、曲げR部の寸法公差を直線状部で吸収させることができるので、クランク部を簡易に形成することができる。
請求項11に記載の発明は、前記クランク部は、前記ターン部の根元に設けられていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、クランク部が固定子コアの端面に近い位置に設けられるので、コンパクトで安定した形状のターン部を容易に形成することができる。
請求項12に記載の発明は、前記導線のうちの少なくとも1本の導線には、前記クランク部が設けられていないことを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、クランク部を設ける導線の本数が最少限に押さえられるため、製造工数の削減が可能となる。
請求項13に記載の発明は、前記ターン部は、前記固定子コアの端面に平行な段部を前記固定子コアの軸方向に複数有する階段形状に形成されていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、ターン部が階段形状に形成されていることによって、固定子コアの端面から突出しているターン部(コイルエンド)の突出高さを低くすると共に、径方向幅を小さくすることができるので、固定子巻線を小型化することができる。
請求項14に記載の発明は、前記クランク部が形成されている各前記ターン部は、前記クランク部の曲げ開始位置が前記固定子コアの端面から等距離離れた位置に揃えられていることを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、各ターン部のクランク部の曲げ開始位置が固定子コアの端面から等距離離れた位置に揃えられていることによって、固定子コアの端面から突出しているターン部の突出高さを低くすることができる。これにより、固定子巻線を、軸方向において小型化することができる。
請求項15に記載の発明は、前記クランク部は、径方向の幅寸法が他の部分よりも小さくされていることを特徴とする。
請求項15に記載の発明によれば、クランク部の径方向の幅寸法を他の部分(ターン部、スロット収容部)よりも小さくすることによって、請求項13に記載の発明の場合に必然的に生じる、隣り合うクランク部同士の干渉を回避することが可能となるので、固定子巻線の径方向幅を小さくすることができる。これにより、固定子巻線を、径方向幅の増大を回避しつつ軸方向において小型化することができる。
請求項16に記載の発明は、前記クランク部は、前記導線の延伸方向に垂直な方向の幅寸法が他の部分よりも小さくされていることを特徴とする。
請求項16に記載の発明によれば、請求項15に記載の発明と同様に、固定子巻線の径方向幅を小さくすることができるので、固定子巻線を、径方向幅の増大を回避しつつ軸方向において小型化することができる。
請求項17に記載の発明は、前記クランク部は、前記導線の延伸方向に垂直な方向の断面積が他の部分よりも小さくされていることを特徴とする。
請求項17に記載の発明によれば、請求項15に記載の発明と同様に、固定子巻線の径方向幅を小さくすることができるので、固定子巻線を、径方向幅の増大を回避しつつ軸方向において小型化することができる。
請求項18に記載の発明は、前記導線は、断面形状が矩形状の導体部と、該導体部の外周を覆う絶縁被膜部とからなることを特徴とする。
請求項18に記載の発明によれば、断面形状が矩形状の導体部を有する導線を用いることで、固定子コアのスロット内に配置される導線(スロット収容部)をより密な状態に配置することができるため、占積率の向上を図ることができる。また、ターン部もより密な状態に配置することができる。
請求項19に記載の発明は、前記固定子巻線は、複数の前記導線を所定の状態に積み重ねて帯状に形成した導線集積体を渦巻き状に巻き付けることにより円筒状に成形されていることを特徴とする。
請求項19に記載の発明によれば、導線集積体が複数の導線を所定の状態に積み重ねることで帯状に形成されるため、複数の導線を編込んで導線集積体を作製する場合に比べて、導線集積体の作製が格段に容易になる。また、固定子巻線が一つの導線集積体により連続した状態に形成されているため、複数の導線集積体を接続して固定子巻線を作製する場合に比べて、接続するための接続代が低減するので、固定子巻線の小型化が可能となる。
本発明の実施形態1に係る回転電機の固定子の平面図である。 本発明の実施形態1に係る回転電機の固定子の底面図である。 本発明の実施形態1に係る回転電機の固定子の斜視図である。 本発明の実施形態1に係る回転電機の固定子の外筒を外した状態の斜視図である。 本発明の実施形態1に係る固定子巻線の平面図である。 本発明の実施形態1に係る固定子巻線の底面図である。 本発明の実施形態1に係る固定子巻線の斜視図である。 本発明の実施形態1に係る導線集積体の正面図である。 本発明の実施形態1に係る導線集積体の平面図である。 本発明の実施形態1に係る導線集積体の最内周を拡大して示す説明図である。 本発明の実施形態1に係る導線集積体の2周目を拡大して示す説明図である。 本発明の実施形態1における導線50Aの一端部の正面図である。 本発明の実施形態1における導線50Bの一端部の正面図である。 本発明の実施形態1における導線50Cの一端部の正面図である。 本発明の実施形態1における導線50Aの一部を拡大して示す図であって、(A)はその平面図であり、(B)はその正面図である。 本発明の実施形態1に係る導線50Bの一部を拡大して示す図であって、(A)はその平面図であり、(B)はその正面図である。 本発明の実施形態1における導線50Cの一部を拡大して示す図であって、(A)はその平面図であり、(B)はその正面図である。 本発明の実施形態1における導線50Aの一部を拡大して示す図であって、(A)はその平面図であり、(B)はその正面図である。 本発明の実施形態1において各スロット内に配置された導線の状態を示す説明図である。 比較例としてスロット内に配置された導線の状態を示す説明図である。 本発明の実施形態1において導線のターン部に設けられたクランク部の配置状態を模式的に示す説明図である。 (A)(B)比較例として導線のターン部に設けられたクランク部の配置状態を模式的に示す説明図である。 本発明の実施形態1において用いられる導線の断面図である。 本発明の実施形態1において用いられる固定子巻線の結線を示す説明図である。 本発明の実施形態2に係る導線集積体の最内周を拡大して示す説明図である。 本発明の実施形態2に係る導線集積体の2周目を拡大して示す説明図である。
