JP2010160477A - 異方性色素膜、異方性色素膜用配位高分子、及び偏光素子 - Google Patents

異方性色素膜、異方性色素膜用配位高分子、及び偏光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高い二色性を示し、耐久性が良好な異方性色素膜、異方性色素膜用配位高分子、及び偏光性能に優れた偏光素子を提供することにある。
【解決手段】配位高分子を含有することを特徴とする異方性色素膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、異方性色素膜、異方性色素膜用配位高分子、及び偏光素子に関するものであり、詳しくは、配位高分子を含有する異方性色素膜及び偏光素子に関する。
液晶ディスプレイ(liquid crystal display)では、表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。有機ELディスプレイ(Organic electroluminescence display)においても、外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。
従来、これらの偏光板には、ヨウ素や二色性を有する有機色素を、ポリビニルアルコール等の高分子材料に溶解又は吸着させ、その膜を一方向にフィルム状に延伸して、二色性色素を配向させることにより得られる異方性色素膜が広く使用されてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このようにして製造される従来の異方性色素膜では、用いる色素や高分子材料によっては耐熱性や耐光性が十分でない、液晶装置製造時における異方性色素膜の貼り合わせの歩留りが悪い、等の課題があった。また、ヨウ素は昇華性が大きいために偏光板として使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。
そのため、ガラスや透明フィルムなどの基板上に、二色性色素を含む溶液を塗布する湿式成膜法にて二色性色素を含む膜を形成し、分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させることにより異方性色素膜を製造する方法(例えば、特許文献2参照)が検討されている。
偏光素子としての用途においては、より高い偏光性能を得るために、二色性の高い異方性色素膜が求められているが、これら従来の異方性色素膜は二色性に劣り、このため、偏光性能に優れた偏光素子を得ることができなかった。
従来、異方性色素膜には様々な色素が使用されており、色素の選択も重要な要素の1つである。例えば、特許文献1には、下記構造式で表される二色性色素を使用する旨、記載されている。
Figure 2010160477
しかし、上記特許文献1に記載される化合物は、二色性が不十分であり、各種溶剤への溶解性も低いことから、湿式成膜法にて製造される異方性色素膜の材料として十分であるとは言えない。
特許文献2には湿式成膜法にて製造される異方性色素膜を作製する旨、記載されており、使用できる二色性色素の一例として、下記構造式で表されるものが記載されている。
Figure 2010160477
しかし、上記化合物はジスアゾ化合物であり、またトリアジン環上にハロゲン原子が結合しているため分解し易いという課題があった。
これらの技術に対して、特許文献3には、トリアジニル基を有し、1分子中にアゾ結合を3個以上有する、特定構造の二色性アゾ色素を用いることによって、高い異方性を有する異方性色素膜が得られることが記載されている。
しかし、この技術によれば、得られる異方性色素膜の二色性比は確かに向上するものの不十分であり、より一層の二色性比の向上を実現できる技術が求められていた。
また、偏光膜に使用する際には深い色調の膜が好ましく、色相として、可視波長領域において中性色であることが必要であり、通常、2種以上の二色性色素を混合して中性色を作製するが、それぞれの色素毎に構造が大きく異なるため二色性比も異なり、その調整に多大な労力を要していた。
以上のように、従来公知の二色性色素は性能面で不十分であるが、それのみならず原料から目的物までの合成が多段階に渡る上、目的物の精製に多大な労力を必要とする等の、製造面での課題も、従来多く抱えていた。
ところで、金属イオンと配位子の連続的な相互作用による繰り返し構造を有する配位高分子は、無機化合物としての金属イオンの多様性と有機化合物としての配位子の優れた分子設計の自由度を併せ持つ。そのため、無機化合物や有機化合物が単独では実現不可能な空間および電子構造を自在に構築して、新たな機能の発現を可能とし、産業上の利用が見込まれているが(例えば、特許文献4参照)。一方で、配位高分子を二色性色素として機能させ、異方性色素膜へ適用させることに関しては、これまでに例がなかった。
特開平3−12606号公報 国際公開第2002/099480号パンフレット 国際公開第2005/035667号パンフレット 特開2007−112769号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、高い二色性を示し、耐久性が良好な異方性色素膜、異方性色素膜用配位高分子、及び偏光性能に優れた偏光素子を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、配位高分子を用いることにより、高い二色性を示し、耐久性が良好な異方性色素膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
配位高分子は製造法が簡便であり、かつ色調コントロールのための分子設計の自由度が高いため、従来の二色性色素を用いた異方性色素膜、及び偏光素子に比べて、本発明の配位高分子を用いた異方性色素膜、及び偏光素子は大幅に安価かつ容易に製造することが可能となる。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.配位高分子を含有することを特徴とする異方性色素膜。
