JP2010164286A - ダクトホース - Google Patents
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Abstract
【課題】 消音性が要求されるダクトホースにおいて、その難燃性、特にダクト内側から加熱された際の難燃性を向上させる。
【解決手段】 通気性と保形性を有する可撓性内壁の外側に、軟質発泡樹脂によって形成された吸音層が積層された可撓性と消音性を有するダクトホースにおいて、前記軟質発泡樹脂を、連続気泡構造を有するとともに、水酸化アルミニウムが含浸されてなるものとして、前記可撓性内壁の主部を、難燃性ポリエステル繊維を主体とする不織布素材としてダクトホースを構成する。可撓性内壁が、金属製の補強体により保形されてなるものであることが好ましく、可撓性内壁の主部となる不織布素材に隣接して吸音層が形成されることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 通気性と保形性を有する可撓性内壁の外側に、軟質発泡樹脂によって形成された吸音層が積層された可撓性と消音性を有するダクトホースにおいて、前記軟質発泡樹脂を、連続気泡構造を有するとともに、水酸化アルミニウムが含浸されてなるものとして、前記可撓性内壁の主部を、難燃性ポリエステル繊維を主体とする不織布素材としてダクトホースを構成する。可撓性内壁が、金属製の補強体により保形されてなるものであることが好ましく、可撓性内壁の主部となる不織布素材に隣接して吸音層が形成されることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば高気密、高断熱住宅などの住宅の空調システムに有効に利用できるダクトホースに関するものであり、特にダクトホースの難燃性を向上させたダクトホースに関する
住宅の空調システムに利用するダクトホースとしては、断熱性と消音性を有するダクトホースを利用することが好ましく、特許文献1や特許文献2には消音断熱ホースの例が開示されている。すなわち、特許文献1には、管の内外表面を繊維層で構成し、中間層として、管外面側の独立気泡樹脂層からなる断熱層と管内面側の連続気泡樹脂層からなる吸音層を備えるダクトホースが開示されている。また特許文献2にも、管の内部から、内壁、連続気泡樹脂層(吸音層)、断熱層、外壁を順に積層した構造のダクトホースが開示されている。
特開平9−166278号公報
特開平10−96549号公報
これら消音断熱ダクトホースにおいては、消音性を向上させるためには、特に管の内壁を不織布素材などの通気性を有する素材によって構成することが好ましいことが知られており、そのようなダクトホースが既に実用化されている。
ところで、近年、住宅などの空調システムなどにおいて使用されるダクトホースに難燃性さらには不燃性を付与したいという要求が顕在化してきた。すなわち、住宅の火災などによりダクトホースが高温にさらされた場合にも、ダクトホースが直ちに焼失してその機能を喪失するのではなく、難燃化あるいは不燃化されたダクトホースが一定時間その機能を維持しうる性能を有することが望まれるようになってきた。
しかしながら、上記特許文献などに記載された消音性を有するダクトホースにおいては、その難燃性を高めるのは容易なことではなかった。特に、吸音層や断熱層に好ましく利用される発泡樹脂層を難燃化する場合、樹脂に発泡剤を練り込もうとしても多量に難燃材を配合することが困難であるために十分な難燃化を行うことができなかった。また、難燃剤の練り込みによって発泡樹脂の難燃化を行っても、高温の火炎などにさらされた場合に発泡樹脂の表面に露出する樹脂が焼失しやすく、難燃剤の効果が十分に発揮されないという問題もあった。従って、ダクトホース、特にその吸音層や断熱層の難燃性を高めることが希求されていた。
また、消音性が要求されるダクトの内壁に好ましく使用される不織布などの多孔質通気性素材は、燃えやすい素材であるため、ダクトの内側から加熱されると、内壁を構成する不織布素材が炎をあげて燃えてしまって、それに起因して、難燃化した吸音層や断熱層も燃えてしまうことがあり、消音性ダクトの難燃化を阻害していた。
従って、本発明の目的は、消音性が要求されるダクトホースにおいて、その難燃性、特にダクト内側から加熱された際の難燃性を向上させることにある。
