JP2010164609A - レジスト表面改質液及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

レジスト表面改質液及びレジストパターン形成方法 Download PDF

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智弥 熊谷
Jun Koshiyama
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Abstract

【課題】レジスト膜の露光工程後かつ現像工程前に用いられ、レジスト膜の疎水性を低下させることが可能なレジスト表面改質液、及びそのレジスト表面改質液を用いたレジストパターン形成方法を提供する。
【解決手段】レジストパターンを形成する際には、まず、基板上に形成されたレジスト膜を選択的に露光し、次いで、露光後のレジスト膜に酸性アニオン性界面活性剤と水とを含有するレジスト表面改質液を接触させることにより、レジスト膜の疎水性を低下させる。その後、レジスト表面改質液に接触させたレジスト膜を現像する。
【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト膜の露光工程後かつ現像工程前の表面処理液として用いられるレジスト表面改質液、及びそのレジスト表面改質液を用いたレジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば、基板上にレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、このレジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
半導体素子の微細化に伴い、露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とするNA=0.84の露光機が開発されている。露光光源の短波長化に伴い、レジスト組成物には、露光光源に対する感度や微細な寸法のパターンを再現できる解像性等、リソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。
解像性のさらなる向上のための手法の1つとして、露光装置の対物レンズとレジスト膜との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、いわゆる液浸露光リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下、「液浸露光法」ともいう。)が知られている(非特許文献1参照)。
液浸露光法によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成することができ、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光法は既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、液浸露光法は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に大きな効果を与えるものとして注目されている。なお、液浸媒体としては、主に水が用いられている。
プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、第5754巻、第119−128頁(2005年)
ところで、液浸露光法においては、通常のリソグラフィー特性(感度、解像性、エッチング耐性等)に加えて、液浸露光技術に対応した特性を有するレジスト組成物が求められる。例えば、液浸露光においては、レジスト膜と液浸媒体とが接触すると、レジスト膜中の物質の液浸媒体への溶出(物質溶出)が生じる。物質溶出は、レジスト膜の変質、液浸媒体の屈折率の変化等の現象を生じさせ、リソグラフィー特性を悪化させる。この物質溶出の量は、レジスト膜表面の特性(親水性、疎水性等)の影響を受けるため、例えばレジスト膜表面の疎水性を高めることにより、物質溶出を低減することができる。また、液浸媒体が水である場合において、非特許文献1に記載されているようなスキャン式の露光装置を用いて液浸露光を行う場合には、液浸媒体がレンズの移動に追随して移動する水追随性が求められる。水追随性が低いと露光スピードが低下するため、生産性に影響を与えることが懸念される。この水追随性は、レジスト膜表面の疎水性を高めることにより向上すると考えられる。
しかしながら、単にレジスト膜表面を疎水化しても、リソグラフィー特性に対する悪影響が見られる。例えば、レジスト膜表面の疎水性が高まると、アルカリ現像後、形成されるレジストパターンに欠陥(ディフェクト)が発生しやすくなるという問題がある。「ディフェクト」とは、表面欠陥観察装置により現像後のレジストパターンを真上から観察した際に検知される不具合全般のことである。この不具合としては、現像後のスカム、泡、ゴミ、ブリッジ(レジストパターン間の橋掛け構造)、色むら、析出物、残渣物等が挙げられる。このようなディフェクトは、現像工程時及び現像工程後のレジスト膜表面、特に現像後のレジスト膜表面の疎水性を低下させることにより、抑制することができる。
したがって、露光工程時にはレジスト膜表面を疎水性に保ち、現像工程後には疎水性を低下させる方法が求められていた。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、レジスト膜の露光工程後かつ現像工程前に用いられ、レジスト膜表面の疎水性を低下させることが可能なレジスト表面改質液、及びそのレジスト表面改質液を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、酸性アニオン性界面活性剤と水とを含有するレジスト表面改質液をレジスト膜の露光工程後かつ現像工程前に用いることにより、レジスト膜表面の疎水性を低下させられることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第一の態様は、レジスト膜の露光工程後かつ現像工程前の表面処理液として用いられるレジスト表面改質液であって、酸性アニオン性界面活性剤と水とを含有するレジスト表面改質液である。
本発明の第二の態様は、基板上に形成されたレジスト膜を選択的に露光する工程と、露光後の前記レジスト膜に、本発明に係るレジスト表面改質液を接触させる工程と、前記レジスト表面改質液に接触させた前記レジスト膜を現像する工程と、を有するレジストパターン形成方法である。
本発明によれば、レジスト膜の露光工程後かつ現像工程前に用いられ、レジスト膜表面の疎水性を低下させることが可能なレジスト表面改質液、及びそのレジスト表面改質液を用いたレジストパターン形成方法を提供することができる。このレジスト表面改質液を用いることにより、レジストパターンにおけるディフェクトの発生を有効に抑制することができる。
≪レジスト表面改質液≫
本発明に係るレジスト表面改質液は、レジスト膜の露光工程後かつ現像工程前の表面処理液として用いられるものであって、酸性アニオン性界面活性剤と水とを含有する。以下、本発明に係るレジスト表面改質液に含有される各成分について説明する。
<酸性アニオン性界面活性剤>
本発明に係るレジスト表面改質液は、酸性アニオン性界面活性剤を含有する。このような酸性アニオン性界面活性剤は、界面活性剤としての作用と酸性化合物としての作用とを併せ持つ。そして、界面活性剤としての作用によりレジスト膜表面への吸着性を高めることができ、酸性化合物としての作用によりレジスト膜表面の疎水性を低下させることができる。例えば、後述の含フッ素高分子化合物を配合したレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した場合、酸の作用により含フッ素高分子化合物の保護基や基材成分となる樹脂の保護基が脱保護され、レジスト膜表面が現像液に溶解するようになる。含フッ素高分子化合物はレジスト膜表面近くに偏在しているため、レジスト膜表面を溶解除去することにより、レジスト膜表面の疎水性を低下させることができる。
