JP2010164411A - 薄膜型ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】従来から、薄膜型ガスセンサにおける薄膜熱感知体は、ドライエッチング加工によって形状に不均一が生じ、センサチップによってガス検知感度がばらつくという問題があった。このばらつきを補正するため、実装段階で補正アンプを搭載しているが、これによりガスセンサパッケージが肥大化するという問題があった。
【解決手段】本発明の薄膜型ガスセンサは、梁部に複数の薄膜熱感知体、電極パッドを設け、それらを金属薄膜抵抗体で繋いでいる。薄膜熱感知体を選択することにより、ドライエッチング加工の不均一によって生じる薄膜熱感知体の抵抗値を補正することができる。したがって、ガス検知感度のばらつきを、センサチップ上で補完し、個体差を解消することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガス検出装置に用いるガスセンサに関し、特に薄膜型ガスセンサに関する。
従来から、水素ガスやメタンガス等の可燃性ガスを検知するセンサとして、ガスセンサが用いられている。ガスセンサは、検知素子の検知面にガスが到来することによる相互作用で検知素子の電気信号の変化を捉えるものである。
ガスセンサの構成は多くの提案をみるものであるが、中でも接触燃焼式ガスセンサが広く知られている。この接触燃焼式ガスセンサは、ガスが検知面の触媒と接触し発熱反応を起こすことで検出を行うものである。
このような接触燃焼式ガスセンサは、家庭用、産業用等において、可燃性ガスを使用する各種の機器内や、それが設置された室内等におけるガス漏れ検知装置として多用されている。
近年では、接触燃焼式ガスセンサの中でもバルク型と呼ばれるタイプが広く用いられているが、一方でシリコンウェハ上に薄膜状の熱伝膜,触媒膜,電極,配線,ヒーターを形成するマイクロセンサ素子製造技術を利用した、MEMS(Micro Electro
Mechanical Systems:微小電気機械素子)によるセンサチップを用いた薄膜型ガスセンサも用いられるようになってきた(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示した従来技術を図6を用いて説明する。図6は、説明しやすいようにその主旨を逸脱しないように書き直しした平面図である。
図6において、41は電極パッド、42は電気配線、43は空洞、44は半導体基板、45は熱感知部、46は梁部である。
半導体基板44は、枠形状に加工されており、この枠をつなぐ梁部46が形成されている。平面から見ると、その梁部46がない部分は空洞43となっている。空洞43は、エアホールとも呼ばれるものであって、可燃性ガスが通過する部分である。
梁部46の上部に設けられた熱感知部45は、可燃性ガスの到達により発熱反応し抵抗値が変化する。
このような構成を有するセンサチップと、このセンサチップを制御する回路等により薄膜型ガスセンサを構成する。可燃性ガスの到来を検出するためには、予め電極パッド41間に電圧を印加しておき、可燃性ガスの到来による熱感知部45の発熱によって生じる抵抗変化分を検出する。
薄膜型ガスセンサのセンサチップは、構成要素が半導体製造技術により形成することができるため、バルク型接触燃焼式ガスセンサに比べ集積度が高く、量産性も高いという特徴がある。また、ヒーターなども金属製の薄膜熱感知体で形成できることから、熱応答性も良好である。
近年、薄膜型ガスセンサの小型化が要求されている。薄膜型ガスセンサのサイズは、センサチップの平面的な面積、並びに厚さによって決定するため、小面積で薄型のセンサチップであるほど、薄膜型ガスセンサを小型化することができる。
特開平8−247981号公報(第6頁、図1)
特許文献1に示した従来技術は、MEMS技術を用いた薄膜型ガスセンサであるから、センサチップの熱感知部の形状はより細く小さく形成することができるため、微細な金属配線を形成することができる。このため、薄膜型ガスセンサのサイズを小型化することができる。
しかし発明者が検討したところによると、特許文献1に示した従来技術では、熱感知部に備わる抵抗値に、不均一が生じることが分かった。その原因は、熱感知部の製造方法にあった。
ところで、薄膜型ガスセンサの電気配線や熱感知部を構成する金属は、白金やパラジウムなどの高融点貴金属を用いる場合が多い。
その理由は、可燃性ガスが到来したときに生じる温度である。いわゆる燃焼温度と呼ばれるその温度は、例えば、400度を超える。
また、知られている薄膜型ガスセンサでは、熱感知部の金属配線上に触媒を焼結させている。この触媒は、可燃性ガスが到来したときに発熱するものであって、検出感度を向上させる効果がある。しかし、この触媒の焼結温度も高く、用いる触媒の材質にもよるが、例えば、600〜700度程度である。
このように、薄膜型ガスセンサは、使用状態であっても、製造工程上であっても、その電気配線や熱感知部を構成する金属は高温状態になる。このため、それらを構成する金属には、高融点貴金属を用いているのである。
しかしながら、これらの高融点貴金属は硬度が高く、溶液との反応も乏しいため、機械加工やウェットエッチングによる加工は難しく、ドライエッチングを用いて加工することが一般的である。
