JP2010163055A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2010163055A JP2009007088A JP2009007088A JP2010163055A JP 2010163055 A JP2010163055 A JP 2010163055A JP 2009007088 A JP2009007088 A JP 2009007088A JP 2009007088 A JP2009007088 A JP 2009007088A JP 2010163055 A JP2010163055 A JP 2010163055A
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勝之 高久
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Abstract

【課題】タイヤ質量の軽量化を図りつつベルトエッヂセパレーションの発生を抑制することで、タイヤの軽量性とベルト耐久性とをより高度に両立させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ベルトの1層目の第1ベルト層5aと2層目の第2ベルト層5bがともに、フィラメント径0.18〜0.26mmのモノフィラメントコード6が、5〜7本にて引き揃えた束を単位としベルト幅方向に並置されてコーティングゴム8中に埋設されてなり、かつ、第2ベルト層5b端部における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとのモノフィラメントコード6間のゴム層のゲージHが、タイヤ中央部における当該ゲージHに対して1.3〜2.0倍の比率であり、さらに、比率を確保するために配置するゴム層7を構成するゴム組成物が、天然ゴム分子中に極性基を含有する変性天然ゴム、および合成イソプレンゴムのうち少なくとも1種を含む空気入りタイヤである。
【選択図】図2

Description

本発明は空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、ベルトコードの改良により耐久性と軽量性とを両立させた空気入りタイヤ、特には、乗用車用として好適な空気入りタイヤに関する。
近年、自動車の燃費を向上させるために、タイヤを軽量化する要求は益々高まってきている。従来の撚りスチールコードを用いるベルト部での軽量化を考える際、引張強度を一定以上確保することを前提とすると、スチールベルト層のコーティングゲージを薄くするしかない。
このような観点から、金属モノフィラメントを撚らずにベルト用コードとして使用する技術が開発され、これまでに種々提案がなされている。例えば、特許文献1では、燃費の向上および乗り心地の改良を目的として、金属線材(モノフィラメント)の3または4本を撚り合わせることなくベルトの幅方向に並べて引き揃えた束を単位としてゴムに埋設して成るベルトを備える空気入りラジアルタイヤが提案されている。また、特許文献2ではタイヤの軽量化ニーズに対応するためと、金属線の折れによる耐久性の低下等の不具合を解決するために、ベルト層が、金属モノフィラメントがベルトプライ幅方向に所定の条件下で並べられて被覆ゴム中に埋設されている3枚のベルトプライで構成されている空気入りラジアルタイヤが提案されている。
さらに、特許文献3には、ベルト端セパレーションの発生を抑制し、ベルト耐久性の改善と、タイヤ質量の軽量化とを両立した空気入りラジアルタイヤを得るために、2層目の第2ベルト層端部における第1ベルトと第2ベルトのモノフィラメントコード間のゲージをタイヤ中央部におけるゲージの1.3〜3.0倍とする技術が開示されている。さらにまた、特許文献4には、金属モノフィラメントの径を0.15mm〜0.26mmで、かつ、束の本数を5〜7本とし、耐久性と軽量化を高次元で両立させる技術が開示されている。
また、従来、耐ベルトエッヂセパレーション(BES)性を向上させるためにゴム組成物の物理的特性をコントロールしてベルトエッヂセパレーションの抑制を図っている。例えば、特許文献5には、50%伸張時の引っ張り強度を規定したゴム組成物、特許文献6には、動的弾性率を規定したゴム組成物、特許文献7には、100%伸張時の引っ張り強度と破断時の伸び率を規定したゴム組成物が、それぞれ開示されている。
特開平11−208210号公報(特許請求の範囲等) 特開2001−334810号公報(特許請求の範囲等) 特開2005−349999号公報(特許請求の範囲等) 特開2007−302203号公報(特許請求の範囲等) 特開平5−124129号公報(特許請求の範囲等) 特開平7−251605号公報(特許請求の範囲等) 特許第2971484号公報(特許請求の範囲等)
これまでに提案されているように、モノフィラメントコードをベルトに適用することで、コード中心間のゲージをあわせて設計した場合でも層間のゴムゲージを確保することができ、層間のゲージを合わせて設計することにより、タイヤの軽量化を図ることが可能となるが、その一方で、以下のような問題があった。まず、タイヤ径方向のコード間隔が密になるため、隣接コードからの亀裂が進展し易いという問題である。次に、ベルト面内に占めるスチールコード使用量が大きいため、層間せん断歪みが増加するという問題である。このような問題がある結果として、モノフィラメントコードを用いたベルトでは、通常の撚りコードを使用した場合に比べてベルトエッヂセパレーション(BES)が起こり易くなっていた。なお、コーティングゴムのゲージを増加させることで、BESの発生は抑制されるが、当然、質量増となるため、所期の目的であるタイヤの軽量化には背反することとなる。
上記特許文献3に記載の技術によれば、ベルト層にモノフィラメントコードを用いたタイヤにおいて、BESの起点となるベルト端部においてベルト間ゴムのゲージを増加させることで、ベルト端における歪を抑制して、耐BES性を向上することが可能である。さらに特許文献4の技術によればコードの配列条件をコントロールし耐BES性を向上させていた。しかしながら、耐BES性を確保するにはベルト端部のゴムゲージは厚く設定しなければならない場合があり、軽量化の要求を十分に満たせていなかった。
また、特許文献5〜7記載のゴム組成物は、ゴム組成物自体の亀裂成長性を向上させることについては考慮されず、ゴム組成物が耐亀裂成長性に優れ、ベルト端のゴムゲージが薄くても耐BES性を確保できるものが望まれている。
そこで本発明の目的は、上記従来技術における問題を解消して、タイヤ質量の軽量化を図りつつベルトエッヂセパレーションの発生を抑制することで、タイヤの軽量性とベルト耐久性とをより高度に両立させた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、モノフィラメントコードを適用したベルトにおいて、コード間のゲージを厚くすることに加えて、コードのフィラメント径およびコード本数を所定範囲に限定し、さらには使用するゴム組成物を耐亀裂成長性に優れたものを使用することにより、ベルト端のゴムゲージが薄くても耐BES性を確保でき、さらなる軽量化と耐久性との両立をより高度に実現したタイヤが得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、左右一対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトと、を備える空気入りタイヤにおいて、
前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層がともに、フィラメント径0.18〜0.26mmのモノフィラメントコードが、5〜7本にて引き揃えた束を単位としベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されてなり、かつ、前記第2ベルト層端部における第1ベルト層と第2ベルト層とのモノフィラメントコード間のゴム層のゲージHが、タイヤ中央部における当該ゲージHに対して1.3〜2.0倍の比率であり、
さらに、前記比率を確保するために配置するゴム層を構成するゴム組成物が、天然ゴム分子中に極性基を含有する変性天然ゴム、および合成イソプレンゴムのうち少なくとも1種を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の他の空気入りタイヤは、左右一対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトと、を備える空気入りタイヤにおいて、
前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層がともに、フィラメント径0.18〜0.26mmのモノフィラメントコードが、5〜7本にて引き揃えた束を単位としベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されてなり、かつ、前記第2ベルト層端部における第1ベルト層と第2ベルト層とのモノフィラメントコード間のゴム層のゲージHが、タイヤ中央部における当該ゲージHに対して1.3〜2.0倍の比率であり、
