JP2019120766A - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜厚7μm以上とするレジスト膜を成膜する際でも、高い感度を示し、かつ、良好な形状のパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供する。【解決手段】支持体上に、レジスト組成物を用いて膜厚7μm以上のレジスト膜を形成する工程、レジスト膜を露光する工程及び露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有する、レジストパターン形成方法を採用する。レジスト組成物として、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤と、を含有するものを選択する。式(b1−1)中、Rb1は、アリール基である。Rb2及びRb3は、脂肪族炭化水素基である。Rb2とRb3とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。Lb1、Lb2及びLb3は、2価の連結基又は単結合である。X−は、対アニオンである。[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、レジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。レジスト膜の露光部が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、レジスト膜の露光部が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩によりパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が行われている。また、これらのエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のEUV(極紫外線)や、EB(電子線)、X線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
例えば上記現像液がアルカリ現像液(アルカリ現像プロセス)の場合、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用によりベース樹脂の極性が増大して、レジスト膜の露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。そのためアルカリ現像することにより、レジスト膜の未露光部がパターンとして残るポジ型パターンが形成される。
一方で、このような化学増幅型レジスト組成物を、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いた溶剤現像プロセスに適用した場合、ベース樹脂の極性が増大すると相対的に有機系現像液に対する溶解性が低下するため、レジスト膜の未露光部が有機系現像液により溶解、除去されて、レジスト膜の露光部がパターンとして残るネガ型のレジストパターンが形成される。このようにネガ型のレジストパターンを形成する溶剤現像プロセスをネガ型現像プロセスということがある。
これまで、化学増幅型レジスト組成物のベース樹脂としては、例えばKrFエキシマレーザー(248nm)に対し、透明性が高いポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護した樹脂(PHS系樹脂)が用いられてきた。また、例えばArFエキシマレーザー(193nm)に対し、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基における水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護した樹脂((メタ)アクリル系樹脂)が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
前記の酸解離性の溶解抑制基としては、1−エトキシエチル基に代表される鎖状エーテル基もしくはテトラヒドロピラニル基に代表される環状エーテル基等のいわゆるアセタール基、tert−ブチル基に代表される第3級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基に代表される第3級アルコキシカルボニル基等が主に用いられている。
また、化学増幅型レジスト組成物において使用される酸発生剤成分としては、これまで多種多様のものが提案されており、例えば、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等が知られている。
これらの中でも、オニウム塩系酸発生剤が汎用され、主に、カチオン部にトリフェニルスルホニウム等のオニウムイオンを有するものが用いられている。このオニウム塩系酸発生剤のアニオン部には、一般的に、アルキルスルホン酸イオンやそのアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフッ素化アルキルスルホン酸イオン等が用いられている。
ところで、現在、LSIの高集積化と通信の高速度化に伴い、メモリ容量の増大化が求められ、パターンの更なる微細化が急速に進んでいる。しかしながら、電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数十nmの微細なパターン形成を目標とするが、未だ生産性が低い等の課題が多く、微細加工による技術では限界がある。
これに対し、微細化に加えて、セルを積み上げていく積層化によってメモリの大容量化を図る、3次元構造デバイスの開発が進められている。
特開2003−241385号公報
前記の3次元構造デバイスの製造においては、被加工物表面に、従来よりも高膜厚の、例えば膜厚を7μm以上とするような厚膜レジスト膜を成膜し、レジストパターンを形成してエッチング等を行う工程を有する。ここに化学増幅型レジスト組成物を用いる場合、レジストの膜厚が厚くなるほど、露光時の感度を維持することが難しくなる。従来の化学増幅型レジスト組成物を用いて厚膜レジスト膜を成膜しようとした際には、露光量が多く必要となって感度が低くなる問題がある。また、現像に対する解像性が低下して、所望のレジストパターン形状が得られにくい問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、膜厚を7μm以上とするような厚膜レジスト膜を成膜する際でも、高い感度を示し、かつ、良好な形状のパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、レジスト組成物を用いて膜厚7μm以上のレジスト膜を形成する工程(i)、前記レジスト膜を露光する工程(ii)及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(iii)を有するレジストパターン形成方法であって、前記レジスト組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)と、下記一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)と、を含有することを特徴とする。
Figure 2019120766
[式中、Rb1は、置換基を有してもよいアリール基である。Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基である。Rb2とRb3とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。Lb1、Lb2及びLb3は、それぞれ独立に、2価の連結基又は単結合である。Xは、対アニオンである。]
本発明によれば、膜厚を7μm以上とするような厚膜レジスト膜を成膜する際でも、高い感度を示し、かつ、良好な形状のパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供することができる。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH−)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα0)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(Rα0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rα0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。また、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸をα置換アクリル酸ということがある。また、アクリル酸とα置換アクリル酸とを包括して「(α置換)アクリル酸」ということがある。
「アクリルアミドから誘導される構成単位」とは、アクリルアミドのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
アクリルアミドは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、アクリルアミドのアミノ基の水素原子の一方または両方が置換基で置換されていてもよい。なお、アクリルアミドのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリルアミドのカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリルアミドのα位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたもの(置換基(Rα0))と同様のものが挙げられる。
「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。「ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがあるが、その場合は一つの式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
(レジストパターン形成方法)
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、レジスト組成物を用いて膜厚7μm以上のレジスト膜を形成する工程(i)、前記レジスト膜を露光する工程(ii)及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(iii)を有する。かかる態様のレジストパターン形成方法においては、工程(i)で、特定のレジスト組成物を選択する。
本態様に係るレジストパターン形成方法は、例えば以下のようにして行うことができる。
工程(i):
まず、支持体上に、後述する特定のレジスト組成物を、スピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、例えば80〜150℃、好ましくは100〜150℃(より好ましくは100℃超150℃以下)の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜120秒間(より好ましくは80〜100秒間)施して、膜厚7μm以上のレジスト膜を形成する。
工程(ii):
次に、該レジスト膜に対し、例えば露光装置等を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、例えば80〜150℃、好ましくは90〜130℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜100秒間施す。
工程(iii):
次に、前記露光後のレジスト膜を現像処理する。現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を、超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後又はリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
このようにして、レジストパターンを形成することができる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系及び/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や、多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
本態様のレジストパターン形成方法は、高膜厚のレジスト膜を形成する際に有用な方法であり、前記工程(i)で形成するレジスト膜の膜厚は、7μm以上である。
前記工程(i)で形成するレジスト膜の膜厚は、さらに好ましくは8μm以上、特に好ましくは10μm以上とされ、膜厚の上限値は実質的に30μm以下とされる。
後述する特定のレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜について、その透過率(248nm)は、例えば膜厚15μmの場合で、透過率2%超であることが好ましく、より好ましくは透過率2.1%以上、さらに好ましくは透過率5%以上、特に好ましくは透過率6%以上である。透過率の上限値は実質的に20%以下とされる。
ここでいう「レジスト膜の透過率」は、板状の石英ガラス上に、試料であるレジスト組成物を所望の膜厚に成膜し、紫外可視分光光度計にて波長248nmの光を透過させることによって測定される値を意味する。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。
本態様に係るレジストパターン形成方法は、前記工程(ii)において、前記レジスト膜に、KrFエキシマレーザー光を照射する場合に特に好適な方法である。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物、パーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
ケトン系溶剤は、構造中にC−C(=O)−Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC−C(=O)−O−Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤である。「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。ニトリル系溶剤は、構造中にニトリル基を含む有機溶剤である。アミド系溶剤は、構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は、構造中にC−O−Cを含む有機溶剤である。