特許文献1に示した従来技術を有する薄膜型ガスセンサのセンサチップを製造しようとするときであっても、そのような理由から、電気配線42や熱感知部45などに用いる金属を、ドライエッチングによって加工する。
しかし、ドライエッチングによる技術では、知られているように、真空容器内部に配置した被エッチング物上の被エッチング部位の位置によってエッチング速度に差が出て、加工形状が異なってしまうという問題がある。
この様子を、図7を用いて説明する。
図7は、一例として被エッチング物をウェハ状の半導体基板とし、この半導体基板にセンサチップを複数個配置した例を示している。図7(a)は、29個のセンサチップを配置した半導体基板の平面図である。図7(b)は、図7(a)の仮想線70x上に配置している各センサチップにおける薄膜熱感知体の抵抗値の分布を模式的に示した図である。
図7において、70x,70yは仮想線、71,72,73,74,75,76,77はセンサチップである。また、71a,72a,73a,74a,75a,76a,77aは、各センサチップの薄膜熱感知体の抵抗値をそれぞれ示すものである。D1は薄膜熱感知体の抵抗値のばらつきを示している。
図7(b)は、縦軸を抵抗値としており、横軸には各センサチップの位置を示している。各センサチップは、仮想線70x上に配置しているものである。各センサチップにおけ
る薄膜熱感知体の抵抗値は、半導体基板のほぼ中心に位置するセンサチップより、半導体基板の周辺に位置するセンサチップの方が低くなっていることを示している。すなわち、センサチップ74よりもセンサチップ71,77の方が、抵抗値が低くなっている。この抵抗値の差がばらつきD1となるのである。
このようなばらつきは、被エッチング部位の位置によってエッチング速度に差が出て、加工形状が異なってしまうために起こるものであって、薄膜熱感知体の線幅が設計値よりも細くなると抵抗値が上がり、太くなると抵抗値が下がるのである。
図7(a)では、仮想線70x上に配置している各センサチップについて、その薄膜熱感知体の抵抗値のばらつきを示したが、もちろん、仮想線70y上に位置している各センサチップにおける薄膜熱感知体の抵抗値の分布も同様である。
このばらつきD1は、薄膜熱感知体を構成する材質や膜厚、エッチング条件、または半導体基板やセンサチップのサイズなどによっても異なるため一概には言えないが、例えば、10%程度である。
仮にセンサチップ74の薄膜熱感知体の抵抗値が300Ωとすると、センサチップ71,77の薄膜熱感知体の抵抗値は270Ωになってしまう。センサチップ72,76は、ばらつきD1の約半分(5%程度)であるから、薄膜熱感知体の抵抗値は、285Ω程度となる。
つまり、半導体基板の中心部分に位置するセンサチップの薄膜熱感知体を設計値通りに加工するようにエッチング条件を決めたときは、半導体基板の周辺に位置するセンサチップの薄膜熱感知体がエッチングされにくく、線幅が設計値よりも広くなってしまうから、抵抗値が下がってしまうのである。
一方、半導体基板の周辺部分に位置するセンサチップの薄膜熱感知体を設計値通りに加工するようにエッチング条件を決めたときは、半導体基板の中心に位置するセンサチップの薄膜熱感知体がエッチングされやすくなり、線幅が設計値よりも細くなってしまうから、抵抗値が上がってしまう。
このように、1つの半導体基板から切り出されるセンサチップであっても、薄膜熱感知体の抵抗値に個体差が生じてしまうのである。
次に、このように、被エッチング物上の被エッチング部位の位置によってエッチング速度に差が出てしまう理由を説明する。
一般にドライエッチングによる加工技術は、加工精度が高いことが知られており、数ミクロンの配線幅や配線間隔のパターンを形成する場合に適している。知られているように、ドライエッチングによる加工中は、ラジカルが支配的になる化学的エッチングと、イオンが支配的になる物理的エッチングと、が起きている。
エッチング条件を決めるときは、ラジカルとイオンとの双方の効果がバランスするような条件を見出して、エッチングばらつきを低減するようにする。
ちなみに、化学的エッチングと物理的エッチングとをバランスさせるということは、例えば、このような状態である。
すなわち、ラジカルが支配的になる化学的エッチングのエッチング特性を、半導体基板の中心部より周辺部の方がエッチングされやすくしておき、イオンが支配的になる物理的エッチング特性を、その逆にしておくのである。
このようにすれば、双方のエッチング特性がバランスし、半導体基板全面に渡りほぼ均一なエッチング速度となり、半導体基板上にて被エッチング物の加工形状が異なってしまうことを防ぐことができる。
半導体素子を集積した半導体回路チップなどの場合であれば、その配線材料はアルミニウムや銅を用いることが多い。このような材料をエッチングするときには、反応ガスとして塩素を用いることが多い。その理由は、反応ガスとして塩素を用いると、アルミニウムや銅のエッチングに際しては化学的エッチングと物理的エッチングとがバランスしやすいためである(つまり、エッチング条件を見出しやすいということである。)。
一方、薄膜型ガスセンサのセンサチップの場合であれば、その配線等に用いる高融点貴金属である白金やパラジウムは、傾向的に化学的エッチングが支配的になりやすい。このため、物理的エッチングとのバランスが取りにくく、被エッチング物上の被エッチング部位の位置によってエッチング速度に差が出て、加工形状が異なってしまいやすいのである。