2.前記配位高分子が線状高分子であることを特徴とする前記1に記載の異方性色素膜。
3.前記配位高分子が下記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有することを特徴とする前記1または2に記載の異方性色素膜。
Figure 2010160477
〔式中、M及びMは金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良く、X及びXは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。Lは炭素原子を含むXとXを連結する基を表す。〕
4.前記配位高分子が5または6員の含窒素複素環を有することを特徴とする前記3に記載の異方性色素膜。
5.前記配位高分子が金属イオンと下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする前記4に記載の異方性色素膜。
Figure 2010160477
〔式中、Jは単なる結合手または2価の連結基を表し、Z〜ZはそれぞれC=N部と共に5または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。〕
6.前記配位高分子が異種金属イオンを含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の異方性色素膜。
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の異方性色素膜を少なくとも一つ用いることを特徴とする偏光素子。
8.下記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有することを特徴とする異方性色素膜用配位高分子。
Figure 2010160477
〔式中、M及びMは金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良く、X及びXは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。Lは炭素原子を含むXとXを連結する基を表す。〕
本発明により、高い二色性を示し、耐久性が良好な異方性色素膜、異方性色素膜用配位高分子、及び偏光性能に優れた偏光素子を提供することができる。
以下本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本発明において「異方性色素膜」とは、色素膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する色素膜をいう。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、抵抗率異方性色素膜などがある。すなわち、後述する本発明の異方性色素膜は、偏光膜、位相差膜或いは抵抗率異方性色素膜に使用できる。特に、本発明の異方性色素膜は、可視光領域に吸収を持つため、偏光膜に有用である。
異方性色素膜の二色性比は、吸収方向と偏光方向の吸収係数の比で決まる。従って、異方性色素膜の平面内の吸収方向をx軸、偏光方向をy軸とすると、二色性比を高める目的には、用いられる二色性色素の持つ吸光係数のx軸成分kxができるだけ大きくなるように、数多く揃えた分子配列となることが好ましい。換言すると、湿式成膜法により成膜した際、同方向に配列した分子の数がより多い方が、より高い二色性比が期待されるので好ましい。そのためには、色素の自己組織化を促進すべく、色素分子間の相互作用力が大きいことが望ましいと思われる。
[配位高分子]
本発明において、配位高分子(coordination polymer)とは、多官能性配位子(架橋配位子)が異なる金属イオンに配位した架橋構造を形成し、金属イオンと配位子が交互に長く配列することで生成する高分子化合物である。つまり、・・・−(金属イオン)−(配位子)−(金属イオン)−(配位子)−(金属イオン)−・・・の形態をとる高分子を意味する。
本発明は、異方性色素膜が配位高分子を含有することが特徴である。配位高分子は配位子と金属イオンとの間の電子移動を伴う遷移に基づいて光を吸収し、色素として機能するが、驚くべきことに、本発明者らはこのような色素として機能する配位高分子を用いて後述の乾式成膜法もしくは湿式成膜法により作製された色素膜は異方性を有することを見出した。詳細は不明であるが、配位高分子間の分子配列が高まったこと、及び配位高分子を形成する各配位子と各金属イオンとの間の電子移動を伴う遷移の方向の一致性が高められたこと、所謂二色性が高められたことが原因と推測している。
本発明において、金属イオンとしては、配位高分子を形成するものであれば特に制限はないが、VIII族、Ib族、IIb族、IIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の金属原子から選ばれる遷移金属イオンが好ましい。具体的にはNi、Cu、Co、Mn、Zn、Fe、Ru、Ti、Pd、Ptの2価の金属イオンが挙げられ、更に好ましくはNi、Cu、Co、Mn、Fe、Ruの2価の金属イオンが挙げられ、特に好ましくはFeの2価の金属イオンである。
配位高分子中の金属イオンは、同一の金属イオンで構成されていても、異種の金属イオンで構成されていてもよく、配位高分子中の配位子は、同一の配位子で構成されていても、異種の配位子で構成されていてもよい。
また、配位高分子においては、金属イオンのカチオンを中和するのに必要なアニオンが存在する。配位子の電荷が中性の場合、金属イオンのカチオンを中和するためのカウンターアニオンが別に存在し、一方、配位子がアニオン性の場合、金属イオンのカチオンを中和するカウンターアニオンは、配位子自体の場合もあれば、別に存在する場合もある。