さらに、前記比率を確保するために配置するゴム層を構成するゴム組成物が、(i)カーボンブラックを界面活性剤の不存在下、高せん断ミキサーを用いて水分散させることによってスラリー溶液を調整する工程と、(ii)該スラリー溶液と、天然ゴムラテックスおよび合成イソプレンゴムラテックスのうち少なくとも1種とを混合する工程と、を含む方法によって製造されたゴムマスターバッチを用いて得たものであることを特徴とするものである。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記ベルト層のコーティングゴムを構成するゴム組成物が、天然ゴム分子中に極性基を含有する変性天然ゴム、および合成イソプレンゴムのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、本発明の他の空気入りタイヤは、前記ベルト層のコーティングゴムを構成するゴム組成物が、(i)カーボンブラックを界面活性剤の不存在下、高せん断ミキサーを用いて水分散させることによってスラリー溶液を調整する工程と、(ii)該スラリー溶液と、天然ゴムラテックスおよび合成イソプレンゴムラテックスのうち少なくとも1種とを混合する工程と、を含む方法によって製造されたゴムマスターバッチを用いて得たものであることが好ましい。
また、本発明において、前記モノフィラメントコード束間のベルト幅方向距離が、0.4mmを超え1.2mm未満であることが好ましく、前記モノフィラメントコード束の打ち込み数が、18〜32束/50mmであることが好ましい。
本発明によれば、タイヤ質量の軽量化を図りつつベルトエッヂセパレーションの発生を抑制することで、タイヤの軽量性とベルト耐久性とをより高度に両立させた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の一好適例の空気入りタイヤを示す片側断面図である。 ベルト層の端部近傍を示す拡大部分断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤを示す。図示するタイヤは、カーカスのクラウン領域に配設されて接地部を形成するトレッド部1と、このトレッド部1の両側部に連続してタイヤ半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内周側に連続するビード部3とを備えている。
トレッド部1、サイドウォール部2およびビード部3は、一方のビード部3から他方のビード部3にわたってトロイド状に延びる一枚のカーカス層からなるカーカス4により補強されている。また、トレッド部1は、以下で詳述する、カーカス4のクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設した少なくとも2層、図示する例では2層の第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとからなるベルトにより補強されている。ここで、カーカス4のカーカス層は複数枚としてもよく、タイヤ周方向に対してほぼ直交する方向、例えば、70〜90°の角度で延びる有機繊維コードを好適に用いることができる。
図2に、本発明のタイヤにおけるベルト端部の幅方向断面を拡大して示す。図示するように、本発明においては、ベルトの、1層目の第1ベルト層5aと2層目の第2ベルト層5bがともに、モノフィラメントコード6が5〜7本、図示する例では6本にて引き揃えた束を単位とし、ベルト幅方向に並置されてコーティングゴム8中に埋設されてなる。
即ち、前述したように、BESの起点となるベルト端の歪を抑制するため、コード間ゴムのゲージを増加させることで、耐BES性を向上することは可能である。但し、コード間のタイヤ幅方向距離、即ちコード間隔wが0.4mm以下と密である場合には、隣接コード間で亀裂がつながりやすく、ベルト間ゴムの効果だけでは不十分で、従来コード対比では耐BES性に劣る結果となってしまう。また、コード間隔wが1.2mm以上と極めて疎である場合においても、コードに沿った亀裂進展が速く、やはり耐BES性に劣る結果となってしまう。そこで本発明においては、モノフィラメントコードを5〜7本の束にしてベルトに適用することで、総強力を保ちつつ、コード間隔wを適切な範囲に確保して、良好な耐BES性を得たものである。従って、以上のような理由より、本発明においては、モノフィラメントコード束間のベルト幅方向距離wが、0.4mmを超え1.2mm未満であることが好ましい。
また、ベルト折れ性を考慮すると、モノフィラメントコードのフィラメント径は、0.18〜0.26mm、特には、0.20〜0.24mmとすることが必要である。フィラメント径が0.18mmより細くなると8の字旋回走行時のバックリング波長が短くなり、その際に生ずる表面歪が大きくなり、ベルト折れ性に劣る結果となる。一方、0.26mmより大きくなると表面歪が大きくなり、やはりベルト折れ性に劣る結果となる。
また、モノフィラメントコード6の引張り強さは、好適には2700N/mm以上である。高い抗張力を有するモノフィラメントコードとしては、少なくとも0.7質量%、特には少なくとも0.8質量%の炭素を含有するものを、好適に用いることができる。
また、本発明において、第2ベルト層5b端部における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとのモノフィラメントコード6間のゴム層のゲージHは、タイヤ中央部における当該ゲージHに対して1.3〜2.0倍の比率である。薄ゲージでコーティングしたモノフィラメントコードに、ベルト端において厚ゲージのベルト間ゴムを適用することで、タイヤの軽量化とベルト耐久性を両立させることができる。この値が1.3倍未満であるとベルト端セパレーションの抑制が十分ではなく、一方、2.0倍を超えるとタイヤの軽量化が十分とはいえなくなる。
なお、本発明において、モノフィラメントコード束の打ち込み数は、好適には18〜32束/50mm程度である。打ち込み数が少なすぎると引っ張り強度を確保することが困難となり、多すぎるとコード間隔を確保することが困難となり、いずれも好ましくない。
本発明において、上記のように、ベルト端における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bのモノフィラメントコード6間のゴム層のゲージHをタイヤ中央部のゲージHに比し厚くするには、第2ベルト層5b端部における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとの間にゴム層(ベルト間ゴム)7を配設すればよい。ゴム層7の弾性率は、好ましくはベルトコーティングゴム8の弾性率の1.02〜2.0倍、特には1.1〜1.8倍とする。この弾性率の範囲内とするとき、ベルト端の歪が良好に抑制され、高次元にタイヤ質量の軽量化とベルト耐久性とを両立させることができる。
また、ゴム層7の正接損失tanδ(25℃)は、好ましくは0.20以下であり、特には、ベルトコーティングゴム8のtanδ(25℃)の0.85〜0.98倍である。ゴム層7として、このように低ロスのゴムを使用することにより、ベルト端の歪が抑制されるとともに、タイヤ温度の上昇が抑制される。
本発明の空気入りタイヤは、ゴム層7を構成するゴム組成物が、天然ゴム分子中に極性基を含有する変性天然ゴム、および合成イソプレンゴムのうち少なくとも1種を含むものである。また、ベルト層のコーティングゴム8を構成するゴム組成物も、該変性天然ゴムおよび合成イソプレンゴムのうち少なくとも1種を含むものでもよい。該変性天然ゴムは、未変性の天然ゴムに比べてカーボンブラックに対する親和性が高い。そのため、変性天然ゴムとカーボンブラックとを用いたゴム組成物は、ゴム成分に対するカーボンブラックの分散性が著しく高くなり、カーボンブラックの補強効果が充分に発揮されて、破壊特性に優れ、さらに低発熱性(低ロス性)が大幅に向上している。
上記変性天然ゴムの極性基は、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基及びスズ含有基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
本発明において、ゴム組成物を構成するゴム成分は、ゴム組成物の破壊特性の観点から、変性天然ゴムおよび合成イソプレンゴムの少なくとも1種を含むものであるが、これら以外に配合するゴム成分としては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等種々の合成ゴムが挙げられる。なお、該ゴム成分は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記変性天然ゴムの製造には、原料として、天然ゴムラテックスを用いてもよいし、天然ゴム、天然ゴムラテックス凝固物及び天然ゴムカップランプからなる群から選択される少なくとも一種の固形天然ゴム原材料を用いてもよい。