発明者は、鋭意検討の結果、水酸化アルミニウムを含浸させた連続気泡構造の軟質発泡樹脂によってダクトホースの吸音層を形成し、難燃性ポリエステル繊維を主体とする不織布素材を主部とした内壁を形成すると、ダクトホースの消音性を損なうことなく、その難燃性を向上できることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、通気性と保形性を有する可撓性内壁の外側に、軟質発泡樹脂によって形成された吸音層が積層された可撓性と消音性を有するダクトホースであって、前記軟質発泡樹脂は、連続気泡構造を有するとともに、水酸化アルミニウムが含浸されてなるものであり、前記可撓性内壁の主部は、難燃性ポリエステル繊維を主体とする不織布素材により構成されることを特徴とするダクトホースである。
また、本発明においては、可撓性内壁が、金属製の補強体により保形されてなるものであることが好ましく(請求項2)、可撓性内壁の主部となる不織布素材に隣接して吸音層が形成されることが好ましい(請求項3)。また本発明において、吸音層の外側に外壁を設けることが好ましく、外壁をアルミニウムでラミネートされたガラスクロスとその内側に低密度ポリエチレンシートを積層構成したシート素材により構成すること(請求項4)や、外壁をダクト外側から順に、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、アルミニウム箔、ポリエステル繊維を主体とする不織布を積層一体化したシート素材により構成すること(請求項5)が好ましい。
本発明によれば、消音性が要求されるダクトにおいて、消音性を持たせながらダクトの難燃性、特にダクト内周面側から加熱された際の難燃性を高めることができるという効果が得られる。すなわち、吸音層に連続気泡構造を残したまま難燃化することができることに加え、ダクト内壁の主体に使用される素材が炎を上げて燃焼し、吸音層を燃やしてしまうことが抑制される。したがって、消音性を維持すべく内壁に不織布素材を用い、吸音層に軟質発泡樹脂を用いた場合であっても、ダクトを効果的に難燃化できる。
さらに、可撓性内壁を金属製の補強体により保形した場合には(請求項2)、ダクトの難燃性をさらに効果的に向上させることができるとともに、ダクトが加熱された際のダクトの保形性も良好なものとなる。また、可撓性内壁の主部となる不織布素材に隣接して吸音層が形成された場合には(請求項3)、加熱により溶融した不織布素材が、吸音材内周側の表面に粘着一体化して表面を覆い、吸音層への酸素の供給を遮断することができ、ダクトをより効果的に難燃化できる。また、請求項4や請求項5の発明によれば、外壁のダクト内側に配置される樹脂層(請求項4では低密度ポリエチレンシート、請求項5ではポリエステル繊維を主体とする不織布)が、ダクトが加熱された際に溶融して、ダクト吸音層の外側に外壁の素材を粘着一体化させて、ダクト外側からの酸素の供給を遮断して、ダクトの難燃性をより効果的に向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1及び図2は本発明のダクトホースを示し、ダクトホース1は、通気性および保形性を有する円筒状の可撓性内壁20と、この内壁の外周に隣接するように形成された吸音層8および可撓性外壁9とを備えている。
可撓性内壁20は、所定幅に形成された可撓性条帯21をらせん状に捲回し、互いに隣接する前記可撓性条帯21の側縁部を金属条帯22によりかしめ連結して構成されており、可撓性条帯21の部分が内壁20の主部となり、金属条帯22の部分が内壁20の補強体部分となる。内壁20を構成する可撓性条帯21としては、難燃性ポリエステル繊維を主体とする不織布(以下、難燃性ポリエステル不織布と略称する)が使用され、金属条帯22としては、例えば所定幅に裁断された亜鉛メッキ鋼板が使用される。これら可撓性条帯21と金属条帯22とは、公知の製管装置上で、側縁部が折り返されながら、並行して螺旋状に捲回され、図2に示すように、可撓性条帯21の折り返し部と金属条帯22の折り返し部が互いにかみ合うようにされた状態で金属条帯22がカシメられて、互いに隣接する前記可撓性条帯21の側縁部が金属条帯22により連続的にかしめ連結されて、円筒状のダクトすなわち内壁20に成形されるものである。
