JP2010164030A - 内燃機関用ピストン - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストン本体にオイルリング溝とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設けることなく、内燃機関おいてオイル消費の増大を抑制することが可能なピストンを提供する。
【解決手段】ピストン本体10の外周面には、上下のサイドレール41,42と、各サイドレール41,42を外周方向に付勢するエキスパンダ43とによって構成されるオイルリング40が装着されるオイルリング溝13が設けられている。下側のサイドレール42の下面42aがオイルリング溝13の下側の壁面13cに当接可能となっている。ピストン本体10の外周面には、オイルリング溝13に連通し且つピストン本体10のスカート側に開放するオイルスリット18が少なくとも1つ形成されている。オイルスリット18の最深部18aの壁面18bとサイドレール42の内周面42bとの間には、クリアランスC1が設けられている。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関に用いられるピストンに関する。
自動車用エンジン等の内燃機関に用いられるピストンでは、ピストン本体の外周に、燃焼室の気密性を保持したり、燃焼室へのオイルの浸入を抑制するためにピストンリングが装着される。一般的には、燃焼室の気密保持の役割を主として担うコンプレッションリングと、シリンダ内面に残存する余剰のオイルをオイルパン(クランクケース側)に向けて掻き落とす役割を主として担うオイルリングとの2種類のピストンリングがピストン本体に装着される(例えば、特許文献1参照)。
ピストンリングは、ピストン本体の外周面に形成されたリング溝(周溝)に嵌め込まれる。例えば、ピストン本体の外周面には、軸心方向(ピストン往復方向)に並ぶ3つのリング溝が設けられ、頭部側(燃焼室側)から1番目のリング溝および2番目のリング溝には、コンプレッションリングが装着される。また、頭部側から3番目のリング溝、つまり、スカート側(クランクケース側)から1番目のリング溝には、オイルリングが装着される。ピストンに用いられるオイルリングとしては、上下のレール部材(サイドレール)とレール部材を外周方向に付勢するとエキスパンダとを組み合わせた構造のものが知られている。具体的には、上下一体のサイドレールと、このサイドレールの内周側に配置されるエキスパンダとによって構成される2ピース構造のオイルリングや、上下一対のサイドレールと、これらのサイドレールの間に配置されるエキスパンダとによって構成される3ピース構造のオイルリングなどが用いられる。
特開2007−263058号公報
ところで、内燃機関においては、燃焼室側へオイルが送られるいわゆるオイル上がりの発生や、オイル消費の増大を抑制する観点から、オイルリングによって掻き取ったオイルを効果的にオイルパンに回収する必要がある。このため、従来のピストンには、例えば特許文献1に示されるように、オイルリング装着用のリング溝(オイルリング溝)とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔が設けられている。そして、オイル戻し孔を通じてオイルリング溝内に流入したオイルをオイルパンに戻すことで、オイルリング溝内におけるオイルの滞留を防ぎ、オイル上がりの発生や、オイル消費の増大を抑制するようにしている。しかし、ピストン本体に上述のようなオイルリング溝とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設ける加工は煩雑であり、その分、製造コストが嵩むといった問題点がある。
本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、ピストン本体にオイルリング溝とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設けることなく、内燃機関においてオイル消費の増大を抑制することが可能な内燃機関用ピストンを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、内燃機関用ピストンであって、ピストン本体の外周面に、レール部材と、レール部材を外周方向に付勢するエキスパンダとによって構成されるオイルリングが装着されるオイルリング溝を備えている。そして、上記レール部材のスカート側の端面が、上記オイルリング溝のスカート側の壁面に当接可能に設けられており、上記ピストン本体の外周面には、上記オイルリング溝に連通し、且つ、ピストン本体のスカート側に開放する凹部が少なくとも1つ形成されており、上記凹部の最深部の壁面と、上記レール部材の内周面との間には、クリアランスが設けられていることを特徴としている。ここで、最深部は、凹部のオイルリング溝に連通する位置において、最も内方へ窪んだ部位を言う。