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、上記の中でも、極性溶剤が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等が好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶剤としては、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)が好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。
ニトリル系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、プロピオ二トリル、バレロニトリル、ブチロ二トリル等が挙げられる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、例えば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理後のリンス処理に用いるリンス液が含有する有機溶剤としては、例えば前記有機系現像液に用いる有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤を使用する。これらの中でも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素数6〜8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。具体的には、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−ヘキサノールが好ましく、1−ヘキサノール、2−ヘキサノールがより好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。但し、現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下さらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
リンス液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、前記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該リンス処理の方法としては、例えば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
<レジスト組成物>
上述した本発明のレジストパターン形成方法においては、工程(i)で、特定のレジスト組成物を用いる。
かかる特定のレジスト組成物は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するものである。このレジスト組成物としては、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下これを「(B)成分」ともいう)と、を含有する実施形態が挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザー光の露光を行うレジストパターン形成に好適なものである。
また、本実施形態のレジスト組成物は、支持体上に、高膜厚のレジスト膜を形成するためのレジスト剤として有用であり、膜厚7μm以上のレジスト膜を形成するのに適したものである。
本実施形態のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、該レジスト膜の露光部では酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、該レジスト膜の未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、該レジスト膜の露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、該レジスト組成物がポジ型の場合はレジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、該レジスト組成物がネガ型の場合はレジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、レジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を、ポジ型レジスト組成物といい、レジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を、ネガ型レジスト組成物という。
本実施形態のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本実施形態のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
つまり、本実施形態のレジスト組成物は、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」であり、溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」である。
本実施形態のレジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、(A)成分とは別に配合された酸発生剤成分((B)成分)が露光により酸を発生する。(B)成分に加えて、(A)成分も露光により酸を発生する成分であってもよい。(A)成分が露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である場合、後述する(A1)成分が、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する高分子化合物であることが好ましい。このような高分子化合物としては、露光により酸を発生する構成単位を有する高分子化合物を用いることができる。露光により酸を発生する構成単位としては、例えば公知のものが挙げられる。
≪(A)成分≫
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である。
本発明において「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすくなる。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下「樹脂」、「高分子化合物」又は「ポリマー」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量を用いるものとする。
本実施形態のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」である場合、または、溶剤現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」である場合、(A)成分としては、好ましくは、アルカリ現像液に可溶性の基材成分(A−2)(以下「(A−2)成分」という)が用いられ、さらに、架橋剤成分が配合される。かかるレジスト組成物は、例えば、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が作用して該(A−2)成分と架橋剤成分との間で架橋が起こり、この結果、アルカリ現像液に対する溶解性が減少(有機系現像液に対する溶解性が増大)する。そのため、レジストパターンの形成において、該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、レジスト膜露光部はアルカリ現像液に対して難溶性(有機系現像液に対して可溶性)へ転じる一方で、レジスト膜未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性(有機系現像液に対して難溶性)のまま変化しないため、アルカリ現像液で現像することによりネガ型レジストパターンが形成される。また、このとき有機系現像液で現像することによりポジ型のレジストパターンが形成される。
(A−2)成分の好ましいものとしては、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下「アルカリ可溶性樹脂」という。)が用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば特開2000−206694号公報に開示されている、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステル(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル)から選ばれる少なくとも一つから誘導される構成単位を有する樹脂;米国特許6949325号公報に開示されている、スルホンアミド基を有するα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂またはポリシクロオレフィン樹脂;米国特許6949325号公報、特開2005−336452号公報、特開2006−317803号公報に開示されている、フッ素化アルコールを含有し、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂;特開2006−259582号公報に開示されている、フッ素化アルコールを有するポリシクロオレフィン樹脂等が、膨潤の少ない良好なレジストパターンを形成できることから好ましい。
なお、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸のうち、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤成分としては、例えば、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成されやすいことから、メチロール基もしくはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤、又はメラミン系架橋剤などを用いることが好ましい。架橋剤成分の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましい。
本実施形態のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」である場合、または、溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」である場合、(A)成分としては、好ましくは、酸の作用により極性が増大する基材成分(A−1)(以下「(A−1)成分」という)が用いられる。(A−1)成分を用いることにより、露光前後で基材成分の極性が変化するため、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても、良好な現像コントラストを得ることができる。
本実施形態のレジスト組成物において、(A)成分は、前記(A−1)成分であることが好ましい。すなわち、本実施形態のレジスト組成物は、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」、又は、溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」であることが好ましい。
(A)成分には、高分子化合物及び/又は低分子化合物が用いられる。
(A)成分が(A−1)成分である場合、(A−1)成分としては、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分(A1)(以下「(A1)成分」ともいう)を含むものが好ましい。この場合、(A)成分としては、少なくとも(A1)成分が用いられ、該(A1)成分とともに他の高分子化合物及び/又は低分子化合物を併用してもよい。
・(A1)成分について
(A1)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分であり、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物を含むものが好ましい。
(A1)成分としては、構成単位(a1)に加えて、さらに、ヒドロキシスチレン骨格を含む構成単位(a10)を有するものが好ましい。かかる(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、又は、構成単位(a1)及び構成単位(a10)に加えて、必要に応じてその他構成単位を有するものでもよい。
構成単位(a1)を有する(A1)成分を用いることにより、露光前後で樹脂成分の極性が変化し、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても、レジスト膜の露光部と未露光部との間で良好な現像コントラストを得ることができる。
アルカリ現像プロセスを適用する場合、該(A1)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、レジスト膜露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、レジスト膜未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりポジ型レジストパターンが形成される。
一方、溶剤現像プロセスを適用する場合、該(A1)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなり、有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、レジスト膜露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、レジスト膜未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することによりネガ型レジストパターンが形成される。
・構成単位(a1)について:
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、例えば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、例えば、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基又は水酸基がより好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(例えば、OH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
酸解離性基としては、これまで、化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものが挙げられる。