以下、本発明に係る回転電機の固定子の実施形態について図1〜図26を参照しつつ具体的に説明する。
〔実施形態1〕
図1は本実施形態に係る回転電機の固定子の平面図である。図2はその固定子の底面図である。図3はその固定子の斜視図である。図4は外筒を外した状態の固定子の斜視図である。本実施形態の固定子20は、例えば車両の電動機及び発電機を兼ねる回転電機に使用されるものであって、内周側に回転子(図示せず)を回転自在に収容する。回転子は、永久磁石により周方向に交互に異なる磁極を固定子20の内周側と向き合う外周側に複数形成している。固定子20は、図1〜図4に示すように、固定子コア30と、複数(本実施形態では12本)の導線50から形成される三相の固定子巻線40と、を備えている。なお、固定子コア30と固定子巻線40との間には、絶縁紙を配してもよい。
固定子コア30は、内周に複数のスロット31が形成された円環状を呈している。複数のスロット31は、その深さ方向が径方向と一致するように形成されている。固定子コア30に形成されたスロット31の数は、回転子の磁極数(8磁極)に対し、固定子巻線40の一相あたり2個の割合で形成されている。本実施形態では、8×3×2=48より、スロット数は48個とされている。なお、図1および図2には、48個のスロット31が形成された位置に対応してスロット番号1〜48が付されている。
固定子コア30は、所定数(本実施形態では24個)の分割コアを周方向に連結して形成されている。この分割コアの外周には、外筒37が嵌合されている。分割コアは、一つのスロット31を区画するとともに、周方向で隣接する分割コアとの間で一つのスロット31を区画する形状を呈している。固定子コア30を構成する分割コアは、複数枚の電磁鋼板を積層させて形成されている。積層された電磁鋼板の間には、絶縁薄膜が配置されている。分割コアは、この電磁鋼板の積層体からだけでなく、従来公知の金属薄板および絶縁薄膜を用いて形成してもよい。
図5は本実施形態に係る固定子巻線の平面図であり、図6はその固定子巻線の底面図であり、図7は固定子巻線の斜視図である。図5〜図7に示す固定子巻線40は、所定の波形形状に成形した12本の導線50を所定の状態に積み重ねて帯状に形成した導線集積体60(図8〜図11参照)を渦巻き状に巻き付けることにより円筒状に形成されている。なお、本実施形態では、導線集積体60が6周巻き付けられている。
固定子巻線40を構成する導線50は、図23(A)に示すように、銅製の導体67と、導体67の外周を覆い導体67を絶縁する内層68a及び外層68bからなる絶縁被膜68とから形成されている。内層68aおよび外層68bを合わせた絶縁被膜68の厚みは、100μm〜200μmの間に設定されている。このように、内層68aおよび外層68bからなる絶縁被膜68の厚みが厚いので、導線50同士を絶縁するために導線50同士の間に絶縁紙等を挟み込む必要がなくなっているが、導線50同士の間あるいは固定子コア30と固定子巻線40との間に絶縁紙を配設してもよい。
外層68bはナイロン等の絶縁材、内層68aは外層68bよりもガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂またはポリアミドイミド等の絶縁材で形成されている。これにより、回転電機100に発生する熱により外層68bは内層68aよりも早く軟化するので、同じスロット31に設置されている導線50同士が外層68b同士で熱接着する。その結果、同じスロット31に設置されている複数の導線50が一体化し導線50同士が剛体化するので、スロット31内の導線50の機械的強度が向上する。また、過剰な振動が発生しても、内層68aと導線50の接着箇所よりも内層68aと外層68bとの接着箇所が先に剥離するので、内層68aと導線50との接着を維持し絶縁を確保できる。
さらに、導線50は、図23(B)に示すように、内層68aおよび外層68bからなる絶縁被膜68の外周をエポキシ樹脂等からなる融着材69で被覆してもよい。これにより、回転電機に発生する熱により融着材69は絶縁被膜68よりも早く溶融するので、同じスロット31に設置されている複数の導線50同士が融着材69同士により熱接着する。その結果、同じスロット31に設置されている複数の導線50が一体化し導線50同士が鋼体化することで、スロット31の導線50の機械的強度が向上する。なお、絶縁被膜68には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)よりなる被膜を用いてもよい。
図8〜図11に示す導線集積体60は、図12〜図14に示すように3種類に大別される導線50A、50B、50Cにより形成されている。即ち、図8〜図11に示す導線集積体60において、導線50A(図12)は丸1の導線に用いられ、導線50B(図13)は丸12の導線に用いられ、導線50C(図14)は丸2〜丸11の導線に用いられている。導線50A〜50Cは、長手方向に沿って並列配置され固定子コア30のスロット31に設置されるスロット収容部51と、スロット31から突出して隣り合うスロット収容部51の一端部同士および他端部同士をそれぞれ接続するターン部52とを有する波形に形成されている。
導線集積体60は、丸1〜丸12の導線を長手方向に1スロットピッチずつずれせた状態で、丸1の導線に対して図8において手前側へ順番に積み重ねることにより形成されている。これにより、丸1と丸7、丸2と丸8、丸3と丸9、丸4と丸10、丸5と丸11、丸6と丸12の導線のスロット収容部51同士が重なり合った状態になっている。この重なり合ったスロット収容部51同士が固定子コア30の同一スロット31に収容される。
導線50A〜50Cのスロット収容部51は、同一に形成されており、導線50A〜50Cのターン部52は、以下の点で同一に形成されている(図15〜図18参照)。即ち、ターン部52の中央部には、固定子コア30の端面から軸方向外方へ最も離れた部位となる頂部53が、固定子コア30の端面32と平行に形成されている。
また、スロット31から固定子コア30の外に突出するターン部52の突出箇所に、導線50A〜50Cがまたがって設置されているスロット同士に向けて固定子コア30の軸方向両側の端面に沿って段部55が形成されている。これにより、スロット31から突出している導線50A〜50Cのターン部52の突出箇所の間隔、言い換えればターン部52が形成する三角形状部分の底辺の長さは、導線50A〜50Cがまたがって設置されているスロット31同士の間隔よりも狭くなっている。その結果、固定子コア30の両端面から突出しているターン部52の部分(以下、「コイルエンド」という)の高さ(軸方向長さ)が低くなる。