例えば、天然ゴムラテックスを原料とする場合は、極性基含有変性天然ゴムラテックスを製造し、更に凝固及び乾燥させることで、極性基含有変性天然ゴムを得ることができる。ここで、極性基含有変性天然ゴムラテックスの製造方法としては、特に限定されず、例えば、(A1)天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させる方法、(A2)天然ゴムラテックスに極性基含有メルカプト化合物を添加し、該極性基含有メルカプト化合物を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に付加させる方法、(A3)天然ゴムラテックスに極性基含有オレフィン及びメタセシス触媒を加え、該メタセシス触媒によって天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に極性基含有オレフィンを反応させる方法が挙げられる。
上記変性天然ゴムの製造に用いる天然ゴムラテックスとしては、特に限定されず、例えば、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱タンパク質ラテックス、及びこれらを組み合わせたもの等を用いることができる。
上記天然ゴムラテックスに添加される極性基含有単量体は、分子内に少なくとも一つの極性基を有し、天然ゴム分子とグラフト重合できる限り特に制限されるものでない。ここで、該極性基含有単量体は、天然ゴム分子とグラフト重合するために、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましく、極性基含有ビニル系単量体であることが好ましい。上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基、及びスズ含有基等を好適に挙げることができる。これら極性基を含有する単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アミノ基を含有する単量体としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を含有する重合性単量体が挙げられる。該アミノ基を有する重合性単量体の中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有単量体が特に好ましい。これらアミノ基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
ここで、第1級アミノ基含有単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、4−ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、第2級アミノ基含有単量体としては、(1)アニリノスチレン、β−フェニル−p−アニリノスチレン、β−シアノ−p−アニリノスチレン、β−シアノ−β−メチル−p−アニリノスチレン、β−クロロ−p−アニリノスチレン、β−カルボキシ−p−アニリノスチレン、β−メトキシカルボニル−p−アニリノスチレン、β−(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−β−メチル−p−アニリノスチレン、α−カルボキシ−β−カルボキシ−β−フェニル−p−アニリノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン、3−アニリノフェニル−2−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド等のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
更に、第3級アミノ基含有単量体としては、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられ、これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
また、上記N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物等が挙げられ、これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
上記ニトリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらニトリル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ヒドロキシル基を含有する単量体としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級及び第3級ヒドロキシル基を有する重合性単量体が挙げられる。かかる単量体としては、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系単量体等が挙げられる。ここで、ヒドロキシル基含有単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23である)のモノ(メタ)アクリレート類;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物が好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が特に好ましい。ここで、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエステルが特に好ましい。これらヒドロキシル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記カルボキシル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステルのような遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が特に好ましい。これらカルボキシル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記エポキシ基を含有する単量体としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−オキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらエポキシ基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記含窒素複素環基を含有する単量体において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有する単量体としては、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等のピリジル基含有ビニル化合物等が挙げられ、これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が特に好ましい。これら含窒素複素環基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アルコキシシリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6−トリメトキシシリル−1,2−ヘキセン、p−トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記スズ含有基を有する単量体としては、アリルトリ−n−ブチルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリ−n−オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−ブチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−オクチルスズ、ビニルトリ−n−ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ−n−オクチルスズ等のスズ含有単量体を挙げることができる。これらスズ含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合は、上記極性基含有単量体の天然ゴム分子へのグラフト重合を、乳化重合で行う。ここで、該乳化重合においては、一般的に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた溶液中に、上記極性基含有単量体を加え、更に重合開始剤を加えて、所定の温度で撹拌して極性基含有単量体を重合させることが好ましい。なお、上記極性基含有単量体の天然ゴムラテックスへの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有単量体を乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックス中に加えてもよい。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有単量体の乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