また、内壁20を構成する可撓性条帯21の素材である難燃性ポリエステル不織布は、リン系難燃剤やハロゲン系難燃剤などの難燃剤により難燃化されたポリエステル繊維を主体に構成される不織布素材であって、柔軟性と通気性を有する不織布素材である。不織布の製造方法としては特に限定はなく、スパンボンド製法やメルトブローン製法やニードルパンチ製法などといった公知の不織布製造方法を採用できる。難燃性ポリエステル不織布には、難燃性ポリエステル繊維以外の他の繊維や、バインダー成分を含ませても良いが、不織布を難燃化する観点から、他の繊維やバインダー成分は極力少ないものであることが好ましい。
内壁20の補強体部分を構成する金属条帯22の素材は、例示した亜鉛メッキ鋼板が好ましく使用できるが、その他、ステンレス鋼板などの金属鋼板が使用できる。耐火性の高い金属鋼板を採用することが、火災などの際にダクトの内外から加熱されても、ダクトが容易に保形性を失うことが防止されるので、より好ましい。
前記吸音層8は、消音性を高めるため、連続気泡構造の軟質発泡樹脂(例えば発泡ポリウレタンシートなど)により形成されている。吸音層8が断熱層を兼ねるように吸音断熱層として構成された場合には、1本のダクトホースで吸音性と断熱性の両性能を兼備することもできる。さらに、吸音層8を形成する連続気泡構造の軟質発泡樹脂には、ダクトホース1の難燃性を高めるために、水酸化アルミニウムが含浸されている。連続気泡構造の軟質発泡樹脂への水酸化アルミニウムの含浸量は、ダクトホース1の吸音性と難燃性が両立されるように調整される。軟質発泡樹脂による吸音層8の形成は、所定幅のテープ状の軟質発泡樹脂を、その両側端を互いにつき合わせるように可撓性内壁20の外周に捲回することにより行われている。
連続気泡構造の軟質発泡樹脂(例えば発泡ポリウレタンテープ)への水酸化アルミニウムの含浸は、例えば、ポリクロロプレンラテックスに架橋剤と水酸化アルミニウム粉末を混合した混合物に、連続気泡構造の発泡ポリウレタンを浸漬して、樹脂の発泡構造中に前記混合物を含浸させて、ラテックスを架橋することにより行うことができる他、水酸化アルミニウム粉末が連続気泡発泡樹脂の微細な発泡構造の表面を覆うように含浸できるような他の方法によっても良い。
前記吸音層8の外周に位置する可撓性外壁9は、吸音層8の保護のため、可撓性シート素材(例えばアルミニウムがラミネートされたガラスクロス)を捲回一体化して形成されている。外壁9は気密に設けられることが好ましく、外壁9を構成する可撓性シート素材は不燃性あるいは難燃性の素材であることが好ましい。
以下、本発明の作用効果を説明する。
本発明のダクトホース1では、内壁20が通気性を有するので、効果的に吸音層8で吸音して、ダクトの消音性を高めることができる。さらに、吸音層8には連続気泡構造の軟質発泡樹脂を用いているので、水酸化アルミニウムを含浸させてもなお連続気泡構造の軟質発泡樹脂としての消音性を発揮することができる。従って、本発明のダクトは消音性を有する。
本発明のダクトホース1では、内壁20が通気性を有するので、効果的に吸音層8で吸音して、ダクトの消音性を高めることができる。さらに、吸音層8には連続気泡構造の軟質発泡樹脂を用いているので、水酸化アルミニウムを含浸させてもなお連続気泡構造の軟質発泡樹脂としての消音性を発揮することができる。従って、本発明のダクトは消音性を有する。
また、可撓性内壁20、吸音層8および外壁9のいずれもが可撓性を有するよう構成されているため、屈曲性が高く、エルボなどを用いることなく自在に配管できて、施工性が良い。
また、吸音層8が軟質発泡樹脂によって形成されているため、ダクトホース1は無負荷状態では略直線状の形状を維持することができる。このため、ダクトホースの配管を、離散的に配置された吊り具による吊り下げ方式によって行った場合であっても、グラスウールなどを吸音層に採用したダクトホースとは異なって、吊り具の間でダクトが垂れ下がってしまうことが防止・抑制されるため、配管の美観を向上できるとともに、ダクトの通気抵抗を低く抑えることができる。