本発明において、カウンターアニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸イオン(酢酸イオン、プロピオン酸イオン等)、芳香族カルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、硫酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸、トシル酸イオン等)、ハロゲンイオン(塩化物イオン、臭化物イオン等)、リン酸イオン、リン酸エステルイオン(リン酸モノエチルエステルイオン、リン酸ジエチルエステルイオン等)、水酸イオン、炭酸イオン、ポリオキシメタレート、PF 、BF 、SbF 等が挙げられ、これらは配位高分子中で組み合わされていてもよい。これらのカウンターアニオンは通常配位高分子の合成時に金属イオンの対イオン(対塩)として用いられることが多いが、配位高分子の合成後に塩交換してもよい。
本発明において、配位子としては多官能性配位子であれば特に制限はないが、例えば、非共有電子対を有する複数の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を有する化合物が挙げられる。
配位高分子の合成時に用いられる原料の金属塩としては特に制限がないが、コスト及び入手容易性を鑑み、金属の酢酸塩または金属の塩化物塩が好ましい。
本発明の配位高分子の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100,000の範囲であり、各種溶媒に対する溶解性という観点から、好ましくは2,000〜20,000の範囲である。本発明の配位高分子の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜500,000の範囲であり、溶解性、製膜性という観点から、好ましくは5,000〜100,000である。
(分子量測定法)
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定する。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: 1M酢酸ナトリウム/アセトニトリル=7/3
カラム: TSKgel α−M、α−2500(東ソー(株)製を2本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 0.5ml/min
校正曲線: 標準PEO・PEG換算
本発明における配位高分子は、配位子と金属イオンとの間の電荷移動遷移により可視領域に吸収を有し、配位子と金属イオンとの組み合わせによって、電荷移動の速度が異なるので、配位子と金属イオンとを適宜組み合わせることによって所望の発色が得られる。この電荷移動の速度は、カウンターアニオンを変更することによっても制御することができる。
[線状高分子]
本発明において、線状高分子とは、例えば「基礎高分子科学」(東京化学同人刊行)に定義されている様に、構造単位(モノマーなど)が線状に連結されたもので、鎖状高分子あるいは1次元高分子とも表現される。
本発明における配位高分子は、線状高分子であることが好ましく、配位高分子を形成する配位子は二官能性であることが好ましい。
なお、本発明者らは、直線性に優れる線状の配位高分子は、個々の電荷移動遷移に基づく光吸収の遷移モーメントが揃いやすいため、吸収異方性の観点から異方性色素膜、特に偏光機能を必要とする偏光素子に有用であることを見出した。
本発明における配位高分子は、前記一般式(1)で表される部分構造を有する配位高分子であることが、異方性を発現し、偏光性能を高める為には好ましい。
[前記一般式(1)で表される部分構造]
前記一般式(1)において、M及びMは金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。
前記一般式(1)において、M及びMで表される金属イオンとしては、配位高分子を形成するものであれば特に制限はないが、VIII族、Ib族、IIb族、IIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の金属原子から選ばれる遷移金属イオンが好ましい。具体的にはNi、Cu、Co、Mn、Zn、Fe、Ru、Ti、Pd、Ptの2価の金属イオンが挙げられ、更に好ましくはNi、Cu、Co、Mn、Fe、Ruの2価の金属イオンが挙げられ、特に好ましくはFeの2価の金属イオンである。
前記一般式(1)において、X及びXは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。X及びXは窒素原子が好ましい。
前記一般式(1)において、Lは炭素原子を含むXとXを連結する基を表すが、Lは、X及びXと共に二官能性の有機配位子を形成する。二官能性の有機配位子としては、例えば、ビスターピリジン、ビスフェナントロリン、ビスビピリジン等を挙げることができる。
本発明における前記一般式(1)で表される部分構造を有する配位高分子は、5または6員の含窒素複素環を有する配位高分子であることが、金属との配位力が高まるので、異方性を発現し、偏光性能を高める為には好ましい。
[5または6員の含窒素複素環]
5または6員の含窒素複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾイミダゾール環等の各環を挙げることができる。好ましくはピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環であり、特に好ましくはピリジン環である。
本発明における5または6員の含窒素複素環を有する配位高分子は、金属イオンと前記一般式(2)で表される化合物を含有する配位高分子であることが、直線性に優れ、かつ金属との配位力が高まるので、異方性を発現し、偏光性能を高める為には好ましい。