上記重合開始剤としては、特に制限はなく、種々の乳化重合用の重合開始剤を用いることができ、その添加方法についても特に制限はない。一般に用いられる重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。なお、重合温度を低下させるためには、レドックス系の重合開始剤を用いることが好ましい。かかるレドックス系重合開始剤において、過酸化物と組み合せる還元剤としては、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。レドックス系重合開始剤における過酸化物と還元剤との好ましい組み合せとしては、tert−ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミンとの組み合せ等が挙げられる。
上記変性天然ゴムを用いて、ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性及び破壊特性を向上させるためには、各天然ゴム分子に上記極性基含有単量体が少量且つ均一に導入されることが重要であるため、上記重合開始剤の添加量は、上記極性基含有単量体に対し1〜100mol%の範囲が好ましく、10〜100mol%の範囲が更に好ましい。
上述した各成分を反応容器に仕込み、30〜80℃で10分〜7時間反応させることで、天然ゴム分子に上記極性基含有単量体がグラフト共重合した変性天然ゴムラテックスが得られる。また、該変性天然ゴムラテックスを凝固させ、洗浄後、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等の乾燥機を用いて乾燥することで変性天然ゴムが得られる。ここで、変性天然ゴムラテックスを凝固するのに用いる凝固剤としては、特に限定されるものではないが、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。
上記天然ゴムラテックスに添加されて、該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に付加反応する極性基含有メルカプト化合物は、分子内に少なくとも一つのメルカプト基と該メルカプト基以外の極性基とを有する限り特に制限されるものでない。上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基、及びスズ含有基等を好適に挙げることができる。これら極性基を含有するメルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アミノ基を含有するメルカプト化合物としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を有するメルカプト化合物が挙げられる。該アミノ基を有するメルカプト化合物の中でも、第3級アミノ基含有メルカプト化合物が特に好ましい。ここで、第1級アミノ基含有メルカプト化合物としては、4−メルカプトアニリン、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトプロピルアミン、3−メルカプトプロピルアミン、2−メルカプトブチルアミン、3−メルカプトブチルアミン、4−メルカプトブチルアミン等が挙げられる。また、第2級アミノ基含有メルカプト化合物としては、N−メチルアミノエタンチオール、N−エチルアミノエタンチオール、N−メチルアミノプロパンチオール、N−エチルアミノプロパンチオール、N−メチルアミノブタンチオール、N−エチルアミノブタンチオール等が挙げられる。更に、第3級アミノ基含有メルカプト化合物としては、N,N−ジメチルアミノエタンチオール、N,N−ジエチルアミノエタンチオール、N,N−ジメチルアミノプロパンチオール、N,N−ジエチルアミノプロパンチオール、N,N−ジメチルアミノブタンチオール、N,N−ジエチルアミノブタンチオール等のN,N−ジ置換アミノアルキルメルカプタン等が挙げられる。これらアミノ基含有メルカプト化合物の中でも、2−メルカプトエチルアミン及びN,N−ジメチルアミノエタンチオール等が好ましい。これらアミノ基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ニトリル基を有するメルカプト化合物としては、2−メルカプトプロパンニトリル、3−メルカプトプロパンニトリル、2−メルカプトブタンニトリル、3−メルカプトブタンニトリル、4−メルカプトブタンニトリル等が挙げられ、これらニトリル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ヒドロキシル基を含有するメルカプト化合物としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級又は第3級ヒドロキシル基を有するメルカプト化合物が挙げられる。該ヒドロキシル基含有メルカプト化合物の具体例としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、4−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−1−ヘキサノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプトベンジルアルコール、2−メルカプトフェノール、4−メルカプトフェノール等が挙げられ、これらの中でも、2−メルカプトエタノール等が好ましい。これらヒドロキシル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記カルボキシル基を含有するメルカプト化合物としては、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、メルカプトマロン酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸等が挙げられ、これらの中でも、メルカプト酢酸等が好ましい。これらカルボキシル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記含窒素複素環基を含有するメルカプト化合物において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有するメルカプト化合物としては、2−メルカプトピリジン、3−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、5−メチル−2−メルカプトピリジン、5−エチル−2−メルカプトピリジン等が挙げられ、また、他の含窒素複素環基を含有するメルカプト化合物としては、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン等が好ましい。これら含窒素複素環基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アルコキシシリル基を含有するメルカプト化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましい。これらアルコキシシリル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記スズ含有基を有するメルカプト化合物としては、2−メルカプトエチルトリ−n−ブチルスズ、2−メルカプトエチルトリメチルスズ、2−メルカプトエチルトリフェニルスズ、3−メルカプトプロピルトリ−n−ブチルスズ、3−メルカプトプロピルトリメチルスズ、3−メルカプトプロピルトリフェニルスズ等のスズ含有メルカプト化合物を挙げることができる。これらスズ含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記極性基含有メルカプト化合物を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に付加させる場合は、一般に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた溶液中に、上記極性基含有メルカプト化合物を加え、所定の温度で攪拌することで、上記極性基含有メルカプト化合物を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子の主鎖の二重結合に付加反応させる。なお、上記極性基含有メルカプト化合物の天然ゴムラテックスへの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有メルカプト化合物を乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックスに加えてもよい。また、必要に応じて、更に有機過酸化物を添加することもできる。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有メルカプト化合物の乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性及び耐破壊性を向上させるには、各天然ゴム分子に上記極性基含有メルカプト化合物が少量且つ均一に導入されることが重要であるため、上記変性反応は、撹拌しながら行うことが好ましく、例えば、天然ゴムラテックス及び極性基含有メルカプト化合物等の上記成分を反応容器に仕込み、30〜80℃で10分〜24時間反応させることで、天然ゴム分子に上記極性基含有メルカプト化合物が付加した変性天然ゴムラテックスが得られる。