さて、薄膜型ガスセンサに用いるセンサチップにおいて、このような感度の個体差を低減するためには、補正用アンプを用いる技術が知られている。つまり、補正用アンプを用いて感度補正を行うのである。この補正用アンプは、単体の半導体チップとして、センサチップをパッケージに実装するときに、同時に実装される。
しかし、補正用アンプを構成した半導体チップを別途搭載することでパッケージは肥大化してしまう。つまり、半導体製造技術を用いてセンサチップは小型化することができても、それを搭載するパッケージの小型化はできないのである。
本発明の薄膜型ガスセンサは、このような課題を解決する為にある。そしてその目的は、ガスセンサ感度の個体差をセンサチップ上で補正し、パッケージレベルでの小型化を達成することである。
上記の課題を解決する手段として、本発明の薄膜型ガスセンサは下記記載の構造を採用するものである。
支持基板に端部を接続してなる梁部を有し、梁部の表面に薄膜熱感知体と、薄膜熱感知体の上部にガス検知体と、を備える薄膜型ガスセンサにおいて、
支持基板の表面に少なくとも3つの電極パッドを有し、
薄膜熱感知体は、一方の端部を第1の配線によって第1の電極パッドと接続し、他方の端部を第2の配線によって第2の電極パッドと接続し、
一方の端部と他方の端部との間の薄膜熱感知体の途中に分岐部を備え、
分岐部を第3の配線によって第3の電極パッドと接続することを特徴とする。
このような構成とすることによって、薄膜熱感知体の抵抗値を任意に選択することができる。
分岐部と第3の電極パッドとの間に別の薄膜熱感知体を設けるようにしてもよい。
このような構成とすることによって、薄膜熱感知体の抵抗値をさらに変更することができる。
薄膜熱感知体と別の薄膜熱感知体とは、抵抗値が異なるようにしてもよい。
このような構成とすることによって、薄膜熱感知体の抵抗値としての変更範囲を広げることができる。
薄膜熱感知体は、一方の端部と分岐部との間の抵抗値と、他方の端部と分岐部との間の
抵抗値と、が異なるようにしてもよい。
このような構成とすることによって、薄膜熱感知体の加工形状に不均一が生じてもその抵抗値を補正しやすくなる。
電極パッド間の距離が等しいようにしてもよい。
このような構成とすることによって、電極パッドを選択しやすくなる。
本発明の薄膜型ガスセンサは、一方の端部を第1の配線によって第1の電極パッドと接続し、他方の端部を第2の配線によって第2の電極パッドと接続する薄膜熱感知体を有しており、その途中に分岐部を設けている。この分岐部から第3の配線によって第3の電極パッドと接続している。
第1〜第3の電極パッドの組み合わせを選択することにより、薄膜熱感知体の抵抗値を任意に選択することができる。
したがって、ドライエッチング加工の不均一をセンサチップ上で補正し、ガスセンサ感度の不均一を解消できる。
本発明の薄膜型ガスセンサの第1の実施形態を説明する図である。 本発明の薄膜型ガスセンサの第2の実施形態を説明する図である。 本発明の薄膜型ガスセンサの第3の実施形態を説明する図である。 本発明の薄膜型ガスセンサの第4の実施形態を説明する図である。 本発明の薄膜型ガスセンサにガス検知体を設ける構成を説明する図である。 特許文献1に示した従来技術を説明するための図である。 被エッチング物上の位置によってエッチングに差が出てしまう様子を説明する図である。
以下、本発明の薄膜型ガスセンサを、図を用いて詳細に説明する。本発明の薄膜型ガスセンサは、半導体基板を加工して形成する例を用いて説明する。半導体基板は、特に限定しないが、シリコン半導体基板を用いることができる。また、本発明の薄膜型ガスセンサは、片持ち梁構造でも両持ち梁構造であってもかまわないが、本発明の実施形態では、両持ち梁構造を例にして説明する。
[第1の実施形態の説明:図1]
本発明の薄膜型ガスセンサの第1の実施形態を図1を用いて説明する。図1は、本発明の薄膜型ガスセンサの第1の実施形態の構造を模式的に示す図である。図1(a)はその平面図、図1(b)は図1(a)の切断線A−A’における端面を模式的に示す端面図である。
図1において、1a,1bはガスの通過する部分である貫通孔、2は梁部、3aは分岐部、4a,4bは薄膜熱感知体である。第1の実施形態の薄膜熱感知体は、この薄膜熱感知体4a,4bで構成している。8は第1の電極パッド、9は第2の電極パッド、10は第3の電極パッド、11は支持基板、12は絶縁膜である。15は第1の配線となる第1の金属薄膜抵抗体、16は第2の配線となる第2の金属薄膜抵抗体、17は第3の配線となる第3の金属薄膜抵抗体である。L1は第1の電極パッド8と第2の電極パッド9までの距離、L2は第1の電極パッド8と第3の電極パッド10までの距離、M1,M2,M
3はマークである。
なお、図1は、図面を見やすくするため、薄膜熱感知体4a,4bの上部に設けるガス検知体(触媒)は省略している。ガス検知体は後述の図5に図示されているのでそれを参照されたい。
支持基板11は、平面的に枠形状を有しており、支持基板11の上部に絶縁膜12が設けられている。