なお、酸性化合物とアニオン性以外の他の界面活性剤との組み合わせでも同様の効果が得られるように予想されるが、本発明者らが検討したところ、このような組み合わせでは十分な量の酸がレジスト膜表面に吸着せず、上記の効果は得られなかった。
酸性アニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、末端部アニオン基が−SO である未中和のアニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。具体的には、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、オレフィンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ジアルキルスルホサクシネート等が挙げられ、その中でも、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸が好ましい。アルキルスルホン酸の平均炭素数は9〜21が好ましく、12〜18がより好ましい。また、アルキルベンゼンスルホン酸のアルキル基の平均炭素数は6〜18が好ましく、9〜15がより好ましい。アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルキル基の平均炭素数は6〜18が好ましく、9〜15がより好ましい。
酸性アニオン性界面活性剤の含有量は、10質量ppm〜1質量%であることが好ましく、100質量ppm〜0.5質量%であることがより好ましい。酸性アニオン性界面活性剤の含有量を上記範囲内とすることにより、レジスト表面改質液がレジスト膜表面に略均一に吸着し、レジスト膜表面の疎水性が略均一に低下するようになる。これにより、レジストパターンにおけるディフェクトの発生を有効に抑制することができる。
<酸性化合物、塩基性化合物>
本発明に係るレジスト表面改質液は、酸性化合物及び塩基性化合物の少なくとも一方を含有していてもよい。これにより、改質対象となるレジスト膜の性質に応じてpHを適宜調整することができる。調整後のpHは、1〜4であることが好ましく、1.5〜3であることがより好ましい。レジスト表面改質液のpHを上記範囲内とすることにより、レジスト膜の膜減りを抑制しつつ疎水性を低下させて、レジストパターンにおけるディフェクトの発生を有効に抑制することができる。
[酸性化合物]
酸性化合物としては、特に限定されるものではなく、無機酸及び有機酸のいずれであってもよい。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。また、有機酸としては、脂肪族有機酸及び芳香族有機酸のいずれであってもよい。脂肪族有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。また、芳香族脂肪酸としては、サリチル酸、没食子酸、安息香酸、フタル酸等が挙げられる。
また、酸性化合物としては、炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子によって置換された有機酸を挙げることもできる。このような有機酸としては、例えば、以下の一般式(1)〜(4)で表される有機酸が挙げられる。
Figure 2010164609
[上記一般式(1)〜(4)において、nは10〜15の整数を示し、pは1〜5の整数を示し、qは2又は3を示し、rは2又は3を示し、Rは水素原子、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子により置換されている炭素数1〜16のアルキル基を示し、当該アルキル基は、水酸基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、又はアミノ基を有していてもよい。]
ここで、上記一般式(1)で表される有機酸としては、具体的には、下記化学式(1a)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010164609
上記一般式(2)で表される有機酸としては、具体的には、下記化学式(2a)〜(2c)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010164609
上記一般式(3)で表される有機酸としては、具体的には、下記化学式(3a)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010164609
上記一般式(4)で表される有機酸としては、Rがカルボキシル基を有するアルキル基である化合物が好ましく、具体的には、下記化学式(4a)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010164609
[塩基性化合物]
塩基化合物としては、特に限定されるものではなく、無機塩基及び有機塩基のいずれであってもよい。無機塩基としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の従来公知の無機塩基を用いることができる。また、有機塩基としては、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン等の有機アミン化合物、第4級アンモニウムヒドロキシド等の有機アンモニウム塩等が挙げられる。
上記脂肪族アミンとしては、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリtert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリイソペンチルアミン、トリtert−ペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン等が挙げられる。
上記芳香族アミンとしては、具体的には、ベンジルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン、p−メチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ジフェニルアミン、ジ−p−トリルアミン等が挙げられる。
上記複素環式アミンとしては、具体的には、ピリジン、o−メチルピリジン、o−エチルピリジン、2,3−ジメチルピリジン、4−エチル−2−メチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン等が挙げられる。
上記第4級アンモニウムヒドロキシドとしては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ジメチルジ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
<水>
本発明に係るレジスト表面改質液は、溶剤として水を含有する。このように本発明に係るレジスト表面改質液は水系であるため、廃液処理が容易である。
水の含有量は、上記各成分の残部であるが、90質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
その他、本発明の効果を損なわない範囲内において、所望によりさらにアルコール系、エーテル系等の水溶性有機溶剤、界面活性剤等を添加してもよい。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明に係るレジストパターン形成方法は、基板上に形成されたレジスト膜を選択的に露光する工程と、露光後のレジスト膜に、本発明に係るレジスト表面改質液を接触させる工程と、レジスト表面改質液に接触させたレジスト膜を現像する工程と、を有する。以下では、まず、レジスト膜を形成するためのレジスト組成物について説明し、次いで、このレジスト組成物を用いたレジストパターンの形成方法について説明する。