さらに、本発明のダクトホース1においては、吸音層8を水酸化アルミニウムが含浸された連続気泡構造の軟質発泡樹脂によって構成したので、吸音層8を構成する軟質発泡樹脂に多量の水酸化アルミニウムを保持させることができ、吸音層8、ひいてはダクトホース1の難燃性を高めることができる。また、水酸化アルミニウムを連続気泡構造の発泡樹脂への含浸により保持させることによって、含浸された水酸化アルミニウムの粉末が発泡樹脂の発泡微細構造の表面部を覆うように担持され、発泡樹脂を構成する樹脂材料が表面に露出することが防止されるため、吸音層8が高温の火炎にさらされるような場合であっても、樹脂材料の焼失が抑制されて、難燃性が高められる。
さらに、本発明においては、内壁20の主部が難燃性ポリエステル不織布により構成されているので、内壁20の発火が効果的に抑制され、ダクトの難燃性を効果的に向上できる。すなわち、内壁20、特にその主部の不織布素材が、加熱により発火して炎を上げて燃焼してしまうと、燃焼炎の存在によって周囲の材料(特に吸音層)の燃焼が促進されてしまい、吸音層8の難燃性が悪化してしまうが、本発明においては、難燃性ポリエステル不織布を内壁20の主部に使用することにより、内壁20が炎を上げて燃焼することが効果的に抑制され、吸音層8の難燃性を悪化させることがなくなり、特にダクト内周側からの加熱に対して、効果的にダクトの難燃性を高めることができるのである。このような効果は、他の不織布素材、例えば、難燃性のポリプロピレン不織布や、難燃性でないポリエステル不織布を内壁の主部に採用した際には得られないものである。
さらに、本実施形態のように、内壁20の補強体部分を金属条帯とした場合には、内壁の補強体を構成する素材が炎を上げて燃えることがなくなるので、さらに効果的に内壁20の発火を抑制でき、効果的にダクトの難燃性を向上できる。
また、本実施形態のように、内壁20の主部を構成する難燃性ポリエステル不織布に隣接するように吸音層8を設けると、加熱により溶融した難燃性ポリエステル不織布が、吸音層8の内周側表面に粘着して酸素の供給を遮断するので、内壁20と吸音層8とが一体となって難燃性を発揮し、さらに効果的にダクトの難燃性を向上できる。したがって、内壁20の主部たる難燃性ポリエステル不織布と吸音層8とを互いに密着するように配置することが特に好ましい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その性質を大きく変えない範囲で、種々の改変を加えたものも包含するものである。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、主として上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその説明を省略する。
上記実施形態では、内壁20、外壁9、吸音層8、を、それぞれテープ状素材を螺旋状に捲回して形成したダクトホース1について説明したが、これらの層は必ずしもテープ状素材を螺旋状に捲回する成形法によって形成しなければならないわけではなく、各層の素材となるシートを寿司巻き状(海苔巻き状)に巻きつけて形成しても良い。例えば、上記実施例において、内壁20のみを、テープ状の素材を螺旋状に捲回一体化することによって形成し、引き続き、吸音層8と外壁9に対応する素材シートをダクトホースの周長に対応する幅に裁断して、成形された内壁20の外側に寿司巻き状に巻きつけて、巻きつけられて隣接するようにされた辺縁同士を粘着テープなどによって接着固定して、本発明のダクトホースを得ることもできる。
また、内壁20の構成は上記実施形態に限定されず、金属条帯22の条数・間隔を変更してもよいほか、例えば、図3に示す実施形態のように、内壁を構成する不織布テープの隣接部をオーバーラップさせて接着し、内壁を構成するようにしても良い。その他、内壁を構成する不織布テープをその両側端部が互いに付き合わせられるように捲回し、突合せ部分にまたがるように補強体を配置して、補強体を介して不織布テープ側端を接着一体化して内壁20を構成しても良い。
外壁9の構成も、上記実施形態に限定されるものではなく、好ましくは難燃性や不燃性の素材からなるものにその構成を変更しても良いが、アルミニウムでラミネートされたガラスクロスとその内側の低密度ポリエチレンシートで外壁を積層構成すれば、加熱された際に、ポリエチレンテープが溶融しながらガラスクロスを吸音層8の外表面に一体化させるので、吸音層8の外表面が、アルミニウムでラミネートされたガラスクロスによって確実に覆われ、酸素の供給を遮断するとともに、機械的強度を高めるので、吸音層8、ひいてはダクトホースの難燃性を効率的に高めることができる。