また、固定子コア30の端面に沿った段部55の長さをd1、周方向に隣接するスロット同士の間隔をd2とすると、d1≦d2になっている。これにより、導線50A〜50Cの段部55が周方向に隣り合うスロットから突出する導線50A〜50Cと干渉することを防止できる。これにより、周方向に隣接するスロット31から突出する導線50A〜50C同士が互いに干渉することを避けるために、コイルエンドの高さが高くなったり、あるいはコイルエンドの径方向の幅が大きくなったりすることを防止できる。その結果、コイルエンドの高さが低くなる。さらに、コイルエンドの径方向の幅が小さくなるので、固定子巻線40が径方向外側に張り出すことを防止する。
さらに、導線50A〜50Cには、ターン部52の中央部の頂部53と、ターン部52の突出箇所に形成した段部55との間に、それぞれ2個の段部56が形成されている。つまり、固定子コア30の一方の軸方向端面側の導線50A〜50Cのターン部52には、合計6個の段部55、56と1個の頂部53が形成されている。これにより、段部を形成しない三角形状のターン部の高さに比べ、ターン部52の高さが低くなる。段部56の形状も、段部55と同様に、固定子コア30の端面に平行に形成されている。したがって、導線50A〜50Cのターン部52は、頂部53を挟んで両側が階段状に形成されている。
次に、導線50A〜50Cの異なる構成について説明する。導線集積体60の丸1の導線に用いられる導線50Aは、図12および図15に示すように、ターン部52の根元部に、スロット収容部51の一端から固定子コア30の径方向外方に向かって折れ曲がるクランク部57が設けられている。この場合、クランク部57は、導線50Aの1周目の範囲において、始端側(図12の右側)から2番目までのスロット収容部51が位置する所には設けられておらず、3番目から8番目までのスロット収容部51が位置する所に設けられている。そして、導線50Aの2周目以降の範囲においても、1周目のクランク部57の配置パターンと同様に、クランク部57が繰り返し設けられている。
クランク部57の径方向外方への折れ曲がり量は、固定子コア30の径方向における1本の導線50Aの幅寸法と略同じである。このクランク部57は、導線50Aの軸線方向中央部に位置する直線状部57aと、直線状部57aと連続して軸線方向両端に位置する曲げR部57bとからなる(図21参照)。直線状部57aは、導線50Aの延伸方向に垂直な方向の幅寸法が他の部分(スロット収容51、ターン部52)よりも所定量小さくされている。
導線50A(図12)に設けられたクランク部57は、導線集積体60の丸2〜丸5、丸7〜丸11の導線に用いられる導線50C(図14)にも同様に設けられている(図14、図17参照)。即ち、丸2〜丸5、丸7〜丸11の導線にも、ターン部52の根元部に、スロット収容部51の一端から固定子コア30の径方向外方に向かって折れ曲がるクランク部57が設けられている。この場合、クランク部57の折れ曲がり量は、固定子コア3の同一スロット31に配置される、丸1と丸7、丸2と丸8、丸3と丸9、丸4と丸10、丸5と丸11の導線同士が同じにされている。
そして、丸1〜丸5、丸7〜丸11の導線のターン部52の根元部に設けられたクランク部57の折れ曲がり量は、丸1(丸7)側から丸5(丸11)側に向かって徐々に小さくなるように変化している。なお、丸7〜丸11の導線の最内周(1周目)の第1層においては、ターン部52の始端側の根元部に設けられたクランク部57bの折れ曲がり量が零(ストレート)で一定にされている。また、同一のスロット31に配置される丸6の導線50Cと丸12の導線50Bには、クランク部57は設けられていない。
したがって、上記の丸1〜丸12の導線50A、50B、50Cにより形成された導線集積体60の最内周(1周目)の第1層には、図10に示すように、丸7〜丸12の導線のターン部52の終端側(図10の左側)の根元部に設けられた、折れ曲がり量が徐々に変化するクランク部57により第1のクランク部群58が形成されている。この場合、折れ曲がり量は、丸7側から丸12側に向かって徐々に小さくなるように変化している。なお、丸12の導線は、クランク部57が設けられていない(折れ曲がり量が零)が、丸11の導線50に設けられるクランク部57の折れ曲がり量より小さいとみなすことができるので、第1のクランク部群58に含められている(以下、同じ)。また、第1のクランク部群58の始端側には、丸7〜丸12の導線のターン部52の始端側(図10の右側)の根元部に設けられた、折れ曲がり量が一定(この場合は零)のクランク部57bにより第2のクランク部群59が形成されている。
そして、導線集積体60の2周目には、図11に示すように、丸7〜丸12の導線のターン部52の終端側(図11の左側)の根元部に設けられた、折れ曲がり量が徐々に変化するクランク部57により第1のクランク部群58が形成されている。また、第1のクランク部群58の始端側に連続して、丸7〜丸12の導線のターン部52の始端側(図11の右側)の根元部に設けられた、折れ曲がり量が徐々に変化するクランク部57により第1のクランク部群58が形成されている。これら2つの第1のクランク部群58は、丸7側から丸12側に向かって折れ曲がり量が徐々に小さくなるように変化している。これら2つの第1のクランク部群58は、導線集積体60が6周巻き付けられることに対応して、2周目以降に繰り返し配置されている。
なお、第1のクランク部群58および第2のクランク部群59におけるクランク部57の折れ曲がり量は、導線集積体60を渦巻き状に巻き付けることにより円筒状に形成される固定子巻線40の内周面および外周面に発生する径方向の凹凸部の位置、或いはそれらの径方向への凹み量や突出量などを考慮して適宜設定することができる。
上記のようにクランク部57が設けられた導線50A、50Cおよび導線50Bを用いて円筒状に形成された固定子巻線40は、固定子コア30に対して、クランク部57の折れ曲がり量が同じ導線50のスロット収容部51同士が、固定子コア30の同一スロット31に交互に配置された状態に組み付けられる(図19参照)。この場合、導線50A、50Cに固定子コア30の径方向外方に向かって折れ曲がるクランク部57が設けられていることにより、固定子巻線40のスロット収容部51における内周面および外周面から径方向内方および外方へそれぞれ突出する部分の突出量が低減され、内周面および外周に発生する径方向の凹凸が周方向において均一化されている。