梁部2は、枠形状の対向する2辺を所定の幅を持って橋渡しするように形成され、図1(b)の端面図に示すように、絶縁膜12で構成している。つまり、支持基板11の上部に設ける絶縁膜12を所定の形状で延長して梁部2を構成している。梁部2の裏側には支持枠(支持基板11)は存在しない。ところで、このように、支持基板を橋渡しするように梁が設けてある構成を、両持ち梁構造という。
図1(a)に示すように、支持基板11が梁部2により分割された領域が、ガスの流通部となる貫通孔1a,1bとなっている。この貫通孔1a,1bは、いわゆるエアホールと呼ばれる、可燃性ガスが通過する部分である。
絶縁膜12の上部には、薄膜熱感知体4a,4b、第1の金属薄膜抵抗体15、第2の金属薄膜抵抗体16、第3の金属薄膜抵抗体17、第1の電極パッド8、第2の電極パッド9、第3の電極パッド10、マークM1,M2,M3が設けてある。
第1の電極パッド8と第2の電極パッド9とは、距離L1を有して離間しており、同様に、第1の電極パッド8と第3の電極パッド10とは、距離L2を有して離間している。
第1の電極パッド8の近傍には、マークM1を配設されている。同様に、第2の電極パッド9の近傍にはマークM2が、第3の電極パッド10の近傍にはマークM3が、それぞれ配設されている。
分岐部3aは、薄膜熱感知体4aおよび薄膜熱感知体4bで構成する薄膜熱感知体の途中に設けてある。薄膜熱感知体4a,4bは、双方で一体の薄膜熱感知体であり、この分岐部3aによって薄膜熱感知体4aと薄膜熱感知体4bとに分かれている。
薄膜熱感知体4a,4bおよび第1の金属薄膜抵抗体15、第2の金属薄膜抵抗体16、第3の金属薄膜抵抗体17は、一様な金属薄膜で形成している。このような金属薄膜は、白金やパラジウムなどの高融点貴金属を用いている。また、マークM1,M2,M3も同様な高融点貴金属で構成してもよい。
薄膜熱感知体4a,4bは、梁部2の上部に設けている。第1の電極パッド8、第2の電極パッド9、第3の電極パッド10は、支持基板11の上部の絶縁膜12の上に設けている。
薄膜熱感知体と各電極パッドとの間は、第1の金属薄膜抵抗体15、第2の金属薄膜抵抗体16、第3の金属薄膜抵抗体17によってそれぞれ接続されている。詳しくは、薄膜熱感知体4aの端部と第1の電極パッド8とを第1の金属薄膜抵抗体15で接続し、薄膜熱感知体4bの端部と第2の電極パッド9とを第2の金属薄膜抵抗体16で接続し、分岐部3aと第3の電極パッド10とを第3の金属薄膜抵抗体17で接続している。
各電極パッドからは、各金属薄膜抵抗体を介して薄膜熱感知体4a,4bに所定の電流を通電させている。このときの電流源は、図示しないが電源回路および制御回路により構成している。これらの回路は、センサチップとは別のシステム上に構成しており、配線を介して、各電極パッドと接続をしている。
薄膜熱感知体4a,4bは、一体の薄膜熱感知体であるが、その途中に分岐部3aを設けており、この分岐部3aによって分割されている。これにより、第1の電極パッド8、第2の電極パッド9、第3の電極パッド10の選択によって、使用する薄膜熱感知体を変
更することができる。
例えば、第1の電極パッド8と第2の電極パッド9とを選択すると、薄膜熱感知体4aと薄膜熱感知体4bとの直列合成抵抗値を選ぶことができる。換言すると、薄膜熱感知体4a,4bに電流を流すことができる。同様に、第1の電極パッド8と第3の電極パッド10とを選択すると、薄膜熱感知体4aの抵抗値を選ぶことができる。第2の電極パッド9と第3の電極パッド10とを選択すると、薄膜熱感知体4bの抵抗値を選ぶことができる。
[第1実施形態の効果の説明:図1、図7]
このように、本発明の薄膜型ガスセンサは、その薄膜熱感知体の抵抗値を任意に選ぶことができるが、その抵抗値の選択は、薄膜熱感知体の加工形状の変化を見越して、選ぶことができる。次に、第1の実施形態の効果を説明する。
ドライエッチングの加工のばらつきについては、図7を用いてすでに説明したが、再度図7も用いて第1の実施形態の効果を説明する。
ドライエッチングでは、すでに説明したとおり、エッチング条件等により、エッチング速度に差が出て、加工形状が異なってしまう。この加工形状の変化により、薄膜熱感知体の抵抗値が変化してしまう。
薄膜熱感知体の抵抗値が、仮に設計上の抵抗値に対して10%変化したとする。つまり、ある基準位置のセンサチップに対して別の場所のセンサチップが10%ばらつくとする。図7に示したように、例えば、薄膜熱感知体の設計上の抵抗値を300Ωとしたとき、半導体基板の中央部分に配置されるセンサチップ74の抵抗値が300Ωとなったら、半導体基板の周辺部に配置されるセンサチップ77の抵抗値は270Ωとなってしまう。半導体基板の周辺部はエッチングされにくいので薄膜熱感知体の線幅が太くなり、抵抗値が低下するからである。
つまり、1つの半導体基板から切り出した薄膜型ガスセンサのセンサチップの薄膜熱感知体の抵抗値がばらついてしまう。このようなとき、従来知られている技術では、補正用アンプが必要になるが、本発明の薄膜型ガスセンサではそれが不要であって、第1の実施形態では、薄膜熱感知体の加工形状の変化を見越して、薄膜熱感知体4a,4bの抵抗値を選ぶことにより、補正用アンプの搭載を不要とする。
薄膜熱感知体4aと薄膜熱感知体4bとの直列合成抵抗値の設計上の抵抗値を300Ωとするとき、薄膜熱感知体4aの設計上の抵抗値を300Ω、同様に薄膜熱感知体4bを30Ωにしておくのである。