また、外壁9を構成する素材として、例えばアルミニウム箔などの金属箔にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムなどを積層した積層素材を使用することもできる。特に、ダクト最外層側からPET樹脂フィルム、アルミニウム箔、ポリエステル不織布を順に積層一体化したシート素材を外壁9に使用すれば、最外層のPET樹脂フィルムが、外壁9の強度を高めるとともに、ダクトの外観やすべり性を高められる点および、アルミニウム箔の内側のポリエステル不織布が外壁9の機械的強度を効果的に高めうるとともに、外表面側が加熱された際に、ポリエステル不織布層が溶融してアルミニウム箔が吸音層8の外側に粘着し一体化して、酸素の供給を遮断するとともに、機械的強度を高めるので、吸音層8、ひいてはダクトホースの難燃性をさらに向上できる点で、より好ましい。
なお、上記実施形態における吸音層8は、必ずしも水酸化アルミニウムが含浸された軟質発泡樹脂からなる単独の層として設けられる必要はなく、吸音層8の外周側に適宜断熱層や別の素材からなる吸音層を設けても良い。なお、断熱層を設ける場合には、不燃性や難燃性の材料で構成され、非通気性の素材からなるものであることが好ましい。また、吸音層8のダクト内周面側に不燃繊維集合体などからなる繊維層を設けても良い。
図3には、本発明の他の実施形態として、別構造の内壁26を有するダクトホースのダクト壁部分の部分断面図を示す。本実施形態においても、内壁26の外側に、吸音層8が形成され、更にその外側に外壁9が形成されている。吸音層8は、水酸化アルミニウムが含浸された軟質発泡ポリウレタンシートを所定幅に裁断したスポンジテープを、その側縁同士が互いに密着するように螺旋状に捲回して形成されている。外壁9は、アルミニウムがラミネートされたガラスクロスを所定幅のテープとして、その側縁同士が互いに重なり合うように螺旋状に捲回し、接着一体化して形成されている。
内壁26は、難燃性ポリエステル不織布素材からなる所定幅の可撓性条帯25を、その隣接する側縁同士が互いに重なり合うように螺旋状に捲回し、さらに、その重なり合う部分に、螺旋状に捲回した硬質補強体24を挟み込むようにして、重ね合わせ部分を互いに接着一体化して形成されている。
硬質補強体24は、円筒状の内壁26の形状を維持するための保形のための部材であり、本実施例では硬鋼線により構成されている。硬質補強体24は、硬鋼線や鉄線、銅線などの金属線や、樹脂被覆金属線、ポリプロピレン樹脂や高密度ポリエチレン樹脂やPET樹脂などの比較的硬質な合成樹脂製の線材などにより構成される。硬質補強体に使用される材料は、不燃材料であるか、難燃化した材料であることが好ましい。硬質補強体は樹脂材料からなるものであっても良いが、金属材料からなるものとすれば、内壁26から炎が上がることを効果的に防止できるとともに、加熱された際のダクトの保形性の面で有利である。また、硬質補強体24は、可撓性条帯25の重ね合わせ部の間に接着状態で挟みこんでも良いが、非接着状態で挟み込んでも良い。
図3に示したようなダクトホースは、公知のホース成形軸に、内壁26を構成する可撓性条帯25、フォーマーなどで螺旋状に癖付けした硬質補強体24、吸音層8を構成する難燃性の発泡樹脂テープ、外壁9を構成するアルミニウムがラミネートされたガラスクロスのテープを順次供給しながら、それぞれを螺旋状に捲回しつつ接着一体化し、内壁26、吸音層8、外壁9を連続的に積層形成することによって、不定長の長尺に連続製造することができる。
本実施の形態のダクトホースにおいても、第1の実施形態と同じく、消音性を有しながら特に内周面側からの加熱に対して難燃性の高いダクトホースが得られる。
以下、本発明の効果を確認するために行った試験の結果を説明する。
(ダクトサンプルの調製)
表1および表2に示される素材を使用して、後述する各実施例及び比較例として、図1及び図2に示されるような形態のダクトホース(内径100mm、内壁の補強体の螺旋ピッチ30mm、補強体の幅8mm)のダクトサンプルを作成した。
(消音性の評価)
得られたダクトを長さ2mにカットして、消音性評価サンプルとし、ダクトの一端に耳を当てて、ダクト内部に共鳴音が発生するかどうかを官能評価した。共鳴音が発生しないダクトは、消音性が良好である。