金属イオンとしては、配位高分子を形成するものであれば特に制限はないが、VIII族、Ib族、IIb族、IIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の金属原子から選ばれる遷移金属イオンが好ましい。具体的にはNi、Cu、Co、Mn、Zn、Fe、Ru、Ti、Pd、Ptの2価の金属イオンが挙げられ、更に好ましくはNi、Cu、Co、Mn、Fe、Ruの2価の金属イオンが挙げられ、特に好ましくはFeの2価の金属イオンである。
[前記一般式(2)で表される化合物]
前記一般式(2)において、Jは単なる結合手または2価の連結基を表す。2価の連結基として、例えば、置換基を有してもよいアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基等)、置換基を有してもよいシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)、置換基を有してもよいアルケニレン基(例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等)、エチニレン基、置換基を有してもよいアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基等)、カルボニル基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子(例えば、チオエーテル基、スルホニル基等)、あるいはこれらの連結基の組み合わせ(例えば、アラルキレン基、エステル基、アルコシカルボニル基、カルバモイル基、アミド基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ジスルフィド基、ヒドラジノ基、アゾ基等)を挙げることができる。Jはアリーレン基が好ましく、フェニレン基が更に好ましく、1,4−フェニレン基または1,4−フェニレン基同士の組み合わせが特に好ましい。
前記一般式(2)において、Jで表される2価の連結基が有してもよい置換基として、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。これらの置換基は、同様の置換基によって更に置換されていてもよい。
前記一般式(2)において、Z〜ZはそれぞれC=N部と共に5または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。含窒素複素環の具体例として、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾイミダゾール環等の各環を挙げることができる。好ましくはピリジン環、ベンゾイミダゾール環であり、特に好ましくはピリジン環である。これらの環は置換基を有してもよく、置換基としては前記Jで表される2価の連結基が有してもよい置換基と同様の基を挙げることができ、更に同様の置換基によって置換されていてもよい。また、Z〜Zはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
[異方性色素膜用配位高分子]
本発明の異方性色素膜用配位高分子は、前記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有することを特徴とする。
前記一般式(1)において、M及びMは金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良く、X及びXは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。Lは炭素原子を含むXとXを連結する基を表す。
前記一般式(1)において、M、M、X、X及びLとしては、例えば、上述で説明したものと同様のものを挙げることができ、更に、上述で説明したものと同様のカウンターアニオンを有してもよい。
前記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有する本発明の異方性色素膜用配位高分子は、直線性に優れており、吸収異方性の観点から異方性色素膜、特に偏光機能を必要とする偏光膜に有用である。さらに、配位高分子の主軸の末端基や側方置換基の種類や組み合わせを選択することで、配位高分子とそれと組み合わせる高分子材料や配位高分子同士の分子間相互作用を任意に制御することが可能である。また、本発明の配位高分子は、耐熱性にも優れていることから、耐熱性が必要とされる種々の用途の異方性色素膜に用いることができる。
以下に、本発明に係る配位高分子の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例示化合物として記載の構造式中のnは、括弧内の構造が複数個繰り返していることを意味する。
Figure 2010160477
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[製造方法]
本発明の配位高分子は、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば、Synthesis2006,No.17,2873−2878、特開2007−112769号公報に記載の方法を参考にして、配位子及び配位高分子を合成することができる。なお、本発明はこれらの方法により限定されるものではない。
[異方性色素膜]
本発明の異方性色素膜は、上述した本発明の配位高分子を少なくとも含有することを特徴とする。本発明の異方性色素膜は、本発明の配位高分子のうち1種のみを単独で含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