上記構成の内燃機関用ピストンを備えた内燃機関では、オイルリングのレール部材のスカート側の端面がオイルリング溝のスカート側の壁面に当接していたとしても、上記クリアランスを介して、オイルリング溝と凹部とが連通される。これにより、オイルリングによって掻き取られたオイルが、上記クリアランスを通って凹部に流出される。そして、凹部に流出されたオイルは、クランクケース側へ戻され、オイルパンに回収される。
ここで、ピストンにおいて、ピストン本体の外周面にオイルリング溝に連通する凹部を設けたとしても、凹部の最深部の壁面と、オイルリングのレール部材の内周面との間に、クリアランスが発生していなければ、オイルリング溝内のオイルが凹部に流出されにくくなる。このため、ピストン本体にオイルリング溝とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設けなければ、オイルリング溝内にオイルが滞留しやすくなり、オイル上がりの発生や、オイル消費の増大を招く可能性がある。
これに対し、上記構成では、ピストン本体にオイルリング溝とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設けなくても、オイルをクランクケース側へ戻すことができ、効率的なオイル回収を行うことができる。これにより、オイルリング溝内におけるオイルの滞留が抑制されるので、オイル上がりの発生や、オイル消費の増大を抑制することができる。
しかも、凹部はピストン本体の外周面に設けられるため、その加工は、ピストン本体に上記ようなオイル戻し孔を設ける加工に比べて容易に行うことができる。したがって、ピストン本体に上記ようなオイル戻し孔を設ける場合に比べて、製造コストの低減を図ることができる。
本発明において、内燃機関のシリンダ内に配設された状態では、上記シリンダ内面からの上記凹部の最深部の深さが、上記レール部材のレール幅よりも大きく設定されていることが好ましい。この場合、最深部は、凹部のオイルリング溝に連通する位置において、シリンダの内壁面からの距離が最も大きい部位になる。
ここでは、上記クリアランスが設けられる具体的な構成を特定している。このような構成とすることで、凹部の最深部の壁面と、オイルリングのレール部材の内周面との間にクリアランスが発生する。したがって、このクリアランスを通って、オイルリングによって掻き取られたオイルが、クランクケース側へ戻され、オイルパンに回収される。このため、ピストン本体にオイルリング溝とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設けなくても、オイルをクランクケース側へ戻すことができ、効率的なオイル回収を行うことができる。これにより、オイルリング溝内におけるオイルの滞留が抑制されるので、オイル上がりの発生や、オイル消費の増大を抑制することができる。
本発明において、上記凹部は、ピストン本体のスラスト方向側および反スラスト方向側以外の部分に設けられていることが好ましい。
ここでは、ピストン本体における凹部の好ましい配設箇所を特定している。ピストンの往復移動の際、ピストン本体のスラスト方向側および反スラスト方向側の部分は、大きな荷重を受けるため、それらの部分に凹部を設けることは好ましくない。この構成では、凹部を、ピストン本体のスラスト方向側および反スラスト方向側以外の部分に設けるため、ピストン本体の耐久性を確保することが可能になる。
本発明において、上記凹部は、ピストン本体を成形する鋳型に突起を設けることによって形成されることことが好ましい。
ここでは、凹部の好ましい形成方法を特定している。この構成によれば、ピストン本体の成形後、凹部を形成するための加工を特に行わなくてもよくなる。これにより、ピストン本体に上記ようなオイル戻し孔を設ける場合に比べて、製造コストをさらに低減することができる。
本発明によれば、ピストン本体にオイルリング溝とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設けることなく、内燃機関おいてオイル消費の増大を抑制することができる。