(難燃性評価サンプルの調製)
得られたダクトのダクト壁を切り開いて、100mm×100mmの平板上にして、難燃性評価用サンプルを得た。
(難燃性評価試験)
得られた難燃性評価サンプルを、ダクト内周面側が加熱されるように上側として、炉内温度20℃のマッフル炉内部に置いて、加熱して燃焼状態を観察した。加熱条件としては、まず、炉内温度が試験開始後約15分後に700℃に達するような加熱速度で加熱を行い、700℃に達した後は加熱を停止して、試験開始後約30分後まで放置する条件で、難燃性評価試験を行った。難燃性の評価としては、試験中の炎の発生の有無に着目するとともに、試験後のサンプルの残存厚みにより難燃性評価を行った。すなわち、炎の発生がないほうが、また、試験後サンプルの残存厚みが大きいほうが、難燃性が高い。
(ダクトサンプルの調製)
表1および表2に示される素材を使用して、後述する各実施例及び比較例として、図1及び図2に示されるような形態のダクトホース(内径100mm、内壁の補強体の螺旋ピッチ30mm、補強体の幅8mm)のダクトサンプルを作成した。
(消音性の評価)
得られたダクトを長さ2mにカットして、消音性評価サンプルとし、ダクトの一端に耳を当てて、ダクト内部に共鳴音が発生するかどうかを官能評価した。共鳴音が発生しないダクトは、消音性が良好である。
(難燃性評価サンプルの調製)
得られたダクトのダクト壁を切り開いて、100mm×100mmの平板上にして、難燃性評価用サンプルを得た。
(難燃性評価試験)
得られた難燃性評価サンプルを、ダクト内周面側が加熱されるように上側として、炉内温度20℃のマッフル炉内部に置いて、加熱して燃焼状態を観察した。加熱条件としては、まず、炉内温度が試験開始後約15分後に700℃に達するような加熱速度で加熱を行い、700℃に達した後は加熱を停止して、試験開始後約30分後まで放置する条件で、難燃性評価試験を行った。難燃性の評価としては、試験中の炎の発生の有無に着目するとともに、試験後のサンプルの残存厚みにより難燃性評価を行った。すなわち、炎の発生がないほうが、また、試験後サンプルの残存厚みが大きいほうが、難燃性が高い。
本発明の実施例についての仕様及び評価結果を表1にまとめる。
(実施例1)
実施例1として、内壁の主部を難燃化ポリエステル不織布(リン系難燃剤により難燃化したポリエステル樹脂繊維を主体とする不織布)で、内壁の補強体を亜鉛メッキ鋼板で構成し、吸音層としては水酸化アルミニウムを含浸させた連続気泡構造を有する軟質発泡ポリウレタン(t=13mm)で構成したダクトを調製して、消音性と難燃性の試験を行った。
実施例1のダクトは、共鳴音が発生せず、良好な消音性を有するとともに、難燃性試験においても、試験中に炎を上げることがなく、試験後も、試験前と同等のダクト肉厚を維持できているなど、ダクト内周面側からの加熱に対して良好な難燃性を示した。
(実施例1)
実施例1として、内壁の主部を難燃化ポリエステル不織布(リン系難燃剤により難燃化したポリエステル樹脂繊維を主体とする不織布)で、内壁の補強体を亜鉛メッキ鋼板で構成し、吸音層としては水酸化アルミニウムを含浸させた連続気泡構造を有する軟質発泡ポリウレタン(t=13mm)で構成したダクトを調製して、消音性と難燃性の試験を行った。
実施例1のダクトは、共鳴音が発生せず、良好な消音性を有するとともに、難燃性試験においても、試験中に炎を上げることがなく、試験後も、試験前と同等のダクト肉厚を維持できているなど、ダクト内周面側からの加熱に対して良好な難燃性を示した。
(実施例2)
実施例2として、内壁の補強体をポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で構成した以外は実施例1と同様のダクトを調製し、消音性と難燃性の試験を行った。
実施例2のダクトにおいても、共鳴音が発生せず、良好な消音性を有した。また、難燃性試験において、実施例2のダクトは、試験中に補強体を構成するPET樹脂部分から若干の炎が上がったものの、内壁主部たる不織布部分からは炎が発生せず、全体としては少しの炎が発生するにとどまり、試験後の残存形状においても、試験前と同等のダクト肉厚をおおむね維持できているなど、ダクト内周面側からの加熱に対して良好な難燃性を示した。