上記天然ゴムラテックスに添加される極性基含有オレフィンは、分子内に少なくとも一つの極性基を有し、また、天然ゴム分子とクロスメタセシス反応するために炭素−炭素二重結合を有する。ここで、上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基及びスズ含有基等を好適に挙げることができる。これら極性基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アミノ基を含有するオレフィンとしては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を含有するオレフィンが挙げられる。該アミノ基を有するオレフィンの中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有オレフィンが特に好ましい。これらアミノ基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
ここで、第1級アミノ基含有オレフィンとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、4−ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、第2級アミノ基含有オレフィンとしては、(1)アニリノスチレン、β−フェニル−p−アニリノスチレン、β−シアノ−p−アニリノスチレン、β−シアノ−β−メチル−p−アニリノスチレン、β−クロロ−p−アニリノスチレン、β−カルボキシ−p−アニリノスチレン、β−メトキシカルボニル−p−アニリノスチレン、β−(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−β−メチル−p−アニリノスチレン、α−カルボキシ−β−カルボキシ−β−フェニル−p−アニリノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン、3−アニリノフェニル−2−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド等のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
更に、第3級アミノ基含有オレフィンとしては、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられ、これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
また、上記N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物等が挙げられ、これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
上記ニトリル基を含有するオレフィンとしては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらニトリル基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ヒドロキシル基を含有するオレフィンとしては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級及び第3級ヒドロキシル基を有するメタセシス反応性オレフィンが挙げられる。かかるオレフィンとしては、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系オレフィン、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系オレフィン、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系オレフィン等が挙げられる。ここで、ヒドロキシル基含有オレフィンの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23である)のモノ(メタ)アクリレート類;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系オレフィン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物が好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系オレフィンが特に好ましい。ここで、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系オレフィンとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエステルが特に好ましい。これらヒドロキシル基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記カルボキシル基を含有するオレフィンとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステルのような遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が特に好ましい。これらカルボキシル基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記エポキシ基を含有するオレフィンとしては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−オキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらエポキシ基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記含窒素複素環基を含有するオレフィンにおいて、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有するオレフィンとしては、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等のピリジル基含有ビニル化合物等が挙げられ、これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が特に好ましい。これら含窒素複素環基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アルコキシシリル基を含有するオレフィンとしては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6−トリメトキシシリル−1,2−ヘキセン、p−トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記スズ含有基を有するオレフィンとしては、アリトリ−n−ブチルスズ、アリトリメチルスズ、アリトリフェニルスズ、アリトリ−n−オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−ブチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−オクチルスズ、ビニルトリ−n−ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ−n−オクチルスズ等のスズ含有単量体を挙げることができる。これらスズ含有オレフィンは、一種単独でもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
メタセシス触媒によって天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に極性基含有オレフィンを反応させる場合は、一般に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた溶液中に、上記極性基含有オレフィンを加え、更にメタセシス触媒を加えて、所定の温度で撹拌して天然ゴム分子と極性基含有オレフィンをメタセシス反応させる。ここで、上記極性基含有オレフィンの天然ゴムラテックスへの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有オレフィンを乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックス中に加えてもよい。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有オレフィンの乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