<レジスト組成物>
本発明に係るレジストパターン形成方法に用いられるレジスト組成物としては、特に限定されるものではなく、従来公知の化学増幅型レジスト組成物を用いることができる。すなわち、化学増幅型レジスト組成物から形成されるレジスト膜に対して、本発明に係るレジスト表面改質液を接触させることにより、レジストパターンにおけるディフェクトの発生を有効に抑制することができる。
レジストパターンにおけるディフェクト発生の抑制の効果が顕著に現れるという観点からは、本発明に係るレジスト表面改質液を、液浸露光用レジスト組成物を塗布することにより形成されるレジスト膜であって、上層に液浸露光用レジスト保護膜を積層せずに使用可能なレジスト膜に適用することが好ましい。このようなレジスト膜は、含フッ素高分子化合物を含有し、液浸露光法において使用される液浸媒体に、その構成成分を溶出させない程度の疎水性を有するものであるが、本発明に係るレジストパターン形成方法においては、露光後のレジスト膜にレジスト表面改質液を接触させることにより、レジスト膜表面の疎水性を十分に低下させることができる。
液浸露光用レジスト組成物としては、具体的には、塩基解離性基を有する構成単位(f1)及び下記一般式(f2−1)で表される構成単位(f2)を有する含フッ素高分子化合物(F)と、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するものを用いることができる。
このようなレジスト組成物においては、露光により酸発生剤成分から酸が発生すると、当該酸の作用により、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する。そのため、レジストパターンの形成において、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する一方、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しない。そのため、これをアルカリ現像することによりレジストパターンが形成される。
[含フッ素高分子化合物(F)]
(構成単位(f1))
構成単位(f1)における「塩基解離性基」とは、塩基の作用により解離し得る有機基である。塩基としては、一般的にリソグラフィー分野において用いられるアルカリ現像液が挙げられる。すなわち、「塩基解離性基」とは、アルカリ現像液(例えば、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃))の作用により解離する基である。
塩基解離性基は、アルカリ現像液の作用により加水分解が生じることにより解離する。そのため、当該塩基解離性基が解離すると同時に親水性基が形成され、含フッ素高分子化合物の親水性が高まり、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。
塩基解離性基としては、上記定義に該当する有機基であれば特に限定されるものではなく、フッ素原子を含むものでも、フッ素原子を含まないものでもよい。構成単位(f1)中の塩基解離性基以外の部位にフッ素原子が含まれていない場合には、フッ素原子を含む塩基解離性基であることを要する。一方、構成単位(f1)中の塩基解離性基以外の部位にフッ素原子が含まれている場合には、フッ素原子を含む塩基解離性基であってもよく、フッ素原子を含まない塩基解離性基であってもよい。なお、フッ素原子を含む塩基解離性基は、塩基解離性基における水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
構成単位(f1)において、塩基解離性基はフッ素原子を含むことが好ましい。特に、構成単位(f1)中に含まれるフッ素原子が、塩基解離性基のみに存在していることが好ましい。塩基解離性基がフッ素原子を含む場合、アルカリ現像液の作用により当該塩基解離性基が解離した際、フッ素原子も構成単位(f1)から解離するため、アルカリ現像液に対する親和性がより高くなる。
フッ素原子を含む塩基解離性基の具体例としては、例えば、下記一般式(I−1)〜(I−4)で表される基が挙げられる。その中でも、塩基解離性基としての機能に優れ、かつ合成が容易である点から、下記一般式(I−1)又は(I−4)で表される基が特に好ましい。
Figure 2010164609
[上記一般式(I−1)〜(I−4)において、Rはそれぞれ独立にフッ素原子を有する有機基を示す。]
の構造は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。Rにおいて、有機基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが特に好ましく、1〜5であることが最も好ましい。Rは、液浸露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、フッ素化率が25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。「フッ素化率」は、当該有機基における(水素原子及びフッ素原子の合計数)に対する(フッ素原子数)の割合(%)である。
としては、例えば、置換基を有していてもよいフッ素化炭化水素基が好ましく挙げられる。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を有しない炭化水素基である。脂肪族炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
つまり、Rとしては、フッ素化飽和炭化水素基又はフッ素化不飽和炭化水素基であることが好ましく、フッ素化飽和炭化水素基、すなわちフッ素化アルキル基であることが特に好ましい。フッ素化アルキル基としては、無置換のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。フッ素化アルキル基は、無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
フッ素化炭化水素基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
において、フッ素化アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましい。特に、下記一般式(II−1)又は(II−2)で表される基が好ましく、中でも、一般式(II−1)で表される基が好ましい。
Figure 2010164609
[上記一般式(II−1)において、Rは無置換の炭素数1〜9のアルキレン鎖を示し、Rは炭素数1〜9のフッ素化アルキル基を示す。但し、RとRとの炭素数の合計は10以下である。また、上記一般式(II−2)において、R〜Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基を示し、R〜Rの少なくとも1つはフッ素原子を有するアルキル基である。]
構成単位(f1)として好適なものとしては、例えば、下記一般式(f1−1)又は(f1−2)で表される構成単位を挙げることができる。
Figure 2010164609
[上記一般式(f1−1)及び(f1−2)において、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基を示し、Xは二価の有機基を示し、Aarylは置換基を有していてもよい二価の芳香族環式基を示し、Xは単結合又は二価の連結基を示し、Rは上記定義どおりである。]
上記一般式(f1−1)で表される構成単位の中で好適なものとしては、下記一般式(f1−11)〜(f1−15)で表される構成単位が挙げられる。また、上記一般式(f1−2)で表される構成単位の中で好適なものとしては、下記一般式(f1−21)〜(f1−26)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010164609
Figure 2010164609