実施例2として、内壁の補強体をポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で構成した以外は実施例1と同様のダクトを調製し、消音性と難燃性の試験を行った。
実施例2のダクトにおいても、共鳴音が発生せず、良好な消音性を有した。また、難燃性試験において、実施例2のダクトは、試験中に補強体を構成するPET樹脂部分から若干の炎が上がったものの、内壁主部たる不織布部分からは炎が発生せず、全体としては少しの炎が発生するにとどまり、試験後の残存形状においても、試験前と同等のダクト肉厚をおおむね維持できているなど、ダクト内周面側からの加熱に対して良好な難燃性を示した。
比較例の仕様及び評価結果を表2にまとめる。
(比較例1)
比較例1として、内壁の主部を構成する不織布を難燃化したポリプロピレン(PP)繊維を主体とする不織布で構成した以外は実施例1と同様のダクトを調製し、消音性と難燃性の試験を行った。
比較例1のダクトにおいても、共鳴音が発生せず、良好な消音性を有した。しかしながら、難燃性試験において、比較例1のダクトは、試験中に内壁主部たる難燃性PP不織布部分から大きな炎が発生し、炎が吸音層を構成する発泡ウレタン樹脂を燃やしてしまった。試験後の残存形状においては、ダクト肉厚が試験前と比べて大きく減少し、ダクト壁の形状をとどめない状態となってしまい、ダクト内周面側からの加熱に対する難燃性は低いものとなってしまった。
(比較例1)
比較例1として、内壁の主部を構成する不織布を難燃化したポリプロピレン(PP)繊維を主体とする不織布で構成した以外は実施例1と同様のダクトを調製し、消音性と難燃性の試験を行った。
比較例1のダクトにおいても、共鳴音が発生せず、良好な消音性を有した。しかしながら、難燃性試験において、比較例1のダクトは、試験中に内壁主部たる難燃性PP不織布部分から大きな炎が発生し、炎が吸音層を構成する発泡ウレタン樹脂を燃やしてしまった。試験後の残存形状においては、ダクト肉厚が試験前と比べて大きく減少し、ダクト壁の形状をとどめない状態となってしまい、ダクト内周面側からの加熱に対する難燃性は低いものとなってしまった。
(比較例2)
比較例2として、内壁の主部を構成する不織布を難燃化されていないポリエステル繊維からなる不織布で構成した以外は実施例1と同様のダクトを調製し、消音性と難燃性の試験を行った。
比較例2のダクトにおいても、共鳴音が発生せず、良好な消音性を有した。しかしながら、難燃性試験において、比較例2のダクトは、試験中に内壁主部たる非難燃性ポリエステル不織布部分から大きな炎が発生し、炎が吸音層を構成する発泡ウレタン樹脂を燃やしてしまった。試験後の残存形状においては、ダクト肉厚が試験前と比べて大きく減少し、ダクト壁の形状をとどめない状態となってしまい、ダクト内周面側からの加熱に対する難燃性は低いものとなってしまった。
比較例2として、内壁の主部を構成する不織布を難燃化されていないポリエステル繊維からなる不織布で構成した以外は実施例1と同様のダクトを調製し、消音性と難燃性の試験を行った。
比較例2のダクトにおいても、共鳴音が発生せず、良好な消音性を有した。しかしながら、難燃性試験において、比較例2のダクトは、試験中に内壁主部たる非難燃性ポリエステル不織布部分から大きな炎が発生し、炎が吸音層を構成する発泡ウレタン樹脂を燃やしてしまった。試験後の残存形状においては、ダクト肉厚が試験前と比べて大きく減少し、ダクト壁の形状をとどめない状態となってしまい、ダクト内周面側からの加熱に対する難燃性は低いものとなってしまった。
(比較例3)
比較例3として、ダクト内周面側からPET樹脂フィルム、アルミニウム箔、PET樹脂フィルムが順に積層されたシート(アルミ箔とPETフィルムの積層シート)により、内壁の主部を構成した以外は実施例1と同様のダクトを調製し、消音性と難燃性の試験を行った。
比較例3のダクトにおいては、共鳴音の発生が聴覚され、消音性が悪化した。一方、難燃性試験においては、試験中に最内層のPETフィルムから若干の炎が上がるものの、アルミ箔により炎は遮断されてわずかな時間で炎は自消し、試験後も、試験前と同等のダクト肉厚を維持できているなど、ダクト内周面側からの加熱に対して良好な難燃性を示した。
比較例3として、ダクト内周面側からPET樹脂フィルム、アルミニウム箔、PET樹脂フィルムが順に積層されたシート(アルミ箔とPETフィルムの積層シート)により、内壁の主部を構成した以外は実施例1と同様のダクトを調製し、消音性と難燃性の試験を行った。