ドライエッチングによる加工形状の変化により、薄膜熱感知体の抵抗値が中央部分に対して周辺部分が10%分減少したとする。製造工程を経た薄膜熱感知体は、半導体基板の中央部分では、薄膜熱感知体4aが300Ω、薄膜熱感知体4bが30Ωであり、抵抗値は変わらない。一方、周辺部分では、薄膜熱感知体4aが270Ω、薄膜熱感知体4bが27Ωとなってしまう。
このとき、半導体基板の中央部分から切り出したセンサチップは、第1の電極パッド8と第3の電極パッド10とを選択すると、薄膜熱感知体4aのみの抵抗値を選択できるから、その抵抗値を300Ωとすることができる。
一方、半導体基板の周辺部分から切り出したセンサチップでは、第1の電極パッド8と第2の電極パッド9とを選択すると、薄膜熱感知体4aと薄膜熱感知体4bとの直列合成抵抗値を選ぶことができるから、その抵抗値は、薄膜熱感知体4aの抵抗値270Ωに薄膜熱感知体4bの抵抗値27Ωを加算して、297Ωとなる。この抵抗値は、設計上の抵抗値300Ωに1%分だけ足りない値で済んでいる。
このように、第1実施形態の薄膜型ガスセンサにあっては、従来技術では10%のばらつきを生じてしまうドライエッチングの加工条件であっても、1%のばらつきで済ますことができる。
もちろん、薄膜熱感知体4a,4bの抵抗値は、上記のような値に限るものではない。上述の例は、半導体基板の周辺部分のばらつきを減少させることに傾注した例であるが、半導体基板との中央部分と周辺部分との間のセンサチップについても考慮に入れる必要がある。
そのようなときは、図7に示した例で説明すると、半導体基板の中央部分と周辺部分との中間部分(以下単に中間部分という)のセンサチップを基準位置にして薄膜熱感知体4a,4bの設計上の抵抗値を決めるとよい。
例えば、図7に示した例では、中間部分のセンサチップ76(72)を基準位置とすると、中央部分のセンサチップ74は、約5%増加し、周辺部分のセンサチップ77(71)は、約5%減少することになる。このように、ばらつき範囲の中央付近のセンサチップを基準位置とすると、抵抗値のばらつき範囲すべてに対応できる。
例えば、中間部分(例えば、センサチップ76や72)の薄膜熱感知体の設計上の抵抗値を、薄膜熱感知体4aが300Ω、薄膜熱感知体4bが30Ωとなるようにする。
製造工程を経た薄膜熱感知体は、半導体基板の中間部分では、薄膜熱感知体4aが300Ω、薄膜熱感知体4bが30Ωであり、抵抗値は変わらない。
周辺部分(例えば、センサチップ77や71)では、薄膜熱感知体4aが285Ω、薄膜熱感知体4bが28.5Ωと、抵抗値が5%分減少する。
中央部分(例えば、センサチップ74)では、薄膜熱感知体4aが315Ω、薄膜熱感知体4bが31.5Ωと、抵抗値が5%分増加する。
このとき、半導体基板の中間部分から切り出したセンサチップは、第1の電極パッド8と第3の電極パッド10とを選択すると、薄膜熱感知体4aのみの抵抗値を選択できるから、その抵抗値を300Ωとすることができる。
半導体基板の中央部分から切り出したセンサチップも同様に、第1の電極パッド8と第3の電極パッド10とを選択すると、薄膜熱感知体4aのみの抵抗値を選択できるから、その抵抗値を315Ωとすることができる。
一方、半導体基板の周辺部分から切り出したセンサチップでは、第1の電極パッド8と第2の電極パッド9とを選択すると、薄膜熱感知体4aと薄膜熱感知体4bとの直列合成抵抗値を選ぶことができるから、その抵抗値は、薄膜熱感知体4aの抵抗値285Ωに薄膜熱感知体4bの抵抗値28.5Ωを加算して、313.5Ωとなる。
このようにすれば、従来技術では10%のばらつきを生じてしまうドライエッチングの加工条件であっても、半導体基板の中央分部分、周辺部分のセンサチップの薄膜熱感知体の抵抗値は、設計上の抵抗値300Ωに対して5%分の増減の範囲に入ることができる。
ドライエッチングによる加工形状の変化は、実験や試作を行うことでその変化の傾向を知ることが容易にできる。このように、薄膜熱感知体の加工形状の変化を見越して、薄膜熱感知体4a,4bの抵抗値を設計することにより、製造工程を経た薄膜熱感知体の抵抗値を、ドライエッチングによる加工形状のばらつきによる変化分より小さい変化分に押さえ込むことができるのである。
[電極パッドの選択方法の説明:図1]
次に、第1の実施形態における薄膜熱感知体の選択方法について説明する。すでに説明
したように、本発明の薄膜型ガスセンサは、その薄膜熱感知体の抵抗値を任意に選ぶことができる。その方法は、第1から第3の電極パッドの選択の組み合わせを変えることでなされる。
図1に示すように、各電極パッドの近傍には、マークM1,M2,M3が設けてある。これらのマークは、薄膜熱感知体4a,4b、第1から第3の各金属薄膜抵抗体、第1から第3の各電極パッドと同一の材質で構成することができる。例えば、白金やパラジウムなどの高融点貴金属で構成している。
このマークM1,M2,M3は、すでに説明したように、半導体基板に複数のセンサチップを構成し、薄膜熱検知体の加工の際に発生する抵抗値のばらつきに対応するため、センサチップごとに薄膜熱感知体の抵抗値を選ぶときに用いるものである。薄膜熱検知体の抵抗値を変更するには、第1から第3の電極パッドを組み合わせるが、その際に、どの電極パッドを用いるかをセンサチップに記しておくためのマークとして用いるのである。