上記一般式(f1−11)〜(f1−15)、及び上記一般式(f1−21)〜(f1−26)において、R及びRはそれぞれ上記定義どおりである。R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基を示し、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。a1〜a3、a5、a7、a9、a11〜a13はそれぞれ独立に1〜5の整数を示し、a4、a6、a8、a10はそれぞれ独立に0〜5の整数を示し、a14〜a16は0〜5の整数を示し、b1〜b5はそれぞれ独立に0又は1を示す。R12は置換基であり、eは0〜2の整数を示す。
構成単位(f1)としては、上記一般式(f1−11)〜(f1−14)、及び上記一般式(f1−21)〜(f1−24)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、上記一般式(f1−11)〜(f1−13)、上記一般式(f1−21)、(f1−22)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、上記一般式(f1−11)、(f1−22)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましい。
含フッ素高分子化合物中、構成単位(f1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。含フッ素高分子化合物中の構成単位(f1)の割合は、含フッ素高分子化合物を構成する全構成単位の合計に対し10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、30〜80モル%が特に好ましく、40〜80モル%が最も好ましい。構成単位(f1)の割合が上記範囲の下限値以上であると、レジストパターンの形成において、液浸露光時には疎水性であって、アルカリ現像時には親水性となり、レジストパターンのディフェクトが低減し、液浸露光時のスキャン追随性が向上する。上限値以下であると、構成単位(f2)とのバランスが良好となり、液浸スキャン露光時由来のディフェクトを抑制できる。
(構成単位(f2))
構成単位(f2)は、下記一般式(f2−1)で表される。
Figure 2010164609
[上記一般式(f2−1)において、R13は水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基を示し、Wは下記一般式(w−1)〜(w−4)のいずれかで表される基を示す。]
Figure 2010164609
[上記一般式(w−1)において、R14は炭素数2以上のアルキル基を示し、R15及びR16は相互に結合して炭素数7以上の単環式の脂肪族環式基を形成している。上記一般式(w−2)において、R17は炭素数3以上の分岐鎖状のアルキル基を示し、R18及びR19は相互に結合して脂肪族環式基を形成している。上記一般式(w−3)において、R20は酸解離性溶解抑制基を示し、R21は二価の連結基を示す。上記一般式(w−4)において、R22は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は脂肪族環式基を示し、nは0〜3の整数を示し、R23及びR24はそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は水素原子を示し、R22及びR23が相互に結合して脂肪族環式基を形成していてもよい。]
上記一般式(w−1)において、R14のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。当該アルキル基が直鎖状又は分岐鎖状の場合には、炭素数が2〜5であることが好ましく、当該アルキル基が環状の場合には、炭素数が4〜15であることが好ましく、炭素数が4〜12であることがより好ましく、炭素数が5〜10であることが特に好ましい。
15及びR16が相互に結合して、当該R15及びR16が結合した炭素原子とともに形成する単環式の脂肪族環式基の炭素数は、7以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。また、当該単環式の脂肪族環式基の炭素数は、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、9以下であることが特に好ましい。
上記一般式(w−1)で表される基の好ましい具体例としては、以下のものが例示できる。
Figure 2010164609
上記一般式(w−2)において、R17のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。R18及びR19が相互に結合して、当該R18及びR19が結合した炭素原子とともに形成する脂肪族環式基の炭素数は、4〜15であることが好ましく、4〜12以下であることがより好ましく、5〜10であることが特に好ましい。
上記一般式(w−2)で表される基の好ましい具体例としては、以下のものが例示できる。
Figure 2010164609
[上記一般式において、R17は上記定義どおりであり、gは0〜3の整数を示す。]
gは1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
上記一般式(w−3)において、R20の酸解離性溶解抑制基は、含フッ素高分子化合物を、酸発生剤成分とともにレジスト組成物に配合した際に、露光により酸発生剤成分から発生した酸の作用により解離する酸解離性を有するとともに、当該解離前は、含フッ素高分子化合物のアルカリ現像液に対する溶解性を抑制するアルカリ溶解抑制性を有するものである。R20の酸解離性溶解抑制基としては、特に限定されるものではなく、これまで化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。
21の2価の連結基としては、アルキレン鎖、2価の脂肪族環式基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
上記一般式(w−4)において、R22が直鎖状又は分岐鎖状の場合、炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、エチル基又はメチル基であることが特に好ましく、エチル基であることが最も好ましい。R22が脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができる。R22における脂肪族環式基は、炭素数が4〜15であることが好ましく、炭素数が4〜12であることがより好ましく、炭素数が5〜10であることが特に好ましい。
mは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0が最も好ましい。R23及びR24はそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は水素原子である。R23及びR24における直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。その中でも、R23及びR24のうちの少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(w−4)においては、R22及びR23が相互に結合して脂肪族環式基を形成していてもよい。この場合、R22と、R23と、−O−(CH−と、R23が結合した炭素原子とにより脂肪族環式基が形成されている。該脂肪族環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。
上記一般式(w−4)で表される基の好ましい具体例としては、例えば、下記式(w−4−1)〜(w−4−12)で表される基が挙げられる。
Figure 2010164609
[上記一般式(w−4−1)〜(w−4−12)において、R25は水素原子又はメチル基を示し、gは上記定義どおりである。]