また、本発明の配位高分子1種又は2種以上に加えて、他の色素を1種又は2種以上含有していてもよい。特に、配向を低下させない範囲において、本発明の配位高分子以外の色素を適切に選択して配合して用いることにより、各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。特に、偏光膜に使用する際には深い色調の膜が好ましく、色相として、380〜780nmの可視波長領域において中性色(ニュートラルグレー。例えば、L表色系において、√{(a+(b}≦5を満たすものを表す。)を示す配合が表示素子、特にカラー表示素子用偏光子として好ましい。
本発明の配位高分子は、金属イオンを変化させることにより色相をコントロールできることが可能であるため、中性色を示す為には他の色素を併用せずに、本発明の配位高分子において、2種以上の異種金属イオンを含有させることが好ましい。
本発明の異方性色素膜が、本発明の配位高分子以外の色素(これを以下「配合用色素」という。)を含有する場合、配合用色素の例としては、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 34、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Yellow 132、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 79、C.I.Acid Orange 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Acid Red 37、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 57、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59等が挙げられる。
なお、本発明の異方性色素膜が、本発明の配位高分子以外に上述の配合用色素を含有する場合でも、本発明の配位高分子による効果を十分に得る観点から、色素の合計量(本発明の配位高分子及び配合用色素の合計量)に対する本発明の水溶性色素の割合が、通常70質量%以上、好ましくは85質量%以上、更に好ましくは95質量%以上の範囲となるようにする。
本発明の異方性色素膜は、少なくとも本発明の配位高分子を1種又は2種以上含有する組成物(これを「本発明の色素組成物」という。)を用いて、後述の乾式成膜法もしくは湿式成膜法により作製されることが好ましい。また、本発明の色素組成物は、上記の本発明の配位高分子に加え、配向を低下させない程度に、他の色素(配合用色素)を混合して用いることができる。これにより、各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。
本発明の色素組成物は、通常は更に溶剤を含有してなり、上述した本発明の配位高分子、及び、必要に応じて用いられる配合用色素が、溶剤に溶解若しくは分散された状態で存在する。色素組成物に含有される本発明の配位高分子としては、溶剤への溶解性等の観点からも、前記一般式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
溶剤としては、水、水混和性のある有機溶剤、或いはこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などの単独又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。
一方、カウンターアニオンの種類によっては水混和性のない有機溶剤、酢酸エチル等の脂肪酸エステル系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤を用いてもよく、これらの水混和性のない有機溶剤と上述の水混和性のある有機溶剤の2種以上の混合溶剤を用いてもよい。
本発明の色素組成物がこのような溶剤を含む溶液である場合、本発明の色素組成物中の色素(本発明の配位高分子、並びに必要に応じて用いられる配合用色素)の濃度は、成膜法や、色素の溶解性、リオトロピック液晶状態などの超分子構造の形成濃度にも依存するが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下、最も好ましくは15質量%以下の範囲である。色素濃度が低過ぎると得られる異方性色素膜において十分な二色性を得ることができず、高すぎると色素が析出する恐れがある。
また、本発明の色素組成物には、界面活性剤、pH調整剤等の添加剤が配合されていてもよい。これらの添加剤も、通常、溶剤に溶解することにより使用される。
特に、本発明の色素組成物には、基材への濡れ性、塗布性を向上させるため、必要に応じて界面活性剤等の添加物を加えることができる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の何れも使用可能である。その添加濃度は、目的の効果を得るために十分であって、かつ色素分子の配向を阻害しない量として、色素組成物中の濃度として通常0.05質量%以上、5質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
また、本発明の色素組成物には、組成物中での色素の造塩や凝集などの不安定性を抑制する等の目的のために、通常公知の酸、アルカリ等のpH調整剤などを、色素組成物の構成成分の混合の前後或いは混合中の何れかの時点で添加し、pH調整を行ってもよい。色素組成物のpHは、溶液の安定性と製造上の取り扱いやすさの観点から、通常5以上、中でも6以上、また、通常9以下、中でも8以下となるように調整することが好ましい。
更に、上記以外の添加物として、“Additives for Coating”, Edited by J. Bieleman, Willey−VCH (2000)に記載の公知の添加物を用いることもできる。
本発明の異方性色素膜は、上述した本発明の色素組成物を用いて、後述の乾式成膜法もしくは湿式成膜法により作製される。中でも、本発明の異方性色素膜は、異方性色素膜中の分子配列性を高め、色素分子間の分子間相互作用を利用して高い二色性を得るものであるため、成膜フィルムの延伸を行う等の乾式成膜法よりも、湿式成膜法で形成された異方性色素膜であることが好ましい。