化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものとして具体的には、以下に説明する「アセタール型酸解離性基」、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」、「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」が挙げられる。
・アセタール型酸解離性基:
前記極性基のうちカルボキシ基又は水酸基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(以下「アセタール型酸解離性基」ということがある。)が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Ra’、Ra’は水素原子又はアルキル基であり、Ra’は炭化水素基であって、Ra’は、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
式(a1−r−1)中、Ra’及びRa’のうち、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
Ra’又はRa’がアルキル基である場合、該アルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(a1−r−1)中、Ra’の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はn−ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra’が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra’の環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
Ra’における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基又はヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Ra’が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
・第3級アルキルエステル型酸解離性基:
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基が挙げられる。
尚、下記式(a1−r−2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある。
Figure 2019120766
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれ炭化水素基であって、Ra’、Ra’は互いに結合して環を形成してもよい。]
Ra’〜Ra’の炭化水素基としては、前記Ra’と同様のものが挙げられる。
Ra’は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。Ra’とRa’とが互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1−r2−1)で表される基が挙げられる。一方、Ra’〜Ra’が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1−r2−2)で表される基が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Ra’10は炭素数1〜10のアルキル基、Ra’11はRa’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基、Ra’12〜Ra’14は、それぞれ独立に炭化水素基を示す。]
式(a1−r2−1)中、Ra’10の炭素数1〜10のアルキル基は、式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基として挙げた基が好ましい。式(a1−r2−1)中、Ra’11と、Ra’10が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族環式基は、式(a1−r−1)におけるRa’の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基が好ましく、単環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基がより好ましい。
式(a1−r2−2)中、Ra’12及びRa’14は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基は、式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基として挙げた基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。
式(a1−r2−2)中、Ra’13は、式(a1−r−1)におけるRa’の炭化水素基として例示された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基であることが好ましい。これらの中でも、Ra’の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基であることがより好ましい。
前記式(a1−r2−1)で表される基の具体例を以下に挙げる。*は結合手を示す(以下本明細書において同じ)。
Figure 2019120766
Figure 2019120766
前記式(a1−r2−2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2019120766
・第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基:
前記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1−r−3)で表される酸解離性基(以下便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれアルキル基である。]
式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4であることが最も好ましい。
上記の中でも、構成単位(a1)における酸分解性基は、酸の作用による分解性がより高いことから、上記の一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基を含む基が好ましく、上記一般式(a1−r2−1)で表される基、又は上記一般式(a1−r2−2)で表される基がより好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位、アクリルアミドから誘導される構成単位、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が酸解離性基により保護された構成単位、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が酸解離性基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a1)の好ましい具体例としては、下記の一般式(a1−1)又は一般式(a1−2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vaはエーテル結合を有していてもよい2価の炭化水素基であり、na1は0〜2であり、Raは上記式(a1−r−1)又は(a1−r−2)で表される酸解離性基である。Waはna2+1価の炭化水素基であり、na2は1〜3であり、Raは上記式(a1−r−1)又は(a1−r−3)で表される酸解離性基である。]
前記式(a1−1)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
前記式(a1−1)中、Vaにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、前記直鎖状の脂肪族炭化水素基または前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
かかる芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記式(a1−2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられる。
前記na2+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
以下に前記式(a1−1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019120766
Figure 2019120766
Figure 2019120766
Figure 2019120766
Figure 2019120766
以下に前記式(a1−2)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 2019120766
構成単位(a1)としては、なかでも、上記の一般式(a1−1)で表される構成単位がより好ましく、この中でも、一般式(a1−1)で表される構成単位であって、Raが上記式(a1−r−2)で表される酸解離性基である構成単位が特に好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位(100モル%)に対して5〜30モル%が好ましく、7〜30モル%がより好ましく、10〜25モル%がさらに好ましい。
構成単位(a1)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることによって、容易にレジストパターンを得ることができ、解像性がより向上して、良好な形状のパターンが形成されやすくなる。また、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a10)について:
構成単位(a10)は、ヒドロキシスチレン骨格を含む構成単位である。
かかる構成単位(a10)としては、例えば、下記一般式(a10−1)で表される構成単位が好適に挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Yax1は、単結合又は2価の連結基である。Wax1は、(nax1+1)価の芳香族炭化水素基である。nax1は、1〜3の整数である。]
前記式(a10−1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rの炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
前記式(a10−1)中、Yax1は、単結合又は2価の連結基である。
Yax1における2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基が好適なものとして挙げられる。
・置換基を有していてもよい2価の炭化水素基:
Yax1が置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
・・Yax1における脂肪族炭化水素基
該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましく、炭素数1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、炭素数3〜6がより好ましく、炭素数3又は4がさらに好ましく、炭素数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、炭素数3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
・・Yax1における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子2つを除いた基(アリーレン基又はヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子2つを除いた基;前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子1つを除いた基(アリール基又はヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記のアリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、炭素数1〜2であることがより好ましく、炭素数1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。例えば、当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子及びハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
・ヘテロ原子を含む2価の連結基:
Yax1がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記のへテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−C(=O)−NH−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基において、m”は、0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。中でも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Yax1としては、単結合、エステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、−C(=O)−NH−、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましく、中でも単結合が特により好ましい。
前記式(a10−1)中、Wax1は、(nax1+1)価の芳香族炭化水素基である。
Wax1における芳香族炭化水素基としては、芳香環から(nax1+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。ここでの芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、炭素数5〜20がより好ましく、炭素数6〜15がさらに好ましく、炭素数6〜12が特に好ましい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
前記式(a10−1)中、nax1は、1〜3の整数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
以下に、前記一般式(a10−1)で表される構成単位の具体例を示す。