例えば、第1の電極パッド8と第2の電極パッド9とを選択することが決定されたとき、その後の工程で、これらの電極パッドを認識し易いように、近傍のマークM1,M2を加工するのである。具体的には、マークM1,M2の形状を、例えば、平面から見て三角形に変形させるのである。
このマークM1,M2の加工には、特に限定しないが、レーザートリミングなどに用いる既知のレーザー照射装置を用いることができる。もちろん、知られているタングステン針などを用いて、マークM1,M2の表面に傷を付けるような加工であってもよい。
このように、形状を加工されたマークM1,M2,M3を、形状認識できる光学装置などを使って検出することで、第1から第3の各電極パッドを選択することができる。このため、マークM1,M2,M3は、高融点貴金属で構成するほか、支持基板11に凹凸形状を施したものであってもかまわない。
支持基板11に凹凸を設けると、その上部の絶縁膜12にも凹凸が発生する。マークM1,M2,M3を加工するとき、絶縁膜12上の凹凸部分を埋め込むように、例えば、タングステンの薄膜などを形成してもよい。このような加工は、知られている集束イオンビーム装置(FIB:Focused Ion Beam)の蒸着機能を使って簡単に形成することができる。
なお、このように、予め形成した凹凸を埋め込んで平らにする加工をもってマークM1,M2,M3の形状を加工するときは、その段差などの表面状態を検出できる光学装置などを使えばよい。
電極パッドを選択するということは、センサチップをパッケージに封止する際に、その電極パッドを選択して図示しないパッケージの端子に接続することをいう。第1から第3の各電極パッドがワイヤーボンディング用の電極パッドであるとすると、どの電極パッドにボンディングを施すかを選択するのである。
もちろん、予め本発明の薄膜型ガスセンサをパッケージに実装するとき、第1の電極パッド8、第2の電極パッド9、第3の電極パッド10と外部の回路等を接続しておき、その回路側の切り替えまたは接続配線途中に設ける切り替えスイッチ等で電極パッドを選択できるようにしてもよい。
ところで、第1の電極パッド8と第2の電極パッド9との間の距離を示す距離L1と、第1の電極パッド8と第3の電極パッド10との間の距離を示す距離L2とを等しくすることもできる。加えて、センサチップを図1(a)に示すような平面からみて正方形に構成してもよい。このように構成すると、センサチップをパッケージに封止する際の実装工程を簡略化することができる。
すなわち、距離L1と距離L2とが等しく、センサチップが正方形であれば、センサチップを平面から見て時計回りまたは反時計回りに回転させるだけで、電極パッドを選択させることもできる。電極パッドに接触するためのボンディング装置の先端部の位置や、電極パッドと接触するための接触針の間隔を変更する必要がなく、センサチップの回転によって電極パッドを選択できるのである。
[第2の実施形態の説明:図2]
本発明の薄膜型ガスセンサの第2の実施形態を図2を用いて説明する。図2は、第2の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。図2は、図1(a)に示す方向と同じ方向から見た平面図である。図2において、3bは分岐部、5a,5bは薄膜熱感知体である。なお、すでに説明した構成には同一の番号を付与しており、説明を省略する。
図2に示す第2の実施形態とすでに説明した実施形態との違いは、薄膜熱感知体の抵抗値である。第2の実施形態では、薄膜熱感知体5a,5bの形状を同一としている。つまり、薄膜熱感知体5a,5bに備わる抵抗値は同一となっている。
このような構成にすることで、薄膜型ガスセンサとしての寿命を延ばすことができる。すなわち、薄膜熱感知体5a,5bを例えば、それぞれ300Ωとしておく。このセンサチップの薄膜熱感知体を選択するとき、第1の電極パッド8と第3の電極パッド10とを選択し、薄膜熱感知体5aを使用するようにする。その後、ガスセンサとして運用するうちに、薄膜熱感知体5aの劣化が進行し、ガス検出感度が低下してしまったとする。そのとき、第2の電極パッド9と第3の電極パッド10とを選択し、それまで使用していない薄膜熱感知体5bを使用するようにする。
このようにすれば、薄膜熱感知体5a,5bは同一の抵抗値を備えているので、ガス検出感度を1回、回復することができ、薄膜型ガスセンサとしての寿命を延ばすことができる。
このようにするためには、予め本発明の薄膜型ガスセンサをパッケージに実装するとき、第1の電極パッド8、第2の電極パッド9、第3の電極パッド10と外部の回路等を接続しておき、その回路側の切り替えまたは接続配線途中に設ける切り替えスイッチ等で薄膜熱感知体5aまたは薄膜熱感知体5bを選択できるようにする。
もちろん、薄膜熱感知体5a,5bの選択に際しては、マークM1,M2,M3を変形させるなどしておけば、各電極パッドの選択をスムースにすることができるのは、第1の実施形態と同様である。
[第3の実施形態の説明:図3]
本発明の薄膜型ガスセンサの第3の実施形態を図3を用いて説明する。図3は、第3の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。図3は、図1(a)に示す方向と同じ方向から見た平面図である。図3において、3cは分岐部、6a,6b,6cは薄膜熱感知体である。なお、すでに説明した構成には同一の番号を付与しており、説明を省略する。