上記メタセシス触媒としては、天然ゴム分子と上記極性基含有オレフィンとのメタセシス反応に対して触媒作用を有する限り特に制限されず、種々のメタセシス触媒を用いることができる。該メタセシス触媒は、遷移金属を含有するが、天然ゴムラテックス中で使用するため、水に対する安定性が高いことが好ましい。そのため、メタセシス触媒を構成する遷移金属は、ルテニウム、オスミウム及びイリジウムのいずれかであることが好ましい。上記メタセシス触媒として、具体的には、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロライド[RuCl(=CHPh)(PCy]の他、RuCl(=CH−CH=CPh)(PPh、RuCl(=CHPh)(PCp、RuCl(=CHPh)(PPh、RuCl(=CHPh)[CyPCHCHN(CH Cl]等を挙げることができる。なお、化学式中、Cyはシクロヘキシル基を示し、Cpはシクロペンチル基を示す。
上記メタセシス触媒の添加量は、上記極性基含有オレフィンに対し1〜500mol%の範囲が好ましく、10〜100mol%の範囲が更に好ましい。
上述した各成分を反応容器に仕込み、30〜80℃で10分〜24時間反応させることで、天然ゴム分子に上記極性基が導入された変性天然ゴムラテックスが得られる。
また、原料として、天然ゴム、天然ゴムラテックス凝固物及び天然ゴムカップランプからなる群から選択される少なくとも一種の天然ゴム原材料を用いる場合は、極性基含有化合物を機械的せん断力を与えて、天然ゴム原材料にグラフト重合又は付加させることにより変性天然ゴムが得られる。
上記天然ゴム原材料としては、乾燥後の各種固形天然ゴム、各種天然ゴムラテックス凝固物(アンスモークドシートを包含する)又は天然ゴムカップランプを用いることができ、これら天然ゴム原材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
上記のように、上記極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合、該極性基含有化合物は、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましく、極性基含有ビニル系単量体であることが好ましい。一方、極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子に付加反応させる場合、該極性基含有化合物は、分子内にメルカプト基を有することが好ましく、極性基含有メルカプト化合物であることが好ましい。
上記天然ゴム原材料と極性基含有化合物との混合物に機械的せん断力を与える手段としては、二軸押出混練装置及びドライプリブレーカーが好ましい。ここで、極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合は、上記機械的せん断力を与えられる装置内に天然ゴム原材料及び極性基含有化合物(好ましくは、極性基含有ビニル系単量体)と共に重合開始剤を投入し、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム原材料中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合により導入することができる。また、極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子に付加反応させる場合は、上記機械的せん断力を与えられる装置内に天然ゴム原材料及び極性基含有化合物(好ましくは、極性基含有メルカプト化合物)を投入し、必要に応じて有機過酸化物等を更に投入して、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム原材料中の天然ゴム分子の主鎖の二重結合に極性基含有化合物を付加反応させることができる。ここで使用する極性基含有化合物としては、上述した極性基含有単量体、極性基含有メルカプト化合物、極性基含有オレフィン等が挙げられる。
上述した各成分を機械的せん断力を与えられる装置内に仕込み、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム分子に上記極性基含有化合物がグラフト重合又は付加した変性天然ゴムが得られる。なお、この際、天然ゴム分子の変性反応を加温して行ってもよく、好ましくは30〜160℃、より好ましくは50〜130℃の温度で行うことで、十分な反応効率で変性天然ゴムを得ることができる。
上記変性天然ゴムの極性基含有量は、ゴム成分に対して0.001〜0.5mmol/gの範囲が好ましく、0.002〜0.3mmol/gの範囲が更に好ましく、0.003〜0.2mmol/gの範囲がより一層好ましい。変性天然ゴムの極性基含有量が0.001mmol/g未満では、ゴム組成物の低発熱性及び破壊特性を充分に改良できないことがある。また、変性天然ゴムの極性基含有量が0.5mmol/gを超えると、粘弾性、S−S特性(引張試験機における応力−歪曲線)等の天然ゴム本来の物理特性を大きく変えてしまい、天然ゴム本来の優れた物理特性が損なわれると共に、ゴム組成物の加工性が大幅に悪化するおそれがある。
本発明の他の空気入りタイヤは、ゴム層7を構成するゴム組成物が、(i)カーボンブラックを界面活性剤の不存在下、高せん断ミキサーを用いて水分散させることによってスラリー溶液を調整する工程と、(ii)該スラリー溶液と、天然ゴムラテックスおよび合成イソプレンゴムラテックスのうち少なくとも1種とを混合する工程と、を含む方法によって製造されたゴムマスターバッチを用いて得たものである。また、ベルト層のコーティングゴム8を構成するゴム組成物が、同様にゴムマスターバッチを用いて得たものであってもよい。該ゴムマスターバッチを用いたゴム組成物は、上記変性天然ゴムを用いたゴム組成物と同様に、ゴム成分に対するカーボンブラックの分散性が向上し、カーボンブラックの補強効果が充分に発揮されて、破壊特性に優れる上、低発熱性(低ロス性)が大幅に向上している。
上記ゴムマスターバッチの製造方法において、工程(i)における上記カーボンブラックを含むスラリー溶液の調整に際して、上記カーボンブラックを、界面活性剤を用いずに、高せん断ミキサーを用いて水中で微分散することを要する。ここで、高せん断ミキサーとは、ローターとステーター部からなる高せん断ミキサーであって、高速で回転するローターと、固定されたステーターが狭いクリアランスで設置され、ローターの回転によって高いせん断速度を生み出す。高せん断とは、せん断速度が2000/s以上、好ましくは4000/s以上であることを意味する。高せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミクサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
上記により、高せん断ミキサーを用いて得られたスラリー溶液中のカーボンブラックは、好ましくは、体積平均粒子径(MV)が25μm以下であり、かつ90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、さらに好ましくは、体積平均粒子径(MV)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中のカーボンブラックの分散が悪化し、補強製、破壊特性が悪化することがある。
スラリー溶液における上記カーボンブラックは、その合計量でスラリー溶液に対して1〜30質量%添加するのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることがさらに好ましい。1質量%未満では必要とするスラリー量が多くなりすぎポンプ容量等に問題が生じる。一方、30質量%を超えると、スラリー溶液の粘度が高くなりすぎ送液が困難となる場合がある。
次に、工程(ii)において、上記工程(i)により得られたスラリー溶液は、天然ゴムラテックス及び合成イソプレンゴムラテックスのうち少なくとも1種と混合される。これらの中でも、特に天然ゴムラテックスが好ましい。天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素で処理した脱蛋白ラテックス、前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。また、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムイソプレンゴムラテックス以外に混合されるゴムラテックスとして、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等種々の合成ゴムのラテックスが挙げられる。なお、該ゴムラテックスは1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記スラリー溶液とこれらラテックスとの混合は、例えば、ホモミキサー中に該スラリー溶液を入れ、攪拌しながら、ラテックスを滴下する方法や、逆にラテックスを攪拌しながら、これに該スラリー溶液を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とラテックス流とを、激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