そのため、固定子コア30の各スロット31内に配置されるべきスロット収容部51は、スロット31から一部がはみ出したり、スロット31の底面との間に隙間が形成されたりすることなく、確実にスロット31内に配置される。これにより、スロット31内での導線50の占積率が向上し、性能の低下が回避される。また、クランク部57は、固定子コア30の径方向外方に向かって折れ曲げられているので、クランク部57やターン部52が固定子コア30の内周側に配設される回転子と干渉する恐れもない。
なお、図20に示すように、上記のクランク部57が設けられていない場合には、スロット31内に収容されるべき導線50のスロット収容部51の一部がスロット31からはみ出すと共に、スロット31の底面との間に大きな隙間Sが形成された状態となる。よって、スロット31内での導線50の占積率が低下してしまい、性能の低下を招く。また、スロット31から内周側にはみ出した導線50(スロット収容部51)が回転子と干渉する恐れも発生する。
また、導線50A、50Cに設けられたクランク部57は、導線の延伸方向に垂直な方向の幅寸法(であって導線同士が重なり合う方向、以下同じ)dが他の部分Dよりも所定量小さくされている。そのため、固定子コア3の同一スロット31に配置される例えば丸1と丸7の導線50は、図21に示すように、各ターン部52に設けられたクランク部57の曲げ開始位置が固定子コア30の端面32から等距離離れた位置に揃えられている。これにより、固定子コア30の端面32から突出しているターン部52の突出高さHを低くすることができる。
なお、図22(A)に示すように、クランク部57の導線の延伸方向に垂直な方向の幅寸法dが他の部分の幅寸法Dと同じにされていると、隣り合うクランク部57同士が干渉して突出高さH方向にずれるため、固定子コア30の端面32から突出しているターン部52の突出高さHが高くなる。この場合、各ターン部52に設けられたクランク部57の曲げ開始位置を、固定子コア30の端面32から等距離離れた位置に揃えることによって、ターン部52の突出高さHを低くすることも可能である。しかし、クランク部57の曲げ開始位置を無理に揃えると、図22(B)に示すように、隣り合うクランク部57同士が干渉して径方向にずれるため、固定子巻線40の径方向幅Wが増大する。したがって、上記のように、クランク部57の導線の延伸方向に垂直な方向の幅寸法dを他の部分の幅寸法Dよりも所定量小さくすることによって、固定子巻線40の径方向幅Wを増大させることなく、ターン部52の突出高さHを低くすることができる。
次に、本実施形態において、導線50A〜50Cの更に異なる構成について説明する。丸2〜丸11に用いられる導線50C(図14)には、図17に示すように、ターン部52の頂部53の中央に、固定子コア30の径方向に折れ曲がるねじりを伴わないクランク部54aが設けられている。このクランク部54aは、固定子コア30の端面32に平行となるように形成されており、導線50Cの全ての頂部53に設けられている。各クランク部54aの径方向への折れ曲がり量は、導線50Cの略幅分に統一されている。これにより、固定子巻線40において径方向に隣接している導線50のターン部52同士を密に巻回できる。その結果、コイルエンドの径方向の幅が小さくなるので、固定子巻線40が径方向外側に張り出すことを防止する。なお、ターン部52の頂部53に設けられるクランク部54aの径方向への折れ曲がり量とは、クランク部54aの両側に位置する頂部53の周方向両端の径方向への変位量のことをいう(以下、ターン部52の頂部53に設けられるクランク部については同じ。)。
また、丸1に用いられる導線50A(図12)には、所定の折れ曲がり量で形成された2個の第1クランク部54bと、第1クランク部54bよりも折れ曲がり量の小さい6個の第2クランク部54cとを一組としてなる複数のクランク部群が繰り返し配置されている。本実施形態では、導線50Aの始端(図12の右端)から2番目までの2個のターン部52にそれぞれ第1クランク部54bが設けられ、導線50Aの始端側の3〜8番目までの6個のターン部52にそれぞれ第1クランク部54bが設けられており、合計8個のクランク部54b、54cを一組としたクランク部群が配置されている。
このクランク部群は、導線集積体60が6周巻き付けられることに対応して、6組のクランク部群が始端側から順に繰り返し配置されている。第1クランク部54bの折れ曲がり量は、導線50Cのクランク部54aと同じであり、導線50Aの略幅分に統一されている。また、本実施形態では、第2クランク部54cの折れ曲がり量は零であり、図18に示すように、事実上ストレート形状になっている。
また、丸12に用いられる導線50B(図13)は、所定の折れ曲がり量で形成された42個の第3クランク部54dと、第3クランク部54dよりも折れ曲がり量の小さい6個の第4クランク部54eとを有する。第4クランク部54eは、導線50Bの始端(図13の右端)から6番目までのターン部52にそれぞれ設けられ、導線50Bの始端から7番目以降の全ターン部52にそれぞれ第3クランク部54dが設けられている。第3クランク部54dの折れ曲がり量は、導線50Cのクランク部54aと同じであり、導線50Bの略幅分に統一されている。また、第4クランク部54eの折れ曲がり量は、第2クランク部54cと同様に零であり(図18参照)、事実上ストレート形状になっている。
なお、第2および第4クランク部54c、54eの折れ曲がり量は、零ではなく、各クランク部54a、54b、54dの折れ曲がり量よりも小さい範囲で適宜設定するようにしてもよい。
以上のように、ターン部52の頂部53に設けられたクランク部54a〜54eの折れ曲がり量、およびクランク部54a〜54eの配置の仕方において異なる3種類の導線50A〜50Cにより形成される円筒状の固定子巻線40は、クランク部54a、54b、54dに対して折れ曲がり量の異なるクランク部54c、54eが周方向の複数箇所に設けられている。即ち、導線50Aおよび導線50Bの頂部53に設けられた折れ曲がり量の小さい(折れ曲がり量が零)クランク部54c、54eは、図1、図2、図5および図6に示すように、周方向の3箇所に配置されている。