実施形態に係るピストンの一部を破断して示す側面図である。 図1のピストンのオイルリングを部分的に示す斜視図である。 図1のピストンの概略底面図である。 図3のX1−X1線に沿った断面図である。 比較参考例を示す図4に対応する図である。 他の実施形態に係るピストンを示す図4に対応する図である。
本発明を実施するための形態について添付図面を参照しながら説明する。以下では、自動車用エンジンに用いられるピストンに本発明を適用した例について説明する。
まず、ピストンの全体的な概略構成について、図1、図2を参照して説明する。図1は、実施形態に係るピストンの一部を破断して示す側面図、図2は、図1のピストンのオイルリングを部分的に示す斜視図である。図1では、ピストンをエンジンのシリンダ内に組み付けた状態を示している。
図1に示すように、ピストン1は、ピストン本体10と、このピストン本体10に装着される3つのピストンリング20,30,40とを備えている。このピストン1は、エンジンの燃焼にともなってシリンダ50内を往復移動する。
ピストン本体10は、例えばアルミニウム合金のような軽量かつ熱伝導性に優れた金属材料で形成されている。このピストン本体10には、その外周面に軸心方向(ピストン往復方向)に並ぶ3つのリング溝(周溝)11,12,13が形成されている。リング溝11,12,13のうち、ピストン本体10の頭部側(燃焼室側)から1番目のトップリング溝11には、コンプレッションリングとしてのトップリング20が隙間を持つ状態で装着され、2番目のセカンドリング溝12には、同じくコンプレッションリングとしてのセカンドリング30が隙間を持つ状態で装着されている。また、頭部側から3番目、つまり、スカート側(クランクケース側)から1番目のオイルリング溝13には、オイルリング40が隙間を持つ状態で装着されている。なお、以下では、ピストン1が上下方向に往復移動することとし、燃焼室側を上側、クランクケース側を下側とする。
コンプレッションリングとしてのトップリング20およびセカンドリング30は、周方向の一箇所に合い口が形成された平面視ほぼC形の平板状部材からなっている。
オイルリング40は、図2に示すように、ピストン往復方向の上下に設けられた一対のサイドレール41,42と、これらサイドレール41,42の間に挟まれたエキスパンダ43とを組み合わせた3ピース構造になっている。上下のサイドレール41,42は、それぞれ周方向の一箇所に合い口が形成された平面視ほぼC形の平板状部材からなっている。上側のサイドレール41の上面41aは、オイルリング溝13の上側の壁面13bに当接可能となっており、下側のサイドレール42の下面42aは、オイルリング溝13の下側の壁面13cに当接可能となっている。
エキスパンダ43の弾性力は、上下のサイドレール41,42を外周方向に付勢する方向に作用している。このため、上下のサイドレール41,42に拡径するような張力が付与され、上下のサイドレール41,42がシリンダ50の内壁面50aに押し付けられるようになっている。
より具体的には、エキスパンダ43は、波型形状に形成されており、上向きに突出する凸部43aと下向きに突出する凸部43bとが周方向に交互に並んでいる。上向きの凸部43aの径方向内方側には、上側のサイドレール41の内周面41bを押圧するための耳部43cが上向きに突出するよう設けられている。凸部43aの径方向外方側には、サイドレール41を支持するためのサイドレール支持部43dが上向きに突出するよう設けられている。同様に、下向きの凸部43bの径方向内方側には、下側のサイドレール42の内周面42bを押圧するための耳部43eが下向きに突出するよう設けられている。凸部43bの径方向外方側には、サイドレール42を支持するためのサイドレール支持部43fが下向きに突出するよう設けられている。
上側のサイドレール41の上面41aと、オイルリング溝13の上側の壁面13bとの間には、ピストン1の往復移動の際、隙間が発生することで、その隙間を通じて径方向内外にオイルが流通できるようになっている。また、下側のサイドレール42の下面42aと、オイルリング溝13の下側の壁面13cとの間には、ピストン1の往復移動の際、隙間が発生することで、その隙間を通じて径方向内外にオイルが流通できるようになっている。さらに、エキスパンダ43の凸部43a,43bの空間を通じて径方向内外にオイルが流通できるようになっている。