下記の式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019120766
Figure 2019120766
Figure 2019120766
Figure 2019120766
(A1)成分が有する構成単位(a10)は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a10)は、上記の中でも、ヒドロキシスチレン骨格を含む構成単位が好ましく、下記一般式(a10−1−0)で表される構成単位が特に好ましい。
Figure 2019120766
[式中、Rstは、水素原子又はメチル基を表す。m01は1〜3の整数を表す。]
(A1)成分中、構成単位(a10)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、40〜80モル%が好ましく、45〜75モル%がより好ましく、50〜70モル%が特に好ましい。
構成単位(a10)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることにより、感度、現像特性、ディフェクト発生の抑制効果等がより向上し、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下とすることにより、寸法均一性などのリソグラフィー特性がより向上する。
・その他構成単位について:
かかる(A1)成分は、構成単位(a1)に加え、又は、構成単位(a1)及び構成単位(a10)に加え、必要に応じてその他構成単位を有するものでもよい。
その他構成単位としては、例えば、スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位;酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位(a4);ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(a2);極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)(但し、構成単位(a1)又は構成単位(a2)に該当するものを除く)等が挙げられる。
・・スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位(構成単位(st))
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換基に置換されたものも含む概念とする。ここでの置換基としてのアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、該置換基としてのハロゲン化アルキル基は、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
「スチレン誘導体」としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいスチレンのベンゼン環に置換基が結合したもの等が挙げられる。
なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
(A1)成分が有する構成単位(st)は、1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(st)を有する場合、構成単位(st)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、1〜30モル%であることが好ましく、3〜25モル%であることがより好ましく、5〜20モル%であることがさらに好ましい。
・・構成単位(a4)について:
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、芳香族環式基を含む構成単位を有する場合に比べて、レジスト膜の光透過性が高められる。また、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上し、加えて(A)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に溶剤現像プロセスによるレジストパターン形成の場合に、解像性、レジストパターン形状等の向上に寄与する。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により当該レジスト組成物中に酸が発生した際(例えば、後述する(B)成分から酸が発生した際)に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)における、酸非解離性の脂肪族環式基は、単環式基でもよいし、多環式基でもよいし、好ましくは単環式基である。
ここでの単環式基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜8のものがより好ましく、炭素数5〜8のものがさらに好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。ここでの多環式基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記の単環式基及び多環式基は、それぞれ、例えば、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位、アクリルアミドから誘導される構成単位等が挙げられ、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
以下に、構成単位(a4)の具体例を示す。
下記の式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019120766
(A1)成分が有する構成単位(a4)は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a4)は、上記の中でも、酸非解離性であって単環式の脂肪族環式基を含む構成単位が好ましく、前記の化学式(a4−7)〜(a4−10)のいずれかで表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a4)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、1〜50モル%であることが好ましく、2〜50モル%がより好ましく、5〜45モル%がさらに好ましい。
構成単位(a4)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることにより、レジスト膜の光透過性がより高められて、高感度化、解像性向上がより図られる。一方、前記の好ましい範囲の上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
・・構成単位(a2)について:
(A1)成分は、構成単位(a1)に加え、又は、構成単位(a1)及び構成単位(a10)に加え、必要に応じて、さらに、ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(a2)を有してもよい。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高める上で有効なものである。また、構成単位(a2)を有することで、アルカリ現像プロセスにおいては、現像時に、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が高められる。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Ra’21は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。A”は酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。n’は0〜2の整数であり、m’は0又は1である。]
前記式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中、Ra’21におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基が特に好ましい。
Ra’21における−COOR”、−OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、炭素数は1〜15が好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがより好ましく、炭素数5〜10がさらに好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R”におけるラクトン含有環式基としては、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
R”におけるカーボネート含有環式基としては、後述のカーボネート含有環式基と同様であり、具体的には一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
R”における−SO−含有環式基としては、後述の−SO−含有環式基と同様であり、具体的には一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Ra’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中、A”における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端又は炭素原子間に−O−又は−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基又は−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
下記に一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2019120766
Figure 2019120766
「−SO−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO−含有環式基は、単環式基であってもよく多環式基であってもよい。
−SO−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち、−O−SO−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
−SO−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Ra’51は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基である。R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。n’は0〜2の整数である。]
前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−2)中、A”は、前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中のA”と同様である。
Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
Figure 2019120766
Figure 2019120766
Figure 2019120766
「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−O−を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数え、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
カーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Ra’x31は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基である。R”は、水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。p’は0〜3の整数であり、q’は0又は1である。]
前記一般式(ax3−r−2)〜(ax3−r−3)中、A”は、前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中のA”と同様である。
Ra’ 31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2019120766
構成単位(a2)としては、なかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a2)の好ましい具体例としては、下記一般式(a2−1)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ya21は、単結合又は2価の連結基である。La21は−O−、−COO−、−CON(R’)−、−OCO−、−CONHCO−又は−CONHCS−であり、R’は水素原子又はメチル基を示す。但し、La21が−O−の場合、Ya21は−CO−にはならない。Ra21は、ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基である。]
前記式(a2−1)中、Rは前記と同様である。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
前記式(a2−1)中、Ya21の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
Ya21における2価の炭化水素基としては、上述した式(a1−1)中のVaにおける2価の炭化水素基についての説明で挙げた基と同様のものが挙げられる。Ya21における2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
Ya21における、ヘテロ原子を含む2価の連結基の好ましいものとしては、例えば、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−C(=O)−NH−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基において、m”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Ya21としては、単結合、エステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましい。
前記式(a2−1)中、La21は、−O−、−COO−、−CON(R’)−、−OCO−、−CONHCO−又は−CONHCS−である。
R’は、水素原子又はメチル基を示す。