この場合、クランク部54c(図中の斜線部)は、表面側(図1、図5)においてスロット番号21〜23、33〜35、45〜47の3箇所にそれぞれ6層ずつ配置され、裏面側(図2、図6)においてスロット番号15〜17、27〜29、39〜41の3箇所にそれぞれ5層ずつ配置されている。これにより、クランク部54cが配置されている箇所に形成される径方向外方へ突出する突出部の突出量がクランク部54cによって低減されると共に、クランク部54bが配置されている周移り箇所に形成される段差がクランク部54bによって低減されるので、固定子巻線40の外径を効果的に小さくすることができる。
また、クランク部54e(図中の斜線部)は、表面側(図1、図5)においてスロット番号20〜22、32〜34、44〜46の3箇所の最内周にそれぞれ1層ずつ配置され、裏面側(図2、図6)においてスロット番号14〜16、26〜28、38〜40の3箇所の最内周にそれぞれ1層ずつ配置されている。これにより、クランク部54eが配置されている箇所の径方向内方への突出量がクランク部54eによって低減され、内周側に配設される回転子との干渉を回避することができる。
上記のように構成される固定子巻線40は、図8〜図11に示す帯状の導線集積体60を渦巻き状に6周巻き付けることにより円筒状に形成されている。固定子巻線40は、図24に示すように、それぞれが2本の三相巻線(U1、U2、V1、V2、W1、W2)により形成されている。固定子巻線40を構成する導線50は、固定子コア30の内周側で周方向に沿って波巻きされた形状で成形されている。導線50のスロット収容部51は、所定のスロット数(本実施形態では、3相×2個=6個)ごとのスロット31に収容され、ターン部52は、固定子コア30の軸方向の両端面からそれぞれ突出している。この固定子コア30の軸方向の両端面から突出しているターン部52により、固定子巻線40のコイルエンドが形成される。
固定子巻線40は、複数の導線50を、一方の端部がスロット51の最外周側で固定子コア30の軸方向の端面から突出した状態で、周方向に沿って波状に巻装した状態で形成されている。複数の導線50の他方の端部は、スロット31の最内周側で固定子コア30の軸方向の端面から一方の端部と同一方向に突出している。そして、同一のスロット31には、2本の導線50が巻装されている。同一のスロット31に収容される二つのスロット収容部31は、そのスロット31の深さ方向での位置が交互に位置するように設置されている。
以上のように、本実施形態の回転電機の固定子によれば、ターン部52の根元部に、固定子コア30の径方向に折れ曲がるクランク部57が設けられているので、固定子コア30の各スロット31内に配置されるべき導線50のスロット収容部51を、スロット31から一部がはみ出したり、スロット31の底面との間に隙間が形成されたりすることなく、より確実にスロット31内に配置することができる。そのため、スロット内31での導線50の占積率が向上し、性能の低下を回避することができる。特に、クランク部57は、ターン部52の根元に設けられていることから、クランク部57が固定子コア30の端面に近い位置に設けられているので、コンパクトで安定した形状のターン部52を容易に形成することができる。
また、クランク部57は、スロット収容部51の一端部から径方向外方に向かって折り曲げられて形成されている。これにより、クランク部57が形成されている導線50のターン部52は、固定子コア30の径方向外方側に変位した状態になるので、固定子20の内周側に配設される回転子との干渉を回避することができる。さらに、折れ曲がり量が最大となるクランク部57の折れ曲がり量の分だけ、固定子巻線40のスロット収容部51における外径を小さくすることができるので、固定子30を小型化することができる。
また、クランク部57は、折れ曲がり量の異なる複数種類のものが形成されていることから、固定子巻線40の内周面または外周面からの突出量に応じて、クランク部57の折れ曲がり量を設定することが可能となるので、各スロット31内に配置されるべき導線50のスロット収容部51をより確実に収容させることができ、占積率の向上をより有利に達成することができる。
また、本実施形態では、クランク部57の折れ曲がり量は、丸1(丸7)の導線50側から丸5(丸11)の導線50側に向かって徐々に小さくなるように変化しており、固定子コア30の周方向において徐々に変化するようにしている。即ち、クランク部57は、折れ曲がり量が固定子コア30の周方向において徐々に変化する第1のクランク部群58を形成し、第1のクランク部群58が周方向に繰り返し配置されている。これにより、クランク部57の折れ曲がり量の変化が、固定子巻線40の内周面および外周面に形成される凹凸の差の変化と符合し易くなるので、各スロット31内に配置されるべき導線50のスロット収容部51をより確実に収容させることができ、占積率の向上をより有利に達成することができる。
また、本実施形態の回転電機は、三相交流で、スロット31が一相あたり2個の割合で形成され、1つのターン部52の両端に接続する2つのスロット収容部51が6個のスロット数離れたスロット31に収容される構造のものであることから、第1のクランク部群58は、導線50の6本ごとの周期で繰り返し配置されている。そのため、第1のクランク部群58の折れ曲がり量の変化の周期と、固定子巻線40の内周面および外周面に形成される径方向の凹凸の差の変化の周期とを等しくすることによって、固定子巻線40の整列性が向上し、占積率の向上をより確実に実現することができる。
また、本実施形態では、固定子巻線40の最内周において、クランク部57の折れ曲がり量が固定子コア30の周方向において徐々に変化する第1のクランク部群58と、クランク部57折れ曲がり量が零または一定量の第2のクランク部群59とが、周方向に交互に配置されていることから、最内周のターン部52の径方向内方への突出量を抑制することができるので、内周側に配設される回転子との干渉を防止することができる。
また、クランク部57は、軸線方向中央部に位置する直線状部57aと、軸線方向両端に位置する曲げR部57bとからなることから、軸線方向両端の曲げR部57bを形成する際に、曲げR部57bの寸法公差を直線状部57aで吸収させることができるので、クランク部57を簡易に形成することができる。
また、丸1〜丸12の12本の導線50のうち、丸6および丸12の導線50には、クランク部57が設けられていない。これにより、クランク部57を設ける導線50の本数が最小限に押さえられるため、製造工数の削減が可能となる。なお、場合によっては、丸5および丸11の導線50もクランク部57を設けないようにしてもよい。
また、ターン部52は、階段形状に形成されていることによって、固定子コア30の端面から突出しているターン部52(コイルエンド)の突出高さHを低くすると共に、径方向幅を小さくすることができるので、固定子巻線40を小型化することができる。