含フッ素高分子化合物中、構成単位(f2)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。含フッ素高分子化合物中、構成単位(f2)の割合は、含フッ素高分子化合物を構成する全構成単位の合計に対し、5〜80モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましく、15〜50モル%が特に好ましく、20〜40モル%が最も好ましい。構成単位(f2)の割合が上記範囲の下限値以上であると、レジストパターンの形成において、液浸露光時には疎水性であって、露光工程後、特に露光後加熱(PEB)を行った際に親水性が高まるという特性がより顕著になる。また、ラインアンドスペースパターンにおいてはブリッジディフェクトが抑制でき、コンタクトホールパターンにおいては開口不良ディフェクトが抑制できる。また、炭化水素基の割合が向上し、スキャン追随性が向上する。上限値以下であると、構成単位(f1)とのバランスが良好となる。
(その他の構成単位)
含フッ素高分子化合物は、構成単位(f1)、構成単位(f2)以外の構成単位(以下、構成単位(f3)という。)を有していてもよい。構成単位(f3)としては、構成単位(f1)を誘導する化合物及び構成単位(f2)を誘導する化合物と共重合可能な化合物から誘導される構成単位であればよく、特に限定されない。このような構成単位としては、これまで化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の構成単位として提案されているものが挙げられる。
含フッ素高分子化合物は、構成単位(f1)及び構成単位(f2)を有する共重合体であることが好ましい。当該共重合体としては、構成単位(f1)及び構成単位(f2)のみからなる共重合体;構成単位(f1)、構成単位(f2)、及び構成単位(f3)からなる共重合体等が挙げられる。その中でも、構成単位(f1)及び構成単位(f2)からなる共重合体が好ましい。
含フッ素高分子化合物の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000であることが好ましく、3000〜30000であることがより好ましく、4000〜25000であることが特に好ましい。上記範囲の上限値以下であると、レジスト組成物として用いるのに十分な溶剤への溶解性があり、上記範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好になる。また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が特に好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(含フッ素高分子化合物の含有量)
液浸露光用レジスト組成物における含フッ素高分子化合物の含有量は、基材成分100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜40質量部がより好ましく、0.5〜30質量部が特に好ましく、1〜15質量部が最も好ましい。上記範囲の下限値以上とすることで、当該液浸露光用レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光用として好適な疎水性を有するものとなる。上限値以下であると、リソグラフィー特性が向上する。
[基材成分(A)]
基材成分としては、通常、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。当該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
上記基材成分として用いられる分子量が500以上の有機化合物は、分子量が500以上2000未満の低分子量の有機化合物(低分子材料)と、分子量が2000以上の高分子量の有機化合物(高分子材料)とに大別される。低分子材料としては、通常、非重合体が用いられる。高分子材料としては樹脂(重合体、共重合体)が用いられる。樹脂の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、単に「樹脂」という場合は、分子量が2000以上の樹脂を示すものとする。基材成分としては、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂を用いてもよく、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する低分子材料を用いてもよく、これらを併用してもよい。
液浸露光用レジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、基材成分としては、アルカリ現像液に可溶性の基材成分が用いられ、さらに当該ネガ型レジスト組成物に架橋剤が配合される。このようなネガ型レジスト組成物は、露光により酸発生剤成分から酸が発生すると、当該酸が作用して基材成分と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して難溶性へと変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
液浸露光用レジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、基材成分としては、通常、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下、アルカリ可溶性樹脂という。)が用いられる。アルカリ可溶性樹脂としては、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、及びα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1つから誘導される単位を有する樹脂が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。なお、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方又は両方を示す。
架橋剤としては、メチロール基又はアルコキシメチル基を有するグリコールウリル等のアミノ系架橋剤を用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
一方、液浸露光用レジスト組成物がポジ型レジスト組成物である場合、基材成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分が用いられる。当該基材成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により酸発生剤成分から酸が発生すると、当該酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は、アルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しない。このため、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。本発明で用いられる液浸露光用レジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であることが好ましい。すなわち、本発明で用いられる液浸露光用レジスト組成物において、基材成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分であることが好ましい。当該基材成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1)(以下「(A1)成分」ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子材料(A2)(以下「(A2)成分」ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。本発明においては、特に、(A1)成分が好ましく用いられる。
(酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1))
(A1)成分としては、通常、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分として用いられている樹脂成分(ベース樹脂)を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。その中でも、(A1)成分としては、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するものが好ましい。本明細書において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性不飽和二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子又は基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。アクリル酸エステルのα位に結合している原子又は基は、水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基、又はフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。
(A1)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、又は構成単位(a1)及び(a2)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。また、(A1)成分は、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を有していてもよい。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000であることが好ましく、3000〜30000であることがより好ましく、5000〜20000であることが特に好ましい。上記範囲の上限値以下であると、レジスト組成物として用いるのに十分な溶剤への溶解性があり、上記範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好になる。また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が特に好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子材料(A2))
(A2)成分としては、分子量が500〜2000であって、親水性基を有するとともに、酸解離性溶解抑制基を有する低分子化合物が好ましい。
具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部を、上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが挙げられる。(A2)成分は、例えば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
[酸発生剤成分(B)]
酸発生剤成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまでヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類等のジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤といった多種のものが知られている。
酸発生剤成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その中でも、酸発生剤成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。液浸露光用レジスト組成物中の酸発生剤成分の含有量は、基材成分100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
[任意成分]
本発明で用いられる液浸露光用レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意成分として、含窒素有機化合物(D)を含有してもよい。含窒素有機化合物としては、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよいが、その中でも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンを好ましく用いることができる。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、当該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、例えば、アンモニアの水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミン又はアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。環式アミンとしては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。当該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含窒素有機化合物は、基材成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
また、液浸露光用レジスト組成物は、感度劣化の防止、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意成分として、有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、「(E)成分」ということがある)を含有してもよい。(E)成分は、基材成分100質量部に対して、通常0.01質量〜5.0質量部の割合で用いられる。
また、液浸露光用レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料等を適宜、添加含有させることができる。
[有機溶剤(S)]
本発明で用いられる液浸露光用レジスト組成物は、材料を有機溶剤に溶解させて製造することができる。有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。有機溶剤の使用量は特に限定されず、基板に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的には固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは3〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
[レジスト膜に対する水の接触角]
本発明に係るレジスト表面改質液を適用する対象となるレジスト膜の疎水性は、水の接触角、例えば静的接触角(水平状態のレジスト膜上の水滴表面とレジスト膜表面とのなす角度)、動的接触角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落し始めたときの接触角(転落角)、水滴の転落方向前方の端点における接触角(前進角)、転落方向後方の端点における接触角(後退角)、とがある。)等を測定することにより評価できる。例えばレジスト膜の疎水性が高いほど、静的接触角、前進角、及び後退角は大きくなり、一方、転落角は小さくなる。