図3に示す第3の実施形態とすでに説明した実施形態との違いは、薄膜熱感知体の数である。第3の実施形態では、分岐部3cと金属薄膜抵抗体17との間に新たに薄膜熱感知体6cを設け、第3の電極パッド10へ接続している。
ここで、薄膜熱感知体6a,6b,6cの有する抵抗値を全て異なる値とした場合、第
1の電極パッド8、第2の電極パッド9、第3の電極パッド10の選択により、薄膜熱感知体6aと薄膜熱感知体6b、薄膜熱感知体6aと薄膜熱感知体6c、薄膜熱感知体6bと薄膜熱感知体6cの3通りの直列合成抵抗値を得ることができる。
例えば、図7に示した例では、中央部分のセンサチップ74を基準位置とすると、中間部分のセンサチップ76(72)は、5%分減少し、周辺部分のセンサチップ77(71)は、10%分減少するというばらつきを有することになる。
中央部分の薄膜熱感知体の設計上の抵抗値を、薄膜熱感知体6aが130Ω、薄膜熱感知体6bが170Ω、薄膜熱感知体6cが180Ωとなるようにする。
製造工程を経た薄膜熱感知体は、半導体基板の中央部分(例えば、センサチップ74)では、薄膜熱感知体6aが130Ω、薄膜熱感知体6bが170Ω、薄膜熱感知体6cが180Ωであり、抵抗値は変わらない。
中間部分(例えば、センサチップ76や72)では、薄膜熱感知体6aが123.5Ω、薄膜熱感知体6bが161.5Ω、薄膜熱感知体6cが171Ωであり、抵抗値は5%分減少する。
周辺部分(例えば、センサチップ77や71)では、薄膜熱感知体6aが117Ω、薄膜熱感知体6bが157Ω、薄膜熱感知体6cが162Ωであり、抵抗値は10%分減少する。
このとき、半導体基板の中央部分から切り出したセンサチップは、第1の電極パッド8と第2の電極パッド9とを選択すると、薄膜熱感知体6aと薄膜熱感知体6bとの直列合成抵抗値を選ぶことができるから、その抵抗値は、300Ωとなる。
中間部分から切り出したセンサチップは、第1の電極パッド8と第3の電極パッド10とを選択すると、薄膜熱感知体6aと薄膜熱感知体6cとの直列合成抵抗値を選ぶことができるから、その抵抗値は、294.5Ωとなる。この抵抗値は、設計上の抵抗値300Ωに対して約1.8%分の減少で済んでいる。
周辺部分から切り出したセンサチップは、第2の電極パッド9と第3の電極パッド10とを選択すると、薄膜熱感知体6bと薄膜熱感知体6cとの直列合成抵抗値を選ぶことができるから、その抵抗値は、319Ωとなる。この抵抗値は、設計上の抵抗値300Ωに対して約6%分の増加で済んでいる。
このようにすれば、従来技術では10%のばらつきを生じてしまうドライエッチングの加工条件であっても、半導体基板の中心部分、中央分部分、周辺部分のセンサチップの薄膜熱感知体の抵抗値は、設計上の抵抗値300Ωに対して約1.8%から約6%の増減の範囲に入るようにできる。
[第4の実施形態の説明:図4]
本発明の薄膜型ガスセンサの第4の実施形態を図4を用いて説明する。図4は、第4の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。図4は、図1(a)に示す方向と同じ方向から見た平面図である。図4において、3dは分岐部、7a,7b,7cは薄膜熱感知体である。13は第4の電極パッド、19は第4の配線となる第4の金属薄膜抵抗体、M4はマークである。なお、すでに説明した構成には同一の番号を付与しており、説明を省略する。
図4に示す第4の実施形態とすでに説明した実施形態との違いは、電極パッドの数であり、この電極パッドと分岐部とを接続する金属薄膜抵抗体を設けた点である。第4の実施形態では、第4の電極パッド13を設け、金属薄膜抵抗体19によって分岐部3dに接続している。
ここで、薄膜熱感知体7a,7b,7cの有する抵抗値を全て同じ値とした場合、第1の電極パッド8、第2の電極パッド9、第3の電極パッド10、第4の電極パッド13の選択により、薄膜熱感知体7a、薄膜熱感知体7b、薄膜熱感知体7cをそれぞれ選択することができる。
このような構成にすることで、薄膜型ガスセンサとしての寿命を延ばすことができる。すなわち、薄膜熱感知体7a,7b,7cを例えば、それぞれ300Ωとしておく。このセンサチップの薄膜熱感知体を選択するとき、第1の電極パッド8と第4の電極パッド13とを選択し、薄膜熱感知体7aを使用するようにする。その後、ガスセンサとして運用するうちに、薄膜熱感知体7aの劣化が進行し、ガス検出感度が低下してしまったとする。そのとき、第2の電極パッド9と第4の電極パッド13とを選択し、それまで使用していない薄膜熱感知体7bを使用するようにする。さらにその後、ガスセンサとして運用するうちに、薄膜熱感知体7bの劣化が進行し、ガス検出感度が低下してしまったとしても、第3の電極パッド10と第4の電極パッド13とを選択すれば、それまで使用していない薄膜熱感知体7cが使用できるようになる。
なお、すでに説明した実施形態と同様に、電極パッドの選択の際には、マークM1,M2,M3,M4の形状加工をもって認識させるようにする。
このようにすれば、薄膜熱感知体7a,7b,7cは同一の抵抗値を備えているので、ガス検出感度を2回、回復することができ、薄膜型ガスセンサとしての寿命を延ばすことができる。