また、クランク部57が形成されている各ターン部52は、クランク部57の曲げ開始位置が固定子コア30の端面から等距離離れた位置に揃えられていることによって、固定子コア30の端面32から突出しているターン部52(コイルエンド)の突出高さHを低くすることができるので、固定子巻線40を軸方向において小型化することができる。この場合、クランク部57は、導線50の延伸方向に垂直な方向の幅寸法dが他の部分よりも小さくされているので、固定子巻線40の径方向幅の増大を回避しつつ軸方向において小型化することができる。なお、クランク部57の導線の延伸方向に垂直な方向の幅寸法dを他の部分よりも小さくするのに代えて、クランク部57の、導線50の延伸方向に垂直な方向の断面積を他の部分より小さくすることによっても、同様の効果を得ることができる。
そして、本実施形態では、断面形状が矩形状の導体部67を有する導線50を採用していることから、固定子コア30のスロット31内に配置される導線50のスロット収容部51をより密な状態に配置することができるため、占積率の向上を図ることができる。また、ターン部52もより密な状態に配置することができる。
さらに、本実施形態では、固定子巻線40を構成する導線集積体60が複数(12本)の導線50を所定の状態に積み重ねることで帯状に形成されるため、例えば複数の導線を編込んで導線集積体を作製する場合に比べて、導線集積体60の作製が格段に容易になる。また、固定子巻線40が一つの導線集積体60により連続した状態に形成されているため、例えば複数の導線集積体を接続して固定子巻線を作製する場合に比べて、接続するための接続代が低減するので、固定子巻線40の小型化が可能となる。
〔実施形態2〕
次に、本発明の回転電機の固定子の実施形態2について、図25および図26を参照して説明する。図25は、実施形態2に係る導線集積体の最内周を拡大して示す説明図である。図26は、その導線集積体の2周目を拡大して示す説明図である。
実施形態2の回転電機の固定子は、実施形態1では、ターン部52の根元部に設けられる全てのクランク部57が、スロット収容部51の一端部から径方向外方に向かって折り曲げられて形成されているのに対して、実施形態2では、スロット収容部51の一端部から径方向外方に向かって折り曲げられて形成されるクランク部57と、径方向内方に向かって折り曲げられて形成されるクランク部57とを有する点で異なる。以下、異なる点を説明する。
実施形態2において、丸1〜丸12の導線50にそれぞれ設けられたクランク部57の折り曲げ方向と折れ曲がり量は、固定子コア3の同一スロット31に配置される、丸1と丸7、丸2と丸8、丸3と丸9、丸4と丸10、丸5と丸11、丸6と丸12の導線同士が同じにされている。但し、丸1〜丸12の導線50の最内周(1周目)の第1層に位置するクランク部57は、2周目以降の他の層に位置するクランク部57と異なる。よって、まず最初に、導線集積体60の最内周(1周目)において、丸1〜丸12の導線50にそれぞれ設けられたクランク部57について、図25を参照して説明する。
なお、図25においては、理解を容易にするために、丸1〜丸12の導線50のターン部52の始端側(図25の右側)に設けられるクランク部57の位置を、各導線に付された丸番号にbを付加した番号で表し、ターン部52の終端側(図25の左側)に設けられるクランク部57の位置を、各導線に付された丸番号にaを付加した番号で表してある(図26も同じ)。
また、実施形態2では、丸1〜丸12の導線50に設けられるクランク部57のうちで、径方向外方へ最も大きく折り曲げられたクランク部57の折り曲げ量と、径方向内方へ最も大きく折り曲げられたクランク部57の折り曲げ量とを合算した量が、1本の導線50の固定子コア30の径方向の幅寸法と等しくなるように設定されている。よって、クランク部57の折れ曲がり量は、導線50の固定子コア30の径方向の幅寸法を1とした場合の割合で表すこととする。また、クランク部57の折れ曲がり方向は、径方向外方を+で表し、径方向内方を−で表すこととする。
導線集積体60の最内周(1周目)の第1層において、丸12の導線の12aに設けられたクランク部57は、径方向内方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が−0.3とされている。次の丸11の導線の11aに設けられたクランク部57は、径方向内方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が−0.1とされている。次の丸10の導線の10aに設けられたクランク部57は、径方向外方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が+0.1とされている。次の丸9の導線の9aに設けられたクランク部57は、径方向外方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が+0.3とされている。次の丸8の導線の8aに設けられたクランク部57は、径方向外方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が+0.5とされている。次の丸7の導線の7aに設けられたクランク部57は、径方向外方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が+0.7とされている。これにより、丸12の導線の12aから丸7の導線の7aまでの範囲に設けられたクランク部57は、折れ曲がり量が固定子コア30の周方向において徐々に変化する第1のクランク部群58を形成している。
次の丸12の導線の12bに設けられたクランク部57は、径方向内方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が−0.3とされている。即ち、丸12の導線の12aと12bに設けられたクランク部57は、折り曲げ方向および折れ曲がり量が同じである。そして、丸12の導線の12bの次に連続する、丸11の導線の11b、丸10の導線の10b、丸9の導線の9b、丸8の導線の8b、丸7の導線の7bにそれぞれ設けられたクランク部57は、丸12の導線の12bに設けられたクランク部57と、折り曲げ方向および折れ曲がり量が同じであって、全て−0.3とされる。これにより、丸12の導線の12bから丸7の導線の7bまでの範囲に設けられたクランク部57は、折れ曲がり量が一定の第2のクランク部群59を形成している。