本明細書において、静的接触角、前進角、後退角、及び転落角は以下のようにして測定される。まず、シリコン基板上に、レジスト組成物をスピンコートした後、110℃の温度条件で60秒間加熱してレジスト膜を形成する。次に、上記レジスト膜に対して、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学社製)、AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(製品名、協和界面科学社製)、AUTO DISPENSER:AD−31(製品名、協和界面科学社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。
レジスト組成物として液浸露光用レジスト組成物を用いる場合、当該液浸露光用レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光及び現像を行う前の水に対する静的接触角の測定値は70度以上であることが好ましく、70〜100度であることがより好ましく、75〜100度であることが特に好ましい。当該静的接触角が下限値度以上であると、液浸露光時の物質溶出抑制効果が向上する。その理由は明らかではないが、主な要因の1つとして、レジスト膜の疎水性との関連が考えられる。つまり、液浸露光用液体は水等の水性のものが用いられているため、疎水性が高いことにより、液浸露光を行った後、液浸媒体を除去した際に速やかにレジスト膜表面から液浸媒体を除去できることが影響していると推測される。また、後退角が上限値以下であると、リソグラフィー特性等が良好になる。
同様の理由により、本発明で用いられる液浸露光用レジスト組成物は、当該液浸露光用レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光及び現像を行う前の水に対する後退角の測定値が50度以上であることが好ましく、50〜150度であることがより好ましく、50〜130度であることが特に好ましく、53〜100度であることが最も好ましい。また、本発明で用いられる液浸露光用レジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光及び現像を行う前の水に対する転落角の測定値が30度以下であることが好ましく、5〜30度であることがより好ましく、5〜25度であることが特に好ましく、5〜23度であることが最も好ましい。転落角が上限値以下であると、液浸露光時の物質溶出抑効果が向上する。また、転落角が下限値以上であると、リソグラフィー特性等が良好になる。
上述の各種角度(動的接触角(前進角、後退角、転落角等)、静的接触角)の大きさは、液浸露光用レジスト組成物の組成、例えば含フッ素高分子化合物の種類や配合量、基材成分の種類等を調整することにより調整できる。例えば含フッ素高分子化合物の含有量が多いほど、得られるレジスト組成物の疎水性が高まり、前進角、後退角、静的接触角が大きくなり、転落角が小さくなる。
<レジストパターンの形成方法>
[レジスト膜の形成]
本発明に係るレジストパターン形成方法においては、基板上に、レジスト組成物をスピンナー等で塗布した後、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB)処理)を行うことにより、レジスト膜を形成する。
基板としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、上述のような基板上に、無機系及び/又は有機系の膜が設けられたものを用いてもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との2層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に1層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた3層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
レジスト膜の形成後、レジスト膜上にさらに有機系の反射防止膜を設けて、基板と、レジスト膜と、反射防止膜とからなる3層積層体とすることもできる。レジスト膜上に設ける反射防止膜はアルカリ現像液に可溶であるものが好ましい。ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができ、操作条件等は、使用するレジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
[露光]
次いで、上記で得られたレジスト膜に対して、所望のマスクパターンを介して選択的に露光を行う。レジスト膜として、特に上述した液浸露光用レジスト組成物から形成されるレジスト膜を利用する場合、レジスト膜に対する露光は液浸露光(Liquid Immersion Lithography)を行うものとする。
この液浸露光においては、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズとの間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fレーザー等の放射線を用いて行うことができる。本発明において用いられるレジスト膜は、KrFエキシマレーザー又はArFエキシマレーザー、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ上記液浸露光用レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、上記範囲内であれば特に制限されない。空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられる。フッ素系不活性液体の沸点は、70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸媒体の除去を、簡便な方法で行うことができる。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。より具体的には、上記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、上記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
本発明で用いられる液浸露光用レジスト組成物は、特に水による悪影響を受けにくく、感度、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性にも優れることから、液浸媒体として水が好ましく用いられる。また、水は、コスト、安全性、環境問題、及び汎用性の観点からも好ましい。
[レジスト表面改質液による処理]
レジスト表面改質液による処理においては、本発明に係るレジスト表面改質液を露光後のレジスト膜に接触させる。レジスト表面改質液を露光後のレジスト膜に接触させる方法としては、例えばレジスト表面改質液をスプレー法等によって、レジスト膜の表面に供給した後、余分な液を減圧下で吸引して行う方法や、積層体をレジスト表面改質液に浸漬する方法、レジスト表面改質液をスピンコート法によりレジスト膜上に塗布する方法等が挙げられる。これらの中でも、レジスト表面改質液をスピンコート法によりレジスト膜上に塗布する方法が好ましい。
このようなレジスト表面改質液による処理により、レジスト膜表面の疎水性を低下させることができる。例えば、上述の含フッ素高分子化合物を配合したレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した場合、レジスト表面改質液の作用により含フッ素高分子化合物の保護基や基材成分となる樹脂の保護基が脱保護され、レジスト膜表面が現像液に溶解するようになる。含フッ素高分子化合物はレジスト膜表面近くに偏在しているため、レジスト膜表面を溶解除去することにより、レジスト膜表面の疎水性を低下させることができる。溶解除去する量は、レジスト組成物の組成によっても異なるが、例えば150nm膜厚のレジスト膜の場合、50〜200Åであることが好ましい。
[露光後加熱]