湿式成膜法によれば、ガラスなどの高耐熱性基材上に異方性色素膜を形成することが可能であり、高耐熱性の偏光素子を得ることができる点から、液晶プロジェクタや車載用表示パネル等、高耐熱性が求められる用途に使用できる点が好ましい。
異方性色素膜の成膜法のうち、乾式成膜法としては、高分子重合体を成膜してフィルムとした後に本発明の色素組成物で染色する方法、又は、高分子重合体の溶液に本発明の色素組成物を添加し原液染色後成膜する方法等により得られた未延伸フィルムを延伸する方法、或いは真空条件下での加熱により色素組成物を蒸発させてガラス等の各種基材に真空蒸着させる方法などを挙げることができる。なお、本発明の色素組成物で染色するフィルムの構成材料としては、ポリビニルアルコール等、色素との親和性の高い高分子材料が挙げられる。
湿式成膜法としては、本発明の色素組成物を塗布液として調製後、ガラス板などの各種基材に塗布、乾燥し、色素を配向、積層して得る方法など、公知の方法が挙げられる。
例としては、「コーティング工学」、原崎勇次著、株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行、第253〜277頁や、「分子協調材料の創製と応用」、市村國宏監修、株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行、第118〜149頁等に記載の公知の方法や、予め配向処理を施した基材上に、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法などで塗布する方法などが挙げられる。
本発明の色素組成物の基材上への塗布時の温度は、通常0℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは40℃以下の範囲である。また、湿度は、通常10%RH以上、好ましくは30%RH以上、また、通常80RH%以下の範囲である。
湿式成膜法は、基材上への本発明の色素組成物の塗布工程、及び乾燥工程を経て色素膜を形成するが、これらの工程の操作条件は、色素の自己組織化による高いリオトロピック液晶性に基づいて形成される高次の分子配向状態を維持することが好ましい。
このため、特に乾燥工程でも急速な温度上昇は好ましくなく、一般的には自然乾燥とすることが好ましいが、好ましい条件を挙げるならば、乾燥時の温度は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、また、通常120℃以下、好ましくは110℃以下である。また、湿度は、通常10%RH以上、好ましくは30%RH以上、また、通常80%RH以下である。
基材としては、ガラスやセルロースエステル(トリアセテート、ジアセテート、アセテートプロピオネート等)、アクリル、ポリエステル又はウレタン系の樹脂フィルム等が挙げられる。また、この基材表面には、二色性色素の配向方向を制御するために、「液晶便覧」、丸善株式会社、平成12年10月30日発行、第226〜239頁などに記載の公知の方法により、配向処理層やフッ素樹脂層等を施しておいてもよい。更に、光照射、コロナ処理、プラズマ処理等の併用により、表面エネルギー状態等の改質を行ってもよい。
本発明の異方性色素膜は、表面に保護層を設けて使用することが好ましい。この保護層は、例えば、セルロースエステル、アクリル、ポリエステル、ポリイミド又はウレタン系のフィルム等の透明な高分子膜によりラミネーションして形成され、実用に供される。
本発明の異方性色素膜は高い二色性比を示すが、二色性比は9以上のものが好ましく、より好ましくは12以上、特に好ましくは15以上のものが使用される。二色性比は以下の方法で測定される。
(二色性比の測定法)
二色性比(D)は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計(大塚電子社製「瞬間マルチ測光システムMCPD2000」)で異方性色素膜の透過率を測定した後、次式により計算する。
二色比(D)=Az/Ay
Az=−log(Tz)
Ay=−log(Ty)
Tz:色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
また、特に湿式成膜法で基材上に形成される本発明の異方性色素膜の膜厚は、乾燥後の膜厚で、通常50nm以上が好ましく、中でも100nm以上がより好ましく、また、通常50μm以下が好ましく、中でも10μm以下がより好ましく、更には1μm以下の範囲がさらに好ましい。
また、本発明の異方性色素膜を液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの各種の表示素子の偏光フィルター等として用いる場合には、これらの表示素子を構成する電極基板などに直接、本発明の異方性色素膜を形成したり、本発明の異方性色素膜を形成した基材をこれら表示素子の構成部材として用いればよい。
本発明の異方性色素膜は、光吸収の異方性を利用し、直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能する他、膜形成プロセスと基材や色素組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性など各種の異方性色素膜としての機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に使用可能な偏光素子とすることができる。
特に、本発明の異方性色素膜は、上述のように二色性に優れているという利点に加えて、ガラス等の高耐熱性の基板上に直接形成することが可能であり、耐熱性に優れた偏光素子を得ることができるという利点を有する。よって、本発明の異方性色素膜は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイだけでなく液晶プロジェクタや車載用表示パネル等、高耐熱性が求められる用途に好適に使用することができる。