これらピストンリング20,30,40は、一旦弾性的に拡径された状態でピストン本体10の各リング溝11,12,13内に組み入れられ、その弾性復元力によって縮径して、各リング溝11,12,13内に嵌め込まれる。この状態では、各ピストンリング20,30,40の外周部が、ピストン本体10の外周面から外方に突出している。具体的に、ピストン本体10において、頭部とトップリング溝11との間の外周部をトップランド部11aと呼び、トップリング溝11とセカンドリング溝12との間の外周部をセカンドランド部12aと呼び、セカンドリング溝12とオイルリング溝13との間の外周部をサードランド部13aと呼ぶ。つまり、各ピストンリング20,30,40の外周部が、各ランド部11a,12a,13aよりも外方に突出した状態になっている。
そして、各ピストンリング20,30,40を装着したピストン本体10をシリンダ50内に挿入する際には、各ピストンリング20,30,40を弾性的に縮径させた状態でシリンダ50内に挿入することになる。このため、ピストン1をシリンダ50内に組み付けた状態では、各ピストンリング20,30,40がその弾性力によってシリンダ50の内壁面50aに押し付けられる。したがって、ピストン1がシリンダ50内を往復移動する際、各ピストンリング20,30,40がシリンダ50の内壁面50aに摺接することになる。これにより、トップリング20およびセカンドリング30は、燃焼室の気密性を保持する機能を果たす。また、オイルリング40は、シリンダ50の内壁面50aに残存するオイルをオイルパン(クランクケース側)に向けて掻き落とす機能や、逆止弁効果によってオイルをサードランド部13a側に送りにくくする機能を果たす。
ピストン1のピストン本体10には、ピストンピン53を介してコネクティングロッド51の小端部52が揺動可能に連結されている。ピストンピン53は、ピストン本体10のピンボス部14に形成されたピストンピン孔15に挿入されている。ピンボス部14は、ピストン本体10の外周よりも内側に形成されたサイドウォール部16に設けられている。サイドウォール部16は、ピストン本体10のオイルリング溝13よりも下側の外周部であるスカート部17に接続されている。スカート部17は、ピストン本体10のスラスト方向側および反スラスト方向側の部分に設けられている。なお、ピストンピン孔15に挿入されるピストンピン53が延びる方向(ピストン1にコネクティングロッド51を介して連結されるクランクシャフトが延びる方向)を、エンジンフロント方向およびエンジンリヤ方向とし、それに直交する方向を、スラスト方向および反スラスト方向としている。
この実施形態では、上述のように構成されるピストン1において、ピストン本体10の外周面には、オイルリング溝13に連通し、且つ、ピストン本体10のスカート側(クランクケース側)に開放するオイルスリット18が少なくとも1つ形成されており、オイルスリット18の最深部18aの壁面18bと、オイルリング40のサイドレール42の内周面42bとの間には、クリアランスC1が設けられていることを特徴としている。以下、この特徴部分について、図1〜図4を参照して詳しく説明する。図3は、図1のピストンの概略底面図であり、オイルスリットの横断面形状を示している。図4は、図3のX1−X1線に沿った断面図であり、オイルスリットの縦断面形状を示している。なお、図3では、コネクティングロッド51、ピストンピン53の図示を省略している。
図3に示すように、ピストン本体10の外周面には、内側に窪むオイルスリット18が周方向に所定の間隔をあけて4つ形成されている。オイルスリット18は、ほぼ90度おきに1つずつ設けられている。この場合、オイルスリット18は、ピストン本体10のスラスト方向側および反スラスト方向側以外の部分に設けられている。また、オイルスリット18は、ピストン本体10のエンジンフロント方向側およびエンジンリヤ方向側以外の部分に設けられている。
オイルスリット18は、図4に示すように、ピストン本体10のオイルリング溝13から下方に向けて直線状に延びるように形成されており、下方に開放された形状となっている。オイルスリット18は、ピストン本体10を成形する鋳型にオイルスリット18の形状に対応する形状の突起を設けることによって形成される。