但し、La21が−O−の場合、Ya21は−CO−にはならない。
前記式(a2−1)中、Ra21は、ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基である。
Ra21におけるラクトン含有環式基、−SO−含有環式基、カーボネート含有環式基としては、それぞれ、上述した一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基、一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基、一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が好適に挙げられる。
中でも、Ra21は、ラクトン含有環式基又は−SO−含有環式基が好ましく、前記一般式(a2−r−1)、(a2−r−2)、(a2−r−6)又は(a5−r−1)でそれぞれ表される基がより好ましい。具体的には、前記化学式(r−lc−1−1)〜(r−lc−1−7)、(r−lc−2−1)〜(r−lc−2−18)、(r−lc−6−1)、(r−sl−1−1)、(r−sl−1−18)でそれぞれ表される、いずれかの基がより好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、1〜80モル%であることが好ましく、3〜70モル%であることがより好ましく、5〜60モル%であることがさらに好ましく、10〜50モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(a2)の割合が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスをとることができ、種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
・・構成単位(a3)について:
(A1)成分は、構成単位(a1)に加え、又は、構成単位(a1)及び構成単位(a10)に加え、必要に応じて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)を有してもよい(但し、上述した構成単位(a0)、構成単位(a1)、構成単位(a2)のいずれかに該当するものを除く)。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基が好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a3)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、1〜50モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましく、5〜30モル%であることがさらに好ましく、10〜30モル%が特に好ましい。
構成単位(a3)の割合を、好ましい下限値以上とすることにより、レジストパターン形成において解像性がより高まる。一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
本実施形態のレジスト組成物において、(A1)成分である樹脂成分は、構成単位(a1)を有する高分子化合物を含むものが好ましい。構成単位(a1)を有する高分子化合物として、好ましくは、構成単位(a1)と構成単位(a10)とを有する高分子化合物、構成単位(a1)と構成単位(a10)と構成単位(st)とを有する高分子化合物が挙げられる。
(A1)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、5000〜30000が好ましく、6000〜25000がより好ましく、10000〜20000がさらに好ましい。
(A1)成分のMwが前記の好ましい範囲の上限値以下であると、レジスト組成物の粘度が高くなりすぎるのを抑えやすくなる。加えて、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、高膜厚のレジスト膜が容易に形成される。加えて、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状がより良好となる。
(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜4.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.5〜2.5が特に好ましい。尚、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分は、例えば、構成単位(a1)を誘導するモノマーと、構成単位(a10)を誘導するモノマー(ベンゼン環に結合した水酸基における水素原子の少なくとも一部が保護されたモノマー)と、必要に応じてその他構成単位を誘導するモノマーと、を重合溶媒に溶解し、ここに、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル(たとえばV−601など)等のラジカル重合開始剤を加えて重合し、その後、脱保護反応を行うことにより製造することができる。
尚、重合の際に、例えば、HS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
レジスト組成物が含有する(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。(A1)成分の割合が前記の好ましい範囲の下限値以上であると、高感度化や、解像性、支持体面(Shot)内の寸法均一性(CDU)その他のリソグラフィー特性に優れた、良好な形状のレジストパターンが形成されやすくなる。
本実施形態のレジスト組成物における(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分であって、(A1)成分以外の樹脂成分を含んでもよい。
本実施形態のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて適宜調整すればよい。
≪(B)成分≫
(B)成分は、露光により酸を発生する酸発生剤成分である。本実施形態のレジスト組成物において、(B)成分は、一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)(以下「(B1)成分」ともいう)を含む。
・(B1)成分について
(B1)成分は、下記一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤である。すなわち、(B1)成分は、モノフェニル型の酸発生剤である。
Figure 2019120766
[式中、Rb1は、置換基を有してもよいアリール基である。Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基である。Rb2とRb3とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。Lb1、Lb2及びLb3は、それぞれ独立に、2価の連結基又は単結合である。Xは、対アニオンである。]
前記式(b1−1)中、Rb1は、置換基を有してもよいアリール基である。
b1におけるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
b1が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記式(ca−r−1)〜(ca−r−8)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、R’201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。]
置換基を有していてもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
R’201における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、炭素数5〜30がより好ましく、炭素数5〜20がさらに好ましく、炭素数6〜15が特に好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
R’201における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
R’201における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えばフェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えばベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、炭素数1〜2がより好ましく、炭素数1が特に好ましい。
R’201における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
なかでも、R’201における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R’201における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基、その他下記の化学式(r−hr−1)〜(r−hr−16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。
Figure 2019120766
R’201の環式基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
R’201の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、炭素数3〜15であることがより好ましく、炭素数3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
R’201の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、炭素数2〜5がより好ましく、炭素数2〜4がさらに好ましく、炭素数3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
R’201の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R’201における環式基等が挙げられる。
R’201は、前述の他、置換基を有していてもよい環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基として、上述の式(a1−r−2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
なかでも、R’201は、式(ca−r−1)で表される基が好ましい。
前記式(b1−1)中、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基である。Rb2及びRb3における脂肪族炭化水素基は、鎖状でもよいし、環状でもよいし、鎖状又は環状のアルキル基、アルケニル基が挙げられる。
ここでの鎖状又は環状のアルキル基としては、炭素数1〜30のものが好ましい。
ここでのアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
b2とRb3とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
前記式(b1−1)中、Lb1、Lb2及びLb3は、それぞれ独立に、2価の連結基又は単結合である。
b1、Lb2及びLb3における2価の連結基としては、それぞれ独立に、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基などが挙げられる。
b1、Lb2及びLb3におけるアリーレン基は、アリール基から水素原子をさらに1つ除いた基が挙げられ、芳香環(ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環など)から水素原子2つを除いた基が好ましい。
b1、Lb2及びLb3におけるアルキレン基またはアルケニレン基は、前述のR’201における鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基として例示した基から水素原子をさらに1つ除いた基が挙げられる。すなわち、炭素数が1〜20の直鎖状のアルキル基から水素原子をさらに1つ除いた基、炭素数が3〜20の分岐鎖状のアルキル基から水素原子をさらに1つ除いた基が挙げられる。
前記式(b1−1)中、Lb1は、露光による酸発生効率がより高められることから、単結合であることが好ましい。
(B1)成分のカチオン部として、より好ましくは、下記の一般式(ca−1−01)で表されるカチオン、又は一般式(ca−1−02)で表されるカチオンが挙げられる。特に好ましくは、一般式(ca−1−01)で表されるカチオンである。
Figure 2019120766
[式中、Rb11及びRb12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基である。Lb11は、−C(=O)−または−C(=O)−O−である。Rb121及びRb122は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。nb1は、1〜3の整数である。nb2は、1〜3の整数である。]
前記式中、Rb11及びRb12は、それぞれ、前記式(b1−1)中のRb1と同様である。中でも、好ましくは、無置換のアリール基である。好ましいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
b121及びRb122は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
nb1は、1〜3の整数であり、好ましくは1又は2、より好ましくは2である。
nb2は、1〜3の整数であり、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。
一般式(ca−1−01)で表されるカチオンとしては、下記の化学式(ca−1−104)〜(ca−1−129)でそれぞれ表されるカチオンが好ましく、これらの中でも、化学式(ca−1−104)で表されるカチオン、化学式(ca−1−105)で表されるカチオン(R”201は水素原子の場合)がより好ましい。
一般式(ca−1−02)で表されるカチオンとしては、下記の化学式(ca−1−102)で表されるカチオン、化学式(ca−1−103)で表されるカチオンが好ましい。
Figure 2019120766
[式中、R”201は水素原子又は置換基であって、該置換基としては前記Rb1が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