また、薄膜熱感知体7a,7b,7cをそれぞれ異なる抵抗値を備えるようにしてもよい。そうすると、すでに説明した第3の実施形態と同様に、薄膜熱感知体を組み合わせることによって、その抵抗値を所定の範囲に収めることができる。
[製造方法の簡単な説明:図1]
次に、本発明の薄膜型ガスセンサの製造方法を説明する。例として、第1の実施形態の製造方法を図1を用いて簡単に説明する。もちろん、以下説明する製造方法は、単なる一例であって限定するものではない。
まず、半導体基板の上部に、CVD法など知られている薄膜形成方法を用いて、絶縁膜12を設ける。
次に、梁部2を形成するために、絶縁膜12を所定の形状にエッチングする。このとき、エッチングする領域の絶縁膜12は完全に除去し、半導体基板が露出するようにする。
次に、絶縁膜12の上部にスパッタリングなどの知られている金属薄膜形成法を用いて金属薄膜を設け、所定の形状にパターニングして分岐部3a、薄膜熱感知体4a,4b、金属薄膜抵抗体15,16,17、電極パッド8,9,10を形成する。
次に、半導体基板を四角枠状に加工するべく、半導体基板裏面における、梁部2と平面的に重なる部分、および貫通孔1a,1bの形成する部分を四角枠状にマスキングし、裏面から半導体基板をエッチングして、支持基板11の形状とする。これにより貫通孔1a,1bが形成される。また梁部2も、その下部の半導体基板が除去され、梁構造を有することとなる。これにより、本発明の薄膜型ガスセンサの構造体が完成する。
[ガス検知体を用いる構成の説明:図1(a)、図5]
次に、説明した本発明の薄膜型ガスセンサのガス検知にガス検知体を用いる構成を説明する。この説明でも、第1の実施形態から第3の実施形態にて説明した構成を例にして、
図5を用いて説明する。図5において、22はガス検知体(触媒)である。なお、すでに説明した同一の構成には同一の番号を付与してあり、それらの説明は省略する。
図1から図4に示したように、梁部2の表面には、分岐部3a,3b,3c、薄膜熱感知体4a,4b,5a,5b,6a,6b,6c、金属薄膜抵抗体15,16,17の一部を設けている。図5において、ガス検知体22はこれらを覆うように設けている。
ガス検知体22は、例えば、酸化スズ(SnO2)に白金(Pt)とパラジウム(Pd)とを分散させたものを使用する。これは特定の可燃性ガスに反応して発熱する性質を備えている。
具体的には、メタンガス、水素ガス、LPガス(液化石油ガス)、プロパンガス、ブタンガス、エチレンガス、一酸化炭素ガス、またはエタノールやアセトン等の有機成分ガスが挙げられる。
ガスセンサとして使用する場合は、薄膜熱感知体に電流を流し、加熱しておく必要がある。これは、ガス検知体22は、予め所定の温度に熱することで、上述の特定の可燃性ガスの到来に対して、より早く反応させるためである。
これらのガスがガス検知体22に接触すると、その発生熱は薄膜熱感知体へ伝導する。これにより、薄膜熱感知体の抵抗値が変化する。この抵抗変化分を検出することで、可燃性ガスの到来を検知することができる。
本発明の薄膜型ガスセンサは、ガス検出感度の個体差をセンサチップ上にて補完し、パッケージレベルのガスセンサを小型化することができる。このため、サイズ要求がシビアな携帯型機器のガスセンサとして好適である。
1a,1b 貫通孔
2 梁部
3a,3b,3c,3d 分岐部
4a,4b,5a,5b,6a,6b,6c,7a,7b,7c 薄膜熱感知体
8 第1の電極パッド
9 第2の電極パッド
10 第3の電極パッド
11 支持基板
12 絶縁膜
13 第4の電極パッド
15 第1の金属薄膜抵抗体
16 第2の金属薄膜抵抗体
17 第3の金属薄膜抵抗体
19 第4の金属薄膜抵抗体
22 ガス検知体

Claims (5)

  1. 支持基板に端部を接続してなる梁部を有し、該梁部の表面に薄膜熱感知体と、該薄膜熱感知体の上部にガス検知体と、を備える薄膜型ガスセンサにおいて、
    前記支持基板の表面に少なくとも3つの電極パッドを有し、
    前記薄膜熱感知体は、一方の端部を第1の配線によって第1の電極パッドと接続し、他方の端部を第2の配線によって第2の電極パッドと接続し、
    前記一方の端部と前記他方の端部との間の前記薄膜熱感知体の途中に分岐部を備え、
    前記分岐部を第3の配線によって第3の電極パッドと接続することを特徴とする薄膜型ガスセンサ。
  2. 前記分岐部と前記第3の電極パッドとの間に別の薄膜熱感知体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜型ガスセンサ。
  3. 前記薄膜熱感知体と前記別の薄膜熱感知体とは、抵抗値が異なることを特徴とする請求項2に記載の薄膜型ガスセンサ。
  4. 前記薄膜熱感知体は、前記一方の端部と前記分岐部との間の抵抗値と、前記他方の端部と前記分岐部との間の抵抗値と、が異なることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の薄膜型ガスセンサ。
  5. 前記電極パッド間の距離が等しいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の薄膜型ガスセンサ。
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