また、本発明の他の空気入りタイヤにおいては、ゴムマスターバッチを製造する方法が、さらに(iii)天然ゴムラテックスおよび合成イソプレンゴムラテックスのうち少なくとも1種とスラリー溶液との混合液を凝固させる工程と、(iv)得られた凝固物を機械的なせん断力をかけながら乾燥させる工程と、を含むことが好ましい。ここで、ゴムマスターバッチの凝固方法としては、通常と同様、蟻酸、硫酸等の酸や塩化アルミニウム等の塩を用いて行われる。また、本発明においては、凝固剤を添加せず、上述したゴムラテックスと上記スラリー溶液とを混合することによって、凝固がなされる場合もある。
かかる工程(iv)において、工程(iii)で得られた凝固物の乾燥には、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができるが、さらに充填材の分散性を向上させるためには、機械的せん断力をかけながら乾燥を行うことが好ましい。これにより、ゴムの場合は、加工性、補強製などをより向上させることができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行うことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の多軸混練機を用いることがより好ましい。
上記の方法で得られたゴムマスターバッチを配合する場合、ゴム成分の全体に対して上記マスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。なお、上記マスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、上述した本発明のゴム組成物のゴム成分、すなわち天然ゴムの他、上記の種々の合成ゴムが挙げられる。
本発明において、ゴム組成物には、上記ゴム成分、上記カーボンブラック、または上記ゴムマスターバッチの他に、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。また、本発明において、ゴム組成物は、上記ゴム成分に、上記カーボンブラックと、または上記ゴムマスターバッチと、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明において、変性天然ゴムやマスターバッチを用いることで、カーボンブラックの分散性が改良されることに伴い亀裂成長性が改良される。
なお本発明の空気入りラジアルタイヤのベルト端以外の部材には、従来より公知の構造及び材料からなる部材を採用することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<変性天然ゴムの製造例1>
(天然ゴムラテックスの変性反応工程)
フィールドラテックスをラテックスセパレーター(斎藤遠心工業製)を用いて回転数7500rpmで遠心分離して、乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤(エマルゲン1108,花王株式会社製)をN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート3.0gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、これらを窒素置換しながら常温で30分間撹拌した。次に、重合開始剤としてtert−ブチルハイドロパーオキサイド1.2gとテトラエチレンペンタミン1.2gとを加え、40℃で30分間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスを得た。
(凝固及び乾燥工程)
上記変性天然ゴムラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整し、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムAを得た。このようにして得られた変性天然ゴムAの質量から、単量体として加えたN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率が100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムAを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を試みたが、抽出物を分析したところホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、得られた変性天然ゴムAの極性基含有量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.027mmol/gである。
<変性天然ゴムの製造例2>
フィールドラテックスに水を添加して、乾燥ゴム濃度30%のラテックスを得た。このラテックス2000gを、攪拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤(エマルゲン1108、花王株式会社製)を2−メルカプトエチルアミン1.2gに加えて乳化したものを添加し、攪拌しながら60℃で8時間反応させることにより、変性ゴムラテックスBを得た。その後、製造例1と同様に凝固及び乾燥することにより変性天然ゴムBを得た、また、得られた変性天然ゴムBの極性基含有量を熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析計を用いて分析したところ、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.021mmol/gであった。
<マスターバッチの製造例1>
(スラリー溶液の調整工程)
水4180g中にカーボンブラック(HAF−LS,東海カーボン株式会社製,商品名:シースト3,NSA 79m/g)300gを入れ、ハイシアーミキサー(高せん断ミキサー)を用いて、ロータステーター間隔0.3mm、5000rpmで10分間混合して水分散スラリー溶液を調整した。得られたスラリー溶液中のカーボンブラックの体積平均粒子径(MV)及び90体積%粒径(D90)を、レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle refractive index)は全ての測定において1.57を用いた。また、カーボンブラックの再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。測定の結果、水分散スラリー中のカーボンブラックのMVは6μm、D90は10μmであった。
(凝固及び乾燥工程)
ホモミキサー中に、固形分濃度10質量%の天然ゴムラテックス5000gと上記スラリーを入れ、蟻酸にてpH4.5に調整しながら10分間攪拌してマスターバッチを凝固し、水水洗後、水分40%になるまで脱水した。続いて、神戸製鋼2軸混練押出機(同方向回転、スクリュー径30mm、L/D=35、ベントホール3ヶ所)を用いて、バレル温度120℃、100rpmで乾燥しマスターバッチAを得た。
下記表1および2に示す条件にて、図1に示す2層のスチールベルトを備える構造の空気入りタイヤを作製した。タイヤサイズは195/65R15とし、第1ベルト層5aと第2ベルト層5bのモノフィラメントコード6の打込み角度は、タイヤ周方向に対して夫々+22°および−22°とした。また、第1ベルト層5aおよび第2ベルト層5bのゴム種(ベルトゴム種)およびベルト間ゴム種は、下記表3記載のゴム種を使用した。さらに、ベルト間ゴム(ゴム層)7の配合ゴムとしては、天然ゴム100質量部、カーボンブラック(N330)50質量部、コバルト塩(ナフテン酸コバルト)1.0質量部、酸化亜鉛10質量部、加硫促進剤(N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド,大内新興化学工業(株)製 ノクセラーDZ)1.0質量部、硫黄6.0質量部、ビスマレイミド(N,N’−(4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド))2.0質量部からなるものを用いた。
得られた各実施例および比較例のタイヤを、比較例1を基準とした質量増加の度合い(質量差)について評価した。また、耐BES性について、下記に従い評価を行った。その結果を、下記の表1および2中に併せて示す。
(耐BES性の評価)
各供試タイヤをJATMAで規定する正規リムに組みつけ、220kPaの内圧を充填して、BESドラム上を、サイドフォース(SF)一定で横力をかけて走行させた後、タイヤを解剖して、ベルト層端部に発生している亀裂の長さを測定した。各供試タイヤの亀裂長さを、比較例1のタイヤの亀裂長さを100とした指数にて示した。この指数の値が小さいほど耐BES性が良好である。
Figure 2010163055
*1)軽量性:比較例に対して0.180kg以上軽量化できているものを◎、同じく0.15kg以上を○、0.15kg未満を×とした。
*2)耐BES性(耐BES性の指数が小さいほど良好):50未満を◎、100〜50を○、100を超えるものを×とした。
Figure 2010163055
Figure 2010163055
*3) 天然ゴム RSS♯3.