Figure 2019120766
Figure 2019120766
前記式(b1−1)中、Xは、対アニオンである。
としては、特に制限されず、レジスト組成物用の酸発生剤成分のアニオン部として知られているアニオンを適宜用いることができる。
例えば、Xとしては、下記の一般式(b1−1−an1)で表されるアニオン、一般式(1−1−an2)で表されるアニオン又は一般式(1−1−an3)で表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、R101及びR104〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104とR105とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。R102は、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Y101は、酸素原子を含む2価の連結基又は単結合である。V101〜V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。L101〜L102は、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子である。L103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。]
・一般式(b1−1−an1)で表されるアニオン
式(b1−1−an1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
置換基を有していてもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
101における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。但し、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
101における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
101における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
101における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
なかでも、R101における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、3〜6がより好ましく、3又は4がさらに好ましく、3が最も好ましい。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R101における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基、その他上記の化学式(r−hr−1)〜(r−hr−16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。
101の環式基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
101の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R101における環式基等が挙げられる。
上記の中でも、R101は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基などが好ましい。
式(b1−1−an1)中、Y101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。この組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。かかる酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば下記一般式(y−al−1)〜(y−al−7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、V’101は単結合または炭素数1〜5のアルキレン基であり、V’102は炭素数1〜30の2価の飽和炭化水素基である。]
V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基であることがさらに好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)中のRa’の環状の脂肪族炭化水素基(単環式の脂肪族炭化水素基、多環式の脂肪族炭化水素基)から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基または2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
101としては、エステル結合を含む2価の連結基、またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基がより好ましい。
式(b1−1−an1)中、V101は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素数1〜4であることが好ましい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101は、単結合、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
式(b1−1−an1)中、R102は、フッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
前記式(b1−1−an1)で表されるアニオン部の具体例としては、たとえば、Y101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられ;Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、下記式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、R”101は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記式(r−hr−1)〜(r−hr−6)でそれぞれ表される基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基であり;R”102は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、又は前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基であり;R”103は、置換基を有していてもよい芳香族環式基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり;v”はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q”はそれぞれ独立に1〜20の整数であり、t”は1〜3の整数であり、n”は0または1である。]
R”101、R”102およびR”103の置換基を有していてもよい脂肪族環式基は、前記R101における環状の脂肪族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における環状の脂肪族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”103における置換基を有していてもよい芳香族環式基は、前記R101における環状の炭化水素基における芳香族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における該芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”101における置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基は、前記R101における鎖状のアルキル基として例示した基であることが好ましい。R”103における置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、前記R101における鎖状のアルケニル基として例示した基であることが好ましい。
・一般式(b1−1−an2)で表されるアニオン
式(b1−1−an2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜7、さらに好ましくは炭素数1〜3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト用溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、250nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するため好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b1−1−an2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b1−1−an1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b1−1−an2)中、L101、L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
・一般式(b1−1−an3)で表されるアニオン
式(b1−1−an3)中、R106〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられる。
式(b1−1−an3)中、L103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。
また、前記式(b1−1)中、Xは、R109−SO でもよい。ここで、R109は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、前記式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられる。但し、R109における、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子が結合しているものとする。
また、前記式(b1−1)中、Xは、ハロゲンアニオンでもよい。ここで、ハロゲンアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。
上記の中でも、(B1)成分のアニオン部としては、一般式(b1−1−an1)で表されるアニオンが好ましい。この中でも、上記の一般式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンがより好ましく、一般式(an−1)又は(an−2)のいずれかで表されるアニオンがさらに好ましい。
(B1)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態における(B1)成分としては、下記一般式(b1−10)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2019120766
[式中、R101、Y101、V101及びR102は、前記式(b1−1−an1)中のR101、Y101、V101及びR102とそれぞれ同様である。Rb11及びnb1は、前記式(ca−1−01)中のRb11及びnb1とそれぞれ同様である。]
以下に好適な(B1)成分の具体例を挙げる。
Figure 2019120766
本実施形態のレジスト組成物において、(B1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のレジスト組成物中、(B1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜7質量部であることが好ましく、1〜4質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることがさらに好ましい。
(B1)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られやすく、レジスト組成物としての保存安定性が良好となるため好ましい。また、(B1)成分の含有量を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることで、レジスト膜の光透過性が高められやすくなり、高感度化が図られやすい。
・(B2)成分について
本実施形態のレジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で(B1)成分以外の酸発生剤成分(以下「(B2)成分」という)を含有してもよい。
(B2)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として提案されているものを用いることができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤;ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。
(B2)成分のカチオン部としては、例えば、下記の一般式(ca−1)〜(ca−5)でそれぞれ表される有機カチオン(但し、一般式(b1−1)中のカチオン部の構造を除く。)が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、R201〜R207、およびR211〜R212は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208〜R209はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R210は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基であり、L201は−C(=O)−または−C(=O)−O−を表し、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、xは1または2であり、W201は(x+1)価の連結基を表す。]
201〜R207、およびR211〜R212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、上記式(ca−r−1)〜(ca−r−8)でそれぞれ表される基が挙げられる。
201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208〜R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基である。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