[偏光素子]
本発明の偏光素子は、本発明の異方性色素膜を少なくとも備えたことを特徴とする。本発明の異方性色素膜のみからなる偏光素子であってもよいし、適切な基板上に本発明の異方性色素膜が形成された偏光素子であってもよい。基板上に異方性色素膜を有する偏光素子は、基材も含めて偏光素子と呼ぶものとする。
基材上に本発明の異方性色素膜を形成し、これを本発明の偏光素子とする場合、形成された異方性色素膜をそのまま使用してもよいが、その異方性色素膜上に、上述の保護層の他、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。
これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することが出来る。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
反射フィルム又は半透過反射フィルムとしての機能を有する層は、蒸着やスパッタリングなどで得られた金属薄膜を用いて形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物などの液晶性化合物を塗布して配向させることにより形成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の記載において「部」とは、特に断らない限り「質量部」を示す。
[実施例1]
(例示化合物1の合成)
Figure 2010160477
300mlの反応容器に、72mlの酢酸、配位子として7.20gの1,4−ビスターピリジンベンゼンを、及び金属塩として2.32gの酢酸鉄を加えた。混合物を加熱し、6時間加熱還流行った。
反応終了後、酢酸を減圧下で濃縮し、得られた残渣を60mlのメタノールに溶解させた。この溶解液を、1Lのトルエン中に、撹拌しながらゆっくり滴下したところ、紫色の固体が析出した。その後、得られた固体を濾過し、トルエンで洗浄した後、乾燥することで例示化合物1が9.50g(収率100%)得られた。得られた例示化合物1の分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で確認したところ(0.1質量%濃度)、数平均分子量(Mn)は2,900、重量平均分子量(Mw)は6,300であり、高分子になっていることが確認できた。
上記で得られた例示化合物1を、水に溶解し(1質量%溶液)、溶解色を目視で判断したところ、青紫色(藍色)を呈した。
[実施例2]
(例示化合物2の合成)
金属塩として3.32gの酢酸コバルト四水和物を用いた以外は、実施例1と同様にして例示化合物2を合成した。収量は9.40g(収率98%)得られた。得られた例示化合物2の分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で確認したところ(0.1質量%濃度)、数平均分子量(Mn)は4,800、重量平均分子量(Mw)は27,000であり、高分子になっていることが確認できた。
上記で得られた例示化合物2を、水に溶解し(1質量%溶液)、溶解色を目視で判断したところ、黄橙色を呈した。
[実施例3]
(例示化合物3の合成)
金属塩として6.45gのジクロロテトラキス(ジメチルスルホキシド)ルテニウム(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして例示化合物3を合成した。収量は10.0g(収率99%)得られた。得られた例示化合物3の分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で確認したところ(0.1質量%濃度)、数平均分子量(Mn)は3,500、重量平均分子量(Mw)は13,000であり、高分子になっていることが確認できた。
上記で得られた例示化合物2を、水/メタノール=1/4混合溶媒に溶解し(1質量%溶液)、溶解色を目視で判断したところ、朱色を呈した。
以上、実施例1〜3で説明したように、Coは青色光領域、Ruは緑色光領域、Feは赤色光領域で光吸収するため、これらを混合することで、中性色を形成することが可能となる。
[実施例4]
1,4−ビスターピリジンベンゼンに対して、酢酸鉄、酢酸コバルト四水和物、及びジクロロテトラキス(ジメチルスルホキシド)ルテニウム(II)を同時に添加して、ワンポットで中性色を呈する配位高分子を合成することもできる。以下に、その例を示す。
300mlの反応容器に、72mlの酢酸、配位子として7.20gの1,4−ビスターピリジンベンゼンを、及び金属塩として0.26gの酢酸鉄、2.77gの酢酸コバルト四水和物、及び0.33gのジクロロテトラキス(ジメチルスルホキシド)ルテニウム(II)を加えた。混合物を加熱し、6時間加熱還流行った。
反応終了後、酢酸を減圧下で濃縮し、得られた残渣を60mlのメタノールに溶解させた。この溶解液を、1Lのトルエン中に、撹拌しながらゆっくり滴下したところ、固体が析出した。その後、得られた固体を濾過し、トルエンで洗浄した後、乾燥することで黒灰色の固体が9.50g(収率100%)得られた。得られた固体の分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で確認したところ(0.1質量%濃度)、数平均分子量(Mn)は4,100、重量平均分子量(Mw)は22,000であり、高分子になっていることが確認できた。
上記で得られた固体を、水に溶解し(1質量%溶液)、溶解色を目視で判断したところ、灰色(グレー色)を呈した。
[実施例5]
実施例1によって得られた配位高分子(例示化合物1)の5部を水95部に攪拌溶解させ、配位高分子の水溶液を得た。得られた水溶液を、ギャップ30μmのアプリケーター(井元製作所社製)でセルロースエステルフィルムであるKC4UE(コニカミノルタオプト(株)製)上に塗布した後、自然乾燥させることにより、異方性色素膜を得た。得られた異方性色素膜の600nmにおける二色性比は26であった。