*4)上記で製造した変性天然ゴムA
*5)上記で製造した変性天然ゴムB
*6)上記で製造したマスターバッチA
*7)HAF,東海カーボン株式会社製 商品名:シースト 3 NSA=79m/g
*8)ハクスイテック株式会社製 酸化亜鉛2種
*9)N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン,大内新興化学工業株式会社製 商品名:ノクラック6C
*10)細井化学工業株式会社製 粉末硫黄
*11)N,N‘−ジシシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド,大内新興化学工業株式会社製 商品名:ノクセラーDZ
比較例1は、撚りコードを使用しているため、本発明の所望の効果が得られなかった。また、比較例2は、モノフィラメントコードが、3本にて引き揃えた束を単位としベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されているためコード間隔が狭く耐BES性が悪かった。さらに、比較例3は、6本にて引き揃えた束を単位としベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されているものの、H/Hが2.28であるため、耐BES性は確保できるが、軽量効果は少なかった。さらにまた、比較例4は、6本にて引き揃えた束を単位としベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されているものの、ベルト間ゴム種としてAを使用しているため、軽量効果は大きいが、耐BES性を確保できなかった。また、比較例5は、ベルト間ゴム種をB(亀裂進展性改良ゴム)にしているものの、H/Hが1.13と小さすぎるため耐BES性は改良できなかった。
実施例1は、ベルト間ゴム種がBで、H/Hが1.64で1.3〜2.0の範囲のほぼ中心であるため、高い耐BES性を確保しながら軽量性も実現できた。また、実施例2は、実施例1でベルトゴム種もBとしたものであり、ベルトゴム種をベルト間ゴム種と同じものを使用した場合も、実施例1と同様に耐BES性を確保できた。さらに、実施例3は、軽量性を優先するためH/Hが1.32と低い設定であるが、1.3以上であるため、耐BES性を確保できた。さらにまた、実施例4は、実施例1でH/Hが1.96としたものであり、軽量性、耐BESともに確保できているが、H/Hが上限の2.0に近いため、軽量化の効果は他の実施例対比小さいものであった。また、実施例5および6はベルト間ゴム種をCおよびDとしたものであり、実施例1と同様の効果が得られた。
第2ベルト層端部における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとの間のゴム層7を構成するゴム組成物として実施例1〜6記載のものを使用することにより、ゴム層の耐亀裂成長性が向上し、ゴム層が薄くても耐BES性を確保でき、より軽量なタイヤを提供することができた。また、本発明を適用することで、タイヤの耐久性(耐BES性)を損なわずに、軽量なタイヤを提供することができた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5a 第1ベルト層
5b 第2ベルト層
6 モノフィラメントコード
7 ゴム層(ベルト間ゴム)
8 ベルトコーティングゴム

Claims (6)

  1. 左右一対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトと、を備える空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層がともに、フィラメント径0.18〜0.26mmのモノフィラメントコードが、5〜7本にて引き揃えた束を単位としベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されてなり、かつ、前記第2ベルト層端部における第1ベルト層と第2ベルト層とのモノフィラメントコード間のゴム層のゲージHが、タイヤ中央部における当該ゲージHに対して1.3〜2.0倍の比率であり、
    さらに、前記比率を確保するために配置するゴム層を構成するゴム組成物が、天然ゴム分子中に極性基を含有する変性天然ゴム、および合成イソプレンゴムのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 左右一対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトと、を備える空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層がともに、フィラメント径0.18〜0.26mmのモノフィラメントコードが、5〜7本にて引き揃えた束を単位としベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されてなり、かつ、前記第2ベルト層端部における第1ベルト層と第2ベルト層とのモノフィラメントコード間のゴム層のゲージHが、タイヤ中央部における当該ゲージHに対して1.3〜2.0倍の比率であり、
    さらに、前記比率を確保するために配置するゴム層を構成するゴム組成物が、(i)カーボンブラックを界面活性剤の不存在下、高せん断ミキサーを用いて水分散させることによってスラリー溶液を調整する工程と、(ii)該スラリー溶液と、天然ゴムラテックスおよび合成イソプレンゴムラテックスのうち少なくとも1種とを混合する工程と、を含む方法によって製造されたゴムマスターバッチを用いて得たものであることを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 前記ベルト層のコーティングゴムを構成するゴム組成物が、天然ゴム分子中に極性基を含有する変性天然ゴム、および合成イソプレンゴムのうち少なくとも1種を含む請求項1記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ベルト層のコーティングゴムを構成するゴム組成物が、(i)カーボンブラックを界面活性剤の不存在下、高せん断ミキサーを用いて水分散させることによってスラリー溶液を調整する工程と、(ii)該スラリー溶液と、天然ゴムラテックスおよび合成イソプレンゴムラテックスのうち少なくとも1種とを混合する工程と、を含む方法によって製造されたゴムマスターバッチを用いて得たものである請求項2記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記モノフィラメントコード束間のベルト幅方向距離が、0.4mmを超え1.2mm未満である請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記モノフィラメントコード束の打ち込み数が、18〜32束/50mmである請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013084397A (ja) * 2011-10-06 2013-05-09 Toyota Motor Corp リチウム二次電池の製造方法
WO2023090022A1 (ja) 2021-11-17 2023-05-25 株式会社ブリヂストン 空気入りタイヤ

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JP2013084397A (ja) * 2011-10-06 2013-05-09 Toyota Motor Corp リチウム二次電池の製造方法
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