210における、置換基を有していてもよい−SO−含有環式基としては、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基と同様のものが挙げられ、このなかでも「−SO−含有多環式基」が好ましく、一般式(a5−r−1)で表される基がより好ましい。
前記の式(ca−4)、式(ca−5)中、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、前述の式(b1−1−an1)中のR101における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、前述の式(b1−1−an1)中のR101における鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基として例示した基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
前記の式(ca−4)、式(ca−5)中、xは、1または2である。
201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、上述の一般式(a2−1)中のYa21と同様の、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
前記式(ca−1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−101)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2019120766
Figure 2019120766
Figure 2019120766
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
Figure 2019120766
Figure 2019120766
Figure 2019120766
前記式(ca−2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
前記式(ca−3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−3−1)〜(ca−3−5)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2019120766
前記式(ca−4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2019120766
また、前記式(ca−5)で表されるカチオンとしては、下記一般式(ca−5−1)〜(ca−5−3)でそれぞれ表されるカチオンも好ましい。
Figure 2019120766
本実施形態のレジスト組成物において、(B2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(B2)成分を含有する場合、レジスト組成物中、(B2)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して3.5質量部以下が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましく、0.5〜1.5質量部がさらに好ましい。
(B2)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られやすく、レジスト組成物としての保存安定性が良好となるため好ましい。
≪その他成分≫
本実施形態のレジスト組成物は、上述した(A)成分及び(B)成分以外のその他成分をさらに含有してもよい。その他成分としては、例えば、以下に示す(D)成分、(E)成分、(F)成分、(S)成分などが挙げられる。
・酸拡散制御剤成分(D)について
本実施形態のレジスト組成物は、(A)成分に加えて、又は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに、酸拡散制御剤成分(以下「(D)成分」という。)を含有してもよい。(D)成分は、レジスト組成物において露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」という。)であってもよく、該(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であってもよい。
・・(D1)成分について
(D1)成分を含有するレジスト組成物とすることで、レジストパターンを形成する際に、レジスト膜の露光部と未露光部とのコントラストを向上させることができる。
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1−1)で表される化合物(以下「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(以下「(d1−2)成分」という。)及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(以下「(d1−3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1−1)〜(d1−3)成分は、レジスト膜の露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用する。
Figure 2019120766
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。但し、式(d1−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合又は2価の連結基である。mは1以上の整数であって、Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
{(d1−1)成分}
・・・アニオン部
式(d1−1)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ前記式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては、水酸基、オキソ基、アルキル基、アリール基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、上記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、またはこれらの組み合わせが挙げられる。エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合、アルキレン基を介していてもよく、この場合の置換基としては、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基もしくはナフチル基がより好ましい。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rdとしては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが特に好ましい。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2019120766
・・・カチオン部
式(d1−1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである。
m+の有機カチオンとしては、前記一般式(ca−1)〜(ca−5)でそれぞれ表されるカチオン、又は、前記の一般式(ca−1−01)で表されるカチオンもしくは一般式(ca−1−02)で表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられる。中でも、前記一般式(ca−1)で表されるカチオンがより好ましく、前記式(ca−1−1)〜(ca−1−101)でそれぞれ表されるカチオンがさらに好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−2)成分}
・・・アニオン部
式(d1−2)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられる。
ただし、Rdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分としてのクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1−1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族環式基、鎖状のアルキル基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2019120766
・・・カチオン部
式(d1−2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−3)成分}
・・・アニオン部
式(d1−3)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
式(d1−3)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられる。
なかでも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rdにおけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdにおけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
Rdにおけるアルケニル基は、上記式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられ、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基が好ましい。これらの基はさらに置換基として、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を有していてもよい。
Rdにおける環式基は、上記式(b1−1−an1)中のR101と同様のものが挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。Rdが脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することにより、リソグラフィー特性が良好となる。また、Rdが芳香族基である場合、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
式(d1−3)中、Ydは、単結合または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、上記式(a2−1)中のYa21における2価の連結基についての説明のなかで挙げた、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
Ydとしては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2019120766
Figure 2019120766
・・・カチオン部
式(d1−3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D1)成分を含有する場合、(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られやすい。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
(D1)成分の製造方法:
前記の(d1−1)成分、(d1−2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
また、(d1−3)成分の製造方法は、特に限定されず、例えば、US2012−0149916号公報に記載の方法と同様にして製造される。
・(D2)成分について
酸拡散制御剤成分としては、上記の(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下「(D2)成分」という。)を含有してもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するもので、かつ、(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミンが好ましく、この中でも特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンがより好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D2)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D2)成分を含有する場合、(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
・有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(E)について
本実施形態のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、例えば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。
・フッ素添加剤成分(F)について
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するために、フッ素添加剤成分(以下「(F)成分」という。)を含有してもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。前記重合体としては、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)と該構成単位(f1)との共重合体;該構成単位(f1)と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体が好ましい。ここで、該構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)の好ましいものとしては、例えば、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位、1−メチル−1−アダマンチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位が挙げられる。
Figure 2019120766