比較例3のダクトにおいては、共鳴音の発生が聴覚され、消音性が悪化した。一方、難燃性試験においては、試験中に最内層のPETフィルムから若干の炎が上がるものの、アルミ箔により炎は遮断されてわずかな時間で炎は自消し、試験後も、試験前と同等のダクト肉厚を維持できているなど、ダクト内周面側からの加熱に対して良好な難燃性を示した。
本発明によれば、可撓性ダクトホースの消音性を損なうことなく、難燃性を向上させることができ、住宅の空調システムなどに使用されるダクトホースとして好ましく使用できる。
1 ダクトホース
8 吸音層
9 外壁
20 内壁
21 可撓性条帯
22 金属条帯
26 内壁
24 硬質補強体
25 可撓性条帯
8 吸音層
9 外壁
20 内壁
21 可撓性条帯
22 金属条帯
26 内壁
24 硬質補強体
25 可撓性条帯
Claims (5)
- 通気性と保形性を有する可撓性内壁の外側に、軟質発泡樹脂によって形成された吸音層が積層された可撓性と消音性を有するダクトホースであって、
前記軟質発泡樹脂は、連続気泡構造を有するとともに、水酸化アルミニウムが含浸されてなるものであり、
前記可撓性内壁の主部は、難燃性ポリエステル繊維を主体とする不織布素材により構成されることを特徴とするダクトホース。 - 可撓性内壁が、金属製の補強体により保形されてなるものであることを特徴とする請求項1に記載のダクトホース。
- 可撓性内壁の主部となる不織布素材に隣接して吸音層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のダクトホース。
- 吸音層の外側に、アルミニウムでラミネートされたガラスクロスとその内側に低密度ポリエチレンシートを積層構成した外壁を有することを特徴とする請求項1に記載のダクトホース。
- 吸音層の外側に、ダクト外側から順に、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、アルミニウム箔、ポリエステル繊維を主体とする不織布を積層一体化したシート素材により構成された外壁を有することを特徴とする請求項1に記載のダクトホース。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009009169A JP2010164286A (ja) | 2009-01-19 | 2009-01-19 | ダクトホース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009009169A JP2010164286A (ja) | 2009-01-19 | 2009-01-19 | ダクトホース |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010164286A true JP2010164286A (ja) | 2010-07-29 |
Family
ID=42580591
Family Applications (1)
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JP2009009169A Pending JP2010164286A (ja) | 2009-01-19 | 2009-01-19 | ダクトホース |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2010164286A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015183865A (ja) * | 2014-03-20 | 2015-10-22 | フジモリ産業株式会社 | フレキシブルダクト |
JP2016011764A (ja) * | 2014-06-27 | 2016-01-21 | フジモリ産業株式会社 | 空調ダクト |
-
2009
- 2009-01-19 JP JP2009009169A patent/JP2010164286A/ja active Pending
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