図3に示すように、シリンダ50の内壁面50aからのオイルスリット18の最深部18aの深さD1は、オイルリング40の下側のサイドレール42のレール幅(径方向の幅)W1よりも大きく設定されている(D1>W1)。そして、オイルスリット18の最深部18aの壁面18bと、サイドレール42の内周面42bとの間には、クリアランスC1が発生している。下から見ると、図3に示すように、オイルスリット18の壁面と、サイドレール42の内周面42bとによって空間が形成されている。ここで、最深部18aは、オイルスリット18の最も上方の位置、つまり、オイルリング溝13に連通する位置において、最も内方へ窪んだ部位、言い換えれば、シリンダ50の内壁面50aからの距離が最も大きい部位を言う。
この実施形態では、ピストン1のピストン本体10の外周面に、上述のようなオイルスリット18が設けられるので、ピストン1を備えたエンジンにおいて、次のような効果が得られる。
オイルリング40の下側のサイドレール42の下面42aがオイルリング溝13の下側の壁面13cに当接していたとしても、クリアランスC1を介して、オイルリング溝13とオイルスリット18とが連通する。これにより、ピストン1の往復移動にともなってオイルリング40によって掻き取られたオイルが、クリアランスC1を通ってオイルスリット18に流出される。つまり、クリアランスC1が、オイルリング40によって掻き取られたオイルの流出口として機能する。そして、オイルスリット18に流出されたオイルは、クランクケース側へ戻され、オイルパンに回収される。
ここで、図5の比較参考例に示すように、ピストン101において、ピストン本体110の外周面にオイルリング溝113に連通するオイルスリット118を設けたとしても、オイルスリット118の最深部118aの壁面118bと、オイルリング140の下側のサイドレール142の内周面142bとの間に、クリアランスが発生していなければ、オイルリング溝113内のオイルがオイルスリット118に流出されにくくなる。この場合、シリンダ150の内壁面150aからのオイルスリット118の最深部118aの深さD3が、オイルリング140の下側のサイドレール142のレール幅(径方向の幅)W3よりも小さく設定されている(D3<W3)。そのため、ピストン本体110にオイルリング溝113とピストン本体110の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設けなければ、オイルリング溝113内にオイルが滞留しやすくなり、オイル上がりの発生や、オイル消費の増大を招く可能性がある。
これに対し、この実施形態では、ピストン本体10にオイルリング溝13とピストン本体10の内側の空間A1とを連通するオイル戻し孔を設けなくても、オイルをクランクケース側へ戻すことができ、効率的なオイル回収を行うことができる。これにより、オイルリング溝13内におけるオイルの滞留が抑制されるので、オイル上がりの発生や、オイル消費の増大を抑制することができる。
しかも、オイルスリット18は、ピストン本体10の成形用の鋳型に突起を設けることによって形成されるため、ピストン本体10の成形後、オイルスリット18を形成するための加工を特に行わなくてもよい。したがって、ピストン本体10に上記ようなオイル戻し孔を設ける場合に比べて、製造コストの低減を図ることができる。
ここで、ピストン1の往復移動の際、ピストン本体10のスラスト方向側および反スラスト方向側の部分は、大きな荷重を受けるため、それらの部分にオイルスリット18を設けることは好ましくない。この実施形態では、ピストン本体10のスラスト方向側および反スラスト方向側以外の部分にオイルスリット18を設けているため、ピストン本体10の耐久性を確保することが可能になる。
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここに示した実施形態は一例であり、さまざまに変形することが可能である。
上記実施形態では、3ピース構造のオイルリングを用いたが、上下一体のサイドレールと、このサイドレールの内周側に配置されるエキスパンダとによって構成される2ピース構造のオイルリングを用いてもよい。
具体的には、図6に示すように、ピストン本体10のオイルリング溝13に装着されるオイルリング60は、断面ほぼコ字状のサイドレール61と、このサイドレール61の内周側に取り付けられたコイルエキスパンダ63とを組み合わせた2ピース構造になっている。サイドレール61は、周方向の一箇所に合い口が形成された平面視ほぼC形に形成されている。サイドレール61の内底部には、径方向内外に貫通する通孔64が周方向に等間隔で複数設けられている。このサイドレール61の上面61aが、オイルリング溝13の上側の壁面13bに当接可能となっており、下側のサイドレール61の下面61bが、オイルリング溝13の下側の壁面13cに当接可能となっている。