[式中、Rは前記と同様であり、Rf102およびRf103はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は同じであっても異なっていてもよい。nfは1〜5の整数であり、Rf101はフッ素原子を含む有機基である。]
式(f1−1)中、α位の炭素原子に結合したRは、前記と同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、nfは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
式(f1−1)中、Rf101は、フッ素原子を含む有機基であり、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素数1〜6のフッ素化炭化水素基がより好ましく、トリフルオロメチル基、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが特に好ましい。
(F)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのにレジスト用溶剤への充分な溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、ドライエッチング耐性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
・有機溶剤成分(S)について
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
例えば、(S)成分として、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
(S)成分は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が20〜55質量%、好ましくは30〜45質量%の範囲内となるように(S)成分は用いられる。
本実施形態のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えば、レジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、界面活性剤(例えば、フッ素系界面活性剤など)、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
以上説明した本態様に係るレジストパターン形成方法は、膜厚が7μm以上である高膜厚のレジスト膜を形成するのに有用な方法であり、特定のレジスト組成物を用いて行う。特定のレジスト組成物、すなわち、一般式(b1−1)で表される化合物からなる、モノフェニル型の酸発生剤((B1成分)を含有するレジスト組成物を用いることで、高膜厚のレジスト膜の光透過性が高められる。これによって、膜厚を7μm以上とする高膜厚のレジスト膜を成膜する際でも、高感度化が図られるとともに解像性が向上して、良好な形状のレジストパターンを形成することができる。
加えて、かかるレジストパターン形成方法によれば、前記の特定のレジスト組成物を用いることで、レジスト膜の光透過性が高められるため、段差のあるようなウェーハ上で膜厚の異なるレジスト膜に対しても、寸法変動を小さく抑えてパターン形成が可能である。さらに、かかるレジストパターン形成方法によれば、露光後の引き置きでの寸法変動も抑えることができる。
かかるレジストパターン形成方法は、3次元構造デバイスの製造用として有用であり、複数段の階段構造を加工する用途(重ね合わせ等)に好適な方法である。本発明のレジストパターン形成方法を適用することで、メモリ膜の積層化(3次元化、大容量メモリの製造)を高精度で実現し得る。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<レジスト組成物の調製>
表1に示す各成分を混合して溶解し、レジスト組成物(1)〜(5)(いずれも固形分濃度40質量%)をそれぞれ調製した。
Figure 2019120766
表1中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:下記化学式(A1)−1で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は10000、分子量分散度(Mw/Mn)は2.5。13C−NMRにより求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は(a12)/(a101)/(st1)=25/65/10。
(A)−2:下記化学式(A1)−1で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は10000、分子量分散度(Mw/Mn)は2.5。13C−NMRにより求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は(a12)/(a101)/(st1)=15/65/20。
Figure 2019120766
(B)−1:下記化学式(B2)−1で表される化合物からなる酸発生剤。
Figure 2019120766
(B)−2:下記化学式(B1)−1で表される化合物からなる酸発生剤。
(B)−3:下記化学式(B1)−2で表される化合物からなる酸発生剤。
(B)−4:下記化学式(B1)−3で表される化合物からなる酸発生剤。
Figure 2019120766
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:フェニルホスホン酸(phosphorous acid)。
(Add)−1:フッ素系界面活性剤、DIC株式会社製の商品名「R−40」。
(S)−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=5/5(質量比)。
<レジストパターンの形成(1)>
(実施例1〜2)
工程(i):
8インチのシリコンウェーハ上に、レジスト組成物(2)〜(3)をそれぞれ、コーターを用いて塗布し、ホットプレート上で、140℃で120秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚10μmのレジスト膜を形成した。
工程(ii):
次いで、前記レジスト膜に対し、KrF露光装置NSR−S203B(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,σ=0.68)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的に照射した。
次いで、110℃で90秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
工程(iii):
次いで、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業株式会社製)を用い、23℃で60秒間の条件によりアルカリ現像を行った。
その後、純水を用いて、30秒間の水リンスを行い、振り切り乾燥を行った。
(比較例1)
レジスト組成物(1)を用いた以外は、実施例1〜2と同様にして、レジストパターンの形成を行った。
上述したレジストパターンの形成(1)の結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅3.75μm、ピッチ幅7.5μmのラインアンドスペースのパターン(以下「L&Sパターン」という。)が形成された。
[熱分解温度についての評価]
熱分解温度は、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)を用い、試料である(B)成分を、大気下において10℃/minの昇温条件にて40〜500℃まで昇温し、測定された。
[レジスト膜の透過率]
上述したレジストパターンの形成(1)における工程(ii)で、膜厚10μmのレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザー(248nm)を照射した際の透過率(248nm)を測定した。
透過率(248nm)は、紫外可視分光光度計によって測定した。その測定結果を「レジスト膜の透過率(%)」として表2に示した。
[感度についての評価]
上述したレジストパターンの形成(1)によってターゲットサイズのISパターンが形成された際の最適露光量Eop(mJ/cm)を求め、感度とした。これを「Eop(mJ/cm)」として表2に示した。
[支持体面(Shot)内の寸法均一性(CDU)についての評価]
上述したレジストパターンの形成(1)によって形成されたISパターンについて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:S−9380、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により、該ISパターンを上空から観察し、該ISパターン中のスペース幅(nm)を測定した。その測定結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めた。これを「CDU(nm)」として表2に示した。
このようにして求められる3σの値が小さいほど、レジスト膜に形成されたスペース幅の寸法(CD)均一性が高いことを意味する。
Figure 2019120766
表2に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜2のレジストパターン形成方法においては、比較例1のレジストパターン形成方法における場合に比べて、レジスト膜の透過率が高いことが確認できる。
加えて、実施例1〜2のレジストパターン形成方法によれば、感度が高められ、また、寸法(CD)均一性も高いことが認められる。特に、レジスト組成物(3)を用いた場合に、これらの効果がより高められることが認められる。
<レジストパターンの形成(2)>
(実施例3〜4)
工程(i):
8インチのシリコンウェーハ上に、レジスト組成物(4)〜(5)をそれぞれ、コーターを用いて塗布し、ホットプレート上で、140℃で90秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚11μmのレジスト膜を形成した。
工程(ii):
次いで、前記レジスト膜に対し、KrF露光装置NSR−S203B(ニコン社製;NA(開口数)=0.68,σ=0.40)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的に照射した。
次いで、前記照射の直後、120℃で90秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
工程(iii):
次いで、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業株式会社製)を用い、23℃で60秒間の条件によりアルカリ現像を行った。
その後、純水を用いて、30秒間の水リンスを行い、振り切り乾燥を行った。
上述したレジストパターンの形成(2)の結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、スペース幅3μmの孤立ラインのパターン(以下「ISパターン」という。)が形成された。
[露光後の引き置き安定性についての評価]
前記工程(ii)において、KrFエキシマレーザー(248nm)の照射後の露光後加熱(PEB)処理が、その露光後から引き置かれることによる影響、すなわち、露光後の引き置き安定性を評価した。
具体的には、露光後加熱(PEB)処理を、照射の直後、照射終了から4分経過後、8分経過後、10分経過後にそれぞれ行った。そして、PEB処理を、照射終了から各時間経過後に行った際に形成されたパターン寸法と、PEB処理を照射直後に行った際に形成されたパターン寸法と、の寸法差を求めた。その結果を表3に示した。
Figure 2019120766
表3に示す結果から、本発明を適用した実施例3〜4のレジストパターン形成方法において、特にレジスト組成物(5)を用いた場合に、露光後の引き置きでの寸法変動を抑える効果がより高いことが確認できる。

Claims (4)

  1. 支持体上に、レジスト組成物を用いて膜厚7μm以上のレジスト膜を形成する工程(i)、前記レジスト膜を露光する工程(ii)及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(iii)を有するレジストパターン形成方法であって、
    前記レジスト組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)と、下記一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)と、を含有する、レジストパターン形成方法。
    Figure 2019120766
    [式中、Rb1は、置換基を有してもよいアリール基である。Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基である。Rb2とRb3とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。Lb1、Lb2及びLb3は、それぞれ独立に、2価の連結基又は単結合である。Xは、対アニオンである。]
  2. 前記式(b1−1)中のLb1は、単結合である、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
  3. 前記式(b1−1)中のXは、下記の一般式(b1−1−an1)で表されるアニオン、一般式(b1−1−an2)で表されるアニオン又は一般式(b1−1−an3)で表されるアニオンである、請求項1又は2に記載のレジストパターン形成方法。
    Figure 2019120766
    [式中、R101及びR104〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104とR105とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。R102は、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Y101は、酸素原子を含む2価の連結基又は単結合である。V101〜V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。L101〜L102は、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子である。L103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。]
  4. 前記工程(ii)において、前記レジスト膜にKrFエキシマレーザー光を照射する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
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