なお、二色性比は下記のようにして求めた。
二色性比(D)を、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計(大塚電子社製「瞬間マルチ測光システムMCPD2000」)で異方性色素膜の透過率を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az=−log(Tz)
Ay=−log(Ty)
Tz:色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
[実施例6]
実施例4によって得られた配位高分子5部を、水95部に撹拌溶解させることにより、配位高分子の水溶液を得た。
得られた水溶液を、実施例1と同様にして、KC4UE上に塗布して自然乾燥することにより、異方性色素膜を得た。得られた異方性色素膜の600nmにおける二色性比は25であった。
[比較例1]
以下に示す色素(特許文献3に記載の例示色素(II−3))5部を、水95部に撹拌溶解させることにより、色素組成物を得た。
Figure 2010160477
得られた色素組成物を、実施例5と同様にして、KC4UE上に塗布して自然乾燥することにより、異方性色素膜を得た。得られた異方性色素膜の600nmにおける二色性比は8であった。
[比較例2]
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し異方性色素膜を作製した。この異方性色素膜の両面に、セルロースエステルKC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)の下記に示すアルカリケン化処理面を、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として両面から貼合し、保護フィルムが形成された異方性色素膜を作成し、上述の測定法で二色性比を求めたところ、600nmにおける二色性比は27であった。
(アルカリケン化処理)
ケン化工程:2mol/LNaOH、60℃、60秒
水洗工程:水30℃、45秒
中和工程:10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程:水30℃、45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥した。
[実施例7]
実施例5、実施例6、比較例1、及び比較例2の異方性色素膜について、温度150℃の環境下に20時間放置した後、600nmにおける二色性比を再度測定することにより耐久性を評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2010160477
比較例2の異方性色素膜は、耐久性試験後、カール、割れ、裂けが生じ、膜としての形態をなさず、二色性比が測定不能であった。また、比較例2の異方性色素膜の耐久性試験後の色調はニュートラルグレーから茶色に変色しており、色素の安定性が劣ることが分かった。
表1より、二色性に関しては実施例5及び実施例6と比較例1との比較、及び、耐久性に関しては実施例5及び実施例6と比較例1及び比較例2との比較から、本発明の配位高分子を含有する異方性色素膜は、高い二色性を示し、かつ耐久性が良好であることが分かる。

Claims (8)

  1. 配位高分子を含有することを特徴とする異方性色素膜。
  2. 前記配位高分子が線状高分子であることを特徴とする請求項1に記載の異方性色素膜。
  3. 前記配位高分子が下記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有することを特徴とする請求項1または2に記載の異方性色素膜。
    Figure 2010160477
    〔式中、M及びMは金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良く、X及びXは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。Lは炭素原子を含むXとXを連結する基を表す。〕
  4. 前記配位高分子が5または6員の含窒素複素環を有することを特徴とする請求項3に記載の異方性色素膜。
  5. 前記配位高分子が金属イオンと下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項4に記載の異方性色素膜。
    Figure 2010160477
    〔式中、Jは単なる結合手または2価の連結基を表し、Z〜ZはそれぞれC=N部と共に5または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。〕
  6. 前記配位高分子が異種金属イオンを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の異方性色素膜。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の異方性色素膜を少なくとも一つ用いることを特徴とする偏光素子。
  8. 下記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有することを特徴とする異方性色素膜用配位高分子。
    Figure 2010160477
    〔式中、M及びMは金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良く、X及びXは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。Lは炭素原子を含むXとXを連結する基を表す。〕
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