即ち、導線集積体60の最内周の第1層において、丸7〜丸12の導線に設けられた各クランク部57の折れ曲がり量の関係は、径方向外方側が折り曲げ方向のプラス側とみなした場合に、12b=11b=10b=9b=8b=7b=12a<11a<10a<9a<8a<7aとなっている。ここで、径方向外方へ最も大きく折り曲げられた7aのクランク部57の折り曲げ量0.7と、径方向内方へ最も大きく折り曲げられた12b〜7b、12aのクランク部57の折り曲げ量0.3とを合算した量が、1本の導線50の固定子コア30の径方向の幅寸法と等しくなる。
そして、クランク部57の径方向への折り曲げ量は、径方向外方と径方向内方に0.7:0.3の割合で振り分けられている。なお、本実施形態では、11aと10aとの間を境にしてクランク部57の折れ曲がり方向が変わるが、折れ曲がり方向が変わる位置は任意に設定することができる。この折れ曲がり方向が変わる位置を変更することによって、クランク部57の径方向外方と径方向内方への折り曲げ量の振り分け割合を自由に設定することができる。例えば、10aと9aとの間を境にしてクランク部57の折れ曲がり方向が変わるようにすると、径方向外方と径方向内方の折れ曲がり量の振り分け割合を、0.5:0.5にすることができる。因みに、実施形態1の場合には、12aに設けられるクランク部57の折れ曲がり量が零にされており、クランク部57の折り曲げ方向が径方向外方のみとされている。
なお、導線集積体60の最内周(1周目)の第2層に位置する丸1〜丸6の導線に設けられた各クランク部57の折れ曲がり量の関係は、6a=6b<5a=5b<4a=4b<3a=3b<2a=2b<1a=1bとなっており、第1のクランク部群58が周方向に繰り返し形成されている。
次に、導線集積体60の2周目以降における、丸1〜丸12の導線50に対してそれぞれ設けられたクランク部57について、図26を参照して説明する。
図26に示すように、導線集積体60の2周目の第1層において、丸12の導線の12aに設けられたクランク部57は、径方向内方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が−0.3とされている。次の丸11の導線の11aに設けられたクランク部57は、径方向内方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が−0.1とされている。次の丸10の導線の10aに設けられたクランク部57は、径方向外方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が+0.1とされている。次の丸9の導線の9aに設けられたクランク部57は、径方向外方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が+0.3とされている。次の丸8の導線の8aに設けられたクランク部57は、径方向外方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が+0.5とされている。次の丸7の導線の7aに設けられたクランク部57は、径方向外方へ折り曲げられ、折れ曲がり量が+0.7とされている。これにより、丸12の導線の12aから丸7の導線の7aまでの範囲に設けられたクランク部57は、折れ曲がり量が固定子コア30の周方向において徐々に変化する第1のクランク部群58を形成している。
即ち、導線集積体60の2周目の第1層における、丸12の導線の12aから丸7の導線の7aまでの範囲に設けられたクランク部57により形成される第1のクランク部群58は、導線集積体60の最内周(1周目)において、丸12の導線の12aから丸7の導線の7aまでの範囲に設けられたクランク部57により形成される第1のクランク部群58と同じである。
そして、次の丸12の導線の12bに設けられたクランク部57は、丸12の導線の12aに設けられたクランク部57と、折り曲げ方向および折れ曲がり量が同じである。次の丸11の導線の11bに設けられたクランク部57は、丸11の導線の11aに設けられたクランク部57と、折り曲げ方向および折れ曲がり量が同じである。次の丸10の導線の10bに設けられたクランク部57は、丸10の導線の10aに設けられたクランク部57と、折り曲げ方向および折れ曲がり量が同じである。次の丸9の導線の9bに設けられたクランク部57は、丸9の導線の9aに設けられたクランク部57と、折り曲げ方向および折れ曲がり量が同じである。次の丸8の導線の8bに設けられたクランク部57は、丸8の導線の8aに設けられたクランク部57と、折り曲げ方向および折れ曲がり量が同じである。次の丸7の導線の7bに設けられたクランク部57は、丸7の導線の7aに設けられたクランク部57と、折り曲げ方向および折れ曲がり量が同じである。これにより、丸12の導線の12bから丸7の導線の7bまでの範囲に設けられたクランク部57は、上記の第1のクランク部群58と同じ第1のクランク部群58を形成している。
即ち、導線集積体60の2周目の第1層における、丸7〜丸12の導線に設けられた各クランク部57の折れ曲がり量の関係は、径方向外方側が折り曲げ方向のプラス側とみなした場合に、12a=12b<11a=11b<10a=10b<9a=9b<8a=8b<7a=7bとなっている。導線集積体60の2周目の第1層においても、導線集積体60の最内周(1周目)の第1層の場合と同様に、径方向外方へ最も大きく折り曲げられた7aのクランク部57の折り曲げ量0.7と、径方向内方へ最も大きく折り曲げられた12a、12bのクランク部57の折り曲げ量0.3とを合算した量が、1本の導線50の固定子コア30の径方向の幅寸法と等しくなる。
また、導線集積体60の2周目の第2層に位置する丸1〜丸6の導線に設けられた各クランク部57の折れ曲がり量の関係は、6a=6b<5a=5b<4a=4b<3a=3b<2a=2b<1a=1bとなっている。
以上のように構成された実施形態2の固定子20によれば、ターン部52の根元部に、固定子コア30の径方向に折れ曲がるクランク部57が設けられていることから、導線50のスロット収容部51を、スロット31内により確実に配置することができるので、スロット内31での導線50の占積率が向上し、性能の低下を回避することができるなど、実施形態1の場合と同様の作用および効果が得られる。