コイルエキスパンダ63の弾性力は、サイドレール61を外周方向に付勢する方向に作用している。このため、サイドレール61に拡径するような張力が付与され、このサイドレール61がシリンダ50の内壁面50aに押し付けられるようになっている。
図6に示すように、シリンダ50の内壁面50aからのオイルスリット18の最深部18aの深さD2は、オイルリング60のサイドレール61のレール幅(径方向の幅)W2よりも大きく設定されている。そして、オイルスリット18の最深部18aの壁面18bと、サイドレール61の内周面61cとの間には、クリアランスC2が発生している。そして、このような2ピース構造のオイルリング60を用いた場合にも、上述した3ピース構造のオイルリング40を用いた場合と同様の効果が得られる。
オイルスリットの形状、数や、配設箇所などは特に限定されず、エンジンにおけるオイル消費を良好に保つことが可能であれば、適宜変更することが可能である。例えば、オイルスリットの横断面形状や、縦断面形状は、図3、図4に示す形状以外であってもよい。また、オイルスリットがピストン本体のスカート部に設けられていもよい。この場合、オイルスリットを、オイルリング溝からスカート部の下端まで延びる構成とすればよい。なお、上述したように、ピストン本体10の耐久性を確保するために、ピストン本体のスラスト方向側および反スラスト方向側以外の部分にオイルスリットを設けることが好ましい。
オイルスリットをピストン本体の成形後に形成するようにしてもよい。この場合にも、オイルスリットはピストン本体の外周面に設けられるため、その加工は、ピストン本体に上記ようなオイル戻し孔を設ける加工に比べて容易に行うことができ、製造コストの低減を図ることができる。
ピストン本体に装着されるピストンリングが3つ以外であるピストンに対しても、本発明を適用可能である。例えば、1つのコンプレッションリングと1つのオイルリングとを用いるタイプのピストンにも本発明を適用できる。
本発明は、内燃機関に用いられるピストンに利用できる。詳細には、本発明は、ピストン本体にオイルリング溝とピストン本体の内側の空間とを連通するオイル戻し孔を設けることなく、内燃機関におけるオイル消費の増大を抑制することが可能なピストンとして有用である。
1 ピストン
10 ピストン本体
13 オイルリング溝
13c 下側の壁面
18 オイルスリット(凹部)
18a 最深部
18b 最深部の壁面
D1 最深部の深さ
40 オイルリング
41,42 サイドレール(レール部材)
42a 下面
42b 内周面
W1 レール幅
43 エキスパンダ
50 シリンダ
50a 内壁面
C1 クリアランス

Claims (4)

  1. ピストン本体の外周面に、レール部材と、レール部材を外周方向に付勢するエキスパンダとによって構成されるオイルリングが装着されるオイルリング溝を備えた内燃機関用ピストンであって、
    上記レール部材のスカート側の端面が、上記オイルリング溝のスカート側の壁面に当接可能に設けられており、
    上記ピストン本体の外周面には、上記オイルリング溝に連通し、且つ、ピストン本体のスカート側に開放する凹部が少なくとも1つ形成されており、
    上記凹部の最深部の壁面と、上記レール部材の内周面との間には、クリアランスが設けられていることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    内燃機関のシリンダ内に配設された状態では、上記シリンダ内面からの上記凹部の最深部の深さが、上記レール部材のレール幅よりも大きく設定されていることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  3. 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    上記凹部は、ピストン本体のスラスト方向側および反スラスト方向側以外の部分に設けられていることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関用ピストンにおいて、
    上記凹部は、ピストン本体を成形する鋳型に突起を設けることによって形成されることことを特徴とする内燃機関用ピストン。
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