レジスト表面改質液による処理を終えた後は、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行う。PEBは、通常、80〜150℃の温度条件下、40〜120秒、好ましくは60〜90秒間施される。
なお、上述したレジスト表面改質液による処理は、この露光後加熱工程の後で行うようにしても構わない。すなわち、レジスト表面改質液による処理は、露光工程後かつ現像工程前に行われればよい。
[現像]
続いて、アルカリ性水溶液からなるアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理を行う。
[リンス・乾燥]
現像後、好ましくは純水を用いて水リンスを行う。水リンスは、例えば、基板を回転させながら、レジストパターンの表面に水を滴下又は噴霧して、レジストパターン上の現像液及び当該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流すことにより実施できる。次いで乾燥を行うことにより、レジスト膜がマスクパターンに応じた形状にパターニングされ、かつ疎水性が低下したレジストパターンが得られる。レジストパターンの水に対する静的接触角の測定値は50〜83度であることが好ましく、55〜80度であることがより好ましい。静的接触角が上記範囲であることにより、ディフェクトの発生を有効に抑制することができる。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に挙げる実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
表1に示すように、界面活性剤として平均炭素数15のアルキルスルホン酸が1000質量ppm、水が99.9質量%となるように混合し、pH2.5のレジスト表面改質液を調製した。
<実施例2〜4>
表1に示すように、界面活性剤の配合量を減らし、塩基性化合物としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を配合して、レジスト表面改質液を調製した。
<実施例5>
表1に示すように、界面活性剤としてアルキル基の平均炭素数12のアルキルベンゼンスルホン酸が1500質量ppm、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)が100質量ppm、水が99.84質量%となるように混合し、pH2.6のレジスト表面改質液を調製した。
<実施例6>
表1に示すように、界面活性剤としてドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸が3000質量ppm、水が99.7質量%となるように混合し、pH2.0のレジスト表面改質液を調製した。
<比較例1>
表1に示すように、カチオン性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキサイドが1500質量ppm、シュウ酸が100質量ppm、水が99.84質量%となるように混合し、pH2.5のレジスト表面改質液を調製した。
<比較例2>
表1に示すように、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(平均炭素数12〜14、エチレンオキサイド付加モル数12)が1500質量ppm、上記化学式(2b)で表される化合物が100質量ppm、水が99.84質量%となるように混合し、pH2.6のレジスト表面改質液を調製した。
Figure 2010164609
<評価>
200mmのシリコンウエハ(HMDS未塗布)に、液浸露光用ポジ型レジスト組成物「TArF−TAI−6107ME」(製品名、東京応化工業社製)をスピンコート法で塗布し、120℃で60秒間加熱して、膜厚100nmのレジスト膜を形成し、その後、Nikon社製NSR−S302を用いて露光(波長193nm)した。そして、上記で調製したレジスト表面改質液を、500rpmで7秒間、次いで3000rpmで10秒間という条件でスピンコートし、105℃で60秒間加熱した。これを、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像した。その後、現像後のレジスト膜を水リンスし、100℃で60秒間加熱し、130nmのラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
このようにして得られた現像後のレジスト膜(未露光部)について、膜減り量を測定した。また、接触角測定装置「DROP MASTER−700」、「AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM」、及び「AUTO DISPENSER:AD−31」(それぞれ、製品名、協和界面科学社製)を用いて、レジスト膜表面の水に対する静的接触角を測定した。さらに、表面欠陥観察装置「KLA−2132」(KLAテンコール社製)を用い、レジストパターンのディフェクト数を測定した。結果を表2に示す。
なお、比較例3としては、レジスト表面改質液を用いないほかは上記と同様にして、レジスト膜の膜減り量、レジスト膜表面の静的接触角、レジスト膜表面のディフェクト数を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2010164609
表2から分かるように、酸性アニオン性界面活性剤及び水を含有するレジスト表面改質液をレジスト膜に接触させた実施例1〜6においては、レジスト膜にレジスト表面改質液を接触させていない比較例3に比べ、水に対する静的接触角が下がっており(すなわち、疎水性が低下しており)、ディフェクト数も抑えられていた。特に、pHが2.0〜2.7の範囲であるレジスト表面改質液を用いた場合には、その効果が顕著であった。
一方、酸性アニオン性界面活性剤の代わりに、カチオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤と酸性化合物とを配合した比較例1,2においては、十分に低いpHであるにも関わらず、水に対する静的接触角が下がっておらず(すなわち、疎水性が低下しておらず)、ディフェクト数も抑えられていなかった。

Claims (8)

  1. レジスト膜の露光工程後かつ現像工程前の表面処理液として用いられるレジスト表面改質液であって、
    酸性アニオン性界面活性剤と水とを含有するレジスト表面改質液。
  2. 露光後加熱(PEB)工程前に用いられる請求項1記載のレジスト表面改質液。
  3. 前記酸性アニオン性界面活性剤が、平均炭素数9〜21のアルキルスルホン酸、アルキル基の平均炭素数6〜18のアルキルベンゼンスルホン酸、又はアルキル基の平均炭素数6〜18のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸である請求項1又は2記載のレジスト表面改質液。
  4. 前記酸性アニオン性界面活性剤の含有量が10質量ppm〜1質量%である請求項1から3のいずれか1項記載のレジスト表面改質液。
  5. 前記水の含有量が90質量%以上である請求項1から4のいずれか1項記載のレジスト表面改質液。
  6. さらに、塩基性化合物を含有する請求項1から5のいずれか1項記載のレジスト表面改質液。
  7. 前記レジスト膜が、液浸露光用レジスト組成物を塗布することにより形成され、上層に液浸露光用レジスト保護膜を積層せずに使用可能なレジスト膜である請求項1から6のいずれか1項記載のレジスト表面改質液。
  8. 基板上に形成されたレジスト膜を選択的に露光する工程と、
    露光後の前記レジスト膜に、請求項1から7のいずれか1項記載のレジスト表面改質液を接触させる工程と、
    前記レジスト表面改質液に接触させた前記レジスト膜を現像する工程と、を有するレジストパターン形成方法。
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