特に、実施形態2では、丸1〜丸12の導線50のターン部52に設けられたクランク部57は、スロット収容部51の一端部から径方向外方向かって折り曲げられて形成されるものと、径方向内方向かって折り曲げられて形成されるものとを有することから、クランク部57が形成されている導線50のターン部52は、固定子コア30の径方向外方および径方向内方の両方向に変位した状態になるので、ターン部52を固定子コア30の径方向の任意の位置に調整することができ、固定子20の取り付け位置の状況に応じた設計が可能となる。
また、クランク部57の折り曲げ量が径方向外方と径方向内方へ振り分けられることにより、それぞれの導線50に対する折り曲げ量を低減することができるので、折り曲げ加工時において、導線50の表面を被覆している絶縁被膜68が受けるダメージを低減することができる。
20…固定子 30…固定子コア 31…スロット 32…端面 40…固定子巻線 50、50A、50B、50C…導線 51…スロット収容部 52…ターン部 53…頂部 55、56…段部 57…クランク部 57a…直線状部 57b…曲げR部 58…第1のクランク部群 59…第2のクランク部群 60…導線集積体 67…導体 68…絶縁皮膜

Claims (19)

  1. 周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、周方向の異なる前記スロットに収容されるスロット収容部と前記スロットの外部で前記スロット収容部同士を接続しているターン部とを有する複数の導線を前記固定子コアに波巻きしてなる固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子において、
    前記ターン部は、前記固定子コアから最も離れた位置にある頂部と前記スロット収容部との間の部位に、前記固定子コアの径方向に折れ曲がるクランク部を有することを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 前記クランク部は、前記スロット収容部の一端部から径方向外方に向かって折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  3. 前記クランク部は、前記スロット収容部の一端部から径方向内方に向かって折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  4. 前記クランク部は、前記スロット収容部の一端部から径方向外方に向かって折り曲げられて形成されるものと、径方向内方に向かって折り曲げられて形成されるものと、を有することを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  5. 前記クランク部は、折れ曲がり量の異なる複数種類のものが形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  6. 前記クランク部の折れ曲がり量は、前記固定子コアの周方向において徐々に変化していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  7. 前記クランク部は、折れ曲がり量が前記固定子コアの周方向において徐々に変化する第1のクランク部群を形成し、前記第1のクランク部群が周方向に繰り返し配置されていることを特徴とする請求項6に記載の回転電機の固定子。
  8. 前記回転電機は、m相交流(mは自然数)であって磁極数に対してn倍(nは自然数)の前記スロットを有するものであり、1つの前記ターン部の両端に接続する2つの前記スロット収容部は、m×n個のスロット数離れた前記スロットに収容され、前記第1のクランク部群は、前記導線のm×n本ごとの周期で繰り返し配置されていることを特徴とする請求項7に記載の回転電機の固定子。
  9. 前記クランク部は、折れ曲がり量が前記固定子コアの周方向において徐々に変化する第1のクランク部群と折れ曲がり量が一定量の第2のクランク部群とを形成し、前記固定子巻線の最内周と最外周のうちの少なくとも一方において前記第1のクランク部群と前記第2のクランク部群が交互に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の回転電機の固定子。
  10. 前記クランク部は、軸線方向中央部に位置する直線状部と、軸線方向両端に位置する曲げR部とからなることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  11. 前記クランク部は、前記ターン部の根元に設けられていることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  12. 前記導線のうちの少なくとも1本の導線には、前記クランク部が設けられていないことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  13. 前記ターン部は、前記固定子コアの端面に平行な段部を前記固定子コアの軸方向に複数有する階段形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  14. 前記クランク部が形成されている各前記ターン部は、前記クランク部の曲げ開始位置が前記固定子コアの端面から等距離離れた位置に揃えられていることを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  15. 前記クランク部は、径方向の幅寸法が他の部分よりも小さくされていることを特徴とする請求項14に記載の回転電機の固定子。
  16. 前記クランク部の前記直線状部は、前記導線の延伸方向に垂直な方向の幅寸法が他の部分よりも小さくされていることを特徴とする請求項14に記載の回転電機の固定子。
  17. 前記クランク部の前記直線状部は、前記導線の延伸方向に垂直な方向の断面積が他の部分よりも小さくされていることを特徴とする請求項14に記載の回転電機の固定子。
  18. 前記導線は、断面形状が矩形状の導体部と、該導体部の外周を覆う絶縁被膜部とからなることを特徴とする請求項1〜17の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  19. 前記固定子巻線は、複数の前記導線を所定の状態に積み重ねて帯状に形成した導線集積体を渦巻き状に巻き付けることにより円筒状に成形されていることを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
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